<   2011年 09月 ( 20 )   > この月の画像一覧   

問君何所之  マゼール、フィルハーモニア「大地の歌」   

29.09.2011 @royal festival hall

mahler: adagio, symphony no. 10, das lied von der erde

alice coote (ms), stefan vinke (tn)
lorin maazel / po


マゼールさんとフィルハーモニアのマーラー交響曲全曲サイクル。夏休みを挟んで、いよいよこの秋は、最後の3つの交響曲です。今日は未完に終わった交響曲第10番の第1楽章、アダージョと「大地の歌」です。マゼールさん、第10番はマーラーの書いたアダージョしか演奏してくれないんですね。わたしは、補完された全曲版が好きだし、マゼールさんならきっと面白い演奏をしてくれるに違いないと思っていたので残念です。

アダージョ、わたし的にはこれ、アンダンテだと思うのだけど(確かにコラールっぽい第1主題はアダージョだけど、序奏や無機質な第2主題とかはアンダンテだし、楽章全体を支配している気分はアンダンテだと思う。マーラーが楽譜の表紙にアダージョと書いてたとしても)、マゼールさんはもろにアダージョで演奏しました。もう最初からアダージョ。アンダンテと書いてある、ヴィオラのパートソロからアダージョ。マゼールさん、そこアンダンテって書いてあるよって教えてあげたいくらいにアダージョ。跳躍が多くて調性の曖昧な、トリルや前打音がたくさんちりばめられてる20世紀に足を踏み込んだような乾いた無機質な第2主題の部分も、テンポの対比を抑えてアダージョ気味。何か不思議な粘りを感じました。わたしにはいまいち、マゼールさんがどんなものを表出したいのかよく分かりませんでした。多分、わたしだけではなくオーケストラもよく分かっていなかったんじゃないかと。フィルハーモニアには珍しく弾くのかなり苦しんでた。何とかマゼールさんの棒について行ってたけど、つなぎ目が崩壊寸前で何とか踏みとどまってる。真ん中あたりのヴィオラのパートソロなんて見事にずれちゃって2声になっちゃってるし(わざとじゃないよね)。マゼールさん、19世紀の崩壊の瞬間を描こうとしたのかな。なんて勘ぐっちゃう。

それ以上によく分からなかったのが「大地の歌」。いえ、立派な演奏でしたのよ。最後の美しさはもうこの世のものとは思えないほどだし、これを聴いたらもう全てを許しちゃうと思ったもの。あの瞬間のために全てはあったと。
もちろんそんな訳はないんだけど。ずうっと収まりの悪いまんま聴いていました。実はマゼールさんってこの曲苦手なんじゃないだろうか。マーラーの交響曲全集を前に録音したとき、入れてなかったこともあるようだし。何かこう、音楽を分解していって、部分部分のディーテイルを描き出すんだけど、それを元通り組み立て直すのに失敗してるというか。マゼールさん、指揮棒の先で何でもできちゃうので、(マゼールさんはそんなこと思ってもないんでしょうけど)小手先で音楽を作れちゃって、心の奥にぴんと来るものがないのよね。
歌も、ヴィンケさんの歌はよく分からなかった。ヘルデン・テナーなことは分かったんだけど、合っているのかいないのか。自暴自棄よれよれの酒の歌だからこれでいいのかも知れないんだけどね。
最後の楽章がとてもゆっくりで、全体としても80分近くかかっていたと思います。ゆっくりと細部にこだわって描くやり方は、最後の楽章には良かったし、始まりにも書いたように最後の部分は本当に美しかったの。でも、その美しさはをどういう気持ちで聴いたらいいのだろう?マゼールさん教えてよ。
[PR]

by zerbinetta | 2011-09-29 09:29 | フィルハーモニア | Comments(0)

情熱と単純 カティア・ブニアティシヴィリ、ベートーヴェン、ピアノ・ソナタ3題   

29.09.2011 @jerwood hall, lso st luke's

beethoven: piano sonata op 31, 49, 57

khatia buniatishvile (pf)


BBCラジオ3が主宰しているランチ・タイム・コンサート。今日はLSOセント・リュークのジャーウッド・ホールからです。教会を改装したこのホール、LSOのリハーサルやコンサートも行われます。お昼は窓の外に木々の緑が見えるのでステキ。コンサートはベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏シリーズ。何人かのピアニストで分担です。今日は、op 31の「テンペスト」、op 49、op 57の「熱情」をカティア・ブニアティシヴィリさんが弾きます。この間のプロムスでの演奏がとっても良かったので、仕事さぼって聴きに行きました。だって有給あまりまくってるし。

ロンドンらしからぬピーカンなお天気、LSOセント・リュークの尖塔が青空に突き刺さります。ベートーヴェンをどんなアプローチで聴かせてくれるかとっても興味がありました。先日のリストやプロコフィエフとは違った音楽ですから。なんて言いつつ、ベートーヴェンのピアノ・ソナタはちっとも聴いたことがなくて全然知らないということを白状しておきましょう。

最初のop 31は、もう全くベートーヴェンらしからぬ演奏。(のように思えました) まるでこの間のリストの続きを聴いているみたい。深くて重い音で、激しい。ペダルの使い方も多分独特で、和音を残して不協和音を作ったり、大胆。でもそれらがずいぶんはまってるんです。これはこれでいいなぁと。老練な深みはないかも知れないけど、若さゆえのパッションに溢れてるし、それは今の彼女でしか、だからこそできる音楽だから大事にしたい。若年寄のような、変に分かった振りをしたような音楽なんて、若い彼女から聴きたくないもの。

op 49の小さくて可愛らしいソナタは、解説の言葉にもあったけど、シンプルで透明がゆえに演奏者の姿がはっきり出る音楽。わたしは、ブニアティシヴィリさんの演奏とってもいいと思いました。まっすぐで奇をてらわず、音符のままに音にしたような音楽。自我は控えめ。そのことが音楽の透明度を高めて、わたし的には、今日一番の演奏となりました。

op 57は、「熱情」というものの最初の「テンペスト」よりはおとなしめ。それでも十分、湧き出る想いはあるんだけどね。音楽が泉のように心から湧き出る、音楽を演奏する喜びを感じました。深刻ではない健康な音楽。まっすぐで伸びやかでそれが彼女の今なんでしょう。ベートーヴェンって、技術でどうのという音楽ではないから、音楽への深い洞察と成熟が必要。まだ若いブニアティシヴィリさんにはまだ足りないものもあるように思えたけど、それはもうどうしようもなくて、多分彼女を苦しめることもあるのかも知れない。技術的には完全に弾けるのに足りない何か。もどかしい思いをちょっぴりわたしも感じたし、彼女もきっと感じている。だからこそ、成長できると確信してる。いつか彼女の弾く、ベートーヴェンの後期のピアノ・ソナタを聴く日が来るのを楽しみにしましょう。

