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ベートーヴェンの精神 特別演奏会〜吹奏楽による第九〜   

2015年2月20日 @ミューザ川崎

村井邦彦/三浦秀秋:翼をください
村井邦彦/金山徹:虹と雪のバラード
岡野貞一/三浦秀秋:ふるさと
菅野よう子/三浦秀秋:花は咲く
ベートーヴェン:交響曲第9番
(吹奏楽編曲、1福田洋介、2石毛里佳、3小野寺真、4三浦秀秋)

吉田珠代(ソプラノ)、中島郁子(メゾソプラノ)
北嶋信也(テノール)、大沼徹(バリトン)

松元宏康/高津市民合唱団、混声合唱団「樹林」、世田谷区民合唱団
文京シビック合唱団、かわさき市民第九合唱団、神奈川県立湘南高等学校合唱部、
神奈川県立海老名高等学校合唱部、ブリッツフィルハーモニックウィンズ


吹奏楽で弾くじゃなかった吹く第九。去年か一昨年、初演されたのを聴き逃してしまったーっと思っていたら、なんと再演されるというので聴いてきました。どんな風になるんでしょう。ドキドキ。
実は、わたし、基本、原理主義者なので、オリジナル第一主義なのよね。主義というのは堅苦しくておこがましいけど、まあ緩い感じで。だから、吹奏楽もオーケストラからの編曲ものではなくて、吹奏楽のために作曲された音楽が一番と思ってました。編曲されたのはまがい物だ、みたいに。でも、そんな偏狭な考えは、プリエムさんの「海」や今日のブリッツさんのシュトラウスを聴いて改めたのでした。でも、まだそんなに管楽器が大活躍じゃないベートーヴェンの、一部のクラシック音楽ファンからみたら’神聖な’ベートーヴェンの音楽が吹奏楽になるとどう響くのかドキドキ。果たして上手くいくのでしょうか?

さて、今日は、実は、ブリッツ主体じゃなくてほんとは、高津市民合唱団の創立25周年の演奏会なのです。高津市民というから、群馬かどこかの市の合唱団なのかな、なんでミューザで記念の演奏会なんだろうと、勘違いしていたんだけど、川崎の団体なんですね〜。そりゃそうだ。でも何で高津?

前半は、吹奏楽の伴奏で、歌。どれもわたしでも知ってる名曲ばかり。流行り歌じゃなくてずうっと歌い継がれていくんでしょうね。わたしは、札幌オリンピックのずいぶん後に住んだけど、ジャンプ台はいつも見えてたし、歌は知ってたから、「虹と雪のバラード」には懐かしくて涙が出ちゃった。

後半は、いよいよ第九。もちろん、弦楽器はコントラバスだけ。合唱は人数が多くなって(多分前半が高津市民合唱団のみで、第九から他の合唱団が加わったんじゃないかな?)、結構大人数。これが良かったんだよね。
本来なら、弦楽器のみの緊張感に満ちた細かな刻みで始まる音楽が、管楽器のロングトーンで始まると、これはもうどうしようもないんだけど、少し違和感。そして、ちょっと驚きだったのが、管楽器って弦楽器より音がスピーディーだと思ってたんだけど、特に低音(吹奏楽だとチューバとかトロンボーンかな)の音のエッジの立ち上がりが遅い感じがして少し鈍重に聞こえるの。吹く楽器の方がアタックのエッジが効くと思ってたから意外。というようなことを考えた始まりの数十小節。でも音楽が進むにつれてそんなこと気にならなくなって。ベートーヴェンの音楽凄い。オーケストラとはまるで音色が変わってるけど、音楽の力が音から沸いてくる。ベートーヴェンの音楽の本質は、編曲されてもびくともしない。ベートーヴェンの精神は、もっとずっと深いところにあるのね。

吹奏楽への編曲は、各楽章別々に4人の人の手で行われています。わたし的には第2楽章と第3楽章が良かったんだけど、編曲者というより曲との相性かな?実際、最初の3楽章は、ほぼ同じ感じで編曲されていました。オリジナルに基本忠実。楽器を変えたり重ねたりすることで、新しい音色を作っていたところはほとんど聴かれませんでした。でも、楽器を移し替えただけではなくて、吹奏楽ならではの音になっていて面白いの。
それに対して、三浦さんによる第4楽章はより積極的。シロフォン(グロッケンだったかな?)とかベートーヴェンが使わなかった打楽器も加わります。それは効果的にも使われたりしたんだけど、例えば、楽章の最初の方で、前の3つの楽章を改装する部分で、前の楽章では使われなかったシロフォンが使われたりして、全体の整合性に欠けた部分があったのが残念でした。回想なので新しいものを付け加えちゃうと筋が通らなくなっちゃいます。それ以外で、使うのはいいと思うんですけど(でもちょっと派手かな)。

