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我が青春の讃歌 MTT、ロンドン交響楽団 マーラー交響曲第1番   

31.05.2012 @barbican hall

berg: chamber concerto
mahler: symphony no. 1

yefim bronfman (pf)
gil shaham (vn)
michel tilson thomas / lso


MTTとロンドン・シンフォニーのマーラー、今日は交響曲第1番です。そしてその前に、ベルクの室内協奏曲。今日はなんだかずいぶん空いていたです。3階席がらがら。
音合わせが終わって、MTTが出てくるのに、あれれ?ソリストは?って思ったら、MTTが曲目解説。オーケストラ、この曲は独奏者ふたりに管楽器だけの13人のオーケストラです、にポイントとなるメロディを吹かせながら、分かりやすく説明してくれます。耳になじみのない曲なので、これはいいな。USでは、簡単な解説付きの音楽会、結構あったのにそういえばロンドンでは珍しいな。でーーも、そのせいで解説中に遅れてきた人を入れてたから、わたしの隣に駆け込みで間に合った人が、はーはー息を切らしながら。音楽が始まってもしばらく、はーはーしてたのでなんだか集中できませんでした。席いっぱい空いてるんだからわざわざ隣に座るなよーーって悪態つくところでした。
というわけで、最初はぜーぜーはーはーに、気をとられていて、MTTが示してくれた音律を耳で追うのにあっぷあっぷしてたんだけど、そのせいで(結局わたしのせいなんだけど)音楽を楽しむことをすっかり忘れていました。ちょっとお勉強的に聴いてしまった室内協奏曲。ブロンフマンさんとシャハムさんのソロは見事で、ロンドン・シンフォニーの管楽器も相変わらず上手いったらありゃしないので、ステキな演奏だったんだけど、乗れないまま終わってしまいました。ううむ、わたしの負け。

気を取り直して、マーラーの交響曲第1番。大好きな大好きなわたしの青春の音楽です。クラシック音楽が好きになったきっかけはこの曲ではないけれども、音楽にどっぷり浸かっていく、言い換えればクラヲタになったきっかけは、ラジオで聴いたこの曲のせいです。それはもう強烈に覚えています。
MTTの指揮でこの曲を聴くのは初めてだけど、もうなんというか、素晴らしすぎ。旋律の歌わせ方は丁寧で上手いし、細かな隅々まで目が行き届いていて、どんな些細なところも手抜かりなし。MTTは完全にこの音楽を自分の中に取り込んでいますね。ロンドン・シンフォニーもそれぞれの奏者が、音楽を完璧に理解していて、自発的に演奏してるので、伴奏の和音とか、アクセントの揃え方とか、もう自然に音楽に生まれ変わるのね。そんな優秀なオーケストラを自在にドライヴして、MTTはさっと魔法をかけて音楽にさらなる活力とと命を与える。理想的な指揮者とオーケストラの共演。一見、整いすぎててかえって物足りないと感じる演奏だけど、よく聴くとMTTも結構突っ込んだ表現をしていて、さりげなくデフォルメしてるんです。
第1楽章が終わったところで、客席で携帯電話が鳴って指揮者もオーケストラも笑っていたけど、余裕というか、その和やかな雰囲気で始まった第2楽章が、生命力に満ちあふれていて、思わず泣いてしまった。まさに順風満帆。わたしにも、むやみやたらと(根拠のない)自信があって、肩で風を切って歩いていたときがあったなって。若気の至り。マーラーの音楽にもそんな気風があるよね。希望と挫折。そしてより大きな希望と未来への確信。後年マーラーが最も憧れていた音楽が現在進行形であるんだもん。

第3楽章のコントラバスは、ひとりのソロ(ただ単にソロと書くとひとりのソロなのかパート・ソロなのか分かりませんものね。だから意見が割れるんですが)。わたしは、どっちでもいいです。ゲルギーとロンドン・シンフォニーのときみたいにパート・ソロなのにひとりで弾いてるように聞こえるのもびっくりするくらい素晴らしいし。MTTはおちゃらけた合いの手や葬送の音楽にそぐわないふざけたフォーク・ソング調の旋律をしっかり強調して、特に後者は速めのテンポで、音楽の後ろにあるカリカチュアライズされた風景を描き出していました。動物たちの行進。とてもいい感じ。「カロ風の葬送行進曲」と題されていたけれども、マーラーがインスパイアされた絵自体はカロのものではなくてシュヴィントという人の「狩人の葬送」(この絵)なんですね。
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カロ風というのはむしろマーラーが影響されてたETAホフマンの「カロ風幻想曲」という文学作品からとったみたいですね(この本の序文は「巨人」を書いたジャン・パウルが付けているそう)。とあまり関係のないことを書きましたが、カロのエッチング、ナンシーのロレーヌ美術館で観たことがあります。漫画のように滑稽で哀しくて、独特の雰囲気があって、ああ、マーラーの精神的な雰囲気を共有してるって思いました。真面目になればなるほど滑稽さが同居してしまうマーラーの音楽。おこがましいけど、自分に似ていて共感してしまうのです。

そしてフィナーレ。振幅の激しい音楽だけど、特に叙情的なところが、柔らかで美しく、歌わせ方がとってもステキ。そして、中間の華々しいファンファーレのあと、突然転調がされる場面で、ドキリとするほど長い間合いをとって、わたしはメロメロ。こういう瞬間恋に落ちるのよね。最後のホルンの起立は、マーラーが指定した箇所ではなく、その数小節後だったけど、MTTはマーラーの書いたスコアを尊重しつつも、自分の耳目でマーラーのスコアを読んで、同化してそして異化して、自信を持って演奏しているのが分かる。そして彼のマーラーを見つめる目は温かく柔らかい。MTTのマーラーはわたしには掛け替えのないマーラーです。
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by zerbinetta | 2012-05-31 23:30 | ロンドン交響楽団 | Comments(2)