(ごめんなさい。曲をほとんど知らないので、いい加減な感想になってしまいました。この日の演奏は12月に放送される予定なので、ちゃんと聴いて勉強します)

窓の外に緑の気持ちよいホール
c0055376_954512.jpg
c0055376_961773.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2011-09-29 09:03 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

もしも悪魔にお願いするなら オールスター、ファウスト@ロイヤル・オペラ   

28.09.2011 @royal opera house

gounod: faust

vittorio grigolo (faust), angela gheorghiu (margurite),
rené pape (méphistophélès), dmitri hvorostovsky (valentin),
michèle losier (siébel), daniel grice (wagner), carole wilson (marthe schwertlein)

david mcvicar (dir)
evelino pidò / oroh


なんと!オールスター・キャストの「ファウスト」です。「ファウスト」ってグノーの作曲なんですね。さっきまでマスネと勘違いしてました。そのオールスター・キャスト。マルグリートにゲオルギューさん。ファウストにグリゴーロさん。さらにメフィストフェレスにパペさん。なおもなんとヴァレンティンにホロストフスキーさんまで出ているではないですか。びっくり。こんな豪勢なメンバー滅多にありませんよ。それにしてもここのところ、連日のように音楽会があって(先週は7日間に8こも!)、どうしてこんな忙しい日程にしちゃったんだろう、ファウストはしばらく前から始まっていて、もっと余裕のある日程が組めたのにって、我ながら訝しんだんだけど、会場に行って答えが。そう、今日はテレビカメラが入って、映画館に生中継されるのです。カメラが入れば、キャンセルは歌手の出にくいだろうし、歌も演技も普段以上に魅せてくれるだろうと思って、わざとこの日を選んだのでした。

「ファウスト」はだいぶ前にメトで観たことがあります。そのときはタイトル・ロールにアラーニャさん、マルグリートに今日と同じゲオルギューさんで、前半は、ファウストとメフィストフェレスの珍道中といったコミカルな趣で、でもお終いの方のマルグリートの狂乱のシーンで全てがひっくり返って感動したという想い出があるのです。あのときのゲオルギューさんは凄かった。なので今日もめちゃ楽しみだったんです。そして、大好きなパペさんや、わたしの抱かれたい男ナンバーワンのホロストフスキーさんも出ていますからね。

それにしてもメトで観た印象が、コミカルなオペラってどうしたわけでしょう。今日観たらシリアスなのに、あれれ、戸惑った。180度印象が変わるなんて。前に観たときどうかしてたのかしら。グリゴーロさんのファウストがいやにまじめなのよね。彼のまじめさが役に出てるのかしら。アラーニャさんが軽いっていう意味じゃないけど。そして、パペさんの悪魔もなんか底が知れずに恐ろしい感じ。重厚で一癖も二癖もあるような悪魔ぶりです。今日は(もちろん今日だけではないけれども)パペさんの女装姿が見られるという特典付き。これも、おかしいシーンなのに、変なオカマ役がずっしりときて笑うに笑えなかった。結構人生をまじめに考えちゃう舞台ですね。なのでわたしもまじめに考えてみました。魂と引き替えにひとつだけ願い事を叶えてもらえるとしたらどうしようか。って、結構すぐに思い浮かびましたよ。誰もが振り向く美貌。じゃなくて、何でも解する知性。じゃなくて、仕事の成功。なんて考えるほど仕事熱心じゃないので、ファウストと同じ、若返り。いえいえ、若返ってもまた同じ失敗を繰り返すだけだし、今の中身で器だけ若返ったら、女とっちゃん坊や(とっちゃん坊やの女性形ってなんだろう?)になるに決まってるんだけら、嫌だ。人生の成功なんかは悪魔にもらうよりも自分で手に入れたい。というわけで、わたしの望みはお金です!一生遊んで暮らせるお金が欲しいわ〜。そうしてわたしは楽隠居。若年寄。お金で手に入れられない大事なものがあるというけれども、そんなものは自分で手に入れたい。もらって嬉しいのはかえって無味乾燥のお金なの。使い道は後で考えればいいしね(アイスクリームとチョコレイトはマスト。あとは、電気代を気にせずに暖房をがんがん入れたいし、あっそうだ、オペラもバレエもプレミアム・フレンズ会員になって安くていい席をたくさん買いたい。ほらね、お金はいろいろ便利なのよ。なんて、味も色気もないこといってますけど、まずは悪魔だわ。パペさんがお願い事叶えに来てくれないかなぁ。パペさんとデートするだけで満足だったり。そういえば、パペさん前にインタヴュウで、あくの強い悪役を歌いたいとおっしゃっていたけど、考えてみると彼が悪役歌うの聴くの初めてかも。聴いたのは「フィデリオ」の良いお父さんロッコだったり「トリスタン」の王様だったり、「マイスタージンガー」のマイスターのひとりだったり、いい人の役ばかり。彼のいい人ぶりもとってもステキなんですけどね。でも、今日のねっとりこってり系の悪魔も新しい魅力を見たようです。歌も相変わらず巨木の根のようにしっかりと安定していて、安心して聴けます。この人が歌っていれば大丈夫という安心感がありますね。

そして今日は、それほど重要ではない役のヴァレンティンにわたしの抱かれたい男ナンバー・ワンのホロストフスキーさん。なんかすごく贅沢というかもったいない。彼の歌はもっといい役で聴きたいな。といいつつ。彼に歌を聴けたんですからね〜、良かった。それにしても、かっこいいんだけど、何か影を背負ってるような暗さがあるのってロシア人だから?カーテンコールの時は、まだ、顔に血糊を付けてゾンビみたい。結局、パペさんとホロストフスキーさんの重厚ねちねちコンビが舞台のシリアス感を決めていたように思えます。

実は今日、印象に残った方がもうひとりいます。それは、ジーベルを歌った、ロジエルさん。全く知らなかった人で、注目もしてなかったんだけど、このオールスター陣の中にあってちっとも引けをとらなかったんです。ってか、彼女(男役だけど)が歌うたびに良い歌を聴いた気分になりました。この人、今度、「コジ・ファン・トゥッティ」で歌うんですね。コジはまだチケット買ってないけどどうしようかな。あのプロダクション好きだし聴きたいなぁ。と、オールスターの4人以外のひとりを褒めちゃったけど、実は、他の歌手もみんなとても良かったんです。今日の歌手陣はもう言うことなし。これだけ充実するのは世にも珍しいわね。

