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エロスとエクスタシー テツラフ、エトヴィシュ、ロンドン交響楽団   

29.04.2012 @barbican hall

debussy: three nocturnes
szymanowski: violin concerto no. 1
scriabin: the poem of ecstasy

christian tetzlaff (vn)
peter eötvös / ladies of lsc, lso


シマノフスキが好きなんです(キッパリ)。でも、シマノフスキって演奏される機会が少ないので、貴重な機会を逃さざるべく、とっても楽しみにしてチケットを暖めていました。そして、今日はブーレーズさんが振る予定だったんですけど、残念ながらキャンセル。どうやら目がお悪いらしくもう目が見えないんだそうです。これから指揮者としてステージに立つことがあるのか、心配です。現代音楽の戦士のイメジがある彼ももう高齢ですからね。お体大事になさって、つつがなく余生を送って欲しいです。

で、ブーレーズさんの代役は、アンサンブル・インテル・コンテンポランの指揮者もしてらした作曲家でもあるエトヴィシュさん。前にロンドン・シンフォニーを振るのを聴いて、全体的な構築はともかく、局所的に微に入り細を穿ち点描的に音楽を作る人だなって感想を持ちました。それが今日の演奏にどう生かされるのか、殺しちゃうのか、シマノフスキなら多分大丈夫かなと、半分不安、半分期待。

それがね〜〜半分不安の予想に反して、意外や意外、良かったの。エトヴィシュさん、指揮者としても才能ありそう。女声合唱がちょこっと入る「ノクチュルヌ」は、試し聴きみたいな感覚で聴いてたんだけど、これはちゃんと聴かないとって引き込まれました。ロンドン・シンフォニーの暖かみのある柔らかな音も地中海側のドビュッシーという感じでとても気持ちよかったです。そうそう、今日はリーダーにニコリッチさん。もしかしてこの人が弾くのは初めて見たかも。ロンドン・シンフォニーの正式のリーダーのひとりなんですけどね(ロンドン・シンフォニーにリーダーはふたり)。でも、さすがヴェテランのリーダー。なんだかオーケストラが締まります。

いよいよシマノフスキ。テツラフさんのヴァイオリンで、協奏曲第1番。この曲を聴くのは2回目。大好きな音楽です。テツラフさんは昨日聴いたアリーナの師匠。アリーナは活動の拠点を半分ベルリンに移してテツラフさんに習ってるんですね。彼のヴァイオリンを聴いているとアリーナが師事するの分かります。指向性が似てるんですもの。テツラフさんは風貌が学者タイプで(今日はメガネをかけていなかったけど)、繊細な神経質な演奏をするかと思いきや結構漢。繊細な中に熱い感情を持った演奏をする人です。
なので、暖かみのある音色のロンドン・シンフォニーと漢のテツラフさんのシマノフスキは、結構情熱的。わたしが今まで聴いてきた演奏は、冷たく鋭利なエッジの演奏だったので、ちょっと印象変わりました。でも、テツラフさんのフラジオレットの高音は研ぎ澄まされたガラスのようにきれいなので、シマノフスキらしさもしっかりあって、でも、情熱的な音楽にはエロスも感じて、冷たい月の光の夜、激しく愛を貪り合う感じ。ふたつの生命が混じり合いひとつになろうとするひとつの細胞の時代から途絶えることなく行われてきた命の荘厳な営み。
テツラフさんのアンコールは、バルトークの無伴奏ソナタから。これもまた素晴らしい演奏でした。それにしてもテツラフさん、今脂がのりにのってますね。どこかで聴いたことのあるような気もするも、覚えていなかったわたし。隣の人たちがひそっとバルトークのソナタって言ってたので分かったのです。あとで調べたら、わたし、アリーナの演奏で聴いていたんですね、この曲。どおりで聴いたことがあると思ったわけだ。すっかり忘れてたけど。
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最後のスクリャービンの交響曲はずばりエクスタシー。エトヴィシュさんの演奏は、オーケストラをとても良く鳴らすし、オーケストラもそれに応えてとてもいい音で弾いてるんですけど、エクスタシーにしてはちょっとあっさりしてるかな。ちょっと健康的。多分ブーレーズさんが振っても同じようになるような気もするけど。本当のところは曲が短すぎて(20分ほど)、エクスタシーに達するにはちょっとせっかちかな。もっとじっくり焦らしつつ(例えばトリスタンのように)、導いて欲しいです。むしろ、シマノフスキの協奏曲の方にエクスタシーを感じました。

今日の音楽会、ロンドンの音楽会ブログ仲間が大挙集ったみたいですね。ロンドンは音楽会が多くて、普段分散するのに、珍しいです。わたしは皆さんにお目にかかったことないんですが、音楽談義に花を咲かせていたのではないかしら。

今日、この音楽会の前に、ギルドホール音楽演劇学校の学生さんによるハープを中心にした室内楽の演奏がありました。ドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗な舞曲」が聴きたくて聴いていたんですけど、プロの卵とはいえアマチュア。評論は控えますね。でも、プロへの道は険しいって感じました。それだけ、プロの音楽家って素晴らしいんですね。
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by zerbinetta | 2012-04-29 19:16 | ロンドン交響楽団 | Comments(4)

