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今シーズン終了、終わりよければすべてよし ロイヤル・オペラ「オテロ」   

24.07.2012 @royal opera house

verdi: otello

marina poplavskaya (desdemona)
aleksandrs antonenko (otello)
lucio gallo (iago), etc.

elijah moshinsky (dir)
antonio pappano / ro chorus, oroh

先日のバレエで今シーズンのオペラ・ハウスはお終いって思ってたら、オペラがありました。うっかり忘れるところだったわ。ヴェルディの「オテロ」。そしてこれが、わたしの今シーズンの最後の音楽会です。

ヴェルディの「オテロ」は、大好きだと思ってました。音楽がとっても充実していて、劇にも緊張感があって、流石シェイクスピア、ヴェルディだと思ってましたもの。でも、何故か今日のわたしはひねくれ者。オテロってああ、なんてバカなんだろうと思ってばかり。そしてそれに尽くしてるデズデモーナがかわいそうって。ってか前観たときも同じような感想を持ってたのね(さっき日記を読み返しました)。でも音楽がそれを全部チャラにしちゃう。そう、音楽の充実ぶりったらないのよ。オーケストラはあっこれ?ヴェルディというくらい、ワグナーやシュトラウスの方にいっちゃってるし、合唱が迫力を持って迫ってくるし。独立のアリアを省いたようなドラマの連続性も息をつかせないしね。なので、今日はまず、パッパーノさんのオーケストラと合唱を褒めます。やればできるじゃんオーケストラだから、上手いときはちゃんと褒めておかないと。ってか、オペラのときはちゃんと演奏するよね。

オテロのアントネンコさんは、始めちょっと不安定かなと思っていたらみるみる良くなっていきました。でもやっぱりオテロって馬鹿。なんですっかり簡単に騙されちゃうかな。妻が信用できないのかな。男ってそんなもんですかーーー?? もしかして仲良しもわたしのこと信用してないのかなぁ。わたしが男の人たちとご飯食べに行ったりするの快く思ってないのかなぁ。わたしは仲良しが女の人とご飯食べに行ったりするのかまわないんだけどな。付き合いもあるし。まぁ、そんなちっちゃな男なんです、オテロは。そして嫉妬に狂って全てを、自分自身さえも失ってしまう男。ああ嫌だ。
で、もうひとりのもっと嫌な男が、イヤーゴ。この人の嫌らしさったら。ヴェルディも渾身の力でこの人の狡知に長けた嫌らしい性格を音にしていますね。この役は誰が観ても嫌らしい役で、歌手の人はかわいそうというか、でも演じる冥利に尽きるというか、ガッロさんがねちねちと粘っこく歌っていて良かったです。この人シーズン始めの外套やジャンニ・スキッキも歌っていて悲劇から喜劇まで芸達者ですね。わたしはこのオペラは、如何にイヤーゴが嫌らしく見えるかに尽きると思うので、良かったです。

デズデモーナは、ハルテロスさんだったのが急遽、ポプラフスカヤさんに。急な代役だったのにもかかわらず、とても良く歌っていたのでお客さんは満足。わたしもとっても満足。オペラには不慮の事態がつきもの。歌手の急な降板なんて珍しい話じゃないし、そんなときでも充実した公演を実現できるかがオペラ・ハウスの実力。確かにハルテロスさんの降板は凄く残念だったけど(なかなかロンドンには来てくれないので)、ポプラフスカヤさんには大きな拍手を送りたいです。ところで今日は、プロのブラヴォー屋が(?)。とってもいい声でブラヴォーを叫んでいる人がいました。あれは絶対素人ではない(と思う)。

今日は後半が特に良かったな。終わりよければすべてよし。満足のうちに2011年12年のシーズンが幕を閉じたのです。

左から、ガッロさん、アントネンコさん、ポプラフスカヤさん、パッパーノさん、キムさん
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by zerbinetta | 2012-07-24 07:55 | オペラ | Comments(0)

お風呂で聴くベートーヴェン バレンボイム、ベートーヴェン5、6   

23.07.2012 @royal albert hall

beethoven: symphony no. 6
boulez: mémoriale; messagesquisse
beethoven: symphony no. 5

guy eshed (fl), hassan moataz el molla (vc)
daniel barenboim / west-eastern divan orchestra


いつの間にかにプロムス始まってました。わたしの初日は、今日のバレンボイムさんとウェスト・イースト・ディヴァン・オーケストラという聞き慣れない名前のオーケストラとベートーヴェンの交響曲全曲演奏会のひとつ。わたしの大好きな所謂「運命」と「田園」の回。この音楽会シリーズの特徴はベートーヴェンの交響曲の合間に、ブーレーズさんの曲を持ってきていること。バレンボイムさんとブーレーズさん仲良しなんですかね。わたしは聴きに行かなかったけど去年確か、ブーレーズさんの指揮の下でバレンボイムさんがピアノを弾いた音楽会があったはず。ちなみにバレンボイムさんはロンドンで人気があるので、チケット代も高いし、なかなか取れなかったりします。と、わたしはバレンボイムさんに格別の思い入れはなかったので1枚だけ安いチケットを取りました。なんと、ロンドンで彼を聴くのは初めて!人生でも3度目だったり。そこまで敬遠するほどじゃないと思うんだけど、チケットの方がわたしを敬遠してたので。

今日はロイヤル・アルバート・ホールの上の方の席。満員のお客さん。会場の熱気がしたから全部上がってきてもわんと暑い。そしてドーム状のホール、音の反響が八方から来るので(席によっては直接音と反響音がほどよくミックスされていい感じのところもあるのだけど)、もわわわんとお風呂の中で歌うよう。もわんともわわわんが相まって、お風呂の中でのんびり音楽を聴いているような幸せ感。でも音楽はベートーヴェンとブーレーズさん。なんていうミスマッチ。でも、これが何だかふんわりとした空間でいい。ちょっと違うけど、こういう楽しみ方もいいよね。

バレンボイムさんのベートーヴェンはきわめてオーソドックスなオーケストラのスタイル。とっても自信に溢れていて、まさに王道。奇を衒わなくても、音楽を丁寧に演奏すれば、いろんなスタイルのベートーヴェンを聞き慣れていてつい、新奇な解釈に驚喜するわたしのような見栄っ張りの訳知り顔の聴き手をも納得させられるという見本のよう。バレンボイムさんが若いオーケストラをぐいぐい引っ張って音楽を作っています。