お待たせしました、主役のおふたり。ゲオルギューさんはこの役とっても合うと思うんです。始めに書いたようにメトで聴いたときも良かったし、今日もとっても良かったです。彼女のトスカよりも好き。狂乱の場も良かったけど、今日は最後の場面がすごく良かった。とっても強い歌。全てを凌駕して救いが訪れる場面、彼女の声の強さはハンパじゃなかった。物語としては、結構とってつけたようというかあまり説得力がないんだけど(マルグリートって決して悲劇のヒロインではないし、ただの捨てられた女。でも、何故か最後唐突に救われるんですね)、ゲオルギューさんの歌の力はそれを打ち消すだけの力がある。強いよ強い。この歌がずうっと耳に残ってしまいました。

タイトル・ロールのグリゴーロさんは、前回の「マノン」がとっても良かったのでうんと楽しみにしてました。なんか演技が濃ゆいの。必要以上にエネルギーに満ちあふれていて、熱を発散してる。もうちょっと自然にっても思うけど、わたしはこれで若者っぽくて好き。歌も好きだわ〜。歌いまくるとばかりに歌い倒す。ってかもう歌なのよね。有無を言わさず。声も典型的なイタリアン・テノール。イタリア人の歌う感覚には特別なものがあるんだと思う。歌うために生まれてきた人たち。オペラって四の五の言わずに歌なのよ。はっきり言っちゃうと、わたしはカウフマンさんより好き。ってか今一番のリリック・テナーじゃないかしら。

そして今日もオーケストラ、そして合唱も良かったです。指揮者のピドさんにもブラヴォー。最近劇場通いはバレエづいてるけどこういうの観ちゃうとオペラも見逃してはいけないと思っちゃう。

ゾンビ、ホロストフスキーさん もちろん抱かれたい♥
c0055376_8474384.jpg

悪魔、パペさん わたしのお願いも聞いて♪
c0055376_8482625.jpg

珍しく短髪のゲオルギューさん
c0055376_849533.jpg

濃ゆい歌うたい、グリゴーロさん
c0055376_8494035.jpg

指揮者のピドさん
c0055376_8501687.jpg


カーテンコールではみんなはっちゃけてました。特にグリゴーロさん。映画を観てるファンにサーヴィス? 赤い上着をとると、Tシャツに、「チャオ・マンマ・エ・パパ」だって。そして背中は「アイ♥ロンドン」。お茶目すぎます。
c0055376_8504916.jpg
c0055376_8511550.jpg
c0055376_851416.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2011-09-28 08:46 | オペラ | Comments(2)

 瞬間への凝集 ロイヤル・バレエ リハーサル   

27.09.2011 @linbury studio theatre/roh

rehearsal -marguerite and armand

zenaida yanowsky, federico bonelli
jonathan cope (ballet master), robert clark (piano)


ロイヤル・バレエのリハーサルを観てきました。ゲネプロではなくて、まだ衣装ではなく、ピアノの伴奏で踊りを作るところ。ダンスのコーチが修正していきます。ロイヤル・オペラ・ハウスのリンバリー・スタジオやクロア・スタジオで行われるリハーサルは人気があってなかなかチケットが取れないんです。内容も行くまで何をやるか分からず、何回か行ったことのある人の情報だと、日によってまだ振り付けし始めだったり、完成間近だったりいろいろあるそうです。今日は10月12日に初日を迎えるボネリさんとゼナイダさんのペアの稽古。嬉しいのは怪我でジュエルズを降板したボネリさんが復帰すること。ジャンプはまだ本気で跳ばずに、位置だけを確認するにとどめるようにとコーチに言われてましたけど(素人目にはかなり跳んでいるように見えましたけど)。指導するのはコープさんです。演目はマグリートとアルマン。椿姫の物語です。音楽はなんとリストのピアノ・ソナタ。今日はピアノで弾かれましたけど、本番はオーケストラ編曲? ちょっと怖いもの聴きたさです。

コープさんが指導していくのですけど、実際は、さすがプリンシパルのペア、彼らが積極的に作っていってコープさんは微修正。まだ、細かなステップの入りとかの打ち合わせはあるけど、おふたりとも技術的には踊れているので、二人で合わせるときの足の位置とか顔の向き(ゼナイダさん、わたしの方が(背が)高いからどうしようか、なんて言ってました)、踊り出しのタイミングとかをまず合わせていました。それ以外はほとんど芸術的な修正。ボネリさんの方がもうしっかり役が入ってる風なので、ボネリさんがこうしたいとかこうした方がいいとかきびきびと意見を出して、ゼナイダさんは受ける感じ。前にゼナイダさんのゲネプロを観たとき、上手くいかない部分があって思いっきりシャウトしたのを観たことがあったので、ゼナイダさんって激しい人だなって印象があったのだけど今日は大人しかったです。で、ちょっと確認してみたら、ゼナイダさんこの役初めて踊るんですね。これから本番に向けて役を作っていくのでしょう。コープさんも芸術的な意見を言いながら、形を見せたり、抱きついたり、熱血指導でした。
リハーサルを観て感じたのだけど、やはりリハーサルと本番では違うんだなって(当たり前のことだけど)。もちろんリハーサルとはいえ、技術的にはきっちり踊っているし、表現も付けてるんだけど、修正していかなければいけないから、力を抑えて客観的に観ているふう。これが本番になると役にのめり込んでいくから発散されるエネルギーが違うんです。本番を踊るというのは凄まじいことなんだなって改めて確信しました。
それにしてもステキなバレエになりそうな予感。椿姫の物語をリストの30分ほどの音楽に凝縮するなんて。会場からの質問に答えて、ゼナイダさんがおっしゃってましたけど、数秒の間に長い時間がたったり、フラッシュバックがあったり、時間を超えた表現をするのが難しいとのこと、確かにその通りだと思いました。でもそれができるのがバレエなんですね。もちろんそれには研ぎ澄まされた表現力が必要だろうと思うんですけど。あの曲でバレエ?なんて最初思ってましたが、リハーサルを観てたら、音楽とバレエが結びついちゃって、きっと本番を観たら、バレエを思い出さずにこの曲を聴くことはできなくなるかもしれない。それは困ったことなのですが。でも繰り返し回帰されてくるテーマが物語の中でどんな役割を持って変容していくのか楽しみです。

わたしリハーサル大好きだし、こういう創造の途中経過を観ることができるってとてもステキです。ほんの一部だけれども、ダンサーたちの考え方や作り方を知ることができてほんとに興味深い。ただ、難点は、会場が小さいのでチケットがとっても取りづらいんですね。わたしも今日のはやっとこさ取りました。
こうしておふたりのを観ると、これからどう作って、本番はどう踊るのか想像するだけで楽しくなってきます。がーーーーん。なんと!わたし、このおふたりの日のチケット持ってないぢゃありませんか。うわわわん。
[PR]

by zerbinetta | 2011-09-27 09:02 | バレエ | Comments(0)