演奏そのものはとても良かったの。ってか、第九ってものすごい力があるから、演奏する方も聴く方も本気と書いてマジになる。その気持ちをしっかり受け止めて投げ返す力のこもった演奏でした。
指揮の松元さんは、わたしのイメジでは元気な、音楽を実に楽しく演奏する、聴かせる方だと思うんだけど、もしかすると裏腹に音楽に深みがないと言われるかもしれない。でも、わたし、フルトヴェングラーの音楽が精神的に深くてカラヤンがチャラい、なんて思ったことない感受性だから、クラヲタさんがよく言う深いって分からない。松元さんの第九は、フルトヴェングラーのような雰囲気はなかったけど、音楽に巻き込む力は素晴らしかった。それに、大人数の合唱団の特別な思いがこの音楽に乗り移って、全てを巻き込んでいく、前にも書いたけど、旗を振って民衆の先頭に立つ自由の女神なるベートーヴェンの音楽の世界観そのものだったと思います。わたしたちは、その自由の女神に先導される市民。音楽に巻き込まれて平常心でいられるでしょうか。まさにベートーヴェンの思惑通り、音楽に心動かされて熱い気持ちで音楽会をあとにしたのでした。音楽会に関わった全ての人にブラヴォー。
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by zerbinetta | 2015-02-20 10:35 | 吹奏楽 | Comments(0)

悪者のいないドラマ 新国バレエ「ラ・バヤデール」   

2015年2月17日 @新国立劇場

ラ・バヤデール

レオン・ミンクス(音楽)
マリウス・プティパ(振付)
牧阿佐美(改訂振付)

小野絢子(ニキヤ)、ワディム・ムンタギロフ(ソロル)
米沢唯(ガムザッティ)、マイレン・トレウバエフ(大僧正)
貝川鐵夫(ラジャ)、福田圭吾(マグダヴェヤ)
八幡顕光(黄金の神像)、他
新国立劇場バレエ団

アレクセイ・バクラン/東京交響楽団


「ラ・バヤデール」。アメリカン・バレエ・シアターやマリインスキーのを観たことあるけど、音楽と物語的にあまり好きではありませんでした。最後、危険ドラッグを吸ってわいやになったソロルの物語は解決することなくカタストロフィーで幕を降ろすところなんかも。女の闘いもどっちに共感して良いか分からず。。。女心が分からないと言っちゃそれまでだけど、ニキヤだって(最初に)刃物振りかざして襲いかかっちゃう人ですからね〜。と、恋に淡泊なわたしは冷静。あ〜だめダメ。というわけで、1回しかチケット取っていなかったんだけど、これはあとで猛烈に後悔。わたしだって、男を巡って争いた〜い(違)。

で、一番良さげな日を観に行きました。日程の都合でなぜか初日。絢子さん唯さん、新国バレエふたりのトップ・バレリーナのガチ火花の散る争いの日。これは見逃すわけにはいかないでしょう。

で、やっぱりつまらなかったかと言われると、そんなことなかった!音楽も安定の新国立劇場基準。バレエで音楽もちゃんと楽しめるのはいいですね。ストーリー展開は、そのままだけど、最後、ソロルがラリって、まだ未練がある自分が裏切った恋人の幻影(?)が出てきて最後、物語は魂(たましい)的にハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのか、敢えて曖昧のまま観る者に委ねられたのが秀逸。これで、物語がずんと重くなったの。「白鳥」では牧さんの改訂をけちょんけちょんに貶してるわたしだけど、これは凄く良かった。わたしは、ニキヤが復讐してると思いました。

踊りは、コールドからトップまでみんな一様に上手いので舞台に心置きなく集中する。初日なので、コールドの揃いは、少し緩いとこあるけど、これは舞台を重ねれば良くなるものね。
なぜか踊っちゃう(しかも目立って)金の仏像。金粉じゃなくて服なのね。八幡さんだったのだけど、もっとはっちゃけた踊りが欲しかったな。どうせストーリーのあまり関係のない闖入者なんだから、舞台に収まらないで舞台を飛び出たエネルギーとエンターテイメントの成分がもっと欲しかったです。びっくりさせるような高いジャンプとか速い回転とか。
濃ゆいトレウバエフさんの大僧正は、役に合ってました。それにしても、この人、宗教界の最高位にあるくせに女に手を出すわ、腹黒いわでよく分からん。まあでも、この人がいなければ物語が平穏になってしまうので役柄に文句を言ってもしょうがないんだけどね。トレウバエフさん、主役よりも性格的役柄が多いし、それがいつもピタリとはまるんだけど、このわりと淡泊な日本人のバレエ団にあって濃ゆさは異質。なので、主役よりも重要な脇としてずうっとこのバレエ団にスパイスを効かせて欲しいなって思います。そんな貴重な存在。

絢子さんは、最初ちょっと固かったかなと思ったんだけど。実は、わたしの感じでは、ワディムさんとのパートナーリングが、この間の唯さんのときのように上手くはまっていなかったようでした。もちろん、ふたりともちゃんと踊ってるし、ワディムさんのサポートも上手なんだけど、ふたりの、ふたりにしかできない、化学反応があまり感じられなくて、1+1が2のままで終わってしまった感じ。たまたまなのかふたりの相性なのかは1度観ただけでは分かりませんが、残念な、もったいなく思いました。ひとりずつ踊っていたときの方が、のびのびとして良かったのです。あと、ワディムさんは王子でした。でも、この役、戦士なんですよね。ふたりの女性の間でなよりと揺れる感じは、アルベルト(「ジゼル」)系。むしろヒラリオンだと思うんだけど。男の身勝手で女を不幸にする嫌な奴の性格的(見た目?)強さが欲しかったです。

