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メイドさんはドジッ娘 ロイヤル・バレエ「田園のひと月」他   

30.06.2012 @royal opera house

トリプル・ビルです。この演目で5回続けて更新の予定です。飽きるって?大丈夫。途中きっと手を抜くでしょうから。音楽会のシーズンが次々に終わっていくので残るはバレエとオペラになってしまいました。

birthday offering

glazunov/robert irving (music)
frederic ashton (choreography)
tom seligman / oroh

tamara rojo, federico bonelli,
yuhui choe, laura morera, sarah lamb,
roberta marquez, hikaru kobayashi, helen crawford,
alexander campbell, richardo cervera, valeri hristov,
brian maloney, johannes stepanek, thomas whitehead


「誕生日の贈り物」は、アシュトンがグラズノフの音楽に振り付けた作品。ストーリー性はなく、目がちかちかするようなきらびやかな衣装で楽しい踊りが続きます。女性はそれぞれソロがあるけど、男性は主役のひとり以外は目立った踊りはなくて女性のサポートに徹します。男性から女性への贈り物?
グラズノフの音楽って知らないなぁって思いきや、昔NHKのFMラジオでクラシックの番組を聴いたときのテーマ曲。な、懐かしい。なんかほんとに優雅な気持ちにさせられる音楽と踊りです。オーケストラも今日は弦楽器がとても良かった。やればできるじゃん。
今日の主役は、タマちゃんとボネリさん。タマちゃんは、今シーズンでロイヤル・バレエを離れるのでこの公演が最後かなって思ってたら、「ティシャン」のキャストが発表になって、それにも出るのでそちらが最後。タマちゃんは、とっても上手いし盤石なんだけど、演目としてはドラマティックなストーリー性のある方がタマちゃんらしいように思うので、この演目はタマちゃんじゃなきゃって感じではありませんでした。こんなステキなの観て、こんなこと言ってるわたし、偉そう?
ボネリさんはいつものようにステキです。ひかるさんが、うちの主人は女性を引き立てるのが上手い、と自慢してたように(ひかるさんのバレエの細道)タマちゃんをしっかり引き立てつつ、自分も華やかに踊っていました。
女性のソロは、アシュトンらしい踊りというものが素人のわたしにはよく分からないのだけれども、モレラさんが群を抜いてステキでした。彼女主役でも観てみたいくらい。あとは、マルケスさんがぴょんぴょんと活発な感じ、ひかるさんが安定感があって良かったです。

ラムさん、マルケスさん、ユフィさん。男性はホワイトヘッドさん、マルケスさんの陰にセルヴェラさん
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タマちゃんとボネリさん
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引き立て役の男性陣。キャンベルさん、マロニーさん、ステパネクさん、フリストフさん、ホワイトヘッドさん、セルヴェラさん
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a month in the country

chopin/john lanchbery
frederic ashton (choreography)
barry wordsworth / kate shipway (pf), oroh

zenaida yanowsky (natalia), rupert pennefather (beliaev)
christopher saunders (yslaev), ludovic ondiviela (kolia)
emma maguire (vera), gary avis (rakitin), sian murphy (maid)

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「田園のひと月」は、ツルゲーネフのお話を元にした、アシュトン最後の作品。内容は全然違うけど、全体的な雰囲気は「エニグマ変奏曲」に似てると思いました。悲しみの質、涙の質は違うんですけどね。ショパンのピアノ曲をオーケストラに編曲しているのは、上手くいってると思います。独奏ピアノも入りますが、あくまでもオーケストラ中心。さっきは、固い音で弾いてた弦楽器が、今度は柔らかい音。ロイヤル・オペラ・ハウスのオーケストラ、なかなか器用じゃん。
この公演は、怪我で休んでいたゼナイダさん、ペネファーザーさんの復帰公演です。ペネファーザーさんは3月のロミオから休んでるのでもうずいぶんと長いです。ゼナイダさんもこの間の「パゴダ」を降板しました。怪我から復帰のダンサーさんを観るのは、そんなふうに考えなくてもいいって頭では分かってるのに、ドキドキしてしまいます。練習の段階で、もうちゃんと踊れることが分かってるダンサーさんよりもきっと大袈裟に。だから、上手く舞台が終わったらほっとするし、拍手にも力が入ります。そして、今日のおふたりとっても良かった!
まずゼナイダさん。こんなにふわふわと踊れる人だとは思わなかった。なんか柔らかさは、(別の日に同じ役を踊る)コジョカルさんみたいって思った。ゼナイダさん大きいのに。それに、不倫するお金持ちのマダム役にピッタリと思った(ごめんね、キーンリーサイドさん)。なんか、時間をもてあましちゃって、倦んでちょっと冒険したい、美貌でまだ若い心も残ってるお金持ちの女性。夫を愛しているもののそれだけでは満ち足りない、田舎の広い風景のような気持ち。そんな女性を、とっても丁寧に演じて、踊りも重力を感じさせない、なんだか非現実的な夢の中の物語のような浮遊感があって、現実ではない幻を見ている感じがしました。とてもステキ。
ペネファーザーさんは、無表情とか演技がちょっとと、批判されがちな人だけど、わたしはかえってそれが、何だか、ことの重大性がちゃんと理解できていないナイーヴな青年。というか、深刻な状況になるとフリーズしちゃうようなというか、さっとなかったことにして自分の心を守ってしまうあんぽんたん系。なんでそのことが分かるかというと、自分もそうだから。親近感があるの。ペネファーザーさんの何となく棒立ち系の演技(この場合褒めてるんです!)を観ていると、この物語のキモが分かるような気がして、ペネファーザーさんはまり役のように思えるんです。何となく現実味に欠けているところもグー。無言歌のような静かな踊りもとっても良いのです。

そしてステキな脇役陣。養女、ヴェーラを踊ったマグワイアさんはとても優雅で、でも感情を爆発させるときもある多感な少女をとても上手に踊っていたし、息子のコリアを踊ったオンディヴィエラさんは、この物語の中で唯一ピュアな役を上手く表現していました。彼、小さいんですね。そして超強力な、夫のサウンダーズさんとラキティンのギャリーさん。このおふたりは、舞台の上にいるだけで何もしなくても存在感が際だちます。ギャリーさんはエロ封印でした(ナタリアを愛しているものの、軽くあしらわれて何もしないのですね)。