男らしい音楽 フレイレ、ゲルギーのブラームスピアノ協奏曲第2番   

25.09.2011 @barbican hall

brahms: piano concerto no. 2
tchaikovsky: symphony no. 4

nelson freire (pf)
valery gergiev / lso


ロンドン・シンフォニーも今日開幕! (数日前に、チャイコフスキー・コンクールの優勝者を迎えての音楽会があったのでそちらが開幕なのかもしれないけど、わたしは行かなかったし、特別な音楽会な気がするから、わたし的には圧倒的に今日開幕)
今日はフィルハーモニアもシベリウスの「クレルボ」で開幕しているのですが、後ろ髪を引かれつつ、ゲルギーのチャイコフスキー交響曲シリーズは全曲聴きたいなと思ったのでこちらを選択。去年もかぶってたけど、去年はゲルギーのマーラーを蹴ってサロネンさんのトリスタンを聴いたので、おあいこと言うことで。

ゲルギーのいわゆる古典、独墺の作曲家(ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンやブラームス)の管弦楽作品を聴くのは多分初めてです。これ、調べてみたら、ゲルギーってほとんど演奏したことがないんですね。今まで、オーケストラの指揮者といったら、特にオーケストラに主席指揮者などのポジションを持っていてオーケストラ全体のプログラムに関わってる人は、モーツァルトやベートーヴェンは欠かせないなんて思っていたのだけど、ゲルギーは違うんです。(マリインスキーでもそうらしいから)わざとそういうレパートリーを作っているんですね。考えてみれば賢い選択。自分が得意の分野でとことん勝負できるのですから。ゲルギーが好んで取り上げるロシアの作曲家やフランスの作曲家だけでも広大なレパートリーがあるわけだし、今更、独墺のみがクラシックの王道なんて言うのは馬鹿げてる(反対を考えると分かりやすいです。ハイドンやベートーヴェンが得意な人が敢えてチャイコフスキーやタコを上手に振れる必要はないっていうこと)。それはそれが得意な人に振ってもらえばいいわけだし、ロンドン・シンフォニーにはコリン・デイヴィスさんという総裁がいらっしゃるのだから。ロンドン・シンフォニーはきれいに住み分けてますね。

で、ゲルギーには珍しいブラームスのピアノ協奏曲第2番。どんな演奏になるんだろうとわくわくして聞き始めました。始まりのホルンの柔らかいのんびりとした音とピアノの柔らかい音色から、ふむふむほんわか系かと思ったら違った。始めはお風呂にのんびりとつかっているような気持ちのいい音楽だったんです。それを聴きながらゲルギー、違うよこの曲は、もっとごつごつした男らしい曲なんだよって、何回か音楽会で聴いて付けた知識を心の中でゲルギーに教えてあげようとしてたんですが、途中でピアノがフォルテシモで弾くところから、音がものすごく強靱になって、わたしの想像を超えて男らしい音楽になったんです。
ここで脱線。男らしい女らしいという表現ですが、女らしくないわたしが言うのもなんですが、男には男の女には女の特徴というか良さも悪さもあってそれは違うものだと思うのですね。もちろん、男と女の境は曖昧で、連続すらしているのですが、でも、一般的にいいか悪いかは別にして男らしい、女らしいとしか表現しようがないというか、そういう表現がふさわしいことがあると思うのです。熱心なフェミニストの人からは怒られそうですが、わたしの貧困な語彙力では、他にふさわしい言葉が見つかりませんでした。今日のブラームス、わたしには一言男らしいとしか言いようがなく他に言い換えられる言葉も見つからなかったし、むしろ積極的に男らしいと表現したくなるような演奏でした。
はい。脱線終わり。ピアノのフレイレさんの強音はピアノ線の弦の音がびんびんと響く感じで、音色は、ポゴレリッチさんに似てたのです。もうそれが絶え間なくてさっきのほんわか気分はどうしたの?と言いたい感じです。ゲルギーのオーケストラも負けず劣らず漢って感じで、不協和音もそのままびんびんぶつけた感が、からりと吹っ切れていて気持ちいい。それにオーケストラの充実。特に今日はチェロとアリーナのお父さんの率いるコントラバスのセクションががんがん弾いていて良かったです。
第2楽章も同じような雰囲気。ざくざくと少し湿った新雪を踏みしめながら歩く気持ちよさ。この楽章が終わって、一部のお客さんから拍手が起こったけど、すぐまわりの人が制して静かに。わたしはもちろん拍手はしなかったけど、ここで拍手はありだと思いました。だって音楽も演奏もここで句読点が打たれたんだもの。

第3楽章からは打って変わって優しい世界。でも男の優しさかな。フレイレさんの音色もとっても柔らかくて(といっても輪郭がぼんやりしているわけではなく、あめ玉の柔らかさ)、意外とロマンティック。そしてチェロの独奏のなんとステキなこと。たっぷりと分厚くって、でも風通しが良くて暑苦しくない、大きな音楽。第4楽章は、軽快で木管楽器の明るくて伸びやかな音色のきれいなこと、秋の空にひかるトンボの羽。
ゲルギーのブラームス、ちょっと男っぽい味付けだけど、思いの外良かったです。できたらベートーヴェンの交響曲第5番とか第2番とか聴いてみたい。
フレイレさんも、音色の幅が広くて強靱な音からロマンティックな音まで自在で、知らない名前の人だったけど、凄いピアニストがいるんだなぁってびっくりしました。アンコールで(ゲルギーが促してた)弾いた、ロマンティックな小品(残念ながら誰のなんという曲か分かりませんでした)がめちゃステキでした。第1楽章であんなにがんがん弾いていた人とは別人の繊細さ。

