<   2010年 07月 ( 18 )   > この月の画像一覧   

今シーズン最後の音楽会は   

berio: recital I
susan bickley (the singer), john constable (the accompanist),
nina kate (the dresser)

george benjamin: into the little hill
claire booth (sp), susan bickley (ms)

john fulljames (dir),
frank ollu / london sinfonietta @linbury studio theatre, roh


今シーズン最後の音楽会はロイヤル・オペラ・ハウスでオペラでした。といってもいつものメイン・オーディトリウムではなくて、地下に下りていく小さなリンブリー・ストゥディオです。今日は、ベリオとジョージ・ベンジャミンさんの短い作品の2本立て。実はずっと勘違いしてて、リゲティのオペラだと思ってたんですが、ベリオでした。ベリオはわたしのアイドルのひとりなのに、勘違いするなんて失礼ですよね。

リンブリー・ストゥディオに来るのは3度目。400席ほどの小さなスペースで普通にしてても舞台と客席は近いのですが、今日は舞台の手前にあるオーケストラ・ピットをつぶして舞台にしていたので(オーケストラはカーテンで仕切った舞台の後ろ側で演奏)、なおさら舞台が近いです。現代曲が2つなので会場は8割方の入り。会場に入ると舞台では、女の人が掃除していました。お客さんがみんな席に着く前から舞台は始まっているんですね。最初のオペラはベリオのリサイタルIです。リサイタルが始まる前の歌手の舞台裏を描いた作品です。といっても歌手の絶望的な世界観の哲学的なひとり語りなんですけどね。舞台に立つのは、その歌手と彼女の伴奏のピアニスト、それからさっき掃除をしていた衣装係の3人です。その他、オーケストラの人が、カーテンの後ろから出てきて舞台で楽器を演奏したり。歌は、モンテヴェルディからカントゥルーブ、現代曲もあったかな、まで、彼女のレパートリーを部分部分歌います。その他の部分はほぼ語り。歌の歌詞と語りの部分は相関をなしています。歌に対して、カーテンの後ろの小さなオーケストラは、伴奏を付けたり、コラージュしたり。そう、まるでベリオの代表作、シンフォニアの第3曲のよう。まさにベリオ。これがずいぶんとはまってます。ただ、語りが多いので、オペラを観たと言うよりはひとり芝居(舞台には他に2人の登場人物、ただしほぼ無言、がいるのですが)を観たようです。変わった作品でした。
歌手はスーザン・ビックレイさん、ピアノ伴奏者は今日のオーケストラ、ロンドン・シンフォニエッタのピアニスト、ジョン・コンステーブルさん、衣装係はモデルのニナ・ケイトさんでした。
c0055376_891392.jpg


休憩の後は、イギリスの作曲家ベンジャミンさんの小さな丘へ。ハーメルンの笛吹の現代版です。こちらも出てくるのは少人数、ソプラノのクレア・ブースさんとさっきも歌ったメゾ・ソプラノのビックレイさんだけです。ブースさんがクレジットされてるのを見て、ちょっと嬉しかった。彼女は前に聴いてとってもステキだって思ったから。ベンジャミンさんの作品は多分初めて聴いたんだけど、うんと良かった。また聴きたいと思ったもの。今年50歳なのね。これからもっと円熟していくんでしょうか。現代オペラは、声の扱いがとっても難しくて(メロディが否定されてるので)、いつも何か解決策はないかしらと思ってしまうんだけど、今日のオペラは2つとも、全く別々の方法で道しるべを付けているような気がしました。オーケストラもロンドン・シンフォニエッタで現代作品ばかり演奏している団体なので手慣れたもの。リンブリー・ストゥディオは前に聴いたバロック・オペラといい、掘り出し物のステキなオペラが観られる穴場ではないでしょうか(っていうか小さな会場でのバロック・オペラと現代オペラはまさにわたしのツボ)。

ブースさん(妊婦さん?)、作曲者のベンジャミンさん、指揮者のフランク・オルさん、ビックレイさん
c0055376_895996.jpg



.
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-23 08:06 | オペラ | Comments(0)