そしてそして、そんな主役のおふたりと豪華な脇役陣なんですが、わたし的に、一番印象に残ったのは、メイドのシアン・マーフィーさんの可愛らしいドジッ娘ぶり。アシュトンの振り付けが、ドジッ娘を作ってるんですけど、マーフィーさんがとってもとっても役にはまってて、わたしは、メイド喫茶には行ったことないし(本物のメイド服を着たメイドさんはホテルで見たことあります)、メイドよりも執事の方なんですけど、でも、こんなメイドさんいたらときめく!いや〜、なんか本筋を差し置いてっていう感じだけど、こういうちょっとした人物にときめいちゃうのも(演劇性)バレエの楽しいところですね♡

ドジッ娘マーフィーさんとうしろはサウンダーズさん
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マグワイアさんとオンディヴィエラさん
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ここでも無表情のペネファーザーさんと嬉しそうなゼナイダさん
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les noces

stravinsky (music)
bronislava nijinska (choreography)

christina arestis (bride), ryoichi hirano (bridegroom)
genesia rosato, alastair marriott, elizabeth mcgorian, gary avis (parents)
deirdre chapman, richardo cervera (friends), etc.

barry wordsworth / singers, roc, pianists, percussion


最後は、「結婚」です。ストラヴィンスキーのこのバレエは、なんと、4台のピアノ、打楽器、合唱と独唱で演奏されます。まず音楽が素晴らしい!合唱で演奏する春の祭典?今日は、オリジナルのニジンスカの振り付けたヴァージョン。「春の祭典」を振り付けたことで有名なニジンスキーの妹です。このニジンスカの振り付けはもうとってもステキ。お兄さんの「春の祭典」と共に歴史に残る振り付けでしょう。1920年代の作品なのに未だに斬新で、新しく感じる。前に、この演目を、ニジンスカの振り付け版と、新しい振り付けによるものを、一晩で続けて観るという経験をしたんだけれども、そのときも古いはずのニジンスカの方が新しく感じられました。そして音楽と共にものすごいエネルギー。
今日は、結婚するおふたりに、アレスティスさんと平野さん。わ〜〜いっ平野さんだって思ったら、この役一応主役なんですけど、目立った踊りがなくて、マイム主体で目立たないんですね。しかも、わたしの席は脇だったので、後半の婚家でのシーンは舞台の後ろの方で進行しているのでちっとも見えないし。まあでも、舞台の前方で繰り広げられるエネルギッシュな踊りの方が観る方には楽しいのでいいんですけど。で、一番目だったのは、結婚するおふたりの友達のチャップマンさんとセルヴェラさん。このおふたりに激しいソロが割り当てられています。
物語部分は見えずによく分からなかったけど、踊りは楽しめたので良かった良かった。やっぱり好きだな。このバレエ。

真ん中にアレスティスさんと平野さん。夫側の両親(手前)にマクゴリアンさんとギャリーさん。妻側の両親(奥)にロサトさんとマリオットさん
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チャップマンさんとセルヴェラさん
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by zerbinetta | 2012-06-30 09:00 | バレエ | Comments(0)

タカシのような演奏??なにそれ? サロネン、フィルハーモニア「復活」   

28.06.2012 @royal festival hall

joseph phibbs: rivers to the sea
mahler: symphony no. 2

kate royal (sp), monica groop (ms)
esa-pekka salonen / philharmonia chorus, po

この音楽会を聴いたあと、ツイッターに「タカシのような演奏」って謎のツイートを思わずしたんですけど、いよいよ謎解き。
今日の音楽会はとっても楽しみにしていたんです。だって、サロネンさんが「復活」。サロネンさんって確かマーラーの交響曲第3番を代理で振って鮮烈デビュウ。でも、なんか、「巨人」とか「復活」(敢えて通称名で呼んでみました)よりも後期の交響曲の方が似合うような気がして、ベタな「復活」をどう演奏するか、という興味がありました。それと、2010/11年のマーラー記念年のシーズンで唯一聴いてないのが何故かこの「復活」だったんです。だから遅ればせながら聴けて嬉しい(あっロンドンでは、その前の年までに「復活」は2回聴いてます)。

音楽会は、交響曲第2番、1曲だけではなくて、その前に、フィブスさんの「川から海へ」という作品が演奏されました。同じ曲目でイギリスをツアーで回っているので、今日が初演ではないけれども、初演は数日前なのでほぼ初演。もちろんロンドンでは初演です。この曲、何だかとっても不思議な曲で、聴きやすいとってもきれいな音楽なんだけど、頭の中から跡形もなくすうっと抜けて、全く覚えていないのです。BBCラジオ3のオンデマンド放送でも何回か聴いたけどやっぱりすうっと頭の中を抜けていって、何だか幽霊みたい。音楽会で演ったことすら覚えていないような感じは、気配消しすぎ。聴いてるときは、いいなぁとも思うのに、跡形もなく消え去るなんて初めての体験です。

満を持して、マーラーの交響曲第2番。サロネンのことだから絶対スタイリッシュな演奏ってワクワクしていたら思った通りのスタイリッシュさ。颯爽とした弦楽器のトレモロで始まって、たたみかけるような、でも決して粗暴になりすぎないチェロとコントラバスの速い動き。重くならずにさくさくと進む、かっこいいと形容するのがふさわしいような葬送行進曲。力任せに感情を爆発させないんだけれども、音楽には過不足なく気持ちが込められていて、つーんと心に突き刺さる音たち。低音控え目で重くならないと思っていたらここぞというときにコントラバスを効かせてかっこよさ抜群。細かいところまでサロネンさんのこだわりが聞こえる演奏。第2主題では思いっきりテンポを落として、音楽の雄大度200%アップ。
実は最近、「復活」のCDを買おうと企んでいたのです。一昨年聴いて感激したユロフスキさんとロンドン・フィルのライヴ。と思ってたら最近、テンシュテットとロンドン・フィルのライヴのCDも出てそれがものすごく評判がいいので迷い始めたんです。そして、今日のサロネンさんのも録音されているのでCDになる可能性があるのだけど、この演奏もCDで聴いたらいいなって思えるのです。ユロフスキさんの演奏みたく、勢いに任せた部分がないので、CDで何回も聴くのにはとてもステキな演奏になってると思うんです。でも。

そう、でも。ちょっと整いすぎてると感じてしまったんですね。マーラーがまだ30代の駆け出しの頃の作品は、破天荒な綻びも作品の中にあってそれが魅力にもなってると思うんです。サロネンさんの演奏は、そんなほころびが見事に修繕されてしまっている。それは音楽的にはより良くなってはいるのだけど、無軌道な熱い思いが背後に押しやられてしまう物足りなさも感じるのです。第1楽章の静かな部分なんてあまりにも静寂で何かを諦観したようで、この雰囲気は、なんだろうともやもやしながら聴いていて、ふ!っと交響曲第9番を思い出して、あの最終楽章と精神的な雰囲気が似てるなって気づいたのです。でも、それはちょっとわたし的にはちがうかな、と。ライヴで聴くなら、熱い感情の奔流があってもいい。