うわっ!横顔めちゃハンサム ティベルギアン バッハ「前奏曲とフーガ」   

31.05.2012 @jerwood hall, lso st luke's

bach: well-tempered clavier book II, preludes and fugues

cédric tiberghien (pf)


セドリック・ティベルギアンさんは、失礼なことにわたしにとって、アリーナの付録だったんです。アリーナのステキな伴奏者。でも、よく聴いてるうちに、彼かっこいいし、ピアノがとってもステキなことに気がついてきました。ソロの音楽会があったら聴きに行きたいなって思うくらいに。確か、去年か一昨年のシーズンにサウスバンク・センターで音楽会をしているのだけど、そのときは聞き逃して、いよいよ今日が初めて。本当は、3週間前の音楽会だったのだけど、ご病気(怪我だったかしら)のため、今日に変更になったのです。LSOセント・リュークでのランチタイム・コンサート。
バッハのシリーズの一環なので、バッハ。平均率の第2巻から、長調の音楽を抜粋して。

お昼の空気にカタカタと鳴るバッハはなんだか心地良いな。平均律の前奏曲とフーガは、きちきちと書かれているような気がして、実はわたしのバッハ苦手理由になってるんです。音楽としては均整がとれてて美しいと思うけど、ちょっと息が詰まるというか、日本の華道とか茶道とか書道とかの’道’が苦手なわたしとしては(華も茶も書も大好き)、ちょっと心配。

でもさすがいい加減なフランス人!いい加減なわたしと波長が合うんです。なんて言っちゃっていいのか?
セドリックさんは、静かに脈動する血管が命の証のように、音楽をほんのささやかな伸縮をもって演奏したんです。縦線をきっちり等間隔に演奏するのではなくて、ほんのちょっぴり、気づかれないくらいに、伸び縮みのある呼吸をするのですね。その加減がわたしの体の脈動にピタリとあってステキな感覚があったんです。生きているバッハ。
セドリックさんの音は、透明で硬質。ビー玉のような弾けるような硬さがあるので、音楽がクリアでたくさんの音が重なっても音の隅々まで見えてくる感じ。バッハの楽譜が絵になるように。

セドリックさん、楽譜を見つめながら弾いていました。その横顔のきれいなこと。ハンサムな人だけど、横顔が輪をかけてハンサム。ああ、セドリックさんの横にずうっといたい。ずうっと彼の横顔観て過ごしたい。

アンコールは多分、ニ短調の前奏曲。お昼時の音楽会は平やかな気持ちを残して終わりました。
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by zerbinetta | 2012-05-31 00:18 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

全てを取り仕切る司祭 ガッティ、ロイヤル・オペラ「ファルスタッフ」   

28.05.2012 @royal opera house

verdi: falstaff

robert carsen (dir)
ambrogio maestri (sir john falstaff)
kai rüütel (meg page), ana maría martínez (alice ford),
marie-nicole lemieux (mistress quickly), amanda forsuthe (nannetta),
joel prieto (fenton), dalibor jenis (ford)
daniele gatti / roc, oroh


久しぶりにオペラを観にロイヤル・オペラ・ハウスに足を運びました。ヴェルディ最後のオペラ「ファルスタッフ」。指揮するのは、カフェで油を売ってるおっちゃん、ガッティさん。この間の音楽会でのマーラーの演奏が圧倒的に良かったので、今日もとっても期待してました。そして期待は裏切られることなく、まさに期待以上。

「ファルスタッフ」はシェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」を元にした喜劇。でも、ヴェルディは渾身の力で音楽を書いているので、音楽が思いっきり雄弁。どたばた劇に最高の音楽を付けてる。新歓コンパのお料理を3つ星レストランのシェフが作るって言ったら言い過ぎかな。それにしても、悲劇と喜劇とでは音楽の作り方も違うと思うのに、ヴェルディはしっかり喜劇の音楽書いてるし、しかも音楽はかなり先鋭的。喜劇と悲劇であまり音楽が変わらないワグナーとは大違いだな。

特定の王とかを扱った歴史物ではないので、演出の自由度は高いともうのだけど、今回のカールセンさんの1950年代に時代を翻案した演出は分かりやすくてとってもステキ。喜劇、楽しいことは身近にあった方が嬉しいもの。それになんと言っても分かりやすいですからねー。オペラなんてフィクションの世界だし、わたしは歴史オペラでも意図がきちんとあって音楽をじゃましなければ、読み替えた演出も大好きです。オペラの上演が全部、読み替え演出になったら嫌だけど。(オペラが全部、オーセンティックな演出で上演されるのも嫌ですけど)

歌手は、わたしがよく知らないだけかもしれないけど、有名なスター歌手は出ていません。その代わり、どの役にも隙のない、高水準の歌手を集めていました。アンサンブル・オペラにはふさわしい人選。思う存分楽しめました。食べ物や飲み物がたくさん出てくるのだけど、意外とちゃんと飲んだり食べたりしていました。ワインはノンアルコールかしらね。

で、音楽が!ガッティさんはオペラを暗譜で振ったのだけど(びっくり)、もう完全に掌握してる感じで、オーケストラも舞台上の歌手も、彼の指揮棒の元に一糸乱れぬパフォーマンス。完全にガッティさんのオペラになっていました。交響曲のようなオペラ。このやり方には、反対意見もあるでしょうけど、全てが一体化した説得力はやっぱり凄い。ヴェルディが書いた全く無駄な音の無い音楽を、一音逃さず完璧なブロックを組み上げるように音にしていきます。オーケストラもがんがん鳴って上手いったらありゃしない。音楽的にもものすごく充実した3時間でした。ふう。スポーツをして試合に勝ったような充実感と疲労感。シャンパン振って頭からかけたいくらい。
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by zerbinetta | 2012-05-28 03:35 | オペラ | Comments(0)