音楽会の服装   

って、この前書いてたじゃない。忘れたの? また書くの? って思ってくれた熱心な読者の皆様どうもありがとう。でも、ノンノン。音楽会に集うのはわたしたち聴き手だけじゃありません。舞台の上には音楽家がいるじゃないですか。今日は音楽家さんたちの服装の話です。
オーケストラやオペラのピットの人たちの服装は、基本的には夜の音楽会では正装の燕尾服です。燕尾服ってタキシード(イギリスではディナー・ジャケット)とは違うんですよ。一目で分かる違いはネクタイの色です。蝶ネクタイ(細かいことをいえばこれもちょっと違う)だけど、燕尾服は白、タキシードでは黒と決まっているのです。オーケストラの人はホワイト・タイなので燕尾服というわけです。燕尾服は夜の礼装なのでマチネの音楽会では背広になります。これがだいたいのとこなんですけど、オーケストラによっても多少変わってきます。BBCシンフォニーは夜の音楽会でも背広、そして黒のシャツです。OAEも同じですね。そういえばプロムスの初夜では白の背広でしたね。変わったところでは、ロイヤル・オペラのサロメ、オーケストラの人は白と黒のジャケットを交互に着てました。これも演出の一部なんでしょうか。女性の方は、黒のドレスで、でも男性と違って形はそんなに決まっていません。パンツの人もいればスカートの人もいます。

それよりも問題にしたいのは指揮者! 正装は燕尾服ですから燕尾服がいいと思うんですけど。まあほとんどの方が燕尾服を着るんですが(女性指揮者の場合は燕尾服に似たデザインの黒のジャケットとかかな)、結構おしゃれなジャケットを羽織る方もいらっしゃいます。ユロフスキさんは学生服っぽいデザインの黒のジャケット。3つ釦をしっかり全部留めてます。ネゼ=セガンさんは、黒の背広のようなジャケットに、下は襟のない黒のTシャツみたいなシャツ。ヴァンスカさんも釦する系の黒のジャケット。ヘルビヒさんは黒のシャツ。って以上の指揮者、みんなロンドン・フィルを振ってる人じゃない。ロンドン・フィルの指揮者っておしゃれ度高め?

リサイタルや独唱者、独奏者さんは自由度高め。特に女の人のドレスは色彩豊か。艶やかな色のドレスも多いけど、基本的には単色系かな。一番すごかったのはサラ(・チャンさん)の金のしゃちほこドレスかな。ステージの上の人たちの衣装を観察するのも楽しいですよ〜〜。
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-23 08:02 | 随想 | Comments(0)

ごめんなさい   

先日お伝えしたBBCプロムスのネット放送。
どうやら、映像が視聴できるのはイギリス国内だけのようですね。早とちりしてごめんなさい。音声の方はいつものように1週間聴くことができるようです。
イギリス国外でどうしても観たい方。
わたしにはちんぷんかんぷんでちっともわからないし、イギリス国内にいるので確かめようもないのですが、ここのサイトに方法が書いてあります。ただし、わたしは全く責任が取れませんので、自分の判断で試してみてくださいね。
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-22 08:22 | Comments(0)

no music no problem   

わたしは、こうして音楽会日記なるものを書いてるのに、実は音楽を聴かない人に分類されると思うんです。まず第一に携帯オーディオ・プレイヤーというのを持っていない。というか持ったこともない、生きた化石みたいな人なんです。音の出るものは一切持って歩かないの。それはもう凄いポリシーがあるとかそんなわけではなく、別になくても不便でないし、欲しいとも思わないから持ってないだけ。携帯電話も持ったことないんですよ。なので、わたしが積極的に音楽を聴く機会は、音楽会に行くか、職場の机の上に置いてあるコンピューターにつないだヘッド・フォンでCDなんか(一応コンピューターに取り込んであるけど、これも積極的にしていないのであまりたくさんありません)を聴くか、家のリビングで小さなステレオで音楽を聴くかくらいです。寝室には音の出るものを置いてないので本を読んだり寝るだけです。職場のコンピューターもわたし、基本的にはデスク・ワークではないのであまり聴く機会は多くありません。ときどきペーパー・ワークをしながらまわりの会話を遮断するようにヘッド・フォンを着けてる感じです。しかも、音楽会に行く日は、なるべく耳を新鮮にしておきたいので、音楽は一切聴かないようにしています。豪華なディナーを食べに行くときにお昼ご飯を抜いてたらふく食べる作戦と同じでしょうか。まぁ、無駄なことであるとはうすうす感づいているんですけどね。
家でもそれほど音楽を聴きません。今も静かですよ〜。家にはテレビもないし、ラジオもなし。わたしのステレオにはチューナーも付いてるみたいなんですけど、アメリカで買ったものなので波長が合わないんでしょうか、ちっとも聞こえません。