森ガールと思ったらもののけ姫 フラング、フルシャ、フィルハーモニア   

29.04.2012 @royal festival hall

wagner: prelude, act I, die meistersinger von nürnberg
bruch: violin concerto no. 1
dvořák: symphony no. 9

vilde frang (vn)
jakub hrůša / po


わたしは森ガールです。あっウソ。正確にはジャングル・ガール。あっそれもウソ。ジャングルおばさん。さすがにガールと自己申告は偽りありとジャロに訴えられそうですからね。もちろん、森ガールみたいなおしゃれなのじゃなくて、湿度100%のジャングルで、まったりと過ごすのが大好きなんです。命が溢れてるから、気持ちが生き返るような気がして。と、わたしの話なんてしてもしょうがない。今日のヴァイオリニストのヴィルデ・フラングさんって、森ガールなんですって。イメジとしてそんなファッションが似合いそう。らしいです。

今日の音楽会、でもシーズンのパンフレットにクレジットされていたソリストは確か、別な人。指揮者もヤクブ・フルシャさんじゃなくてネルソンスさんの予定でした。そして曲目もドヴォルジャークの交響曲は「新世界から」ではなくて第6番。あとで買ったプログラムには、すでに曲目が「新世界から」と印刷されていたし、ソリストもフラングさんになっていたので、これらは計画的な変更でしょう。指揮者は、急な変更です。
フルシャさんを聴くのは2度目。以前にBBCシンフォニーを振ったのを聴いたことがあります。若くて才能豊かなフレッシュな人。現在30歳くらいなんですね。
彼のステキさは、最初の「マイスタージンガー前奏曲」から全開でした。流麗に雄大にオーケストラを鳴らします。ティンパニがいつもの音じゃなかったのでおや?と思って、わたしの席からは見えなかったので、あとでメンバー表を見たらやっぱりスミスさんではありませんでした。ううむ、音で分かるようになってきたら、かなりフェチ度上がったな。ま、スミスさんはかなり特徴があるのですが。今日聴いた席のせいもあるけど、チェロがとっても雄弁に聞こえて、そして、雄大だけど重厚すぎてくどくならないのがいいです。ひとつひとつの声部がとっても良く聞こえてきて複雑に絡まり合ってるのが手に取るように分かります。もう、つかみは完全にOK。

ブルッフのヴァイオリン協奏曲を弾いたフラングさんは、ノルウェー出身の26歳(25歳?)。アリーナのひとつ年下です。森ガールと思って期待してたら、確かに森ガールっぽい感じ。だけれども長身。そして音楽は思いもよらず骨太。儚げな森ガールというより、森の中を縦横無尽に駆けめぐるもののけ姫みたいな本格の森ガール、森の主、女神。この音楽が本当に素晴らしい。音色が豊かでふくよかで、昨日のアリーナとは違ったタイプのステキ。音楽の歌わせ方もとっても大らかで、フルシャさんのドライヴするオーケストラと一緒になって大きな大きな音楽を作っていく。第2楽章のアルプス・シンフォニーはまさにアルプスの偉容を感じさせました。この曲がこんなに内容の豊かな音楽だと初めて知りました。文句なしに名演でした。フラングさんも要注目だな。聴く機会があったらもれなく聴くようにしなくっちゃ。

最後のドヴォルジャークの交響曲第9番。超有名曲です。正々堂々と正面から、奇をてらわない演奏をするのは自信の表れですね。さすがお国もの。若者らしくさくさくしたテンポ感で、でも歌わせるところはとっても丁寧に歌わせて、アクセントの付け方が巧妙。第1楽章のリピートがなかったのも、新鮮。このリピート音楽的にはヘンですよね。でも音楽がステキだったのでもう1度聴きたかったのも事実ですが。フィルハーモニアの弱点、トライアングルも今日はオーケストラの中でちゃんと鳴っていました。
それにしても、弱冠30歳にしてここまでオーケストラを統率して、自分の音で鳴らせるのは破格の才能。それに音楽の素晴らしさ。もう将来が楽しみでたまりません。日本でも東京都響の主席客演指揮者なんですね。日本でもおなじみの指揮者として世界で活躍して欲しいです。

森ガール?もののけ姫?フラングさん
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by zerbinetta | 2012-04-29 08:48 | フィルハーモニア | Comments(0)

アリーナ見納め? どっぷり浸かってアルヴォ・ペルト、BBCSO   

28.04.2012 @barbican hall

pärt: symphony no.1 'polyphonic'; no. 3; silhouette;
berlinar messe; tabula rasa

alina ibragimova, barnabás kelemen (vn)
tǒnu kaljuste / bbcsc, bbcso

正直言ってアルヴォ・ペルトがこんなに人気のある作曲家だと知らなかったんです。チケットを取った時点で、おや!意外と売れてるんだなと思ったんですが、一日中ひとりの作曲家に浸るトータル・イマージョン・シリーズのアルヴォ・ペルト、なんと売り切れです! わたしは最後のBBCシンフォニーの音楽会だけ取ったんですが、びっくり! もちろんわたしの取った目的は何たってアリーナ。ロンドンを離れる予定のわたしにとって、多分、これがアリーナ見納めになります。むちゃ悲しい。