お葬式にはこの音楽を MTT、ロンドン交響楽団 マーラー交響曲第4番   

27.05.2012 @barbican hall

beethoven: piano concerto no. 3
mahler: symphony no. 4

llýr williams (pf)
elizabeth watts (sp)
michel tilson thomas / lso


マイケル・ティルソン・トーマスさん(MTT)はロンドン・シンフォニーの主席客演指揮者のひとり(もうひとりはハーディングさん)。毎年数公演振りに来るのですが、今シーズンは何故か多くて、冬にフランスものを2回振って、今回3回にわたってマーラーの交響曲を演奏します。今日はその1。交響曲第4番。マーラーの交響曲の中では一番編成が小さくて、明るい軽い音楽だけど、わたし的には最も演奏の難しい(なかなか良い演奏に出会えない)音楽のように聞こえます。親しみやすい、古典的(ハイドン的)に見せかけて、とてもたくさんの仕掛けをマーラーが施してると思うから。MTTの演奏は、サンフランシスコ・シンフォニーとのCDを持っていて、好きな演奏のひとつなんだけれども、さて、ロンドン・シンフォニーとの今日はどうでしょう?

このシリーズでは、マーラーの交響曲の前に、協奏曲があって、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、室内協奏曲(ピアノとヴァイオリンが独奏)が演奏されるのだけど、そのソリストには、ピアニストのブロンフマンさん、ヴァイオリニストのギル・シャハムさんがクレジットされていました。でも、今日はブロンフマンさんが病気で急遽、代役にウィリアムズさんが登場です。メイルによると、ブロンフマンさん、次の音楽会では多分大丈夫だろうということ。大事に至らなくて良かった。

ウェールズ出身のウィリアムズさんの音楽は、めちゃロマンティック。ブロンフマンさんが、がっしりと構築されたドライで強固なベートーヴェンの演奏を予想させたのに対して(わたしの勝手なイメジです)、ロマン派の音楽を聴くように大らかに歌う。ちょっとびっくりしちゃいました。MTT自身のベートーヴェンも確か、ここまでロマンティックな演奏じゃなかったと思うので、これはピアニストの音楽でしょうね、きっと。でも、オーケストラもしっかりとそれに応えて、仄暗くもクリーミーで柔らかな演奏でした。ベートーヴェンのピアノ協奏曲には、例えば第5番の第2楽章のように、とってもロマンティックな音楽があるのも事実だけど、わたし好みの演奏かな、と思うと、そうではありませんでした。でも、ここまで外連味なく演ってくれると納得です。

休憩のあとは、マーラー。マーラー聴き始めの頃は、マーラーっぽくないって偉そうなこと言って、あまり好きな曲ではなかったんだけど、今はとっても好き。わたしの好きな演奏は、仕掛けを面白く効かせてくれる演奏。この曲の第1楽章と第2楽章に、マーラーはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタのフーガで見せてくれたような対位法の仕掛けを存分に埋め込んでいると思うのだけど、何となく聴いただけでは分からないその妙を上手に聴かせてくれる演奏が好きなんです。MTTの演奏は、細かなところを強調するより、丁寧に全体の絵を描くような演奏。ありゃ、わたしの好みとはちょっと違うな〜、と思いつつ、予想外の木管楽器の強調とか、トランペットのコッブさんのヴィブラートめちゃくちゃきれいだわ、なんて思いつつ、聴いて、でも、MTTの語り口が分かり始めてくると、これはなかなかステキって思えて、第1楽章の最後の方からは、とっても楽しめたんです。
第2楽章のスケルツォでは、調弦を高くしたヴァイオリンのソロが活躍で、そういえばリーダーのシモヴィックさん、ロンドン・シンフォニーのテストを受けていたときは、やっぱりMTTの指揮だったのよねって思い出して、あのときは、ずいぶん体を揺すって、指揮者よりも目立っていたわ〜、でも今ではピッタリとロンドン・シンフォニーのリーダーにはまって、良い人選んだんだわって思ってなんだか嬉しくなっちゃった。

そして今日の圧巻は、究極の美しさで奏でられた第3楽章。音楽はゆっくりと息が長く弾かれるのだけど、オーケストラは全く息切れせずに十分な呼吸で弾いていく.上手い。上手すぎ。MTTのマーラーは、彼のオーケストラ、サンフランシスコとの演奏がとっても高い評価を受けてるけど、ロンドン・シンフォニーとの方が親和性が高いのではないかって思いました(交響曲第3番ではサンフランシスコとのCDよりもその前に録音されたロンドンとのCDの方がわたしは好きです)。この音楽はなんという幸福感。天国の扉が開く前のお墓の中の音楽なのに。天国へ至る道の安らかな眠り。決めた!!わたしのお葬式で音楽が流れるとしたら絶対、この曲を流して欲しい。幸せに包まれて死のときを過ごしたいし、来訪者にも満ち足りた死を感じて欲しいから。安易に葬送の音楽を流されるのは嫌。

マリナーさんのうっとりするような弱音のクラリネットで始まったフィナーレ。というか、プロローグの天国の音楽。ワッツさんのソプラノはときおり音量がもう少し欲しいかな(2階で聴いていました)と思ったけれども、清んだ中性的な声でこの音楽の雰囲気にピッタリ。MTTは緩急を付けてくるくると変わる景色を上手く描き出していました。

MTTのマーラーの演奏はロンドン・シンフォニーの柔らかな美しさを最大限に引き出したうっとりととろけるような最高級のマーラー。美しい一幅の宗教画のような世界。まろやかな幸福感に満ちあふれていて、マーラーの描き出した音世界を見事に音にしている。魂が救済される死がこんなに美しく満ち足りたものだなんて。
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by zerbinetta | 2012-05-27 07:50 | ロンドン交響楽団 | Comments(4)