ジャングルとかに遊びに行くときも、音楽を聴く道具は持っていきません。ってか持ってないので持って行きようがない。でも1週間も2週間もいてもちっとも音楽が恋しくならないんですね。だって、鳥の声とか虫の声、森の音があまりにもステキだから。

というわけでわたしは、典型的なno music no lifeの人ではないんです。<フォントでっかく>ただし</フォント>音楽を禁止されたら上手に生きていけないかもしれません。本人はあまり自覚ないんですけど、どうやらわたし、いつも鼻歌ふんふん歌ってるらしいです。これを止められたら、多分わたしは壊れたおもちゃのようにきこきことぎこちなく動くしかできなくなるでしょう。そう考えると
no music no lifeなのかな。音楽のない生活はやっぱり味気ない!
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-21 16:29 | 随想 | Comments(2)

ロンドンのコンサートならではの光景   

ロンドンの音楽会のお客さんの印象は、まず、大変お行儀がよい、です。もちろん、日本でのような静寂は聞かれませんが、概してお行儀がいいんです。静けさではUS(の多分都会)と同じくらいだけれども、例えば拍手の仕方がUSと違って非常に律儀でお行儀が良い。音楽が終わってからの拍手はたいてい指揮者が手を下ろしてから始まります(音楽会慣れしていないと思われるお客さんが多い音楽会だとそれは破られる)。USでは盛り上がって終わる曲は終わるやいなや拍手が始まるし、第1楽章が華々しく終わる協奏曲を若い人が弾くと盛大な拍手が楽章間でわき起こることが多いです。これがロンドンではあまりありません。実はこれ、わたしとしてはちょっと残念な点なんですけどね(多分、音楽会の習慣をUSで学んだため)。
オペラの場合も最後の音楽が鳴り終わってからの拍手です。USでは幕が下り始めると音楽がまだ鳴っていても拍手が始まるのが習慣でした。

さて、今日はそんなことを書こうと思ってたんじゃないんです。多分、ロンドン(もしかしてイギリス)の音楽会ならではの光景があります。それはなんでしょう? <突然クイズ
気を付けてみないと、というかみんな当たり前にやってるのでかえって気がつかなかったりするかもだけど。
(ヒント)演奏中でもしています

答えはこちら
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-19 06:39 | 随想 | Comments(0)

ロンドン 音楽会と言ったらアイスクリーム   

c0055376_702911.jpg

ロンドンの音楽会と言ったら何を隠そうアイスクリームなのです。ロンドンっ子はアイスクリーム好き。休憩の間は必ずアイスクリームです(ウソ)。ホールの中にもアイスクリームを昔の駅弁売りさんのように首から箱を提げてそこにアイスクリームを並べて。
じゃじゃーーん。そこで、各ホールでアイスクリームを食べ比べてみました! わたしはアイスクリームは大好きですけど、今まで音楽会で食べたことはありませんでした。2.5ポンド(250えん)もするのでもったいなくて。でも、ブログのネタのために身銭を切ってがんばりましたよ。偉いな〜わたし。自分で褒めずに誰が褒めるっ。

まずはサウスバンク・センター。ロイヤル・フェスティヴァル・ホールはminghella(写真右)。ストロベリー&クリームを選択。この他にはヴァニラ、ジンジャー&ハニー、スティッキー・トフィー、ミント・チョコ・チップ、チョコレイトがあります。ちなみに、スティッキー・トフィーってイギリスを代表するデザート(アイスクリームではありません)だけど、友達(日本人)は、このアイスおいしくなかったと言っておりました。

バービカン・センターはオーガニック強調です。september organicという会社(写真下)。比較のためにやっぱりストロベリーにしました。シンプリー・ストロベリー・オーガニック・アイスクリームと書いてあります。この他には(記憶が定かじゃないんだけど)、ヴァニラ、チョコレイト、ハニー&ジンジャー、バター・スコッチ・クランチがあったと思います。

ロイヤル・オペラ・ハウスはなんと! 自社ブランド。ここでしか食べられません。やっぱり食べたのはストロベリー&クリームです。他にはヴァニラやチョコレイト、マンゴー・ソルベなんてのもあったな。確か全部で7種類くらい。

