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絶対クラヲタいる! 船橋たちばな管弦楽団 第7回定期演奏会   

2013年8月31日 @習志野文化ホール

チャイコフスキー:スラヴ行進曲
グラズノフ:ピアノ協奏曲第2番
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

御法川恵里奈(ピアノ)
井田勝大/船橋たちばな管弦楽団


8月も最後の日だというのにむわ〜んと暑いです。風があるだけまだマシかしら。今日は、船橋たちばな管弦楽団を聴きに津田沼に行ってきました。駅から習志野文化ホールまでの道が、無機質な感じでちょっと変なデザインの構造で炎天を有無を言わさず浴びるのであまり好きではありません。頭焦げちゃいます。

船橋たちばな管弦楽団は、珍しい(?)船橋市立高校のオーケストラの卒業生が中心になってできた団体。団員の中には白髪の交じった人も混じっていましたが、大学生、社会人の若いオーケストラです。若さがどう出るか、ドキドキワクワク。指揮者は、前にバレエの公演でとても好印象だった井田勝大さん。

最初は、チャイコフスキーの「スラヴ行進曲」。中学生の頃、吹奏楽の人たちが演奏してるのを聴いたことがあります。出だしは、なんだか、弦楽器、木管楽器、金管楽器のそれぞれのテンポ感が微妙にずれてるようでちょっと目眩。正直、今日はどうなるんだろうって思った。でも、フォルテになると俄然、鳴らして、縦の線をきれいに揃えてきて、ああ、やっぱりアマオケはフォルテだわって感じ。なかなかいけるじゃんって思いました。突き出しはちょっと古い枝豆かなってがっかりしたら、2品目に出てきた揚げ出し豆腐は、うん、なかなかって感じ。ぷはーっとビール。

次は、グラズノフのピアノ協奏曲第2番。えっ?どうやらこの曲、日本初演だそうです。ついこの間、プロムスで、トリフォノフのピアノ、ゲルギーとロンドン・シンフォニーで演ったんですね。奇遇。
それにしてもよくこんな珍しい曲拾ってきたな。ステージ・ビルによると、団員がやりたい曲、という曲で選んだそう。多分、マニアックなクラヲタさんがひとりいて、絶賛推薦推し押ししたんだろうな。CDか何かを聴かせて。普通だったら、やらないよね。ロシアだったら(奇遇なのかわざとなのか今日はロシア・プログラムです)、ロシアのピアノ協奏曲で変化球なら、チャイコフスキーの第2番とかスクリャービンのが普通よね(えっ?)。
曲は、なんだか気の抜けた感じの弦楽器のメロディから始まりました。ううむ。たくさんきれいなメロディが出てくるんだけど、なんだかとりとめがなく、メランコリックになったり、快活な舞曲になったり、もう旋律の流れにぷかぷか浮いて流れていくようにぼんやり聞くのがいい感じ。最後は、無理やり全曲を統一するモチーフで締めたけど、確かにきれいだけど印象に残らない人、みたいな、クラヲタ向けの知られざる佳曲にふさわしい感じでした。
ピアノもはっとするようなものを聴かせてくれるでもなく、きれいなメロディをなぞっていく感じに書かれています。今日ピアノを弾いたのは、御法川恵里奈さん。Kカンパニーでコレペティートルをやってる人なんですね。指揮の井田さんもKカンパニーで振ってるのでそのつながりかな。すらっとした美人さん。とても丁寧に整った演奏だったのだけど、曲が曲だけにあまりインパクトがなかったです。リスクを犯しての、オーケストラへの挑発があればって思いました。もう少し音量があったら良かったかな。
素直に言って、曲そのものに力のない作品の演奏は、多分それを上手く演奏しただけじゃダメ。何か突っ込んで解体して再創造していかないと心に残る音楽にならないと思うんですね。曲の価値以上の演奏をするのを若いアマチュア・オーケストラに望むのは酷かなぁ。3品目に頼んだ、お豆腐のふわふわ淡雪は、なんだかよく分からない創作料理だけど、上手くまとまっているけど、ぼんやりした印象で記憶に残らない感じ。お箸を置いたら何を食べたか忘れてしまいました。

最後は、タコの交響曲第5番。出だしの鋭い低弦は、若者のオーケストラでは重さが足りない。もっと内側からえぐるような力が欲しかった。弦楽器も管楽器も健闘してるんだけど、技術的に少し足りないのが惜しい。(大好きなタコなので厳しいこと書きます)特に、音程の悪さが、不協和音を汚くしちゃってるし、セカンド奏者の曖昧さがそこにあるはずの音楽を見つけづらくさせていました。それから、レガートのフレージングに音を変なふうに膨らませる癖が全体にあって、聴き心地の悪さを感じました。どのパートも同じようにそうしていたので、もしかしたら高校の指導者の癖?第2楽章と第4楽章みたいな盛り上がる音楽は、上手く弾けてたのでおしいなぁ。フルートのトップの人がひとり気を吐いていました。あとは、フルートとソロを取ったときのオーボエ、フルート、コントラファゴット、小クラリネットの人が上手かったです。井田さんは、安全運転で自分のやりたいことができていなかったように聞こえました。オーケストラの今できる最良の音を引き出すのに精一杯だったような。最後の方でテンポを上げたのが唯一の主張かな。残念ながらオーケストラの人たちがまだ、ショスタコーヴィチの音楽を理解していないように思えました。最後終わったとき、オーケストラの人の多くが、なんだかぼんやりとした表情をしていたのが残念です。この音楽から、演奏して、心を動かされたというのが見えなかった。充実感みたいのも見えなかったし、どうして演奏してたんだろう?わたしの方も、ベルトのバックルが変だなぁとか、ジャケットのボタンはするのしないの?とか、どうでもいいようなことを気にしながら聴いてしまっていたんですが。大好きなタコの唐揚げが薄味でタコのうま味が生きていなくてちょっとがっかりしたみたいな。

