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盤石のブラームス 都民交響楽団第118回定期演奏会   

2014年8月31日 @すみだトリフォニーホール

バルトーク:舞踏組曲、「中国の不思議な役人」組曲
ブラームス:交響曲第1番

末廣誠/都民交響楽団


盤石の安定感。都民交響楽団の印象です。入団するにはオーディションがある上、団員になっても数年に一度、更新オーディションをして高いレヴェルを保っています。アマチュアとは言え高いレヴェルを目指す厳しさを実践しているオーケストラ。それ故に真摯に音楽を演奏することを共有しているのでしょうね。実力的にはもちろん、プロには遠く及びませんが、負けない安定感は素晴らしいのです。

東京文化会館で行われる(今は改装中なので今日はトリフォニー)都民交響楽団の年2回の定期演奏会は無料。というか、往復はがき代104円。往復はがきで抽選に申し込んで、当たれば当日座席指定のチケットと交換します。どのくらいハズレが出るのかは知りません。というちょっとめんどくさい手続き。他に年に1回、有料の特別演奏会があります。維持会員になれば、抽選に参加しなくても年3回の音楽会の指定席がもらえます。こちらは楽ちん。

今日は、相変わらず苦手なバルトークと最近偏愛中のブラームス。それにしても、この選曲に自信の現れを見たような気がする(根拠はないけど)。
舞踏組曲は、「のだめカンタービレ」の中で千秋先輩のコンクールでの課題曲。という認識、わたしは。民謡調の親しみやすい旋律がたくさん出てきて聴きやすい反面、ソロが多いし、テンポの変化や拍子の変化が多くて演奏する方は難しそう。都民交響楽団は、それらの技術的に難しいところはクリアしていて、きちんと演奏されていたんだけど、そこから崩されたところにバルトークの音楽の魅力(多分、みんなが言う、ハンガー語のニュアンスを持った音楽)が出てくると思うのだけど、流石にそこまでは表現し切れていなかったように思います。自発的なルバート。それって、外国のオーケストラが演奏する際に聞かれる不満だけど、そんなところまで要求しちゃいたい、というのは都民響が力のあるオーケストラだからでしょう。

2曲目の「中国の不思議な役人」もどちらかというとマニアックな曲。でも、この曲は舞踏組曲よりも抽象的だし、仄かに東洋風なところもあるので、むしろ演奏しやすいかな。とは言え、ギラギラとエキセントリック、グロテスクなところもある音楽を表現するには、まず丁寧にきちんとした演奏は少しもどかしさも感じました。上手いを超えたリスク・テイキングな音出しができれば、音楽の持つざらざらと心臓を紙やすりで擦られるような気持ちの悪さを表現できたと思います。良い音楽を聴いたで終わってしまった(でも、それだけでも凄いことですが)のが惜しかった。

お終いのブラームスは、もう堂々とした演奏でした。指揮の末廣さんも真っ向勝負で、下手な飾り付けをせず、ブラームスが書いたとおりの音楽をオーケストラの要求していました。それでいてここまで聴かせてしまうオーケストラにはアマチュアとは言え脱帽です。このオーケストラの持つ一種の’生真面目さ’もブラームスの綿密で格調高い古典的な音楽にピッタリでした。わたしの考えですが、都民響は、理路整然なドイツ系の音楽に親和性があるような気がします。末廣さんは都民響の元常任指揮者で、長きにわたって都民響を指揮されてきた方です。そんな親密な信頼関係が、ブラームスの音楽の隙のない緻密さを不足なく聴かせてくれたんだと思いました。

都民交響楽団は、普段プロのオーケストラを聴いている人にアマチュアだったらどこがいい?って聞かれたら、一番にオススメしたいオーケストラのひとつですね。オーソドックスだから。もちろん、アマチュアの世界には独自路線のマニアックなのとか熱さだけはまけないとか、ステキなオーケストラがひしめき合ってるんだけどね。
次の音楽会は、都民響向きのベートーヴェン、楽しみです。


♪♪
都民交響楽団の次の公演は、有料の特別演奏会が12月23日、東京文化会館です。今年は第九。
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by zerbinetta | 2014-08-31 00:42 | アマチュア | Comments(0)

