<   2010年 04月 ( 21 )   > この月の画像一覧   

美人過ぎるシンデレラ   

prokofiev: cinderella
marianela nuñez (cinderella), thiago soares (the prince),
alastair marriott, jonathan howells (cinderella's step sisters)
thomas whitehead (cinderella's father),
francesca filpi (fairy godmother), etc.
frederick ashton (choreography)
pavel sorokin / royal ballet @covent garden


ロイヤル・バレエのシンデレラ、また観ました。違うキャストで観るのもバレエの楽しさなんです。とは言え、先日の都さんの引退公演があまりにもステキだったので、それと比べちゃってちょっと割を食っています。こちらを先に観ていれば全然問題ないのですが。ヌニェスさんはユフイ・チェさんと共にわたし注目のバレリーナなんです。まだモダン・バレエでしか観てなくてクラシカルのフルレングスは初めてなので楽しみでした。モダン・バレエでもヌニェスさんって、体が柔らかくて動きがとっても美しいんですよ。彼女のサイトで観られるinfraという作品がとってもステキです。今日のシンデレラもヌニェスさんはとっても表情豊かにステキに踊っていたと思います。ただ、ヌニェスさんのシンデレラは美人過ぎるんです。って言うと変な言い方なんですが。シンデレラと同時に踊り手のヌニェスさんが見えてしまうんです。ヌニェスさんの踊りは美しいし、テクニックも文句の付け所はありません。所作や表情も細やかでとってもステキ。でも、まだヌニェスさん自身を消し切れてないんだと感じました。彼女のバイオグラフィーを見るとレパートリーにまだシンデレラがあがっていないので彼女にとって新しい役どころなのかも知れません。ヌニェスさんは大好きなダンサーなのでこれから役を深めていってさらにステキなシンデレラが観られることを期待しています。

アシュトン版のシンデレラはシンデレラの異母姉妹が男性によって踊られることがひとつのポイントです。実はこの間初めて観たとき、バレエって美男美女盛りだくさんを期待していたわたしは、異母姉妹がとってもヘンなのでびっくりしたんです。えええっなんで、美女じゃないって。焦ってキャストを見たら男性だったんです。しかもわざとアグリーにメイク。でも、これによってコミカルな面を上手く出してると思います。このバレエではシンデレラはあまりいじめられないんです。継母も出てこないし、お父さんがシンデレラの見方になってるし。じめじめしたいじめを強調しないので全体的に楽しい物語に仕上がってます。そういえばロッシーニのオペラのシンデレラもあまりいじめられませんね、というかわたしとってもかわいそうなのって本人が歌うところなんて可笑しいし。このアグリー姉妹、前回の都さんのときはちょっと悪のりしすぎ感があったんですが、キャストの替わった今回の公演では悪目立ちしすぎることなく(それでも目立って笑いをとるのですが)良かったです。それから今日はお父さんがちょっと格好良かった。
第2幕で3つのオレンジへの恋の音楽が引用されるのですが、そのときのお皿の上には大中小の3つのオレンジでニヤリ。

今回キャストが急遽替わって、夏の妖精にユフイ・チェさん、冬の妖精にコバヤシ・ヒカルさんが出ていました。日本人(チェさんは韓国系だけど日本生まれなのでわたしの中では日本人仲間です)の方が出るとどうしても注目してしまいます。お二人とも(特にヒカルさんは、開演前のアナウンスでの告知だったのでかなり急だったでしょう)急な代役だったのにしっかり踊ってらっしゃったのはさすがです。どちらもこれからが正念場だと思うので頑張って欲しいです!(次の昇格はプリンシパルなので) それにしても、アシュトンの演出って、細かな足技とか手とかさりげなく結構難しいことやってるんですね。今日は近くで観られたので、たくさん発見がありました。

おっと、もうひとり大事な人を忘れるところでした。道化師を踊ったクラ・ケンタさん。ご本人が西遊記を見て役作りをした(?)とおっしゃるとおり、弾けてました。ステキでした。観ていて楽しく生き生きと踊っていらっしゃるのがほんと良かったです。この役、物語には全然関係ないんですが、とっても重要なんですよ。場を盛り上げるキーパーソンで、第2幕の進行役とさえ言えるくらい。クラさんの踊りは自由(絶対顔で遊んでたと思います)で観ているわたしにも楽しさや元気を分けてくれるみたいです。これからもなまら頑張って欲しいです。