プロムに行ったロイヤル・アルバート・ホールでもアイスクリームって思ったんだけど、ここはハーゲンダッツ。これはスーパーで簡単に手にはいるので食指は伸びず。ウィグモア・ホールとキングス・プレイスでは忘れちゃいました。とりあえず今のところ、すべて120mlの小さなカップで2.5ポンド。カップの蓋の裏に付いてる小さなスプーンでちまちま食べるんですが、大きな男の人たちもこうして食べてるのがちょっと可笑しい(老若男女問わず食べてます)。
肝心の味比べは。。。並べて食べてるわけじゃないので違いわから〜〜〜ん。それぞれみんなおいしかったですよ。
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-18 06:59 | 随想 | Comments(6)

ああわたしが豆粒みたい   

さて、昨日のプロム、さっそくBBCで視聴できますね。映像もしっかり。BBC太っ腹。プロムのいくつかはTVカメラが入るので映像でみられそう。また、多くは音声だけですけれどもラジオ3でオンデマンドで聴くことができます。
初夜はこちら。1週間ほど視聴できます。
ここ
観ていたら、昨日を思い出して涙目に。完璧な名演とまでは言いませんが、やっぱりあの場にいたことがわたしにとって一番の僥倖です。わたしも映ってるはずだけど、ってわたしですらここ、ここ、この辺ってよく観ても判別不可能。トランペットのソロでとちったときのまゆを上げたゲスト・プリンシパルのコックスさんの表情ったら。

もうひとつ、ヴァルビエ音楽祭の映像がメディチTVで観られます。オープニングはデュトワさんとユジャのプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番、その他。わたしがロンドンで聴いたのとオーケストラ違いですが、ユジャ、相変わらずしなやかな肉食獣のよう。これは魅入ってしまいます。ユジャのコンサートはリサイタルやジョシュア・ベルさんとの演奏も放送予定ですね。こちらも期限付きと思いますが、いつまでなのかは不明です。メディチ家にレジストレイション(無料)が必要です。
ここ
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-17 02:00 | Comments(0)

プロムス始まりました   

mahler: symphony no. 8
mardi byers, twyla robinson, malin christensson (sp),
stephanie blythe, kelly o'connor (ms),
stefan vinke (tn), hanno müller-brachmann (br),
tomasz konieczny (bs)
choristers of st paul's cathedral, choristers of westminster abbey,
choristers of westminster cathedral, bbc symphony chorus,
crouch end festival chorus, sydney philharmonia chorus,
jiří bělohlávek / bbc symphony @royal albert hall


昨日、CLASSICAで、BBC Proms 2010開幕の記事を見て、えっもう始まっちゃたの? わたしチケット買ったのに、日にち間違えちゃった(前科あり)って大あわて。日本とは半日ずれてるので日本の今日の深夜からは、イギリスの明日なんですね。良かった。
というわけでプロムス始まりました。わたしとしては同時に始まったスイスのヴェルビエ音楽祭の方が気になるんですけど、お金もないし忙しいのでこちらは断念。ネット・テレビで観ることにします。さて、プロムスの初日、1週間ほど前にキューに並んだら取れたので行ってきました。初めてのプロム、初めてのロイヤル・アルバート・ホール。初めてのマーラーの交響曲第8番です。
ロイヤル・アルバート・ホールのあるケンジントンの周辺は煉瓦色の建物が多くて、とっても良い雰囲気。歴史を感じさせます。ロイヤル・アルバート・ホール自体も美しい建物です。スタジアムのような円いホールでステージの後ろにもステージを取り囲むように席があります。今日はこの席は合唱で占められていましたが。わたしの席は2階(日本では3階)のボックス席。何の予備知識もなくて買ったんですが、ボックス席なのでちょっぴり高級感。25ポンド、ちょうど真ん中くらいのお値段です。とても大きなホールなので心配してましたが、わたしの席からステージまでは意外と近かったです。そしてホールの響きは思ったよりずっと良かったです。残響も適度にあってロイヤル・フェスティヴァル・ホールよりもいいかもって思ったくらいです。天井はドーム状になってるので教会的な響きかな。祝祭感満載で、わくわくする雰囲気。今日の音楽にぴったりじゃないですか。