そう、今日のオーケストラは、若者の団体。バレンボイムさんたちが、中東のパレスチナやイスラエル、他のアラブの国々の若い音楽家を集めたワーク・ショップから生まれたオーケストラ。中東なのにミドル・イーストではなくてウェスト・イースタン・ディヴァンというのは、名前はゲーテの詩から採ったからだそうです。未だに解決されない紛争の当事国の音楽家がひとつの音楽を奏でる。音楽で平和を!なんて素直に叫べるほどわたしはウブではなくなったけど、でも、音楽家にもできることはある。それをやってきたバレンボイムさんは素晴らしいと思うし、このオーケストラの役割にも敬意を払わずにはいられません。バレンボイムさんってイスラエルの国籍を持ちながら、パレスチナの国籍も持っているのですね。バレンボイムさんのこと見直しました。

「田園」は喜びに満ちているので大好きです。バレンボイムさんの演奏はその喜びをとても素直に丁寧に音にしていてとっても共感が持てます。凄くはないけど真っ直ぐ伸びのある演奏。ところで、ときどき書いているのですが、この曲の最終楽章で、ベートーヴェンはとっても思いきったことをしていますよね。わたしはそれをカラオケ効果と呼んで、交響曲第9番のフィナーレのコンセプトの上を行くと思ってるんですけど、完全に主旋律を抜いて伴奏だけで音楽が進行するところ。しかも、旋律抜きで思いっきり盛り上げる。まるでそこだけカラオケになったみたい。心の中で、メロディを歌うのです。音に出さなくても、聴いてる人に音楽に参加することを求められてるような気がする。いつも、わたしの中で喜びに満ちたメロディを絶唱。心が熱くなる。

真ん中にはバレンボイムさんの盟友、ブーレーズさんの2曲。「エクスプロザントゥーフィクス」のオリジナルの「メモリール」と「メッサージキュッス」(フランス語の発音合ってる?)。前者がフルートのソロ、後者がチェロのソロと少人数の弦楽合奏のための作品です(あっ「メモリール」にはホルンも入っていました)。どちらもそれほど難しくなく、清涼感すらある音楽。ベートーヴェンの合間にピタリとはまってます。ソロは団員が務めたんですが、ソリストを務めるだけあってしっかり上手いですね。それにしてもチェロの人、恥ずかしがってなかなか前面に立たないのをバレンボイムさんに何度も押し出されて拍手を受けていたのが、かわいらしい。

休憩のあとは、交響曲の第5番。この間ノセダさんの指揮でめちゃ速い演奏を聴いていただけに、ずいぶんとゆっくりに聞こえました。勢いで圧す演奏ではなかったので、第1楽章はオーケストラの弱さがちょっと出てしまいました。難しいですね、この曲。それでも第2楽章からは持ち直して、がっしりとした音楽を聴かせてくれました。バレンボイムさんの細部にわたるこだわりも徹底して、ピアニッシモの最弱音の強調も若いオーケストラだからって手抜きはなしで、若いオーケストラに容赦なく最高度の要求をしていることがよく分かります。反対にフィナーレではオーケストラを解放して、腕を大きく広げてオーケストラの勢いを放ったり、雄大な音楽を作っていく様がバレンボイムさんの指揮からよく分かります。終盤のピッコロが大活躍するところでは、ピッコロ奏者を立たせて演奏させるなんてサプライズも。お客さんも盛り上がって終わったので良かったのではないでしょうか。それにしてもバレンボイムさん人気だなぁ。その一端はわたしにも分かったけどね。

充実した楽しいお風呂でした。もわんもわん
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by zerbinetta | 2012-07-23 07:16 | 海外オーケストラ | Comments(0)

寂しいけど心温まる最後 さよならモニカさん。そして一応タマちゃん   

20.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

ティシャンの最後、ロイヤル・バレエ、今シーズン最後の公演です。今日はバレエのことは書きません。だって、今日は特別な日。10年にわたり、ロイヤル・バレエの芸術監督として団を率いてきたモニカ・メイスンさんが引退する日なんですもの。ってか、54年!の長きにわたってロイヤル・バレエで活躍してらしたんですね。その最後の日とあれば特別。もちろんチケットは早々に売り切れ。わたしは、うっかりチケットを取っていなかったので、こまめにリターンをチェックしてチケットをゲットしました。しかも、聞いてください!!なんと憧れのグランド・ティア。劇場内で一番高い席で、一度は座ってみたかったんです。しかも、モニカさんはいつもグランド・ティアの同じ席で舞台に目を光らせてらっしゃって(ほぼ全公演を観てらっしゃるのではないかしら)、いつかすぐ近くでバレエを観てみたいと思っていたのです。まあ、今日は最後だし、舞台の袖の方にいるのだろうけどと思ったら、モニカさん来たーーー!最後までいつものように観るのですね。そして、この界隈、関係者、知り合いが多そうで、何だかみんなハグしたりとかしてる。わたしが分かったのは、いつもモニカさんと一緒にいらっしゃるジャネッタさん、プリンシパル・キャラクター・アーティストで今回演出もしているマリオットさん、ジョナサン・コープさん、アガザノフさん。何だかわたし浮いてますね。うきうき。

さて、今日はモニカさんの最終日でもありますが、来シーズンからイングリッシュ・ナショナル・バレエの芸術監督に転出するタマちゃんの最後でもあるんです。モニカさんの陰に隠れてちょっとかわいそう。と思ったら、来シーズン(来年の冬)、ゲスト・プリンシパルの立場で、ポルーニンさんと!お別れ公演をするんです。演目は去年の秋も踊った「マルグリートとアルマン」。こちらが正式なお別れ(トリプル・ビルの最後の演目)になるのでしょう。フラワー・シャワーはそのときかな。
というわけで(今日はタマちゃんの出番は最初の演目だし)フラワー・シャワーはありませんでした。でも、大きな花束が贈られました。デモ今日は泣いてなかったヨ。ロイヤル・バレエを牽引してきたひとりが辞めてしまうのはほんと寂しい。でも、芸術監督としてのタマちゃんの未来に幸あれ!!ずっとやりたいと言ってきた役ですものね。イングリッシュ・ナショナル・バレエが良くなることを期待します。オペラでの立ち位置みたいに、バレエでも斬新な振り付けとか演目をやって欲しいな。希望。
ああ〜、それにしても「マルグリートとアルマン」観たいなぁ。大きな椿の花束を贈りたい!