タカシのような演奏。なにそれ?ですよね。タカシって誰?あの酔っぱらいのタカシくん?いつも宿題忘れてたタカシ?それとも幼なじみのかっこいいタカシにいちゃん?いえいえ、タカシといったら安藤崇です。あはは。なおさら分からない。池袋を憧れの街にしたIWGPのタカシです(あっ石田衣良さんの小説)。めちゃクールでかっこよくて、心が熱くなるほど反対に、氷のように冷たくなる男。サロネンさんの演奏は、熱い感情がこもっていながら、音は正反対に冷たくクールになるんです。あまりにも完璧で隙のない(ミスがないという意味ではないですよ)演奏です。でも、わたしはタカシよりマコトの方が好き。頭がいいのに熱くなると前後の見境が付かなくなって突っ走っちゃうタイプ。それがまさに、ユロフスキさんの演奏でした。でも、どちらも本当に凄い演奏で、多分、ユロフスキさんが聴きたい日もあればサロネンさんを聴きたくなる日もある。音楽ってそういうものですよね。ベストCDとか言うけど、ベストがひとつしかないなんて、それはちょっと変だしもったいない。

第1楽章が終わったあとは、楽譜どおり、長い間。サロネンさんは指揮台の脇の椅子に座って休憩。その間に合唱と独唱が粛々と入ってきました(独唱者が入ってきたとき少し拍手が起こったけど)。
第2楽章はすうっとほっとするような風のような、サロネンさんらしい爽やかな演奏。サロネンさん、実はこういう音楽が一番向いているような気がします。とても丁寧で、さらりとした歌があって、あまり歌いすぎずかといって愛想がなくならない絶妙なバランス。野暮ったさのない、実に洗練された夏の別荘地の高原のような憂いのない音楽。天上の世界でしょうか。
第3楽章も同じ路線。皮肉やカリカスチュアよりも素直な愉しみが表に出ている感じ。魚に説教する聖アントニウスのお話も粋な笑い話のようにからりと明るい。さらさらと澄んだ水が流れるように細かな音が流れていく。トランペットのソロもきれいで光が満ちるよう。

グループさんの静かな歌い出しで始まった第4楽章。深々としたアルトの声で、うん、なかなか曲に合ってるって思ったんですが、ときどき音の移り変わりに溜めがなくて階段を早足で下りるように聞こえたのでそれがちょっとだけ残念かな。サロネンさんはもう少しゆっくりと演奏したいように思えたので。
唐突にというより、ほんの少し間を置いて始まった第5楽章。もう壮大な音のドラマが始まります。ステージ裏のホルンも4人。プリンシパルのブラックさんも裏に回って贅沢な布陣。音外しちゃいましたけど。でも、ステージ裏のホルンの音はとっても良かったです。サロネンさんは、緩急自在、丁寧にオーケストラを煽って黙示録の世界を現前に出現させます。暴れるところは暴れるのですが、それはもうクールにかっこよく暴れるのですね。音楽の勢いに任せるというところはなく、隅々まで見事にコントロールされているのは第1楽章と同じ。そして静寂の表出の素晴らしさ。霧が晴れたような天上の世界が広がって静かに合唱が入ってくるところは、正直、どんな演奏を聴いても感動してしまうんだけど、サロネンさんの演奏はその中でも出色のものでした。フィルハーモニア・コーラスの合唱もとっても上手くて、特にバスが豊かに声が出ていて良かったです。もうここからは、引いては押す波のように、感動がうねりまくりながら、最後の坂を登っていくのだけど、その焦らすような盛り上げ方が、とってもツボ。ロイヤルさんのソプラノも堂々として良かったし(もっと線の細い人かと思ってた)、本当は、オルガンがもっと大音量で鳴り響いて欲しかったけど、最後メーターが振り切れるように終わった音楽は、やっぱりスタイリッシュでかっこいい。

盛り上がってお客さんは熱くなってたけど、でもわたしにはやっぱり冷たさも同時に感じてしまったのです。だからこそタカシのようがピタリと言葉に浮かんだんです。30代のマーラーはもっと不器用な無骨な音楽を書いたんだという思いがどうしても頭に残ってしまって。それを象徴していたのが、最後の方でオーケストラと合唱が一緒になって大音量で盛り上がるところ、独唱は音楽から降りてしまってお休みしてたことです。この部分、マーラーは独唱者にも合唱と同じパートを歌わせるように楽譜に書いています。確かに、合唱と同じことを歌うので独唱は聞こえなくなるのだけど。。。でも、マーラーの意図は、全員が高らかに復活を歌うことではなかったかと思うんです。前の部分では、独唱が合唱から立ち現れたり、合唱に吸いこまれていくような書き方をしているので、マーラーは最後独唱は個別に聞こえないことは分かっていたはずです。でも、それでも独唱にも歌わせている。というところに、音楽を越えた意味があるのではないかと思うのです。サロネンさんの演奏は、音楽的には全く傷を付けたものではありません(聞こえませんから)。でも、それが、クールすぎる物足りなさを象徴していたように思えるのです。それでも、音だけ聴いたら間違いなく第1級の名演でした。
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by zerbinetta | 2012-06-28 23:57 | フィルハーモニア | Comments(0)

music of today 'young composers academy' フィルハーモニア   

28.06.2012 @royal festival hall

david curington: nine accumulations
stef conner: arranging old silks
philip dawson: heat's contraption

unsuk chin (presenter)
david robert coleman / po


今日はこれから、音楽会があるのだけど、その前に、ときどきやっている無料の「現代の音楽」シリーズ。ウンスク・チンさんがプレゼンターで生まれたての音楽を紹介しています。演奏はフィルハーモニアのメンバー。若い作曲家にとって、ものすごく大きなチャンスのひとつでしょう。今日は、若手作曲家アカデミーの3人の作品。全て10分くらいの小品で、オーケストラは、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、クラリネット、フルート、ホルン、ハープ、打楽器がひとりずつの室内編成。トップの人は出ていませんでしたがそれでも、全員が上手いので演奏に関しては文句の付けようがありません。なので作品の質が分かりやすいです。