唯さんのガムザッティは、もう少し、嫌みがあっても良かったかな。物語の中では絶対の悪役だと思うんだけど、なんかちょっぴり共感できちゃったり(わたしもダークサイド?)。現実の中では、ニキヤもガムザッティもそれほど変わらないし、どちらもソロルの犠牲者(そうだ!ソロルが一番悪い!)だろうけど、お話的には、やっぱりガムザッティは悪でないと話の輪郭がぼけてしまうと思うんです。白黒はっきりさせるハリウッド映画みたいに。でも日本人的には絶対の正義も悪もない、のかな。対立というより、みんなが悪者になりきれなくて、それぞれが少しずつずれていて悲劇を生み出すみたいな感じでした。でも、そういう演出だったのかもしれないし、それが子供のヒーローものだって今や悪と正義が曖昧な日本人の感覚に合っているのかもしれません。

と、いろいろ書いたけど、「バヤデール」なのにとっても楽しめたんですよ〜。「バヤデール」がもっと観たくなったくらいに。他のダンサーさんの解釈も観たいし(長田さんや本島さんのを観られなかったのが、っていうかチケット取らなかったのが大失敗。Z券、外れたし)、もっと観て作品をもっともっと深く理解したかったな。
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by zerbinetta | 2015-02-17 10:39 | バレエ | Comments(0)

これがご近所さんだったらなぁ 神奈川フィル音楽堂シリーズ   

2015年2月14日 @神奈川県立音楽堂

リゲティ:ミステリー・オヴ・ザ・マカブル
ハイドン:チェロ協奏曲第1番
ハイドン:交響曲第60番「うかつ者」

半田美和子(ソプラノ)
門脇大樹(チェロ)
川瀬賢太郎/神奈川フィルハーモニー管弦楽団


前から一度聴いてみたかった、川瀬さんと神奈川フィル、ヴァレンタインの日にハイドンのシリーズがあるというので何も考えずにチケット取ってました。「マカブル」もやるし、県立音楽堂って良いホールそうだから行ってみたかったし。でも、家からずいぶん遠かった〜〜。しかも駅からも遠かったし、道不安だったし。でも、お天気良かったから良かった〜。帰りには中華街にも寄ってきたし。やっぱり食い気。

楽しい音楽会。1番良かったのは、半田さんが歌った「ミステリー・オヴ・ザ・マカブル」。半田さんは初めて聴いたけど、とてもステキ。荒唐無稽でナンセンスな歌を自在にそして(とてもポジティヴな意味で)まるでリートのように歌ってやっぱりちゃんと歌なんだって思えたのが収穫。超高音とかウルトラCパッセージとか人を超えたヴォーカロイドチックな声の扱いも多い曲なのに何だか人肌の温もりを感じました。指揮者との掛け合いやコミカルな小芝居も楽しくて、日本語でのやりとりも吉。半田さんのゲポポでオペラ全曲観たくなりました。どこかでやってくれないかなぁ。神奈川フィルの小さなアンサンブルもなかなかステキ。あとで聴くハイドンのときは、まだオーケストラに深みがないというか少しボロが出た感じなんですけど、技術的には難しくても、感覚的に無理なく理解できる同じ時代の言語による音楽の方が演奏しやすいんじゃないかと思いました。

ハイドンは、神奈川フィルの首席奏者の門脇さんをソリストにしたチェロ協奏曲。中の人だけに、競奏曲ではなくて気の置けない感じの協奏曲になっていました。基本的に、ホールのこぢんまりさやハイドンってこともあるのかもしれないけど、オーケストラとお客さんがアットホームな雰囲気がありました。

うかつ者、なんてわたしにぴったりの交響曲も正直、表現や音色が単調でまだまだだと思いました。愉しいんだけど、ほんとはもっと愉しいんだ。ハイドンが仕掛けた冗談は愉しいんだけど、ハイドンの音楽ってもっとそこここに愉しさがあるはず。ハイドンの音楽をまだ全部知り尽くしてないような、楽譜の表だけじゃなく裏も読まなきゃって思いました。わたしたちとはもう言葉も違う古典なので、音符の言葉を丁寧に読まなければいけないんですね。音符を音にするだけでは足りなくて、音符にはできないニュアンスを表現しなければいけないんだけど、そのニュアンスの付け方が少し一本調子なように感じました。でもでも〜〜なんかステキなオーケストラ。帰り際もオーケストラのメンバーさんたちがホールの入り口に来てくれたり、ホールのカフェ?というかお茶コーナーが近所の婦人会のお手伝いっぽかったり、とても素朴なでも心温まるおもてなし。うちが近所だったら絶対ホームオーケストラにするっ!横浜は遠いのでめったに聴きに行けないのが残念。でも、遠くから応援します。そしてたまには聴きに行くよ〜〜。
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by zerbinetta | 2015-02-14 20:43 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

よりもどし パーヴ・ヤルヴィ/NHK交響楽団 ショスティ5   

2015年2月13日 @NHKホール

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

庄司沙也加(ヴァイオリン)
パーヴォ・ヤルヴィ/NHK交響楽団


来シーズンから音楽監督に就任するパーヴォ・ヤルヴィさんのフライング音楽会2回目は、シベリウスの協奏曲とショスティ。これも楽しみに、でも苦痛の渋谷を通って、出かけてきました。もちろん自由席。さて今日はどうなることでしょう。

