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シャツ、オーダーメイド? ブロカートフィルハーモニー管弦楽団第32回定期演奏会   

2014年3月30日 @すみだトリフォニーホール

シューマン:「マンフレッド」序曲
アッペルモント:トロンボーンのための「カラーズ」
ブラームス:交響曲第1番

吉川武典(トロンボーン)
桑田歩/ブロカートフィルハーモニー管弦楽団


トロンボーンのための協奏曲(のオーケストラ版)が初演されるというので嬉々として行ってきました。初演好き。
ブロカートは錦っていう意味だそうです。東京電機大学のOBのオーケストラとしてできたオーケストラです(今は電機大学以外の参加もありそうです)。ステージに乗ってる人たちは、電気関係の人たちなんだなぁと思うとちょっとびびるわたし。子供の頃、コンセントで遊んでて感電して以来、電気苦手w

オーケストラは、お年を召した方もいるけど若い20代中心っていう感じかな。アマチュア・オーケストラには(というよりプロを含めてオーケストラには)珍しい、ヴァイオリンを指揮者の左右に振り分ける対向配置でした。
このオーケストラは、ずうっと今日トロンボーンのソロを吹くN響の吉川さんが指揮をして指導してきたということだけど、今日はソリストになる彼の代わりに桑田さんが指揮でした。桑田さんは弦楽器畑の人(N響のチェロ奏者です)。なので、弦楽器がいい音出すかな〜と思ったんですけど。

始まりの「マンフレッド」序曲は、ううむ、弦楽器の人、わりとちゃんと弾いてると思うのだけど(フレーズの終わりが速い音符で小さな音のところに難あり)、何か音が違う。音が出ていないように聞こえて、響きがないんですかね。弦を擦った音で楽器の音ではない感じ。なのに不思議なことに、この曲、聴いたことがあるのかないのかさえ分からない曲なんですけど、とても良い曲だと思えたのです。演奏は、曲の魅力をちゃんと伝えてる。どういう訳か、不思議な手品みたいなんだけど、桑田さんは、音楽のステキなところをすごく上手に聴き手に分かるように演奏できるのですね。作曲者と演奏者と聴き手に共感の輪が作られるように。

2曲目の「カラーズ」は、もともと吹奏楽とトロンボーンのソロのために書かれた曲。今日はそのオーケストラ版の初演です。とても聴きやすい、分かりやすい音楽。吹奏楽って、教育音楽の側面が強くて(日本でも中学高校の吹奏楽は盛んだけど(オーケストラ部はあまりない)、プロや社会人のアマチュアの吹奏楽団ってオーケストラに比べて圧倒的に少ないでしょ)、そんなこともあって若い(年齢的にだけでなく、音楽歴の浅いという意味でも)人に受け入れられやすい音楽が多く書かれる傾向にあるけれども、この曲も高校生が演奏したくなるような音楽。でもそれがいいんですよ。トロンボーンのソロ奏者を用意できなくて地団駄を踏んでる吹奏楽部員も多いことでしょう。かっこいい!弦楽器が入ってるのに吹奏楽っぽい音作りの感じもして、わたしは素直に気に入りました。大好き!
トロンボーンの吉川さんは、黒のシャツの、袖口や襟、ボタンのラインに緑や赤、青、黄色の色がヴィヴィッドに入ったのを着てオーダーメイドかな。と思ったら、これ、曲にまつわる色なんですね。それぞれの楽章にそれぞれの色のタイトルが付いていて。実はトロンボーン協奏曲というのは知っていたけど、曲のタイトルはあとで知ったので、シャツお洒落〜としか思ってなかったうっかり者です。トロンボーンのソロのパートは難しいのだろうけど、伝統的なトロンボーンの奏法を生かした、歌うパートで、吹いててきっと気持ちがいいだろうなって思えました。吉川さんは、ウルトラ・スーパー・テクニシャンではないけれども(今まで何人かの超絶スーパートロンボーン吹きを聴いてきたので点数が辛い)、この曲をよく知っててよく歌って吹いていました。良い演奏でしたよ。素直に感動。初演に釣られて聴きに来て良かった〜。ステキな音楽に出会えたのですから。吹奏楽のオリジナルの方も聴いてみなくっちゃね。

休憩のあとのブラームスの交響曲。最初の「マンフレッド」での弦楽器の印象からかぶりつきで聴くより少し後ろに下がった方がと思ったので、席を移動して聴きました。ところがどっこい、心配していた弦楽器の響きが良くなった感じがしてブラームスの音楽が生き生きと聞こえてくる。ブラームスのこの音楽、名曲だし、いろんなステキな演奏を聴いてきたけれども、改めていい曲だなって思えたところがすごい。最初のシューマンを聴いて、桑田さんは、決して変わったことをしたり(ドキリとするようなときめく部分はブラームスには何カ所かありました)、自己主張の激しい演奏じゃないけれども、オーケストラもめちゃくちゃ上手なアマチュアのオーケストラもある中でトップクラスとは言えないけれど、音楽を本当に良い曲だと思わせてくれる演奏は、不思議だし、素晴らしいのです。ティンパニが攻めてくるのもわたし好みw

アンコールは、ブラームスの「ハンガリアン舞曲」からで締めました。このコンビの演奏は、今日だけなのかしら。吉川さんが指揮する演奏も聴いてみたいけど、桑田さんとの関係もずっと続けていって欲しいな。
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by zerbinetta | 2014-03-30 11:18 | アマチュア | Comments(0)

どういう立ち位置で聴けばいいのだろう? 第2回東京かつしか作曲コンクール   

2014年3月29日 @かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール

リハーサルとかコンクールとか好きなので(とはいえ、コンクールを聴きに行ったのはまだ2回(中高生の音楽コンクールや吹奏楽のは除く))、かつしか作曲コンクールでチケットプレゼントがあるのを知って、なにも分からないまま応募したら当たってしまいました。それにしても、かつしか作曲コンクール、名前からして地域色タップリな感じですね(東京が頭についてるのはあとで知った)。でも実際は、首都圏中心だけど全国から参加されていて、今日も北は北海道から南は宮崎県までの方が参加していました。