終演後の舞台 目立っているのは
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アグリー姉妹
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ここにもしっかり
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四季の精と王子の友達、左から2番目がチェさん、4番目がヒカルさん、その後ろにヒラノ・リョーイチさん
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道化のクラさん 孫悟空みたい?
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ヌニェスさんと王子のティアゴ・ソアレスさん
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by zerbinetta | 2010-04-29 03:00 | バレエ | Comments(0)

よっ団十郎!   

prokofiev: symphony-conerto
myaskovsky: symphony no. 6
danjulo ishizaka (vc), vladimir jurowski / lp choir, lpo @royal festival hall


今日はユロフスキさんの指揮、ロンドン・フィル、イシザカ・ダンジュウロウさんのチェロでプロコフィエフのシンフォニア・コンチェルタンテとロンドン・フィル合唱団を加えてのミャスコフスキーの交響曲第6番。ミャスコフスキーはプロコフィエフと同級生、交響曲を27曲も書いたんですよ〜。でも、聴くのは録音を含めて今日が初めてどんな曲なんでしょう。わくわく。

日本人より日本人らしい、よっ団十郎って歌舞伎役者を呼ぶように叫びたくなる名前のイシザカ・ダンジュウロウさんは実は、ドイツの方だったんですね。日本人の父、ドイツ人の母親の元、ドイツ生まれドイツ育ちなので、日本人というよりむしろドイツ人。風貌は遠くから見ると日本人に見えるんですけど、近くで見ると確かに外国人の血が流れてるかなって見える。まっそんなことどうでもいいんですけどね。
演奏は出だしからえっ!ってびっくりしました。颯爽としてかっこいい。この音楽ってこんなにかっこよかったっけ? わたしのイメジでは、ロミオとジュリエットにも出てくる明滅する音階のメロディの不安に満ちた憂鬱な感じが強かったんですが、これは間違いでした。そもそも、このメロディちょっとしか出てこないし、チェロで力強く弾かれるのでロミオとジュリエットのとは全然違うし。ダンジュウロウさんのチェロはきゅうっと絞り出すような音で、音楽はとってもスマートでかっこいいのです。ともすれば朴訥な雰囲気のあるチェロだけど、ダンジュウロウさんのは洗練されてて都会的。速弾きなんかめちゃ格好良くて、惚れちゃいそう。ものすごくテクニシャン。ユロフスキさんの晴天の空を滑るような演奏と相まって、とっても分かりやすい、若々しいプロコフィエフでした。ダンジュウロウさん、まだ30歳を少し過ぎたばかりなんですね。将来がうんと楽しみです。事故は最後の楽章の真ん中辺で起こりました。(多分)弦が切れちゃったんです。演奏はそこでいったん中止。ダンジュウロウさんがステージを降りてる間に、ユロフスキさんとオーケストラの人たちはちょっぴりお話。わたしたちも大丈夫かしらなんて密やかに話ながら待ちました。ステージに戻ってきたダンジュウロウさんとユロフスキさんがどこからやり直そうかスコアを見ながら話し合って(なかなか決まりませんでした)、ちょっと戻ったオーケストラの間奏から再出発。いったん音楽が途切れたので、集中切らさないかなってちょっぴり心配しましたが、そんなことは全くなく、見事にステキなプロコフィエフを弾ききったのです。ブラヴォー、ダンジュウロウさん、ユロフスキさんとオーケストラ。

そうそう、今日の音楽会には内田光子さんが聴きにいらしていました。内田さんはときどき音楽会でお見かけします。音楽を聴くのもお好きな方なんですね。ダンジュウロウさんとはお知り合いみたいで休憩の後はダンジュウロウさんと一緒にミャスコフスキーを聴いてらっしゃいましたよ。

さてそのミャスコフスキー、初めてです。結構大きなオーケストラに合唱付き。と思ったんですが、合唱団がいない。おややと思ううちに音楽は始まりました。第1楽章は始めはなんだかよく分からない感じで聴き進みました。マーラー的な世紀末の雰囲気というか、スクリャービンの後期の交響曲の雰囲気みたいな感じというか、そして、ずいぶんと長い。巨大。ソナタ形式で書かれているようだけど、部分部分がとっても巨大で地図を見ながら道に迷ったみたい。でも、慣れてくると、よく分からないまでも音楽の持つ力強さ、巨大なパワーが感じられるようになって、この音楽の魅力が少しずつ分かるようになってきました。1回では良く理解できないけど繰り返し聞くことで分かってくるに違いない、また聴いてみたいと思わせるような魅力。なんかきっちり構成しているような、でもスケルツォなんてはちゃめちゃな構成で華やかな音楽だと油断してたら怒りの日のメロディが出てきて沈潜したり、最後は親しみやすいフォークソングのような音楽が出てきたり(フランスの革命歌なんですね)、歌は半舞台裏で聖歌のようなのを歌うんですが、憂鬱な感じだったり。世界を全部交響曲の中に閉じこめようとしたのはマーラーと考えが似ているのかも知れません。
初めて聴くくせになんだと言われそうですが、演奏がとっても良かったのです。非常に分かりやすかったし、巨大でまとまりのなさそうな音楽を、しっかり構成してまとめ上げていました。オーケストラもとっても上手で特に弦楽器がロンドン・フィルって上手いよねって再確認できるような音でした。今日はほんとのロンドン・フィルのリーダーがリーダーだったからでしょうか。

