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最近好調 新交響楽団第230回演奏会   

2015年7月26日 @東京芸術劇場

ラヴェル:古風なメヌエット
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲
マーラー:交響曲第4番

コロンえりか(ソプラノ)
矢崎彦太郎/新交響楽団


アマチュア・オーケストラの雄、新交響楽団さんの音楽会。先日OB交響楽団の音楽会で聴いたマーラーの交響曲第4番がかぶってます。聴き比べーー。

プログラムの前半は、ラヴェル。「古風なメヌエット」は、題名通り、古典的な色合いのメヌエットをラヴェルのカラフルな色彩で飾った佳曲。繰り返しスタンプのように押されるティンパニを含んだ終止音型が好き。この曲を聴き始めたとたん、やっぱりこのオーケストラ上手いと思いました。ちょっと最近好調な感じ。

2曲目の夜明けはゆっくりときめ細やかな響きで音楽が始まりました。ここの音色の色彩がステンドガラスを通した光のようにキラキラと交差する音楽。そりゃあ、上手いプロのオーケストラと比べちゃうと個々の音色の際立ちに不足を感じるかも知れないけど、でもこれは素晴らしい。矢崎さんは、鳥のさえずりや朝のざわめきの背後に持続して流れる明確な音を作っていてそれがもうほんとにステキで、こんな演奏はプロでもなかなか聴けるものではないよ。底に静かに間断なく満ちている音は、なにか根源的な羊水の意識のようなものを感じさせます。最後もしっかり盛り上がってカタルシス。

マーラーの交響曲第4番は、先日もアマチュア・オーケストラで聴いたばかり。易しい曲のように見えて、精巧な仕掛けがこれでもかと思うほど仕込まれていて、わたし的に満足する演奏に出逢うのは難しい感じだけど、今日の新交響楽団さんもとても良い演奏をしてくれたと思います。もちろん、ソロも多いし、それは流石にプロのオーケストラには及ばないんだけど、音楽のまとまり方がとても良くて、安心して聴いていられるのがいいの。矢崎さんの演奏には洒脱な明るさがあって、しゃんしゃんと楽しげなこの曲の雰囲気も良く出ていました。不純物のない透きとおった感じは、マーラーの交響曲の全体からは、少しはみ出してるかもだけど、そういうアプローチも逆にこの曲の魅力を引き出しますね。途中大太鼓の強打で楽器がひっくり返りそうに見えてドキリとしたところもふふふポイント。もったいないことと言えば、コロンえりかさんの歌がちょっと弱かったかな。もう少し主張があって目立っても良かったかも。いたずら者の子供のように。
アンコールをしないのも音楽の余韻が残って嬉しかったです。
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by zerbinetta | 2015-07-26 13:15 | アマチュア | Comments(0)

またまた新星 17歳 山崎亮汰、大井剛史/シティフィル   

2015年7月18日 @ティアラこうとう

ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」より第1幕への前奏曲「モスクワ川の夜明け」
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
ブラームス:交響曲第1番

山崎亮汰(ピアノ)
大井剛史/東京シティフィルハーモニック管弦楽団


シティフィルさんのティアラこうとう定期、今日は大井さん。
でもその前に、わたしは苦言を呈したい。室内楽をナメたらあかん。いつも開演前にロビー・コンサートをやってくれるんだけど、お願いだからもっと練習して準備して。前回は、クラリネットのソロが活躍する曲だったので個人技で聴けたけど、今日の「フィンランディア」弦楽合奏版は、弾けてない。多分、毎回、順繰りにメンバーを決めてやってるんだと思うんだけど、(難しい曲じゃないから)ささっと合わせただけで弾いちゃう感じかなと想像するんだけど、室内楽のアンサンブルってオーケストラ合わせるのよりはるかに誤魔化しがきかなくて難しいと思うんです。どうか人に聴かせるものやるんならそれなりの準備はして下さい。サーヴィスだからテキトーでいいなんてどうか思わないで。
でも、本番はいいんですよ。わたし的には大好きなオーケストラ。だからそのギャップがねーー。

始まりは、ムソルグスキーの「ホヴァンシチナ」の前奏曲。静かな音楽で心にしみ込んできます。大井さんの音楽は、とても自然で、力みがなくとても美しいんです。音楽で何かを主張してやろうみたいな恣意的なところがなくて(多分そういうところは好き嫌いがあると思うんだけど)、作曲家によって書かれた楽譜の音楽を裏を読むことを排してそのまま音にした感じ。音楽だけで美しい。