ぽかぽか陽気の中、遅刻をしつつ、午前の部、ピアノ・コンクールの会場に着くと、小学生がピアノを弾いていて、なにやらピアノ教室の発表会みたいな感じ(小学生が参加している課題曲は、ブクグミュラーの練習曲とクレメンティのソナチネアルバムの2つのクラス)。ピアノ教室で一番上手い人がコンクールに参加してるって雰囲気。もう少し上のクラス(課題曲がベートーヴェンかハイドンのソナタ)や一番上のクラス(課題曲がショパンの練習曲)も近所で一番上手い人が弾いてるという感じで、トップ・レヴェルの演奏家を発掘するコンクールではないのですね。会場にいるわたしも聴衆賞を決める審査に参加できるんだけど、技術なのか、音楽性なのか、将来性なのか(一番上のクラスは年齢がばらけているようなので評価が難しいんだけど)、何を基準にしていいのか分からなかったので、審査には参加しませんでした。あとで知ったのですけど、コンクールの主眼は、テクニックよりも表現力を重視しているそうです。コンクールと行ってもプロへの登竜門というよりも音楽文化を豊かに育てるのが目的のようですね。
結果は、ひとりひとりに審査員の丁寧な講評のあとで発表されたんだけど、わたしがこの人がいいなと思った人が順当に選ばれていました。
去年のコンクールで最高位を取った浅岡美穂里さんの演奏もありました。カプスーチンの24の前奏曲から2つ演奏されましたが、ポピュラー音楽のイディオムも採り入れた聴きやすいクラシック作品という感じで、浅岡さんの得意分野なのかしら、表現の巧さがはっきりと分かりました。

お昼は、ラーメンを食べて(外食というとラーメンばかり食べてる気が、、、)、午後の部は(ピアノ部門の講評のあと)、作曲コンクール。ピアノの独奏曲です。ジュニアの部は、どの曲も好きな作曲家の音楽をまねて作りましたみたいな音楽でした。でも、ここから始まるんですね。午前中、ピアノ部門にも参加していた小学校4年生の女の子の作品が、子供らしいけれども良かったかな。
シニアの部(高校生以上)は、さすがにオリジナリティが感じられましたが、特出する作品はなかった感じかな。作曲コンクールの参加作品は全部聴いたので、一応わたしも審査に参加して、でも、本選に残らなかった佳作の作品の演奏を途中まで聴いて会場をあとにしたので、結果は分かりません。どういう訳か、結果がまだウェブ・サイトで公表されてないんです(去年のはありました)。早く結果が知りた〜い。

ほのぼのとしたコンクールでした。かつしかシンフォニーヒルズのそばに銭湯を見つけたので、今度ここに来るときは、お風呂にも入って帰りたいな。
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by zerbinetta | 2014-03-29 19:09 | Comments(0)

部屋を片付けてリア充へ 「死の都」@新国立劇場   

2014年3月24日 @新国立劇場

コルンゴルト:死の都

カスパー・ホルテン(演出)、アンナ・ケロ(再演演出)
エス・デヴリン(美術)、カトリーナ・リンゼイ(衣装)
ヴォルフガング・ゲッペル(照明)、シグネ・ファブリツィウス(振付)

トルステン・ケール(パウル)
ミーガン・ミラー(マリエッタ、マリー(声))
アントン・ケレミチェフ(フランク、フリッツ)、山下牧子(ブリギッタ)、他

ヤロスラフ・キズリンク/東京交響楽団、新国立劇場合唱団、世田谷ジュニア合唱団


もうとっても楽しみにしてたんですよ。わたし的に今年最大の音楽会イヴェントってくらい。観に行った人の感想もちらりほらり耳に入ってきて、なるべく耳を閉じるようにして、やっとこ最終日に行ってきました、「死の都」@新国立劇場。これ書き終えたら、やっと皆さんの評が読める、ものすごく出遅れた感。それにしても、月曜日の公演、ソワレだと思って買ったらマチネだった罠。どんな人が来るんだろうと思っていたら、普段の音楽会と変わらない感じの客層。まあ、オペラのために1日くらいお仕事休めるものね。いいことだわ。

コルンゴルトというとヴァイオリン協奏曲くらいしか聴いたことなくて、あっそう言えばプロムスで序曲みたいのを聴いた気が、あとCDで交響曲を聴いた。退廃的と評された(意味もなくだけど)音楽。今まで聴いた感じでは、リヒャルト・シュトラウスばりの艶やかなロマンの香りのする音楽に、映画音楽のような甘美なメロディ(今日のオペラは、若い頃の芸術音楽の作品だけど、後に米国に亡命して映画音楽の分野で(心ならずも?)活躍してる)。それにしても今日の「死の都」は23歳の作品。天才!と言うのにふさわしい音楽。なんというか、奇跡。これだけの音楽を23歳で書いたとは。ただ、作風からすると遅れてきた天才だったのがある意味、悲劇だったかも。芸術音楽と映画音楽(ほんとに才能あるのに)の間で揺れ動いたというか引き裂かれた後半生。

音楽は、でも、わたしは意外とシュトラウス的じゃないと感じました。シマノフスキの若い作品の方がよっぽどシュトラウス的。バスの動かし方かな(?)、ちょっとシュトラウスとは違うと思いました。でも、豊かなメロディとゴージャスなオーケストレイションはコルンゴルトならでは。3時間、シームレスに(実際には2回休憩が入りますが、繋がってる)魅力的な音楽に酔うことができるオペラです。キズリンクさん指揮の東京交響楽団は、健闘していたけれども、シュトラウスばりのオーケストレイションのグラマラス感がもう少し欲しかったです。日本のオーケストラは今まで聴いた感じだと、マーラーは得意だけど、シュトラウスのゴージャスな音を出すのは苦手に思えます。根が生真面目だからでしょうか。外連味がもっと必要。
一番ステキなアリアが第1幕で早速出てきて、もったいな〜いって思ったら、この歌が最後に還ってきて、この物語の核心が明確に現れる様に胸がきゅんと締め付けられる感じがしました。うーむ、参りました。この歌、(伴奏の)バスが独特の動きをしてると思うんだけど、これって、プロコフィエフの「シンデレラ」の冒頭の曲の変なチューバに似てない?と思うのわたしだけかな?