でも、若い人たちのオーケストラ。これからどんどん成長していって欲しいです(コンサートマスターの人もステージの仕切り方を勉強してね。拍手が終わっても退出しないのでオーケストラの人もお客さんもどうしていいのか分からず困っていましたよ)。まだまだ伸びしろあるのですから。ひとりひとりは上手いし、ポテンシャルは十分あると思うんです。しっかり練習して、歳(年)と共に成長していくことを期待してます。音楽の演奏でずっとつながっていけるなんて幸せでなんて羨ましいんでしょう。貴重な美しいときを大切に育てて下さいと、昔若かったわたしは思うのです。情熱、有り余ってるでしょ。

アンコールはグラズノフの「ライモンダ」から「キャラクターの踊り」。(ピアノとハープの人、出番がないからといってステージを降りることないと思うよ)もう一度、ビールをぷはー。って飲めないわたしは、エア・ビールだけどね。
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by zerbinetta | 2013-08-31 23:58 | アマチュア | Comments(0)

ハイ・インパクト・ファクター・メロディ   

とっても小さなニッチのマニアックな世界では、インパクト・ファクターというのを人々の価値を決める物差しのように一喜一憂したりする人間喜劇が演じられてるのだけど、その他大勢のごく普通の人にとって、全くどうでも良いというかその存在さえも知られていない、インパクト・ファクター、それは、ある人の仕事がどのくらい他の人の仕事の中に引用されたかによって数値化される基準なの。少しわかりやすい例で言えば、グーグル検索で表示される順番が(多分今はもう少し賢くなってると思うけど)、そのペイジ(サイト)が他のサイトからリンクされてる数の多い順に並んでいるのに似ているのかもね。それはそれで、一部のウェブ・サイトを作る人にとって一喜一憂の数字なんだけど。要するに、引用(リンク)されているのが多い方がより重要だってこと。事実を映していないくせに単純で明快な分かりやすい数字。

これをクラシック音楽のメロディで考えると、やっぱり、ハイ・インパクト・ファクター・メロディは、この間挙げた、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」ということになるのでしょうか。
でもそれだけじゃつまんないので、もっと探ってみましょう。

あんまり適当に引用すると、パクリとか、著作権は、とか怒られそうだけど、クラシック音楽には、編曲という形でメロディを使うとか、〜の主題による変奏曲とかって他人のメロディを大手を振って使うことができるのです(とは言え、最近のより厳密になった法律上はどうなるのか分からないけど。例えば、作曲家がサザンオールスターズの「愛しのエリー」による変奏曲とか黙って書いたら著作権法に違反するのかしら?昔の音楽であるクラシック音楽には、もちろんそんなめんどくさい法律の話はなかったわけで、ベートーヴェンがモーツァルトが書いた主題で勝手に音楽作ったり、むしろ、たくさん引用された方が、インパクト・ファクターが高くなるように、名誉のあることだったのかも)。

「怒りの日」(は、ミッキーマウス保護法が際限なく改正されたとしても著作権は切れてますね。600年も前の作品だし、作者も不詳だし)
と双璧のハイ・インパクト・ファクター・メロディは、パガニーニのカプリース、中でも第24番だと思います。パガニーニは天才ヴァイオリニストにして作曲家、音楽会が’現象’になるほどのアイドル。カプリースは独奏ヴァイオリンのための曲集です。
この前書いた、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」が引用したパガニーニのメロディは、このカプリース第24番だし、ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」(ピアノ)もそう。他の番号のも含むのでは、リストの「超絶技巧練習曲」や「大練習曲」(ピアノ)やシューマンの「練習曲」(ピアノ)が有名かな。このおふたりは実際にパガニーニの演奏を聴いて感化されたみたいだし、リストなんて、「ピアノのパガニーニになる」なんても言ってる。そう言えば、リストの有名な「ラ・カンパネラ」も、パガニーニのヴァイオリン協奏曲のメロディが元ネタですね。シマノフスキの「3つのカプリース」(ヴァイオリンとピアノ)は、有名じゃないけどとろけるようで大好き。一番好き♡
パガニーニと同じヴァイオリン独奏の超絶技巧曲は、クレーメルさんにその名も「ア・パガニーニ(パガニーニへ)」というCDにあるように、往年の名ヴァイオリニスト、ミルシュテインによる「パガニニアーナ」やシュニトケの「パガニーニへ」、ジョージ・ロックバーグの「カプリース変奏曲」。最後の「カプリース変奏曲」は、ベートーヴェンとかマーラーとかいろんなスタイルで書かれてるので面白いです。
もちろんこの他にも、ルトスワフスキー(ピアノとオーケストラ)やカッゼラ(オーケストラ)、ブゾーニ(ピアノ)等、枚挙に暇がありません。実はわたし、前に、パガニーニの旋律を引用している作品を集めようとしたことあるのよね。もちろん!すぐ挫折したけど。

ね、パガニーニってハイ・インパクト・ファクター・コンポーザーでしょ。
でも皮肉なことに、当のパガニーニは、人から真似されるのを嫌がって、楽譜を自分で管理して、リハーサルのときも直前に配って終わったらすぐ回収するとかしてたらしいです。こんな状況を天国で見ているパガニーニは苦々しく思ってるのでしょうか。作曲家が鬼籍に入るたびに、「おいブラームス。俺の曲を勝手に使っただろ」って怒ってるのかしらねぇ。
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by zerbinetta | 2013-08-29 23:13 | 随想 | Comments(0)