まずは、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。演奏される回数では、というかわたしが聴いた回数(選り好みほぼ無し)では、ヴァイオリン協奏曲の中で多分ダントツトップな感じ(2番目はブラームスかな)。わたしも大好き。
ソロは庄司さん。彼女を聴くのは2回目です。さわさわと空気が揺れて、ヴァイオリンが歌い出したとき、おや、となってしまいました。蒼穹を高く、すうっと雲を引くように鳥が滑っていくのがわたしのイメジなんですが、庄司さんのはもっとふくよか。ヴィブラートをかけて歌ってました。第2楽章の前半もそうだったんですけど、わたしの好みからいうと歌いすぎ。透きとおった演奏が好きなのですが、庄司さんはうっすらと色を塗り込めた感じなんです。ただ、切れのあるヴァイオリン、アグレッシヴな突っ込みは健在。彼女の思うところの音楽を何の障害もなく表現しきれるところは凄い。誤魔化しのない明確な音たち。圧巻だったのは第1楽章のカデンツァ。上下に駆け巡る速いスケール(音階)にバッハを感じました。ヴァイオリン・パートはバッハの無伴奏の光りが射しているんだけど、ここまで直接的にバッハを感じたのは初めてでした。好みでないとこもあったけど、ここまで演奏されたら納得。兄ビーとN響の伴奏もとっても良かったしね。この曲の伴奏って、すごく難しいと思うんですよ(ものすごく失敗した演奏も聴いたことある)。ヴァイオリンを圧倒してしまうことなく、でも燃えるところは燃えた積極的な演奏で素晴らしかった。こうでなきゃ。
庄司さんのアンコールは、バッハかと思ったら、ピチカートだけでかわいらしい、シベリウスの「水滴」。とてもセンスのある選曲。

ショスティの交響曲第5番は、前回のマーラーほどではないけど兄ビーの面白さが出た演奏。最初の厚い弦の切り方に強い意志を感じました。太い筆でとめる筆遣い。おお、これは。と、ニヤリとしたんだけど、残念なことに、金管楽器がいつものN響に戻っていたのが残念。オーケストラの意地なのか、曲がマーラーのようにはっちゃけてないので極端な表現を避けたのか、面白い演奏にこそ聴き甲斐を見いだしているわたしにはちょっと不満。兄ビーのショスティは、意外と中庸なんだな。2楽章のスケルツォもわりとストレイトフォワードで音楽としては成功してるんだけどね〜、わたし的にはあまり新しい発見はなかったの。全曲の白眉は弦が主体の3楽章。オーボエのソロの孤独感も素晴らしかったし。ひとりの人間の奥深くにあって誰にも届かない孤独のようなものを感じることができました。この前のマーラーのときもそうだったけど、オーボエのトップの人はひとり(じゃないけど)気を吐いていましたね〜ステキでした。第4楽章もほぼ予想通りの展開。’らしさ’を見せたのは、最後の弦楽器のラの刻みの強調。プログラムによるとこのラの叫びは、不倫相手(の愛称)と私(作曲家)を暗示しているらしいんだけど。それはともかく、ラの音を執拗に鳴らすのは好き。とは言え、前に聴いたガードナーさんの演奏がホールいっぱいラの音で満たしたような凄い演奏だったので、それからすればおとなしいかな。ということでおもしろ好きのわたしからみると足りないんだけど、音楽的にはとてもとても素晴らしい演奏でした。最後のラだって音楽的な要求だったし、暗喩とか背景とかそういうのあまり意味をなさない、純粋な交響曲として演奏されていたと思います。逆説的だけど、だからこそそこから、ショスティが描きたかった普遍的な苦悩や希望が聞こえてきたんでしょう。

来シーズンから始まる、兄ビーとN響の共同作業。お互いに一筋縄ではいかないことを予感させたけど、N響が殻を破って世界のトップレヴェルのオーケストラへの足がかりがつかめることを期待しちゃいます。井戸が埋められて蛙が本当の世界に飛び出すことができすように。兄ビーの音楽会にはなるべく参加しなくちゃね。
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by zerbinetta | 2015-02-13 22:37 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

ヘドバンするヴァイオリン! オーケストラ・ルゼル第15回演奏会   

2015年2月11日 @すみだトリフォニー

サンサーンス:「サムソンとデリラ」よりバッカナール
ラヴェル:ラ・ヴァルス
サンサーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

平田寧子(オルガン)
佐々木新平/オーケストラ・ルゼル


招待券をもらったので、オーケストラ・ルゼルの音楽会に行ってきました。去年聴いて好印象のオーケストラです。知らなかったんですが、もともと電気系の大学の関係だったんですね。わたし電気苦手なんだけど、元電気関係のオーケストラって多くない?というか、電気関係の大学って多いのかしら。ルゼルさんは、若い人が多い感じです。平均年齢30歳くらい(?)