赤いハリネズミでシューベルティアーデ キアロスクーロ・カルテット   

26.05.2012 @the red hedgehog in highgate, london

mozart: adagio and fugue, k.546 quartet, k.428
schubert: quartet 'rosamunde', d.804

chiaroscuro quartet
alina ibragimova, pablo hernán benedi (vn)
emilie hörnlund (vl), claire thirion (vc)


赤いハリネズミをご存じだろうか?(なんだか偉そうな口調) ブラームスが通っていたというウィーンにあった居酒屋レストラン。同じ名前のサロンがロンドンにもあるのです。アリーナのウェブサイトをぼんやり覗いて、コンサート情報を見ていたら、なんと!ロンドンでキアロスクーロ・カルテットの音楽会が!場所は、赤いハリネズミ。調べてみるとどうやら家の近く。これは行かなければ。で、持っていたバレエのチケットはリターンに出して、チケット買ったのです。でも、不安は、赤いハリネズミの正体がちっとも分からなかったこと。最初は教会か何かだと思ったんです。教会での音楽会はよくあるから。でも違うっぽいしライヴハウスか何かかなと。若者ばっかりでどうしようとか、不良に絡まれて手籠めにされたらどうしようとか、そんな妄想を膨らませて出かけました。

ロンドンの赤いハリネズミ、外見は小劇場風。おずおずと入り口の扉を開けて入ってみると、うわわっ!なんと受付のところにアリーナ!彼女が受付をしてたわけじゃないんですけど、なにやら準備をしてたみたいです。いきなりヨロコビの大爆発。
会場は、普通の家のリビングのような部屋。椅子の他にもソファがあって、40人くらいでいっぱいになります。なんていう贅沢な空間。来ている人は近所の音楽好きと、カルテットのメンバーのお友達。とっても親密な雰囲気。主催者の人に聞くと、個人的にサロン・コンサートとかを催してるそう。100年200年前はみんなこんな風だったと。シューベルティアーデもきっとこんな感じだったんでしょうね、とわたし。そんなステキな雰囲気の中、大好きなアリーナのカルテットが聴ける最高の贅沢。お客さんが三々五々集まると同時にカルテットのメンバーも楽器を背負ってやってきます。皆さん私服。アリーナが一番早く来て準備してたってことはやっぱりこのカルテット、アリーナがリーダーなのかな。

着替えるのかなと思ったら、私服のまま演奏。こんなこともなんだかステキ。服装にも個性が出て、アリーナは黒の襟なしブラウスに黒のロング・スカート。紅一点じゃなかった白一点(?)のパブロさんはジーンズにシャツ。チェロのクレアさんが一番フォーマルっぽくて黒のパンツ・スーツ。不思議ちゃんなのが、ヴィオラのエミリーさんで、アースカラーの提灯みたいなスカート(ちょっと奇抜)、かワンピースに長いストール。森ガール系。

主宰のマダムの短いイントロがあっていよいよ音楽。アリーナが曲目を紹介して、初めはモーツァルトの「アダージョとフーガ」。今日の前半はモーツァルト2曲で、CDに入っている曲とは違うのがラッキー。CDの演奏でも感じたんだけど、キアロスクーロ・カルテットのモーツァルトはアグレッシヴ。わたし的にはもう少し柔らかさ、大人の余裕、みたいなのが欲しいんだけど、若気の至りみたいな青さが今のカルテットの魅力でもあるのかもしれませんね。でも、変に大人びて丸くなるより今は尖っていた方がずうっとステキになると、彼女らよりもずいぶん長生きしているわたしは思います。「アダージョとフーガ」はフーガの入りをがっつりとアクセントを付けて弾き出すのが激しく、おお、ここまでやるかって思いました。

2曲目のk.546のカルテットもモーツァルトにしては、ちょっぴり殺伐。それが彼らのスタイルだと思うけど、ぴーんと張り詰めた細い音で、かなり大胆に音楽に切り込んでいく感じ。もう少し(いい意味で)緩さがあるといいんだけどな。ピアノ(ピアニッシモ)の表現が、ぎりぎりのところまで音を絞っていて、今日の会場が小さいのでさらに弱音を意識したせいかもしれないけど、音にもう少し力が欲しいと思うときもありました。わたしは、モーツァルトは大好きだけど彼のカルテットは苦手で(というか、弦楽四重奏曲自体が苦手分野で、好きなのはハイドンとメンデルスゾーンのくらい。あとはマニアックなシマノフスキとかゴレツキとか)、そのせいもあるのかもしれないけど、ちょっとピンと来ないところもありました。わたしの好きなハイドンとか弾いて欲しいなぁ(メンバー・チェンジ前にハイドンを聴いているし、録音もされていたハズなんだけどメンバーが替わってお蔵入りになったのかな)。

今日、特にステキだったのは、休憩のあとの「ロザムンデ」カルテット。CDで発売されているから完成度も高いし、というかそれよりもわたしがシューベルト大好きだから!そして何よりもこの雰囲気。お家のリビングで30人あまりの寛いだお客さんと聴くシューベルトってまさにシューベルティアーデじゃないですか!しかも大好きなアリーナ。なんという至福。音楽を聴くというと、つい演奏ばかりに耳が行ってしまうけど、音楽を取り囲む全てのものが、音楽を作っているんだと思う。まわりの人は、今日初めて会う人で、一言二言会話した人ばかりだけど、お友達の家に招かれている音楽仲間という雰囲気があって、そして、シューベルトの音楽もそういうところで演奏されていたということも多分音楽の底の方にちゃんと潜んでいて。にっこりと弾くアリーナも可愛らしくって、シューベルトにも聴かせてあげたいなって思いました。今のキアロスクーロ・カルテットにはシューベルトが似合っているなって感じます。少し、ロマンティックよりな表現が、音楽を丸くして、鋭さと柔らかさがどちらかに傾きすぎることなく上手な案配に配合できるような気がするんです。