もちろん、ペルトさんというと、ティンティナバリ(鈴)様式。静謐な音楽なのだけど、最初の交響曲第1番と第3番はその様式を獲得する前の作品。第1番の方はオーケストラをがんがん鳴らすカラマノフ(実は好き)系音楽。第3番は、グレゴリオ聖歌への傾倒が聴かれて、後期の音楽への橋渡し的な音楽にもなっています。というのが聴いた感想。確かに力強い音楽だけど、この曲だけならペルトさん、人気は出なかっただろうし傍系の音楽家。でも、化けるべくして化けたのよね。

プログラムの後半からはいよいよ、ティンティナバリ様式の音楽。切り詰めた無駄のないシンプルな音、でもミニマリズムにならないのがいいの(ミニマム音楽苦手なわたし)。
2009年作曲の「シルエット」は、副題に「エッフェル塔へのオマージュ」。パリ管弦楽団とパーヴォ・ヤルヴィさんのために書かれた音楽です。短いけれどとても充実した音楽で、作曲家が今でも深化していることを伺わせます。無駄を極限までそぎ落とすとどこまで行くのだろう?

ベルリン・ミサは、ペルトさんらしい宗教曲。弦楽オーケストラと合唱のための作品。合唱団にターバンを巻いた男の人がいてちょっと可笑しかった。ターバンって衣服の一部なんですね。帽子はダメだけどターバンはいいのかな。この曲、わたしには歓喜の音楽とは感じられませんでした。どうしてかいつも不安がつきまとう。演奏のせいかわたしのせいか、曲そのものなのかはよく分からないんですけど、もちろん、ペルトさんは喜びが爆発するような音楽は書かないし、静かに静かに音楽は流れるのでそのせいもあるのかもしれませんが、でもやっぱりわたしにはもっと根源的な不安が横たわっているように感じました。

いよいよ、最後に「タブラ・ラサ」。ふたりのヴァイオリン・ソロ、プリペアード・ピアノ、弦楽合奏のための音楽です。実はわたし、この曲と「フラトレス」を勘違いしていて、音楽が始まったとたんびっくり。ありゃりゃ、違う曲だって。
もちろんわたしは、アリーナ目当てだったのでアリーナのヴァイオリンに聞き耳を立てましたよ。ほんと、彼女の音は透明できれい、そして精確。静謐なのにアグレッシヴ。もう素晴らしすぎ。アリーナの音が聴きたかったのでもうひとりのヴァイオリンはいらないって思っちゃいましたよ。もうひとりのソリスト、ケレメンさんは、わたしにとっては当て馬だったんだけど、音色にもう少し繊細さが欲しかったかな。ちょっと荒っぽかった。
プリペアード・ピアノが鐘のような音色で、前半部分ではヴァイオリンの動的な動きを沈静する大きな役割を担っていて、これが後半の静的な音楽につなげる複線になるのね。演奏は前半はかなりアグレッシヴ。プリペアード・ピアノの分散和音で始まる後半は風のない曇天の湖の湖面のように静か。ときどき、底からあぶくが湧くようなピアノの分散和音。そういえば、前半はピアノはクラスターの和音を弾いてたのに、後半はひとつずつバラバラに弾くのね。

もうわたしはアリーナの魅力に胸きゅん。ロンドンではもう聴くことが多分できないけど、世界を股にかけて活躍していくアリーナ。どこかでまた聴くことができるのを願っています。アリーナの発見が同じ、BBCシンフォニーの音楽会で、リゲティの協奏曲だったので、最後もまた現代曲で締めるというのは巡り合わせでしょうか。

アリーナとケレメンさん
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so cute!!!
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by zerbinetta | 2012-04-28 23:59 | BBCシンフォニー | Comments(2)

ドキドキしてほっ モレラ、セルヴェラ「リーズの結婚」   

28.04.2012 @royal opera house

frederick ashton (choreography)
ferdinand hérold (music)
barry wordsworth / oroh

laura morera (lise), ricardo cervera (colas),
alastair marriott (simone), liam scarlett (alain),
christopher saunders (thomas), etc.

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さあ、この間、リハーサルで観たモレラさんとセルヴェラさんの「リーズの結婚」です。始まる前からドキドキ。あのリフトが成功するか失敗するか、もうわたしの方が緊張しちゃって。なので結論から先に書くと、上手くいきました〜〜〜!今日はモレラさんがさらっとスカートをまくってやりやすくしていました。もう嬉しくて涙ぼろぼろ。やっぱりどこかに思い入れがあると、感激もひとしお。実はちっちゃな声でやた!って叫んじゃった。

モレラさんとセルヴェラさんの踊りはとってもリズミカル。音楽も少し速めのテンポでした。このおふたりはなんだか音楽に乗ってさくさくと切れる感じですね。観ていてとっても気持ちが良かったです。
モレラさんはもうヴェテランだし、こわ〜い妖精のお局とかやり手の娼婦の役が多かったので、少女役はっていう思いはありましたが、でも、しっかり少女。踊りはとっても丁寧で上手いので、わたし的には問題なし。というか観て良かったと心から思いました。実は先の心配があったので観に行こうか悩んでいたのです。セルヴェラさんもいつもは名脇役で、とってもステキな踊りを見せてくれるので、主役を観てみたかったし。無垢に明るい役の彼もとっても魅力的でしたよ。

