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自分がわかっていない子供   

30.04.2011 @royal opera house

massenet: manon

roberta marquez (manon), steven mcrae (des grieux)
ricardo cervera (lescaut), bennet gartside (monsieur g.m.)
laura morera (lescaut's mistress), genesia rosato (madame), etc.

kenneth macmillan (choreography)
martin yates / orchestra of roh


マノンです。オペラのマノンは、マスネのもプッチーニ(タイトルはマノン・レスコー)も観たことがあるのです。バレエは初めて。音楽はマスネのものなんですが、オペラのマノンではなくて、マスネの書いた別の曲を集めてバレエの音楽にしています。だからオペラのマノンとは音楽は別物。ストーリーも変えてありました。ものすごくかいつまんであらすじを書くと、
修道院に入るための道の途中で立ち寄った宿屋でマノンは、そこにいた学生デ・グリューと恋に落ち早速駆け落ち。でもお金持ちのムッシュGMに寝返り。ムッシュGMから金を巻き上げてマノンを取り戻そうといかさまトランプをしたデ・グリューは、いかさまがばれてマノンと共に流刑地アメリカへ。マノンが看守に陵辱されているところに、デ・グリューがやってきて看守を刺し殺してふたりで逃亡。ルイジアナの沼地でマノンは死ぬ。(マスネのオペラはアメリカに流刑になる前にマノンは死んでます。プッチーニのはアメリカに行った)
ってこれじゃ味も素っ気もないよね。詳しくはググってちゃんとしたあらすじを読んでくださいね。オペラのとき、マノンを全く理解できなかったんです。マノンっていったいどんな人? ファム・ファタムの人物として小説に現れた最初の人なんだそうですが。
始まりの宿屋のシーンで、舞台後ろの馬車から降りて登場したマノンは、子供? マルケスさん、小柄だし、童顔なので子供に見えます。ファム・ファタムな毒のある女にはちっとも見えない。多分自分でもそう思っていない。純朴な子供。これがこの舞台のキーだったと思います。帰って、調べてみたらまさに、マクミランさんの演出はそこにあったんですね! 19歳のフェリさんが初めてこの役を踊ったとき、ー「私にはマノンがわからない」というフェリに、マクミランは「それでいい。君はマノンをわからなくてもいい」と答えたという。後年になって彼女は「マノンは自分がわかっていない子供」だという解釈に達し、師の言葉が正しかった事に気付いたという。(wikipediaから引用)−
マノンは何も分かっていなかったんです。ただ美しく可愛らしかった。されるがままに男たちに翻弄されてそれが結果的に男をダメにする悪女となる結果になってしまった。無垢というか足りないというか自覚がないままに男たちを振り回し、結局自分も翻弄されるマノン。それが、マルケスさんのマノンだったように思えます。かなり不思議ちゃんな少女が描かれるので、これは踊り手によって全然違う性格の役になりそうです。タマちゃんなんて、そんな自覚のない女の子を演じるとは思えないし。いろんな人で観るのが楽しみです。
マルケスさんのマノンは、マクミランが創造した自分が分かっていない子供です。基本的に受け身。自分の方から何かを主張することはほとんどありません。振り付けの仕方もそんな感じがしました。特に、男たちを翻弄する=男たちに翻弄されてるような、種々のリフティング。めちゃアクロバティックであり得ないリフティングの技。口をぽかんと開けて観てました。小さなマルケスさんがいいように弄ばれてるんですね(実際は、マルケスさんも高度な技で飛んだり回ったりしてるんですけど)。最初の、一目惚れされてさらりと駆け落ちしちゃうところとか、毛皮のコートや宝石をプレゼントされてあっさりと別の男について行っちゃうところなんて、マルケスさんの表情があまりに無垢すぎて、ああ、チョコレイトにつられて知らない人について行っちゃう女の子のようだなと思ったのでした。そういう意味では、彼女はファム・ファタムの対極にあると言えるんですね。唯一、彼女が考えを持ったのが、デ・グリューにいかさまトランプをそそのかして、ムッシュGMからお金を巻き上げて逃げちゃおうって提案したとき。でもこれも、う〜ん、どうしよう、チョコくれたら遊んであげる、くらいの子供のレヴェル。捕まって流刑になったのも、どうしてそうなったのか理解できず、運命を受け入れるだけのように感じました。看守に陵辱されているときもされるがまま。感情がないというか、醒めているというか、結局自分がどうなってるのか分からないのでしょうね。最後のふたりの愛のシーン(パ・ドゥ・デュ)も本来なら、死で成就し浄化されるロマン派的な愛とは感じられず、なんだか、じゃりじゃりとした砂を口に含んだような幕引き。うしろに回想される人物たちが、現実で、ふたりはその世界から振り落とされたあぶれもの、どうしても彼らが幸せな最期を遂げたとは思えないのです。どっしりと重りがお腹に入ったような終わり。そんな世界をマルケスさんは表現していたと感じました。お終いの方になるにつれて糸の切れた人形のような表現は凄かったです。マルケスさんは、今のロイヤル・バレエでもトップクラスの表現力のあるダンサーさんだって見直しました。

デ・グリューのマクレーさんもとっても力強い踊りで良かったです。この人の踊りも切れがありますね〜。純朴な田舎青年って感じですけど、最初のパ・ドゥ・デュの喜びに溢れた踊りは良かったです。
レスコーのセルヴェラさんもとっても良かったです。酔っぱらって踊るシーンもとっても上手かった。ほんとに酔っぱらってるみたい。そして、ムッシューGMのガートサイドさん。この人は性格俳優ですね。将来プリンシパル・キャラクター・アーティストになって欲しいです。このバレエは、男性ダンサーも見せ場が多くて、それにアクロバティックなリフティングもあるから大変そう。でも、ほんと皆さん良かったのです。今回はマノンに注目して観ちゃったのだけど、次回は男の人たちにも目を凝らしたいと思います。

女性では、レスコーの愛人のモレラさんがさすがプリンシパルの踊りでした。音楽でぴたりと止まるリズム感は気持ちよかったです。コミカルなところも上手いし。それから娼館のマダムの大好きなロサトさん。この人は出てくるだけでいいですね。
高級娼婦にユフィさんとひかるさんが出ていました。ふたりはライヴァルというか仲悪い。喧嘩をしてるふたりを観て、このおふたりほんとに仲悪いんじゃないかって心配しちゃいました。特にひかるさん底意地悪そう(ごめんなさい。ひかるさん。そういう役なんだもん)。日本人はあと、茜さんも安い方の娼婦役で出てらしたね。コールドなので目立つ役ではないんですけど、真っ直ぐに上げた足がきれいだと思いました。
さらに、応援してるコープさんが、コールドだけどちょっとだけ目立つ役で出ていたのは嬉しかったです。