シベリウス ー現代音楽へのもうひとつの源流 サントリーホール国際作曲家委嘱シリーズ   

2014年8月21日 @サントリーホール

クリストフ・ベルトラン:マナ
パスカル・デュサパン:弦楽四重奏曲第6番「ヒンターランド」
シベリウス:交響詩「タピオラ」
パスカル・デュサパン:風に耳をすませば

ナターシャ・ベトリンスキー(メゾソプラノ)
アルディッティ弦楽四重奏団
アレクサンダー・リープライヒ/東京交響楽団


去年も抽選で当たったサントリー芸術財団のサマーフェスティバル。今年も応募したらまた当たりました!そして何と!去年と同じ席!ここはわたしの指定席?来年は3匹目のドジョウが同じ席でわたしを待っていてくれてるのかしら。
今年は、木戸敏郎さんがプロデュースで、テーマ作曲家(監修は細川俊夫さん)はパスカル・デュサパンさん。くじのあった音楽会は、デュサパンさんの管弦楽の回。しくじったのは、シュトックハウゼンの「暦年」、雅楽版と管弦楽版が演奏されたのを聴き逃したこと。シュトックハウゼンってちょっとハードルが高いのね(ピアノ曲Xは好きです)。及び腰になっちゃった。くやしいぃ。

現代音楽の音楽会というと、外国では髪を立てたりまっ赤に染めたお兄さんお姉さんが付きものだけど、日本ではいつもの音楽会とあまり雰囲気変わらないのね。とんがった若者よ、もっとアンテナ敏感にして!ハイソ(ってw)なホールでのクラシック音楽会だってほんの一部の特別なのを除いては誰でも入れるんだから。

プレコンサート・トークがあるのをすっかり忘れていて、途中から慌てて入ったのですが、そこでは細川さんとデュサパンさんの会話が佳境を迎えたところでした。うううう

最初の81年生まれのベルトランの「マナ」という曲は、彼が24歳の時、初めて書いたオーケストラのための作品ということです。マナというのは、空から降ってくる食べ物のことではなく、ガメラに出てくる古代オセアニアの超自然のエネルギー(?)のことです。これがすごく良かった。初めてオーケストラ曲を書いた人の作品とは思えぬ色彩感と、建築物のような構造感。2群に分けられたオーケストラの間を音が駆け巡り、さらに重層する小さな構造の組み細工がステキなの。真の天才だわ。これからの彼の作品、どうなるんでしょう、もっと聴きたいと思ったけど、痛恨、ベルトランは数年前、30歳の誕生日を待たずに亡くなっていたのでした。ショック

2曲目は、デュサパンさんの弦楽四重奏曲第6番。弦楽四重奏曲なのにオーケストラ付き。不思議な組み合わせだけど、弦楽四重奏のための協奏曲?いいえ、弦楽四重奏を伴ったオーケストラ曲?いいえ。オーケストラを伴った弦楽四重奏曲でした。弦楽四重奏とオーケストラは対峙するのではなく、オーケストラは弦楽四重奏を補うように書かれていて、弦楽四重奏にできないことを、痒いところに手が届く孫の手のようにオーケストラが補完します。それ自体の発想はとてもユニークで、音楽は、いわゆるメロディのない調性もない現代音楽なんだけれども、雰囲気は良くて、耳障りではなく、分かったかと聞かれれば1回聴いただけではよく分からなかったんだけど、惹かれる音楽でした。そして音楽の解き明かしに、休憩のあとで邂逅したのでした。アルディッティ弦楽四重奏団の演奏は、流石。彼らを想定して書かれた曲だし、長い間作曲家との共同作業をしてきているので自家薬籠中。全く隙がない、スタイルを確立した演奏は、作曲者も幸せではないかしら。

