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ストラヴィンスキー2題 音楽大学オーケストラフェスティバル 3日目   

2015年11月28日 @ミューザ川崎

ファンファーレ
森円花(桐朋学園大学):fanfare〜音楽大学オーケストラ・フェスティバル〜

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

齊藤一郎/昭和音楽大学管弦楽団

ファンファーレ
野呂望(昭和音楽大学):栄光のためのファンファーレ

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」1910年 全曲版

高関健/桐朋学園オーケストラ

会場をミューザ川崎に移しての音楽大学オーケストラ・バトル、3日目です。まずは例によってファンファーレ対決から。
森さんのfanfare(何てシンプルなタイトル)は、打楽器ふたり(小太鼓、中太鼓、シンバルとか)が入って賑やか。お祭りみたい。旋律が低音から起こしてくるので、ちょっと聞き取りにくいところとか、中間の横に流れる柔らかな旋律の受け渡しが少しぎこちなかった(演奏のせいもあるかもしれない)と感じたけれども、打楽器のビートは大好きなバロックのファンファーレみたくて好きです。
野呂さんは、ここでファンファーレを披露するのもう3回目なんだそうですけど(彼を超える人カモン)、シンプルで短いファンファーレらしいファンファーレ。みんな考え過ぎちゃうところあるので、かえってこういう方が新鮮だったり。いろんなことをやりたい気持ちを抑えてシンプルにまとめるのってむしろ難しいのかも。そこは経験値の勝利かな。

昭和音大の「春の祭典」は、しっかりした演奏だったと思うけど、わたしは、選曲ミスだと思いました。オーケストラに力はあるんだけど、それ以上のものを出すには難しすぎると思うんですね。そもそもがメカニカルな音楽だし(ストラヴィンスキーは音楽に感情を入れるのは嫌っていた人だけど、その中でも「春の祭典」は特にメカニカルな音楽のひとつだもの)、(リズムが)合う合わないのレヴェルは、軽く超えているので、次に求められるのは、個々の楽器の色彩とか、合わせを超えた切れとか、表現の冴えとか、能力は高いとは言え、まだ学生のオーケストラには荷が重いというか、一流のプロに求められるレヴェルでの勝負が必要ですものね。昭和音大は、合奏能力は高いんだけど、(小さな)アンサンブルに少し難があって、楽器がひとつ消えたとき(休みになったとき)全体からひとつ音が失われたような、あるべきところにない、みたいな穴があいちゃうんですね。楽器の出入りを繰り返しながらのアンサンブルを全体的にまだ捉えられていない感じ。オーケストラの他に、いろんな室内アンサンブルの練習をたくさんできればいいのにな。あと、休符になると音が消えちゃうのが気になりました。休符の中にも音楽はあるんデス。なんて言うと、オレ達あんたより「春の祭典」知ってるからって怒られちゃうけど、ただ、聴いて知っている、楽譜を読んでいる、のと体が動いて音を出すのとは、違うところで苦しんでるのも感じられて。でも、果敢な学生の挑戦(いくら古典になったとはいえ、初めては挑戦ですよね)には、拍手を惜しみなく送りたい。だって、明らかにポジティヴなものを演奏から感じたんですもの。この曲が初演されたときも、こんな風だったんだろうな(今の学生さんの方がよっぽど上手いと思うけど)と思わせるところもあって、この曲の原初的な姿がむしろ露わになった感じがして、わたし的には満足感たっぷり。学生さんたちのクラブ活動的なノリというか一体感と演奏後の充実感で顔を輝かせていたのも好感度大。あ、わたしの中で勝手に齊藤君とあだ名を付けた(すみません。齊藤君は高校時代の友達。そんなの知らんがな)、なんか暖簾に腕押し的な雰囲気のコンサートマスターの人、きっと尻に敷かれるタイプだな。ふふふ