5月5日から(日本時間だと6日かな)いつものBBCラジオ3で放送があるので、音楽が途中で止まったとことか珍しいので、じゃなかったとってもステキな演奏だったのでぜひ聴いてみてくださいね。

日本人と言ってもいいよね、ダンジュウロウさん
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演奏後は困憊してるユロフスキさん、左側はロンドン・フィルのリーダー、ピーター・ショーマンさん
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by zerbinetta | 2010-04-28 08:57 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(2)

だ〜い好き   

monteverdi: vespers
robert howarth / choir of the enlightenment, oae @royal festival hall


わたしの一番大好きな曲は、実はいつも今聴いている音楽が一番って思っちゃうので上手に決められないんだけど、でも、聞かれたら答えちゃうのはモンテヴェルディの「ヴェスプロ(聖母マリアの夕べの祈り)」なんです。無人島に持っていきたい1枚もこれ。とは言え無人島にはあまり行きたくないんですが。だって想像するに、お店もないわけだし、日がな一日食料探ししてなきゃいけなくって、バナナ以外の果物がたくさんなってて、磯にはアワビやサザエ、ムール貝やカメノテにウニなんかがわんさかいて、鯛やヒラメが簡単に釣れるようだったらいいんだけど、そんな都合よく行くわけないしね。とか脱線。で、モンテヴェルディなんてなかなか演ってくれないので、ヴェスプロがあったら迷わずチケット取っちゃう。今まで同じ演奏で3回しか聴いたことないんです。だからOAEで演るのを見つけたとき狂喜乱舞してチケット取りましたよ。なんか今年はヴェスプロの当たり年みたいで、シティ・オブ・ロンドンでもHMSCが聖ポール寺院で演るのはチケット取っちゃったし、プロムスでガーディナーさんがモンテヴェルディ合唱団と演るのもチケット取る予定。1年に3回違う演奏で聴けるなんてむちゃ幸せ。特に教会で演るのは響きがとっても楽しみ。ってふと気がついたら今年ってヴェスプロ出版からちょうど400年じゃないですか。マーラーやショパンばっかりやってるんじゃないデスよ。シューマンもよろしく。

モンテヴェルディの時代の音楽は、近代の音楽のように完全に楽譜に書かれているわけではないので(作曲家と演奏者は不可分な関係にあったので、わざわざ細かく書かなくても正しく演奏できたんです)、リアライズする人によって違った音楽になります。今回のリアライゼイションは指揮とオルガンで大忙しだった(両手がふさがってるときは頭で指揮してました)ロバート・ハワースさんで、特徴は小編成、ハイピッチ。現在よりも半音くらい高いピッチです。曲によっては移調しているそうです。歌は最低10人でできるんだけど、今回は20人。少人数だけど合唱パートで各パートを複数で歌えるので厚みがあって良かったです(実はわたしは、この華やかな曲は大編成の方が好みです)。伴奏は控え目。ときどき聞いたことのない装飾が聞かれたので面白かったです。ニグラ・スムは独唱とキタローネ1本でした。

始まりはオルガンが聴いたことのないメロディを弾き始めてびっくりしました。違う曲が始まったのかなと。もちろんそのあと、例のゴンザーガ公のファンファーレが始まってほっ。これが好きなのよね。そこからはぐいぐいヴェスプロの世界。うっとり。歌のソロはCDのようにソリストを揃えているわけではないので、ソリスティックではいけれども十分でした。わたしの心は400年前のヴェネチアに飛んでいったみたい。ヴェネチアはカラフルで大好きな町です。モンテヴェルディの音楽も、ルネッサンスとモノディ(モンテヴェルディ自身も創始者のひとり)の激しい混合体。音楽史上最も大きな分水嶺で新旧両方で極めたモンテヴェルディはもっと評価されても良いと思うんですが(ってかわたしはモンテヴェルディこそ音楽史的に最大の作曲家だと思ってる)、なかなか一般には聞かれないのは近代の派手なオーケストラじゃないから? でも今日は小さなクィーン・エリザベス・ホールとは言えチケットは完売。満員でした。