リアム・スカーレットさんのアランもとっても良かったです。何よりも満面の笑顔が全てを幸せに還元してしまいます。わたしに恋人がいなかったらアランと結婚してもいいなって素直に思いました。気持ちが純真なんです。振り付け家としての活躍が華々しい彼ですが、ステキな踊りもたくさん見せて欲しいです。

モレラさんと、今日ステキな音楽を作ってくれたワーズワースさん
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いたずらっ子っぽい表情のスカーレットさん
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モレラさんと真面目そうなあんちゃんのセルヴェラさん
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by zerbinetta | 2012-04-28 05:41 | バレエ | Comments(0)

溶け合う音 イッサーリス、レヴィン ベートーヴェン ピアノとチェロの作品集   

27.04.2012 @queen elizabeth hall

beethoven: 12 variations on handel's 'see the conqu'ring hero comes';
cello sonata no. 1; 12 variations on 'ein mädchen oder weibchen';
horn sonata transc. for cello; cello sonata no. 3

steven isserlis (vc)
robert levin (fp)


バレエの合間に1日、あいてる日があったので、友達が行けなくなったサウスバンク・センターのチケットがあったので、それで今日の公演のチケットを買って聴いた来ました(なんかフクザツ?友達にはちゃんと換金された分のチケット代払いましたよ)。
イッサーリスさんのチェロ、聴きたかったんです。今度OAEと共演するのでそのときトリプル・コンチェルト聴く予定なんですけどね。レヴィンさんとのベートーヴェン、チェロ・ソナタ全曲演奏シリーズは、2回、今日はその1回目、ソナタは第1番と第3番、それに変奏曲とかホルン・ソナタをチェロのために編曲したものが演奏されます。

イッサーリスさんはふあふわ頭。後ろから見たらラトルさんと区別つかなかったり。一方のレヴィンさんは、大学の先生タイプ。実はもちょっと歳をとったお方かなって思っていたんですが、意外と若そうでびっくり。イッサーリスさんは結構大きな振りでチェロを弾きます。全身を使って音楽を表現しています。
今日の音楽会でびっくりしたのは、フォルテピアノとチェロの組み合わせは初めて聴くのですが、ふたつの音がなんて美しく溶け合うことか。特にフォルテピアノの低音とチェロの低弦の音の親和性が高くって、一瞬ピアノの音なのかチェロの音なのか分からなくなるほど。小さなホールでちょうど良い音量だったし、しっかり情熱的な演奏で素晴らしかった。日程の都合で今日の音楽会しか聴けなかったけど、もうひとつの音楽会も聴いてみたかったと強く思ってしまいました。チェロって歌う楽器ですよね。イッサーリスさんのチェロには古楽にありがちな乾いたところがなくてとってもステキでした。

曲については全ての曲が初めての曲なので、気の利いたことは言えません。
最初の曲は、表彰式のときよくかかる有名なヘンデルの曲を元にした変奏曲だけど、曲としてはちょっと平凡かなぁ。主題が偉大すぎて、やっぱこのメロディは大らかにたっぷり歌って欲しいから変奏しちゃうと面白くない。でも主題が回帰するところはさすが歌う楽器だなって思いました。

「魔笛」の有名なパパゲーノのアリアの旋律による変奏曲は、この軽快でかわいらしいメロディが大好きなので楽しめました。とっても楽しい音楽。わたしもパパゲーノのような生き方をしたいの〜〜。

ホルンのためのソナタをチェロのために編曲したのは、ホルンでは演奏機会が少ないからだそう。だって、ホルンのパートめちゃくちゃ難しそうで、よっぽど上手なホルン奏者を必要とするし、チェロだと簡単ってことじゃないでしょうけど、少なくとも音階は苦もなく弾けるからね〜(当時のホルンはヴァルヴがなくて自然倍音以外の音を出すのに苦労したそう)。なので最初のチェロパートは狩りのホルンをイメジさせるかっこよさ。それにしてもベートーヴェンはホルンにこんなにメロディアスな音を吹かせるとは。ホルンでもぜひ聴いてみたいけど、チェロでも違和感なく楽しめました。

そして今日の2曲のチェロ・ソナタは間違いなく素晴らしい音楽。第1番は最初の作品だけど、もうすでにピアノとチェロが対等で、とっても充実してる。そして第3番は、間違いなくベートーヴェンの書いた最良の音楽のひとつ。作品の力強さはさすがだし、解説によると充実した中期作品群のひとつだそうだけど、まさにその通りとわたしも思いました。
イッサーリスさんとレヴィンさんの演奏も、そんなベートーヴェンの音楽にしっかり応える素晴らしい演奏で、ピリオド楽器だとお互いの音が溶け合って一体の音楽として響くのがステキです。現代の楽器だと、ともすれば自己主張が強くてそれぞれが独立して聞こえるきらいがあるのでわたしは、このピリオドでの演奏が好きです。もちろんもう少し激しい音が欲しいときに、特にピアノですが、弱さを感じることがあったので一長一短かも知れませんが、わたしの好みはピリオド楽器での演奏だなぁ。イッサーリスさんとレヴィンさんの演奏だからっていうこともあるのかも知れませんが。