キアロスクーロ・カルテット、アリーナ中心のカルテットだけれども、音楽を支えているのはチェロのクレアさんだと思いました。彼女の弾き方はとっても安定していて、上の声部の人たちが自由に歌っても音楽が崩れることがなく、安心して自在に演奏することが出来るんだと思います。服装と同じように演奏もひとりひとりが個性的で、カルテットのまとまりよりもひとりひとりの自由な音楽を生かすような音楽作りがされてると思うのだけど、それをクレアさんが上手にさりげなくまとめているんだと思います。
休憩中、譜面台にのっていた楽譜を眺めたんだけど、アリーナの楽譜には鉛筆で○や●のしるしや音符や表情記号を囲んであったり書き込みがしてあったんだけど、クレアさんの楽譜はまっさら。性格もあるんだろうけど、クレアさんは楽譜に書かれたことを淡々と音にする雰囲気(ただ楽譜どおりに弾いているということではないけれども、無茶はしないというか)があって、面白いなって思いました。

本当にステキな音楽会でした。主宰のマダムさんにも感謝の気持ちを伝えて、まだ明かりの残る夕方の街に歩き出しました。もっとずっとロンドンにいられたら通っちゃうんだろうな。普段はそんな有名な人が来る音楽会ではないかもしれないけど、音楽を楽しむ雰囲気はとってもステキだし、今日のような「掘り出し物」の音楽会もあるしね。一見さんとしてではなく、仲間として参加したい集いです。
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by zerbinetta | 2012-05-26 23:20 | 室内楽・リサイタル | Comments(4)

硬さが取れて  「王妃の舞踏会」「ラ・シルフィード」   

26.05.2012 @royal opera house

ballo della regina

verdi (music)
george balanchine (choreography)

laura morera, federico bonelli
helen crawford, melissa hamilton, hikaru kobayashi, itziar mendizabal

la sylphide

herman løvenskiold (music)
august bournonville / johan kobborg (choreography)

tamara rojo (the sylph), dawid trzensimiech (james)
gary avis (madge), romany pajdak (effie), johannes stepanek (gurn), etc.

daniel capps / oroh


どういう訳か、またまたダブル・ビル。しかも何故か今日は、かぶりつき、但し2列目。あれれ?と思ったけど、そういえばマチネの方が安いので1演目1かぶりつきの法則で、今日がかぶりつきだったんだ。ところが、今日は中途半端。2列目ならいいやと思って取ったんだけど(前は大丈夫たった)、今日は前にいやに大きい人がふたり!近所の人らとひそひそ、見えないわね〜なんて話してました。

この演目、このキャストのは前に1回書いてるので、簡単に。
まず、今日は「王妃の舞踏会」のモレラさんがすごく良くなっていましたっ♡前回の硬さが取れてきらきらと楽しげに踊っていました。こうじゃなくっちゃ。もちろんパートナーのボネリさんもいつもどおりステキ。後ろではメンディザバルさんとひかるさんかな、やっぱり。メンディザバルさんはほんと、踊りのきれいなダンサーさんです。
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「ラ・シルフィード」はやっぱり、タマちゃん強烈。儚げな妖精の中に強烈な強さが。。。妖精のお局様。
トルゼンシミエッチさんはとても良くなったと思います。でもやっぱり、どっちつかずで虚勢を張る若者。でも、このバレエの観後感って、悲劇と言うより、なんて情けない男って感じなので、役作りはこれはこれで良いのかもしれませんね。

3人の妖精。メーガン=グレイスさん、メリッサさん(ヤスミンさんの代役)、エリザベスさん
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エマートンさん、セイラちゃん、ロサトさん、ウスペンスキさん
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タマちゃんとトルゼンシミエッチさん
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by zerbinetta | 2012-05-26 01:20 | バレエ | Comments(0)

幻想遊園地 アシュケナージ、フィルハーモニア ショスタコーヴィチ13   

24.05.2012 @royal festival hall

prokofiev: piano concerto no. 3
shostakovich: symphony no. 13

nobuyuki tsujii (pf)
sergei aleksashkin (bs)
vladimir ashkenazy / philharmonia voice, po


今日の音楽会、もうずうっと待ち望んでいました!タコ、交響曲第13番、通称「バビ・ヤール」。わたしの最も大好きなタコの交響曲。そして滅多に演奏される機会のない音楽。これを聴かずして、今シーズン何を聴くかってくらいです。実はワクワクしすぎて2月頃から、今日の音楽会だったかしら、なんてプログラムを見たりしてたのでした(2月か3月の音楽会だと思ってた)。

でも、世間的には辻井伸行さんのピアノなんですね。タコで舞い上がってるわたしには、彼のピアノは眼中になかったんだけど(なんて失礼な!)、でも、聴いたら、凄い!素晴らしい!彼、とっても人気みたいなんだけど有名な人だったのかしら。もちろん、日本では有名なのは分かるのだけど、こちらの人にも人気みたい。経歴を見ると、ヴァン・クライバーン・コンクールで優勝しているんですね。23歳、むちゃ若い。
辻井さんって目が見えない人だったんですね。アシュケナージさんのサポートでステージに出てきた彼は、小柄で丸顔。アシュケナージさんにピアノの位置を示してもらって着席。音楽が始まる瞬間ってドキドキしますね。特に初めて聴く若い音楽家さんだと。