田舎に帰ってむちゃくちゃ小躍り 「田園」オーケストラ・セレーナ第4回演奏会   

2013年8月25日 @杉並公会堂

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

花崎薫(チェロ)
中田延亮/オーケストラ・セレーナ


昨日の傷心を少し引き摺りながら音楽会に行ってきました。30度を切るとかで涼しくなって、って30度で涼しいなんていったい?長袖にしようかとも思っちゃったよ、と身体はすっかり日本の夏仕様。

オーケストラ・セレーナはよく分からないんだけど、指揮者の中田延亮さんの元に集まったメンバーで結成されたオーケストラ。20代30代が中心?出身母体はあるのかな?プロフィールには詳しく書いてないので分かりません。夏に1回の音楽会を開いているようで、今回が4度目。新しめのオーケストラ。採り上げる曲はわりとオーソドックスなもの。という自信。

始まりの「フィンガルの洞窟(イギリスではヘブリディーズ諸島の方が通りが良いですね)」を聴いてびっくりしました。上手い。もちろん、ロンドン・シンフォニーとか、日本でも読響とか日フィルとか(ありゃりゃ、まだあまり聴いてないなぁ)もっともっと上手いオーケストラはたくさんあるよ。でも、音楽の風景作りがとっても良くできていて、行ったことないけど、スコットランドの海の洞窟の雰囲気がとても良く出てるように聞こえる音楽。じっくりと真摯に音楽に向かってる。
中田さんの指揮は、なんかカチカチしててロボットみたい。でもそこから柔らかい音楽が紡ぎ出されてくるのですね。

ドヴォルジャークのチェロ協奏曲も盤石。チェロの花崎さんは、わたし的にはもっと踏み外したところが欲しかったけど、安定した大船に乗ったような演奏で、音楽の中に無理なく浸れたと思います。浸りすぎて、ぼんやりうとうとしてしまいました。昼間の音楽会はだめねぇ。オーケストラもソロをしっかりサポート。オーケストラがソリストに対して敬愛の念を抱いているのがよく分かりました。
花崎さんのアンコールはバッハの無伴奏から第1番のプレリュード。紅茶色の適度な渋みのある演奏で、この曲はこういうふうに弾くの買ってお手本のようなステキな演奏でした。

休憩のあと、最後は「田園」。ベートーヴェンの交響曲の中では一番演奏するのが難しそう。でも大丈夫。ベルリン・フィルのあのとんでもない弱音の美しさにはかなわないけど、弦楽器は芯のある弱音で健闘してました。管楽器はちょっとよれってたところもあったけど(ソロを意識して固くなった?)プロでもこけることあるからね〜。全体像がいいのでそれほど疵にならず。
中田さんの演奏は、速めのテンポ。オーケストラも一所懸命に付いていって、第1楽章はちょっとせかせかするように聞こえることもあったけど、交響曲全体に喜びに満ちたテンポ設定は成功していたと思います。セレーナは穏やかな晴天という意味らしいのだけど、青々とした晴天のような田園。そしてその中でうきうきと喜びまくってる。大声で歌いながら走り回るみたいに。でも、それだけじゃない、第1楽章の第2主題での音量を抑えた表現は、すーっと風が吹くようにそこに開けた風景を呼び込んできたし、第2楽章の表情の付け方も見事。小川のせせらぎってずっとヴィオラが担当してるんですね。しかも漸次、音型を変えて。さすがベートーヴェン(って今頃気づくわたし)。最初の方でちょっと流れが淀んじゃったけど、だんだんとさらさら流れていきました。その上にのっかるヴァイオリンの歌にも喜びはじけていてるのも良かったです。
ここで、音合わせの間を取ったのは、最初から仕組まれてたことでしょうか。それとも、この楽章ちょっと浮き足立ってたようなところがあったので、わざと間を取ったのでしょうか。これは良かったですね。
わっしょいわっしょいと踊る第3楽章、ピッコロにもちょっとだけ凶暴さが欲しかった(完全にわたしの独りよがりの好み)第4楽章、嵐が去って晴れ晴れしさが戻ってきて嬉しくてたまらないフィナーレ。わたし説では(いつかちゃんと説明しますね)、カラオケになるところでメロディを喚起させる力がもう少し欲しかったけど、ものすごく心を動かされた「田園」でした。オーケストラの人たちもわたしと同じように心を打たれながら弾いているように見えました。途中から涙ぐんでたり。名演のひとつですね。

良い指揮者と良い関係の良いオーケストラとステキな名曲のヨロコビ。1年に1度しか音楽会がないのが残念だけど、来年の夏をぜひ楽しみにします!
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by zerbinetta | 2013-08-25 01:35 | アマチュア | Comments(0)

苦行 田代美恵子、ボグニア ベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会   

2013年8月24日 @ルーテル市ヶ谷センターホール

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第2番、3番、4番、5番

田代美恵子(ヴァイオリン)、スタニスラフ・ボグニア(ピアノ)


田代恵美子さんのベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会、チケットをいただいたので恐る恐る聴きに行きました。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全10曲は、おそろしくステキな曲たちだけど、この10曲を1日の音楽会で全部聴くというのは、演奏する方も聴く方も大変、というか行のようなものじゃないのか、むしろ苦行のようなものじゃないかと思うんです。音楽会のテーマは、全曲を順番に演奏することで見えてくるものもある、ということだけど、何日かに分けた(時間的には3回)方がいいような気がするし、1番から順番に聴いていって何かを得るというのは、音楽会で、というより自分のペースでCDで聴いた方がいいような気もするんですね。最後まで、集中力持つかしら、なんて心配だし。そう言えば、大晦日にベートーヴェンの交響曲全曲演奏音楽会があるみたいだし、日本人ってこういうの好きなのかしら。あっちなみに、バッハの無伴奏なら、1日の音楽会(2回)で聴いたことあります。これもヴァイオリニストにとっては、精神的、肉体的なチャレンジ。

