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巨匠の音楽 フィッシャー、デュトワ、ロイヤル・フィル   

30.03.2012 @royal festival hall

beethoven: violin concerto
strauss: ein heldenleben

julia fischer (vn)
charles dutoit / rpo


昨日アンスネスさんのリサイタルの行ったとき、今日ロイヤル・フィルハーモニックの音楽会があるのを見つけて、そういえば、ロイヤル・フィルちっとも聴いてないなぁ、と思って、安いチケットを買ったんです。シュトラウスもしばらく聴いていないから聴きたかったし。日本でおなじみのデュトワさんも久しぶりにお顔が見たいな。って言い訳?
そんなこんなで全然期待していなく、うっかり聴きに来てしまったこの音楽会。ふたを開けてびっくり。もの凄く良かった、というか近年まれに見る良さだったんです。デュトワさん、いわゆるマエストロになってるし、オーケストラもいきなりこんなに上手くなったの?とびっくりするくらい見事な変貌ぶり。この間、聴いたときは、こんなに上手くなかったよぉ。今日はロンドン・シンフォニーに勝るとも劣らない音でした。特に弦楽合奏の和音が見事にきれい。デュトワさんも、全く無駄のないシンプルな指揮でオーケストラを魔法にかけてる。N響は良い指揮者を持っていたのね。

今日の前半は、ユリア・フィッシャーさんのヴァイオリンでベートーヴェンの協奏曲。ユリアは、評判もいいし、とってもステキなヴァイオリン弾きだと思うけど、わたしとはあまり相性が良くなくて、それほど積極的に聴いている人ではありませんでした。今日も会場に行って初めて彼女が弾くんだって思ったくらい。思い入れが全くありません。心はもう後半のシュトラウス。
ところが、聴き始めてみてびっくり。彼女のベートーヴェン、深い内面まで音楽に切り込んでいく。音楽は途方もなく大きく雄大。決して大袈裟に弾いているわけではなく、むしろ、とっても抑えて静かに凛として弾いているのだけれども、音楽の捉え方が大きくて、まさに偉大なベートーヴェン。わたし、この曲ってベートーヴェンにしては柔らかく親しみやすい音楽だと思っていたのだけれども、彼女の演奏はそれに加えて、偉大と言っていいくらい深い。ちゃらちゃらと表面的な効果は全く眼中にはなく、真摯に音楽に対峙して対決している。何かを挑発するところもなく、何も足さない、何も引かない、まっすぐ真ん中な音楽。そして、音楽と演奏は止揚されてもの凄い高みに達している。名演。デュトワさんとオーケストラの伴奏もそんな彼女にピタリと付けて理想的な関係。ユリアの音楽に全員が乗りうつられてる。ベートーヴェンのこの曲が、こんなに凄い音楽だったとは、初めて知りました。ユリアのこと、完全に見直しました。若いのに(まだ20代)、大成した音楽家のひとり。今まで、どうして相性が悪かったんでしょう?今度はブラームスを聴いてみたいな。

もう前半だけでお腹いっぱい、大満足だったので、一転、「英雄の生涯」はおまけのような気持ちになってしまいました。これを聴きに来ていたのにね。
ところがまたまた予想に反して。わーなんというすかっとする演奏。若々しくて、音がとっても開放的で、そう、わたしの大好きなシュトラウスは、金管楽器、特にホルンのすかっと開放的な音なんです。朗々と吹くフォルテというか、音が大空の中に吹き抜ける感じ。それに、弦楽セクションが厚みのある良い音で弾いているので、シュトラウスの音の饗宴に浸れます。全くもう何がどうなっちゃったの?と思うほど上手い。かっこいい。音楽の作り方もドラマティックで、たっぷりとゆったりと聞かせる愛のシーン(英雄の伴侶)なんてもうとろけそう。そして、闘いにおける小太鼓の上手さったら。今日の圧巻は小太鼓といっていいくらい。リズムをリードするだけじゃなくて、音楽性を豊かに感じる絶妙な強弱で音楽をリード。まわりの打楽器の皆さんもとっても良くて、もっと闘っていて欲しい、びしびしと評論家なんかをやり返しちゃえなんて思いました。
それにしてもシュトラウスはこの曲を35歳で書いてすっかり回想しちゃうんだけど、だから、シュトラウスの偉大な作品群が回想されずに残念。だれか、サロメとか薔薇の騎士とかメタモルフォーゼンなんかも回想しちゃう、完全版を書いてくれないかな。でも、若さに満ちたアグレッシヴなのがこの曲の魅力なんですけどね。そして、この曲を最後にシュトラウスは交響詩を書いていない(交響詩的なものは2曲の交響曲)。シュトラウスが人生の転機で、決意を表明した音楽なのかも知れませんね。わたしの中にも何かみなぎる、それはなんだろう?喜びのようなもの?が湧いてきたのでした。
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by zerbinetta | 2012-03-30 20:14 | ロイヤル・フィルハーモニック | Comments(0)

ショパンは麻薬 アンスネス リサイタル   

29.03.2012 @queen elisabeth hall

haydn: piano sonata in c minor, Hob.XVI/20
bartók: suite for piano, Op.14
debussy: images, set 1
chopin: 3 waltz, op70; waltz, op42; ballade no. 3, op47; nocturne, op62-1; ballade no. 1, op23

leif ove andsnes (pf)


アンスネスさんは、初めて聴いてひと耳惚れして以来、ずううっと大好きなピアニストです。そのときはCDまで買っちゃった。そういうことを滅多にしない人なのでとっても特別なのです(ひと耳惚れしてCDを買ったことのあるのは、他にヒラリー、アリーナ、ニキ、ユジャ、ネゼ=セガンさん、デセイさん、、、あれ?結構いるじゃない)。