舞台は、幕が開いたとたん、パウルの神聖な部屋(亡くなった妻マリーの思い出が満ちている)になるのだけど、もちょっと片付けたらって思っちゃった。ちっちゃな品々で足の踏み場がない感じで。思い出が詰まってることの表現なんだけど、そこまで具体的にしなくても分かるよって思う。昔メトの「トリスタン」で舞台にたくさん置かれた小道具を手に持つことで、クーヴェナールの説明的な歌をだめ押しで説明しているくどさを少し感じました。それから、この舞台では、亡くなったマリーが常に舞台にがいて(黙り役のダンサー)びっくりしたんだけど、これは賛否両方ありで、わたしは最初、見えない幻覚(地縛霊?)のようなものだからちょっと違和感あったんだけど、慣れてきたら話が分かりやすくなるし、邪魔でもないのでいいなって思えました。
転換のない舞台はシンプルで、第2幕は街の場面なのに1幕と同じ部屋なのはなに?ってすぐ思ったけど、真ん中にあるベッドが開いて下から(コメディアデラルテの)人がわらわら出てきて自然に舟になったのは、ステキ。部屋の後ろの窓が開かれるとブリュージュの街が鳥瞰で現れてキュビズム的な舞台といい、さりげなく工夫された照明といい、黙り役のダンサーふたりの振付といい、ちょうど必要十分な感じの衣装といい、細やかな上質のセンスがとってもいいです。さすが、フィンランドのプロダクション ←フィンランドの食器好き、ムーミン好きw

歌は、パウルを立ったケールさんよりもフランクを歌ったケレミチェフさんがいいとわたしは思いました。始まりのシーンでふたりが歌うとこ、ケレミチェフさんの方が張りや音量があって、この人の方が主役だなって思ったもの。ただ、パウル役は出ずっぱりで、ペース配分をかなりしっかりしないと歌えないみたいなので、そこまで言うのは酷なのかなと。ケールさんは、パウルをたくさん歌っていて、この役を自家薬籠の中に入れてる方なのですね。最後まで、力を保ったまま歌いきったのはさすがです。
マリエッタのミラーさんもとても良かったし、まわりの人たちもうんと良かった。第2幕に、道化がとてもステキな歌を歌うんだけど、これもとても良くって、うちに帰って確かめたらケレミチェフさんが、2役で道化も歌っていたんですね。気がつかなかったーー。

お話は、地縛霊に取り憑かれたオトコが、半分夢の中で巫女の性的なお祓いを受けて自分を取り戻すってこと?一言で言うと。現代日本に置き換えたら、部屋をフィギュアで満たして引き籠もってる若い男が、突然現れた理想の女と現実とも妄想ともつかないセックスをし夢の中でリア充を体験したら部屋の外に出る決心をした、みたいな(このコンセプトだと最後のシーンはパウルが部屋を片付けてる)。豊穣の過去への別離と歩みだし、といういわゆる世紀末で、マーラーやシュトラウス(はまた過去へ引き戻された感があるけど)が示した音楽世界に通じるオペラ。もちろん、過去に囚われがちの現代のわたしにも。わたしは、まだ過去に囚われてるので、誰か王子さまが未来へ導いてくれないかな、なんてオペラを観て妄想したりして。

これは、本当に観て良かったオペラです。音楽がステキすぎてオペラの魅力に溢れまくってる。オペラを観るのはバレエに押されて少し控えてるんだけど、オペラ熱がムラムラとまた。マズイですね。破産しちゃう。。。
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by zerbinetta | 2014-03-24 15:38 | オペラ | Comments(0)

ううむ、何と言っていいのやら 南紫音、大友直人、群馬交響楽団   

2014年3月23日 @すみだトリフォニーホール

ベルリオーズ:序曲「海賊」
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
ホルスト:組曲「惑星」

南紫音(ヴァイオリン)
大友直人/群馬交響楽団


今日のわたしはとてもネガティヴです。でもそれは、オーケストラに原因があるのではありません。オーケストラはとても良く弾いていましたから。もちろん、東京のオーケストラに比べてまだまだ下手かも知れません。でも、硬質でキラキラと明るい音色はとってもステキだったし、地方のオーケストラもずいぶんと力を付けているなという印象です。

実は、群馬がどの辺にあるのかよく知りません。東北?栃木や宇都宮や群馬ってなんか距離感や方向感がつかめないでいます。草津温泉は群馬?(長野だっけ?)草津温泉には行ったことあるのですよ。今日、群馬交響楽団の音楽会に、地元東京のオーケストラを差し置いて(いつもいってるようにわたしは地元主義です)行くのはどうかとも思ったんですけど、安かったから。地方のオーケストラの様子も知りたいしね。って、ここのところ、京都や札幌からもオーケストラが来ていたのですね。あとで気づいた。

始まりはベルリオーズの序曲「海賊」。ベルリオーズのオペラ、わたし、「トロイ人」(長い)と「ベンヴェヌート・チェッリーニ」(好き)しか観たことないけど、「海賊」はと思ったらこれって演奏会用序曲なんですね。なぁんだ。はじめに書いたようにオーケストラの硬質で明るい音色が好ましかったんですけど、何か早口でしゃべっているというかせかせかした感じがしてしまいました。