アヴェ・マリス・ステラのあとに聴き慣れないアヴェ・マリアやマグニフィカトのあとにヴァイオリンのソナタが挿入されたり、いくつかわたしの知らない音楽が挿入されていました。そして、最後はグレゴリオ聖歌の応唱で静かに、本当に静かに音楽を閉じてとってもステキなときを過ごしました。やっぱりこの曲大好きです。わたしの一番。
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by zerbinetta | 2010-04-27 09:07 | 啓蒙時代管弦楽団 | Comments(0)

ピリオド・スタイル聴衆   

昨今、こんなにピリオド・スタイルの演奏が一般化してきて、お客さんも好みに応じて楽しめるようになってきたのに、勉強してるのは演奏者の方だけってちょっと不公平じゃない? 聴く側のわたしたちもピリオド・スタイルで音楽会を楽しむのもありじゃないかしらと。って言っても演奏者が仮装しないように(もちろん当時の衣装やカツラを着けて演奏する団体もあるけれど)、わたしたちもそこまではしなくていいでしょう(でもしたら楽しそう!)。ただ、音楽が書かれた当時のスタイルで演奏するのならば、音楽が書かれた当時のスタイルで聴くのもありじゃない? 交響曲や協奏曲だったら楽章の間にも拍手、クールなメロディが出てきたら思わず声を上げて拍手。だって当時の音楽はそんな拍手を見越して書かれているんだもん(モーツァルトの手紙参照)。クラシック音楽だってあまり堅苦しく考えないで、もっと楽しんで聴こうよ、ってときどき思います。わたしは、うわっ!とかすごいっ!とか声にならない叫びをいつもあげてます。ってか、やるなって思ったらにたにた笑ってたり、泣いたり、頭をちょっぴり振ったり、端から見たら変な人だなぁって思われるかもね。USではそれがわりと普通だったんですが。
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by zerbinetta | 2010-04-27 07:19 | Comments(0)

プロムス   

今日はロンドン・シンフォニーの音楽会があったのですが、無性に疲れていたためパス。指揮者のアンドレ・プレヴィンさんがキャンセルになって、まあそれはいいのですが、曲目も変更になって聴きたかったアルプス交響曲がなくなってしまったので、モチヴェイション下がってしまったんです。その代わり家でのんびりお風呂に浸かって本を読み始めたら程なくして爆睡。幸い家のバスタブは小さくて浅いので、溺れることはありません。

木曜日にこの夏のプロムスのプログラムが発表になりました。わたし的に注目はモンテヴェルディ合唱団のヴェスプロ、それからラトルさんとOAEによるトリスタンとイゾルデの第2幕でしょうか。わたし的には夏は音楽会シーズンではないのであまり積極的には行かないと思うのですよ(去年はリサイタルひとつに行っただけです)。行くなら当日券のバルコニー狙い(5ポンド)で、寝そべりながら聴こうかと。なんて思いつつ、プロムスのサイトに行って、ふむふむ、今年はプラナーなんて便利な機能が付いたのか、とか見てたら、ありゃ、ビエロフラーヴェクさんとBBCシンフォニーでマーラーの8番! 何とか言ってるうちに、次から次へウィッシング・リストへ入れてるではないですか、わたし。何やってるんだろう? 実際に売り出されるのは5月3日なので買わなければいいんですが、それにしても。。。夏は歯医者に行きに日本に帰ろうかなって思ってるので予定が立たないんです。ああでもチケット買っちゃいそうで怖いぞ、わたし。名物のラスト・ナイトは1度は行ってみたいし(人気なので当日券を買うのは難しそう。シーズンのチケットを5枚以上買うと優先予約ができます)。とか思ってたら、プロムスのラストナイトの日って、もしかするとわたしミーティングでカナダに行ってる日じゃん。ありゃりゃ。
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by zerbinetta | 2010-04-26 07:18 | Comments(8)

本当に感動しました さよなら都さん   

prokofiev: cinderella
miyako yoshida (cinderella), steven mcrae (the prince),
luke heydon, wayne sleep (cinderella's step sisters)
christopher saunders (cinderella's father),
laura morera (fairy godmother), etc.
frederick ashton (choreography)
pavel sorokin / royal ballet @covent garden