最初のクリングトンさんは、見た感じ普通の若者。音楽は9つの小さなフラグメントを集めた作品で、最初の方は静かで動きのない感じの曲が中心。お終いの方は細かな音が出てきたけど、わたし的には始めの方の曲の方が良かったです。曲の完成度にムラがある感じ。
コナーさんは、何だか頼りなさげな(人のこと言えるか!)可愛らしい女の子(って感じ)。曲は、彼女のが一番親しみやすかったかな。
最後のダウソンさんは、ちょっと癖のあるルックスで、歳いってる?音楽もクラリネット2本咥えとか、赤い風船(徐々に膨らまして最後つついて割る)とかものを落とすとか、特殊奏法満載。見た目面白かったけど、わたしには苦手系。

皆さんこれからの人なので、いつか新しい作品がワクワクして待たれるような作曲家になっていって欲しいと思います。
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by zerbinetta | 2012-06-28 03:12 | フィルハーモニア | Comments(1)

おまけの方が立派? ドゥダメル、シモン・ボリバル「アルプス交響曲」おまけ付き   

26.06.2012 @royal festival hall

esteban benzecry: rituales amerindios
strauss: an alpine symphony

gustavo dudamel / simón bolívar symphony orchestra of venezuela


現在、ロンドンで一番チケットの取れないオーケストラといったらドゥダメルさんのシモン・ボリバル・シンフォニー。しかも強気の値段設定で、ベルリン・フィル並み。去年のプロムスでも初日売り切れで敢えなく敗退(クリックしたのにバスケットに入れ忘れて、そんな隙間に売り切れ)。もちろん今日の音楽会も売り切れ。わたしはずいぶんと前にチケット取ったんですけど、もうほとんど安い席は売り切れてました。

シモン・ボリバル・シンフォニーはもちろん、ベネズエラで始まった革命的な音楽教育、エル・システマの申し子。指揮者のドゥダメルさんもこれで学んでます。オーケストラも大編成で、200人くらいがステージに上がったのではないでしょうか。コントラバスは13本。管楽器も倍管というか数倍管。若い人が多い、オーケストラだけど、前より年齢が上がったみたいで、昔あったユースの文字は取れていました。
正直に言うと、オーケストラはそれほど上手くありません。音量もあまりなく、うようよ増やした弦楽器はそれとして、人数を増やした管楽器は弦楽器に埋まってしまう場面が多々ありました。音量的には普通の人数のロンドンのオーケストラの方がありました。でも、ドゥダメルさんの音楽を音にしようとする真剣さはさすが。非常に真面目だし、こんな大人数のわりに弦楽器なんかはしっかりとまとまっていました。良い意味でアマチュアリズムのあるステキなオーケストラです。
ただちょっと運営面で気になったことは、200人を超える所帯というのはオーケストラとしては異様。プロのオーケストラとして資金的に地元でやっていけるのかって心配してしまいました。そして、ユースが取れて団員が毎年年齢が上がっていくように思えることは、ここから他のオーケストラなりソリストに飛び出していかないと、上が詰まってて下から人を採れないということに何だか心配になりました。もちろん、ふと思っただけで実際は、何らかのシステムができあがっていて流動性はあるのかもしれないけど、音楽家の需要ってそんなになさそうだし。でも、いつまでも素晴らしい成功した文化事業として続いていって欲しいです。ベネズエラは大変な国と聞くけど(前に、ベネズエラ出身の女の子に、どうって聞いたら、危ないから行かない方がいいよ、と言われた)、この事業がベネズエラの未来にとって大切な良いものになって欲しいと願ってます。今日は会場に、エル・システマの生みの親、ホセ・アントニオ・アブレウさんも来られていて拍手を受けていました。

最初の曲は、アルゼンチンの作曲家、エステバン・ベンゼクライさんの「リチュールス・アメリンディオス」という曲。「オーケストラのための前コロンブス時代の3章」という副題が付いているとおり、アステカやマヤやインカをイメジした音楽。各章の表題どおりの感じの音楽なので交響詩的な(というか音の絵)標題音楽です。わたし的には、ヒナステラの焼き直しみたいな感じに聞こえてちょっとつまらなかったかも。中南米の作曲家ならメキシコのレヴゥールタスの方が勢いがある分好きかな。ちなみに作曲者のベンゼクライさんは遠くから見るとイケメンでした♡

ドゥダメルさんって、髪の毛爆発してるし(最近はそうじゃない)、ラテン系だし、アンコールにちょくちょくやるマンボのせいか、イケイケノリノリ指揮者さんのように思われがちだけど、実は全然違うんですね。去年、LAフィルとの演奏で聴いたけれどもとっても、繊細で丁寧な音楽を作る人です。勢いやノリで演奏しないタイプ。今日の「アルプス交響曲」もそんな演奏でした。とっても細かく丁寧な音楽作りで、場面場面の景色を丹念に描き分けて、クライマックスで大きな音は要求するけど、決して力任せな爆音系の音を出させない。オーケストラのバランスなんかはもうほんとに微に入り細を穿つコントロール。オーケストラは技術的に要求についていけてないところはあったけど、でも献身的にドゥダメルさんと音楽をする姿勢はステキ。とても美しいアルプスでした。ドゥダメルさんがアバドさんやラトルさんにかわいがられていたり、人気があるのもよく分かります。この人の音楽、ほんとに素晴らしい。

アンコールはあるのかな、アルプスに登ってきたあとでマンボは嫌だなって思っていたら、ドゥダメルさんが牛のような兜を被って槍を持った大男と登場。ええっ!悪役レスラー、何が始まるの?って思って見てたら、兜をとった下には眼帯をした、あっ!ヴォータン。じゃなかったブリン・ターフェルさん!!「ラインの黄金」のワルハラ城へ入城するときの歌。まあこれがもうむちゃくちゃ良くて、なんと言ってもターフェルさん。こんなところで、ターフェルさんのヴォータンが聴けるなんてもうわたし興奮のるつぼだし、どっしりとして風格があって、もうこれ聴いただけで十分と思うような、本編よりもおまけの方が凄くない?って思うような、くじを引いたら1等が当たったようなものすごく得した気分。ああなんて幸せ。ドゥダメルさんのオーケストラもしっかり練習してきたんでしょう、アンコールといえども本編のような演奏。もうわたしもお客さんもみんな大喜びで歌に酔ったのでした。

全然関係ないけど、今日はロイヤル・バレエのカスバートソンさんが聴きに来てらっしゃってわたしのそばに座っていました。わたしのミーハー心が踊って秘かにきゃぴきゃぴ。
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by zerbinetta | 2012-06-26 08:30 | 海外オーケストラ | Comments(2)