2曲目にシベリウスのヴァイオリン協奏曲。ソリストは若い(25歳くらい?)の南さん。初めて聴く人ですが、CDとかも出してるみたいで、期待の若手さん?楽しみにしてました。
でも、彼女のシベリウスはわたしには相容れなかった。とってもねっとりしていて、全ての音をつなげて弾く感じで、ヘンなポルタメントがかかったり、高い晴天の空に舞い上がる感じではなく地べたを這い回る感じに聞こえました。かといって、自己陶酔型の過剰にこぶしをきかせたような嫌らしい演奏でもなく、ただ、シベリウスと相容れないだけ。いえ、もしかするとわたしのシベリウスと。でも、前にニッキ(ベネデッティさん)の自由奔放で全くシベリウス感のないシベリウスを聴いたときは、これもありって思った。わたしの受け皿が小さくなってるとは、思わない(と信じたい)のだけど、今日のはダメでした。もしかすると席が一番上の後ろの方だったからダメだったのかも知れない。音はちゃんと来ていたんだけど、近くで表情を観ながら聴くのが好きだから。彼女のヴァイオリンは、違う曲で聴きたいな。例えば、ブルックとかメンデルスゾーンとかが合うような気がする。まだ若い、これからの人なので、しっかりと音楽を作っていって欲しいです。良い音楽家になることを期待してるし、また聴いていきたいです。

最後の「惑星」は、迫力はありました。でも、なんかノレないんですね。例えば、「火星」は刻みとコラール風の主題のテンポ感が違っている風に聞こえたり、メロディのまとめ方が雑で旋律と次の旋律の間がなんとなくゆるくなってしまったり、オーケストラがせっかくいいもの持っているのに、音楽作りがゆるいんです。もっときっちり音楽を作らないと、ただスペクタクルに音にしました、だけで終わっちゃう。指揮者の問題が大きいけど、オーケストラの側も自発的に音楽を作れる力が必要かなと思いました。大友さんは今シーズンから群響の音楽監督になられているんですね。大友さんがしっかり腰を据えて群響を鍛えて良い音楽関係を築いていって欲しいです(大友さんでいいんですよね?)。地方出身者のわたしとしては、東京のオーケストラに負けないオーケストラになって欲しいです。
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by zerbinetta | 2014-03-23 00:17 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

思い上がりは若者の特権! ユーゲント・フィルハーモニカー第8回定期演奏会   

2014年3月21日 @すみだトリフォニーホール

マーラー:交響曲第9番

三河正典/ユーゲント・フィルハーモニカー


いろいろ考えすぎるのがわたしの悪い癖。マーラーの最後の交響曲を若者のオーケストラがやると聴いて考えてしまいました。この曲って若いときに理解していいのかしらって。でも、前にドゥダメルさんが振った、わたし(たち)の概念を根底からひっくり返すような、明るい伸びやかな演奏を聴いて、背伸びをしないこういう解釈もあるんだなぁと感心したのを思い出したり、マーラーがこの曲を生涯の中で最も充実した状況で書いたこと、マーラーの時代、「死」というのがロマンティックな意味で希望への扉だった、シュトラウスは、死に至る自分の生涯をもって新しい世界に歩みを進めたり、マーラー自身は巨人のヒーローを殺して次に進んだり、20世紀の扉を葬送行進曲で開けたり、だとすればこの交響曲第9番、多分次の第10番も、次の時代に進む音楽かも知れない、と思うんですね。だったら、若い交響曲第9番の演奏があってもいい。そう言えば、ユース・オーケストラの演奏で交響曲第10番(5楽章版)の印象的な演奏も聴いたことあったし。

ということは裏切られました。ユーゲント・フィルハーモニカー自身は若めのオーケストラでした。ただ、年齢制限があるわけではなく、学生、社会人のオーケストラで平均年齢は20代前半くらいでしょうか。でも、音楽は、三河さんのだから、容赦なくいわゆる一般的な解釈。死の香りのする音楽を指向するものだったと思います。

オーケストラは上手いです。個々の技量がというよりアンサンブルがとても上手。きちんと練習を重ねているのが聞き取れる感じでした。それにみんなが積極的に弾いているのがいいです。メンバー表を見ると(大編成の曲ですから)エキストラの人も入っているようですけど、ひとつになって音楽を作っている感はしっかりありました。

第1楽章は、難しい音楽です。多分、曲の完成度が低いので作曲者の考えを補填して音を作っていかないと音楽がつながらないと思うんですけど、今日それを強く感じたので、そういう部分は経験の浅いアマチュアの弱点が出てしまったかなと思いました(しょうがないんですけど)。指揮者も音楽を進める方に力点を置いて、弱音を犠牲にしたり、3連符の音をひとつひとつ振って3連符の持つ割り切れない不安定感を表現できなかったり、そういうところが少しあって気になりました。内声の和音のバランスの悪いところがあったり、マーラーの書いた楽譜を一所懸命忠実に表現しようとするのはいいのだけど、クレッシェンドやデクレッシェンド、アクセントの付け方とかが、荒くなったり表面的に聞こえてしまったとこもあります。やっぱり、この楽章は鬼門なんですね。入り込めないときは、なかなか入り込めない。アバドさんとベルリン・フィルがカーネギー・ホールで演ったときの演奏もそうでした。指揮者が巫者になっていないといけないんですね。それほどの精神性を要求される音楽だと思うんです。
第1楽章は別れの音楽です。もの狂おしいくらい愛しているものとの。自分の生であったり、19世紀の豊穣な音楽だったり。それはマーラー自身の個人的な体験に強く繋がっているし、それを自分のものとして表現するのは、まだ経験の浅い若い人には難しいかなって思うんです。自分の裡にある同じようなもの、例えば最愛だった恋人との別れでもいい、何か基になる気持ちを思い描ければ、そしてそこから生まれたものを共有できれば良かったのかも知れません。想像力の前に楽譜の記号に目が行っちゃった。