アンスネスさん、渋くかっこいいんですよ。今日はスーツに黒っぽいネクタイで、ホテルのフロントの人みたい。そしてハイドンのソナタに電光石火打ちのめされる。予想外。ハイドンってこんなステキなピアノ・ソナタ書いてるのね。短調の重さのある作品だけど、音が輝いていて、決してちゃらちゃらと明るくないのだけど、本物の光りが差し込んでくる。アンスネスさんの音色は、透明なクリスタルの輝き。それでいて派手なところが一切なくて、光りが水や氷やガラス玉みたいな透明なものに当たって、反射したり弾けたりするのを見ているよう。アンスネスさん自身も、自分をひけらかすことは一切なくて、音楽に誠実。音楽が、直接わたしに語りかけ、わたしの裡で響いています。もうこれを聴いただけで、今日ここにいて良かった。

バルトークの小品、ピアノのための「組曲」は、かわいらしい曲。たかたかとピアノの鍵盤が鳴って、音がピアノの上をころころ走り回るよう。ドビュッシーの「映像第1集」では、落ち着いた光りに溢れた演奏で、音のパレットの豊かさに、美術館の回廊を隅から隅まで観て回ったような充実感、と心地良い疲労。あまり関連のなさそうな曲を並べただけに見えたプログラムも、こうして聴いていくと、なんだか個人コレクションのステキな美術館に行ったみたい。

休憩のあとは、ショパン。わたしはピアノを弾かないので、ピアノの音楽はずいぶん最近になって聴くようになりました。そして、まだまだ初心者です。ショパンは一通り聴いたけれども、まだ曲と名前が一致していません。ワルツはワルツのリズムだから分かるんですけど、それが第何番だとかと言われると困ってしまいます。でも、ショパンには何故か幼い頃の懐かしさを感じてしまうんですね。特に良い演奏だと。
わたしの記憶は、理想の記憶です。幼いわたしは窓の外の緑の木々を揺らす風と共に聞こえてくるピアノの音に耳を傾けている。それはモーツァルトであったりショパンであったり。わたしはピアノは弾けないはずなのにいつかその記憶の中でわたしがピアノを弾いている。今度は遠くに山が見える学校の音楽室だったり。
ショパンの音の並びはそんな幻覚の記憶を呼び覚ます麻薬です。そして、アンスネスさんの演奏は、それはもう強烈な麻薬でした。音楽を現実の音として聴くことができない。もうそれは音ですらなくて、心の響き。本物の麻薬を飲んだら、こんなに幸せな気持ちになるのでしょうか。でも、わたしはそれはいらない。アンスネスさんのショパン以上にステキな麻薬なんてないから。この幸福感はいつまでも穏やかに続くんですね。

アンコールは、ショパンの「ワルツ」と、ラフマニノフの「音の絵」、グラナドスの「スパニッシュ・ダンス」でした。幻想の中で万華鏡のようなカラフルな光りの煌めきが目の内側からわき出してきて。。。
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by zerbinetta | 2012-03-29 08:01 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

指揮者変更でがっかり、そして混乱 ロンドン・フィル マーラー、交響曲第9番   

28.03.2012 @royal festival hall

mozart: violin concerto no. 3
mahler: symphony no. 9

lisa batiashvili (vn)
matthew coorey / lpo


ネゼ=セガンさんは、一目惚れ以来ずうっと大好きな指揮者です。ロンドン・フィルとのマーラーの交響曲第9番、今シーズンのプログラムが発表になった1年も前から一番楽しみにしていた音楽会のひとつなんです。なのでむっちゃわくわくしながら会場に着いたら、ホールの入り口で紙を手渡されて、ええええっっっっっ!指揮者変更!聞いてないよぉ。ネゼ=セガンさん、お腹くるインフルエンザのため降板。ぐぅぅ下痢止め飲んで来てよぉ。楽章ごとにトイレ行っていいからさぁ。なんて言ったところで、インフルエンザは伝染病だからなぁ。仕方ないねぇ。そういえば去年も、ズウェーデンさんがインフルエンザで突然降板。そのときもマーラーでしたね(第6番)。呪われてる、マーラーwロンドン・フィル。あああ、でもがっくり。。。今日は隣町で、アリーナがサンサーンスの協奏曲を弾くことになっていて、泣く泣くそちらを諦めてネゼ=セガンさんにしたのに。feliz2さんによると、アリーナのサンサーンス、予想どおりとっても良かったそうなので、ほんと悔しい。予想できたらそっちに行ったのに。むむむ、これでキャンセル3連チャンだわ。

気を取り直して。ってどうやって気を取り直したらいいのぉ。プログラムの前半は、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番。これは指揮者なしで、ソリストのリサ(・バティアシュヴィリさん)が弾き振りすることになりました。オーケストラの人数は、少なく第1ヴァイオリンが6人。今日は前半、ゲスト・リーダーにゲオルギエワさんが座りました。この人がゲストに来られるのは、わたしが知ってるだけで2回目。ブルガリア出身のきれいな人で、現在シュトゥットガルト放送交響楽団で弾いてるそうです。我らがショーマンさんは降り番かなと思ったら次席で弾いてらっしゃいました。
華やかなドレスで登場のリサ。ヴァイオリンを弾かない間は、ちょっとぎこちない感じもするけど、右手でちゃんと指揮していました。確か彼女は弾き振りでCD出していましたよね。でも、オーケストラは自発的にアンサンブルをしていたので、彼女がしたのはキューを出すくらい。もちろん、彼女がソロを弾くので、やりたい音楽はリハーサルの段階できちんと伝えているでしょうが。なので指揮者がいなくてもちっとも問題なく、でも、ネゼ=セガンさんがどんなモーツァルトを演るか興味はあったんですけど(ソリストと指揮者のせめぎ合いとか聴くの好きだし)。
リサのモーツァルトは、ドレスに負けず劣らず、ふくよかで柔らかい感じ。決して厚い音を出しているわけではないのですけれども、大らかで力強くて、それでいて優しく清楚。リサもなんだか最近とっても音楽が深くなっているように思えて嬉しいです。彼女の演奏を聴いていると、耳で聞いているというよりなんだか、景色の中に迷い込んだ気になるんですね。彼女の音楽からはいつも風景が見えてる。それがなんだか心地良いのです。