長年ロイヤル・バレエでプリンシパルとして活躍してきた(最近は退団してゲスト・プリンシパルです)吉田都さんのロイヤル・バレエ、ロンドンでの最終公演です。演目はプロコフィエフのシンデレラ。彼女は2回踊ったんですが、今日は彼女の最終日。ぜひ行かなきゃと思って、チケット取ってずうっと楽しみにしていたんです。ロイヤル・バレエで彼女を見るのは2度目。前回はオンディーヌでした。そして彼女の踊りの美しさ、感情の細やかさ、技術の高さに圧倒されたんです。でも彼女のシグニチャー・ロールの胡桃の砂糖の精は日程の都合で観てなかったので(暮れの公演がロイヤルでの彼女のこの演目での最後だと知っていたら万難を排して観に行ったのに)、絶対観なきゃと張り切っていました。なのに仕事がおわらな〜〜い、なんて叫びつつ、焦って仕事を切り上げてしっかり観てきました。スマソ仕事。今日は日本人多かったですね〜〜。さすが都さんの最終公演。そして、日本人以上にイギリス人にも彼女がとっても高く評価されているのが、ものすごく嬉しいです。

シンデレラは他の人の踊りでまた観る予定なので、今日はバレエのことではなく、都さんのことばかり書きますね。といっても、興奮してあまりちゃんと言葉にできないんです。始まりのシーンの炉端に座っているところから存在感があって、なんといっても動きがきれい。柔らかくて繊細で、足先から手の指先まで全ての細胞に神経が行き届いている感じ。これってものすごく意識的にコントロールされていると思うんだけど、それが全く自然体でできているのには驚かされます。そして動きの中の一瞬一瞬の決めのポーズが完全に止まっていてぶれない。わたしは踊りのことは全く分からないんですけど、そんな素人のわたしにさえ圧倒的な技術の高さが分かります。でも、そんなことは正直どうでも良い。都さんのシンデレラは正当なバレエの中で動きの美しさは目覚ましいものだけど、もっと大事なことは、彼女がシンデレラになりきって踊っていること。かわいらしかったりおきゃんだったり、夢を見たり、そんな現実の少女が舞台の上にいる。限られた時間、限られた動きの中で、シンデレラの人そのものが背景や心の動きを含めて手に取るように顕れてしまう。その表現力の豊かさは、どんなに言葉を尽くしても語りきれるものではないものです。安易に核心を突いていうと観れば分かる、です。それにしても都さんのシンデレラ、かわいらしくってステキでした。
都さんはこの最後の公演をどんな気持ちで踊ったのでしょう。プロ中のプロですからいつものようにシンデレラになりきって踊っていたと思うのだけど、何か感慨みたいなのは途中で感じないのかな。わたしにはカッティング・エッジで身を削るような仕事をしている人の気持ちは想像すらできないけど、でも、都さんがこの公演を特別な気持ちで踊っていたような気がします。都さんから尋常でない気持ちがひしひしと伝わってきた感じがするし、他の出演者の人たちも都さんを盛り立てていたような感じがしたんです。もちろんわたしの中で今日が都さんの最後という意識があって勝手にそう思ったのかも知れません。でもそうだとしたら、尋常でない気持ちが伝わってくる都さんの踊りっていつも凄いんですね。
世界のバレエ団の中でトップ・レベルにあるひとつのロイヤル・バレエで東洋人としてプリンシパルを10年以上続けてこられたことは、ものすごく凄いことだと思うんです。並外れた努力と精神力が必要だったに違いありません。そして結果、ロンドンのバレエ愛好家の心を見事に捉えてらっしゃる。それをわたしたちは最後の温かく大きな拍手で表現しました。実はこのシーンが一番感動しました。みんなが心から都さんを祝福して、(ロイヤルからの)引退を惜しんでる。たくさんの花束が都さんに届けられ、会場からも用意していた花が投げられる(退団するダンサーに対するロイヤル・バレエのお客さんの慣習だそうです)。充実した笑顔で幸せそうな都さん。なんてステキなんでしょう。最後は拍手が鳴りやまず、カーテンコールに引き戻されました。それから、会場のお客さんが大方出られたあと、舞台の幕の後ろで拍手がありました。バレエ団の方たちの祝福ですね。わたしも幸せに包まれながらちょっぴり涙目で会場を後にしました。