音楽が流れる、第2楽章と第3楽章は、すごくいい演奏でした。熱意を持った演奏は、共感が持てるし、指揮者の棒に必死に食らいついていく様子は清々しかったです。みんなしっかり指揮者を見てた。三河さんの音楽は、奇をてらうことのない、オーソドックスな解釈の演奏だったけど、それでも若いアマチュアの演奏家がついていくのは大変。三河さん、かなり鍛えましたね。

第3楽章が終わったあと、華々しくフォルテッシモでジャンって終わる曲なのに、音楽がすぐには終わらないで、儀式のような静寂がホールに降りました。静寂を作りだしたお客さんも素晴らしい。ここで世界が変わった。そのままつなぐかなと思ったら、そのあと少し間をとって始まった最終楽章。弓を端から端まで使って質感のある分厚い弦楽合奏にびっくりしました。力のこもった音楽。アダージョの主部が始まったところで、指揮者の三河さんが、左手で天上を指さすようにして、音を上に放つ、昇天させることを示したの。三河さんが巫者になった瞬間です。オーケストラ全員がひとつになって音楽を奏でてる。根拠のない自信は若者の特権。自分の力に思い上がった若者たちが奇跡を起こす。今日の演奏の全てがここに昇華した感じです。大河のようにゆっくり流れる音楽。最後、消え入っていくところで、三河さんがもう一度天を指して、死者の魂を伴って天に消えていく煙のように音楽が閉じる。こんな難しい弱音は、アマチュアでは無理って思っていたけど、きちんと演奏されて舌を巻きました。
でも、(えっ?!でも?)、泣かなかった。オーケストラのみんなにも泣けーーって念を送ったのだけど、誰も泣きませんでした。みんな、やりきったスポーツ選手のような充実した面持ち。これこそが、若さの特権かも知れませんね。
普通は、この曲のあとアンコールなんてしないのだけど、(アンコールは用意されていませんでしたが)、3楽章の最後の部分をもう1度弾いて、この演奏は開放感に溢れていて荒かった、オマケ。アンコールが違和感なく音楽会の最後にはまったことも今日の演奏を象徴しているのでしょう。やっぱり、死にいく音楽ではなくて、充実して未来へ繋がる音楽。ほんとに良い演奏でした。最終楽章は、わたしが聴いたこの曲の演奏のうちで最も印象に残るひとつになるでしょう。

(蛇足:最後、携帯電話の呪いがあるかもとドキドキしていましたが、近所のおじさんのいびきが聞こえただけで大事には至りませんでしたw)
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by zerbinetta | 2014-03-21 23:46 | アマチュア | Comments(2)

アマチュア・オーケストラの音楽会で3つの気づいたこと(ゆるやかな提案)   

アマチュアのオーケストラの音楽会に通い始めて気がついたことがあります。それはプロのオーケストラでは気がつかなかったので、きっとアマチュアだからなんだと思います。音楽とはあまり関係ないことなんですが、ちょっと気になったし、気をつければすぐに良くなること(とわたしは思う)なので、ちょっと書いてみますね。上から目線っぽくてごめんなさい。こんな風に思ってる人もいるんだ、と考えてくれれば幸いです。

まずは、指揮台に置かれた譜面。1曲目は開いてることが多いのだけど、2曲目以降、休憩のあとの1曲目までもが閉じてることが多いんです。指揮者がペイジを開く。プロのオーケストラの場合(実は、東京のオーケストラは遠くからしか観ていないのでちょっと心もとないのだけど、ロンドンのオーケストラは)、楽譜係の人が、オーケストラが揃う前に(休憩後のは休憩後)全ての譜面を開けて準備します。わたし、その方がいいと思うんです。その方がスマートだし。細かなことだけど。

2番目は、ステージから聞こえてくる音楽以外の音。プロでは気になったことがほとんどなかったので、これもきっとアマチュアだからかな。弾く前に、弦を引っかけちゃうのは技術的なことなのでしょうがないけど、管楽器の唾抜きの音とか、ミュートを置く音とか、楽器をいじる音とか。そんなのが演奏中、静かなとこで聞こえてくるのは、お客さんが不必要にごそごそするのと同じで興ざめですよね。

最後は、具体的じゃないんですけど、弾き方とか。やっぱり、音楽を楽しんで弾いて欲しいんですね。楽譜が目に刺さるほどじいっと見つめて弾くんではなく、指揮者を見たりコンサートマスターを見たり、まわりとアイコンタクトをしながら、全身で(多少お行儀が悪くなってもいいから)アンサンブルしたら見ていて気持ちがいいと思うんです。これはもう、一流のプロのオーケストラの弾き方を真似して、形から入るのもいいのではと。なんか最近の研究で、音を聴かせるよりも音を消して演奏する映像を見せた方が、オーケストラの上手い下手が当たるというのがあるんだそうで(出典は忘れてしまいました。確かイギリスの新聞)、見た目も大事って思うんですよ。演奏後の拍手の受け方とか、やっぱりかっこつけて欲しいしね。奏者の皆さんが後ろの人まで満足した顔でいるのを見るとこっちまで良かったねって思えちゃうもの。ぜひ、プロのオーケストラの音楽会に足を運んだり、テレビやネットで観たりして、音だけじゃなく見せ方も研究してみて欲しいです。もちろん、音楽の(演奏)の中からそういう仕草が自然に生まれてくるのがゴールなんですが。

あと、蛇足ながら、音合わせのオーボエ、しっかり練習すると、おおっと思わせるかもよ。

以上、些細な気づきでした。上から目線でごめんなさい。
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by zerbinetta | 2014-03-21 16:41 | 随想 | Comments(2)