きゃー速すぎて朝ごはん歌えない ノセダ、ロンドン交響楽団「運命」   

21.06.2012 @barbican hall

wagner: prelude and liebestod from tristan und isolde
berg: three fragments form wozzeck
beethoven: symphony no. 5

angela denoke (sp)
gianandrea noseda / lso


恥を忍んで告白しましょう。今日の指揮者、ノセダさん、わたしずうっと日本関係の人だと思ってました。だって野瀬田さん。ね〜、日本人っぽい名前でしょ。日本人じゃなかったらきっとロシア人?だって、ゲルギーのマリインスキーで主席客演指揮者だったから。でも、なんとイタリア人だったんですね。びっくり。BBCフィルハーモニック(BBCシンフォニーとは別物です)の指揮者をずっとやっていて、今はイタリアのオペラ劇場の指揮者です。プロムスとかで何回かチャンスはあったようだけど聴くのは初めて。さてさて。

始まりは「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死。いきなり始まっていきなり終わっちゃう曲。今日は歌付きで、デノケさんが歌います。彼女、今、ロイヤル・オペラでサロメを歌ってるんですね。合間を縫っての登場。
その演奏なんですが、わたしはちょっと気持ちがそわそわと落ち着かない感じで、この曲には海というか水のイメジがあるんだけど、ちょっとこせこせしてお風呂で溺れちゃった感じに聞こえました。テンポが速いわけではないのだけど、なんだかこうピタリと止まらないうちに次に行っちゃうせわしげな感じ。それは歌が入っても同じでした。オーケストラ主導だからかしら。もう少したっぷり大らかにしても良かったのではないかと思います。

2曲目の「ヴォツェック」からの3つの断章は、ベルク自身がオペラを組曲にした作品です。オペラの上演が難しいとの理由で、指揮者のシェルヘンが作曲者に勧めて書かせたようです。ソプラノ独唱を含む3つの楽章。実際こちらの方がオペラよりも先に演奏されています。
これはもうさっきと打って変わって素晴らしかった!音楽がクリアで、ベルクが書いたミニチュア細工のような精緻な音楽が全てきちんと聞こえてくる演奏。だから曲の緊密な構成まで分かるようで、本当に凄い。それに艶があって(「ヴォツェック」の音楽って、「ルル」と違って艶やかしさに欠けると思っていました)、とげとげとした音楽なのに聴いてて心地良いのです。これは絶対、オペラを聴いてみたいと思いました。

休憩のあとは、ベートーヴェンの交響曲第5番。タイトルには短いし分かりやすいので通り名で「運命」と書きましたが、もちろん、名前は付いてないのです。この有名な始まりのじゃじゃじゃじゃーーん。とたんにびっくりしてしまいました。速い。むちゃ速い。オーケストラが途中で振り落とされるんじゃないかと思うくらいの暴れ馬の疾走。あの「朝ごはんの歌」が早口すぎて歌えないほど。古楽器の演奏で速い演奏もあるけど、それに負けず劣らずというかそれよりも速いくらい。そしてそれは、ピリオド演奏からの解釈じゃなくて疾風怒濤の激しい、嵐の海の小舟みたいに翻弄される運命なんです。それにしてもよくオーケストラ落ちなかったな。さすがロンドン・シンフォニー。
こんなふうに始まったからとってもワクワクしながら聞き始めたんですけど、第2楽章からはなんだか普通の感じに戻って、ちょっと残念。ってわたし、第2楽章をアレグレットくらいでスキップして欲しかったのか。ううむ、じゃあ、ここで対比を付けて、運命の動機が出てくる第3楽章で爆裂テンポに戻るのかって期待しても、肩すかし、第4楽章も堂々としたテンポで。いや〜わたし、何を期待してるんだろ?とても良い演奏ではあったんだけどね。でも第1楽章で瞬間風速50メートルに煽られたから、最後まで煽られていたかったというか、オーケストラ全員が振り落とされてもわたしだけは付いていく〜というか。でも、最後盛り上がって興奮してたからいいか。お客さんもずいぶん盛り上がってたしね。わたしがちょっとへそ曲がりだけど、とはいえ、ちゃんと楽しんでいました〜。
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by zerbinetta | 2012-06-21 06:01 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

がんばれ〜若者〜 ロイヤル・バレエ・リハーサル「誕生日の贈り物」   

19.06.2012 @linbury studio theatre, roh

ここは本来、ゲオルギュー・アラーニャ・カップルの「ボエーム」なんでしょうが(ボエーム大好きだし)、さらりとうっちゃってロイヤル・バレエのリハーサルを観てきました。「ボエーム」はビシュコフさん指揮のが素晴らしかったからね、まあいいやって気になってしまいました。

今日はプリンシパルの人のリハーサルではなくて、若い人たちの練習。アンダーというわけでもないと思うんだけど、アーティストやファースト・アーティスト・クラスの人がソロの踊りを練習します。「誕生日の贈り物」からヴァリエイション。今日踊ったのは、ヤスミンさん、ヒンキスさん、クラウディア・ディーンさん、フランチェスカ・ハイワードさん(以上アーティスト)とファースト・アーティストのハロッドさんとトゥルクさんです。ヤスミンさんとヒンキスさんはアーティストでももうすでにときどきソロで踊っていますね。
リハーサルなので、踊りのコメントは控えますが、若い人だけにやっぱりまだまだ技術的なことに目が行っちゃいますね。コーチのクリストファー・カーさんも技術を見ながら表現を直していました。皆さん、だいたい踊れてるんですけど、ステージに立つのはまだまだという感じです(コーチの方はまだそんなに練習していないとおっしゃってました)。そして反対に、いつもステージで観るプリンシパルの方々の踊りが、一見楽ちんに踊ってるように見えていかに凄いことを笑顔でやっているのかが分かりました。バレエのバの字も踊れないわたしが言うのは僭越なんですけど、バレエってほんとに難しい。技術的に完璧でも今度は芸術的な表現を付けなければいけませんから。

踊り手の中では、すでにソロでも踊ったことのある人がやっぱり上手いし、ファースト・アーティストのおふたりは上手かったです。そして、その人たちは単にコーチの言うことを聞くだけではなく、積極的に質問していくんですね。こういうのは慣れと年季かなぁ。コーチとお互いに踊りを組み上げていくのは大事なことだと思うので、積極的に意見を言う人の方が早く上達もするし、自分のものを作っていけるんでしょう。

最後に登場したハロッドさんがとても良かったんだけど、彼女、とってもきれいな人ですね。マクレーさんとはお似合いの夫婦だな(悔しいけど)。そのマクレーさん客席にいらしていて、わたしの近所に座ってたんですが、奥さまの踊りに(って訳じゃないけど)拍手を送っていました。そして、何故かカーさんが、ハロッドさんのときだけボディ・タッチが多かったのをわたしは見逃していませんよ(他の人のときは口で言うだけで指導してたのに)。やっぱ美人だから?