と言いつつ、今日はもうひとつの音楽会からのはしごだったので、最初の第1番は聴きそびれてしまいました。わたしの参加は第2番から。
ヴァイオリンは、田代さんという初老の方。プロフィールによると、音楽の喜ぶと尊さを分かち合うことをライフワークとし、ソロ、室内楽の分野で幅広く活躍、とのこと。ベートーヴェンの他にバッハの無伴奏とか、ヴィヴァルディの「調和の霊感」とかブラームスのソナタとかの全曲演奏もやってるみたい。全曲フェチ?
でも、プロフィールからちょっと不安だったのよね。音楽の喜ぶと尊さを分かち合うことをライフワークってなんか違う。。。

その予感は残念ながら的中。正直言って技術的にベートーヴェンのソナタを入場料を取って人前で弾くプロのレヴェルに達してない。致命的なのは右手(弓)の不安定さ。弱音で弦の振動に跳ね返されて変なヴィブラートというかトレモロ状になったり、フレージングがいい加減だったり、音が汚かったり。確かに楽譜の音は弾いてはいるんだけど、とてもいい加減で、アーティキュレイションも行き当たりばったりな感じだし、リズムも甘いし(シンコペイションがあぁぁ)、不用意なポルタメントみたいなのがかかったり、ちょっと困った。全曲演奏会を開くよりも、数曲に集中してまずは演奏をちゃんとすることをしなくちゃいけないんじゃないかなぁ。お客さんに失礼だもの。技術を超える何かがあれば良いのかも知れないけど、でも、まずは書かれた音楽をきちんと演奏できなければ何かも何もないでしょう。その人の物語を売るのなら別ですけど。
ピアノのボグニアさんは普通に上手いと思ったけど、こんな音楽会なので何とも評価できません。どんな思いでピアノを弾いてらしたのか聞いてみたいようなみたくないような(田代さんとはよく一緒に演奏しています)。

前のベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会は「信じ難い大事業」「心の奥までの感動」(音楽旬報他)と称賛されているらしいけど、ほんと?ちゃんと聴いたのかしら?それとも昔は凄かった??

全10曲聴くまでもなく、もちろん何も見えてくるものはなく、これも何かの修行なのかと思うこともなく、第5番を聴き終えた長めの休憩を待たずに会場をあとにしました。(チケットは頂き物なのが幸いです)
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by zerbinetta | 2013-08-24 23:51 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

次回に期待 ちば室内管弦楽団第33回演奏会   

2013年8月24日 @習志野文化ホール

グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番

小川万里江(ピアノ)
高橋利幸/ちば室内管弦楽団


夏だけどクーラーはかけて寝ていません。じっとり汗だくになりながら布団の上に転がってます。なのでちょっと寝不足気味。それに昼間お日さまに当たると頭がぽかんと暖かくなってぼんやり。と、ぼけーっと聴いてしまった音楽会の言い訳。

ちば室内管弦楽団はアマチュアの団体です。でも、若いソリストを支援したり(ソリスト公募で協奏曲を演ったり)、普通のアマチュアとはちょっと違った使命の意識を持っている団体のようです。正直始めプロかと思っちゃった。だから、聴くのは初めてだけど、上手なのかなと期待したり(入場券高いし)、でもそれほど強い母体を持っているふうではないので大丈夫かなぁと思ったり。

音合わせを聴いて、あっこのオーケストラ以外と上手いっと思いました。最初の「ルスランとリュドミラ」でも上手いと思ったんだけど何かヘン。なんだろう?弦楽器は上手い(チェロなんてふくよかでいい音で弾いてましたよ)んだけど管楽器が弱いのかなぁ。でも個人個人はいい音出してるし。ちょっとバランスというかまとまりがない感じ。おしいなあ。

2曲目はピアノに小川さんを迎えてベートーヴェンの第4番の協奏曲。小川さんのピアノはアクというか凄みはないけど、お顔立ちのように端正な感じの上品な演奏。若い人らしい手垢の付かない初心(うぶ)な演奏だけど、もう少し主張してぐいぐいと自分を出してもいいんじゃないかな、って思いました。もともと冒険をしない控え目な性格なのかもしれないけど。第2楽章のわたし的にはオーケストラとピアノの哲学的な対話もしくは男女の対話もするりと流れるように演奏されました。もっと音楽の奥深くを見せてくれたらと思いました。

指揮者の高橋さんはなんだか先生みたい。指揮者とオーケストラの関係が先生と生徒のように感じられました。
プログラムの後半はチャイコフスキーの交響曲第5番(プログラムにはブラームスの交響曲第5番!と書いてあってびっくり)でしたが、もうひとつ音楽会があったので、わたしは後ろ髪を引かれつつおいとま。このオーケストラは次回、じっくりと聴きましょう。
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by zerbinetta | 2013-08-24 00:49 | アマチュア | Comments(0)

キュートなおでこにキュン♡ 青木涼子 NohxContemporary Music   

2013年8月22日 @高輪区民センター・区民ホール

湯浅讓二:舞働 II
フェデリコ・ガルデッラ:voice of wind
馬場法子:共命之鳥
ヴァレリオ・サニカンドロ:trois chants non
小出雅子:恋の回旋曲

青木涼子(能謡、能舞)
斉藤和志(フルート)、倉田瑞樹(打楽器)


能のことが、部活のセンパイを心の奥で片想いする中学生のように、憧れです。能はお能と柔らかく言うより、能とキッパリ言い切る方が、凜としていてわたしの感覚に近い。気高くてかっこよくてドキドキと憧れる。能面を付けた幽玄の彼の世の男に身を任せて、彼岸の世界に連れて行かれたい、なんて妄想が膨らむ。能のことちっとも知らないんですけどね。
能を聴いていたのは、10代から20代に日曜日の朝に目覚まし代わりにタイマーを仕掛けておいたラジオから聞こえてくる「能楽鑑賞」。もちろん、ぼんやりと布団の中で聞き流していただけ。
それでも強く惹かれるのです。