後半はいよいよ、チャイコフスキーの番号付き交響曲シリーズの第4弾。交響曲第4番。去年のシーズンの第3番までは2回ずつの音楽会で録音されてCD化されると思うのだけど、今日はマイクなし。後期交響曲はすでにマリインスキーと録音しているからロンドン・シンフォニーとの録音はなしなんでしょうか。もったいない。
その交響曲第4番、最初のファンファーレから圧倒されました。1音ずつ下りてくるところのホルンからトロンボーンへの引き継ぎ。びっくりするほど完璧に2つの楽器が解け合って、さすがロンドン・シンフォニーだなって思いました。第1楽章は、現実の世界というより、夢の世界のように感じました。というか現実が分からなくなる。雪の降り続く夜にひとり歩いてると、これが現実なのか夢の中なのか分からなくなってくることがあります。寒さが眠気を誘って、あちらの世界に引き込もうとするんですね。そういう薄膜を被って世界を見た感覚。クラリネットのソロで始まる主題も、酔っぱらいの千鳥足のようにぎくしゃくした感じを表現していました。この楽章ではゲルギーはかなり細かくオーケストラに要求していたように思います。オーケストラがそれにちょっとついて行けてないのも珍しく感じました。ゲルギーの要求が高すぎるのであるけれども。
わたしはこの曲が大好きで、聞き込んでいた時期があって、どうやら脳内にわたしのイメジができてしまっているようです。ゲルギーの演奏はそれにものすごく近いのですが、その近さのゆえに微妙なずれがかえってとまどいを感じさせる結果になってしまいました。全然違ったものならば始めから違うものとして聴けたのですが、近いがゆえの悲劇。なので、曲の途中まで少し混乱してしまっていました。聴き進むうちに何とか修正して上手に聴けるようにはなったのですが。
とはいえ、大好きなとっても良い演奏でした。やっぱ、こういう曲はオーケストラが上手いといいですね。そしてゲルギーの確固としたチャイコフスキー。一点の揺るぎもない自信に溢れる演奏。ロンドン・シンフォニーも開幕からわたしを打ちのめしてくれました。これから何度こんな気持ちになるのでしょう。もう楽しみすぎて心がはち切れそうです。
[PR]

by zerbinetta | 2011-09-25 07:32 | ロンドン交響楽団 | Comments(2)

ユロフスキさん、シャツアイロンかけた方がいいよ プロメテウス祭り w lpo   

24.09.2011 @royal festival hall

beethoven: the creatures of prometheus
matthias pintscher: mar'eh for violin and orchestra
liszt: prometheus
scriabin: prometheus, poem of fire

julia fischer (vn)
igor levit (pf)
vladimir jurowski / lp choir, lpo


快調に飛ばしていくロンドン・フィル。今日はプロメテウス祭り。またまたマニアックなプログラミングです。でも、アバドさんもベルリンでやらなかったっけ?もちろん曲目は違うでしょうが。

わたし的に嬉しいのは、ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」(抜粋)が聴けること。全曲は聴いたことないけど結構好きなんです。特に最後は英雄の主題が出てきて嬉しくなっちゃう(この音楽を後にベートーヴェン自身が英雄交響曲の最終楽章の主題に転用したんですね)。それにしてもこの曲、バレエの音楽だったのですね。知らなかったぁ。あの苦虫をかみつぶしたような顔のベートーヴェンがバレエの音楽を書いてるなんて意外。そしてこの曲を苦虫をかみつぶしたようなユロフスキさん(ときどきにやりと笑うんですけどちょっと不気味)がとってもステキに演奏してくれました。やっぱりユロフスキさんの古典はいいなぁ。ピリオド系の演奏もしっかり勉強してらっしゃるけど(ハイドンではしっかりピリオド系のアプローチ)、それにとらわれすぎることなく、現代楽器の美質もしっかり踏まえてる。まあ、今更、ピリオドだのモダンだのとぴったり区別を付けることはないんですけどね。ユロフスキさんのアプローチは現代のひとつの指針になるのではないでしょうか。今日のベートーヴェンも溌剌として音楽が活きて踊ってるし、決して苦虫をかみつぶしてないんですね。オーケストラもフルートのマーティンさんを筆頭に大活躍の管楽器のソロがみんな上手かったです。

2曲目はドイツの作曲家マティアス・ピンシャーさんのヴァイオリン協奏曲。ルツェルン音楽祭、フランクフルト・オペラ、ロンドン・フィルの委嘱作品です。イギリス初演。これは、プロメテウスのタイトルがついてないけど、聴いてておやっと思いました。ノーノの「プロメテウス」に似てるんです。プログラム・ノートを読んでみると、ノーノの想い出に書いているのですね。ヴァイオリニストは、ユリア・フィッシャーさん。彼女の持ち味の芯のしっかり通った力強い美音で弾いていました。でも、実はなんだかよく分からなかったんですね。ずうっと同じようなテンポで、同じような感じで続くとちょっと退屈してしまう。ノーノの曲も同じような感じだったと記憶しているけど、あちらは音楽の求心力が高くて飽きずに聴けたんですけどね〜。

休憩のあとは、リストの交響詩第5番「プロメテウス」。あまり演奏されない曲みたいでわたしも初めて聴きました。ところどころステキな部分は聴かれるけど、なんだか焦点の定まらない感じで、演奏機会が少ないのも分かる気がしました。でも、演奏は良かったんですけどね。

最後のスクリャービンの「炎の詩」はとっても楽しみにしていたんです。だってスクリャービン好き。この曲も滅多に演奏されませんから。そして今日は、色彩効果付き。スクリャービンは音を聞くと色が見えたそうで(先天的にそういう人がいるのです。音楽家で有名なのはメシアンやグリモーさん)、この曲は、色光ピアノ(照明をピアノの鍵盤で操作するそう)を使うように書かれてるそうですが、今日は、会場の照明を使って光の効果。なので演奏者の人たちはみんな白シャツ。そしてステージの上にはスクリーン。ライトニング・デザイナーはルーシー・カーターさんです。
ユロフスキさんが出てくるともちろん白シャツ。ううん、シャツには折りたたみの跡が。。。ちゃんと吊しておくか、アイロンをかけないとね。そんなところが母性本能をくすぐります(ウソ)。それにしてもがんがん鳴らしてましたね〜。音のシャワーが気持ちよいくらい。ユロフスキさん、前半のベートーヴェンのさくさくした歯触りの音楽作りから一転して、ものすごくねっとり。ウワバミがのたうつように、音楽が蛇行しながら進みます。でも、音が停滞しないので流れる勢いがあって、その勢いに乗って、どちらかというと難解でつかみ所のないこの曲を、どうだとばかり聴かせてしまう力わざ。光の色がカラフルに切り替わる効果も合わせて珍しい音楽を楽しめました。ユロフスキさんには交響曲第3番も演奏して欲しいな。わたしが一番好きなスクリャービンなので。で、ついでに、プログラムは前半にパルシファルの前奏曲と聖金曜日の音楽、後半が交響曲第3番で。オーケストラの編成は違うけど、ドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗な舞曲」を挟んでもいいなぁ。
ユロフスキさんとロンドン・フィル、今日も快調で、これからがますます楽しみです。
c0055376_7595692.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2011-09-24 19:53 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

何でここにいるんだろう? ユフィさん @ジュエルズ   

24.09.2011 @royal opera house

emeralds -fauré

roberta marquez, valeri hristov, mara galeazzi, bennet gartside, etc.

rubies -stravinsky

yuhui choe, ricardo cervera, laura mcculloch

diamonds -tchaikovsky

marianela nuñez, thiago soares, etc.