休憩のあとは、シベリウスの「タピオラ」。シベリウスの最後の大きな作品。ちん入者のようにここに置かれた作品は、単に作曲家が好きだからという理由以上に音楽のつながりを感じたのでした。リープライヒさんと東京交響楽団の演奏は、えええっっ!シベリウスってこんな曲だったっけ?というシベリウスの演奏としては違和感ありありで、むしろトンデモ演奏であったような気がします。シベリウスの持つ叙情性が欠けていて、骨組みだけが残ったみたいな。まるで現代音楽。でも、そのためにかえって、今日演奏された他の曲とのつながりが見えてきて、今まで気がつかなかったシベリウスの前衛性がさらけ出されたと思います。シベリウスのみではXだけど音楽会全体としては○、みたいな。違和感なくピッタリと正しい場所にはまっていた感じ。
シベリウスの音楽の前衛性は、一言で言うと、その特異な構造(形式?)にあるような気がします。短い細胞に細分化されて積み重ねられる音。点描的だけどウェーベルンのとは違って構造そのものが点描。そういう構造の組み細工が、今日演奏された他の曲とよく似ているの。シェーンベルクが調性を無力化したように、ストラヴィンスキーがリズムを解き放ったように、シベリウスは構造(テクスチュア)を分割して現代の音楽への道筋を作ったと言ったら言い過ぎでしょうか。多分そうでしょう。シベリウスの音楽の後世への影響ってあからさまではないし。でも、多層の構造の音楽ってミニマリズムに通じるところもあるし、何よりもベルトランさんやデュサパンさんの音楽とも意識的に共通性があると思うの。

目から鱗のシベリウスの次に最後に演奏されたのは、「風に耳をすませば」。なんか爽やかアニメ系のタイトルみたい。サントリーホールの委嘱作品で今日が初演。来年、初演される予定のオペラ「ペンデジレーア」(オペラの原作のタイトルが「風に耳をすませば」という悲劇)をメゾソプラノとオーケストラのための組曲に再構成したもの。オペラの中の3つの異なる声の役をひとりの声に集約しているので、音程の幅が広く、ちょっと大変そう。
わたし、(口ずさめるような)歌が否定された前衛音楽ではオペラはもう難しいといつも思ってて、変に妥協した作品にはうんざりなんだけど、「風に耳をすませば」を聴いて、オペラもまだ可能性はあるのかもって思えました。基本的にメロディはないんだけど、声の扱いが自然でオペラとして聴いても楽しめそうだと思えたんです。始まりと終わりにある(オペラの中ではライトモチーフのように使われるそうですけど)静かな子守歌のメロディ(唯一聞こえる口ずさめるメロディ)がとっても印象的でモノクロームの映画を観るようで。
演奏も良かったです。東京交響楽団は安定していたし、ペトリンスキーさんは、性格の違う音域の広い大変な歌を大らかに歌ってくれました。最後の歌は母性でしょうか。

毎年面白そうな企画で楽しませてくれる、サントリー芸術財団のサマーフェスティバル、来年はもっとしっかり参加しようと思います。くじも当てて同じ席取るぞーー。
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by zerbinetta | 2014-08-21 02:07 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

初心者OK!でも鍛えられてる ろうさいの森アンサンブル第6回定期演奏会   

2014年8月16日 @銀座ブロッサム

モーツァルト:「魔笛」序曲
ウェーバー:クラリネット協奏曲第1番
ブラームス:交響曲第2番

横田搖子(クラリネット)
室賀元一/ろうさいの森アンサンブル


わたしはと言えば、何でも全部試してみたいタイプ。CDショップでは棚の右から左へ全部買ってみたいし、食堂でもまずは全メニュウ制覇してみたい。もちろんいつも途中で挫折するんだけどね。アマチュア・オーケストラをいろいろ聴くシリーズ、今回は、初心者OKの社会人オーケストラ。社会人オーケストラの多くは、経験者募集で、大学オーケストラなんかで合奏したことのある人を集めているのだけど、今日のろうさいの森アンサンブルは初心者OK。なので、どんな演奏になるのかドキドキ。プログラムにはブラームスの交響曲も入ってるし(難しいと思う)、大丈夫かなぁ。ちなみに、ろうさいの森アンサンブルという名前は、オーケストラの練習場所が東京労災病院とのことで付けたそう。労災組合とは関係ありません。

銀座ブロッサムは、ホテルの講堂のようなホール。コンサート、というより、ホテル主催の音楽行事を聴きに来た雰囲気。でも、居心地は悪くない。会場の小ささもちょうど良い感じ(音を張り上げて弾かなくてもいいからね)。