まずいまずい 新国立劇場バレエ団トリプル・ビル   

2014年3月18日 @新国立劇場中劇場

新国立劇場バレエ団
アレクセイ・バクラン/新国立劇場プレイハウス・シアターオーケストラ


新国立バレエの、トリプル・ビル、新作を含むコンテンポラリーの抽象的なバレエです。わたしは、フルレングスの物語バレエが好きで、最近はコンテンポラリーを観るようにもなったんですけど、少し冷めた態度で距離を置くようにしていました。何しろ全部観はじめたらお金がな〜〜いっ。でも、まずいまずい、今日観たらのめり込みそう。新国立劇場バレエ、実はこういうプログラムがとっても上手いのではないか。物語バレエにときどき感じていた、演技(語り)の部分の物足りなさ(ダンサーのせいばかりではなくむしろ演出が悪い)がなくって、均質なコールドの揃いや、プリンシパル・ダンサーたちの抽象的な表現力が全部プラスになってきたもん。これが、中劇場で、後ろの方に座っても舞台が近くてとても観やすい、で観られるなんて至福。どうして、こんな良い公演で空席が目立つんでしょう。割引の券を売るとか、格安の当日券(Z券)を空席状況に合わせてたくさん出すようにするとか、やりようがあると思うんです。そんなのずるいからダメなんてバレエ・ファンなら言わないですよね。海外の劇場ではよくやってることだし、何よりもたくさんの人に観てもらうことが、バレエの文化の発展につながる、そしてそれはきっとバレエ・ファンにメリットとして還ってくることなんですから。

暗やみから解き放たれて

オーラヴル・アルナルズ、ニルス・フラーム、
ジョッシュ・クレイマー、ジョン・メトカーフ(音楽)
ジェシカ・ラング(振付)
ニコール・ピアーズ(照明)
山田いずみ(衣装)


「暗やみから解き放たれて」は、新国立劇場バレエ団がラングさんに委嘱した新作です。ラングさんの作品は、前に「叙情小品集」を観ていて、現代的ながら古典作品をリスペクトした振付がステキで、とっても楽しみにしていました。今回も、「叙情小品集」よりも現代的ながら、奇抜なテクニックに走らないしっとりとした振付がステキ。それに、ゴムボート(クラゲ的な)白い照明や(最初ステージの上に置いてあったのが海に浮かんでるみたいで、それがするすると上がって照明になった)、ステージ後ろの帳が後ろの方で踊るダンサーの上体を隠して、足だけ見える(1階で観たらどこまでが見えたのだろう?)演出も素晴らしくて、実は、キャスト表を見ていなくて、なんていうタイトルのバレエかも分からなかったし、タイトルが分かったあともどんなことを意味していたのか、わたしの中で分からないのだけど、分からないながらも素晴らしいなって思いました。多分何回か観たら、分かってくるのだと思うのだけど、全体的に一貫した印象を与える良作だと思います。新国立劇場バレエ団は、こんなステキな作品をもらったのだからぜひ、継続して上演してもらいたいです。お客さんを呼べないから新作の上演に消極的になるのではなく、国立劇場の団体なのですから、お客さんをリードする役割もあると思うんですよ。ちなみに、この演目だけ音楽はテープでした。多様な音楽だったので生で演奏するのは難しいのですね。


大フーガ

ベートーヴェン(音楽)
ハンス・ファン・マーネン(振付)

長田佳世、本島美和、湯川麻美子、米沢唯、
菅野英男、福田圭吾、古川和則、輪島拓、他


「大フーガ」は観るのが2回目。前に本家のバーミンガム・ロイヤル・バレエのロンドン公演で観ました。でも、これは、今日の方がはるかに良かった。わたしの観る目がちょっぴりは成長したのかな、ということより(全否定)、この和の雰囲気のあるバレエが日本人にぴたりと合ったからでしょう。男性の衣装が最初、上半身裸で下は袴を思わせる黒の衣装で侍のイメジで、女性の髪型が、古代のみずら(というより、絵本に出てくる乙姫さまの髪型といった方が分かりやすい?)に似ているので日本人の黒髪がとってもよく似合うんです。特に男性の黒髪は黒い袴とともに強いコントラストを付けるので効果絶大。外国でも髪を染めるかカツラを付けた方が絶対いいって思っちゃいました。それが、キレキレで踊るんですよ。主役の女性4人は全員プリンシパル。男性はひとりがプリンシパルでファースト・ソリストとソリストだけど、トップ・ダンサーたちの群舞は圧倒的だし、ひとりひとりがヘンな自己主張をせずに全体の中で踊っているのでバランスも良くって気持ちがいいんです。汗にまみれる上半身裸のいい男たちってステキすぎっ。セクシーーー♡この演目もすごく新国立劇場バレエ団向きだわ。シグニチュア・ワークになるくらい。そう言えば、新国立バレエのシグニチュア・ワークってなんだろう?そういうのぜひ作っていただきたいわ〜。

シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ

ストラヴィンスキー(音楽)
ジョージ・バランシン(振付)

長田佳世、小野絢子、米沢唯、
八幡顕光、福岡雄大、菅野英男、他


最後の「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」は、ストラヴィンスキーの3楽章の交響曲に振り付けられたバランシンの古典的な抽象バレエ。音楽が、ストラヴィンスキーの3つの時代の要素を全部混ぜ込んだ魅力的な音楽(新古典主義で書かれた春の祭典)で、確かニューヨーク・シティ・バレエがよく上演していたような。その頃はまだ、物語バレエ専門だったので、シティ・バレエ観なかったんだわ。今から思うともったいない。
これも、3組のプリンシパル・ダンサーの踊りがとってもステキで良かった。長田さんと顕光さんの登場のジャンプがとっても高くてきれいで凄く印象に残った。長田さんは、今日の公演を通してずうっと目立っていて良かったですものね。絢子さんと雄大さんもさすがな感じでした。長田さんの些細な玉に瑕は、にこやかに踊ってる顔はステキなんだけど、いつも同じように笑っていてちょっと表情に乏しかったこと。唯さんはほんわか系だけどときどきドキリとするような表情をもっていて、そのギャップがいいんだわ。
コールドの人たちもとても揃っていて、新国立劇場バレエ団の実力の高さが一目瞭然。絶対、新国バレエ向きの演目。これからもこういうのをぜひたくさん上演して欲しいです。できたら中劇場で。中劇場はバレエを観るにはもってこいの劇場ですよ。