都さん以外のこともちょっとだけ。今日は日本人の方が他に3人出てらっしゃいました。王子の友達にヒラノ・リョウイチさん。夏の妖精にコバヤシ・ヒカルさん、秋の妖精にタカダ・アカネさん。中で、アカネさんがとっても良かったです。正直こんなに踊れる方だとは思ってなかった。とっても体が切れていました。日本人の方には特に、都さんに続いて頑張って欲しいと思います。若いプリンシパルのスティーヴン・マックレーさんも都さんを立てるように踊っていて、代役だったんですけど、ステキなペアだと思いました。あと今日の公演でわたしの目を引いた人は、シンデレラの姉妹役のリューク・ヘイドンさんとウェイネ・スリープさん。道化のポール・ケイさんです。

今日のカーテンコールのときはたくさんのフラッシュが焚かれ写真が撮られてました。会場内での写真撮影はほんとは禁止で、幕間に開場で記念撮影をしていると時折注意されたりするんですけど、今日は大目に見られてたみたいです。わたしもたくさん写真を撮っちゃいました。

終演後すぐのカーテンコール
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都さんに花束が渡されます
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客席から投げられた花でステージはいっぱい
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道化のケイさん
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マックレーさんと都さん
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観客にお別れする都さん
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カーテンコールに呼び戻されるマックレーさんと都さん
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幸せそうな都さん
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by zerbinetta | 2010-04-23 09:10 | バレエ | Comments(4)

答えられた質問   

ives: unanswered question
bernstein: the age of anxiety, symphony no. 2
shostakovich: symphony no. 5
nicolas hodges (pf), marin alsop / lpo @royal festival hall


今シーズンのサウスバンク・センターでは、マリン・オルソップさんがプロジェクト監督になってバーンスタイン・プロジェクトというのをやっています。音楽会は8回。バーンスタインの音楽ばかりが演奏されるというわけではなく、バーンスタインに縁のある音楽、例えばベートーヴェンやモーツァルト、コープランドなんかの作品も採り上げられています。もう何回かの音楽会は終わっているのですが、わたしが聴くのは今日が初めて。オルソップさんの指揮でバーンスタインの「不安の時代」とショスタコーヴィチの交響曲第5番が演奏されます。会場に着くと、ホールの入り口の外にたくさんの譜面台が。あれ?舞台裏での演奏がある曲あったっけ?と訝しがりながらプログラムを見ると、始まりはアイヴスの「答えのない質問」。おおお、なんという粋なプログラムなんでしょう。「答えのない質問」といったら、バーンスタインの有名な著書のタイトルですから。そして今日の音楽会のテーマはそのひとつの答え。だと思いました。

「答えのない質問」は舞台に4本のフルート、舞台袖にトランペットのソロ、会場の外に弦楽合奏の配置です。トランペットの孤独な質問に誰も答えない音楽。わたしたちは実際多くの答えられない質問を抱えています。幸せってなに?どうして生きているのだろう?わたしは誰? 音楽が胸に突き刺さってくるようです。今まで何回かこの曲は聴きましたが、こんなにストレートな感情になったのは初めて。いったいわたしに何があったんでしょう。

そして答えのない質問は不安の時代に引き継がれます。答えが見つけられないことによる不安。まさにわたしたちの時代。この音楽を生で聴くのは初めて。でもとっても大好きな曲なんです。バーンスタインはこの曲や交響曲第1番「エレミア」、チチェスター詩篇、ピアノのための作品がほんとに大好きで、学生時代よく聴いていました。なので、今日の音楽会とっても楽しみにしていたのです。クラリネットの独白のような孤独な対話から始まって、ああこれだ〜って長年会ってない旧友に会う感じ。この曲、聴くの10数年ぶりだものね。そしてピアノが静かに入ってくるともうダメ。心はとろとろ。ニコラス・ホジェスさんのピアノも心憎いばかりにステキな音色。バーンスタインのピアノってほんと大好きなんです。彼のピアノ独奏曲全集っていうCDを持っていて、ひとつひとつは短いスケッチのような音楽なんですけど、交響曲で使われるメロディが出てきたり、彼の音楽のとろけるような倦怠感がもうたまらないんです。そして同じことは「不安の時代」にも言えるの。多分わたしはバーンスタインの持ってる和声や音の配列の感覚に共振しちゃうんでしょう。ツボにはまっちゃうというか。だから不安の時代というより心溶かされる幸せな、でも、消えていく刹那。ノスタルジー。オルソップさんの演奏はCDで聴いてたバーンスタインの自作自演とは違うけれども、とてもステキな音楽。バーンスタインの音楽っていいんだわ。