george balanchine (choreography)
valeriy ovsyanikov / oroh


ジュエルズ、2回目です。バレエはなるべく違うキャストでも観ておきたい、という欲望がとどまることを知らなくて。だって、踊る人が違えば全然違ったものになるんですもの。ジュエルズは今回、2組のキャスティングです。前回のキャストはプリンシパルを揃えたオールスターだったのに対して、今日のは少し小粒。プリンシパルは、エメラルドにマルケスさんとガレアッツィさん、ダイヤモンドでマリアネラさんとティアゴさんのペアだけです。あとはファースト・ソロイストやソロイストの人たちが固めます。でも、いいんです。だってわたしマリアネラさん大好きだから。彼女を観るだけでも価値があるというものです。そして、ユフィさんが主役を踊るのも楽しみです。このキャストでの開幕でもあります。

エメラルドはやっぱり難しい演目ではあると思います。ゆっくりとした優雅なバレエなので一見易しそうなのですが、かなり複雑なステップで素人のわたしが言うのもなんですが、難しそう。マルケスさんは、それをとっても大事に丁寧に踊っていました。パートナーのフリストフさんも控えめにそれを支えて、穏やかな雰囲気を醸し出します。マルケスさんって、ときどき書いてるけど、プリンシパルの中ではいろいろ言われることの多いダンサーですが、わたしは結構好きです。圧倒的に上手いというわけではないのだけど、でもやっぱりプリンシパルなんだなぁというものをふんわりと持ってると思うんです。わたし自身、凄いものを観て感動させられたこともあるし。
ガレアッツィさんは、怪我からの復帰。夏にO2スタジアムでジュリエットを踊る予定でしたが、それもキャンセル。というわけでドキドキ。実はこの方、わたしまだ、ちゃんとは観たことがないのです。でも、春に都さん主宰の日本の津波被害のためのチャリティ公演で観てステキな人だなと思っていました。今日は、なんだか抑えてる感じで、前に観た切れはないなぁって感じました。怪我の影響かしら。ゲネプロを観た友達はとても良かったと言っていたので、今日がたまたま遠慮がちな日だったのかもしれません。バレエって同じ人でもほんのちょっとの体調や心の波で踊りが左右されてしまうので、同じ踊り手でも何回か観ないといけませんね。とまたまた散在の方向ですが。。。プリンシパルともなれば毎回安定してステキな踊りを見せてくれるのですが(今日のガレアッツィさんもその基準には達していました)、そこはやっぱり人間、神が下りてきたように素晴らしい日があるのです。それを観てしまうと、それは滅多に観られないことだけれども、もう一度と思っちゃうわけですね。

ガレアッツィさんとガートサイドさんのペア
c0055376_8153442.jpg

マルケスさんとフリストフさんのペア
c0055376_81676.jpg


ルビーは、ゼナイダさんが踊っていた役をマカロックさんが踊りました。前回のゼナイダさんの踊りが圧倒的にステキで頭に残っているので、マカロックさんには不利なのですが、ぱきぱきした切れで踊ったゼナイダさんに対し、マカロックさんの方は流れる感じ、この曲には切れのあるリズムの方が合うんじゃないかな。でも、彼女も技術的に十分なものを持っているし楽しめました。バランスでちょっとふらついて足をついちゃったけど、そのあとのバランスの緊張が手に取るよう。わたしも一緒にドキドキしちゃった。もちろん上手くいったのですけどね。
で、今日圧倒的に良かったのが、ユフィさん。もう切れまくり。久しぶりにユフィさんの凄さを観た気がしました(いつも上手いんだけど最近大人しかったので)。やんちゃな感じで、はつらつと踊っていて、しかもお顔の表情が凄くいいんです。にこやかに笑ったりすねてみたり、表現力がハンパではない。彼女どうして、ファースト・ソロイストなんだろう。今すぐプリンシパルでもちっともおかしくないと今日は思いました。プリンシパルに上がる日は近いと思いますし、本当にそうなって欲しいです。

真ん中がマカロックさん、右にユフィさん
c0055376_817080.jpg

ユフィさんとセルヴェラさんのペア
c0055376_8173839.jpg


最後のダイヤモンドは、やっぱりマリアネラさんとティアゴさんでしょう。マリアネラさんの踊りはいつも華やいで幸せな気持ちになります。この演目にぴったり。そして最近わたしの中で注目度が上がってるティアゴさん。いつもニヒルな感じの顔をしてるけど、最近その中にひょうきんだったり、可愛らしかったり、表情を見つけることができるから。それにやっぱり踊りが上手い。この幸せペアは、今シーズンどれだけわたしを幸せにしてくれるでしょう。

コールドの人たち
c0055376_8181180.jpg

セカンドの人たち、真ん中にひかるさんその右に平野さんが見えます
c0055376_8191220.jpg

マリアネラさんとティアゴさん
c0055376_8194316.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2011-09-24 08:14 | バレエ | Comments(10)

アンコールでなくちゃ アリーナ・イブラギモヴァ&セドリック・ティベルギアン リサイタル   

23.09.2011 @wigmore hall

debussy: violin sonata
lekeu: violin sonata
szymanowski: mythes
ravel: violin sonata in g

alina ibragimova (vn), cédric tiberghien (pf)


実はこの音楽会、はじめ行く気はなかったんです。どの曲もすでに聴いたことがあったから。さすがに、ファンでプチ追っかけとはいえ、軟弱者だから、この忙しいさなかに(この1週間は結果7日で8音楽会です)、1日休みの日が欲しいなって。でも、やっぱりそこは追っかけ。それに、音楽会は生き物。同じ曲を演奏してもいつも同じではありません。若い彼らのこと、日々伸びていく成長もありますし。というわけで、聴いてきました。そしてそれはもう本当に大正解でした。素晴らしい音楽会だったです。

まずはドビュッシーのソナタ。去年の秋にも聴きましたがこれが最近出たCDに入ってないって残念。素晴らしく冴えた演奏で、涼しげな月光浴に連れて行ってくれます。ヴィブラート控えめのアリーナの音色、寒色系に固く弾けるセドリックの音色がぴたりと音符に精をあたえて生きた音楽が生まれます。おふたりの音楽性がぴったり。順番は逆になりますが、あとに演奏されたシマノフスキの「神話」も、こちらはより神秘性が漂いますが、同じ味わいがします。シマノフスキの方はそれに加えて、ごつごつした現代的な弾き方や超高音、トリル、ハーモニクスなど技術的にとっても難しそうだけど、さすが現代曲得意のアリーナ、憎らしいくらい余裕を持って弾いていました。そして今日は不思議な現象を目の当たりにしたのです。そのひとつめは、ヴァイオリンの音がヴァイオリンから聞こえてこないのです。シマノフスキ♥のわたしとしては、ぜひ、協奏曲も聴かせて欲しいです。