休憩後はいよいよ、マーラー。さて、指揮者は、慌ててもらった紙きれを読むと、30代半ばのまだ、メジャーなキャリアを歩み始めていない人。オーストラリア生まれ、イギリス・ベースで活動しているそうで、しばらく前までロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニックで副指揮者を務めていたそうです。今は自分のオーケストラ持ってらっしゃるのかしら?書いていないので分かりませんでした。
さあ、そんな若者のクーレイさん、実直そうな青年です。大丈夫かなぁ、いきなりこんな大曲。しかも人生の最後にふさわしいような音楽。ドキドキあわあわしながら聞き始めると、意外といいのですよ。ちゃんと音楽になってる。もしかして、この人、凄い?と考えつつも、これだけで判断していいものかどうか。まず、オーケストラが、非常事態に自発的に音楽をしている。去年の交響曲第6番での突然の指揮者変更のときもそうだったけど、オーケストラがいつも以上に集中して、自ら音楽を奏でているのを感じるのです。それから、多分、ネゼ=セガンさんの降板は急遽決まったので、リハーサルはすでにかなり進めていたんではないかって思えるのです。音の表現の端々にネゼ=セガンさんの音が聞こえるようで。かなりゆっくり目のテンポで演奏されていたけれども、これもネゼ=セガンさんのテンポを踏襲したのではないかと思ったのです。これくらいの若い、まだ経験の浅い指揮者が、リハーサルをほとんどしないで自分の音楽を押しつければ崩壊することは天才でもなければ間違いない。もちろん、部分部分には、彼の音楽の表現を付けようとしているところも感じられたけれども、それは音楽全体ではなくて、ごく一部。実務的な利をとった演奏なのではないかと思ったのです。クーレイさんは、あるとき突然現れる天才、ではなかったと思います。それは、この曲で音楽会を支配する司祭になれなかったことが証明しています。明らかによい演奏だったんだけど、神が降りてきたようにオーケストラと会場の聞き手を音楽の秘蹟に導くまでには至らなかった。楽章の間にぽつりぽつりと拍手が起こって、それをコントロールすることができなかったから。音楽の緊張の持続が、音のないところで途切れてしまうんですね。ただ、クーレイさんは誠実な実務者として十分な実力を持った指揮者であることも間違いありません。短期間のうちに、破綻なくこの曲をまとめ上げ演奏してしまうのですもの。これだけど、なんの予備知識もなく純粋に聴けば、かなり立派な演奏の部類にはいると思います。特にフィナーレは、蕩々と流れて美しい名演でした。

正直に告白すると、それで、わたし、よく分からなくなってしまいました。クーレイさんの音楽をどう聴いたら良いのか。わたしの音楽を聴く耳の未熟さがもろに出てしまいました。むしろ、素直に演奏を聴ければ良かったのに。余計なことがくるくるくる。
クーレイさんには、代役ではなくて正式な音楽会で聴いてみたいです。そこで、初めて、彼の音楽を評価しましょう。彼はきっとステキな音楽を奏でてくれると信じています。
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by zerbinetta | 2012-03-28 08:29 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

ソリスト変更でがっかり、そして喜 アリーナ・イブラギモヴァ、ロンドン交響楽団「メンコン」   

25.03.2012 @barbican hall

glinka: overture, ruslan and ludmila
mendelssohn: violin concerto no. 2
rimsky-korsakov: scheherazade

alina ibragimova (vn)
rafael frühbeck de burgos / lso


楽しみにしてました♡ユジャのコンチェルト。ユジャはロンドン・シンフォニーでコンチェルトを聴いて以来、大好きなピアニストなので、追っかけじゃないけど、聴く機会があれば絶対聴くようにしているひとりです。US在住なので、ヨーロッパではあまり聴く機会がないのが残念だけど。なので、今日の日をどれだけ待ち望んだか。それなのに。。。ああ。数日前にメイルが来てソリストが変更になったとのこと。いや〜ん、ゆじゃーーーーー。
で、代わりのソリストが誰になったかというと、アリーナーーーーー♡
アリーナよく引き受けたなぁ。ほとんど時間ないのに。しかも彼女、確か明日から他のオーケストラとヨーロッパ・ツアーなので明日には、大陸に飛ばなきゃいけないハズ。曲も、ツアーで弾く、サンサーンスの協奏曲ではなくて(実はこちらが聴きたかった。メンデルスゾーンは夏にOAEと弾く予定になっているので)、メンデルスゾーンの協奏曲。そういえば、録音もされているマッケラスさんとフィルハーモニアとの協奏曲もメンデルスゾーンだけど、この時も急な代役だったんですね。こちらは、アリーナもまだ若いときで、アリーナらしからぬ未熟さもあるのですが(それでもステキ!)、今回は、この協奏曲をOAEと録音したばかりのハズなので、期待が持てます。

まずはグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲。この快速の音楽、80歳近いおじいさん指揮者が生き生きと音楽にしていくんですけど、フリューベックさんの指揮は大きく腕を振る感じなんだけれども、弦楽器の細かな速いパッセージが見事に揃って、流石ロンドン・シンフォニー。オーケストラが上手いとこういう小曲でもしっかり満足できますね。オペラが聴きたくなっちゃった。フリューベックさんは、音楽がみずみずしくって、とても80歳には見えない。なんか今日はステキな予感。