辻井さんの音楽は、わぁびっくり!わたしの予想に反して、ロマンのひとかけらもない音楽。曖昧なもの、感覚的なものを一切排して、全ての音が物質的な質量を持って実存している。全ての音の存在理由を説明できる音楽。しかもそれを徹底して容赦なく音にしている。彼の中にはどんな音が、どんな音楽が響いているのだろう。彼は視覚を失っているけれども、それは大多数の目の見える人に合わせて作られた社会では不便なことも多いと思うけど、決して世界は彼の中で狭まっていない。多分彼は目が見えない代わりにそれを凌駕する、多分わたしたちの知らない感覚を研ぎ澄ませている。それはわたしたちが目が見えるという感覚と同じように自然に当たり前のこととして。わたしは、目が見えるし、耳も聞こえ、匂いもかげる。でも、わたしの世界は、浅く、音楽の感覚において辻井さんの足元にも及ばないと感じました。ぼんやりと見て、聴いて、世界の遠くが見えていない。それにしても、音楽の全てを耳で、体で感じるのってどういう世界なんだろう。わたしなんて見えないと、音楽が全ては聞こえないと感じているのに。幾何学模様のような楽譜の美しさも全て音に還元してしまうのだろうか。なんだか、果てしない未知の世界へ誘われるようで、これからも辻井さんの音楽を通してその世界へ冒険してみたいと思いました。彼の、ラフマニノフも聴いてみたいなぁ。ロマンティシズムを拒絶したラフマニノフ、どういう風に響くのだろう?それともいくらかロマンティックに弾くのかしら?

と考えていたら、アンコールにもラフマニノフの前奏曲。ふふふ、やっぱりロマンのかけらもない。音楽がロマンティックに書かれているので、それ風には聞こえるのだけど、彼はそういうところに立っていないです。これはますます、彼のラフマニノフの大作、聴いてみたくなりました。
人柄ですかね。アシュケナージさんが、ずっと辻井さんのことをあたたかく見守っていたのが印象的でした。そして、お茶目な彼は、指揮棒を横向きに口に咥えて、ずっと拍手していました。いや、そこまで笑わかせてくれなくても♪

前半だけでうっかり十分満足しちゃったけど、わたしのメインは後半。タコ13。実はアシュケナージさんのタコの交響曲、1枚か2枚CDを持っていて、意外に好きなのです。世評は高くないんですけどね。
演奏は素晴らしかったの一言。初めて聴くし、これから先2度と再び聴くことができるかあやしい曲なので超興奮してるんだけど、それを差し引いても(上手く差し引けてるかは自信ないけど)、素晴らしい演奏。まず、オーケストラが上手い。特にチューバは神がかってた。それにバスの独唱のアレクサシュキンさん。鬱々とした歌で、タコの世界を表出。文句なしです。男声合唱は少数精鋭だけど、意外と低音が良くてフィルハーモニア・ヴォイス、やるじゃないって思いました。
この音楽、始まりから終わりまでものすごく鬱々しています。聴く方もかなり気持ちの強さが必要で、でないと鬱々の底なし沼に足を取られてしまいます。わたしがもうこんな気持ちなのに、これを練習してきたオーケストラの人たちは、沈んだ気持ちにならないのでしょうか。練習している間に世を捨ててみたくなっちゃったり。そんな圧倒的な力を持つ音楽だけど、アシュケナージさんは、かさかさと乾いた感じじゃなく、艶やかな潤いを持って音楽を奏でていました。すべすべとしたタコ。これはCDで聴いた彼の他のタコの交響曲と同じ感じです。それがわたしには好ましい。といっても決して甘い音楽ではなく、胃の腑に鉛を飲み込んだような重暗い気持ちになります。
だからこそお終いの方でフルートの旋律が聞こえてきたときは涙。遊園地の音楽。子供の頃の夢。ショスタコーヴィチは、子供時代の無条件で安らぎのある夢の中に、特に後期の交響曲作品において退行する傾向があるのではないかと思います。何かそこに安住の地を求めるような希求がときどき音に聞こえて。最後の交響曲の第1楽章とか最後の部分なんてまさにそれですよね。でも、その気持ちにはとっても共感できる。わたしも、子供の頃の幻の遊園地で遊びたい。それがわたしにとっての永遠の憧れだから。絶対に届かない憧れ。最後の部分で涙が止めどもなく溢れるのは、わたしもそれを強く強く求めているからでしょう。そしてその幻が音楽の中に聞こえるから。でも、音楽の中の遊園地はどうしてか雨が降ってる。そして、ひとりわたしがぽつり。ひとりぼっちの孤独が憧れの裏側にへばりついてる。幻は共有できないのかな。ショスタコーヴィチはわたしにそれを見せてくれたけど、彼はもうそこにはいないんだ。この気持ちはしばらく後に引きそうです。
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by zerbinetta | 2012-05-24 09:01 | フィルハーモニア | Comments(4)

餅屋さんにな〜れ ズーカーマン、ロイヤル・フィル ショスタコーヴィチ交響曲第10番   

23.05.2012 @royal festival hall

mozart: the marriage of figaro, overture; violin concerto no. 5
shostakovich: symphony no. 10

pinchas zukerman (vn) / rpo


カレンダーを観てたら1日音楽会のない日が空いてたんですよ。ふむふむ、と思って調べたら、音楽会があるではないですか。最近好印象のロイヤル・フィルハーモニックの。しかもタコ10。指揮はヴァイオリニストのズーカーマンさんなのが不安だけど(だからチケット買ってなかった)、タコだし聴こうかと思って行ってきました。ばか。

わたしは、ときどき書いてるように、餅は餅屋の人なのでヴァイオリニストのズーカーマンさんの指揮はあまり興味ないのだけど、前に1回聴いたとき以外と好印象だったので、まっいいか、と思ったんです。そして始まった、「フィガロの結婚」序曲。これがまあ、めちゃくちゃ良かった。スザンナのように可愛らしくて溌剌として機転が利いて。音楽会の始まりをワクワクさせるような演奏。まさかここで掴まれるとは。やるじゃん、ズーカーマンさん、ロイヤル・フィル。