音楽は、新国立劇場プレイハウス・シアターオーケストラという団体が演奏したのだけど、これって多分、都内のオーケストラのメンバーから劇場のピットのために編成される臨時オーケストラよね?悪くないんだけど、ベートーヴェンの薄い部分とか、ストラヴィンスキーのアンサンブルにときどき、おやっと感じるときがありました。些細な疵ですけどね。今日が初日なのできっとこれから良くなっていくでしょう。ダンスが好きだったりバレエを観てもいいかなと思う人は、観ておいた方がいいよ、とオススメできる公演です。
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by zerbinetta | 2014-03-18 22:57 | バレエ | Comments(2)

テキーラっ 東京楽友協会交響楽団第96回定期演奏会   

2014年3月16日 @すみだトリフォニーホール

ガーシュイン:キューバ序曲
ヒナステラ:組曲「エスタンシア」
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第4番
レブエルタス:組曲「マヤ族の夜」

田部井剛/東京楽友協会交響楽団


ぽかぽかとしたお天気の春らしい陽気の日には南米に行きたい!とどういう脈絡か思っちゃったんだけど、ちょうど良かった!東京楽友協会交響楽団が中南米プログラム。中南米巡りの旅に錦糸町へ行きました。いぇい。

オーケストラの人たちがほぼステージに揃ったころに、派手なウィルピルを纏ってソンブレロを被った方が出てきて指揮台に楽譜を置いて皆楽しげに拍手。メキシカーーーン。

始めはガーシュインの「キューバ序曲」。アメリカンなキューバ。キューバといえばモヒートが有名だけど、もう少し甘いキューバ・リブレな感じ。楽友協会交響楽団は、ちょっと手こずっていた雰囲気が感じられました。ベートーヴェンとかブラームスとかマーラーとか弾くのは、上手そうなんだけど、ちゃんと弾けてるんだけど、微妙にリズムがもったりしてる感じで。楽譜どおり生真面目に弾いても雰囲気が出ない(モーツァルトみたい!)のか、音を聴いてアンサンブルしてるので出が少しずつ遅れるのかも知れない。もう少し弦楽器の人数を刈り込んで精度を上げた方がいいのかな。こういうのUSのオーケストラがやると、我らが音楽という感じでほんとノリノリで上手いんです。お客さんも我が意を得たりな感じで会場の雰囲気がもう嬉しいくらい雰囲気が出てくるの。今日はちょっと弾き慣れていない感じがしました。楽しい音楽なのでみんなもっと楽しそうに弾けばいいのにちょっと真面目かな。笑いながら弾いてる方も少しいらっしゃったけどそうでなきゃ。だって、音楽が終わったらみんな楽しそうな笑顔なんですよ。弾いてるときから見たいですよね、笑顔。

「エスタンシア」は大好きな曲。聴くの3回目くらいかな。無条件に聴けて嬉しい。こちらの方がリズム的にはクラシック音楽と近いのかな。とても良かった。がしがしと弾くのも気持ちいいし。ただ2楽章が少し重かったかなぁ。特異な(不協)和音が使われていて、その扱いに戸惑ってたように感じました。規則にない変な音が出てくるので、和音のバランスを上手くとれていないみたい。それで重く聞こえたし、自信がなさそうで間違ってるようにも聞こえてしまった。あと金管楽器の速い音符がちょっと口が回らない風でした。と、批判しているように見せかけて、楽しかった〜。やっぱりこの曲大好き。最後の大団円は、エキサイティング!

休憩のあとは、ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」第4番。初めて聴きます。ヴィラ=ロボスってなんかわたしには不思議な作曲家で、玉石混淆というか良い曲と悪い曲がはっきりとして混じってる感じがして、良い曲はとってもいいんだけどしょうもない曲もたくさん。この「ブラジル風バッハ」も最初のふたつの楽章は良かったんだけど、後半はわたし的には退屈な曲認定でした。でも演奏が悪かったのではないのですよ。始まりの弦楽合奏のラメントは、弦楽器の、特にチェロの音色が豊かでとっても良かったもの。ぐっと来た。それにしてもラテン・アメリカの哀しみって、何だか諦めが入ってるように感じる。それは南米に行ったときにも感じた悲しさ。悲しみをどこにもぶつけられず静かに自分の中にしまい込む感じ。その代わり、明るいときは底抜けに明るい。音楽も同じ。
第2楽章の執拗に繰り返される弔鐘も意味ありげだったけど、それらが3、4楽章で解決されないような気がするのはわたしだけ?