そして、アリーナ登場。相変わらずかわいらしい。今日はロンドン・シンフォニーなので、親子共演かなと思ったのに、残念、お父さんは降り番でした。
アリーナのメンデルスゾーン(第2番なんですね。最近もうひとつヴァイオリン協奏曲が発見されたみたい)、もう最初から最後まで、圧倒的な重力で音楽に引き寄せられてしまいました。全く隙がないのはいつものこと、それ以上に、音楽が素晴らしかった。ぐいぐいと引き込まれて、アリーナが大きく身体を揺らすごとにわたしも揺れて、アリーナが生み出す音楽の波に呑まれます。アリーナはときに優しく、ときに激しく、奇をてらわない堂々とした演奏なのにドキドキワクワクするような新鮮な音楽を引き出していました。もう何度となく聴いた、手になじんだ名曲なのにあたかも初めて触れるように音楽が活きて聞こえてきました。相変わらずの弱音の美しさに加えて、グラマラスな音も良く響いて音楽の幅を大きく広げています。なんかすごいものを聴いた感じ。アリーナも日に日に深化し続けているんですね。フリューベックさんとロンドン・シンフォニーも、ヴェテランの味でアリーナにしっかりと音楽を付けていきます。急なソリストの変更、曲目の変更にもかかわらず、しっかりと弾けちゃうところは流石というしかありません。ステージ袖に引っ込んだときのアリーナの満足そうな満面の笑みも印象的でした。
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最後はシュエラザード。この間、イヴァン・フィッシャーさんとブダペスト祝祭オーケストラで聴いたばかりです。フリューベックさんの味付けはまた違った味付け。何もしないように見せかけて、ずいぶんとテンポを揺すって音楽を作っていました。特にフレーズとフレーズの間の大きなスロウダウンは一歩間違えるとくどく嫌らしくなるところですが、絶妙なさじ加減で自然に音楽が流れます。それにしても、こんなに細かくテンポを揺らすとオーケストラも付いていくのが大変そうだけど、決して乱れることなく弾いていました。こういうことができちゃうのは、やっぱりフリューベックさんの経験豊富さ、ヴェテランの味ですね。ソロがきらきらととっても上手いのもこの音楽を色彩豊かにしていました。なんだか、フリューベックさんの音楽作りにはまってしまって、わりとインテンポで進んで溜める機会の少ない終楽章が一番印象薄かったのは、面白い発見。でも、今日の音楽会には大満足でした。
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by zerbinetta | 2012-03-25 17:34 | ロンドン交響楽団 | Comments(3)

衝撃のきらきらデビュウ ベアトリス・スティックス=ブリュネル 「不思議の国のアリスの冒険」   

24.03.2012 @royal opera house

joby talbot: alice's adventures in wonderland
christopher wheeldon (choriography)

beatriz stix-brunell (alice)
nehemiah kish (jack/the knave of hearts)
ricardo cervera (lewis carroll/the white rabbit)
laura morera (mother/the queen of hearts)
gray avis (father/the king of hearts)
alexander campbell (magician/the mad hatter)
fernando montaňo (rajah/the caterpillar), etc.

barry wordsworth / orchestra of roh


今回の「アリス」で一番観たかったのは、わたしのマリアネラさんのアリスだったんです。アリス役は去年も観た、カスバートソンさんが一番のはまり役(だって、彼女を想定して振り付けられてるんですもの)、って思っていたんですけど、去年、マリアネラさんのを観た方が絶賛していたので、マリアネラさんファンのわたしとしては観ないわけにはいかないと力一杯思っていて、チケットも真っ先に取っていたのです。それなのに、なんとマリアネラさんが降板。公式には怪我で降板だそうだけど。。。ほんとはどうかなぁ。マリアネラさんとパートナーを組んでいるペネファーザーさんも降板で、こちらは本当の怪我で降板みたいだけど、マリアネラさんの方は。。。ペネファーザーさんの代わりはキッシュさん。マリアネラさんはキッシュさんともよく組んでいるので、絶対踊れると思うのだけど。。。
マリアネラさんの代わりにアリスを踊ることになったのは、なんと、一昨年、ロイヤル・バレエに入団したばかりのまだアーティスト(バレエ団の一番下の階級)のベアトリスさん。振り付けの、ウィールドンさんの秘蔵っ子。彼のカンパニーで踊っていました。まだ10代(18歳か19歳)の小娘。マリアネラさんの代わりをこんな小娘がつとめるなんて、ぷんすか。

そんな、シンデレラ・デビュウを飾ったベアトリスさん。づどーんと来ましたよ。むっちゃかわいらしいじゃないですか。清楚できらきらとしていて、少女で、アリスのイメジにピッタリ。こんな小娘がと毒づいていたクセにあっさり応援、心から応援。

ファッション・モデルのようなベアトリスさん
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そう、ベアトリスさんのアリスは、かしこかわいい少女。マイムの表情付けもとっても上手くて、踊りも予想以上にきれい。わたしもものすご〜く緊張しながら観ていたけど、そんな不安を吹き飛ばして、彼女自身夢に見た役という、アリスを生き生きと踊ってる。新しいスター誕生の瞬間ですね。19、20歳でプリンシパルになったコジョカルさんやマリアネラさんのときもこんな感じだったのでしょうか。ただ、ベアトリスさん、踊りのレヴェルはまだ、プリンシパルと肩を並べるほどではないので、プリンシパルになるのはもうちょっと先でしょうね。来シーズン、1段飛ばしでソリストになるのかなぁ、ファースト・アーティストまでかしらね〜。踊りのレヴェル云々は、最後のパ・ド・ドゥで、2回のリフティングを省いていたんです*。確か空中で回転して後ろ向きでリフトされるという技だったと思うのですけど、難しいのかな。これができないと、ジュリエットもマノンも踊れないから、しっかり練習して早くできるようになって欲しいな。プリンシパルが踊るような主役に求められるところは大きいので、厳しい意見もあるけど、でも、今日の公演はとっても気持ちの清々するものでした。お客さんへの受けもとっても良かったし、なにしろ「アリス」ってまわりを固める人たちがみんな弾けて踊っているので、舞台の上でも楽しいんでしょう。マリアネラさんは残念だったけど、ベアトリスさんのきらきらデビュウを観ることができて嬉しかったです。