そして答えはなんとタコ。これがもうどんな答えになるのかドキドキわくわく。だってタコですよ。しかも交響曲第5番。もちろんバーンスタインも得意としていた曲。そしてこの曲の答えが一筋縄でいかないことはタコ・ファンには周知の事実。勝利の音楽に見えて実は’証言’以降は’強制された勝利’だとか、’証言’が当てにならないことが分かると、勝利への皮肉とか様々な解釈が可能。タコの音楽自身が謎めいてる。音楽はこんなにも明快なのに。それを最後に持ってくるなんてオルソップさん、なかなかやるぅ。そして彼女はどんな答えを出したんでしょう。
それは純粋に音楽の力。音楽の裏に意味ありげに張り付いているまことしやかな不純物を取り除いて、作曲者が書いた楽譜の音だけを使って純粋に音楽を創った演奏。タコが汎用した引用や象徴は意味ありげに見えて実は作曲者のいたずらかも知れない、本当はなにも背景を持っていない音なのかも知れない、なんてことだって誰が否定できましょう。ちゃんと重厚なのに、明るい音色で深刻になりすぎない音楽。こんなに開放的でなんだかタコらしくないなんて最初思ったけど、音楽の力はそんな思いを軽く超えていたのね。わたしたちはついつい頭で考えた意味づけをしちゃうけど、それは間違いかも知れないって気をつけていなければ。もちろんそれを正しく音楽にすることもできるんですけど。第2楽章のスケルツォの中間がかわいくて良かったな〜。ヴァイオリンのソロ、今日もゲスト・リーダーのナタリア・ロメイコさんが弾いたんですけど、こんなにかわいく弾けるのかって。皮肉のないタコ、これもとってもいいですよん。
最終楽章なんかは、びっくりのゆっくりテンポで始まったんですけど、だからといって暗くなく、むしろ爽やか、そしていつテンポを上げるかなって思ってもなかなか焦らして速くならない、気がつかないように少しずつあげて中間部は普通のテンポで。最後もゆっくりから始まって、トランペットとトロンボーンにテーマが回帰するところからテンポアップ。爽やかに希望に満ちて華々しく音楽は終わったのでした。カルメンとか、大太鼓とかDSCHとか、あっこれはこの曲には出てこないか、そんなこと考えないですっきりできた異色のタコでした。未来に希望がある、というのは力ずくでも信じるに足る、というか信じなければいけないのです!

ちょっとだけ、追記。
演奏はとっても良かったのですが、オルソップさんの要求(かなり細かくテンポを変えていました)にオーケストラがついて行ってないところがときどき聴かれました。もしかして、オルソップさんをなめて見てるのかな、なんて頭によぎりました。でもお客さんの反応は素直にオルソップさんの音楽に暖かいものでした。とっても好意的に受け取られていたと思うし、わたしもとっても良かったと思いました。
それでふと思い出したのが、オルソップさんがボルティモア・シンフォニーの主席指揮者に内定したとき、オーケストラから反発があって、「我々はこの決定を認めていない」という異例の声明が出されたことです。USのメジャー・オーケストラの中で初めての女性主席指揮者であったことが原因かも知れません。ニューヨーク・フィルとかを振っていた経験はあるけど、まだそんなに名の知れた指揮者ではない、ということだったのかも知れません。でも、その後は上手くいってるみたいで、彼女の契約は2015年まで延ばすという発表が最近あったとのことです。オルソップさんの活躍を心から望むものです。

今日のリーダーはナタリア・ロメイコさん。後ろのヴァイオリンの人、ムーティさん似
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オルソップさんのファッション・ポイントは袖口の赤
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by zerbinetta | 2010-04-21 09:44 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

メン喰いなのに3枚目好き   

ferdinand hérold (arr. john lanchebery): la fille mal gardée
alastair marriott (simone), helen crawford (lise),
ivan putrov (calas), paul kay (alain)
frederick ashton (choreography)
daniel capps / royal ballet @covent garden


フレデリック・アシュトン版の「リーズの結婚」を観に行きました。もともとのオリジナルはクラシック・バレエの中でも最も古い作品のひとつだそうで、アシュトン版はエロルドの音楽をランチェベリーが編曲したものに基づいているそうです。コミカルなラヴ・ストーリー。話の筋は簡単で、プログラムのあらすじを読まなくてもよく分かります。そして、鶏が踊ったりとっても楽しい。衣装もカラフルなパステルカラーでステキ。とても親しまれているバレエというのも納得できます。