アコスタさんにお尻を叩かれるタマちゃん。仲良し
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投げキッス
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大きな幸あれ!
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今日の、キャスト表には、最後の演目が終わっても席に残ってるようにとの注意書きがしてありました。もちろんデスとも!「ディアナとアクタイオン」のカーテンコールのあと、モニカさんのお別れセレモニー。
オーケストラが、生で!バースデー・オファリングの音楽を奏でて、スクリーンにモニカさんの歩み。なかなか上手くまとめてあって、しんみりしそうになったり笑いをとったり、モニカさんに贈るインタヴュウの言葉も温かく、とてもステキ。目がね、大きな力強い目がモニカさんのキャッチ・ポイント。昔の白黒の踊りの映像も良かったけど、最近の振り付けの見本を見せてるのなんて、まだまだ踊れるじゃんって思った。チェチェは着なくてもいいからちょっと踊って欲しい。
ヴィデオが終わるといよいよセレモニー。ステージの後ろには盛装のバレエ団の方やさっきまで踊ってた衣装のままのダンサーたちで豪華。ね、お茶目な感じのモニカおばあちゃん。70歳を超えてるようには見えない軽やかさ。
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そして盾とメダルの贈呈ではメダルを落としちゃうハプニング。後ろのダンサーさんたちのうっぷすって感じの表情が面白いでしょ。拍手も止まってるし。
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わたしたちもありゃりゃと思ったけどご愛敬。セレモニーは温かく感謝の気持ちに包まれて進んで、モニカさんのスピーチ。中でも、「変化こそがわたしたちを成長させる'change is what makes us grow.'」という言葉が印象に残りました。そして、来シーズンからの芸術監督のケヴィンさんとの抱擁。
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ひとつのよき時代が終わって新しい時代に移るのを温かい目で見られる幸せ。バレエ団も変化するでしょう。辞めていく人もいれば入ってくる人もいる。きっと新しいスターも誕生するでしょう。演目も少し変わるかもしれません。でも、絶えず変わっていくことで、成長していくんですね。中の人も観に来るお客さんも。わたしは残念ながら、新しい時代を観ることができません。でも、とっても楽しみにしています。今日ここにいられたことはなんていう幸せなんでしょう。ロイヤル・バレエを観たのは短い間だったけど、わたしにとって掛け替えのないものでした。バレエを観ることにここまでのめり込むことになるなんて想像すらしてなかったですから。そしてそんなにわかファンでも、歴史の転換点の目撃者になれた僥倖に感謝。ありがとうモニカさん。お元気で。でもきっと、またオペラ・ハウスでお姿を見ることができますよね。ひとりのバレエ・ファンのおばあちゃんとして。今度はどこの席に座るのだろう。たまにはわたしたちに混じって安い席で観てください。あなたの育てた、そして新しい人たちが成長していく様を。素晴らしいですよ。
最後は伝統的なフラワー・シャワー。本当にたくさんの花が投げられました。最高です。本当にどうもありがとう。
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by zerbinetta | 2012-07-20 07:51 | バレエ | Comments(0)

恋?そして母性? 「マシーナ」 ベンジャミン、ロホ   

17.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

メタモルフォーシス:ティシャン、正直4回も観るのは、と若干の後悔もしているものの(安い席がないので)、最後だしまっいいかと思う自分も。観ないより観た方が楽しいのも事実だしね。面白いことに、観るたびにお気に入りのが違ってきます。今日、心に来たのが最初のマシーナ。初めて観たときはちんぷんかんぷんで、良い作品には思えなかったんだけど、これは素晴らしい。今日はマシーナについて書きます。

machina

kim brandstrup, wayne mcgregor (choreography)
nico muhly (music)
conrad shawcross (designs)
tom seligman / oroh

leanne benjamin, tamara rojo
carlos acosta, edward watson, etc.


どうしてか観るたびに深みにはまっていく「マシーナ」。ついに3演目の中でこれが一番いいって思うようになりました。舞台は抽象的で、マシーナというタイトルの通り、どこか無機的。に見えるんだけど、よく観るととっても体温のあるドラマも感じられる。物語がなさそうで、ある。ニンフたちの水浴に題をとった話だけど、わたしには、ティシャンの絵の題材となったディアナとアクタエオンのお話とは違うように感じられる。ディアナとアクタイオンは、覗かれて怒ったディアナが、アクタイオンを鹿に変えて彼の猟犬に殺させるお話だけど、「マシーナ」では、むしろニンフと男(たち)の交流というか、ニンフの癒しやニンフと男の間に生まれる愛のようなものを感じたんです。タマちゃんの踊るニンフ(誰がディアナか分からないので単にニンフとします)は、最初、男(ワトソンさん)を拒絶しているように見えるけど、最後に男との間に心の交流があったように見えて、恋が芽生えたのかなと。タマちゃんの表情が妙に艶めかしかったんです。タマちゃんツンデレ状態。

ベンジャミンさんの踊りには言葉に表せないような魅力と凄味があるのだけど、それってなんだろうってずっと考えてた。ベンジャミンさんにあって他の女性ダンサーにはないもの。長い経験(来年でロイヤル・バレエ、プリンシパル歴20年ってこれは凄いよ)?でも、多分それでじゃないはず。と、彼女の踊りをじいっと観ていて感じたのが母性。思い起こせば「レクイエム」のときも感じたのだけど、彼女の踊りには許し包みこむような、癒しというか、永遠の女性的なるもの、ティシャン(ティツィアーノ)でいえば被昇天マリアを感じるのです。だから、ジゼルや(残念ながらわたしは見そびれたけど)ジュリエットのような少女役よりも、こういう役の方が今の彼女には合ってると思うんです。そして彼女の踊りにはとてもたくさんの言葉がある。この間もちらっと書いたけど、それはおしゃべりの言葉ではなく、抽象的な単語を使った哲学的な語り。それがもの凄く饒舌なんです。もちろん、意味をとるのは難しいけど(難しい本を読むみたいに)、そこには奥の深い豊潤な表現が佇んでいるんです。読み手次第でいくらでも深くなっていく言葉が。