千人の交響曲は意外と小さな編成でした。合唱は少年合唱を入れて500人から600人くらいだと思うんだけど、オーケストラは必要最低限。コントラバスは8人、ヴァイオリンは各14人か16人くらい。木管楽器も金管楽器も倍管していません。それで音量が足りないとか、迫力がないとかそんなことはなく、ビエロフラーヴェクさんのさばさばとした音楽作りに合ってたと思います。オーケストラのメンバーがトラを入れずに普段の音楽会とほぼ同じだというのもアンサンブルもしやすかったんじゃないでしょうか。とは言え、合唱や独唱、ギャラリーのバンダまで含めるとかなり距離が離れていてところどころアンサンブルが揃わないところは致し方のないことかしらね。でも、そんな瑕はCDで聴き慣れてるから感じることでしょう。会場でわくわくしながら聴いてるのにはほとんど気になりません。それにしてもこの交響曲、ほんとに祝祭的な雰囲気にぴったり。マーラーの音楽の中でぽつんと異質な感じがするけど、マーラー自身はいったいどんな思いでこの曲を演奏したのかしら。当時会場にいた人たちはどんな風にこの破天荒な音楽を受け止めたのかしら。なんだかわたし自身、1910年9月12日の人と気持ちを重ね合わせてるように感じました。わたしにとってもこの曲は生で聴くのは初めてですし、コンサート・ホールでよりもこういう劇場的ホールで聴くのがふさわしい気がしています。
ビエロフラーヴェクさんの音楽は、とっても誠実。華美に飾ることもなく、勢いにまかせて突っ走ることもなく、極めて自然体に音楽的に演奏してくれました。基本のテンポは速めと言えば速めかなくらいで、ゆっくり歌うところではテンポを落としてメリハリを付けています。印象的だったのはオルガンの音。ほの蒼く光を反射してる大オルガンの響きはこのホールにとっても良く合っていて、オルガンの音楽会も聴きに来たいなって思ったほどです。特に第1楽章の短い音のアタックが耳に刺さるのが気持ちいい。それから突然ギャラリーの高いところから聞こえてきたバンダの金管楽器。むちゃ効果的。2つの合唱もとっても良かったです。この音楽が合唱付きの交響曲ではなくて、オーケストラの伴奏付きの合唱曲であるということを思い知らされました。少年合唱は60人くらい。初演のときは350人くらいで演奏しているので、バランスは初演のときとは違うように聞こえるんでしょう。今時少年合唱を350人も集めるって現実的じゃない気もするけど、マーラーが指揮をした演奏はどんな風に聞こえていたのかちょっぴり気になります。CDでいろんな演奏を聴き慣れてる耳には少年合唱350人は膨らみすぎのような気もしますが(実際に大人数の少年合唱を使ってる録音ってあるんでしょうか)。独唱者はさすがに8人の歌手をたった1回の音楽会のために集めるのは難しいことのようで、録音販売用にセッションを組まれたものには劣ります。でも、ライヴですから。生の声が耳に届くことのなんと贅沢な喜びでしょう。その中では圧倒的にメゾ・ソプラノのステファニー・ブライスさんが良かったです。完全に頭2つ飛び出てました。メトでも何回か聴いたことがあったんですが、あの頃からさらに磨きがかかったようです。大きな体を活かしての声量と響きの良さは本当にステキ。もうひとりのメゾのケリー・オコーナさんやテナーのステファン・ヴィンクルさんもがんばっていましたが、やっぱりブライスさんでしょう。

あの劇場の中はまるで別世界でした。千人の交響曲なんて一生のうちに何回も聴けない音楽ですし、何回も聴かないのがふさわしい音楽だと思います。特別な体験を語り継いでいくような、もはや音楽の枠には入りきらず、音楽によって震わされた内なる宇宙が身体の中に残って、実体になる。プロムという祝祭的な空間でその初日の音楽会での体験はCDでどんな優れた演奏を聴いても消えることのない記憶となるでしょう。わたし自身が鳴り響いたのだから。

ロイヤル・アルバート・ホールの巨大な祝祭的なステージ
c0055376_2048425.jpg

女性歌手陣 ブライスさんは手前から二人目
c0055376_20492980.jpg

男声歌手陣 アリーナ席とステージは手の届く距離ですね
c0055376_20503199.jpg

ビエロフラーヴェクさん
c0055376_20524046.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2010-07-16 20:46 | BBCシンフォニー | Comments(8)