ルクーのソナタはまさに青春。実は最近、アリーナのリサイタルやCDを聴いてきて、セドリックのピアノに惚れているのです。ルクーのソナタでは、ヴァイオリンがテーマを最初に弾き終わったあと、ピアノの音がぱらりと弾けるところのセドリックのピアノが大好きなのです。というわけで今日はわたしの耳はセドリックに行ってたはずなんですが、アリーナの強烈な求心力でむしろアリーナにぴったり張り付いてしまいました。今日のアリーナ、今まで聴いてきた中でもベストと言えるくらい(いつもそう思ってるんですけどね)の燃焼ぶり。この曲を去年初めて聴いたとき、アリーナとセドリックの熱い演奏に、あああ夕日に向かって走る青春だなって思ったんですけど、CDに録音されたスタジオ録音の演奏はちょっとお行儀が良くて、夕日に走る感がないのでちょっぴりがっかりしてたんです。でも、今日のはもう、燃えまくり、走りまくり、がんがんに弾きまくり。アリーナもセドリックもライブで燃えるタイプなのかしら。あああ、できることなら今日の演奏をCDに残して欲しいわ。

そしてお終いに、ラヴェルのト長調のソナタ。ルクーのと同じ、聴くのは3回目です。こちらは都会的な洗練さがあって、でもジャジーな部分では場末感もあって面白い曲。アリーナの演奏は、少しずつ変わっていってるように感じています。特に、ジャジーな部分をどこまで汚せるかに耳をそばだてているのだけど、だって、アリーナの演奏はそんな部分でもとってもきれいで少しつんとした感じでもうちょっとと思う部分もあったから、今日は、やっぱりきれいな音なんだけど、結構大胆に表情を付けていました。25歳のトップランナーに阿婆擦れた感じを出せというのも酷なんですけどね。でも、こういう年齢と共に表現が変わっていくだろう音楽をリアル・タイムで時を重ねながら聴き続けていけるのは楽しみです。今でも極上のラヴェルであることには変わりないんですけど。

プログラムはこれで終わり。
で、アンコールになんと!ツィガーヌ! これがなんだかもうとっても凄くて。今までのは譜面を見て弾いていたのだけど、これは暗譜。そして、アリーナって弾くとき首をちょっと前に出す感じで猫背気味に弾くのだけど、正面を向いてヴァイオリンを高く上げ気味に構えて。音が出た瞬間、アリーナが大きくなったように見えました。これが今日の不思議その2。ほんとびっくりしたんです。幻じゃなくて実際大きくなったように見えたのですから。アリーナの音楽から発散される強烈なオーラがそう見せているのでしょうか。オーラをまとった音楽は、ばかみたいに凄かったです。前半はずっとヴァイオリンのソロなのでアリーナはたっぷりとした太い音で自在に弾きまくり。今日のアリーナ、艶やかな低弦の音が鳴りまくっていて、それに支えられる音楽がとにかくもうエキサイティング。ピアノが加わったあとはセドリックと二人でむちゃ盛り上がっていました。そのままわたしも熱い拍手。今日の音楽会は、もう今シーズン最高のひとつとシーズンが始まったそばから言っちゃってる凄さだったんですが、その最後を飾ったツィガーヌにもう本当に感動しました。きっと、アンコールだったというのも良かったんですね。音楽会が一応終わって気持ち的なたがが外れて、抑えることなく思いっきり弾きたいように弾きまくった感じでしたらから。それがこの曲に合っていたと思うんです。

音楽会のあとにはサイン会がありました。わたしは帰ろうかなと思ったのですが、トイレでちょっと考え事をして上がってきたら列が短くなっていたのでちゃっかりプログラムにサインをしてもらいました。写真も撮らせてもらいましたよ。
c0055376_1842428.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2011-09-23 18:41 | 室内楽・リサイタル | Comments(2)

6000マイルの彼方から再び シルヴィ・ギエム   

22.09.2011 @sadler's wells

6000 miles away

ek / forsythe / kylián

sylvie guillem
nicolas le riche, aurélie cayla, kenta kojiri


7月にも観たギエムさんの6000マイル・アウェイ、また観ました。7月に観たとき感動して、もう一度観なきゃと思ってすぐにこの再演のチケット取ったんです。ギエムさんは、観る機会があるならば、決して見逃してはいけないダンサーのひとりだと思います。正直、踊りの内容はちゃんとは理解できていないと思います。でも、踊りそのものに感動してしまうんですね。どうしてこんな動きが可能なんだろう?と思わせるような身体の柔らかさ、手指の彼方までコントロールされている動き、それだけで美しいし、踊りのことがよく分からないわたしでも心の底から込み上がってくるものがあって感動してしまうのです。

前回は、踊りの意味をつかもうと一所懸命、頭で観ていました。ギエムさんも初めてだったし、彼女の踊りの意味を探りたかったのです。でも、今回はそれを放棄しました。素直に踊りを観て楽しもうと思ったのです。あっでも半分はウソ。このところ立て込んでて忙しくてへろへろだったのと、友達のお別れ会ですでにビールを飲んじゃってたのでそうなってしまいましたのです。

落とされた照明の中で、男女二人のダンサーで踊られるフォーサイスさんの「リ・アレイ」は、かくかくと直線的で抽象的な動きの連なり。その連動が、全く無駄のない研ぎ澄まされた動きで美しいの。超高性能な機械がその機能性ゆえに美しいみたいに。フィスラーのお鍋かな(超高性能な機械がなぜフィスラーのお鍋なのかはおいといて。わたしにとっては美しいもののひとつです)。ギエムさんとニコラ・ル・リシュさんの踊りは、人の関節がここまで曲がるのかと思わせるようなすごい動きで、静かに淡々と時を刻む秒針のよう。やっぱり凄い。

キリアンさんの「27分52秒」は、抽象的ながら物語性も感じられます。踊ったのは前回と同じ、オーレリー・カイヤさんとケンタ・コジリさん。今日はもう彼らの動きをうっとりと見つめるだけにしました。わたしはバレエは物語が好きなのですが、物語のない動きや形そのものを楽しめる目が芽生えてきたのは嬉しいです。たぶん、作り手は踊りの中に意味や物語性を隠し入れてると思うのだけど、敢えてそういうものを考えないのも見方のひとつじゃないかって思います。今はまだ初心者のなのでいろんな見方を経験したいです。
c0055376_20423768.jpg


最後のエクさんの「バイ(bye)」は、ギエムさんのひとり語り。ただ、舞台の後ろの方の大きな姿見のようなスクリーンを使って犬や人々を映し出すので奥行きは深いです。これは物語のある抽象。等身大の(いや、むしろダサイ)女の子が家を飛び出していろいろ格闘して、最後はまた家族の中に戻る、もしくは永遠性を持つファミリー・ツリーの中に還元されるお話だと思うのだけど、とっても共感できるのです。そして最後の平安さがとっても心にすとんと落ちて感動するのは、まだそこには至らない現実でもがき中のわたしには、最後に希望が与えられてほっとするからでしょうか。つながっているものを失わないようにしなくちゃ。
c0055376_2043792.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2011-09-22 20:41 | バレエ | Comments(0)