能をほぼ初めて観たのが恥ずかしい話、去年ロンドンで。ブリテンのオペラ「カーリュー・リヴァー」の原作、「隅田川」を教会でオペラと一緒に。せっかく日本にいるのだから、能を観たい。でも、ちょっぴり(?)ねじくれてるわたしは、伝統的な能でなくて、得意分野(?)の西洋芸術音楽との接点に目が行ってしまう。去年観た中嶋彰子さんのプロジェクト、夢幻能「月に憑かれたピエロ」がうんと良かったので、青木涼子さんの企画を何かの折に見つけたとき、街でばったり憧れのセンパイに会ったときのようにドキドキして嬉しくなってすぐチケット取ったのでした。と同時に、3月にも公演があったのを知らずに見逃してしまったのをオニヤンマを見逃してしまった少年のように悔やんだのです。

もちろん能のことをちっとも知らないわたしは、青木さんが何者かは全く知りません。チラシを見ると若いステキな女性。能楽者というと観世なんとかさんとか金春なんとかさんとかのおじいさんを想像しちゃうんだけど、能って女性もできるんですね!

能と現代音楽の共演というと、能ではない音楽の人(聴くだけだけど)のわたしが思い浮かべるのは、現代の音楽に合わせて(西洋音楽の語法で書かれた音楽に)能舞を創作するということをまず考えるのだけど(「月に憑かれたピエロ」がまさにそうでした)、青木さんの目指す方向は、新しい能謡を創作するということ。能謡を毎週聴いていたくせに(ってか、布団でまどろんでただけ)能謡をちっとも知らないわたしには、もはやちんぷんかんぷん。最初に結論書くけど、今日はとっても興味深いステキな公演だったし、演奏された作品はどれも違った素晴らしさがあったのだけど、わたしの中に、能謡を知らないという、基準点欠如の深刻な問題があったので、どこがどう新しいのかよく分からなかったのデス。裏を返せば、能と現代音楽ってあまりにもぴったり合いすぎ。分け難すぎ。というわけで、わたしのわがままは、ひとつだけ古典的な能謡があれば良かったと思いました。そうすれば、能謡を知らない人でも斬新さがもっと感じられると思ったんです。

最初の湯浅さんの曲は、アルト・フルートのソロと舞。この作品だけ、少し毛色が変わっていました。これだけ、能と現代音楽のコラボレイションの初期の(そしてその伝統はいったん途絶えるそうですが)作品なんですね。フルートのパートは完全に日本の音楽を模していると感じたんだけど、もともと能管のために書かれた作品(フルートでの演奏もOK)だったので納得です。それにしても能の舞ってステキ。感情表現を切り詰めるだけ切り詰めて、それでいて伝わってくる気持ちのエネルギーはすごくある。バレエとは全く異なる踊りだけど、どちらも愛せる、わたし。

2曲目から、青木さんの3年間のプロジェクトで作られた作品たち。2つが外国の作曲家の作品(どちらもイタリア人)、2つが日本人(どちらも女性)。大ざっぱに感じたのは、外国人の作品が(日本の)能に向かって行くのに対して、日本人の作品は能に背を向けて遠ざかっていこうという方向性が感じられました。いくら最近の日本人が日本の古典芸能を知らないとはいえ(ということを作曲者の小出さんもおっしゃっていました)、(日本語の)言葉とか深く染みついているものがあると思うのです。だから新作を作るということは必然的にまずは、離れていこうという方を向くのではないかしらと思いました。外国人は能の方を向かないと書けないというのもさもありなんです。それと、偶然、外国人の作品の伴奏がフルート、日本人のが打楽器というのも面白かったです。日本人の曲がミュジック・コンクレートの手法をより強く使っていたのも興味深い点でした(全部で4曲しか聴いてないので偶然かも知れませんけど)。

ガルデッラさんの作品は、そのまま普通の能の音楽と言っても違和感ないくらいはまっていました。バス・フルートの特殊奏法はあるけど、あらぬ方に飛んで行っちゃってる感じではなかったです。

馬場さんは、彼女がパリに留学している頃、ウェブ・サイト(ウェブ日記(まだブログがなかった時代))にコメント書いたことがあるような。ステキなサイトだったように覚えています。そんなこんなで一方的に懐かしい。謡を挟んで左右に分かれた打楽器群がホースとかペットボトルとかいろんな(打)楽器を奏するのですが、郭公とか鳥の声を模すんですね。謡は、ささやきとか無音とか扇を使ったり、今日演奏された中で一番とんがった謡の作品でした。謡の新しい表現力を感じさせてくれました。

休憩を挟んで、サニカンドロさんの曲。2011年に日本初演されるハズだったけど、震災で延期になって今日が日本初演です(初演はすでになされているようです)。作曲中のオペラの一部となるそうで、完成度の高いまとまりのある作品でした。ものすごく能の音楽を勉強して自分のものとしている感じでした。

最後は、小出さんの新作(初演)。山手線の駅名を詞に織り込んだ、丸の内OLの恋の物語。コミカルな詞、電車や駅を音にした打楽器の扱いが、わりとオーソドックスな能謡の声と不思議な融合具合で、歌のリズムが現代的で面白かったです。

今日の中では、サニカンドロさんの曲が一番印象に残りました。面白かったのは馬場さんの。でも、いろんな可能性を聴けてとても面白かったです。能の世界が分からないので、これらの音楽が、どんな風に発展していくのか予想もつかないのだけど、新しいものがたくさん生まれてそれが新しい伝統を作っていくといいな。伝統を守るって、同じことを繰り返し繰り返し倦まずやることとは違うから。時を経て同じことなんてないんだから。