*追記
この記述、完全にわたしの勘違いでした(去年の公演のDVDも観て確かめました)。ごめんなさい。ベアトリスさんはどの振り付けも省いていません。

ベアトリスさんを支えたのが、ジャックのキッシュさん。彼も役デビュウですが、初めての役を踊るとき緊張してしまう傾向のある人だけに、ドキドキしてたのですが、無難に踊っていました。2回目はきっともっと良くなるでしょう。白ウサギは、セルヴェラさん。いやあとても楽しませてくれました。なんたってウサギの仕草が可笑しい。それに、最後、ルイス・キャロルがベンチで「不思議の国のアリス」の本をベンチに座って開くところで、頭を蜂に刺される仕草を加えたりして(それがウサギの仕草に似ていて)笑いをとっていました。サーヴィス精神満点。
キャンベルさんのタップは、席のせいでしょう、あまりよく聞こえませんでした。タップの音は上に飛ぶのね(今日はステージにかぶりつきの席で観ていました)。
アリスのお父さんとハートの王様を演じたギャリーさんも楽しげにいろんなことをやっていました。お父さん、パーティーにやってきたアラビアンな美女にエロ目線を送っていたのはギャリーさんの面目躍如。もちろん、モレラさんのハートの女王も冴えわたっていました。

アリスのベアトリスさん、ルイス・キャロルのセルヴェラさん
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たくさんの花束をもらうベアトリスさん
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それを見てムカついてる表情のモレラさん(まだ演技してます)
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ギャリーさんの王様
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ベアトリスさんとキッシュさん
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by zerbinetta | 2012-03-24 07:19 | バレエ | Comments(0)

闇は栄光の光りを際だたせる アンドリュー・デイヴィス、BBC交響楽団   

23.03.2012 @barbican hall

hugh wood: violin concerto no. 2
tippett: a child of our time

anthony marwood (vn)
nicole cabell (sp), laren cargill (ms),
john mark ainsley (tn), matthew rose (bs)
sir andrew davis / bbcsc, bbcso


今日はエルガーの「ゲロンティアスの夢」を聴くんだぁと勇んで行ったら違う曲でした。ぎゃぽん。メインはティペットの「我らの時代の子」。ティペットはイギリスの作曲家なのに、あまり演奏されません。今まで聴いたのは、「コルレリの主題による協奏的幻想曲」とバレエの伴奏の2回だけ。とっても分かりやすいステキな音楽を書く人なのに演奏されるのが少ないなんて。今日の結論。もっとティペットを! と思ったら、来シーズンBBCシンフォニーはティペットを集中的に採り上げるんですね。

マーウッドさんをソリストに迎えてのウッドさんのヴァイオリン協奏曲第2番は、2009年に初演されていて、今日がロンドン初演。アレグロとかラルゲットとかの速度表示がなされているように、古典的な作品。聴いているときは、聴きやすいしなかなか良いなって思ったんですが、聴いたあとは印象がすうっと抜けてあまり覚えてないんです。わたしの中にすうっと入ってきて、すうっと出て行った音楽。音楽会で遭遇するのはステキだけど、積極的に聴きたいとは思わないなぁ。そういう通りがかりに見えるきれいな風景みたいな音楽。
ヴァイオリンのマーウッドさんは、プロフィールを見るとイギリスの中堅どころのヴァイオリニスト。ソロで活躍すると同時に室内楽奏者としても大活躍で、つい先日解散したフロレスタン・トリオの一員だったんですね。必要十分の上手さだったんですけど、例えばベートーヴェンの協奏曲のようなわたしが知ってる曲で、聴いてみたいです。

ティペットの「我ら時代の子」は、何となく子供のためのカンターターって勝手に思っていたら、そうではなく深刻な内容の作品だったんですね。戦争に反対する受難曲のようなオラトリオで、でもスコアのタイトル・ペイジに t.s. eliot の詩の一部、「the darkness declares the glory of light」という言葉が引用されていて、希望を固く信じる作品でもあります。大きな合唱とオーケストラのための音楽で、ティペットらしい分かりやすい音楽だけれども、とっても力強い充実した作品でした。途中、合唱がどこかで聴いたことのあるメロディを歌い出してドキリ。黒人霊歌が何曲か引用されているんですね。こういう引用もティペットの音楽を親しみやすくしている要因のひとつ。合唱もオーケストラもソリストもみんな高いレヴェルでまとまっていて文句なし。素晴らしい音楽と演奏でした。指揮者のアンドリュー・デイヴィスさんも相変わらずにこやかで、でも演奏後は流石にちょっと疲れて頬がこけた感じ。全身全霊で音楽を演奏したんですもの。
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by zerbinetta | 2012-03-23 20:37 | BBCシンフォニー | Comments(1)

ピュア・ラヴ・ストーリー カスバートソン、ボネリ 「ロミオとジュリエット」   

22.03.2012 @royal opera house

prokofiev: romeo and juliet

kenneth macmillan (choreography)
barry wordsworth / oroh

lauren cuthbertson (juliet), federico bonelli (romeo)
bennet gartside (tybalt), alexander campbell (marcutio)
dawid trzensimiech (benvolio), valeri hristov (paris)
christopher saunders (lord capulet), christina arestis (lady capulet)
tara-brigitte bhavnani (rosaline), kristen mcnally (nurse)
itziar mendizabal,laura mccullock, samantha raine (three harlots), etc.


いよいよわたしの「ロミオとジュリエット」も最終回。ほんとはあと2回あるのですが、ぼんやりしていたらチケット全て売り切れで、手も足も出ず(高いチケットはリターンで出てたけど)。カスバートソンさんにわたしの「ロミジュリ」の集大成(ってわたしは観てるだけだけど)を託します。お相手はボネリさん。今日のマキューシオとベンヴォリオはキャンベルさんとトルゼンシミエッチさんのフレッシュ・ペア。初めて観る組み合わせです。おふたりともいろんな役で観ているので、期待の若手ですね。
キャンベルさん、なんだかずいぶんと大人の男になったじゃない(メイクのせいかな?)。ちょっとドキドキ。でも、ちょっとラテンのスケベさが足りないのよね(蔵さんのときも書きましたが)。この役って、軽さが必要だから、人物から染み出てくる自然なエロさが欲しいんです(わたし的には)。トルゼンシミエッチさんもベンヴォリオにしては、真面目でハンサムすぎ。おっとり人の良い王子系のボネリさんがロミオなので、この3人、3バカトリオに見えない。女の子の尻ばかり追っかけてるちゃらちゃらした男であって欲しいのに、ちょっと優等生過ぎるかな。ハンサムすぎるって贅沢な不満だけどね。