プロコフィエフのピアノ協奏曲は、山崎亮汰さんのソロ。今回初めてその存在を知ったんだけど、ピティナ・ピアノコンペティションというコンクール(日本)で昨年、特級グランプリをとった方。なんと現在高校2年生。名前を聞いたことのない人だし(当たり前か)、あまりたいしたことないだろうなんて失礼なことを思っていたら、とんでもない。予想をはるかに超える素晴らしさ。左手の強さとスウィングするようなリズムが、メカニカルな音楽に初めて聴くようなユニークなうきうき感を加えていて素晴らしい。プロコフィエフをこんなに楽しげに演奏するなんて。反面、叙情的な部分は、まだ覚醒していて、これが夢の世界に入ればもっといいのにとは思いました。昼のしがらみから解き放たれた夜の音楽に。でも、この人、前に聴いた牛田さん(と同年代)と共に、スタイルは違うけど凄い才能。これから、技術的にも精神的にも音楽を深めて世界の第一線で活躍するピアニストになって欲しい、というか絶対なれる。親戚のおばさん目線で温かく見守りたい。
ソリスト・アンコールは、スクリャービンのエチュードから「悲愴」。よく弾いている曲なのでしょうか。自信に溢れた演奏でした。

最後のブラームスは、とても自然体というか、明るい爽やか系。ベートーヴェン的な闘争から勝利へみたいな図式ではなく、最後、大らかな自然の中に解放されてハッピーエンドがもたらされるブラームスの時代に合った((市民社会の)闘争よりも成熟の)解釈の音楽でした。第4楽章の晴れやかで気持ちの良いこと。ブラームスが茶渋系なんて誰が決めた?イケメンなんだよー彼は。恋するブラームス。いや、ブラームスに恋するだわ。そして、大井さんとシティフィルも相性良さそう。大井さんとシティフィルは特別な関係には、ないみたいだけど、ぜひ、相思相愛になって良い演奏をこれからも聴かせて欲しいな。
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by zerbinetta | 2015-07-18 23:27 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

オペラチック! OB交響楽団第187回定期演奏会   

2015年7月4日 @ティアラこうとう

ワーグナー:「パルシファル」から前奏曲、聖金曜日のための音楽
マーラー:交響曲第4番

松尾香世子(ソプラノ)
松岡究/OB交響楽団


OB交響楽団は、創業1937年の東京の社会人アマチュア・オーケストラの一番の老舗。創業元徳元年のくるみ餅屋さんとか、老舗が大好きなわたしにとってそれだけで好きになっちゃうオーケストラなのです。内々のことは分からないし興味もないのだけど、多くのアマチュア・オーケストラが生まれたり消えたりしていく中で、長く続けてきたことにはご苦労もたくさんあったし今も色々あるのだろうけど、こうしてまた音楽会ができるのってほんとに素晴らしいですね。平均年齢高めのオーケストラからは、酸いも甘いもかみ分けた大人の余裕と雰囲気が。ギラギラ尖って輝いているのも好きだけど、こういうしみじみとしたいぶし銀的な色合いもステキ。

音楽は、ワーグナーの「パルジファル」から有名な前奏曲と聖金曜日のための音楽。ゆっくり目のテンポで雰囲気を出しながらなかなか聴かせてくれる演奏でした。音の粘りとか響きの豊かさとか、アマチュアゆえの不足もあるんだけど、トロンボーンなんかは良い音出してたり、松岡さんとオーケストラの求めている音楽の響きが頭の中で聞こえてくるようで良かったです。脳内変換で理想の音を勝手に想像して聴いているんじゃなくて、音は不足してるけど、どんな音楽を求めているのかが明快に伝わってくるので音が自然に聞こえるんです。そういう意味ではとても良い演奏。

後半のマーラーの交響曲第4番は、わたしに変なこだわりがあるのでなかなか上手に聴けない曲。この曲の話題が出るときはいつも言ってるんだけど、この曲って、表面上は軽くて楽しげな音楽なんだけど、マーラーの交響曲の中で、一番実験的で新規性に富んでると思うんですね。ちゃんと演奏するのもとても難しいんじゃないかってね(特に出し入れの激しい対位法的なところ)。でね、OB交響楽団の演奏は、もちろん演奏技術的にはプロには遠く及ばないけど、いろんなパートがちゃんと絡んで聞こえてきて、いいなって思ったんです。松岡さんの指揮も音楽の流れをとても上手くまとめていて、でも適当なところでこぢんまりとまとめてるふうではなくて、音楽の輪郭をオーケストラの能力の先にはっきりと示しつつ、聴かせてくれたのがいいなって思ったんです。
そして、第3楽章の最後の部分、弦楽器が(譜面が)チョウチョのようなアルペジオを奏でる中ティンパニが大きく叩かれるところ、わたし的には天国の扉が開くイメジなんだけど、今日のはまさにそうでした。ステージドアが開いてお人形のようなソプラノさんが現れました。オペラチック。松尾さんの歌もかわいらしく演劇的で、表情豊かな仕草が(少し一本調子なところはあったけど)視覚的にも魅力的で、ああ、こういう解釈もいいなって思いました。ありそうでなかった感じ。

アンコールには、シュトラウスの4つの最後の歌から「夕映え」。シュトラウスに関しては、歌もオーケストラももっと艶やかなグラマラスな音を出して欲しいなと感じました。
そして最後は、「ローエングリン」第3幕への前奏曲で華々しく音楽会はお開きになったのでした。