こういうの、また観たいです。能謡もいつか音楽会で聴かれるようになるのかな。青木さんのこれからの活躍にも注目です。きれいなおでこにキュンとしてるわたしです。おでこの広さで勝手に親近感をいだいてたりして
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by zerbinetta | 2013-08-22 00:19 | 舞台 | Comments(0)

怒りの日とラフマニノフ   

この間、ラフマニノフを聴いたのでなぜかラフマニノフづいています、単純なわたし。
ラフマニノフって甘美なメロディが耳に残る甘いお菓子のような作曲家と目されているところがあるけど、わたし的にはかっこいい曲を書く作曲家。交響曲第3番とかチェロ・ソナタとか一瞬めちゃくちゃかっこいい。そしてそれはかっこいいとしか形容できないようなかっこよさ。そういう音楽を書いた作曲家って意外と少ないのよね。もちろんわたしの勝手な感じなんだけど。

そして、ラフマニノフと言えば、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律。レクイエムで「怒りの日」と言えば、大盛り上がりに盛り上がる(?)曲だけど(モーツァルトとかヴェルディとか)、グレゴリオ聖歌の方は、単旋聖歌だし、静謐な感じだけど、夜に聴いたら何かが出てきそうなおどろおどろしい感じ。
この有名なメロディは、ベルリオーズの「幻想交響曲」で原型に近い形(しかも裸)で引用されてるのが有名だけど、他にも、リストやサンサーンスの「死の舞踏」、チャイコフスキーの「マンフレッド」交響曲の最後にもわんと浮き上がってくるカタルシス、マーラーの交響曲第2番、「嘆きの歌」もかな?、ミャスコフスキーの交響曲第6番。いきなりバッハかと思うイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタの第2番。秘やかに目立たないところでは、ムソルグスキーの「禿げ山の一夜」とか「死の歌と踊り」、オネゲルの交響曲第3番「典礼風」。探せばきっともっといっぱいある。

「怒りの日」の出てくるラフマニノフの曲は、まず(きっと1番有名なのは)、パガニーニの主題による変奏曲。この間聴いた「交響的舞踏」。ラフマニノフの「怒りの日」好きは若い頃からで、交響曲第1番にもしっかり引用されてますね。それから、交響曲第2番と3番にも。そして「死の島」「鐘」。ピアノ曲はわたしはあまり知らないけど、作品39の「音の絵」。
これだけの頻度でこの旋律を引用している作曲家って他にはいないでしょう。よっぽどお気に入りなんでしょうね。それとも取り憑かれた?
最後の審判なんてわたしやだよ〜。わざわざ起こさないで、お墓の中で安寧の眠りをむさぼらせて欲しいよ。復活するより寝てる方がいいもん。
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by zerbinetta | 2013-08-21 23:08 | 随想 | Comments(0)

ツクツクボウシ?もしくは季節外れのクリスマス お茶の水OBオーケストラ第35回演奏会   

2013年8月18日 @文京シビックホール

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より序曲、第2幕全曲

中尾純(ピアノ)
今井治人/お茶の水OBオーケストラ

不思議なプログラムの音楽会です。前半がブラームスのピアノ協奏曲の第1番、後半がチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の第2幕なんです。どうしてこんな組み合わせになったのでしょう?正座して問いただしたい。なんてね、好きな組み合わせでいいんです。でも、ブラームスの協奏曲は重いのでメインになってもいい曲。メイン・ディッシュが2つある音楽会。あっ!フルコースだ。
でも、もひとつ言わせてもらえば、何と言う季節感。「くるみ割り人形」はクリスマス・イヴの日の物語だから、クリスマスの定番。そして、ブラームスは、秋を感じさせる音楽。この夏の盛りに。ちょうど数日前に、ツクツクボウシを聞いたから、秋が忍び寄ってるのかな。ブラームスも秋の気配を運んでくれるでしょう。

お茶の水OBオーケストラは、お茶の水オーケストラのOBによって結成された団体、って名前のままじゃん。お茶の水オーケストラは、お茶の水女子大学と東京医科歯科大学の学生によるオーケストラですね。OBのオーケストラは見たところ20代30代中心。ところどころお年のひとが混じっているのは、賛助出演と書いてある、もしかして大学の先生方?大学オーケストラ母体の社会人オーケストラでも、母体となった大学を離れて広くメンバーを受け入れる団体もあるので、こちらは、大学の絆が深いのですね。

ブラームスって演奏するのとても難しいと思うんですよ。アマチュア・オーケストラが採り上げるのは挑戦でもあると思うんです。ピアノ協奏曲といえどもオーケストラは交響曲のように書かれているので、どうなるのかドキドキ。
ピアノは中尾さん。若いプロの方です。スクリャービン関係で賞を取ってらっしゃるので、スクリャービンがお得意なのかしら。指揮者の今井さんと一緒に出てこられたとき、どちらも真ん中分けで燕尾服なので、兄弟だと言われても信じちゃったでしょう。似てないと言われたら、ううんと思うけど、なんか同じニオイを感じました。