今日のプログラムは、フランスもの。サンサーンスの「オルガン付き」はこの間、新交響楽団さんで聴いたばかりだし、どうでしょう。音楽会の前にロビー・コンサートがありました。弦楽四重奏(チェロの代わりにコントラバス)とファゴットの合奏。ファゴットは、ロッシーニの「ウィリアムテル」序曲から有名な「スイス軍の行進」をファンファーレのとこからやったのだけど、勇壮な行進曲もファゴット・アンサンブルでやるとどこか剽軽で笑っちゃった。面白いね〜楽しいね〜。
それから、会場では、オルガンのソロのプレコンサート・パフォーマンス。トッカータとフーガとヴィエルヌの「ウェストミンスターの鐘」。学校のチャイムで有名な曲ですね。こちらの方が今日のオルガンに合ってると思いました。それにしても音楽会の前にお得感2倍。

さて、今日の音楽会、一言で言うと楽しかった〜面白かった〜。
まず指揮者の人が、ちょっとかっこつけてる風で、オレカッコよく指揮してるぜ〜って感じぷんぷんでしっかり見せて(魅せて)くれるんです。そこから出てくる音楽もちゃんとかっこいいからいいの。アマチュアらしい音楽の楽しさを上手く引き出してる。オーケストラの方も指揮者に付いていって、指揮者とオーケストラの化学反応がとても上手くいっていて、佐々木さんのやりたい音楽がしっかり音になってるのがステキ。佐々木さんはノせるタイプね。ひとりひとりが積極的に音楽を奏でることを教え込んでる。それは、オーケストラの人たちの体の動かし方でよく分かるの。ヨーロッパのウィーンフィルとかフランスのオーケストラとか、表情豊かに大きく体を揺らしながら音を鳴らすオーケストラあるけど、そんな姿勢を目指してる(日本人はあまりやらない。イギリスのオーケストラも)。
それは、最初の扇情的に演奏された「バッカナール」から感じたんだけど、特に良かったのが、みんなくねくねと演奏していた、「ラ・ヴァルス」。佐々木さんの音楽とオーケストラの姿勢がものすごく一致して、歯磨き粉のチューブを絞り出すように、にゅるにゅると音楽を奏でていました。面白いユニークなラヴェルだけど、これもアリ!全員が体を揺すって演奏していたヴィオラ・セクションにブラヴォー。上手かった。

でも、すごく面白かったーーっと笑いながら言えるのは、それじゃないの。そう、帰りにお客さんがみんな口々に話題にしてた、若干1名。第一ヴァイオリン男子。もう最初っから目立ってました!それは凄まじく、場違いなほどに。だって、ロックのギタリストがノリノリでヘッドバンキングするかのように激しく身を悶えさせて弾いてるんですもの。周りの人、ぶつかったり気が散って引きにくいんじゃないかと余計な心配をするくらい。コンサートマスターは、オーケストラをリードするのに体を使って弾いたりもするけど(あっ、今日のコンサートマスターさんもわりと大きな身振りで弾いていましたが)、そんなレヴェルじゃないし(かなり激しいソリスト・レヴェル)、第一彼、後列でコンサートマスターですらないの。もう目が一点に釘付けよ。
最初は、彼だけが突出して身悶えていて他の人たちは、普通に弾いていたんだけど、2曲目の「ラ・ヴァルス」では、みんなが体を揺らして弾いていた(もちろん彼ほどではなく、ヨーロッパのオーケストラに比べても控え目なんだけど)ので、指揮者は、体で表現することを音楽に求めていたのではないかしら。それを極端に体現しちゃったのが彼。おもしろ素晴らしい。(全員が彼みたいに弾いたらとんでもないことになっていたでしょう。見てみたい気もするけど)

「オルガン付き」の交響曲は、ノリノリ感覚で弾ける曲ではないし、彼を除いて、揺れは控え目だったけど、音楽には、発熱する積極的な気持ちが入っていました。美しく精巧な音楽というよりも、情熱的なサンサーンス。わたしは、この曲は感情を排した精緻な作り物だとおもってるんだけど、情熱的なのもアマチュアらしくていい。というより、こういう演奏の方がアマチュア・オーケストラの長所を出せると思うんです。それを上手く引き出していた佐々木さんは、このオーケストラととても相性が良いのでは、と思います。プロのオーケストラでどんな音楽をするのか興味もあるんですけど、今日の音楽会を聴く限り(練習とかを見ていないので確かではないけど)アマチュア・オーケストラにとって良い指揮者だと思いました。かっこつけてるのが音楽に表現されて嫌みに見えないのもいいですね。


♪♪
オーケストラ・ルゼルの第16回演奏会は、8月9日、かつしかシンフォニーヒルズです。珍しく歌付き。
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by zerbinetta | 2015-02-11 15:14 | アマチュア | Comments(0)

たくさん捧げられてきました BCJ 音楽の捧げ物   

2015年2月8日 @佐倉市民ホール

バッハ:オブリガートチェンバロとヴァイオリンのためのソナタ BWV 1016
バッハ:オブリガートチェンバロとフルートのためのソナタ BWV 1030
バッハ/鈴木雅明:「われ天の高きところより来たりぬ」に基づくカノン風変奏曲 BWV 769a
バッハ:音楽の捧げ物 BWV 1079

鈴木雅明(チェンバロ)、若松夏美(ヴァイオリン)
荒木優子(ヴァイオリン、ヴィオラ)、管きよみ(フルート・トラヴェルソ)
武澤秀平(チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ)