もちろんこの演目、ベンジャミンさんだけが素晴らしいのではありません。ロイヤル・バレエでのプリンシパルとしての最後の公演ということで凄味を増してきたタマちゃん。そして男性のおふたり。
ベンジャミンさんと踊ることの多いワトソンさんは、タマちゃんとのペア。ワトソンさんが、やっぱり彼もこういう演目が得意というのもあって、ベンジャミンさんと同じくらい素晴らしい。そして、タマちゃんではなくベンジャミンさんとのペアとなったアコスタさん。ときにぼんやりとした印象を与えてしまう(踊りは凄いんだけど)ことが役によってはなきにしもあらずだけど、今回はとってもステキ。彼らの身体の動きは奇跡と言っていいくらい。力強くて柔らかくて、鍛え抜かれた裸の肉体を見る喜びよ。人間の筋肉という最高の動力装置を、緻密で繊細な神経回路が制御して、美しく動く機械。いくら最新の技術で動かしていても、人間の肉体の動きにはかなわないよ、後ろの機械。

目立たないけど、バックで踊っていた6人のダンサーたちも称えるのを忘れてはいけません。とても高い水準で舞台を支えていたのですから。

ほんとに噛めば噛むほど味わい深い演目だなぁ。今日はこれが一番好き!

タマちゃんとワトソンさん
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ベンジャミンさんとアコスタさん
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trespass

alastair marriott, christopher wheeldon (choreography)
mark-anthony turnage (music)
mark wallinger (designs)
barry wordsworth / oroh

beatriz stix-brunell, melissa hamilton, sarah lamb
nehemiah kish, steven mcrae, etc.


昨日語ったからもう語らなくていいでしょ。

メリッサさん
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ラムさんとマクレーさん
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ベアトリスさんとキッシュさん
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diana and actaeon

liam scarlett, will tuckett, jonathan watkins (choreography)
jonathan dove (music)
chris ofili (designs)
kim sheehan, andrew rees (singers)
dominic grier / oroh

marianela nuñez (diana), federico bonelli (actaeon), etc.


メイスンさんの希望で入れられた物語バレエ「ディアナとアクタイオン」。物語があるがゆえに不自由で、若干底の浅いバレエになってしまったような気がします。もう少し自由に物語を構成させてあげたかったな、とも思うし、殻を破れなかった、若い振り付け家の限界かもしれません。先に外側ができちゃって、その中で箱庭を作っちゃったみたいな。でも、才能のある人たちだから、これからでしょうね。こんな大舞台に自分の作品を乗せることができたのは(リアムさんは地位を固めつつあるけど)、良い経験になると思います。と、いやに攻撃的ですけど、だってあの可愛らしいマリアネラさんが、恐いお化粧なんだもん。いやん。可愛らしいままで見せて〜。
お風呂覗かれたからって、殺しちゃいけません。水戸黄門の由美かおるさんみたいに水をばしゃっとかける程度の大らかさがないと。って水かけて鹿に変えただけでしたっけ?

ユフィさんとセルヴェラさん
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クレアさんとトルゼンシミエッチさん(おふたりともソロイスト昇格おめでとう)
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ネラとボネリさん。左はクラウディア・ディーンさんかしら
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by zerbinetta | 2012-07-17 08:26 | バレエ | Comments(0)

ティシャン 2日目 フェミニンの「トレスパス」 痛恨の腹痛   

16.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

メタモルフォーシス:ティシャン、キャストは変わらず、コピペでいいので楽ちーーん。

machina

kim brandstrup, wayne mcgregor (choreography)
nico muhly (music)
conrad shawcross (designs)
tom seligman / oroh

leanne benjamin, tamara rojo
carlos acosta, edward watson, etc.

一昨日観てあまりよく分からなかったマシーナ。今日は少し分かってきたような気がします。この演目、とにかくベンジャミンさんが良い。マクミランの「レクイエム」や「グロリア」でも素晴らしい踊りを見せてくれた彼女だけど、ほんとに、こういう抽象的な踊りが素晴らしい。踊りの中に言葉を感じるの。それもおしゃべりの言葉ではなくとても哲学的な言葉。それについてはあとで書くことにしましょう。もちろん主役の4人もバックの人たちもほんとにいいんですけど。

左から、チャップマンさん、ステパネクさん、タマちゃん、ワトソンさん、アコスタさん、ベンジャミンさん、フリストフさん、メンディザバルさん、ズチェッティさん
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trespass

alastair marriott, christopher wheeldon (choreography)
mark-anthony turnage (music)
mark wallinger (designs)
barry wordsworth / oroh

beatriz stix-brunell, melissa hamilton, sarah lamb
nehemiah kish, steven mcrae, etc.


今日は「トレスパス」が、とってもすとんと心に落ちました。
音楽も、ああ今日も気が狂いそうになるのかなと構えてたけど、意外や大丈夫。むしろなかなか力のある音楽だと見直したりして。
「トレスパス」はのぞきのシーンをテーマにした作品、美術のワリンガーさんの作品ものぞき部屋でしたものね、でも、ディアナが怒ってのぞき見したアクタエオンを殺してしまった、高貴なプライドみたいな表現はなく、むしろ女性はかわいいエロスって感じでフェミニン。人魚のひれのように足先を交互に動かす仕草とか、女性のかわいらしさを引き出しているようで、のぞき見をむしろ誘うような感じにも思えました。女神は、メリッサさんかしら。フェミニンで可愛らしいんだけど中性的でもあり、百済観音っぽくもあり、メリッサさんの魅力全開でした。ちなみにメリッサさん、彼女をモデルにしたショニベアさんの作品が、現在、オペラ・ハウスの目立たないところにくっついています。これ。
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なんと!1段飛ばしでソロイスト昇進が決まったベアトリスさん(おめでとうございます)、キッシュさんとペアです。ベアトリスさんはさすが、振り付けのウィールドンさんの申し子だけあってウィールドンさんのは上手いですね。この人は手先がきれい。ソロイストになると重要な役を踊ることが多くなるから、大変だけどがんばって欲しいです。この人、意外ととんとん拍子に再来年あたりにファースト・ソロイストになって、すっとプリンシパルに上がるんじゃないかしら。なんか勢いのあるダンサーです。キッシュさんも上手にサポートしたり、マクレーさんと男の踊りを見せたり、男性も見せ所があるのがいいですね。
ラムさんとマクレーさんのペアは、こちらの方は逆立ちや、難しそうなリフトが盛り込まれていて、ドキドキしながら観てましたが、ラムさん、わたしには彼女はコンテンポラリーの方がしっくり来るなぁ。お顔が整いすぎていて、人間の少女見るというより、抽象的な人形のように見えるんだもの。でも、この演目はこれで大丈夫。ラムさん魅力的でした。それにしても、ラムさんは細っこくて軽いとはいえ、片腕でリフトしたり、マクレーさん大変そう。マクレーさんは観るたびにステキです。わたしも♡を送りたいんだけど、ライヴァル多いからなぁ。