このバレエ、名前はないけど出てくる人物が多くて、主役の人たちが踊ってる背景になっているのだけれども、それぞれきちんと役作りがなされていて、舞台の後ろの方でもさりげなくドラマが進行しているのを観るのも楽しいです。ユフィさんの娼婦もひかるさんの娼婦にはめられて、嫌な男の人をあてがわれるもその人がお金持ちだと分かるところりと態度が変わるなんて、このバレエの本質みたいなことが、真ん中で主役の人たちが踊ってる隅っこで運ばれいたりして、いつものことながら細かくきちんと作り込んであります。舞台に出ているダンサーにとってはひとりひとりが主役みたいなものですね。

音楽もとても良かったです。マスネのどの曲をバレエに持ってきたのかは、分からないけど、とても雰囲気に合っていたし、踊りに合っていました。音楽のリズムとバレエのリズムがぴたりと止まるところはほんとに気持ちいい。今日の指揮者のイェテスさんは初めて聴く人だけれども、とても上手な音楽作りでした。この人の指揮でもっとバレエを観てみたいなと思いました。

終演直後のマルケスさんとマクレーさん
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出演者の皆さん、手前側の人がモレラさん、向こう側で手を上げてるのがロサトさん
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指揮者のイェテスさん
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仲の悪いユフィさんとひかるさん、ぶーを浴びていました
後ろのホワイトヘッドさんが悪いやつなのでお約束のぶーです
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マルケスさん、マクレーさんとセルヴェラさん
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by zerbinetta | 2011-04-30 07:37 | バレエ | Comments(4)

やっぱりアリスが好き   

お昼過ぎまで寝ていたら、結婚式終わっちゃってたのね。今日も音楽会を欠席。でもだいぶ良くなりました。明日からは普通にだらだらできそう♪

3月に初演された(あっプレミアは2月だ)ロイヤル・バレエの不思議の国のアリスの冒険をiplayerで観てました(イギリス国外では観られないみたいなので宣伝しませんでした)。わたしが観た日の公演ですね〜。テレビ・カメラが入ってましたから。残念ながらわたしは映ってなかったけど。後ろの方で踊ってたのに(ウソ)。
やっぱり好きですね〜、この作品。バレエらしくないとか、批判もあるけど、楽しくてわくわくする〜。配役もまさにこの人たちのために振り付けられたような、アリスのカスバートソンさん(かわいいっ)、帽子屋のマクレーさん(タップが最高)、首チョンパのハートの女王のゼナイダさん(この人上手すぎ。インパクト大きすぎて実は主役?)、はまりすぎ。子供の頃のたくさんの冒険を思い出して、心がほっこり。観てると、嬉しくなって幸せな気持ちになれる作品です。

わたしには、観ると最高に幸せになれる作品がもうひとつあって、それは魔笛。歌がステキで最高に楽しくって。
アリスと魔笛、どちらにも共通してるのが、おとぎ話のような冒険譚。そして荒唐無稽な物語。なんかわたしの子供心をくすぐるのが好きみたい。もう理屈じゃないんですね。王子は姿絵を見ただけで女の子を好きになっちゃうし、鳥刺しは何もしなくても幸せを手に入れる、薬を飲むと大きくなったり小さくなったり、涙の海で溺れたり、脈絡がなくて冷静に考えるとなんだそれ〜の世界。でも、子供の冒険って空想も入ってそんな感じじゃないでしょうか。わたしのちっちゃな冒険も、林の中に木の小屋を見つけたり、隠れ里があったり、底なし沼に足を取られたり、2度と見つけられない滝と祠を見つけたり、どこまでがほんとの世界か分からない小さなわたしの世界と大きな空想の世界が一緒に存在して。あのときのドキドキやわくわくを、歌を歌ってくるくる回ってたりステップを踏みながら探検した記憶をこのふたつの作品がつんと突くのです。

魔法の薬を飲んで少女時代に戻ってまた、知らない世界を探検したい。そしたらまたステキなわくわくで幸せになれる。それを、音楽で踊りで疑似体験させてくれるのがそのふたつの作品なのです。
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by zerbinetta | 2011-04-29 08:20 | 随想 | Comments(0)

キーンリーサイドさんとフィルハーモニアと風邪   

なぜかこの時間(ただ今7時30分)に家にいるわたし。あああ、今日はマゼールさんとフィルハーモニアのマーラーの日だったのに。チケット買ってあったのに。週初めに引いた風邪が悪化したまま居座ってしまったので泣く泣く断念。さすがにこの状態では聴けないだろうと。そうえいばこんなこと前にもあったな。あのときは、無理矢理音楽会に行ってただぼーっとして音楽を聴くどころではなかったんだっけ。そのときの音楽会はサロネンさんとフィルハーモニアのヴォツェック。とっても楽しみにしていた音楽会だったんです。タイトル・ロールはサイモン・キーリーサイドさん。そして今回、マーラーのリュッケルト・リーダーを歌うのもキーンリーサイドさん。どうやら、キーリーサイドさんとフィルハーモニアの組み合わせのとき風邪に縁があるようで。ああ残念。きっとブログ仲間のどなたかは聴きに行ってると思うので、じたばたしながら感想を聞こう。

で、全く本題と関係ないんだけど、この間のユロフスキさんとロンドン・フィルハーモニックの音楽会(マーラー編曲のバッハとベートーヴェン、ヤンセンさんをソロに迎えたタコのヴァイオリン協奏曲第2番)、BBCラジオ3で聴くことができます。期間限定ですのでお早めに。
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by zerbinetta | 2011-04-28 04:34 | Comments(4)

フェアリーテールじゃないの? 混乱 シンデレラ   

25.04.2011 @royal opera house

prokofiev: cinderella
tamara rojo (cinderella), david makhateli (the prince),
jonathan howells, alastair marriott (cinderella's step sisters)
thomas whitehead (cinderella's father),
francesca filpi (fairy godmother), fernando montaño (jester), etc.
frederick ashton (choreography)
pavel sorokin / orchestra of roh