まず、始まりは、「魔笛」の序曲。怖々と聴き始めたけど、あれれ!普通じゃん。めちゃくちゃな演奏になるかもしれないって思ってたのに、全然大丈夫。とても上手いとは言えないけど、ちゃんと音楽してる。期待しないで聴き始めた分、得してると思うけど、わたしはこういうオーケストラ好きだな。弾けるエキストラがが多く入ってるからかもしれないけど、それだけではあるまい。そして何よりも良いのは、あとのブラームスでも明らかになるのだけど、ひとりひとりが、音楽の中のどこにいるのか分かって弾いていること。当たり前、と思うかもしれないけど、(レヴェルは違うけど)プロのオーケストラでもこれができないとこがあるからね〜。そんなの聞かされると心底がっかり。

2曲目は、オーケストラの管楽器トレーナーをしてらっしゃる横田さんを迎えて、ウェーバーのクラリネット協奏曲。ウェーバーってオペラで有名だけど、地味にいろんな協奏曲書いているのよね。そしてわたし的にも地味。ぼんやりと聴いてしまいました。横田さんはソリストとしては少し華やかさに欠けるけど、きちんと吹いておられて、そこが、ロマン派初期の技巧的な外連味を中和してしまって物足りなさがあったのかな。エンターテイメント要素がね、少ないの。

最後のブラームスは、練習の成果が窺える会心の出来ではなかったかな。指揮者の室賀さんは、初心者の方もいるオーケストラにそれぞれの役割を考えさせて、上手くまとめて、楽しみながら音楽のハートに触れることを心がけていらっしゃったんじゃないかしら。それが音になって表れる、みんなでひとつの音楽を作ることの喜び。それは、わたしにも伝わってきて、ステキなもの聴いたと思えました。上手い下手ではない真摯な音楽の楽しみ方、聴き方があると思います。そんなステキな大人のオーケストラとしてこれからも音楽を奏でていって欲しいです。

アンコールには「くるみ割り人形」から行進曲。かわいくて楽しそうで、このオーケストラの良さがたっぷり出ていました。帰り道は、近くの小さな寒天屋さんの天まめさんでお土産を買って、天気は悪かったけど、満たされた想いで1日を終えました。豆かんおいしぃぃぃ〜


♪♪
ろうさいの森アンサンブルの次の公演は、第7回定期演奏会が来年2月7日、銀座ブロッサムです。
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by zerbinetta | 2014-08-16 13:56 | アマチュア | Comments(0)

同窓会! 麻布学園管弦楽部OBオーケストラ設立記念演奏会   

2014年8月10日 @練馬文化センター こぶしホール

黒田崇宏:multi processing II
ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲
チャイコフスキー:交響曲第5番

秋津瑞貴(チェロ)
鈴木優人/麻布学園管弦楽部OBオーケストラ


今年はいろんなタイプ(コンセプト)のアマチュア・オーケストラを聴くのをゆるやかな目標にしてるんだけど、今日は、新しくできたオーケストラの創立公演。というのと、BCJでの鍵盤や横浜シンフォニエッタでの指揮者としても活躍中の鈴木さん一家の息子さん、優人さんの指揮を聴きたいというのもその理由でした。麻布学園管弦楽部のOBのオーケストラ。麻布学園はよく知らないんだけど高校?卒業生関係や父兄さんと思われる方も多くいたみたい。優人さんもこの学校の卒業生なんですね。父兄さんもいらしてました。
優人さんのお話によると麻布学園は男子校だそう。でも、ステージの上には女子も。ということで、純粋卒業生だけではなくてそのつながりの人もいるそう。最初、学校の卒業生で結成されたオーケストラでも時がたつにつれて友達とか卒業生以外の人たちも参加するオーケストラも多いので、華を求めたわけではないと思うけど最初からいろんな人が混じっているのが、これからこのオーケストラがどんなコンセプトになっていくのか興味深いところだし(麻布学園色を維持するのか、普通の社会人オーケストラ的にするのか、とか)、アマチュア・オーケストラの運営を長く続けていく上で難しいところなのでしょうね。