充実した音楽会で、次の回を聴けないのが残念。今週末は、いろいろ予定があって、コジョカルさんの「リーズ」や大好きなキングス・プレイスであるタコの弦楽4重奏の全曲演奏会も聴けなくて残念。ロンドン、音楽会多すぎ!
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by zerbinetta | 2012-04-27 07:35 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

マリアネラ・スマイル満開 幸せすぎる心が痛い ヌニェス、アコスタ「リーズの結婚」   

26.04.2012 @royal opera house

frederick ashton (choreography)
ferdinand hérold (music)
barry wordsworth / oroh

marianela nuñez (lise), carlos acosta (colas),
william tuckett (simone), jonathan howells (alain),
christopher saunders (thomas), etc.

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初日のマリアネラさんとアコスタさんの回は観られなかったけど、ちゃあんとマリアネラさんの回は押さえてあるのです。だってビッグ・ファンなんですもの。だからこそ、初日のチケットを譲ることができたんですけどね。もし、それ1回きりだったらどんな理由を付けても(親戚一同皆殺し?)観に行ってましたとも。そして、せっかくのマリアネラさん、今日はかぶりつきです。

つい2日前、コジョコボの「リーズ」を観て最高に幸せって言ったけど、最高って言葉は常に更新されるためにある!もうなんというかわたしの幸せメーターは振り切れまくり。ちょっとなんて言うか困った。わたし、こんなに幸せでいいんだろうかって。わたしは幸せにはなってはいけない人なんです。わたしの幸せはたくさんの人の犠牲の上にあって、特に仲良し(日本にいる夫のような人)には申し訳なくって。幸せを感じれば感じるほど心が痛くなる。悲しいくらい幸せ。矛盾しているみたいだけど、自分が幸せになればなるほど、わたしだけがこんなにも幸せでいいんだろうかと感じてしまう。そんな風に痛切に感じることは、稀にしかないのだけど、今日は今までで一番、強烈に感じた。胸が張り裂けそう。

それにしても、今日のマリアネラさん、最初から最後までもう満面のマリアネラ・スマイルで、舞台がぱっと輝く。久しぶりに見たよ、こんな120%のマリアネラ・スマイル。最近、ジュリエットとか「ニオイスミレ」の娼婦とか、深刻な役が多かったからね。もう、マリアネラさんの本領発揮。かわいいったりゃありゃしない。これには、お客さんも舞台にいるダンサーも心を溶かされたに違いない。農夫を集めてお金を出して草刈りを頼むお母さんから、まんまとお金をせしめたのはマリアネラさんだし(普通の演技は、お母さんの後ろから手を出してお金をせしめたのを見つかってお金を返すのですが、マリアネラさんはいたずらっ子の表情でにっこり。これにはお母さんのタケットさんもたまらない)、アランのホウェルズさんにしっかり胸つんされたのもマリアネラさん。
そしてこのマリアネラさんの魅力を引き出しつつ、本人もマリアネラさんに負けないステキな踊りを見せたのがアコスタさん。アコスタさんって、圧倒的なダンサーだし、こんなある意味脳天気な役は好みでないかなって思ってたけどさにあらず。ずうっとにこやかな表情で楽しそうに踊ってる。このおふたり、もちろん役作りで幸せそうに踊っているけど、実は素の部分でもこの作品が大好き!踊っているのが楽しくて楽しくてしかたがないんじゃないかって、思わせる素晴らしさ。ティアゴさんには悪いけど、この作品では黄金のカップルだな、このおふたりは。

マリアネラさんを観ていつも思うことだけど、彼女の物語を作る上手さ。「リーズの結婚」は、単純な物語で、わたしも内容は知ってるし、物語に関して何かを加えることはないと思っていたのだけど、今日観て、なになに!この不思議にすとんと心に落ちる感じ、ってびっくり。どうして?って思いながら、観ていたら、はっと彼女の生み出す物語の力に気がついたのでした。
それにしても、マリアネラさんとアコスタさんは終始本当に幸せそう。このおふたりには外の世界なんて関係ないっ。最後、アランが部屋の鍵を開けて、ふたりが結婚式の衣装でいるところを発見し、リーズに振られるところも、アランのことは全く眼中になくふたりの世界に入ったまま。一瞬アランがかわいそうって思ったけど、むしろ、変な同情をかけてしまうことが酷なんだなって気がついた。実際はアランこそ闖入者なんだし。

でも、最後、やっぱりアランがお気に入りの赤い傘を見つけて満面の笑みを湛えたとき、この物語はみんなが幸せになって完成するのです。だから、このバレエはアラン役がとっても大事。前回のケイさんも、リハーサルのとき半分だけ観たスカーレットさんも今日のホウェルズさんもみんなとっても良かった。こういう訳でも芸達者な一流の踊り手を揃えているところがロイヤル・バレエの魅力ですね。