プロコフィエフのバレエ、シンデレラって不思議な音楽ですよね。シンデレラって、子供の頃に誰でも読む(聞かされる)おとぎ話。継母や異母姉にいじめられて、お城の舞踏会にはお留守番。魔法使いにきれいな姿に変えて貰って、お城の舞踏会に。王子に見初められてるも、魔法が切れる時間切れで逃げるように家に帰る。落としてきちゃったガラスの靴を頼りに王子がシンデレラを見つけてハッピー・エンド。まさにシンデレラ・ストーリーですね(当たり前か)。そんな、子供のおとぎ話のハズなのに、プロコフィエフの付けた音楽は結構重くて不気味。プロコフィエフらしいといえばらしいのですが、何か裏を勘ぐっちゃう。シンデレラの原型(?)、灰かぶり姫は、少女から大人の女への成長を物語ってるとか、深読みもあるある。実は、わたし、バレエを生まれて初めて観たのがシンデレラなんです。ただし、リヨン・バレエのコンテンポラリーなの。ダンサーは全員仮面を付けて踊って、音楽はプロコフィエフのを元に、多少効果音を加えたりしたテープ。で、なんだか意味深な演出に、第1幕の終わりの妖精のワルツの不可解な音楽。表の裏に何か心理劇のようなものが隠されてるなって刷り込まれてしまったのです。それが何かも分からずに。

長々とあまり関係のないことを書いてしまいましたが、タマちゃんのシンデレラはどこか異質に感じられたのです。彼女の踊りはもちろん完璧。この人の踊りの正確さ上手さはもう舌を巻くばかり。速い回転をくるくるしたあともぴったり止まってぶれないし、難しい足技も軽く思い通り、バランスの良さはもう彼女の独壇場でしょう。でもね、何かが違う。タマちゃんがきれいに正確に踊れば踊るほど見えてくる何かが違ってくるのです。その答えを見つけようと一所懸命観てました。
タマちゃんはシンデレラを踊っているけど、物語を踊っていないと感じました。具体的なお話ではなくてもっと抽象的な何かを表現していると感じたのです。ストイックなまでに切り詰めて、バレエというものの本質を結晶化しようとしているように見えました。だから、おとぎ話のシンデレラを期待した人には、ん? と思われるかも知れません。だって、お話がないんですもの。代わりに身体が表現するもの、その表現の極みを求道しているように思えます。古典の物語バレエを、コンテンポラリー・バレエのように解釈している。不純物を含まないバレエの結晶。もちろん、(人によって少しだけ変えることはあっても)細かいところまでしっかり振り付けられた作品なので、シンデレラを観る楽しみはあるのですが、タマちゃんの表現しようとしていることはそこにはないように感じたのです。
この行き方が、上手く行っているかと言えば、シンデレラの場合はおとぎ話の楽しさという意味では後退しているので手放しで成功してるとは言えないかも知れません(白鳥の湖では古典的な様式感が前面に出るので成功していると思います)。でも、途轍もない芸術を見せてもらったという感動はあります。
タマちゃん、否、タマラ・ロホさん、怖ろしいダンサーです。

デヴィッド・マッカテリさんの王子様、ステキでした〜。今まで観た王子様ではこの人が一番好きです。かっこいいし優しそうだし貫禄あるもん。

他のダンサーたち。アグリー姉妹はホーウェルズさんとマリオットさんのペアがやっぱり盤石です。毎回毎回少しずつ変えて笑わせてくれます。この間はアグリー姉妹のひとりを踊っていたホワイトヘッドさんのお父さんは、もうシンデレラに対してめろめろ。とっても優しいお父さんです。妖精ゴッドマザーのフィルピさんは、まとまっているもののもう少し貫禄を付けて欲しいところ。目立つ役をいくつか貰っているので、がんばってソロイストに上がって欲しいです。四季の妖精は、小林ひかるさんが怪我で降板でしたが、高田茜さんは、もうこの役ヴェテラン。きびきびと踊ってらっしゃいました。今日は春の妖精のルーツさんが良かったです。ハミルトンさんは、前回の方が良かったかな。前半ちょっと力がなかった感じ。でも後半持ち直しましたよ。
目立ちたがりの道化師は今日は、ファースト・アーティストのモンターニョさん。この役はジャンプ系の人が選ばれるんですね。モンターニョさんもその人。ただ表情にもうちょっと思い切りが欲しかったな。この役はやっぱり、蔵さんとケイさんが頭抜けてると思います。階級から言って当然といえば当然ですが。
これでシンデレラは見納めです。たくさん観たのにもっと観たいと思うのは、バレエの無限地獄に落ちているのでしょうか。それならそれで、幸せですけどね。

シンデレラと王子様、アグリー姉妹
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四季の精、茜さん見切れちゃってごめんなさい(前回ので見てね)
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道化のモンターニョさん
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妖精ゴッドマザーのフィルピさん
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またまたアグリー姉妹
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マッカテリさん
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タマちゃん
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by zerbinetta | 2011-04-25 07:47 | バレエ | Comments(0)

年下の男の子   

24.04.2011 @royal festival hall

judith weir: we are shadows
mahler/cooke: symphony no. 10

vasily petrenko / national youth orchestra of great britain


しつこくマーラー記念年。10代の若者のオーケストラが、マーラー/クックの交響曲第10番を演るというので聴いてきました。ってか、指揮者のペトレンコさんが大好きなのでチケット取りました。
若い人たちってときにびっくりするくらいステキなことするのです。この間はロンドンの(多分)高校生のオーケストラだったけど、今回はイギリス全土から集まる10代の若者のオーケストラ。アマチュアとはいえ多分、多くはプロを目指していると思われる、かなり上手いオーケストラでした。ペトレンコさんはやっぱりステキ〜〜。指揮者界の王子様だわ。背が高くってきれいな金髪でノーブルな感じ。そしてアマチュア・フットボーラーでもあるのです。

最初のウィアーさんのわたしたちは影は、合唱、少年合唱を含む大編成の曲。オーケストラも大人数で、これはパートが多いというより、たくさんの若者にプレイするチャンスを与えたい、または、アマチュアゆえの音量不足をカバーしたいという意図があるのでしょうか(実際プロのオーケストラでも超一流のオーケストラは音量が大きいです)。
ウィアーさんの曲は初めてなんだけど、新しさはないけどとても良くできた曲だと思いました。大人数の合奏向きで、今日の演奏者にぴったりな感じ。分かりやすさも、若い人が共感しやすいのではないでしょうか。少年少女合唱の前列右から2番目の男の子がかわゆらしかったぁ〜。まだ小学校に上がる前かなぁ。年下だけど、お友達になりたい〜。