音楽会は、このオーケストラが委嘱した新曲の初演から。作曲の黒田さんは、麻布学園のOBで現在は東京藝術大学の大学院生。曲は、ギターのピックで弦をはじく弦楽器の刻みの上に不規則な音の線が抽象画のように引かれるみたいな感じで、チャイコフスキーの曲がチラリと聞こえたり、でも、わりとありがちな感じで、頭で書かれてはいるけど、まだちょっと足らない満たされない気持ち。ドライになりすぎて友達になれないみたいな。いわゆる、初対面はツン。正直、よく分かりませんでした。演奏する方も、いきなりこれでは合わせるのがやっと、必死に数えてるヴァイオリンの女の子、ときどき落ちたりしてました。これは挑戦ですよね。ロマン派の曲なんかは、たくさん聴くし、歌えるから分かる(音楽を分かるってどういうことだろう?難しく考えないで)というか弾けると思うけど、現代曲はみんながそれほど聴いていないだろうし、そこに至るまでの音楽を消化していないととりつく島がないと思うんです。楽譜通りに合わせることができても、音楽にできるかどうかはかなり難しいんじゃないかって思います。だから、この新しい曲の評価は、今日の演奏だけからは避けるとしても、別の見方をすれば、初演がこのアマチュアのオーケストラに委ねられてるとすれば、このオーケストラが演奏して効果が得られる音楽を作った方が良かったんじゃないかと思ったんです。自分の芸術のために信念を曲げない、というのもありのようでいて、昔の大作曲家さんたちも、依頼主や演奏される音楽家の顔に向いて音楽を生み出してきたんだし、作曲は独り仕事だけど、音楽ってそれを演奏する人とのコミュニケイションが他の芸術にはない枷であるし、魅力だと思うんですね。ちょっぴり場違いかなと感じたし、お互いにもったいないと思うのです。

2曲目は、やっぱり麻布学園のOBの秋津さんをソロに迎えてのドヴォルザークのチェロ協奏曲。この方は、東京藝大の大学院を去年卒業された方。オレがオレがのタイプじゃなさそうで、はったり半分の迫力はないけど、丁寧な歌い回しで良かったです。わたしは、ドヴォルザークはもう少し、ねっとりと幅広く歌うのが好みなのだけど、さらりと端正なのは、ちょっと学生っぽくて、ご本人のフレッシュな風貌とぴったりで納得。爽やか系ドヴォルザーク。この人はオーケストラをバックじゃなくて、室内楽に向いていそう。
アンコールには、バッハの無伴奏組曲の第6番から。わたしはチェロは弾けないけど、見た感じ独特な指使いで、ちょっとユニークな感じのバッハでした。あとでプログラムを見たら、彼、バッハの無伴奏の指運で論文書いていらっしゃるのね。これも納得。無伴奏、全部聴いてみたいと思いました。

最後は、チャイコフスキーの交響曲第5番。この間も聴きましたね〜。優人さんの演奏は、若いオーケストラから彼らの音楽を引き出すように、押しつけがましくなくドライヴして、みんなで音楽を作っていこうってことに重きを置いた感じ。優人さんの個性が光ると言うより、みんなの音楽。ちょっと気がついたことと言えば、第1楽章の伴奏の音をわりと短く刈り込んで行進曲風なのを強調したことかな。1曲目の曲で落ちてたヴァイオリンの子、ものすごく楽しそうに弾いてて、音楽をするってこういうことよね(いいえ、もちろん、難しい曲に挑戦して必死に弾くのも楽しい音楽ですが)、と、気持ちよかった。このオーケストラ、まだまだどのようになっていくのか分からないですけど、今日の初心(今日が初心よね)を忘れずに、いつまでも楽しく音楽でつながっている同じ釜の飯オーケストラでいてと願っています。楽しい音楽の時間は、続けなきゃ。

アンコールには、優人さんの挨拶があって、「校歌」!会場の父兄さんたちも歌うのだけど、ごめんなさい、わたしはこういうの苦手。USにいたときもシーズン・オープニング・コンサートか何かでUS国歌歌えなかったし(歌詞を知らない)、プロムスでもみんなで歌う英国国歌とか歌えなかったし、唯一歌える日本の国歌は、歌わない主義なので歌わないし、というかそんな機会もない、ダメなんですよ、みんなで歌うシリーズ。もちろんわたしがいけないんだし、今日はわたしの方がちん入者なんですけどね。ちょっと学校行事のノリ。いや〜〜、優人さんにこにこと楽しげでした。高校時代に(みんな)帰ったんでしょうね。
そして本当の最後は、ラデッキー行進曲。うわ〜〜これいいい。なんかウィーンのニュウ・イヤー・コンサートみたい。ぎこちなくも手拍子打って(しょうがないよね、慣れてないもん)楽しく音楽会は終わったのでした。
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by zerbinetta | 2014-08-10 01:45 | アマチュア | Comments(0)