わたしもニンフたちの可愛らしい水浴をのぞき見したような気持ちになったのだけど、ミラーになったりシースルーになって向こう側にのぞき見する人たちが現れたり、屏風(?)の使い方上手かったなぁ。水墨画風の背景も音楽や振りと相まって東洋的な雰囲気を醸し出してたし、わたしはまだ作品の意図がちゃんと理解できてるわけではないけど、わたしの中では、蓮の池に集う東洋のニンフたちという感じでした。ちょっと違うような気もするけど。東洋は思想的なものよりもエキゾティックな動き、なのかもしれませんね。
でも今日は、この作品がとても心に残ったんです。ステキな作品だって。

ううう、今日はお腹が痛くなって、「ディアナとアクタエオン」は観ずに帰りました。最近ちょこっと調子悪かったんです。

妙にニコニコ踊ってたオリヴィア・コウレイさん(「くるみ」のおばあちゃんの楽しい演技を観て以来大好きなんです)と晴れてソロイストに昇格が決まった、トルゼンシミエッチさんとズチェッティさん おめでとうございます
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ベアトリスさん(後ろ向き)とキッシュさん
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ラムさん(後ろ向き)とマクレーさん
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by zerbinetta | 2012-07-16 08:02 | バレエ | Comments(0)

ティシャン、いよいよ初演! ロイヤル・バレエ   

14.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

夏のロンドン・オリンピックに伴って、ロンドンではいろんなことが行われますが、カルチュラル・オリンピアードというのもそのひとつ。中でもロンドン2012フェスティヴァルではいろいろな文化行事が行われます。そのひとつが、ナショナル・ギャラリーとロイヤル・バレエとの共同企画で、メタモルフォーシス:ティシャン2012。美術館でのティシャンの3つの作品とそれにインスパイアされた現代作家の新作の同時展示とバレエの連携でちょっと分からないところもあるけど、ロイヤル・バレエを10年にわたって導いてきたモニカ・メイスンさんの最後の作品ということで期待が高まったのでした。バレエの方は3つの作品から構成されることは、早くから分かっていましたが、内容やキャストはぎりぎりまで全く分からず、チケットも高かったのでチケット取りにも躊躇して、取り敢えずわたしは、1回分のチケットを取っていただけでした。
ああ、なのに。。。それなのに。結局見ると、手元に全4公演のチケットが、5枚。あれれ?1枚多い?いええ〜、メイスンさん(そしてタマちゃん)の最終公演ということで早くから売り切れになっていた最終日の公演、取り敢えず入るだけのチケットを確保しておいて、良い席が出たとき、ぽちっと押してしまったのですね。確保していた方のチケットは間際にリターンしました。

そして今日はその初演。いったいどんなバレエが観られるのでしょう。と、その前に、ナショナル・ギャラリーに行って、メタモルフォーシス;ティシャンを観てきました。ティシャンは、英語読みなので、日本人にはなじみがないと思うけど(わたし自身ずうっとタイタンだと読み間違えていました。titanにはない愛がtitianにはある!お恥ずかしい)、ティツィアーノといったら分かるでしょうか。ワグナーが(多分ゲーテの「ファウスト」の最終場面でも)「トリスタンとイゾルデ」の最終場面でイメジを重ねた、「聖母被昇天」の絵を描いた人です。他にも有名な絵はたくさんあるんですけどね。
正直言って1回ちらっと観ただけではよく分かりませんでした。結局バレエのリハーサルのヴィデオばかり観てしまっていたし。ティシャンの3枚の絵「ディアナとカリスト」「アクタイオンの死」「ディアナとアクタイオン」はステキだったけど、3人の現代作品は、ティシャンとどう関係があるのか、のぞき部屋を再現した作品以外はよく分かりませんでした。もっと時間をかけてちゃんと観に行かなければ。

さあバレエの方。3つの作品、「マシーナ(機械)」「トレスパス(不法侵入)」「ディアナとアクタエオン」をそれぞれ複数の振り付け家が振り付けています。そしてそれぞれのデザイン(背景)をナショナル・ギャラリーに出展した美術家さんたちが担当しています。

では、「マシーナ」。

machina

kim brandstrup, wayne mcgregor (choreography)
nico muhly (music)
conrad shawcross (designs)
tom seligman / oroh

leanne benjamin, tamara rojo
carlos acosta, edward watson, etc.


実は一番よく分からなかった作品。非常に抽象的。暗い舞台に、背景は何もなく、大きな機械が首を振るように動いています(この機械は、ナショナル・ギャラリーにも展示されていました)。物語がありそうでなさそうな具合が戸惑った原因かなぁ。音楽は真ん中のちょっと現代的なところを挟んで、とても静かなルネッサンス調の弦楽合奏で、淡々と古代の無言劇を観るよう。なんだけど、後ろで動いてる機械といい、作品を理解するまでには至りませんでした。
ダンサーでは、リャーン・ベンジャミンさんが圧倒的に良かったです。この人、こういうのを踊らせるともう右に出る人がいないくらい上手い、というか芸術的。動きのひとつひとつに確実に表現の意味がのってる。素晴らしかったです。あとは、ワトソンさん(この人こそがベンジャミンさんの右に出る人かなぁ)とアコスタさん。タマちゃんは上手いんだけど、何となく作品に合っていないような、もったいない感じ。タマちゃんの最後の作品なのに、お別れは他ので観たかったよぉ。

タマちゃん、ワトソンさん
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ベンジャミンさんとアコスタさん
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振り付けの頭が滑らかなおふたり ブランドストラップさん(左)とマクレガーさん
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機械と全員
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続いてトレスパス

trespass

alastair marriott, christopher wheeldon (choreography)
mark-anthony turnage (music)
mark wallinger (designs)
barry wordsworth / oroh

beatriz stix-brunell, melissa hamilton, sarah lamb
nehemiah kish, steven mcrae, etc.