♪♪
OB交響楽団の次の演奏会は、第188回定期演奏会が10月12日、杉並公会堂です。シベリウスのヴァイオリン協奏曲をOB交響楽団のコンサートマスターの方が弾きます。
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by zerbinetta | 2015-07-04 23:22 | アマチュア | Comments(0)

癒えることのない幸せの傷 ロト/読響「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」   

2015年7月1日 @サントリーホール

ブーレーズ:「ノタシオン」から第1、7、4、3、2番
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉

郷古廉(ヴァイオリン)
フランソワ=グザヴィエ・ロト/読売日本交響楽団


今日は寝不足でとっても眠たかったので、ハイドンのアダージョ7連発は厳しいなぁと思ってたら、ところがどっこい、素晴らしすぎて前のめりで聴いてた(気持ちですよ〜)。まだ、トリスタンや後半聴いてないけど、すでに今年の読響の1番にしたい。

ロトさんを聴くのは初めてです。ロンドン・シンフォニーに客演したとき聴くチャンスはあったのにチケット取らなかったんですよ〜。写真を見ておじさん?って思っちゃったんです。知らない人は若い人中心に聴いているので、でもこの人、若いんですよね。しかもユニークな活躍ぶりはあとで知るところに。痛恨。

初めて聴くロトさんは、噂に違わず凄く良い指揮者。自分の音楽をしっかり持っているし、それをオーケストラに伝えて引き出す力も持っている。そのことは、最初の「ノタシオン」から確信しました。「ノタシオン」はブーレーズの最初期(19歳!)のピアノ曲。とても短い曲の集まりなんですけど、その中から5曲を作曲家本人が選んで、超拡大して大編成のオーケストラ用に編曲しています。小さなピアノ曲とはまるで別物。小さな芋虫が変態して巨大なウワバミになったみたいな。ブーレーズさんには嫌な顔されちゃいそうだけど、メシアンに似てた。それもトランガリーラの頃の。そして音楽から来る音響の快感。色彩感豊かな読響の音もこの快感を後押ししていました。

続くベルクのヴァイオリン協奏曲の独唱者は郷古さん。ごうこすなおさんと読むらしいです。弱冠21歳のイケメン系ヴァイオリニスト、なのかな?イケメンで売り出してるのかは知らないけど(そんなことしてませんように)でもかっこよかった♡ただ音楽は、よく分からなかった、というかどこに焦点を当てていいのか分からなかった感じ。この曲を弾くにはまだ若すぎるのかなぁ。とても上手いんだけどちょっと残念。ロトさんの方も、よく分からないうちに音楽が終わってしまったという感じで、あれ?いつバッハが聞こえた?って虚を突かれてしまいました。ううむ。わたしがぼんやりしてたのかなぁ。

最後のハイドンは。もうこれは言葉を失う名演。1時間近くゆっくりした音楽(最後に激しい地震の音楽が鳴りますが)に吸い込まれるように聴いてしまうとは。眠気なんて微塵も感じさせません。凄い集中力。こんな音楽だったとは。ハイドン凄い。ロトさん凄い。読響凄い。なんか凄い凄いで言葉にも感想にもなってないんだけど、ほんとに言葉にできないような体験。
実は、ハイドンのこの曲を聴くのは初めてなんです。弦楽四重奏版はCDを持ってて何回か聴いたことはあるんですが、オーケストラ版の方は初めて。しかもわたし、弦楽四重奏版がオリジナルでオーケストラ版が編曲とずっと思っていたんですが、反対なんですね。
ロトさんって、言わずと知れたピリオド系もやる人。ご自分が組織したピリオド・オーケストラでセンセイショナルな演奏の録音を出してるみたい(興味津々としつつまだ聴いていません)。でも、モダン・オーケストラの読響にピリオド・スタイルをがちがちに求めるかと思うとそうではなく、ヴィブラートは控え目だけれども読響の(弦の)ふくよかな音色を生かした音楽作り。彩りを添える管楽器もステキ。こういう柔軟さも優れた指揮者の資質なんですね。それにしても、読響からこんなにも緊張感がありつつ和らいだ音のハイドンを聴かせてくれるなんて。読響とは相性の悪いはずのわたしも驚いて聴き入りました。
十字架に磔られて最後を迎えるキリストの音楽だけれども、古典の絵画のような今の(写実主義や表現主義を体験済みの)わたしたちには牧歌的に見える美しさを湛えた音楽。でも、これだけ心に残っているのは、音楽の真実が聖槍のように突き刺さったからでしょう。でも癒えることのないその傷は幸せの痕でもあるのです。

ロトさんの音楽はもっと聴きたい。とても相性の良かったように思える読響さんにもたくさん客演してくれないかしら。
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by zerbinetta | 2015-07-01 12:32 | 日本のオーケストラ | Comments(0)