なんて馬鹿なこと言ってないで、というかあと目を付けた男の子は、第2ヴァイオリンのトップの子。OAEのリーダーのひとりに似てる。親子という歳じゃないので兄弟かしら。若い子見ると胸がときめいちゃうのよねっ。
マーラー/クックの交響曲第10番は、実はこの選曲ありかなぁって思ったのです。というのは、偏見だけど、マーラーの後期の音楽って、若者が理解したって言ってはいけない音楽だと思うからです。それにかなり難しそうだし。マーラーで演るのならば、交響曲第1番とか、若々しい音楽の方が合うんじゃないかなって。まさに青春時代の人が演奏する青春の音楽ってぜひ、聴いてみたいじゃないですか。交響曲第10番は、第9番や大地の歌と違って未来に向いているからいいのかもしれないし、この間のドゥダメルさんの第9番の演奏のように全く新しい音楽を見せてくれる可能性もあるので、やっぱり偏見なんですけどね。
アマチュアのオーケストラなので演奏の評は控えますが(といいつつ、とっても良い演奏でした。アンサンブルも良かったし、思いっきり練習して弾き込んでるのがよく分かる、慣れや手抜きの一切ない演奏でした)、ペトレンコさんの音楽は、緩急をはっきりさせた分かりやすい音楽で、ときどき面白いテンポの変化があって、この人のマーラーの演奏をもっと聴いてみたいなって思いました。ゆっくり歌った最終楽章のカンタービレの音楽は感動的でした。最後、ペトレンコさん力を出し切った感じで、演奏の本気度が凄かったです。ペトレンコさんにとってもオーケストラにとっても、もちろんわたしにとっても、一期一会の演奏に違いありません。
今日のお客さんは、オーケストラや合唱の人の家族や関係者が多かったです。でも、いつものお客さんよりとてもきちんと音楽を聴いていました。イースターの日の午後のステキな音楽会でした。
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by zerbinetta | 2011-04-24 06:45 | イギリスのオーケストラ | Comments(2)

今回はごめんなさい   

23.04.2011 @royal opera house

rimsky-korsakov: the tsar's bride

marina poplavskaya (marfa), ekaterina gubanova (lyubasha),
johan reuter (grigory gryaznoy), alexander vinogradov (malyuta-skuratov),
dmytro popov (ivan sergeyevich likov), paata burchuladze (sobakin), etc.

paul curran (director)
mark elder / ro chorus, orchestra of roh


最近はちょっとしたデジタルカメラにも付いてる顔認識機能。わたしの脳みそのは壊れてるんです。子供の頃、ママーと言って抱きついたのは全く別人だったし、この間も友達だと思ってスーパーでお話ししてそそくさと逃げられたのは知らない人だったし、とにかく顔が覚えられないんです、じゃなかった見分けが付かないんです。人と猿くらいだったら区別もつくんだけど、あいや、それも難しい人いるよね。。。
そんなわたしです。

そして今日は、昼夜2公演。夏のような強い日差しの暑い日、ってか今年はもうこれで夏は終わり?、頭を日差しにやられてぼんやり(いつものこと?)。もう全然やる気なし子さんです。そもそも、リムスキーコルサコフのオペラって観たことないから、後学のために観ておこう程度にチケット取ったもんだから、あらすじすら予習するのもすっかり忘れ、どんなオペラか全く見当付かず。
そんなわたしです。

多分人気がないから、立ち見で取って適当に座っちゃえ作戦だったんだけど、予想に反して結構席埋まってました。でもわたしの前の高い席は空いてたのでそこに座りましたよ。わたしはさっさと座っちゃったんだけど、ちゃんと係の人が立ち見の人を誘導して座らせてくれてました。これ、係の人によるそうですけど。

さて、序曲が始まると、もうすでに散漫状態。そもそもオペラの序曲とか長々といらない派なんです。メシアンがそんなことを言ってたのを真似ただけですけど、でも、のたのた序曲をやるよりさっさと初めて欲しいと思うのは、わたしとメシアンだけ? わくわくする序曲ってほんと少ないでしょう?
音楽はリムスキーコルサコフ〜って感じの華のあるオーケストラの曲。実はわたし、リムスキーコルサコフって、シェヘラザードとスペイン奇想曲くらい。しかもどちらかと言えば苦手。リゲティなんかが、オーケストレイション学ぶならリムスキーコルサコフを勉強しろというくらいの大家なのに、なんだかごめんなさいです。

とここまでちっともオペラのことを書かないのは、、、内容がぜ〜んぜん分からなかったからです。まず登場人物たくさん。1の理由で顔覚えられないから誰が誰やら分かりません。それに2の理由で、舞台上で何が行われるのかも分からず、睡魔が。。。前半の第1幕と第2幕はうとうとしながら聴くなんて、贅沢の極み? 後半、第3幕と第4幕はちゃんと聴いていたのだけど、ときすでに遅し。やっぱり誰が誰だか分からず、お酒に毒を盛ったのが誰なのか、皇帝はどこにいるのか(いないんですけど)、恋人は誰、敵は誰、と話について行けず、こんどはぼんやり聴くことを余儀なくされ。。。
音楽とかは豪勢でいいのですよ。歌手陣もみんな良く歌うし、とっても充実。わかって観ていたら、もしかして面白かったのかも知れません。でも、最後はふたり殺されて、そういえば最初にひとり殺された、なんだか、納豆に卵を入れて食べたら、卵の殻が入っていて口の中がじゃりじゃりするような気持ち。

というわけで、リムスキーコルサコフ・ファンの皆さんごめんなさい。オペラ好きの皆さんごめんなさい。全く今回は、馬の耳に念仏でした。いや、リムスキーコルサコフのオペラは念仏にしては豪華すぎるけど。。。もっとマシな記事を書きたかった。反省してます。

誰が誰だか分からない出演者たち
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白い人が多分主役の人、左端は指揮者のエルダーさん
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by zerbinetta | 2011-04-23 22:24 | オペラ | Comments(0)

バレエダンサーって大変   

23.04.2011 @royal opera house

prokofiev: cinderella
yuhui choe (cinderella), sergei polunin (the prince),
james wilkie, thomas whitehead (cinderella's step sisters)
alastair marriott (cinderella's father),
francesca filpi (fairy godmother), james hay (jester), etc.
frederick ashton (choreography)
pavel sorokin / orchestra of roh