桐朋学園は、高関さんと。去年と指揮者のシャッフルがあって、高関さんは去年は国立と、今年国立を振るのは、去年藝大を振った尾高さん。高関さんは去年のブルックナーがとても良かったし、シティフィルでもとても良い音楽を聴かせてくれているので期待大。そしてその期待は満たされたのでした。学生のオーケストラとは思えないような素晴らしい演奏。上手い演奏って技術的なことを超えて音楽に惹きつけられるんですね。高関さんの容赦のない緻密な音楽作りを学生さんが一糸乱れず音にしていく。ナイーヴゆえの懸命さが良い方向で結んで、というか高関さんが学生の良さを引き出しているんだけど、さらにその上、自発的な演奏まで求め応えられていくのは流石。みんな音楽的な意識が高いの。それに、ヴァイオリンのソロを聴いてびっくりしたのだけど、この音にヴァイオリン全体の音色が統一されていてオーケストラの色彩を見事にひとつにしてる。先生たちの指導に一貫した音楽性があるのかな。オーケストラがひとつの有機体になってる。わたし的には、最後ざくざくと切り込んだような演奏(1945年版のような)もツボで、全体に銀色に燦めくような音楽(わたしの火の鳥の音楽のイメジは銀色なんですね。本当は火の鳥はまっ赤なのかも知れないけど。いつかまっ赤な火の鳥を見せてくれるような演奏にも出逢ってみたい)をびしっと締めてくれました。
そうそう、桐朋学園で面白いのは、メンバー表、コンサートマスターの記載がなく、ヴァイオリンとヴィオラの区別もなくひとまとまりにしているのですね。これは、桐朋学園だけで、コンサートマスターといえどもヴァイオリン、ヴィオラの学生のひとりでしかないという意思の表明なのかも知れないですね。

「春の祭典」と「火の鳥」を並べた今日の音楽会で気がついたんだけど、「春の祭典」のオーケストラは巨大だけど、アルトフルートとかピッコロトランペット、バストランペット、ワーグナーチューバなど管楽器群の拡充が主で、ハープやチェレスタ、木琴とかを入れた「火の鳥」の方がより色彩的なんですね。ストラヴィンスキーのオーケストラの音色を扱う巧みさにも改めて感心したのでした。






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by zerbinetta | 2015-11-28 00:07 | アマチュア | Comments(0)

シューベルトの翳り 志鷹美紗リサイタル   

2015年11月26日 @すみだトリフォニー小ホール

シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番
モーツァルト/リスト:「ドン・ジョヴァンニの回想」
シューベルト/リスト:「水面に歌う」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」

志鷹美紗(ピアノ)


広島在住のピアノスト、志鷹さんのリサイタルにひょんなことから伺いました。すみだトリフォニーの小ホールは初めて。

志鷹さんは、ほんわりしたかわいらしい人。ほんわりといえば、アリス・サラさんもそうなんだけど、アリスさんがエルメのマカロンとすると、志鷹さんは蒸し立てほかほかの酒まんじゅう(ん?広島だから焼きたてのもみじまんじゅう?)。ああ、何てたとえだ。ちなみに裸足ではありませんでした。経歴を見ると、コンクールで賞をとったりCDを出したり、リサイタルをしたりと経験のある人だけど、何だかちょっと緊張しているように見えました。わたしにそう見えただけで、いつも同じ感じなのかも知れませんけど。

わたしは、ピアノを弾けないのでピアノのことは分かりません。なので、感じたことだけ、素直な感想を。今日、一番いいなと感じたのは、シューベルト。第1楽章では、まだ少し音楽会が始まる堅さがあった感じだけど、小さな声で歌が聞こえ出した第2楽章から、本来の感じになってきたみたいで。まだ若い番号の作品で、かわいらしい明るい音楽なんですが、最後の作品たちに聞こえる、暗い淵から溢れてくるような死の予感を感じさせる演奏にびっくり。第1楽章の、左手のねっとりした暗闇や(第21番のソナタ!)、第3楽章の明るさの中に瞬間現れる彼岸。そんなシューベルトの心の裡をどきりと聞かせてくれた演奏でした。すてき。

志鷹さんの技術の確かさは、リストの編曲によるモーツァルトとシューベルトの演奏で証明されました。志鷹さんは決して派手なヴィルトゥオーゾではないと思うけど、音楽を聴かせるのには十分。ただ、少しペダルを使いすぎているのか、音が濁るというか少し曖昧になるのが気になりました。ピアノを知らないわたしが言っても説得力は全然ありませんが。それにしてもリストの編曲、というかもう作曲に近い?、はちゃめちゃだなぁ。なんか、リストが好きになりました。もっと、聴いてみたい。

最後の「熱情」は、第1楽章、躊躇いがちに始まって(ほんとにそんな感じでした)、音楽が急流のように流れ出すのを今か今かと待っていたんですけど、ずっと躊躇いがちな感じというか少し動いては止まってって、わたし、曲を勘違いしてた。。。迸るのは最後の楽章ですね。勘違いのせいでずっともやもやと聴いてしまった。悔しい。わたしの、ばか。