バッハが苦手です。それは、のだめが告白するように「バッハは正しすぎる」と感じるから。なにか、不完全でダメダメなわたしには、近づきがたいものを感じてしまうんです。ところが、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏を聴くとそんなこと思わなくなるんですね。正しさよりも温かさを感じるバッハ。

今日は「音楽の捧げ物」。ものすごく不思議な感じのする良い曲なのにあまり演奏機会がないらしいの。バッハがフリードリッヒ大王を訪問したとき、王が示した主題をバッハが即興演奏したものを基にさらに書き足してカノンやソナタの曲集としたもの。この’王の主題’自体がとても不思議な感じのする旋律で、わたしは、これ、昔ラジオでよく流れていた(確か「現代の音楽」のテーマ曲)、6声のリチェルカーレのウェーベルンによるオーケストラへの編曲によって知ったの。バッハのオリジナルのを聴いたのはずいぶんあと。ウェーベルンのは点描的なオーケストレイションと旋律の現代曲っぽさで、元はバッハの曲なのに現代音楽のように聞こえます。暗い空の彼方から聞こえてくるような音たち。

音楽会は雅明さんの短いお話付き。これが、聴くポイントをしっかり教えてくれてとても良かった。特に「音楽の捧げ物」の解説は、迷うことのない地図になりました。チラシには「音楽の捧げ物」としか書いていなかったので、それだけの短い音楽会かなと思っていたら、前半にはソナタとかあって終わってみたらものすごく充実した内容。いろいろ捧げられまくり。

前半は、ヴァイオリンのためのソナタとフルートのためのソナタ。そして、カンタータの中のカノンを今日のアンサンブルのために雅明さんが編曲したもの。
ヴァイオリン・ソナタは、ビヨンディさんとアレッサンドリさんの演奏のCDで親しんでいて、それがものすごくスタイリッシュでかっこいいんだけど、今日の若松さんと雅明さんの演奏は、もっとソフトで親しみ易い感じ。ティアーデって感じかな。この曲の明るい楽しい雰囲気と合っていて、凄みはないけど、寛いで音楽を聴けるのがステキでした。

フルート・ソナタは初めて聴く曲。やっぱり好きだ〜フルート・トラヴェルソ。ソット・ヴォイチェというか、高音楽器だけどメゾという感じで、キーのない木管楽器の音色は、上質のタオルの肌触り。人肌の音。管さんのトラヴェルソは、まさにそんな音の優しい歌。難しい曲なのかもしれないけど、そんなことは微塵も感じさせない軽やかな演奏でした。

カノン風変奏曲は、さっきまで雅明さん(チェンバロ)の譜めくりをしていた女の子が、オルガンで参加。オルガニストだったんですね。プログラムに名前のクレジットがなく、雅明さんがさっと紹介しただけなので名前は覚えてないんですが。今日一番の大編成(?)で、有名なルターのコラール(賛美歌でよく歌いました)をカノンで飾ってるんだけど、ときおり前面に出てくるコラールの旋律が、あっ来たか!って感じで喜び倍増。

「音楽の捧げ物」は、トラヴェルソ、ヴァイオリン、ヴァイオリン/ヴィオラ、チェロ、チェンバロの5人編成(曲によって変わるんですけど)。最初に「王の主題による各種のカノン」5曲が奏されて、3声、6声のリチェルカーレ、ソナタとカノンへと続きます。この音楽、どういう編成で演奏するのか、どういう順番で演奏するのか、演奏者の考えで違うんですけど、今日のは、最初にシンプルな単品のカノンがあって徐々に複雑に発展していく感じで良かったです。テストの簡単な計算問題から文章題に進むみたいな順番。締めのソナタは、華々しい音楽だしね。
各種のカノンでは、雅明さんの解説があったので、螺旋カノンが面白く聴けたし、バッハの仕掛け(予想外の音を闖入させてどっきりさせるとか)が明確に聞き取れて面白かったです。バッハって’正しい’人だと思っていたけど、わざと‘正しくない’ことをチラリと入れて舌を出したり、意外と茶目っ気のある人なんだな。
ひとつの主題から、楽器を変えたり、部品の組み合わせを変えたり、旋律をちょっといじったり、まわりを変えたりで生み出される多彩なカノンの音楽。カノンって、厳密な規則があったりものすごく完璧な音楽だけど、バッハの手技はそれ以上にものすごくて畏れ入るばかり。でも、それが演奏されるともう本当にステキな音楽なんですね。BCJの人たちは、完璧な上に寛いだ雰囲気まで付け加えて、いつも一緒に演奏しているお互いの信頼感がなせる業ですね。そして、みんながバッハをずうっと演奏してきて、バッハがそばにいる。わたしにはまだ威厳のある怖い(正しい)人のバッハも、彼らにとっては親しい友達なのかもしれません。バッハって意外にツンデレ。わたしも早くツンを卒業してお近づきになりたい。万華鏡のような音楽はあっという間。そしてその充実感。ものすごく精巧に彫られた掌中の象牙細工の美しさをじっと見つめていたみたい。ほんと音楽って素晴らしい。バッハがまた好きになりました。
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by zerbinetta | 2015-02-08 23:35 | 日本のオーケストラ | Comments(1)