夏のような暑い日、今日はお昼からシンデレラ。お昼の公演なので子供たちもたくさんきていました。今日のシンデレラはユフィさん。日本生まれの韓国人さん。現在ファースト・ソロイスト。わたしが応援してる大好きなバレリーナのひとりなのです。シンデレラは前にも踊っているんだけど、わたしが彼女のフルレングスでの主役を観るのは初めてです。だからとっても期待。そしてステージママとしてはちょっと緊張。そしてまた、今日も始まりに少し焦らされて、キャストチェンジのアナウンスが。ドキリとしたけど、第2幕の求婚者が変わるということで、平野さんがクレジットされていたんだけど替わってエイヴィスさん、ケイさんは替わったのかしら、平野さんは王子の友達に、というそんな感じ。良かったユフィさん無事で。

音楽は今日はとてもゆっくりと始まりました。いつもと同じ指揮者だけど、こんな演奏だったっけ?ちょっとびっくりしましたが、これはいい。踊り手によって音楽変えてくるのでしょうか。それにしてもプロコフィエフ、フェアリーテールのバレエなのに彼らしい重い音楽を付けていますね。金管楽器の隈取り、大太鼓活躍。わたしが好きなのは、第1幕のお終いの方の妖精のワルツなんだけど、ここもチューバがソロで変な音を吹いてるのが好きなのです。チューバの変な音部門堂々の第1位です。ちなみに第2位はマーラーの交響曲第3番の第1楽章真ん中の美しいところ、トランペットの静かなファンファーレに引き続いてホルンのソロが美しい旋律を歌う部分に入る前の経過的な部分。脱線しちゃった。プロコフィエフは、第2幕の12時の時計が鳴るところもいいですね。世界が終わりになるような音楽で。

ユフィさんのシンデレラ、とってもかわいらしい! そして手と足先の表現がとてもきれいで上手。箒とパ・ドゥ・デュ(じゃないって)もステキ。女の子の夢が素直に表現されていました。今日のユフィさんの踊りを観て、わたしはなぜか親しみを覚えたのです。なんでだろう?ってちょっと考えてみました。そして、わたしとユフィさんのシンデレラに共通の下地があることに思い当たりました。子供の頃呼んだシンデレラの絵本、いじめられっ子の物語のマンガやテレビ。わたしたち日本育ちですから(わたしはユフィさんを個人的に存じ上げていないので、彼女が自分自身を韓国人としてみているのか日本人としてみているのか分かりませんし、それはわたしには正直どうでもいいこと。だけど、彼女に意に反して、日本人、ないしは韓国人と書いてしまうことに躊躇いがあるのです)、同じような感覚を持っていて当たり前。子供の頃からの見えない刷り込みに親しみを覚えたのでしょう。ユフィさんの表現するシンデレラが身近なもののように手に取るように分かるのです。それにユフィさんの感情表現の細やかさはとってもステキでした。今まで観た中では一番子供っぽかったです。日本でのシンデレラの描かれ方って子供ですよね。泣いたり気を取り直したり、夢見たり、笑ったり、ほんとに自然でした。第1幕でアグリー姉妹がダンスを習うところ、舞台の隅に座るお父さんのまわりでシンデレラも踊ってみせるのですが、コジョカルさんもヌニェスさんもとても上手に踊るのに、ユフィさんのはぎこちなくて一緒に練習してる感じ。こんなところもそれぞれの踊り手によって役の作り方が違うので面白いです。そうそう、今日のシンデレラには関係ないのですが、コジョカルさんのシンデレラ、箒に縛ったスカーフが箒をとんとんとしたときに落ちたんですが、あれはわざとだったんでしょうか?今日のユフィさんのは落ちなかったし多分落ちたのを観たのはコジョカルさんだけ。でもそのあともとっても自然だったので、アクシデントなのか、わざとなのか、ほんと上手な人は失敗しても失敗に見えないというか、どこまでが演出なのかよく分からないのも凄いところです。
変身したあとのシンデレラも、変身前の素朴さをちょっぴり残しているようで好感が持てました。幸せそうに踊るユフィさん。でもこれが夢の世界の出来事であることを知っているようでした。夢と現実の混じり合う少女の世界、それがユフィさんのシンデレラのような気がしました。

王子様のポルーニンさんは、前にも増して良かったです。今日は本来のペアだったのでのびのびしてたし、ポルーニンさんは若くてノーブル。でもちょっと可愛らしいとこあったりやんちゃなとこあったり。出番が少ないのが玉に瑕ですけどね。

今日はアグリー姉妹が、いつものキャラクター・アーティストさんではなく、ウィルキーさんとホワイトヘッドさん。かっこいいのに、女装とはもったいない。おふたりならではの工夫もされて、また新鮮な感じでした。背丈があまり変わらないのが、残念といえば残念。でこぼこ感が欲しいので。お父さんのマリオットさんはとっても良かったです。このお父さんもそれぞれのダンサーの方が工夫して役を作ってくるので観ていて楽しいです。今日のお父さんは、とっても気弱。お父さんがんばれ〜って叫びたくなっちゃう。
今日、もひとり良かったのが道化を踊ったジェームズ・ハイさん。初めて見るお名前だわって思ったら、なんとまだアーティスト。大抜擢ね。でもこの人、これからぐんぐん上に上がっていきそう。今からつば付けておこうかな。

妖精には秋の妖精で高田茜さんが踊っていました。彼女の妖精は何度も観たけど、踊りが切れててはきはきしててとっても良いですね。ステキです。妖精ゴッドマザーはファースト・アーティストのフィルピさんでした。比べちゃうのは酷なんですけど、やっぱりこの間のモレラさんの方が貫禄ありますね。ゴッドマザーが先導して踊って、それを四季の妖精たちが繰り返して踊るというシーンがあるので比べられるんですけど、プリンシパルのモレラさんは、他の妖精たちより上手で切れがあるのが見て分かるんですけど、フィルピさんの場合は、みんな同じように感じちゃう。もちろん、比べること自体があまり意味のないことなんですけどね。
比べるといえばユフィさん。わたしの観たシンデレラの中ではやっぱり一番おとなしいかな。例えば箒のシーンで片足を横からすっと上げるシーンがあるんだけど、コジョカルさんはもう垂直にさっと上がるのに比べちゃうとユフィさんはそこまで足が上がらない。でも、比べる相手が悪いよね〜。わたし観たの、コジョカルさんだし、ヌニェスさんだし、都さん。この人たち、プリンシパルの中でも特別な人たちだもの。ただ、プリンシパルに上がるのって、今度は常に同じプリンシパルの人と比べられるので大変なことだと思う。それでも、ユフィさんにはプリンシパルに上がって欲しいし、近い未来にきっと上がってくれるだろうと期待しています。まずは来シーズン、リーズの結婚やロミオとジュリエットで主役デビュウしてくれないかなぁ。