ロンドンのお客さんステキ! ユロフスキ&LPO ムソルグスキー・トリビュート   

21.09.2011 @royal festival hall

mussorgsky: night on a bare mountain (original)
mussorgsky / zimmermann: in the village; on the southern shore of the crimea
raskatov: a white night's dream (homage to mussorgsky)
zemmermann: stille und umkehr
mussorgsky / raskatov: songs and dances of death

sergei leiferkus (br)
vladimir jurowski / lpo


オーケストラは、我らがユロフスキさんとロンドン・フィルハーモニックが先駆けて開幕。一昨年はマーラーの交響曲第2番、昨年は第3番とマーラーの大曲で開幕していましたが、今期はなんと、ムソルグスキー! しかも、「はげ山の一夜」のオリジナル・ヴァージョン、ツィンマーマン編曲によるピアノ曲、ラスカトフさん編曲による「死の歌と踊り」。その合間に、ツィンマーマンのオーケストラ・スケッチ、ラスカトフさんの「白夜の夢」の初演が挟まるという、意欲的というかマニアックなプログラム。「展覧会の絵」が入らないという潔さ(ラヴェル編曲じゃないマニアックな「展覧会の絵」はそれはそれでいいけど(わたしは他に2種類聴いたことがあります)。お客さんの入りはまあいい方だけど、満員というわけにはいきませんでした。
シーズン始まりって独特の雰囲気がありますよね。久しぶりに顔を合わせる近所のお客さん。ロンドンの音楽会は1シーズン同じ席でというシーズン・チケットの売り方をしていないので、隣の席がいつも同じ人ということはないのだけど、いつも近所にいる人は何人かいるのです。わたしは、声をかけないけど、顔を見知っている人には心の中で、こんにちは。またよろしくお願いしますって言いました。仲間が集まるという感じで嬉しいのです。

まずは「はげ山の一夜」オリジナル。大好きなんです。ムソルグスキーの音楽のかっこいいのなんの。広く演奏されるリムスキー=コルサコフの編曲(編曲元はこのオリジナル版ではなくて合唱の入る版)の艶やかでセンスのいい、言い換えれば毒を抜いたのよりも断然好き。そして、ユロフスキさんの演奏はまさにその音楽。わたしにこの曲を教えてくれたアバドさんのCDの演奏がスマートで都会的に聞こえるほどごつごつして野暮で粗野。曲の構成とかテンポの動きとか不器用なところを不器用なまま表出した感じ。ゆで卵を一所懸命立てたような不安定感。それがいいんです。わたし的にはつかみOK。ってか最高。

次は、ムソルグスキーのピアノ曲2曲をツィンマーマンがオーケストレイションした小品。全く知らなかった曲です。ムソルグスキーのピアノ曲って展覧会の絵くらいしか知らないし、彼がどんな曲を書いてきたのかすらあまりよく知らないのです。でも、穏やかでとっても美しい音楽でした。

そしてその次に、ツィンマーマンのオーケストラ・スケッチ「静止と反転」。弦楽器がヴァイオリン1、ヴィオラ1、チェロ3、コントラバス3の変則編成で、打楽器や管楽器のソロが加わる小さなアンサンブルのための10分くらいの音楽。ツィンマーマンは初めて聴く作曲家ですけど、これがもう本当にむちゃくちゃ良かったの。雨がしとしと降る音でかえって静寂さが強調されるように、楽音で静けさが奏でられる音楽。曲もステキだし、演奏も相当ステキで心から感動しました。それはなんと、会場にいた人たちも同じようで、びっくりすることに、こんな耳に優しい音楽とは言えない音楽に、心のこもったブラヴォーが何回も。ユロフスキさんは楽譜を掲げて音楽に敬意を表したけど、ロンドンの音楽を良く知っているお客さんにも感動しました。あの拍手とブラヴォーは本物の音楽に対する尊敬の気持ちがこもっていました。

休憩のあとは、ラスカトフさんの「白夜の夢」、ムソルグスキーへのオマージュです。この曲は、ロンドン・フィルとフェラーラ、ブリュッセルの委嘱で、今日がその初演。とてつもなくたくさんの打楽器を含む大きなオーケストラのための作品です。打楽器はステージの上だけではなく、後ろのオーケストラを見下ろす合唱席にもたくさんあります。ラスカトフさんは1953年生まれのロシアの作曲家。もちろんわたしも彼の曲、聴くのは初めてです。
音楽は、耳障りな部分もなく、聴く人を拒絶する独りよがりの音楽ではないし、すぐ理解できるかと言えばそうではないのだけど、聴きやすい音楽だと思いました。たくさんの打楽器の扱いを含めてとっても良く書けてる優れた作品だとは思ったのですが、休憩前に聴いたツィンマーマンの音楽があまりに素晴らしかったので、少し力の差を感じてしまいました。

最後は、レイフェルクスさんを迎えて、ムソルグスキーの「死の歌と踊り」。しかし今日のプログラム、記念すべきシーズン開幕をちょっと無視してますね。いや、開幕だからこそこんな粋なプログラミングが可能なんでしょうか。オーケストレイションはラスカトフさん。「白夜の夢」でも使ったたくさんの打楽器とエレキ・ベースも使います。彼のオーケストレイションはムソルグスキーの雰囲気を残すというよりも自在に自分の世界でお化粧しているという感じです。わたしは、ムソルグスキーのかさかさ感のあるショスタコーヴィチがオーケストレイションしたものの方が好きですが(だってタコ好き)、第2曲のフォーク・ソング風のセレナードの伴奏にエレキ・ベースやギター、ドラムを使ってポピュラー・ソング風だったのが、上手いっ!雰囲気があってとっても良かったです。レイフェルクスさんは久しぶりに聴きましたが、背広が似合う感じで、重厚な歌は盤石です。
それにしても、最後、ラスカトフさんも舞台に上がって、ロシア人の男性が3人舞台にそろい踏みすると、なんだか濃いいなぁ。ロシア人って、勝手な思いこみかもしれないけど(友達には当てはまる)、ねっとり濃いですよね。

まあそれはおいといて、挑発的なプログラムで始まった我らがロンドン・フィルの今シーズン。これからどんなステキな音楽が聴けるのでしょう。楽しみでしかたがありません。

♬この音楽会の模様は、ロンドン・フィルのListenAgainで聴くことができます。10月12日までです。ぜひ。
[PR]

by zerbinetta | 2011-09-21 07:52 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)