新しい時代の到来の予感 パーヴォ/N響 マーラー1   

2015年2月7日 @NHKホール

エルガー:チェロ協奏曲
マーラー:交響曲第1番

アリサ・ワイラースタイン(チェロ)
パーヴォ・ヤルヴィ/NHK交響楽団


兄ビーことパーヴォ・ヤルヴィさんが、来シーズンからN響の音楽監督になられるという発表には驚かされたけど、今日は一足早く、その兄ビーがN響に客演。プレお披露目コンサート?期待期待。
でも、実は、わたし、兄ビーとはあまり馬が合わなくて、、ついでに今日のソリストのワイラースタインさんとも馬が合わなくて、、、しかもN響はあまり好きじゃなくて、、、、さらに渋谷は電車を降りたとたんにうんざりで。つらい。。。と、へなへなと出かけてきたんだけど、帰りは渋谷の坂をスキップで下りたい心境。いやぁ楽しかった。面白さ抜群。超充実の音楽会でした。結論を先に言うと、熱く感動した演奏ではありません。感動はしたんだけど、もっと知的な興奮で、例えて言えば、深遠な問題が E=mc^2 のようなシンプルきわまりない数式で解決する美しさに感動したみたいな。それをマーラーの最初の交響曲で聴けるなんて。そしてN響の変貌ぶりに大拍手。

プログラムの前半は、ワイラースタインさんのソロでエルガーのチェロ協奏曲。ワイラースタインさんは最近、人気急上昇の若手チェリスト。とても魅力的な音の持ち主です。わたしもそれはすごく同感なんだけど、どうしても音楽がすれ違っちゃうんです。エルガーもちょっと素直な感じですうっと抜けてる、広々とした感じが、何だかイギリスの冬のどんより感と合わなくて(あっ。イギリスでもお天気の日はうんと気持ちがいいんですよ。たまにしかないから尚更)。わたしの好みは、もっとスモーキーで口に残る渋さのある演奏。それが彼女には足りないというか、彼女の良さは別のところにあるというか。ほんと音はきれいで、最弱音でも大きなNHKホールを響かせちゃう(最弱音のまま痩せずに最上階の席に届く)音のコントロールはすごいと思うもの。
アンコールには、バッハ無伴奏チェロ組曲第3番から「サラバンド」。ハミングするような静かなバッハでした。彼女はバッハをどう弾くのかしら?全曲を通して聴いてみたいです。

後半は、マーラーの交響曲第1番。プログラムには、前島さんがこの曲の成立史を書かれていて、最終的な交響曲第1番には「巨人」というタイトルは付いていないと書かれているのに、曲目には敢えて「巨人」と付いていたのが反目してるようでちょっと可笑しかった。わたし的には、最近たまに演奏されるようになった交響曲の前身の5楽章版の「巨人」と区別する意味で、交響曲は単に第1番と呼んでるけど、まあ細かいことを言わなければどっちでもいい。「巨人」といって元になった小説を読んだことのある人はいないだろうし、まさか「進撃の巨人」や野球のチームを思い浮かべる人もいるまい(ちょっとかっこつけてまい)。抽象的すぎてもはや単なる記号のようなものだろうし、ニックネームがある方が親しみやすく覚えやすいという人もいるだろうからそんなに目くじら立てなくてもって感じ。それに、第3楽章についてた表題、「カロ風の行進曲」は、(カロではなくて)シュヴィントの絵を思い浮かべるととても感じがつかめるし。と、長々と書いてしまった。あっちなみに、わたしは、「巨人」のタイトルの付く前の一番最初のヴァージョンが大好きです♥

兄ビーとN響のマーラー、始まりの静かなラの音から張り詰めた引き込まれるような空気を醸し出していました。ゆっくりとしたテンポで楽器の音色やバランスに細心の注意が払われていて、春の始まりの夜明け前というより、革命前夜の緊張感。お散歩するような旋律が出てきてほっとするのもつかの間、なかなか気持ちが晴れない音楽。リピートで2回目を1回目とは違う表情を付けたり、ほんと細かいところにまで目を配ってるのだけど、決してわたしたちを寛がせない音楽。まるで世界を歪んだ鏡で見ているように、いろんな音がデフォルメされたり隠れているものが見えてきたり、歪んでいるけどひとつひとつは異様にクリア。
兄ビーはわざと焦らして、エネルギーを解放させない。一直線に盛り上がるんじゃないかと思うと引っ込めちゃったり、音楽を止めたり、手練手管で焦らしまくるから、わたしの中に行き場のない快感がどろんと淀んできて、もうこのまま春は来ないんじゃないかと思ったとたん最後の最後に音を解放して終わるという、見事な作戦。わたし的には、第1楽章はもっと素直に春、でいいんじゃないかって思うのだけど。。。

第2楽章は、最初ゆっくり初めてアチェレランド。このやり方は前に聴いたことあるんだけど、今日、兄ビーので謎が解けた。トリオを挟んで2回目はアチェレランド無しだから、このアチェレランドの部分(4小節?)は、序奏なのね。この楽章も、木管楽器が色彩的で(今日の木管楽器、ときにオーボエはブラヴォ)素敵。ホルンのゲシュトップでのベルアップもトップの人、あり得ないベルアップして、視覚的にも楽しいの。1楽章を聴いた後なので、わりと普通かなと思ったら、ホルンの消えていく独り言のような合図の後のトリオは、とてもゆっくりと春の日の中であくびをするように、の〜〜〜んびりとした音楽。兄ビーさんのフレーズの最後をすううっと抜いて音楽を止めて、またやり直すのは一瞬危険だけどはっとさせられる。