今日はまず音楽の演奏が良かった。バレエ用に作られた音楽なのでかゆいところに手が届くように踊りやすそうな音楽が出てくる。そして今日の演奏はとっても良かったのです。バレエの伴奏は踊りに合わせてるので音楽的には手抜きに感じることが多々あるのだけど、今日はそれをちっとも感じさせずに音楽がステキに鳴っていたのです。指揮者は若いダニエル・キャップスさん。ロイヤル・バレエで活躍しているみたいだけど、ぜひぜひ、コンサートやオペラでも聴いたみたいです。もちろんバレエ専門の指揮者としても活躍もありだと思います。
今日の主役はリーズにファースト・ソロイストになったばかりのヘレン・クロウフォードさん、お相手にプリンシパルのイヴァン・ピュトロフさんです。本当はサラ・ラムさんがクレジットされていたのだけど、クロウフォードさんに変更です。ファースト・ソロイストなのでユフイ・チェさんの好敵手かなと思ったのですが、むしろコバヤシ・ヒカルさんと同期昇格なんですね。そのクロウフォードさん、ちょっとかたかったかなって感じました。まだ全てが表現し切れてない感じで余裕がなさげでした。プリンシパルへの道は険しいと思いますが、ぜひぜひ良いダンサーになって欲しいです。一方のピュトロフさんの方はしっかりした踊りでさすが美しかったです。バレエってどうしても女の人の方が華があるので目が行っちゃうけど(女の人を立てるように踊ってるしね)、男の人の方が高さもスピードもあって好きです。

でもそのふたりにも増して目を惹いたのが、リーズのお母さん役のマリオットさん、リーズが無理矢理結婚させられそうになるワイン農家の息子アライン役のケイさんです。マリオットさんは男性ですよ。男性が女性の役を踊っているんです。それがとっても楽しくって。しかも上手い。彼、プリンシパル・キャラクター・アーティストなんですね。やっぱり。そして、ケイさんはソロイストだけど、とっても上手いと思った。道化役なので笑わせる踊りを踊るんだけど、バランスが良くって、踊りもとってもしっかりしてる。この人、残念なことに背が低いのでもしかするとプリンシパルは難しいのかも知れないけど、キャラクター・アーティストとしてやっていけるんじゃないかなぁ。この人にはぜひ活躍して欲しいです。で、わたしは今回この人の役に感情移入しちゃったのです。だって彼ステキだったから。役柄としては、リーズには好きな人がいるのに親が結婚させたがってるお金持ちのぼんぼんなんだけど、とっても純情で、リーズに一目惚れ。結局はリーズは恋人と上手くいくことになるので彼は振られちゃうんだけど、お話としてはハッピーエンドだけど、彼に感情移入しているわたしには悲劇。最後彼がひとり出てきて踊ったので救われたんだけどね。

クロウフォードさん、ケイさん
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マリオットさん、男性です
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クロウフォードさんとピュトロフさん
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by zerbinetta | 2010-04-20 09:26 | バレエ | Comments(0)

ただいま放送中   

いつものBBCラジオ3でオンデマンドで聴けます。

ソリストが代わっててびっくりした アンドリュー・デイヴィスさん指揮のBBCシンフォニー もうすぐお終いです。

指揮者がプロフィールの写真と別人でびっくりした イラン・ヴォルコフさん指揮、OAE、その他のベートーヴェン第9

期間限定なのでお早めにどうぞ。

もうすぐ放送

水曜日(日本時間)から
マルティヌーの交響曲で最高傑作かも知れない イルジ・ビエロフラーヴィクさん指揮のBBCシンフォニー

木曜日(日本時間)から
上の音楽会と同日でわたしは聴けなかった アルソップさん指揮のロンドン・フィル グレツキは新作の交響曲第4番ではなくて第3番が演奏されてのですね。間に合わなかったのかな。
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by zerbinetta | 2010-04-20 05:09 | Comments(0)

うぎゃんショックぅ いやんぼるけーノー   

今日はアリーナのキアロスクーロ・カルテットの日だったんです。忘れないように(前売りなしの当日券だけなので)カレンダーに丸を付けて心待ちにしていたのに、会場に行ってみたら、他の人に変わってた。アイスランドの火山のせいでアリーナたちロンドンに帰ってこられなかったらしい。ぽかぽか陽気でせっかく春らしくちょっぴりひらひらでおめかししてみたのに残念。替わりのを聴こうかとも思ったけど、ここは仕事をしなくっちゃと意を決して帰ってきました。あああ虚しい。火山の噴火なんて桜島なら毎日よなぁんてお気楽にわたしには関係ないと思ってたら、こんなとこで影響が出るとは。おほほん。他の音楽会にも響かなきゃいいけど。早く噴火おさまって欲しいな。島国はつらいね〜。
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by zerbinetta | 2010-04-18 06:20 | Comments(1)