会場をいっぱいにしたお客さんみんなと、笑ったり、幸せになったり、心がひとつになるライヴが好き。心の痛みを痛切に感じながらこの幸せに耐えてじんわりと涙をこぼさないようにしながら家に帰りました。

花束を受け取るマリアネラさん
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芸達者のホウェルズさん、タケットさん、サウンダーズさん
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スマイル! マリアネラさんとアコスタさん
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ちょっぴりいたずらっ子の表情のマリアネラさん
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by zerbinetta | 2012-04-26 23:02 | バレエ | Comments(2)

いよいよ幸せの本番 コジョカル、コボー「リーズの結婚」   

24.04.2012 @royal opera house

frederick ashton (choreography)
ferdinand hérold (music)
barry wordsworth / oroh

alina cojocaru (lise), johan kobborg (colas),
alastair marriott (simone), paul kay (alain),
gray avis (thomas), etc.

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マリアネラさん、アコスタさんの初日を仕事(レストランで飲み食い♪)でパスしたので、「リーズの結婚」、コジョコボのがわたしの初日です。コジョカルさんは大好きなダンサーで、今なるべくたくさん彼女の踊りを観ておこうと思っているので、とっても楽しみにしていました。そしてもちろん!楽しみの通りになりました。だって、このバレエ、難しいことは考えずに、観ると幸せになっちゃうんですもの。

その一番のキー・ポイントはアラン。リーズとコーラスの相思相愛、もう愛し合ってて他が見えないほど、のカップルに、彼のお金持ちのお父さんと、リーズのお母さんの策略で横入りしちゃう役。多少知恵遅れだけれども、純粋で汚れがなく、心のきれいな青年。結局親たちの策略は失敗して、アランは見事に振られるのだけど、それだけだったら、とってもかわいそうな役で、幸せどころか心が痛むのだけど、このバレエのステキなところは、最後に全員が舞台から去ったあとで、ひとり舞台(リーズの家)に窓から侵入してきて、お気に入りの赤い傘を見つけて満面の笑みで幸せいっぱいに微笑むこと。これが、舞台の後味を爽やかにして幸せな気持ちにさせるのです。
だからとってもとっても大事な役。彼の笑顔に救われるし、この笑顔がステキであればステキであるほど、この作品がステキになると思うのですね。
今日のアランは、ケイさん。ケイさんのアランを観るのは2度目だけど、ほんとにステキ。最後の心の奥からの嬉しそうな(そしてなんだか華やかな感じのする)笑顔は、アランもちゃんと幸せなんだなって思えて、うるうる。

もちろん、男性が演じるリーズの母、シモーネが舞台から笑いを届けてくれます。今日の彼女は、マリオットさん。つるつるお肌なので、とっても女性っぽい。

そしてなんと言ってもコジョコボ。わたしは今日のコジョカルさん、踊りは上手いのだけどちょっぴり切れがないのかなって思ったんだけど、ツイッター友達の弁だと、とっても柔らかに丁寧に踊っていて良かったって。あっそうか!この役って切れるように踊ってしまったら殺伐としちゃうものね。そう思って思い返すと、仕草や踊りが柔らかな感じで、良かった。切れがなさそうに見えるのに踊りが見事と思ったのには、そんな理由があったんですね。ううう、もう一度観たいのだけど、もうひとつの日は他のアリーナの音楽会が入ってるし。今日の舞台を記憶に留めなきゃ。
パートナーのコボーさんは、お歳を感じさせない(ほんとはいくつなんでしょう?まだ踊れるの?って囁きもあるのですが)、若々しいコーラス。わたしには満点です。おふたりの息のあった踊りと演技、リフトなんてもう完璧。そして何より、いつものこのおふたりならではのプライヴェイトな会話の仕草。コジョカルさんのかわいさったらもうたまらない。

最高に幸せな気持ちになって、肉まんを胸に抱いたようにほかほかした心で帰宅。「リーズの結婚」今度は、どんなことを思うのでしょう。

花束を手に嬉しそうなコジョカルさん
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ケイさん、マリオットさん、ギャリーさん(今日のギャリーさんは引き立て役に回ってあまり目立っていませんでした)
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あらまぁ、コジョカルさんにもらった花を手にマリオットさん
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コジョコボ。コボーさんってカーテンコールのときいつも目をつむってる
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by zerbinetta | 2012-04-24 16:57 | バレエ | Comments(0)

幽玄の魔境の音たち 内田光子 シューベルトの最後の3つのピアノ・ソナタ   

23.04.2012 @royal festival hall

schubert: piano sonatas d.958, 959, 960

mitsuko uchida (pf)

内田光子さんの、シューベルト最後の3つのソナタ。同じ演目を去年の秋に聴いているので、ちょっとお疲れ気味のわたしは、今日はさぼっちゃおうかななんてことをちらりと考えたのですが、聴いて良かった、あまりにいろんなものを超越したシューベルトでした。そして、それが光子さんの音楽の完成型ではない、まださらなる高みに向かってもがいている音楽でした。基本的な設計は変わらないのだけど、音楽がさらに深みに、彼の国に近づいている印象です。最後の一線を越えるのは臨死体験になっちゃうのか、それとも、シューベルトと一緒に向こうに行っちゃうのか。聴くのも命がけ。シューベルトも凄い、光子さんも凄い。

光子さんはロンドンでは大人気。日本人だからということもなく、会場に日本人が溢れることはなくそれ以上に地元の人が多いです。そして、今日はロイヤル・フェスティヴァル・ホールが満員、ステージの後ろ側にパイプ椅子を出してお客さんを座らせていました。ここまで人を呼べるピアニストはロンドンでは光子さんの他にはキーシンさんくらい?