2曲目は、ズーカーマンの弾き振りで、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」。ズーカーマンさんって美音系の一昔前のスタイルのヴァイオリニスト。ジュリアード系と括れちゃうくらい特徴あるよね(もちろん個々の奏者にはそれぞれ個性があるけど、何となく同じ向きを向いてる)。そんな彼のヴァイオリンだから、今は珍しいロマンティック・モーツァルト。わたしにはちょっとべたべたしてたかな。そして1番の問題は、ズーカーマンさんのテクニックの衰え。もちろん、大きな瑕はないのだけれども、今の若い人は、テクニックがあるのが当たり前だから、そういうのに比べるとちょっとテクニックが危ういし、前はもっと上手かったと思うのね。指揮者と2足わらじのせいかしらと何となく思ってみたり。

ロイヤル・フィルの音楽会、何故かお客さんの質が低い。後ろに座ってた人、演奏中もぺちゃくちゃしゃべってたので、思わず休憩後席を移りました。

最後のタコの交響曲第10番。オーケストラはとても良く鳴ってたし、音的には文句はないのだけど、そして音浴びは楽しかったんだけど、音楽が終わったとたん、ぽっかりと音楽がわたしの中から消えました。何だろう、このキッパリ感。確かに立派な音になってるのに(オーケストラはとてもステキに演奏してくれました)、何も心の中に残らない不思議。ズーカーマンさんは何を言いたかったのだろうって思いました。確かに最近の傾向は、ショスタコーヴィチから、政治とか社会とかもろもろの垢を取り除いて純粋に音楽を演奏するというものだけど、それにしても何もない音楽って。ズーカーマンさんは何を表現したかったんだろう?最後までわたしには分かりませんでした。2足のわらじはどちらにも中途半端になってしまうような気がします。どちらかを捨てる覚悟が必要なんじゃないか、と他人事ながら僭越に思いました。餅屋さんにな〜れ。
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by zerbinetta | 2012-05-23 08:28 | ロイヤル・フィルハーモニック | Comments(0)

貫禄ありすぎ、タマラ・ロホ 「王妃の舞踏会」「ラ・シルフィード」   

22.05.2012 @royal opera house

ballo della regina

verdi (music)
george balanchine (choreography)

laura morera, federico bonelli
helen crawford, melissa hamilton, hikaru kobayashi, itziar mendizabal

la sylphide

herman løvenskiold (music)
august bournonville / johan kobborg (choreography)

tamara rojo (the sylph), dawid trzensimiech (james)
gary avis (madge), romany pajdak (effie), johannes stepanek (gurn), etc.

daniel capps / oroh


ありゃりゃ、昨日に引き続いてまた、ダブル・ビルです。そうだった。パゴダの王子が高くてチケットをあまり買えなかった腹いせに、ダブル・ビルの安いチケットを取りまくったんだったわ。うううむ。でも、今日は別のキャストなのでまた楽しめるでしょう。

「王妃の舞踏会」はモレラさんとボネリさん。確か、カスバートソンさんが踊る予定だったんだけど、怪我で降板なのよね。残念。カスバートソンさんの踊り観たかったのにな。モレラさん、彼女の初日の今日はちょっと固くなっていたみたい。いくつか小さなミスがあったり、表情がちょっと硬かったの。これはきっと次には良くなっていくでしょう。ボネリさんはにこやかに気高く踊っていました。今日は4人のソロの中にひかるさんが。ねーせっかくだからボネリさんと踊らせてもらえれば良かったのにー。ヴェテラン中心の4人のソロは今日の方がファースト・キャストと言っていいくらいの充実でした。

あっち向いちゃってるけどモレラさんとボネリさん 一番左端にひかるさんがいます
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「ラ・シルフィード」はシルフィにタマちゃん!もちろんタマちゃんは、技術的に完璧だし、表現もとおっても上手いんだけど、、、ちょっとキャラが違うような。。。儚い妖精と言うより、存在感ありすぎ。恐い妖精かも。それはタマちゃんが歯に衣着せずもの言うから、強いキャラクターだという先入観からかもしれないけど、いい意味でバレエ・ダンサーとしての強烈な存在感を醸し出すタマちゃんと触れれば消えてしまうような妖精とのギャップが。むしろマッジと闘ってマッジを倒しそう。でも、踊りはきれいだし、安心して観てられるから楽しめましたよ。

安心してなかったのはタマちゃんのお相手に抜擢された(ペネファーザーさんが怪我のため)トルゼンシミエッチさん。相手がタマちゃんだと恐いよね、なんて友達とも話してたんだけど、デビュウは無難だったかな。でも、踊り比べは、さすがにグルンのステパネクさんの方に軍配が上がっちゃった。しょうがないとはいえ、これは重要。ジェームズとグルンの関係が逆転しちゃうからね。トルゼンシミエッチさんのジェームズは、強さが足りないというか、虚勢は張っているものの中身はまだ幼い感じ。結婚したら尻に敷かれるタイプ。むしろ、ステパネクさんがジェームズを演った方がすんなりいったかもって思いました。ヴェテランの貫禄勝ち。
パジャックさんは、朝ドラのヒロインになりそうな爽やかな感じ。しっかり者で真っ直ぐ。グルンと結婚しても上手くやっていくでしょう。

マッジのギャリーさんはさすが。存在感ありすぎ。それにマッジのメイクが似合っててハンサムに見える♡多分マッジは性別が指定されてないから男性が踊ってもいいのね。最後の方でジェームズに無理矢理シルフィが昇天していく現実を見せようとするとき、トルゼンシミエッチさんの髪の毛(地毛?カツラ?)を思いっきりつかんで顔を向けさせていました。なんだか痛そー、トルゼンシミエッチさんかわいそーー。

3人のシルフィ メーガン=グレイスさん、ヤスミンさん、エリザベスさん
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パジャックさんとステパネクさん
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ギャリーさん
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タマちゃんとトルゼンシミエッチさん
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by zerbinetta | 2012-05-22 07:13 | バレエ | Comments(0)