フリストフさんのパリスは、パリスらしくてステキ。優男がいいのよね。そして今日は、ギャリーさんが何故かヴェローナの大公。ティボルトからカピュレット家当主を経て出世だけど、ちょい役なのが残念。

ボネリさんのロミオは、わたし的には柔らかすぎる感じだったけど、若い大学生風のロミオで人の良さ、優しさが出ていました。踊りもステキなんだけどね。やんちゃ青年がジュリエットとの出逢いで変わっていくのが好きなんです。もちろん、そういう風にきちんと演じられているのだけど、落差が小さいんです。でも、今日のティボルト(ガートサイドさん)との決闘シーンはわたしが観た中で一番音楽的でステキでした。剣を合わせる音が完全に音楽のリズムと合っていて、小気味よいったらありゃしない。激しい闘いのシーンで剣の先まで音楽に合わせるのってもの凄く難しいと思うけど、できちゃったんですねっ。

カスバートソンさんのジュリエットは正統派美少女タイプ。育ちが良くって、聡明、中学校に行ったら学級委員長。カピュレット家のご令嬢なんだからそうだと言えばそうなんだけど、もうちょっと幼い部分を見せてもいいかなって、昨日見たマルケスさんのが幼い系だったので余計感じました。でも、原作からいくとジュリエットにイメジはこちらかな。カスバートソンさんは、この役が十八番みたいで、ほんとに自信を持って踊っているのが分かります。踊りがとってもきれいでステキ。長い手足から品の良さが醸し出されていて、とにかくピュア。濁りのないラヴ・ストーリー。特に良かったのは、ローレンス神父に薬をもらって、それを飲むまでの心の葛藤のシーンかな。それから飲んでからベッドに倒れ込むまで。恐怖におののきながらも意を決して薬を飲み干すところが、ジュリエットの強さと弱さの間を揺れるように、わたしの心も揺さぶられます。ジュリエットがわたしの中にもいるみたい。

それにしても、これは凄い作品。ロイヤル・バレエが大事にしている作品でもあるし、ダンサーも一度は踊ってみたい作品であることは、いろんなダンサーのインタヴュウからも分かります。そしてそれは、観るわたしにとっても大事な作品。だって、わたしがバレエに心からはまったのはこの作品からだもの。まだまだ観たいと思うと同時に、しばらく心の中で熟成させる時を置いてまた観たい作品でもあります。充実していた6回の公演を踊ったダンサーみんなに感謝して。

最後のシーン(カーテンが降りたあとです。念のため)
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終演直後のカスバートソンさんとボネリさん
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カピュレット家関係の人々
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ガートサイドさんのティボルト♡
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キャンベルさんのマキューシオ
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カスバートソンさんとボネリさん
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by zerbinetta | 2012-03-22 19:03 | バレエ | Comments(0)

友達いないけど ニコラ・ベネデッティと仲間たち4   

22.03.2012 @jerwood hall, lso st kuke's

biber: passacaglia for solo violin
bach: partita for solo violin
ysaÿe: sonata no. 5

nicola benedetti (vn)


ニキと愉快な仲間たちのランチタイム・コンサートも今日が最後。でも今日は仲間がいないんです。と言う司会者のジョークで始まった音楽会。その通り、今日はニキのソロで無伴奏3曲。ニキのソロは初めてなので、どんな音楽をするのか楽しみな反面、彼女自身が逃げ場もなく立ち現れるので不安でもあり、複雑な気持ちでした。ステージママっぷり絶賛大爆発です。

まずはビーバーのパッサカリア。この間、アリーナが弾いた曲です。ニキは現代楽器、アリーナはバロック・ヴァイオリンで弾いた以上にアプローチの仕方が違います。ニキの音楽は、ふくよかに歌う感じ。アリーナが語るように弾くのに対して、ニキは自然に口ずさむ歌のよう。気負いもなければ衒いもない。すうっと、静かに歌を紡いでいきます。どちらが好きかと聞かれたら、プリンとババロアどっちが好き?って聞かれてるみたいで答えられないんだけど、どちらもいいで許してくれないかな。もちろん、聴いているときは、ニキのしか聞こえてこないんですが。不思議だったのは、アリーナの演奏のときは、曲の単調さに最後の方、少し飽きが来たのですが、ニキのは最後まで飽きなかったので、歌が紡ぎ出されるような演奏、現代ヴァイオリンの豊かな音色が、このバロックの音楽に合っているのかも知れません。

2曲目は独奏ヴァイオリンのための音楽の最高峰(少なくともそのひとつ)、バッハのニ短調のパルティータ。独奏バイオリンのための音楽の中で最も峻烈な峰。弾ききるには、精神的にも肉体的にも満を持するような、エネルギーが必要だと思うし、聴く方も襟を正してしまう音楽なので、ニキがどう弾くのか興味ワクワク。
ニキのパルティータはあっけないほど自然体。まっすぐ勝負に来たというか、いいえ、勝負なんてしていません、音楽をとても素直に捉えて演奏しています。もしかすると、「バッハ的ではない」リズムの処理とかあるのかも知れないけど、そういうことはどうでもよくて、歌うように弾かれる音楽に惹かれてしまいます。峻烈な峰を見るよりもなだらかな丘にいるような居心地の良さ。やっぱりニキの音楽が好きだ。ふくよかな音色の美しさもあるし、彼女自身の持っている音楽への素直な愛と共振してしまうのです。掘り下げが甘いとか言われちゃうかも知れないけど、音楽を聴くヨロコビに溢れた時間が過ぎていきます。