ユフィさんの1日。バレエダンサーってたいへ〜〜ん。

華やかな舞台
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四季の精たち、一番奥に茜さん、平野さんが後ろの奥から2番目
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ハンサム台無し、アグリー姉妹
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ハイさん
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ユフィさんとポルーニンさん
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by zerbinetta | 2011-04-23 04:59 | バレエ | Comments(2)

異形の音楽   

20.04.2011 @royal festival hall

bach/mahler: orchestra suite
shostakovich: violin concerto no. 2
webern: five movements for string orchestra
beethoven/mahler: string quartet in f minor

janine jansen (vn)
vladimir jurowski / lpo


わ〜〜お久しぶりのユロフスキさんでした。ロンドン・フィルハーモニックのマーラー記念年の音楽会シリーズ。今日は編曲もの。バッハの管弦楽組曲とベートーヴェンのヘ長調の弦楽四重奏曲、弦楽オーケストラ・ヴァージョン。どちらも初めて聴きます。記念年なので交響曲は、もういいよと言うくらい聴いてるんだけど、こういう珍しい曲が聴けるのは嬉しい。変わった物好きのわたしですからね。

さてその前に、今日は音楽会での順番はとりあえず脇に避けて、2曲目、休憩前に演奏されたタコ(ショスタコーヴィチ)の第2ヴァイオリン協奏曲から。ソリストはこの間、ロンドン・シンフォニーとのブラームスの協奏曲を聴いたジャニーヌ・ヤンセンさん。ブラームスのときはわたし的にはちょっと疑問符が付いたんですけど、今日はどうでしょう。なんてもったい付けずにさっさと書くと、めちゃくちゃ良かった! この暗い曲は、やっぱり先日、カヴァコスさんのソロで、ゲルギーとロンドン・シンフォニーのバックで聴いてるんだけど、あのときも深く感動したんだけど、今日も感動してしまったんです。カヴァコスさんの演奏を超える演奏は、もう聴けないかもなんて思っていたのに、それとは別のアプローチですっかり感動してしまった。だから音楽って面白い。
ヤンセンさんの演奏は、粘りけがあって糸を引くというか、蜂蜜のような密度の濃い粘り。情念のようなものすら感じさせました。音もとっても豊かで幅のある音。譜面は見ながらでしたが、タコの音楽を完全に自分のものとして消化していて、一点の隙もないというか、聴いてるわたしも最初から最後まで音楽から耳を離さずにはいられませんでした。暗い鬱々とした音楽という印象があったんですけど、今日は鬱々とした感じではなくて、暗さが純化されて透明な、光りがあれば彼方まで見渡せそうな、固い結晶のようなものを心に感じました。
さて、ここまで書いて気がついたんですけど、この間カヴァコスさんで聴いたのは第1番でした。あれれ。第2番はもちょっと前にやっぱりゲルギーとロンドン・シンフォニーの伴奏でハチャトリアンさんのソロでしたね。恥ずかしいので消して書き直せばいいのですが、恥を忍んでいい加減さ加減を晒します。でも、前は確かに鬱々とした印象だったんですけど、今日は暗いけれども屈折して出口のないものではありませんでした。ヤンセンさんの演奏の大らかさが、そして太い筆で一筆で書ききるような大きな音楽が、タコの魅力を引き出していました。
ユロフスキさんとオーケストラもとっても良かった。ユロフスキさんってゲルギーよりタコに対する適性みたいものがあるように思えます。ゲルギーのタコもとても良いのですが、わたしにはユロフスキさんの語り口の方が好みです。

休憩の後の始まりは、弦楽器だけで、ウェーベルンの弦楽オーケストラのための5つの断章。もともと弦楽四重奏曲だったのを作曲者が後年弦楽オーケストラに編曲したんですね。5曲でたったの11分。ウェーベルンらしいミニマムな音楽です。初めて聴きましたが、とっても密度の濃い(といっても音は少ないです)充実した音楽。演奏も充実。ロンドン・フィルの弦楽セクションって定評ありますからね〜。すっきりとした音色でステキです。
ユロフスキさん、カーテンコールに出てきたと思ったら、そのまま指揮台に上がって、ベートーヴェン。わたしは元の弦楽四重奏曲を聴いたことがないのだけど、聴いた感じでは、ほとんど曲をいじってなくて、弦楽四重奏曲の楽譜をそのままオーケストラの弦楽器のパートに割り振って、ところどころチェロを補強するコントラバスを加えたという感じでした。全くベートーヴェン。弦楽四重奏曲の方を知らないせいか全く違和感ありませんでした。ただあまりにそのままなので面白味に欠けたかな。大人数になってスケールが大きくなったとも言えるのかも知れないけど、ベートーヴェンの音楽って四重奏でも十分スケール感大きいですからね。編曲する意義があまり見つけられませんでした。演奏は、これも良かったです。ベートーヴェン初心者のわたしが言うのもなんだけど、やっぱりベートーヴェンって凄いですね。音楽が作り込まれてるし、最後突拍子もないところに飛んですとんと終わってちょっと虚に包まれてしまいました。さすがベートーヴェンです。

それとは対照的に、始まりのバッハはもうバッハの素材を使ったマーラー、というかロマン派の時代の音楽でした。ユロフスキさんが出てきて、にこにことオーケストラを見回してから始まった音楽。バッハのものとは違うアーティキュレイション、オルガンまで使って(わたしオルガンのそばに座ってたのでオルガンの音にオーケストラが消されてしまいました)、もったりと大時代的。マーラーにとってバッハからモーツァルト、ベートーヴェンに至る100年は時間が止まってたような、というより1個2個たくさんの、昔でひとからげにできる時間なんですね。あっこれはマーラーが悪いんじゃなくて、マーラーの時代はまさに歴史は進化すると信じられていた時代だし、今みたいに過去を過去の目線で研究するという時代ではなかったんですから。マーラーの時代の人だったらこれがバッハの音楽として楽しめたかも知れないけど、バッハを割と良く知っているわたしたちには甘〜いショートケーキをホールで食べさせられてるような感じで、ちょっと胃がもたれます。ただ、基本的にはバッハのオーケストレイションを意外に尊重している感じであまり余計な楽器は加えていません。
ユロフスキさんの演奏はバッハの、ではなくマーラーの音楽として割り切って演奏していた感じです。もちろんマーラーのスコアからバッハの音を出そうとするくらいならはじめからバッハのスコアで演奏すればよいことなので、それではわざわざこれを演奏する意味はなくなってしまいますから。イージー・リスニングふうのバッハ、それはそれでたまにはいいかな。そうそう、最初の序曲で、主部に入ってフルートが活躍するところ、ユロフスキさんは導入部と同じようなテンポで大変ゆっくりと演奏したんですけど、これはマーラーの指示でしょうか。楽譜がないのでよく分かりません。このテンポ感がショートケーキに追加で生クリームをのせたみたいでもたれました。でも、初めて聴いて面白かったです。今となってはあまり演奏されない理由もよく分かりました。