アンコールは、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」から「アリア」とショパンの練習曲の10−4。「アリア」を聴くと何だかキノコが食べたくなる、というのは置いといて、優しげなとてもステキな演奏でした。難曲で知られるショパンの練習曲は、弾き慣れているのでしょう、肩の力の抜けた余裕の演奏でした。
ささっと、お辞儀を済ませて、志鷹さん、ホールのロビーでファンの人と話をしたり、お客さんをお見送り。こんな感じもなんか微笑ましい。

志鷹さん、演奏を始める前、ピアノの前に座ってしばらく黙考するんですけど、何を思っているのかしら。音楽を歌っている風にも見えたんですけど、きっと秘密ですね。そうそう、プログラムの曲目紹介の文章、それぞれの曲で文体が違ってて、別々の人が書いたのか、同じ人が違う機会に書いたものを寄せ集めた感じでした。ちょっと惜しいなぁ。
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by zerbinetta | 2015-11-26 01:53 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

今が旬 江東シティオーケストラ第43回定期演奏会   

2015年11月22日 @ティアラこうとう

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番

上里はな子(ヴァイオリン)
和田一樹/江東シティオーケストラ


江東区の市民オーケストラのひとつ、江東シティオーケストラを聴きました。初めましてです。そんなに混んではいないだろうと高をくくってのんきに出かけたら開場前から長い行列。びっくりりん。周りの人の話によるといつもはこんなに混んでないみたい。あら。ソリスト人気?それとも、最近、国際コンクールで入賞した指揮者人気?結局、ホールは満員になったようです。すごい。

初めて聴く江東シティオーケストラは、いい仲間といい音楽を作ろうを合い言葉に、オーケストラの活動に対していろんな考え方、関わり方をする人たちに開かれたサークル活動的な団体だけに、すごく上手いとは手放しに褒められないけど、でも、みんながひとつの音楽を大事にしている感じがして、好感度高め。わたしが、音楽(の演奏)が好きで、でも、下手の横好きで究極の高みを目指すオーケストラにはレヴェルが高すぎて入れない、でも、ちゃんと音楽やりたいなぁと考えたら入ってみたい感じのオーケストラ(下手すぎて入れてもらえるかは別だけど、ね)。

ということをつらつら考えているうちに最初の「イーゴリ公」は終わってしまいました。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、上里はな子さんの独奏。経歴から推察すると30代後半の中堅どころの方。国際コンクールでも良い成績を収めているんですね。CDも出されているようです。かわいらしい方で、妊婦さんでした。裸足。ピアノのアリス・サラさんとかヴァイオリンのコパチンスカヤさんとか、最近裸足が流行りだしたんですかね。
上里さんのヴァイオリンに耳を澄ませて聴いていたんだけど、時折にっこりと笑顔で楽しそうに弾く彼女のヴァイオリンは、肩の力の抜けた大人の音楽。チャイコフスキーの協奏曲ならもっと派手に自己主張してもいいかも、とも感じる人もいるかも知れないけど、わたしも若い人やヴェテランでも尖った演奏が好きで、そういう演奏をする人ばかりを聴いてきたけど(特に女性では)、棘の取れた時のゆとりを感じされる音楽もいいなって素直に思えます。息の長い(でも決して窒息しない)歌の線は、とてもステキで、お腹の子供に聞かせているような優しい歌に溢れていて、じんわりと浸みてくる、出汁の浸みたおでんのような滋味深い音楽でステキでした。
ほぼかぶりつきで聴いていたので、実際に彼女の音がホールにどう響いたのかは分からないんですけど、わたしのところに聞こえてくる音(直接音多め)は、しっとりと潤いのある弦の音でした。