最後は、イザイのソナタ第5番。フォークソングっぽいところもあるこの音楽はまさに、ニキ向け。得も言われぬステキな演奏でした。ニキの音色はとっても豊かで艶やかなんだけれども、決してグラマラスになりすぎない控え目さもちゃんと持ってる。ニキにはぜひ、イザイのソナタ、全曲を演奏して欲しいな。そしてそれをぜひ聴きに行きたい。ニキの音楽に向けた純真な素直さは、余計なものがいろいろこびり付いてしまったわたしの音楽を聴く心をさらさらと洗って、はっと正しいものに気づかせてくれる。ニキの音楽には、わたしを音楽を聴き始めた頃の気持ちに引き戻してくれる心がある。

ニキと仲間たちの音楽会。BBCラジオ3のサイトでオンデマンドで聴くことができます。期間限定ですので、急いで、ぜひ!
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by zerbinetta | 2012-03-22 01:04 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

絶対少女 マルケス、マクレー、「ロミオとジュリエット」   

21.03.2012 @royal opera house

prokofiev: romeo and juliet

kenneth macmillan (choreography)
barry wordsworth / oroh

roberta marquez (juliet), steven macrae (romeo)
bennet gartside (tybalt), kenta kura (marcutio)
james hay (benvolio), thomas whitehead (paris)
gary avis (lord capulet), kristen mcnally (lady capulet)
lara turk (rosaline), genesia rosato (nurse)
deirdre chapman, olivia cowley, helen crawford (three harlots), etc.


いよいよわたしのロミジュリも最終コーナー。今日はわたし的に秘かに本命のマルケスさんのジュリエットです。マノンのときも感激したんですけど、マルケスさんって、こういうお話もののバレーが実にとっても上手いと思うんです。そして、お相手のロミオにはマクレーさん。人によっては口悪く、マクレーさんを観に行くともれなくマルケスさんが付いて来ちゃう(ふたりはよくパートナーを組んでいます。ちびっ子ペア)、なんて言うけれども、わたし的にはマルケスさんとマクレーさんを一緒に観れて一粒で二度おいしい、かな。

主役のおふたりのことを書く前に、脇の方を。もちろん今日の特筆は、蔵さんのマキューシオ。蔵さんはいつもベンヴォリオを踊っているので、うっかりマキューシオがベンヴォリオに見えてしまうことあるんですが、でも、ジュリエットに魂を抜かれたロミオと仲違いしたときは迫力あったし、見応えありました。ただ、マキューシオは典型的なラテンの乗りの人なので、蔵さんマキューシオは、蔵さんのユーモアのセンスは光ってたけど、ちょっぴり真面目すぎたかなって感じました。
ベンヴォリオはヘイさん。もしかして今期がロール・デビュウ? ちょっと華奢で頼りなげなところもあるのだけど、踊りは流石で、3バカトリオの一員として、弟のような存在感を見せていました。この人は将来、パリスを踊ることになるのかも知れませんね。なよっとしたパリス像を作ってくれるかも知れません。
今日のパリスはホワイトヘッドさん。わたしが観たパリスの中で最も無骨。男っぽい。わたしはパリスのイメジとして、名前からして、なんだか貴族的でぼんぼん風なんですが(例えば、ステパネクさん)、それとは全く対照的なパリス。あまりに武張ってて、自信家なので、パーティーのシーンで、ジュリエットがロミオと恋に落ちたのにそれに気がつかない感じ(たいていのパリスは、ジュリエットの様子が変わったので、不審に思ったり勘違いして自分に惚れたと思ったり)。最後の幕で、ジュリエットに結婚を迫るところも無理矢理、ジュリエットを手に入れようとしてみたり。珍しく体育会系ですね(わたしのパリスは、読書クラブみたいな文化系)。

カピュレットはギャリーさん。もう盤石。そしてカピュレット夫人はマクナリーさん。乳母の役が多かったのですが、出世(?)。でもちょっと、この役にはまだ若かったかなぁ。乳母はロサトさんで、この人が演じると、ジュリエットを見守るお母さんのようで、心暖かい。原作は、ばあやと呼ばれているので、ピッタリなんですが、バレエは3バカトリオが乳母のスカートめくりをするシーンもあるので、マクナリーさんみたいな若い乳母も捨てがたいし。両方観るのがいいですね!

3人の売春婦には、チャップマンさんとコウレイさん、クロウフォードさんの初めて観るトリオ。コウレイさんが、相変わらずおかしな仕草をさりげなく足したりしていました。役を演じるのが好きなのかな。

ふーー。さていよいよ主役のおふたり。
マクレーさんはもうほんとにさっすが!でした。踊りがとっても溌剌としていい! ロミオとしての踊りは今まで観た中で一番かな。でも、ちょっと良すぎるんです。ロミオってやっぱり最初は3バカトリオの一員で、同じように、というか先頭に立って馬鹿やってるところがあるんですけど、マクレーさんが踊ると、馬鹿に見えない。ちょっとノーブルすぎるんですね。もし、は歴史にはないと言うけど、もし、ポルーニンさんが辞めずにロミオ・デビュウしていたら(今日のペアではなく明日のカスバートソンさんとのペアになるんですけど)、やんちゃでとてもいいロミオになったんじゃないかと思います。そういう意味で、ティアゴさんのロミオが好きだったりするんです。
ジュリエットと出逢って、ジュリエットが恋を知り大人になったように、ロミオも大人になります。3バカトリオも卒業なので、そのロミオは、マクレーさんステキでした。でも何より踊りがきれいなのがいいですね〜。

マルケスさんはもう、相変わらず少女。本人はヴェテランで、それなりのお歳のハズですが、絶対少女。それも幼い系。すうっと少女になりきってます。さすが。この物語がしっかり少女の成長物語になってます。最初のロミオとのシーンは、まだ幼さを残した甘えッぷりがあったのに、最後のベッドルームのシーンでは女。そして、強くなる。ひと場面ごとに、変化し成長していく女性を見事に演じているんですね。ただほんのちょっぴり残念だったのが、演じ急いだと思われるところが何カ所かあって、例えば、最後のナイフで刺してから、ベッド(?墓石?なんて言うのかな、死んだと思われていたジュリエットが横たえられていた台)を這ってロミオにたどり着くところ。早くたどり着いちゃって、最後、シーンがちょっと弛んじゃった。でも、それはきっと、わたしだけが気になった些細な箇所で、全体的な瑕ではなかったです。ほんとに素晴らしい「ロミオとジュリエット」。やっぱりこの作品はどっしりと心に沈みますね。毎回、思いっきり泣いてるし。