そうそう、全然関係ないけど、今日は第2ヴァイオリンのゲスト・プリンシパルに来られていた方がかっこよかったです。カメラ持っていかなかったことを後悔しています、いつも来てくれればいいのに。eugene tichindeleanuさんという方です。
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by zerbinetta | 2011-04-20 09:19 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(2)

ハッピイ・バースデイ・トゥ   

19.04.2011 @barbican hall

debussy: pelléas et mélisande

natalie dessay (mélisande)
simon keenlyside (pelléas)
marie-nicole lemieux (geneviève)
laurent naouri (golaud)
alain vernhes (arkel)
khatouna gadelia (yniold)
nahuel di pierro (doctor)

louis langrée / orchestre de paris


前にも書いたことあるけど、ドビュッシーとかラヴェルとか苦手なんですよ。とってもきれいな音楽だと思うんだけど、どういう訳か得意じゃなくて。。。ドビュッシーのオペラ、ペレアスとメリザンデもまだ観たことないのです。ま、これは選り好みしてたわけではなく、観る機会が今までなかったからなんですけど。で、今日、初めて聴いてみました。舞台ではなくて残念ながらコンサート形式。でも、かなりベストに近い(とわたしは思う)メンバーでとっても楽しめました。2時間半の音楽なんだけど、ちっとも飽きは来なかったです。ワグナーより良い良い。何しろ、歌ではなく語り言葉で音楽が進行しますからね。歌にしちゃうと、余分に音伸ばしちゃったり、繰り返したり、時間がどうしてもかかるんだけど、歌をなくして語りに近くすることで、物語のテンポが上がってさくさくとお話が進むのがいいの。ラップとかシュプレッヒ・シュテンメほどには割り切れてないけれども、それらの音楽に影響を与えたというのは分かります(ふふふ、ウィキペディアで予習しました)。さわさわとオーケストラが奏でる音楽の上で語るように歌われる言葉。わたしのフランス語レヴェルは初心者の足もとにも及ばないレヴェルです(フランスに住んでたのに)が、こういうふうに聴くとフランス語ってきれいな言葉だと思います。言葉と音楽に一体感があって、とってもステキでした。

ルイ・ラングレさんとパリのオーケストラは、むちゃフランスでした。ホルンのミュートの音なんかはまさにフランス!って感じでしたよ。どう言葉で説明したらよいのか分からないんだけど、上手い下手ではなくロンドンのオーケストラには出せない音でした。水辺で描かれるお話に泉のように湧き出る透明な音で輪郭を描いていました。でもこのオーケストラ日本人多いんですね。ロンドンのオーケストラには日本人少ないのと対照的です。みんなパリが好きなのかなぁ。わたしはパリ苦手だけど(ロンドンはもっと苦手)。あっチューバの人ずうっと退屈そうにしてました。オペラなら途中退出したりできるのにね。

歌手は、贅沢を言ったら切りがなさそうですが、求めうる最高のメンバーに近いのではないでしょうか。ロンドンのプログラムはペリアスを歌ったキーンリーサイドさんがメインでした。イギリス人ですからね。ハンサムだしとってもステキ。キーンリーサイドさんは奥様がフランス人だからフランス語も上手でした。わたし的にはちょっと歌いすぎめかなとも思ったけど、それはわたしの勝手な好みかも知れませんね。それにしても左手を吊してたけど骨折でもしたのでしょうか。歌うのには問題なさそうだったけど、もうすぐオペラでも歌うのでちょっと心配です。治るといいけど、こういうのってちょっと時間かかるよね。

タイトル・ロールのもうひとりはデセさん。実はわたし的はちょっと不満でした。デセさんといったら、わたしはコロラトゥーラのトランペット・ヴォイスかコメディエンヌぶりが最高に好きなんだけど、ドビュッシーのささやくように語る歌は、ちょっと物足りなかったです。っていうか彼女、演技が上手い人なのでコンサート形式ではなくて舞台で観たかったです。最後の幕の透明になって消えていくような感じはとっても良かったです。

で、今日の大収穫はナウリさん。ナウリさんって、わたし、今まで、失礼ながら、デセさんの夫、スーパースターのデセさんに比べたら影が薄いな、それほどかっこよくないしな、なんて思ってたんだけど、大間違い。むちゃかっこよかった。わたし惚れた。容姿が、じゃなくて歌。語られる歌がとってもとっても言葉として聞こえてきて、人物像の作り方がとっても上手くて、体で表現するわけではないんだけど、声の表現力がむちゃくちゃ凄いの。このオペラの中では、ゴローが最も人間的で、役の作りがいがあるんだけど、それを引いてもやっぱり凄い。タイトルはペレアスとメリザンデだけど、今日は明らかにゴローの物語になってました。