アクタエオンののぞき見事件のことかなぁ、不法侵入。とってもフェミニン。舞台は中央に半円の屏風があって、それがシースルーになったり鏡のようになったりして効果的。さすがのぞき見部屋を作ったワリンガーさん。背景はちょっとアジアンテイストの水墨画風。踊りの中にも蓮の花にのった仏陀を連想させるのもがあって、そういう意図で作られてるのかなって思った。ただ、音楽がね〜。タネージさんの音楽が焦点が合わない激しい雑音のように聞こえて、これずうっと聞かされたら気が狂いそうって思ったんだけど、後半になってやや落ち着いて何とか正気を保っていました。ウマが合わないのかしら。
振り付けは、動、静自在で、アクロバティックなところもあって、とても面白い。リード・ダンサーはベアトリスさんとキッシュさんのペア、ラムさんとマクレーさんのペア、そして観音様のような可愛らしいエロスのメリッサさん。ダンサーに恵まれた感じ。振り付けたウィールドンさんとマリオットさんは冥利に尽きたんではないかしら。

舞台はこんな感じ
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電気回路の配線みたいな衣装
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ウィールドンさん(左)とマリオットさん マリオットさんはお肌きれいなプリンシパル・キャラクター・アーティストの踊り手でもあります
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最後はディアナとアクタエオン

diana and actaeon

liam scarlett, will tuckett, jonathan watkins (choreography)
jonathan dove (music)
chris ofili (designs)
kim sheehan, andrew rees (singers)
dominic grier / oroh

marianela nuñez (diana), federico bonelli (actaeon), etc.


ダンサーに役名が付くように、物語バレエです。お化粧がこわ〜い。美術はギャラリーの方でも唯一絵を出展してたオフィリさん。これが素晴らしい。背景は南国風の絵で、真っ赤な三日月が目を引くんだけど、これもしかして女性の象徴?だとするとその手前に書かれているのは、デフォルメされた男性のペニス?ここだけ北斗七星のように電球が光るようになってるんだけど、穿ち過ぎかなぁ。
音楽も分かりやすいし、物語もあって内容もとても理解しやすいので、今日はこれが一番すっと心に落ちました。ただ振り付けはちょっと凡庸かな。リアムさん期待したんだけど。振り付けの3人は、現役のダンサーでもありますね。
大好きなマリアネラさんがディアナでいつものことながらとってもステキ(お化粧恐いけど)だったんだけど、彼女にならもっと自在に振り付けられるの二ってちょっと不満も感じました。もったいないよ。

ビビッドな舞台
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振り付けのタケットさん、ワトキンスさん、リアムさん
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最後は、メイスンさんが拍手の中、スキップをするように、むちゃ嬉しそうに出てきて、弾けてました。
メイスンさんとオフィリさん(右)。マリアネラさんとボネリさん
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初演は独特の雰囲気ありますね! 振り付けや美術に関わった人を舞台に出すのも初演時のみだし、ワクワク感も違います。もちろん新しい作品にはリスクも伴うのだけど、それを圧してでも新作を上演するのはステキです。今回の作品はイヴェント的要素が強いので、再演があるかは分からないけど、新しい芸術監督の人にもぜひ、新作の上演を期待します。ロイヤル・バレエには超一流のダンサーが揃ってるので、彼らのシグニチュア・ワークになるような、さらに再演を重ねるような素晴らしい作品をぜひ生み出して欲しいです。
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by zerbinetta | 2012-07-14 22:49 | バレエ | Comments(0)

星の祭典 サロネン、フィルハーモニア「惑星」 ファミリー・イヴェント   

08.07.2012 @royal festival hall

holst: the planets
joby talbot: worlds, stars, systems, infinity

paul rissmann (presenter)
esa-pekka salonen / philharmonia voices, po


イギリスでも七夕なので星祭り〜。なわけないじゃん。フィルハーモニアはサイエンス・ミュージアムとの共同企画で、ホルストの「惑星」の演奏。よくありがちな、惑星の高精細画像をスクリーンに見せつつ宇宙旅行をするのように、バックに音楽を演奏するのかと思ったら違った。まあ、それはどうでもよくて、サロネンさんの「惑星」が聴ければいいやと。それにファミリー・イヴェントなのでチケット安いし。カウフマンさんのでなくなったロイヤル・オペラのチケットを売り払ってこちらに来ました。だって、「トロイ人」あんまり好きじゃないんだもん、長いし。

今日演奏されたのは「惑星」1曲だけ。あっ違ったおまけが付いてた。前半は「惑星」の解説。子供向きかと思ったら、全然。大人でも楽しめる内容。特に楽曲分析(楽譜をスクリーンに映したり部分部分を演奏して聞かせての)は、音楽素人のわたしにはとっても知らなかったこともいっぱいあって新鮮で面白かったです。サロネンさんへのインタヴュウもあって、作曲家でもあるサロネンさんはこの曲をどう評価しているのかなって思ったら、「ベートーヴェンとか(ここのところの比喩、正確には誰の何だったか覚えていません)と同じ意味ではマスター・ピースとは言えないけど(正直)、後世に残した影響という意味では間違いなくマスター・ピース(大人)」って正直だけど大人の回答。そして、パートごとに多重録音ができる最近のポップスの音楽作りと同じような構造が見られる、当時のクラシック音楽会にはない現代的な作曲、とおっしゃっていたのには目から鱗のようなもの。

後半はいよいよ音楽。音楽会自体は、木星「喜びをもたらすもの」(の抜粋版)でいきなり始まって、それがいやに速い演奏だったんだけど、どうなるでしょう? ステージにはスクリーンがあったけど、残念ながら映像は各惑星の静止画に曲のタイトル。ううむ。これは宇宙旅行をしている気分になる動画の映像の方が良かったぞ。
今日はファミリー・イヴェントなので、演奏自体は緊張を強要する演奏ではありませんでした。演奏の質は先日、同じ楽団のガードナーさんの演奏の方が完成度が高かったです。でも、サロネンさんの「惑星」の解釈が聴けて良かったです。ちなみに木星は初っぱなの演奏ほど速くはありませんでした。最近、わたし、歳をとったせいか「惑星」は後半の土星以降が好きなんですけど、今日のサロネンさんの演奏は、その土星と海王星がとっても良かったです。天王星は、会場に子供も多かったせいか(でも大人よりもちゃんと聴いてたかも)、最弱音で終わるということはせずに、ある程度声量を保ったまま歌われました。そしてそのまま一気に、タルボットさんの新作「世界、星、システム、無限」の初演に。タルボットさんといえばわたし的には「アリス」。同じような響き、感覚。音楽の内容よりも、「アリス」の風景が目に浮かんで間違った楽しみ方だけど、目を湿らせて楽しめました。