マッケラスさんの訃報   

人の訃報に接するのは、その方が天寿を全うしたと思えても寂しいし悲しい。ましてや亡くなられた方が自分にとって尊敬できる方だったり大事な方だったら。わたしはマッケラスさんの熱心な聴き手ではないかもしれない。音楽会で聴いたのはロンドンに来て4回、US時代に1回か2回でしかないし、CDも数枚しか持ってなくてそれは日本に置いてきている。でも、マッケラスさんは本当に尊敬できるステキな音楽家のひとりでした。80歳を超えて、譜面をめくる手が震えていたり、大丈夫かしらと思うこともあったけれど、ひとたび音楽が鳴り始めてしまうと矍鑠としていて、1時間近くに及ぶ交響曲を雄大に奏でてくれたり、指揮する腕は若い人のように流麗ではなくなってるけど、オーケストラと一体となって生み出される音楽は、一分の隙もない生命力に溢れたもの。わたしが最後に聴いたのは、彼がずっと取り組んできて、伝道師的な役割を果たしてきたヤナーチェクのオペラ。これがまたもうステキな音楽で、さすがマッケラスさんの棒は堂に入ってるなって思ったものです。もっともっと彼の指揮するヤナーチェクやモーツァルトを聴いてみたかった。もっとも享年84歳、引退を考えて十分な年齢であるのですからもしお亡くなりにならなくても難しいことだったかもしれませんが。音楽が聴けなくてもいい、まだ亡くなるには早いと思った。忙しいタクトを置いて、しばらくゆっくりと時を過ごして欲しかった。なんて言ったら、いえいえ音楽をしているときが一番楽しいんですよってにっこり笑った彼の声が返ってきたかもしれない。そんな音楽をいつも奏でていたような気がします。ご冥福をお祈りします。
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-15 07:06 | 随想 | Comments(2)

音楽会の服装   

クラシックの音楽会やオペラってなんだか敷居が高いみたいで、どんな服装で行くのがいいのか、正装しなくちゃいけないのか、なんて質問がインターネットの質問箱にときどきあがったりするんだけど。ロンドンでの音楽会の服装はずばり、基本的に普段着の方が多いです。もちろんオペラなんかは正装の方も見かけはするのですが、一番立派な服装率の高い平土間を観察しても、普通のシャツやジャケット、ワンピースの方も多いです。日本の人は普段からこぎれいな恰好をしているので(わたしをのぞく)、日本でいうところの普通の外出着、会社に行くような恰好のくらいのお客さんがまあ、圧倒的に多いんです。ジーンズにポロシャツな方も結構いるし、半ズボンにサンダル履きの人も数は少ないけれどもいます。下の方のオペラが社交の一環の人たちはもしかすると秘かに目くじらを立ててるのかもしれませんが、普通の人は人のことは全然と言っていいほど気にしていないんじゃないかと思います。普通の音楽会はオペラよりももっと気安い。わたしも仕事から直接、慌てて音楽会に出かけるので、ジーンズにトレーナーとかだったりもします。わたしはオフィス・ワーカーではないのでこぎれいな恰好では仕事に差し支えるんですね。ちなみに職場で着替える人はほとんどいません。例外は自転車で来る人が汗臭い自転車用の服装から普段着のTシャツに替えるくらいです(逆方向?)。
わたしが住んで音楽会に行ったことのある、USでもフランスでもあんまり変わらなかったです。ってか、お客さんの感じは国によってちょっぴり違いますけど(今度書きますね)、むしろロンドンよりラフ。
でもどこの国でもオペラ初心者は、服装に戸惑うようです。昔、ワシントン・ナショナル・オペラのパンフレットにオペラにはどんな服装で来たらよいのかQ&Aが載っていました。ドミンゴさん(ワシントン・ナショナル・オペラの監督さん)の回答は、気張らずに、友達の家にパーティーに呼ばれたときのような恰好で来てください、でした。パーティーといってもオフィシャルなのじゃなくて(オフィシャルなパーティーではみんなきちんとパーティー用のドレスを着ます(この文化は日本にはあまりないですよね。あっ結婚式の披露宴か。でもそれより派手目。背中が大きく開いてたり、芸能人がパーティーでする恰好に近いかな))、日本のこぎれいな普段着レベルです。
そんな感じなので、海外にいらした際はどうぞお気軽に音楽会にお出かけ下さいね。
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-14 08:37 | 随想 | Comments(10)