それから、ヒンキスさん。歩き方が。。。ああ、やっぱりアメリカン・バレエ・シアター(ABT)の人だって、ひとりにやにやしてしまいました。ヒンキスさんはABTから去年ロイヤル・バレエに移ってきた人なんです。ABTの若い人ってね、前に会場からホテルに歩いて帰るところを見たことあるんですけど、みんな足先を180度に広げてのバレエ歩き(?)。そのときはバレリーナの人って普段からこんなふうに歩くんだぁ、納得したんですけど、ロイヤル・バレエのダンサーは普段そんな歩き方してないし、あれはABTの若い人の練習の一環だったのかなって思い直したんだけど、ヒンキスさん、舞台で移動するときしっかりそんな歩き方してました。

誰でも上に上がれるわけではない厳しい世界だけど、みんながんばって欲しいな。怪我をしないように、そしてバレエを楽しんで!
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by zerbinetta | 2012-06-19 21:32 | バレエ | Comments(0)

タマちゃんに始まりタマちゃんに終わる、けどネラもステキ! 「パゴダの王子」   

18.06.2012 @royal opera house

the prince of pagodas

benjamin britten (music)
kenneth macmillan (choreography)
barry wordsworth / oroh

marianela nuñez (princess rose), tamara rojo (princess épine)
nehemiah kish (the prince), alastair marriott (the emperor)
alexander campbell (the fool)
bennet gartside (king of north), johannes stepanek (king of east)
steven mcrae (king of west), ricardo cervera (king of south), etc.


わたしって本当に贅沢をしてると思う。そして幸せ。タマネラキッシュの「パゴダの王子」、3回も観ちゃうんだもの。このキャストはわたしにとって特別、incomparable。実は今日のチケットはもともと買ってなかったんだけど(このキャストのは2回観ることになってたので)、でもどうしてももう1回観ておきたいと我慢できなくなって、リターンで取ったんです。安くて良い席がピンポイントで出たので脊髄反射でクリックですよ。結局、このキャストでの3回は全て観ることになったしまいました。後悔なんてありません。ってか幸せすぎ。もっと観たいくらい。

もうさんざんタマちゃんについては語ってるので、もはや語るべきことはないのですけど、本当に本当に素晴らしいし、はまってる役。猿を手なずけてるシーンなんてふてぶてしくて堂に入ってる。それに、もうすぐロイヤル・バレエを離れてしまうタマちゃんにとっては、最後のフル・レングスもの。目に見えて気合いが入ってるような気がします(普段手を抜いているなんてことは決してないんですが)。タマちゃんだけでも観に来る価値あるというもんです。

でもね、彼女はわたしのアイコンなのでかなりバイアスかかってますが、でもそれを差し引いてもやっぱり、ネラ(マリアネラさん)はステキでした。彼女を観るだけでもこの公演は価値あると思えるくらいに。他の人のローズ姫を観て気がついたんですが、ネラはローズ姫を取っても柔らかくゆっくり踊っているの。まるで骨が柔らかくてどこでも自由に曲げられるみたい。それで寂しさや憂いが表現されていて、ローズ姫の優しい心の裡が分かるよう。ほんとにきれい。ゆっくり踊っていても音楽には遅れないし、バランスもぶれないなんてもう素晴らしすぎ。うっとりと心をとろけさせながらネラの踊りを見つめていました。

キッシュさんのにゅるにゅる度も良かったし、今日は闘いのシーンがきりっとしてかっこ良かった。サンショウウオより王子さまの方が絶対似合ってる!
脇を固める人たちも本当に素晴らしい。なんと言ってもこのキャストが最高だわ〜。あっひとつ忘れていたことが。金子扶生さんが最後の方で短いソロを踊っていました。まだまだちょい役(でもキャスト表に名前の載る役)だけど、これからもぜひがんばっていて欲しいです。

最後のシーン、きらびやかな舞台
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道化はキャンベルさん
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皇帝の侍従のホワイトヘッドさん、ガートサイドさん、マクレーさん、指揮者のワーズワースさん。その後ろに扶生さんがちらりと見えますね
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4人の王。ガートサイドさん、ステパネクさん(フリストフさんに替わって)、マクレーさん、セルヴェラさん
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皇帝マリオットさん
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ほんとは可愛らしいタマちゃん
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ネラとキッシュさん
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最高の主役の3人
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by zerbinetta | 2012-06-18 09:26 | バレエ | Comments(0)

超やばい人 コボー 「ラ・シルフィード」   

15.06.2012 @royal opera house

ballo della regina

verdi (music)
george balanchine (choreography)

laura morera, federico bonelli
helen crawford, melissa hamilton, hikaru kobayashi, itziar mendizabal

la sylphide

herman løvenskiold (music)
august bournonville / johan kobborg (choreography)

sarah lamb (the sylph), dawid trzensimiech (james)
johan kobborg (madge), meaghan grace hinkis (effie), valentino zucchetti (gurn), etc.

daniel capps / oroh


ロイヤル・バレエのダブル・ビル、最終回です。ツイッターで、コボーさんがスカートもあと1回ってツイートしていたから、また、ジェームズで出るのかな、相手役はコジョカルさんじゃないのにって思っていました。今日のシルフィーは、セイラ・ラムさん。