わたしが子供だったら、こんな音楽会もっとたくさん聴きたい。もしもわたしに子供がいたら一緒に楽しみたいと心から思いました。サロネンさんとフィルハーモニアなんてほんとに贅沢よね。これが、ゲルギーとロンドン・シンフォニーだったら、きっと恐いおじさんのトラウマになるでしょう(?)失礼っ
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by zerbinetta | 2012-07-08 04:10 | フィルハーモニア | Comments(0)

タマラが泣いた!日 ロイヤル・バレエ トリプル・ビル   

07.07.2012 @royal opera house

七夕。ロンドンじゃ曇って天の川も見えそうにないけど、雲の上はお天気なので年に1度のデエトを楽しんでることでしょう。わたしは、今日は、さすがにもう4回も観ているので、観るつもりはなかったのですが、タマちゃんが突然、ロイヤル・バレエを離れてイングリッシュ・ナショナル・バレエの芸術監督になることが発表されて、タマちゃんの最終回は今日の公演かぁ、フラワー・シャワーあるかなぁとチケットを取ったのでした。でも、今シーズンの最後の演目、ティシャンのキャストが最近発表になって、タマちゃんも踊るので、そちらがタマちゃんの最終公演になるようです。今日は特別なことなしだな。

birthday offering

glazunov/robert irving (music)
frederic ashton (choreography)
tom seligman / oroh

tamara rojo, federico bonelli,
yuhui choe, laura morera, sarah lamb,
roberta marquez, itziar mendizabal, helen crawford,
alexander campbell, richardo cervera, valeri hristov,
brian maloney, johannes stepanek, thomas whitehead


昨日に続いて、ひかるさんが怪我で降板。今日は代わりにメンディザバルさん。結果として昨日と同じキャストですが。
5回にわたって宿題のように、誰がアシュトンの踊りにピッタリなのかと食い入るようにして(うそ!ぼんやりと)観ていたのですが、じゃじゃーーーん!わたしの意見発表でーす。(主役の2ペア、男性は抜いています)
1番は、モレラさん。観ていてリズムがはっきりしていてとても気持ちいい。この人は主役でもいけると思うのだけど、ちょっと華がないのかな。
あとは、順位を付けません。ひかるさんは安定していて観ていて安心でしたし、フェミニン度はユフィさんかなぁ。そして、マルケスさんが、振りもあるけれども、おきゃんで溌剌とした感じが可愛らしかったです。反対は、ラムさんで、上手いのだけど、ちょっと物足りないというか、この作品には合わないかな、と思いました。
でもね、誰がアシュトンに合ってるか、なんて分からないのよ。バレエに詳しい人のブログとか読んでも意見はまちまちで、ある人は彼女の踊りはアシュトンを体現してると言うのに、他の人は同じ人を見て、彼女はアシュトンには向かないと言う。面白いですね。わたしはちっとも分からないので、あっいいな、と思ったことをわたしの定規にしました。

タマちゃんは今日も盤石な踊りを見せてくれたんだけど(なんか日に日にオーラが大きくなっていくよう)、なんと、びっくり、カーテンコールのとき、タマちゃんが感極まって泣いてしまったのです。あの(恐い)タマちゃんが泣くなんて、しかも今日、思ってもなかったので(わたしだけじゃなく、周りの人たちもみんなびっくりしてた)、うわわ、と思ってしまいました。まさか、ティシャンは降りて今日で最後じゃないよね、とも。ボネリさんが、さりげなく寄り添ってあげて(ボネリさんはこのトリプル・ビル出ずっぱりで大変)、でも、もう何回も観てるし、後ろの方の席だしとカメラを持って来なかったので感動の瞬間を写真に撮れず残念。鬼の目の涙なんて、滅多に見られないのにっ。

a month in the country

chopin/john lanchbery
frederic ashton (choreography)
barry wordsworth / kate shipway (pf), oroh

zenaida yanowsky (natalia), rupert pennefather (beliaev)
christopher saunders (yslaev), ludovic ondiviela (kolia)
emma maguire (vera), gary avis (rakitin), sian murphy (maid)

les noces

stravinsky (music)
bronislava nijinska (choreography)

christina arestis (bride), ryoichi hirano (bridegroom)
genesia rosato, alastair marriott, elizabeth mcgorian, gary avis (parents)
deirdre chapman, richardo cervera (friends), etc.


barry wordsworth / singers, roc, pianists, percussion

残りの2つの演目はもう、言うことなしだわ〜。名残惜しげに楽しんだんだけど、もう書くことないよーー。(ブログのこと心配せずに観れました!)
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by zerbinetta | 2012-07-07 07:29 | バレエ | Comments(0)

しつこい? ロイヤル・バレエ、トリプル・ビル(ますます手抜き)   

06.07.2012 @royal opera house

一昨日に続いてまたまたトリプル・ビル。しつこい? 普通は何回も観ていると目も肥えてきて、いろんなことが分かるようになったりするものだけど、わたしの場合は何度観ても同じで、永遠の初心者。気の利いたコメントをしたいのだけど、いつも今日もステキでした、ばかり。でもそれが素直な感想なんだから仕方がない(と開き直ってみる)。

birthday offering

glazunov/robert irving (music)
frederic ashton (choreography)
tom seligman / oroh

marianela nuñez, thiago soares,
yuhui choe, laura morera, sarah lamb,
roberta marquez, helen crowford, itziar mendizabal,
alexander campbell, richardo cervera, valeri hristov,
brian maloney, johannes stepanek, thomas whitehead