第3楽章の始まりのコントラバスはソロで。今日の白眉は、闖入者。動物たちの葬送の歩みに闖入してくる陽気な楽隊。その大太鼓の音色にものすごくこだわりがあって雰囲気に合っていて最高。こんなの初めて聴いた!それにしても、突然の闖入者のコントラスト、これがもう唐突で、でもマーラーが描いた世界ってこういうのよね。以前にオランダの街を夕暮れ時に歩いていて、路地を折れたら急に手回しオルガンが目の前に聞こえてきた驚き。もしくは、下北沢の商店街を歩いていたら突然賑やかなちんどん屋さんと邂逅した、時を遡った郷愁。菩提樹の下、雪のように舞う花びらの中で夢を見ていた。

突然のシンバルの強打、この音色が今日の2番目のびっくり。それにしても、兄ビーの打楽器への音色のこだわりハンパない。何と言う色彩的な打楽器群。今日はほんと、打楽器と木管楽器が素晴らしかった。相変わらずの音楽を止めるかのようなフレージングが炸裂して、巨木が倒れるようなつなぎの部分とか、叙情的な第2主題で効果を発揮。面白いったらありゃしない。もう脳細胞をつつきまくられて知恵熱が出るような興奮。最後は、トロンボーンやトランペットの助けを借りずに、譜面通り立たせたホルンでしっかり盛り上がって(と言ってもわたしの理想は、バンダのホルン10本くらいを客席から演奏させて大盛り上がりなんだけど)フィニッシュ。納得の演奏。ではあるんだけど、熱く感動したかというとそうではなくて、面白くって知的興奮の方がはるかに大きな演奏でした。情より知が勝る演奏。もっとストレイトに青い若さで情に訴える部分があればすごい名演になったんだけどな。兄ビーさんはそんな青臭さを出すにはもう老獪すぎる?この曲大好きなのに、心の底からのめり込んで感動したという演奏にはまだ出会えずにいるのよね。多分、わたしの脳内理想音楽がヘンテコな方にいってるからだと思うのだけど。とは言え、記憶に残る間違いなく素晴らしい演奏でした。客席も熱を持って盛り上がり。

それにしても今日のN響、いつもの上手いけどもやもやを感じさせるN響じゃなくて嬉しいびっくり。来シーズンからの兄ビーとN響の結婚、素晴らしいものになるんじゃないかと予感。N響、変われるんじゃないだろうか。全ては、N響が変化することを躊躇わない一歩を踏み出せるかどうか、お客さんが新しい音楽の地平を受け入れられるかどうかにかかっているのですけど。わたしは、楽しみにします。兄ビー、思いきりやってくれーー。
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by zerbinetta | 2015-02-07 23:11 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

へたくそでも好き ろうさいの森アンサンブル第7回定期演奏会   

2015年2月7日 @銀座ブロッサム

ブラームス:悲劇的序曲
伊福部昭:交響譚詩
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

室賀元一/ろうさいの森アンサンブル


銀座に買い物へ出たついでに、否、半分はろうさいの森アンサンブルを聴きたいがゆえに、銀座に来ました。ろうさいの森アンサンブルは、初心者でもOKなので、決して上手なわけではないけれども良い音楽をするな〜というのが前回聴いた印象です。
今回も全く同じ印象。技術的な不足は否めないけど、音楽はとてもいい。指揮者の室賀さんがオーケストラに音楽的な弾き方、前に出る後ろにさがるバランスの取り方、フレーズの作り方切り方等をひとつひとつ忍耐強く指導してこられたんでしょうね。オーケストラの方も真剣にそれに応えて音楽を作ってきたことが窺えます。伴奏の鳴らし方とか合わせ方とかみんなひとつの音楽を作っているもの。上手なアマチュアやプロのオーケストラでさえもときどき音楽を知らないで弾いてると思うことあるから、これは褒めても褒めすぎじゃないステキなこと。オーケストラの平均年齢が高いのも関係してるのかな。音楽を長く好きで経験してきた時間は、きっと音楽ににじみ出てくるもの。ほんとの愛好家の集まり。

演奏は、中では伊福部の曲が意外と良かったです。日本人の血が弾きやすさにつながるのかな。自然にそのままわかり合えてる感じで。「田園」は、やっぱり難しいかな。

アンコールには、ドヴォルザークの交響曲第8番から第3楽章。なんで?今度の音楽会でやるのかな?と思ったけどそうではなさそう。純粋に弾きたかったのね、きっと。今度は全曲聴きたいな(確か、かなり難しいハズ)。

残念なのは、夜の部があるので時間が無くて寒天食べに行けなかったこと。早くに出てきて音楽会の前に行けよって話ですが。ちゃんちゃん。


♪♪
ろうさいの森アンサンブルの第8回定期演奏会は、8月29日、大田区民プラザです。
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by zerbinetta | 2015-02-07 01:19 | アマチュア | Comments(0)