そう、秋に聴いたときは、D958のソナタなんて、まだこっち側に足をしっかり残してたと思うんですよ。でも今日は、この間と同じように、椅子に座るなり勢いよく弾き始めたのだけど(生命が迸ってる)、ふうっと力が抜けて命の灯火がゆらりと揺れる瞬間があるの。ぞっとしちゃった。弱音の表現はほんと消え入りそうで、足元からすうっと向こうの世界に連れ込まれる感じ。特に、虚無的な半音階の速いパッセージが聴かれるところなんて、向こうから足を捕まれて引っ張り込まれそうで。そして最後は、なんだかやけになって死に神と踊るよう。D958のソナタってもう少し健康的だと思ったのに、こんな風に演奏されてびっくり。正直、光子さんがシューベルトの最後のソナタにはまっていく世界観が怖くなりました。わたしは、まだあの世界をのぞき見したくない。もう少し、健やかに生きていたいから。

続けて演奏された、D959は対照的に、むしろこの世的。もちろんふらりとあちら側の世界も顔を出すのですが、まだ、生きる喜びが残っています。
ところで、今日の光子さんの演奏、音楽に没入しまくってて、外から冷静に音楽を観察する目がないみたい。それ故に、とんでもない世界が繰り広げられてる反面、ミスタッチも多く、ときどき荒れている感じもしました。これ、録音されて放送された演奏を聴くと顕著なんですが、でも、その録音、会場で聴いていた印象とは全然違って、会場では、ミスタッチはほとんど気にならず、むしろ、音楽の凄さに惹かれていった感じです。あとで、友達と凄いもの聴いてしまったと頷き合ったほど。なにしろ踏み越えてはいけない世界を覗いてしまったのですから。

やっぱり圧巻は、最後のD960。静かに始まるこの曲は、ステージに座っていたお客さんが落ち着くのを待って始められました。なんていう弱音のこの世のものならぬ(言葉どおりに)美しさ。そして、左手に染み出てくる虚無的な絶望。D958でも半音階の無機質なパッセージにそれを感じたのですが、この曲ではさらに黒いものがもくもくと広がって、命に覆い被さろうとするのです。
第2楽章には、諦観というかもうここには別離の音楽しかない。そして生への憧れ。光子さんは楽譜から本当に自由で、しみじみと語るように、シューベルトが楽譜に写し取ろうとした前の音を紡いでいく。個人的で普遍的な告白。涙が落ちて止まらない。
後半の2つの楽章は、踊るような音楽だけれども、ついに魂が肉体を離れて自由に踊っている感じ。魂ってほんとは自由でいたかったんだなぁ。肉体から解放して空に返してあげることは、わたしたちに最後に与えられた大切な仕事なんだなって思った。わたしも、まだまだ先だけど、いつかそのときが来たら、そのときまで大事にしてきた魂をつつがなく静かに解き放してあげよう。そうしてわたしは完成するのですね。
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by zerbinetta | 2012-04-23 09:03 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

異化された大作?? アーノンクール、ロイヤル・コンセルトヘボウ「ミサ・ソレムニス」   

21.04.2012 @barbican hall

beethoven: missa solemnis

marlis petersen (sp), elisabeth kulman (ms),
werner güra (tn), gerald finley (br)
nikolaus harnoncourt / netherlands radio choir, rco


アーノンクールさん(ハルノンクールとかいろんな読み方があるようですがBBCラジオのアナウンサーはアーノンクールと発音していたので、一番よく見るアーノンクールさんに。ちなみにドイツ人の友達に聞いたら、これはドイツの名前ではないと言ってました)とロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラ。コンセルトヘボウ・オーケストラは今期、バービカンで指揮者を変えて3回の音楽会をします。今日はその第1弾。

ベートーヴェンのミサ・ソレムニスは聴きたい聴きたいと思いつつ、機会を毎回のがしていて、今日初めて聴くのです。CDでも聴いたことがありませんでした。アドルノが著した「異化された大作」という文章はずいぶん前に読んでちんぷんかんぷんに理解できなかったし、なので内容なんて全く覚えていないんですけど、いよいよその音楽に挑戦!