終演直後のマルケスさんとマクレーさん
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カピュレット家の人々
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3バカトリオではありません 蔵さん、ティボルトのガートサイドさん、ヘイさん
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わたしを見つめるマクレーさん♡
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by zerbinetta | 2012-03-21 08:18 | バレエ | Comments(0)

ファースト・キャストの貫禄 不思議の国のアリスの冒険、ロイヤル・バレエ   

17.03.2012 @royal opera house

joby talbot: alice's adventures in wonderland
christopher wheeldon (choriography)

lauren cuthbertson (alice)
federico bonelli (jack/the knave of hearts)
edward watson (lewis carroll/the white rabbit)
laura morera (mother/the queen of hearts)
christopher saunders (father/the king of hearts)
steven mcrae (magician/the mad hatter)
eric underwood (rajah/the caterpillar), etc.

barry wordsworth / orchestra of roh


さあ、お昼のドレス・リハーサルに次いで夜からは本公演の始まりです。初日は、いわゆるファースト・キャスト。去年の初演のファースト・キャストとほぼ同じメンバー。替わったのは、ジャックが退団したポルーニンさんからボネリさんへ、ハートの女王がゼナイダさんからモレラさんに。それでも、このファースト・キャスト「アリス」は格が違う感じ。さっき観たのは、リハーサルだから、それと比べるのはあまり意味がないけど、でもやっぱり、カスバートソンさんのアリスはとってもかわいらしいし、それに踊りがきれい。それと、舞台のスタッフとのテンポがぴったり。例えば、「drink me」「eat me」と出てくるところ、さっきのリハーサルでは、舞台の後ろに「eat me」と映し出される前に、ラムさんは食べてしまったのだけど(お皿には紙が付いていて「eat me」と書かれているのだけど、客席からは小さくて読めない)、カスバートソンさんは文字が舞台に映し出されるタイミングで口にしたので、何をやっているのかよく分かる。そういう、細かなところまで、目が行き届いている感じ。それに、カスバートソンさんとアリスの一体感には寸分の隙もないの。
ボネリさんのジャックもステキでした。とっても似合ってた。ボネリさん、怪我でしばらく休んでいたのであまり観てこなかったダンサーなんですけど、これからもっと観たいと思わせる方でした。ひかるさんのおのろけ(?)によると、相手のバレリーナを上手に立てる、パートナー・シップの上手いダンサーなので引く手あまただそうです。でも、ほんとはオペラ・ハウスの舞台で、ひかるさんとのペアで踊るのを観た〜い。いつか実現しないかな。

マッド・ハッターは真打ち、マクレーさん。お昼のリハーサルでは、キャンベルさんもなかなかやるなと思ったんですけど、マクレーさんを観ちゃうと、格が違いすぎ。マクレーさんのタップは完全に音楽のリズムをリードしていてとっても気持ちがいいの。「アリス」はマクレーさんのタップを観に来るというだけですでに価値のある作品です。すばらしい! マッド・ハッターにいつも仲良く寄り添っているのが、セルヴェラさんの3月うさぎ。リアムさんは、そういう演技をしていなかったのでセルヴェラさんの解釈でしょう。

そして、今日の大発見は、ハートの女王のモレラさん。この役、去年のゼナイダさんが最高に良かったので、ゼナイダさんを越えるのは難しいなと思っていたのですが、モレラさんも最高。完全に振り切れてはっちゃけた演技にもうお腹の底から笑わせてもらいました。コミカルな演技だけじゃなくて、踊りもめちゃ上手いし。こういう役って、遠慮があったり、変なプライドが少しでも心の隅っこに残ってるとダメなんですよね。そういう意味で、タマちゃんのは怖いもの見たさで観てみたかったんですけど、今シーズンはこれ踊らないし。。。(ってか、よくこの役を承知したな) モレラさんのハートの女王は、もう何時間でも絶賛しちゃうよ。この演目、全てに言えるんですけど、荒唐無稽な物語の面白さは、心にある常識を振り切った突き抜けたところで結晶すると思うんです。それをロイヤル・バレエのダンサーさんたちは、主役から端役の人たちまで全員で体現しているところが凄い。わたしの素人の感じたことですけど、このバレエ、「白鳥の湖」とかの定番の古典の振り付けよりも、自由度が高く設定されているように思えます。ダンサーさんたちが、わりと自由に演技し、表現しているように見えるのです。そして、みんなが本当に楽しんでいて、その楽しさがこちらまで伝わってきます。それが、わたしがこのバレエを大好きな一番の理由ではないかって思います。

真っ赤なハートの箱が開いて登場する王様は、ハートの女王の足元で新聞を読んでいました。去年は確か寝ていたので、ちょっと変えてみたのでしょう。相変わらず、サウンダーズさんの気の弱い王様っぷりがステキです。でも、今日初めて気がついたんですけど、最後、ハートの女王を突き落として、勝利の雄叫びをあげるんですね。サウンダーズさん、必要以上にヨロコビに満ちていて可笑しかった。

ひとつひとつ書くときりがないので、「アリス」はまだ何回も観るし、少しずつ書いていきますね。

主役の3人。カスバートソンさん、ボネリさん、ワトソンさん
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ひねくれた顔で花束をもらうモレラさんと仲良しのマクレーさんとセルヴェラさんのおふたり
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ユフィさんはハートの7。ステパネクさんと。
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マクナリーさんの怖い料理人と、カエルの蔵さん、魚のオンディヴィエラさん
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やっぱりマッド・ハッターはマクレーさん
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カスバートソンさんとボネリさん
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by zerbinetta | 2012-03-17 17:45 | バレエ | Comments(2)