「王女の舞踏会」は何回も同じキャストで観てるし、書いてるので、いいですね。モレラさんとボネリさんのペアはハキハキと音楽的なのがいいです。写真をかしゃり。
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さあ、前回のコボーさんがめちゃ良かったので期待していたんです。で、あれれ?いきなりジェームズがコボーさんじゃない!ええっ?もしかしてコボーさん控えに回ってグルンで出るのかしらなんて思ったら、グルンもズチェッティさん。ツイッターのコボーさんスカートはガセネタ?それとも勘違い?ちょっとがっかりしながら観てたら、なんと!コボーさんマッジで登場!こ、こんなところに出るとは!マッジって、プリンシパル・ダンサーが踊る役どころじゃないし(プリンシパル・キャラクター・アーティストの方は踊ります)、演技とか大丈夫かなぁって思って観てたら、なんと!キャラクター・アーティストも真っ青の演技。なんというか変態チックというか、裏がありそうな超やばい人系のマッジ。そしてそれがもうほんとにコボーさん似合ってて(実物のコボーさんが変人といってるわけではありませんよ、確信はないけど)、あわわ凄いもの観たって感じ。一気にめちゃくちゃ得した感じになりました。あ〜、コボーさん、年取ってきて王子さまが踊れなくなってきたら、キャラクター・アーティストに転向しないかなぁ。まさかまさか、こんな素晴らしいとは思ってもみませんでした。人物の裏にある背景までも演じてしまう素晴らしい演技でした。ロイヤル・バレエのプリンシパル・キャラクター・アーティストは、紳士系がサウンダーズさん、エロ担当がギャリーさん、変態系がコボーさんになったらもう盤石というか、これだけで観に行っちゃいそう。

ジェイムズのトルゼンシミエッチさんは、相手が恐〜いタマちゃんじゃないのでのびのびと踊っていました。じゃないです、舞台をこなすごとに慣れて力が抜けてきたんですね。ズチェッティさんのグルンは、ちょっと頼りない感じで(踊りがじゃなくて役の人物像ですよ)、最初に観た刷り込みもあるのかもしれないけど、わたし的にはピタリと来るグルン。ハンサムだし。
ヒンキスさんのエフィーは初めて。去年、アメリカン・バレエ・シアターから移ってきた人で、「くるみ」のクララとか、すでにちょこちょこと役をもらっていますね。とても演技の上手い人だと思いました。ちょっと丸っこい、タマちゃん体型だけど要注目の人です。

さて、ラムさんのシルフィー、思ってた以上にとっても良かったんです。ラムさんのことがからちょっと冷たい感じになるのかなぁ〜って思っていたら、その体温のなさが、人ではない妖精的だったし、華奢なので重力感がなくってふわりとしているのですね。踊りはちょっぴり切れすぎてたときもあるけど、観ていてそれはきれいだし、わたしはとっても楽しめました。コンテンポラリーで輝くダンサーと思うけど、古典でも良いものを見せて欲しいです。彼女の「白鳥」観たかったな。

今日の妖精
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やっぱりかわいいアナベルちゃんとホワイトヘッドさん
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ヒンキスさんとズチェッティさん
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真打ち!コボーさんのマッジ
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ラムさんとトルゼンシミエッチさん
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コボーさんに呪われるぅ
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3人の妖精、ベアトリスさん、メリッサさん、ヤスミンさん(ベアトリスさんとヤスミンさんって似てるよね)
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by zerbinetta | 2012-06-15 07:38 | バレエ | Comments(0)

痛恨の微睡、もしくは至福の時 ピレシュ、ハイティンク、ロンドン交響楽団 モーツァルト、ブルックナー   

14.06.2012 @barbican hall

purcell/steven stucky: funeral music for queen mary
mozart: piano concerto no. 23
bruckner: symphony no. 7

maria joão pires (pf)
bernard haitink / lso


本当は今日はフィルハーモニアのチケットを持っていました。でも、ハイティンクさんのブルックナーをどうしても聴きたくなって、チケットをリターンしてこっちに来てしまいました。買うときもずいぶん悩んだんですが。。。
その理由は、ハイティンクさんのブルックナー交響曲第7番は前に、シカゴ・シンフォニーとの演奏を聴いて、あまりよい印象を持たなかったこと、でもロンドン・シンフォニーとの第4番は同曲のわたし一番の演奏になったこと、この間のロイヤル・コンセルトヘボウとの第5番がいまいち焦点が合わなかったことで、ハイティンクさんのブルックナーをどう捉えて良いのか、わたしの中でもやもやしてたからです。今日聴いたからといってもやもやが晴れるとは思わないんだけど、でも晴れたらいいなと、淡い期待もあって。第7番大好きだし。ピレシュさんのモーツァルトなんて至福の時だしね。

と、思っていたのに。のに。なんと、モーツァルト、うつらうつらと眠ってしまったんです。痛恨の極みだわ。全く聴いていなかったわけではありません(言い訳)。ただ音楽の心地よさに、心がとろけてしまって、夢とうつつを音楽に乗ってゆらゆらと。演奏者とモーツァルトには悪いけど、でも、こんなステキな生演奏でうっとりと眠るのって至福の贅沢ですよね(恥の上塗り)。ううう、悔しい。最近は音楽会で寝ることがないのでちょっと油断してた。モーツァルトじゃなくてブルックナーで寝るべきだったわ。だって、ちょっとくらい寝ても同じことやってるし。

ピレシュさんのモーツァルトの前には、パーセル、スタッキー編曲の「メアリー王女のための葬送音楽」が演奏されました。管楽器のための音楽です。そういえば、リハーサルで聴いた前回は、パーセルの弦楽合奏のための作品、今日は管楽器と対をなしたプログラムですね。もともとは合唱のための音楽でしょうか。管楽器のコラールがとってもきれい。でも、ジュビリーのおめでたいときにこの音楽はありかってもちらっと思った。

そのブルックナー、霧が晴れるように明快な演奏なんだけど、ハイティンクさんへのもやもや感は消えることはなかった、というか、ハイティンクさんのブルックナーが一筋縄ではいかないことが分かりました。曲によってわたしとの相性がこうも違ってくるのにびっくりしてます。
ハイティンクさんのブルックナーの第7番はとってもストレイトに美しい演奏。ロンドン・シンフォニーの音色の柔らかさも相まってとってもきれい。ではあるのだけど、とろけるようなクリーミーな音楽ではなくて、芯は固いアルデンテのような音楽なんです。大好きなカラヤンの演奏で比較すると、晩年のウィーン・フィルとの録音ではなくて、ベルリン・フィルとの録音の方。カラヤンが自分のやりたい音楽を徹底的に表現した硬質な、でも美しい演奏なんだけど、ハイティンクさんのを聴きながら、なぜかそれを思い出していました。音楽が渓流のようにさらさらと流れて、第1楽章は、息の長い歌の最初の主題こそ、普通に幅広いテンポで歌っていたんだけど、第2主題、ダンスのような第3主題は速めのテンポで、すっと流れてすがすがしい。ブルックナーの音楽を渓流に例えた時点で、頑固なブルヲタさんから見れば、なんたることってなるのでしょうが(例えるなら大河に例えられることが多いような気がする)、わたしは、ありだなって思いました。スマートでかっこいい。