最後は、「マヤ族の夜」。夜というので、死の哲学的なメタファーとか暗い音楽と思ったらさにあらず、どんちゃん騒ぎ。テキーラ飲み回して酔っ払っちゃったみたいな。でもオーケストラは酔っ払ってなんていなくて、びしびしと決めてきました。ハラナの細かい音符の躍動感あったし上手い上手い。基本的にひっちゃかめっちゃかの音楽(のくせにきっちり書かれてるフシあり)で、終曲の異様な盛り上がり(10人以上の打楽器と法螺貝!さらにホエザルの声なんかがテープで入るとなお良いw)が凄いんだから、オーケストラもお客さんもあまりまじめくさってなくてここはもっと盛り上がっちゃえばいいのに(あっ、オーケストラに人たちは音楽的には盛り上がっていましたよ〜)。
今日の曲目と似てる音楽会を前に聴いたことがあって、そのとき、「エスタンシア」と「マヤ族の夜」を聴いたんですけど、やっぱり思い出してしまいましたね〜。クリビー(クリスチャン・ヤルヴィさん)とロンドン・シンフォニーの音楽会。クリビーがノリノリで踊りまくり。はっちゃけたプロって凄いです。はっちゃけたアマチュアも観てみたいですね〜。熱い思いを秘めないで発散しろよ〜って。指揮者の田部井さんは結構発散してましたよ。

数回の拍手のあと、田部井さんがちょっと待っててって仕草をして、ステージ袖に引っ込んだら、ソンブレロとウィルピルで出てこられて、アンコール。わたしは心の中であれがいいーーーって叫んだんだけど、あれって言うのは、クリビーがやったマヤ族の打楽器のアドリブの上に「エスタンシア」の終曲の最後。これむちゃくちゃ盛り上がる。ということはさすがになくて(残念)、エベンシオ・カステジャーノスというベネズエラの作曲家の交響詩「パカイグリアの聖なる十字架」という曲(後半部分)が奏されました。この曲も楽しい。ソンブレロは指揮にはちょっと邪魔そうでしたけど。

キューバ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ベネズエラと巡った音楽の旅。楽しかったぁ。いいですね、こんな楽しい音楽会。なんかいろいろ書いたけど全部野暮です。素直に楽しんじゃったもの勝ち。わたしもいろんなことは置いといてしっかり楽しんでいたことを告白します。テキーラ飲みたくなっちゃった。オーケストラの皆さんもきっと打ち上げでは楽しいお酒を飲んでいることでしょう。音楽会の夜は長く続く。だってそこまでが音楽会なんですから。
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by zerbinetta | 2014-03-16 23:50 | アマチュア | Comments(0)

心地よい運動的に 都民交響楽団第117回定期演奏会   

2014年3月2日 @すみだトリフォニーホール

ワーグナー:「パルジファル」より第1幕への前奏曲、聖杯の騎士の行進、聖金曜日の音楽
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」

末廣誠/都民交響楽団


都民交響楽団が好きです。高い志を持ってしっかりと練習してくるところがいいし、だから、ひとりひとりがちゃんと音楽を知っていてまとまってると思うんですね。もちろんいろんな考え方があるんだけど、短い練習期間でまとめるのはー〇〇専門オケみたいに同好の士が集まってる場合は別にしてー技術的には弾けるようになるんだけど、個々、音楽を理解できていないまま(頭では理解できていても弾き慣れていないのでニュアンスまで表現し切れていない)弾いているみたいなことが(プロでさえも)よくあるので、わたしは練習重視派。普段の練習から楽しいと思うし。都民交響楽団は、そんな練習の延長で本番に望む感じ(と言っても練習のままという訳ではなく本番でしかない一期一会の音の生まれる瞬間がある)なので安心して音楽を聴くことができる。もっと上手いアマチュアのオーケストラもあるけど、なぜかわたしは都民響さんのファン。(と言いつついろんなオーケストラがそれぞれ好きなんですけどね〜)

今日は、「パルジファル」からの音楽とブルックナー。「パルジファル」は長くてつまらないので(ワグネリアンの方ごめんなさい。ワーグナー分からないんです)、わたしには抜粋がちょうど良い。物語はアレだけど音楽は良いからね〜。ワーグナーにしては薄いオーケストレイションで、ドビュッシーさえも彷彿させるような前奏曲。遅めのテンポで、緊張感を維持しつつ、神聖な雰囲気を見事に出していて、プロでもなかなかないようなステキな演奏。弱音も思いの外、繊細できれいだし音楽の奥行きの深さが感じられる。前奏曲のあとは「聖杯の騎士の行進」「聖金曜日の音楽」と続けたのだけど、これってアバドさんの録音と同じ感じ(アバドさんの方にはもう少し音楽が加わっていましたけど)。「行進」は、もう少し迫力が欲しかったけど、「聖金曜日の音楽」の波打つような高揚感は見事でした。

ブルックナーもとても素晴らしかった。このレヴェルの演奏だとアマチュアでも指揮者の音楽を語れる。末廣さんのブルックナー、律動するビート感がとても心地良いんです。この交響曲第4番って演奏によっては退屈になるんだけど、今日の演奏では、音楽が心臓の鼓動に同調して血液が体を巡るように音楽が体中を巡って気持ちがいいの。ビートといっても’運動的に’と書かれた第1楽章も第4楽章も速い演奏ではないんです。ゆっくりとした歩みの中に、アレグロ的な爽快感があってどくんどくんしながら流れるんですね。これは歩くような第2楽章も同じ。拍があるから音楽が停滞しないで一歩一歩歩いていけるんですね。この、ビートを持ったブルックナーがとても強い印象に残っていて、わたしの中で今のところ1番のハイティンクさんとロンドン・シンフォニーの演奏とともに、これは消しがたい記憶となるでしょう。
末廣さんの指揮も、彼のブルックナーを示しながら、オーケストラに自発的に演奏させている風があって、オーケストラとの関係が上手くいってるんだなと思わせるものでした。オーケストラもひとりひとり、今演奏している音楽が分かっていて、みんなが同じ音楽を弾いていました。本当に気持ちが良い。
アマチュアなので、どうしてもプロにかなわないところもありました。でも、ホルンのトップはめちゃ上手いし、金管楽器のまとまりも良かったです。音楽的に充実していたし、ブラヴォオオ。次の音楽会も楽しみだわ〜。
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by zerbinetta | 2014-03-02 23:53 | アマチュア | Comments(0)