ティンパニがバーンと出て、始まった感想は、オーケストラ自体に音量はないけど(だからティンパニが際立った)、まとまりはあって上手いなぁと。特に木管楽器がきれいでした。ただ、これは指揮者のせいかも知れないけど、リズムが悪いところがあったり(リズム感がないということではなくて、フレーズの終わりの短い音符たちをもう少し溜めるべきとこを不用意につるりと弾いちゃったり)、フレーズをまだ十分に歌い切れていない、息は関係ない弦楽器だけど、息切れして聞こえるところがありました。ピアノのフォルテを受け止め切れていないところもあって、もう少し音量が欲しいなって思いました。
ピアノの中尾さんは上手かったです。ミスタッチもなく技術的に危ういところも全くありませんでした。きらりと硬質で明るい音でなんだか、シューマンを弾いているような感じに聞こえました。ブラームスの重さ、つや消し感がない代わりに、爽やかな秋風のような音楽。もったいをつけない速めのテンポもいい感じ。クリアで、右手の内声の聞かせ方に特徴があったかな。
アマチュアのオーケストラでここまで聴けるとは思っていなかったので嬉しいびっくりです。
ピアノのアンコールは、同じブラームスの間奏曲。静かな美しい曲でした。水の面に映る木漏れ日みたい。でも、水の奥に沈む内省的な音の方がわたしの好みかな。

「くるみ割り人形」は、もうバレエが大好きなので、バレエのシーンを思い浮かべながら聴いていました。序曲を除く第1幕がないのでクララはほとんど出てこないけど、お菓子の国のたのしい歓迎会。このオーケストラとてもまとまりが良くて、とっても楽しめました。ロイヤル・バレエでたくさん観たけど、バレエのときのオペラ・ハウスのオーケストラは(これがオペラと同じオーケストラ?と信じられないほど)やる気のない下手くそなことが多くて、いつも怒っていたので、彼らにアマチュア・オーケストラの爪の垢を煎じて無理やり飲ませたいって思ったほどでした。チェロとか弦楽器にもっと出てきて欲しいと思うようなところはあったけど(コントラバスは大きな音でした)、小さいながらも良くまとまっていたので聴いていて気持ちが良かったです。

それにしても暑い日。くるみ割り人形と言うよりスイカ割り人形がふさわしいと思った午後の音楽会でした。スイカ食べたい。
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by zerbinetta | 2013-08-18 22:29 | アマチュア | Comments(0)

だよってなんだよ オーケストラ・ダヴァーイ第7回演奏会   

2013年8月11日 @みなとみらいホール

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
カリンニコフ:交響曲第1番
ラフマニノフ:交響的舞曲

森口真司/オーケストラ・ダヴァーイ


オーケストラ・ダヴァーイはロシア音楽専門のアマチュア・オーケストラのひとつです。この間、もうひとつのロシア専門オーケストラ、アウローラ管弦楽団の音楽会を聴いて、専門性のあるアマチュア・オーケストラってステキ!ってトキメいたので、喜び勇んで聴きに行ったのです。チケットもプログラムもタイトルはロシア語併記だし、ロシア大使館の後援だし、ロシアっぷり満載。アウローラ管弦楽団のときは、プログラムの解説からもう、俺たちロシア好きっていう勢いがあったので、今日も期待してプログラムを読み始めたら普通だったので、ちょっとがっかりしたら、「その傍の作曲だよ」って。だよってなんだよ。そこからは坂を転げるように、「会ったことはアーリマセン」とか「センターは総選挙で決めるわよ!」とかおよそ曲目解説とはほど遠い言葉が並ぶ、粋な曲目解説。ロシア愛への本気を見た。ちなみに、このオーケストラのウェブ・サイトはロシア音楽愛に充ち満ちています。
オーケストラのメンバーは、20代くらいから30代を中心にして50代、60代(?)くらいまでいらっしゃる感じ。さすが、老舗的ロシアン・オーケストラ。年齢層が広いのは、地域オーケストラじゃない場合、上手に長く続いている様子がして期待持てる。そして、コントラバスに日本では珍しい、フランス式で弓を持ってる人がいてにこり。

実は指揮者の森口さんには深く謝らなければならないの。わたしにとって森口というと、iPS芸人の森口さんがまず最初に頭に浮かんだまま、脳みそを占拠しちゃうので、勝手にとっても印象が悪いんです(ごめんなさい、全国の森口さん)。そして、ステージに出てきた彼は、小柄な、普通のおじさん。見た目からは音楽家オーラはちっとも感じないし。。。大丈夫かしら、なんて失礼なこと思った。人は名前や見た目で判断したらダメよね。当たり前だけど。

最初の「だったん人の踊り」は、指揮者とオーケストラの実力と特徴をひと耳で示してくれました。まず、音量が素晴らしい。上手いオーケストラって音量があるのよね。アマチュアの苦手な弱音もそりゃプロにはかなわないけどまずまず。そして、オーケストラとしてのバランスというかしっかりとしたオーケストラとしてのバランスのとれた音を持っていることがいい。熟成したオーケストラって感じがするの。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを固定してるのも好印象。先日のアウローラが、若いフレッシュな勢いと荒さのある演奏だったのに対して、ダヴァーイは、成熟した潤いのある演奏。前者がムソルグスキーやボロディンとすると(えっ!)、後者はチャイコフスキーやリムスキー=コルサコフという感じ。各個人のレヴェルがものすごく高いというわけではないのだけど、まとまりがあるからとても音楽的に聞こえるの。(バス)トロンボーンと打楽器、イングリッシュ・ホルンはとても上手かったけどね。コンサートマスターの女の人のソロも上手かったです(あっこれは後の曲)。奇しくも、ほぼ同じ曲となった「だったん人の踊り」は、今日のダヴァーイの方が上手かったけど、わたし的にはより好きなものに踏み込んだアウローラの方が好みかな。完全に好みの問題。

2曲目はカリンニコフの交響曲第1番。10年くらい前に、ブームになった曲。「いまや道ゆく人の8割は心の中であの甘美なメロディーを唄っているであろうこの曲」を聴くのはわたしは初めて。わたしも流行に後れを取るまじとカリンニコフ管弦楽曲集のCDを買ったんだけど、間抜けなことに交響曲第2番は入ってるけど、この第1番が抜けているという抜け作。第2番の方はそれほど惹かれるものはなく。。。
確かに、交響曲第1番は甘い旋律に満ちていました。ひねりがなくストレイトにメロディを出しちゃうのは若さの特権ですね。真っ直ぐで素直。演奏は、そんな音楽の魅力をきちんと伝えてくれるものでした。甘さに溺れることなく、べたべたしないのは上品なマシュマロみたい。オーケストラの音がプロのオーケストラのようにグラマラスじゃないのも良い方に作用していたと思います。もちろん指揮者が能くコントロールしていたからというのが一番大きいんですけど。