第2楽章は澄み切った青空。暗さが全くなくって、静かな充足感と、速いテンポで弾かれた第2主題の美しさと慰め。重さよりかろさ。ワグナーの死に際して書き進められたワグナーチューバの4重奏から始まるコーダのところも、決して悲しみではなく、安らぎのある表現。悲しみのかけらもない。ブルックナーの音楽に悲しみなんてあり得ないんだと思った。だって、彼は深く神さまを信じているから。すでに神さまに救われている人に欠けとか悲しみなんてないのですね(キリスト教ってそういう信仰でしょ)。ブルックナーはそりゃ俗世で、諍いとか認めてもらえない辛さとかあったと思うけど、神さまの前では全てが解決されてて悲しみなんてなかったと思うし、神さまへの捧げものとして作曲していた音楽にも、悲しみが持ち込まれる余地なんてなかったに違いないって思います。そういうことをハイティンクさんの演奏を聴いて強く感じた。ただ、ハイティンクさんがそんなカトリック的な音楽をしていたからというわけではないんですけどね。多分、ハイティンクさんはより現実的に、楽譜に描かれていることを丁寧に抽出して職人的に音にしていたんだと思う。

後半の第3楽章も第4楽章も、ハイティンクさんのザッハリッヒな演奏は冴えています。余計な感情は捨てて、きわめて丁寧にしつこく、音楽の美しさを追求して引き出してる感じ。だからこそからっとすがすがしい。第4番のときはもうちょっとウェットな演奏だと思ったんですが、音楽の完成度の高い第7番は、楽譜をきちんと音にできれば十分に素晴らしい音楽になるので、小細工は必要ないんですね。確固とした意志を持って、余計な精神論を伴わない純粋な音楽を作っているのだと思います。でも、そんな硬質な解釈なのに、ロンドン・シンフォニーが柔らかな音色で応えるから、もうなんとすっきりと清々しく美しいんでしょう。ハイティンクさんとロンドン・シンフォニーのいいとこ取りをして最良の成果を出した演奏ではないでしょうか。
ただ、それをわたしが好きかどうかは別。納得しつつも、もっと好きな演奏あるかなぁなんて思ったりして。少し感情移入する隙間のある演奏が好きかな。

オーケストラはハイティンクさんを本当に敬愛しているようです。ハイティンクさんを称えるオーケストラ全員の拍手は、たっぷりと心のこもったもので、今日の音楽会で一番感動したのは、このときでした。本当に良い関係なんだ。いつまでもこの友情が続きますように。
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by zerbinetta | 2012-06-14 07:29 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

やっぱりプリンシパル ラム、モレラ、ボネリ 「パゴダの王子」   

13.06.2012 @royal opera house

the prince of pagodas

benjamin britten (music)
kenneth macmillan (choreography)
barry wordsworth / oroh

sarah lamb (princess rose), laura morera (princess épine)
federico bonelli (the prince), gary avis (the emperor)
valentino zucchetti (the fool)
bennet gartside (king of north), johannes stepanek (king of east)
jonathan watkins (king of west), brian malony (king of south), etc.


今度はまた「パゴダ」です。あんまり観ないと言いつつ、一応一通りのキャスト(3組のキャストです)で観ておこうと思って。今日は、本来は第3キャストだと思うんだけど、第2キャストのプリンシパルが全員降りたので、こちらが第2キャストに格上げかな。わたし的には。で、結局、プリンシパルの実力を思い知ったのでした。もちろん、この間の若い人たちもがんばってたし、しっかり踊れていたと思うんです。でも、何かが足りない。技術的なものと言うよりも、漂う雰囲気的なもの。もちろんそれは技術と経験で培われるものだと思うんですけど。

ラムさんは正直、この役どうかなって思ってたんです。彼女、クールビューティーだし、むしろ彼女が思いきってエピーネ姫を演ったらゾクゾクとする冷たさがあって恐いんじゃないかって思うくらいで。でも、可愛らしい活発なローズ姫でしたよ。踊りは速くて切れがあってとてもきれい。ほんと上手い。ただ、そのせいで、ローズ姫の物憂いところ柔らかさが後ろに隠れてしまってました。それは残念。

ボネリさんの王子はほんと王子さま。今のロイヤル・バレエで正統派王子が一番似合うんじゃないでしょうか。ボネリさんって(予想外に良かったとか)びっくりするような新鮮な驚きは感じないけど、いつも安定して良くて、予想どおり良かったって思える人ですね。安心感があるというか。何でも踊れるような感じだし、だから、ボネリさんにはこれっていうシグニチュア・ワークが欲しい気もするんだけど、高望みすぎ?あっ、闘いのシーンは、ちょっと熱く戦っていましたよ。そこはラテン系。ちなみに、サンショウウオのにゅるにゅる感は、背が高くて手足が長いキッシュさんの方がありました。

モレラさんのエピーネ姫はタマちゃんほどじゃないけど(あれは特別)、恐かったです。モレラさんも上手い。踊りも切れてたし、こういう役はさすがに上手いですね。彼女の踊りはリズミカルで音楽に乗っていくので観ていて気持ちがいいんです。

今日の皇帝は、ギャリーさん。マリオットさんのいかにも死にそうな皇帝よりもちょっと活きが良かったです。でも、さすがに上手い。もうこの人は観ていて飽きないというかつい観てしまうので困ったものです。30年後に再演するときは、実年齢でそのまんま皇帝が出来るギャリーさんにも踊って欲しいです。でも、また張り切って演技するんだろうな。

4人の王様は、ステパネクさんの東の王がステパネクさんらしくて良かったです。マロニーさんは、第1幕で踊っている間にカツラ(冠?)が取れて禿げ頭になってしまったのが、事故といえば事故だったけど、かっこよく蹴り出したし、どうせ第2幕では禿げ頭にで事故と気がつかない人も多かったでしょう(多分禿げ頭になることで黄泉の国の雰囲気を出してるんだと思うんだけど)。
ズチェッティさんの道化も良かったです。

今日のキャストもほんとに良かった。多分、ネラ、タマちゃん組(こちらはとんでもないことになってる超特別)をまだ観ていなければ、最高!って思ったでしょう。チケットが取れればもう1度観たいくらいです。お金も時間もなさそうですが。

恒例。最後のシーン
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花束を受けるラムさん、ボネリさんの手の後ろにはひかるさんが。右はモレラさん
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ズチェッティさんの道化(顔分からないけど)とギャリーさんの皇帝
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by zerbinetta | 2012-06-13 07:43 | バレエ | Comments(2)