今日はマリアネラさんとティアゴさんの回。ティアゴさん、わたしには良かったと思えたんですけど、どうなのかな。みんな結構ティアゴさんにはだめ出ししますよね。マリアネラさんも他のダンサーさんたちも前回は少しお疲れのように感じたんだけど、今日はそんな感じはしませんでした。やっぱりマリアネラさんは天性の華やかさがあってステキ。とっても簡単に踊っているように見えるけど、実はとっても難しいんだろうな。何でもできちゃう(ように見える)ネラにとって、難しい技への挑戦みたいな楽しみはないんだろうな、なんてお馬鹿なことを考えてみたり。もちろんバレエはスポーツではなく芸術だから、表現する方がもっともっと難しいし、それこそが日々挑戦だと思うんだけど。単純にあっこの技できるようになった♡みたいなヨロコビを考えちゃう運動音痴のわたしでした。
今日ひとつだけ残念だったのは、ひかるさんが怪我で降板したこと。代役は、クロウフォードさん。彼女も他の日で踊っているから、全然問題なし。でも、ひかるさんの安定した踊りが好きだったので残念だったのでした。ひかるさんのお怪我がひどいものではありませんように。

陰で支える男性陣
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華やかな女性陣
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ネラとティアゴさん
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a month in the country

chopin/john lanchbery
frederic ashton (choreography)
barry wordsworth / kate shipway (pf), oroh

alina cojocaru (natalia), fedelico bonelli (beliaev)
jonathan howells (yslaev), paul kay (kolia)
iohna loots (vera), johannes stepanek (rakitin), tara-brigitte bhavnani (maid)


「田園のひと月」は、やっぱりコジョカルさんだなぁ。ちょっと表現しすぎというか、力入ってるという感じられることもあるけど、それでもやっぱり、引き込まれてしまう強い引力。ゼナイダさんのは額縁の外から絵を眺める感じなのに対して(わたし自身はこちらの方がしっくり来る)、コジョカルさんのは絵の中に入ってしまう感じ。表現がカミソリの刃のようにシャープすぎて、切なすぎて心が刻まれてしまう。特に、パ・ド・ドゥは切実すぎて。わたしの好みからいうと、もう少しぼやかしてもいいんだけどな。でも、それでも踊りの上手さは凄い。まるで当事者のようになってしまったかのように、わたしも舞台から降りたのでした。

コジョカルさん。大きく見えるのは遠近法です。ふふっ
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コジョカルさんとボネリさん
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les noces

stravinsky (music)
bronislava nijinska (choreography)

kristen mcnally (bride), valeri hristov (bridegroom)
elizabeth mcgorian, alastair marriott, genesia rosato, gary avis (parents)
deirdre chapman, richardo cervera (friends), etc.

barry wordsworth / singers, roc, pianists, percussion


「結婚」はマクナリーさんとフリストフさんのペア。だけどやっぱりこのふたりは目立ちません。このバレエはチャップマンさんとセルヴェラさんのものだな。特にセルヴェラさんは切れてるし、彼がどうしてプリンシパルにならないのか、ロイヤル・バレエ・ファンの間では七不思議のひとつ(?)。でも、ほんとそうよね。マキューシオとかレスコー兄とか、重要な脇役での輝きぶりったら半端じゃないけど、ね。
トリプル・ビルももうあと1回(えっ?まだ行くの?)。最後までしっかり楽しみますよ〜〜。

脇役なのに大活躍、チャップマンさんとセルヴェラさん
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主役なのに目立たない、マクナリーさんとフリストフさん
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by zerbinetta | 2012-07-06 02:11 | バレエ | Comments(2)

ロイヤル・バレエ、トリプルビル中日(ちょっとだらけてます)   

04.07.2012 @royal opera house

昨日に引き続いてまたまたトリプル・ビルです。書くことなくなってきました。

birthday offering

glazunov/robert irving (music)
frederic ashton (choreography)
tom seligman / oroh

tamara rojo, federico bonelli,
yuhui choe, laura morera, sarah lamb,
roberta marquez, hikaru kobayashi, helen crawford,
alexander campbell, richardo cervera, valeri hristov,
brian maloney, johannes stepanek, thomas whitehead


アシュトンの作品って、なんか、バレエを良く知ってるバレエ・ファンの人たちの意見を聞くと、独特のステップやら振りで、アシュトン向きのダンサーとそうでないダンサーがいるという話なので、わたしもそういうこと勉強しなくっちゃと、目を凝らして観てるんだけど、ううむ、やっぱよく分からない。まだあと2回観るので、わたしの答えはそのときに。

花束とタマちゃん
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a month in the country

chopin/john lanchbery
frederic ashton (choreography)
barry wordsworth / kate shipway (pf), oroh

zenaida yanowsky (natalia), rupert pennefather (beliaev)
christopher saunders (yslaev), ludovic ondiviela (kolia)
emma maguire (vera), gary avis (rakitin), sian murphy (maid)


「田園のひと月」は、前回のコジョカルさんボネリさんペアも良かったんだけど、脇を締めるダンサーを合わせて全体を観たらこちらのキャストの方がわたしは好きかな。ギャリーさんとサウンダーズさんのロイヤル・バレエの至宝が締めてる舞台はやっぱり凄い。マーフィーさんのドジッ娘メイドさんも可愛らしいですしね。ついうっかりメイドさんを観てしまうのだけど、彼女こそがひとり分をわきまえてる女性という感じで(ドジだけど)、ベリアエフとちょっといい雰囲気でいちゃいちゃするも、彼に好意の目で見られると、冗談よってさらりと去っていくところが大人。得られないものを望まない潔さは見習いたいですね〜。こういうさりげないドラマの対照も演劇的なバレエの魅力ですね。
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にこやかなゼナイダさんと相変わらず地味なペネファーザーさん
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les noces

stravinsky (music)
bronislava nijinska (choreography)

christina arestis (bride), ryoichi hirano (bridegroom)
genesia rosato, alastair marriott, elizabeth mcgorian, gary avis (parents)
deirdre chapman, richardo cervera (friends), etc.

barry wordsworth / singers, roc, pianists, percussion


「結婚」は、音楽が突飛だし、振り付けも(90年も前の作品なのに)モダンで、好き嫌いの分かれる作品だけど、わたしは好き。わたしがこんな結婚式をしたいかというと別だけどね。それにしても平野さんが主役なのにちっとも目立たないのは残念。。。(平野さんのせいではないですよ。ほとんど踊らないからです) そうそう、舞台が暗転したときに、花嫁のお母さん役のロサトさんが、ぱたぱたと走って舞台を降りるんだけど(次のシーンでは始めから舞台の後ろに登場するので急いで)、走る仕草がめっちゃかわいらしくて微笑ましい。あらもう魅力的なお母さん(ロサトさんはロイヤル・バレエ35年の大ヴェテラン)♡
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by zerbinetta | 2012-07-04 21:50 | バレエ | Comments(0)