10年後のスター!アナベルちゃん 「王妃の舞踏会」「ラ・シルフィード」   

21.05.2012 @royal opera house

ballo della regina

verdi (music)
george balanchine (choreography)

marianela nuñez, nehemiah kish
beatriz stix-brunell, yuhui choe, emma maguire, samantha raine

la sylphide

herman løvenskiold (music)
august bournonville / johan kobborg (choreography)

alina cojocaru (the sylph), steven mcrae (james)
kristen mcnally (madge), emma maguire (effie), valentino zucchetti (gurn), etc.

daniel capps / oroh


みんなが、コジョカルさん最高!マクレーさんステキーー!!うんにゃマクナリーさんの演技抜群!、ここは若いマグワイアさんとズチェッティさんでしょう、とか言っても、それにはもう思いっきり賛同するけど、わたしの主役は、アナベル・ピカーリングちゃん!!!!かわいすぎっ!わたしの娘にしたいっ!並み居るダンサーを差し置いて、目を奪うかわいらしい存在感。凄いです。アナベルちゃんは、ググってみるともう、大人のバレエのステージで(もちろん子役として)踊っているのね。スターの予感のする10歳。もちろん、バレエの道は厳しいし、子供の変化は大きいから、どうなるかは神のみぞ知るんだけど、絶対スターになって欲しい。きっと、スターになる!だって、なんだかもうちゃんとオーラ持ってるんだもの。恐るべき子供。
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今日はいよいよこの間リハーサルを観た、ダブル・ビルの初日です。リハーサルのときと同じキャスト。

前半の「王妃の舞踏会」はヴェルディの音楽(ドン・カルロから)に付けた短い演目。オペラの中からカットされた場面で、物語はないものの(オペラのにはあったみたいです)、華やかな楽しそうな観ていて嬉しくなる力に溢れたバレエです。ステップがかわいらしい。そういえば、昨シーズン初めて観たとき、ジャンプからトゥで着地でびっくりしましたっけ。そのときもネラ(マリアネラさんの愛称)が踊っていました。明るくて華やかな踊りは彼女の一番の長所。ステキでないわけがありません。なんかほんと嬉しそうに軽やかに踊ってる。そして、男性と出会ったとき、ふっと軟らかな表情を見せるなど、彼女なりの物語を作って踊っている感じ。
一方のキッシュさんは、ネラと組むことが多くて、このおふたりのペアわたしは大好きなんです。キッシュさんはまだ若くて、未熟なところもあるんだけど、ネラが上手くサポートしてる感じもするし、背の高いネラとペアを組めるキッシュさんの加入(キッシュさんは去年のシーズンにロイヤル・バレエにプリンシパルとして入団しました)は、ネラにとってもロイヤル・バレエにとってもすごく良かったんじゃないかと思います。おふたりのバランスが観ていてちょうどいいんです。それに素のキッシュさんハンサムだし♡
4人のソロの中ではユフィさんが良かったです。隣に座ってた人はファンなのかしら、思いっきり拍手を送ってました。

ネラ
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後半の「ラ・シルフィード」は、わたしはあまり好きになれない作品かな。ちょっと物語が。主人公のジェームズは婚約者のエフィーがいるのに、妖精に夢中になっちゃって、でも、彼女のことを好きなグルンには偉そうに酷く振る舞うし、家に入ってくる怪しげな占い師は有無を言わさず追い出そうとする。かなり嫌なヤツ。でも、かっこいい人が踊っちゃうし、主人公なんですよね。マクレーさんのジェームズは、だから嫌なヤツなんだけど、マクレーさんだからときめいちゃうし。エフィーもそんな感じ?
でもグルンのズチェッティさんも格好良かったぞ。でも、踊りはマクレーさんが圧倒的に切れてる(マクレーさんはプリンシパルでズチェッティさんはまだファースト・アーティストだから当たり前だけど)。グルンがエフィーに踊りを見せたあと、これ見よがしにジェームズが踊って、それを見てグルンががっくりするところ、まさにその通りというか、あんなの見せられたら完敗って思うよね。それにしてもジェームズやなヤツだ。

マクナリーさんのマッジ(占い師)は、さすがいい味でした。わたし、マクナリーさんと今日は出てなかったけどガートサイドさんが、いつかプリンシパル・キャラクター・アーティストになってロイヤル・バレエを引っ張っていくんじゃないかって思ってるんです。ロイヤル・バレエのプリンシパルの方々凄いけど、バレエ団の特徴は演劇性にあるので、キャラクター・アーティストが舞台をきりりと締めるスパイスだと思うんです。それはもうロイヤルの宝。

コジョカルさんは儚げなカゲロウのような妖精。ふわりと軽くて、透明。手を触れようとすると空気のようにさあっと逃げる。そんな、憧れに似た虚ろな感じ。やっぱり上手いなぁコジョカルさん。でも、この妖精も、無垢すぎるのか意地悪なのか、物語的にはちょっとよく分からないのですね。婚約している男に手を出しちゃってって、人間の倫理ではなく妖精の理で考えなきゃいけないんでしょうけど。でも、主役の男女が触れ合うことのない恋物語の舞台は新鮮でした。ふたりで踊っていても実質的にはソロですし。これは大変そう。

このバレエって、3大白いバレエなんですね(あとのふたつはジゼルと白鳥の湖)。そして、ポワントを使った表現で妖精の浮遊感を出して評判をとったそうです。確かに!物語的にはあれだけど、ずいぶん楽しんでたりして。でも、この公演のチケット何故かたくさん持ってるのよね。飽きちゃうかなぁ〜。

白いバレエ
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3人の妖精 ベアトリスさんとクレアさん、ヤスミンさん影になってごめんなさ〜い
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ホワイトヘッドさん、アナベルちゃん、ヘイグリさん、モスレーさん
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マグワイアさんとズチェッティさん
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マグワイアさんコジョカルさんとマクレーさん、ズチェッティさん
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by zerbinetta | 2012-05-21 21:30 | バレエ | Comments(0)