初オン・ステージ エッティンガー/東京フィル   

2014年8月5日 @ミューザ川崎

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
マーラー:交響曲第5番

菊池洋子(ピアノ)
ダン・エッティンガー/東京フィルハーモニー交響楽団


サマーミューザ、わたしの最終回(結局3回だけ)は、東京フィル。新国立劇場のピットに入ってるのはよく聴いていたけど、コンサートで聴くのは初めてです。ピットではいつも素晴らしい演奏をしていたので今日も期待大。まずは公開リハーサルから。始まる前に、トライアングルの人が音色を確かめるように練習してたのが好感度大です。トライアングルってわたしでも叩けそうって思うけど、下手くそというか無頓着に叩いてるトライアングルの音って良く聞こえるだけに下手すれば音楽を壊しかねないんですね。
エッティンガーさんは細かく丁寧なリハーサルをするのだけど、コンサートマスターの人も自分のパートや他の弦の人たちに指示しまくり。ふたりでリハーサルを進めている感じ。そうそう、エッティンガーさんのリハーサルは基本、英語だけどティンパニの人にだけはドイツ語で指示をしていました。ドイツに留学された方なのかな。

リハーサルと本番の間にはしばらく時間があったので、お向かいの東芝未来科学館に行ってきました。液体窒素で冷やした超伝導で浮遊する物体がレールに沿って走るのを見たり、でも一番面白かったのは、昔のからくり人形や時計のコーナー。昔の技術って凄い、美しい。ちょうど良い時間つぶしになりました。ミューザ川崎に来たらまた寄りたい。

と、関係ないことを書いてたら音楽会の時間。前半は、モーツァルトのニ短調の協奏曲K466。すごくいい曲ですよね。ピアノは、モーツァルトを得意としている菊池さん。なんだけれども、わたし、前に彼女のモーツァルト協奏曲を聴いたとき、あまり印象が良くなくてどうかなぁとは思っていたの。で、今日はどうだったかというと、凄いとは思わなかったけど、誠実な演奏で楽しめました。モーツァルトはこう弾いたらみんなが納得するみたいな。なのでわたしも何かに引っかかることなく素直に音楽に浸れました。短調の曲も菊池さんに向いてるみたい。ただ、この曲の持つおどろおどろしいといってもいいくらいのドラマや不安は後ろに下がって、さりげなく仄かに暗い、というのが先鋭的なモーツァルトを好むむきからは物足りなく感じるんじゃないかしら、とも思いました。さりげなさの中に底の見えない井戸のような暗さが仄めかされるともっと良くなるような気がします。闇の中でドキリとする感覚が欲しいもの。

後半のマーラーは、よく頑張りました。エッティンガーさんの演奏は、体感的にはずいぶんと長く(退屈という意味ではなくて単純に時間的にです)感じられて、実際1楽章の葬送行進曲なんかはかなりゆっくりしたテンポだったんですが、速い部分もあったので実際には、少し長いくらい?そう、エッティンガーさんは、ゆったりとした部分の歌わせ方(フレーズの収め方)に強いこだわりがあって、それがとってもステキなんです。第1楽章と第2楽章が、そんなエッティンガーさんの音楽が思い切り示されていてとりわけ良かったです。東京フィルもよく頑張っていた(特にトランペット)。指揮者の思いはきちんと伝わってきました。ですが、弦楽器が管楽器に比べて少し弱く、指揮者の音楽を100%表現し切れていなかったのが少し残念です。新国立劇場のピットでの演奏が、いつも良いだけに意外でした。
エッティンガーさんのマーラーは、彼の要求をそのままきちんとした形で出せる、例えばフィルハーモニアみたいなオーケストラで聴いてみたいです。全然関係ないけど、ふと思い出した。今日と全く同じプログラム、セーゲルスタムさんとフィルハーモニアで聴いたんだった。フィルハーモニアって指揮者の音楽がわりとそのまま音に出るのでいいのですね。エッティンガーさんの裡にある音楽を脳内変換無しで思う存分聞いてみたいです。
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by zerbinetta | 2014-08-05 19:38 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