と、あっさり結論を書いてしまうのですが、惨敗。そりゃもうものの見事に。全く分からなかった。演奏はそれはもう充実していて、独唱も合唱もオーケストラも、これは聴く人が聴いたら魂が震えるくらいの名演だった、ということは感じられるのです。でも、音楽がちっとも分からない。
同じ頃ベートーヴェンは、台頭してきた市民に共感して誰にでも分かる、さあ、友よ歌おう!的な交響曲第9番を書いたのに、このミサ・ソレムニスは、全く世間には目を向けず、ひたすら自分の精神の中に潜り込んでいくよう。アーノンクールさんは前に聴いたことがあって感激したので、聴かなくっちゃ、チケット高いけど日本じゃもっと高くて争奪戦になりそうなので今しかないしってのんきな気分でとことこと聴きに来たのが間違いだった。音楽に挑みかかるように聴かなくっちゃいけなかったのに。ベートーヴェンの後期って、交響曲第9番が例外で、弦楽四重奏でも難解だったの忘れてた。
わたしが戸惑ったのはベートーヴェンの語法。なんだか、ベートーヴェンが今まで積み重ねて邁進してきた音楽の方法をことごとく崩壊させているように聞こえたの。発展的な主題の分解、再構成が見られなくて、なんだか弁証法をあざ笑ってる見たい。そして対位法が、バッハのように数学的ではなく、とてもよく分からないものになってた。これは演奏のせいではなく明らかにわたしの不明の至り。ベートーヴェンを甘く見てた。顔洗って出直さなきゃ。今度はきっとベートーヴェンの挑戦を受け止めてやる。ちゃんと音楽を聴いて自分を成長させなきゃ。いつになるか分からないけど、いつかまた、素晴らしい演奏を聴ける日が来るまで。

歌手の皆さん。手前から合唱指揮者さん、フィンリーさん、ギューラさん、クルマンさん、ペテルセンさん
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(付記)
今日は音楽会が終わったステージで、アーノンクールさんのロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティからの金メダルの授賞式が行われました。ロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティってベートーヴェンに第9交響曲を委嘱した団体なんですね。受賞理由はピリオド楽器を使った音楽の演奏のパイオニアとしての活躍だそうです。ちょっとメダルをあげるのが遅いような気もしましたが。自分ひとりだけでは、音も出せないと、演奏家と一緒にメダルを分かち合いたいとおっしゃっていました。

受賞の挨拶をするアーノンクールさん
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by zerbinetta | 2012-04-22 02:03 | 海外オーケストラ | Comments(0)

どうしても’いしゅ’と読んでしまう「魔弾の射手」 サー・コリン、ロンドン交響楽団   

21.04.2012 @barbican hall

weber: der freischütz

simon o'neill (max), lars woldt (kasper),
christine brewer (agathe), sally matthews (ännchen),
stephan loges (ottokar/zamiel), martin snell (kuno),
malcolm sinclair (narrator), etc.

sir colin davis / lsc, lso


サー・コリンさんとロンドン・シンフォニーによるコンサート形式のオペラ、「魔弾の射手」です。確か、チケットを取ったときは、トビー・スペンスさんがクレジットされていたと思うのだけど、ロイヤル・バレエの「大地の歌」の初日を歌って以来ずうっとお休みですね。大丈夫なのでしょうか?それからもうひとり、カスペル役が交代でヴォルトさんがこちらは急遽歌うことになりました。

「魔弾の射手」は有名な序曲や狩人の合唱は知っているけど、オペラ自体は聴いたことがないし、ワグナーを生むドイツ・ロマンティック・オペラの元祖なので聴いてみたいと思っていたのでした。そして、サー・コリンさんも去年くらいから急に弱々しくなってきたので(85歳?)、引退する前に(来シーズンのロンドン・シンフォニーもずいぶん振るみたいですが)聴いておこうと思ったのです。

もちろん始まりは有名な序曲。とっても柔らか、クリーミー。サー・コリンさんの指揮は、必要最低限な感じだけど、さすがロンドン・シンフォニーの総裁、オーケストラとの息もピッタリで、オーケストラの方から自発的に音楽を作って来るので、極上の音楽が聴かれます。サー・コリンさんはロマンティックなスタイルの音楽をするクラシカルな音楽家なので(彼のハイドンはホイップクリームのようでステキ)、まだまだ、音楽聴かせて欲しいのですけど、ご無理はなさらないように。でも、コンサート形式とはいえ、3時間近くかかるオペラを振る体力と集中力は凄いですね。

合唱が良かったです。ロンドン・シンフォニー・コーラスは、アマチュアの合唱団だと思うけど、ロンドンの合唱団(ほぼアマチュア)はどこも大変上手いですね。合唱の良い伝統があるに違いないです。
歌手の皆さんは、それに較べて不可はないけど、可もなしみたいな。ヒロイン、アガーテのブリューワーさん、いつも聴いていた感じの凄さが感じられず、今日は調子が悪かったのかなと思いました。主役のオニールさんも他の人たちに埋もれちゃったので、残念です。良かったのは脇のバスの人たち。ところで、悪魔ザミエルと最後に玉虫色の解決をもたらすオットカールを同じ歌手が歌ったのは、人数節約のためですよね。まさか、そこにドラマの隠喩を忍ばせた?いえいえ、そんな、穿ちすぎ。

やっぱりオペラは劇場で観たいですね。物語を目で追うことも大事ですから。と思いつつ、ロマンティックな気持ちで夜の森へ。じゃなかったビルの谷間へ。

この音楽会は2回繰り返されて録音されたようです。CDになるのかしら。だったら、もっと良い歌手を集めたら良かったのに(たまたま不幸が重なっただけかも知れませんが)。
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by zerbinetta | 2012-04-21 19:56 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)