休憩のあとに、ラフマニノフの交響的舞曲。これがとっても良かった。リズムがばしばしと切れていて、重くならないし、ねっとりとするところは糸を引くようにねっとりとしてメリハリがしっかり付いて。このリズムの切れは、昔、アラン・ギルバートさんがナショナル・シンフォニーを指揮して演奏したこの曲を思い出させてくれました。あのときの演奏もばしばしとリズムが切れていたんです。それから何回かこの曲を聴いているのに、思い出したのはその演奏だったのが面白い。
それに加えて、森口さんの演奏は、特に第2曲のワルツに顕著だったんだけど、糸を引くような微妙なテンポの動き。とってもセクシィ。後半は正直、分かりづらい音楽なんだけれども、さばさばとリズムで音楽を作っていたので楽しめました。怒りの日をもっと前面に出しても良かったかも(直接的には聞こえないようになってるけど)。最後は弓を上げたまま、音楽(銅鑼)の消えるのを待たなくても普通にすれば良かったかもなんて思いました。本当に素晴らしい演奏でした。「ロシア音楽の迷宮」に迷い込まずとても整理されて理路整然とした、でも熱い演奏でした。

アンコールには、「くるみ割り人形」からパ・ド・ドゥのアダージョ。そしてもう1曲、「白鳥の湖」から「スパニッシュ・ダンス」。この2曲もとっても良かった、というか、バレエのシーンを思い出しちゃって泣きそうになったよ。というか、「スパニッシュ・ダンス」では、ギャリーさんのロットバルトが目に浮かびすぎ。

このオーケストラはとってもいい。音楽会は年に1度ずつだそうで、来年の夏までお預け。来年は7年目の記念として、森口さんが曲を選ぶということで、どんな曲が選ばれるのかいまから楽しみ。わたし的には、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」全曲か、チャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」、ムソルグスキーの「禿げ山の一夜」(オリジナル)、シェチェドリンの「カルメン」のプログラムがいいなぁ。あっスクリャービンの交響曲第3番もいい。
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by zerbinetta | 2013-08-11 00:51 | アマチュア | Comments(1)

種をまき花を咲かせる アバドさんと若いオーケストラ   

アバドさんは大好きな音楽家のひとりです。生で聴いたことは少ないけど、ほんとにステキな神がかった魔法のような音楽をするひとりです。ミューズの神さまに選ばれたひとりですね。

アバドさんは、スカラ座やロンドン・シンフォニー、ウィーン国立オペラ、ベルリン・フィルの音楽監督を歴任したり、指揮者としてエリート街道を歩いてこられた方だけど、ベルリン・フィルを勇退したあとは、ルツェルン音楽祭の祝祭管弦楽団の監督になってオーケストラを改組して、彼を慕う仲間たちと新しいスーパー・オーケストラを作ったり、絶好調の悠々自適。今一番、音楽が充実してるんじゃないかしら。

アバドさんの足跡として、でも、一番目覚ましいとわたしが思うのは、若いオーケストラとの共同作業。EC(いまはEU)ユース・オーケストラの設立当時から関わっていたし、その発展型としてヨーロッパ室内管弦楽団を作ったり、さらには、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラを作ったり、その発展系としてマーラー室内オーケストラを作ったり、最近ではオーケストラ・モーツァルトを作ったり。自分で作ったオーケストラではなくても、シモン・ボリバル・オーケストラとも積極的に共演してますね。これだけ、若いオーケストラを作った指揮者は他にはいないんじゃないかしら。
そしてアバドさんの凄いところは、作ったオーケストラのどれもが一流のオーケストラに育っていること。ヨーロッパ室内管しかりマーラー室内管しかり、オーケストラ・モーツァルトもすでに上手い。もちろん、アバドさんをしたって若い優秀な音楽家が集まってくるということもあると思うんだけど、団員をどうやって選考してるのか(多分若い人たちだから今の実力だけじゃなくてポテンシャルもしっかり見ているような)、どんなトレーニングをしているのか、どんなリハーサルをしてるのか、きっと素晴らしい方法論を持っているんじゃないかと、そのヒミツに興味がはち切れます。

アバドさんが最も最近作ったのはボローニャのオーケストラ・モーツァルト。ボローニャは、北イタリアの要の都市。食いしん坊のわたし的には、パスタのボロネーゼ(いわゆるミートソース)やボローニャ・ソーセージの方がぴんとくるんだけど、この辺、エミリア・ロマーニャは美食の地域。チーズにワイン、バルサミコ酢など、よだれが出ちゃう。じゃなかった。ボローニャって歴史ある都市だけれども人口は40万人弱。そんな小さな、日本で言ったら仙台とか札幌とか松山とかそんな感じ(?)、町に世界に名だたる若いオーケストラが作れちゃうのよ。アバドさんのマジックも凄いというか、うらやましすぎて、日本でもそんなのできないものかと思っちゃう。日本でやるとしたら、世界に名の通ってるカリスマ的な指揮者って小澤さんしかいないのかなぁ。それか、この間のPMFから常設のオーケストラができないかしら。いつも世界に羽ばたけ日本の音楽家って言ってるけど、同時に日本ではばたけ世界の音楽家って叫びたい。そんな魅力的な音楽の国になれないかしら。
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by zerbinetta | 2013-08-03 21:43 | 随想 | Comments(0)