やっぱり校長先生 東京大学音楽部管弦楽団サマーコンサート   

2014年8月3日 @松戸 森のホール

ベルリオーズ:「ローマの謝肉祭」序曲
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
チャイコフスキー:交響曲第5番

三石精一/東京大学音楽部管弦楽団


東大のオーケストラが上手いって、ずっと前に友達から聞いて知っていました。ということでやっとこさ聴いてきました。本家本元というか昔からある東大オーケストラ、東京大学音楽部管弦楽団。
今日の指揮者は、長年東大オケを指揮してきた三石さん。三石さんって、風貌が小学校のときの校長先生に似てるのでどうしても校長せんせって思っちゃうのよね。で、今日分かりました。音楽も校長せんせっぽい!

またまた「ローマの謝肉祭」。1週間の間に3回も!東大オケの演奏も丁寧だけど、実は東大オケってすごく上手いと聞いていたので、上手いのは上手いのだけど、すごく上手いという訳ではなさそうなのでちょっと物足りなかった。勝手に想像の中でものすごく上手い東大オケを作っちゃってたわたしが悪いのだけど。若者たちが若くて、(なんか年とったせいかみんな若く見える)、まだ幼い感じ。容姿も音楽も。先生(指揮者)について勉強中って感じかな。セカンド・ヴァイオリンに(ソロを弾くように)若干陶酔型で弾いてる男の子がいてちょっと可笑しかった(彼の登場はこの曲だけだったような)。

「ハイドン変奏曲」は、最初の主題提示、ホルンが重なるところと重ならないところで鎧を着けたり外したりしている感じがあって(ほんとは、わたしのイメジでは、エビの殻があったりなかったり(エビの殻を剝くとき節ごとに剝いてるみたいな))、音量のバランス的にちょっと素のまま過ぎないかって思ってしまいました。指揮者の音楽なんだけど。でも全体的には、なかなか良い演奏だったです。

後半のチャイコフスキーの交響曲は、真面目で真っ直ぐな、おおむねインテンポであまり仕掛けてこないけど、王道を行くような(チャイコ的には王道って?と感じることもないことはないけど)演奏。この印象が、指揮者の三石さんを生真面目な校長せんせと感じた理由かなぁ。でも、1楽章から激しく盛り上がって、全体の構築はどうするんだろうっていうとこもあったり(昔大学院のとき先輩が大音量でかけてた若いバーンスタインとニューヨーク・フィルのCDの演奏もここでこんなに盛り上がってって同じ感じ)、結構熱い演奏ではあるの。学生もしっかりそれに応えて、夏の日の午後にスカッとする一服の清涼飲料。ホルンのトップの人がとても良い音色でした。
この音楽会、新入生を迎えての最初の学外ステージでしょうか(五月祭では演奏するみたいです)。定期公演も聴いてみたいです。

アンコールには、チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」。で終わりと思ったら、三石さんに替わってお嬢さんがおふたり出てきて、会場のみんなと歌う輪唱。ドイツ民謡の「歌声ひびく野に山に」。ちょっとびっくり。これは、恒例なんだそうです。ああ、それでプログラムに楽譜がついていたのか。進行を務めたお嬢さんの挨拶の仕方が、手をおへそのところで組んでのお嬢様風だったのが面白かった。そして、最初っから舞台にあったハープ、どこで使うのかと思ったら(本編では使わないので)、アンコールのため(だけ)に用意されていたのね。超びっくり。練習が一通り済んだところで、コントラバスのお嬢さんが指揮するオーケストラの伴奏で歌うのだけど、このオーケストラの伴奏は、本編の「ローマの謝肉祭」とかから採った旋律を編み込んでいたりする長い前奏が付いてて、ハープもここぞとばかり大活躍。カノンを歌うなんて中学生以来(?)上手く歌えたかしら。
最後はもう一度、ステージ袖から三石さんが登場してのカーテンコール(アンコールが終わるまで残っていたのね)でお開き。校長せんせといい、カノン合唱といい、なんだか学校に帰ったような音楽会でした。


♪♪
東京大学音楽部管弦楽団の次の公演は、第100回記念定期演奏会が来年1月17日、大阪、ザ・シンフォニーホール、1月25日、東京、サントリーホールです。
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by zerbinetta | 2014-08-03 00:26 | アマチュア | Comments(0)