今日はサプライズが。カーテンコールのとき、女性には花束が会場の係の人から渡されるのだけど、デセさんの分をナウリさんが取ってしまって、うわっ失礼な人って思って見てたら、跪いてデセさんに手渡し。そしてオーケストラがやおらにハッピバースデイの合奏。ふふふ、今日はデセさんのお誕生日だったんですね。もちろんデセさんも大喜び。わたしもついでに大喜びでした。
デセさんのサイン会もあったみたいですけど、デセさんファンの仲良しにサインを貰って自慢しようかとも一瞬考えたんですが、お腹が空いてたので帰ってきてしまいました。ちょっともったいなかったかな。
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日本人顔のガデリアさん、キーンリーサイドさん、デセさん
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ハッピバースデイの合奏に大喜びのデセさん
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by zerbinetta | 2011-04-19 08:01 | 海外オーケストラ | Comments(2)

i absolutely agree with you   

17.04.2011 @barbican hall

falla: el amor brujo
michael daugherty: fire and blood
stravinsky: the firebird -suite

vadim gluzman (vn)
kristjan järvi / lso


ロンドンの音楽会ブログ仲間はみんな、マゼールさんとフィルハーモニアのマーラー・サイクルの方に行ってるような気がするけど、わたしはひねくれて、(実は後ろ髪を引かれつつも)クリビー(クリスチャン・ヤルヴィさん)とロンドン・シンフォニーの音楽会に行ってきました。マゼールさんじゃなくてこちらのチケットを取ったのは、今更マゼールさんのマーラーでもないだろうと思ったからで、後ろ髪を引かれたのは、マゼールさんの復活の第5楽章の打楽器(もちろんスミスさんも参加)のクレッシェンドは凄いんだろうなってここだけ聴きたいと思ったからです。ここ数日体調が悪くって、引き摺る体にむち打ってってなんか悲壮感ありますね。もう音楽会は業です。

今日の音楽会も人が入らなかったみたいで、わたしの一番安い席は、平戸間の割と良い席に換えてくれました。こういうことままあるのですよ。
クリビーが出てきていきなりマイク・パフォーマンス(?)で始まった今日の音楽会。今日の音楽会のテーマ、ファイアー・アンド・ブラッドと2曲目に演る英国初演のヴァイオリン協奏曲についての簡単な解説がありました。そして、最後の火の鳥。1945年版の組曲を演奏するのだけど、演奏会用ヴァージョンではこれが一番いいって、そのとおり! もうわたしの気持ちを代弁してくれたみたいでめちゃうれしい。

1曲目のファリャの曲、スペイン語ちんぷんかんぷんなので、かろうじてamorは愛だって分かるけど、知らない曲かと思ってたら知ってる曲だった。でも名前は思い出せない。で、今書きながら、あっそうだ愛の三角帽子、じゃなかった恋は魔術師でしたね。プログラムに載ってた英語タイトル、love the magician。あっそうか。もう最初っからダンスモード全開。クリビーほんとにこういう曲にぴったりはまってる。指揮は踊ってるし。足はステップ踏んでるし、手の動きは水平方向だったり(普通の指揮は基本縦)、右手と左手交互に出したり、踊りながらオーケストラを捌くの。こんなふうにやられたらオーケストラだって盛り上がらずにはいられない。もちろんわたしも頭ふりふり(あっ後ろのお客さんの迷惑にならないように小さくよ、後ろいなかったけど)。わたしのハートに火が付きましたよ。次はスプラッター♪

2曲目のファイアー・アンド・ブラッドはヴァイオリン協奏曲。USの作曲家、マイケル・ドアティさんが2003年にデトロイト・シンフォニーの委嘱で書いた作品。
「ねえパパ、今度ファイアー・アンド・ブラッド演るんだけどどう振ったらいいの?」
なんてヤルビー一家の会話が聞こえそう、なんとこの曲の初演者はパパビーなのです。
デトロイトで活動したメキシコの画家、ディアゴ・リヴェラとその妻フリーダ・カーロに想を得て作曲されたこの作品、そんな解説どうだっていい、かっこいい音楽です。始まりはスパイ映画のテーマかと思っちゃった。わたしの現代音楽への批判は、保守的な作品を好まない、かといってもろ前衛的な作品は理解できない、という情けなくも中途半端なものですが、そんなこんなは吹っ飛びました。確かにメロディアスで分かりやすい作品ではあります。映画の時代の現代にふさわしい音楽家も知れません。でも、そんなことどうでも良い力強さ、かっこよさが強烈に光を放ってます。作曲家は作曲家としての立ち位置なんてこれっぽっちも考えずに自分の技量を駆使して、彼にしかかけない音楽を書いてる。そしてクリビーもものすごい勢いで音楽を鳴らしてる。
ヴァイオリンは、わたしは弾けないので的外れかも知れないけど、ものすごく難しそう。そしてオーケストラに対抗できる大きな音が必要とされてます。漢の音楽。まさにヴィルトゥオーゾ協奏曲。ヴァイオリンのグルズマンさんは、こんな難しい曲を楽々と完璧に弾きこなします。この人初めて名前を聞く人だけど、めちゃくちゃ上手い。そしてなんと言っても男前の音。大らかでふくよかな大きな音で、完璧にオーケストラに対抗します。ニラレバ炒め大盛りで、餃子ひと皿、ビール大瓶みたいな音楽を平気で平らげるマッチョ系ナイス・ガイです。でも、あとでステージに上がった作曲者のドアティさんの方が大男でした。
わたしもレバニラ炒め大好き。餃子も食べたい。なので、この曲が一発で好きになりました。CDとか出てないかしらね。ヴィルトゥオーゾ系のいかした(死語かしら?)ヴァイオリン協奏曲としてポピュラーなレパートリーにならないかしら。

最後は火の鳥。もちろん1945年。クリビーの演奏は土臭くなく、現代風、でもなかった、あんまり尖っていない丸みのある演奏。ほんとはもっと尖った音楽だと思うのだけど、オーケストラの柔らかな音がそれを打ち消して音楽をふわりと響かせてる。わたしとしてはつんつんに尖った方が好きなんだけどね。クリビーは出し入れをはっきりしたり、緩急を付けてダンサブルな(もともとバレエの曲だし)にしてる。一所懸命予定調和的にならないように緊張感を出している感じ。特にカスチェイの凶悪な踊りでの、あり得ないくらいのアチェレランドはオーケストラを振り切ってた。むちゃくちゃオーケストラを煽って生き生きとした音楽にしていたのはさすがダンシング指揮者。最後の8分音符での賛歌は、オーケストラの音色もあってわたし好みのスーパードライではなくドライくらいだったけど、なかなか楽しめる演奏でした。会場にはサラ・チャンさんが聴きにいらしてたようで、ツイッターで彼女、今まで聴いた火の鳥の中で1番だったと絶賛していました。
そしてなんとアンコール。曲目は分からないけどロシア系の賑やかな踊りの音楽。クリビー、サーヴィス満点の楽しい音楽会でした。家に帰ってまだ頭が痛かったけど、元気になりました。

ドアティさん(クリビーの後ろの一際背の高い人)、クリビー、グルズマンさん
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by zerbinetta | 2011-04-17 09:18 | ロンドン交響楽団 | Comments(2)