最後のチャイコフスキーの交響曲は、とても良かった。オーケストラの力からいって指揮者の音楽は出ないかな、と思っていたけど、しっかり聴くと(そしてそうしてしまう演奏でした)、和田さん、やりたいことはやってる。オーケストラもそれに応えて熱演。管楽器のソロは、大丈夫かな〜って(フルートは安定していました)ちょっと心配したけど、皆さんうんと練習していてばっちり。特に良かったのは、強奏でばしばし決めるところ。打楽器の打ち込みの思い切りの良さ。最後の大太鼓のトレモロは、床から地響きがしたもの。
和田さんの音楽作りは、抑えてバランスを取ったりしないで、まず音を開放的に出してみて、気持ち良く音楽をするところからスタート。オーケストラを萎縮させないで普段以上の力を出すのに成功していたと思います。さっと流すところは思い切ってさっと流して(そうでないと練習時間がいくらあっても足りないし)、その上で、大切なところは、丁寧に作り込んでいて、聴かせどころのツボを押さえている効率の良さ。意外と緩急を大きく付けていて、特に第1楽章のお終いの方、コーダに入る手前で楽章を統一する主要動機が静かに変容されるとき、はっとするほどテンポを落として耳をそば立てせさせたり、一転、コーダに入って急加速(リピートのあともさらに加速したのもかっこいい)、テンポを落として大見得を切って、最後はちゃめちゃに駆けだして第4楽章を予感させたり、とわたしの感線を刺激しまくり。ある意味賑やかで大ざっぱな音楽の第4楽章にも旋律が繰り返されるごとに細かな表情付けがなされていて、勢いだけじゃない丁寧な音楽作り。何よりも、和田さんの指揮棒の先には魔法があるのがステキでした。コンクールで入賞したばかりの旬がそこにある。アマチュア・オーケストラを中心に指揮されているみたいだけど、和田さんの音楽、ぜひ、プロのオーケストラでも聴いてみたいです。どこかで呼んでくれないかしら。日本でも外国でもいいから地方のマイナーなオーケストラからでも責任指揮者に招聘してくれないかな。今が育て時だと思うんですよ。

アンコールは、チャイコフスキーの「白鳥の湖」から「スペインの踊り」。花束を受けて、大きな花束を抱えたまま指揮した人、初めて見たよ。チャイコフスキーの交響曲第4番ってやっぱりいい曲だわって改めて思った今日の音楽会でした。
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by zerbinetta | 2015-11-22 23:29 | アマチュア | Comments(0)

コンクールにはあまり興味がないの フェドセーエフ/N響   

2015年11月21日 @NHKホール

ショパン:ピアノ協奏曲第1番
グラズノフ:バレエ「四季」より「秋」
ハチャトリアン:バレエ組曲「ガイーヌ」抜粋
チャイコフスキー:序曲「1812年」

チョ・ソンジン(ピアノ)
ウラディーミル・フェドセーエフ/NHK交響楽団

フェドセーエフさんの「レズギンカ」がサイコーという噂を聞いて取ったチケット。今年のショパン・コンクールの優勝者のお披露目というおまけ付き(あとで気がついた)。世間的には、ショパン・コンクールの方が主役なのかも知れないけど。。。わたし、コンクールにはあまり興味がないので。。。

プログラムの前半が、コンクールの覇者、チョ・ソンジンさんを迎えてのショパンの協奏曲。ピアノのことなど何も知らないわたしの印象は、ソンジンさんとても上手いというか、とても整ってる。聴いていて欠点が見当たらないのよね。減点法の採点をするとマイナス部分が見つからずに満点になっちゃうみたいな。ところが、反対に言うと整いすぎていてつまらないというか、心に来ないんだよね。何か引っかかる部分、心を乱す部分があると魅力的なのに、つるりとして、すり抜けていっちゃう。ショパン・コンクールで、減点なし、だから優勝した、なんて低レヴェルなものじゃないとは思うのだけど、ある意味コンクール向きのピアニストなのかも知れない、現時点では。
アンコールで弾いた「英雄ポロネーズ」は、乱れたところがほんのちょっぴりあったけど、むしろ表現意欲が感じられていて良かったです。この人はまだ、オーケストラを従えてっていうことにまだ慣れていないのかも知れません。ひとりで自由に弾いたときの方が、格段に良かったもの。コンクールに優勝したてで、これからの活躍が期待される人だけど、コンクールの栄誉はとりあえず忘れて、音楽の深みにはまっていって欲しいな。スターになんかならなくていいから、自分と音楽の戦いを地道に続けていって欲しいです。

後半は、打って変わってロシア、前半のお付き合いのうっぷんを晴らすような(ってほんとか?)フェドセーエフさんの真骨頂。凄く良かった。耳障りの良い(わたしのお節介な辞書によると誤用だそうです)だけのグラズノフは置いといて(でも、N響ならではの繊細な音作りは良かったです)、「ガイーヌ」。いきなり有名な「剣の舞」からはっちゃけて始まるのに楽しさマックス。これはノるよね。勢いが凄くあるんだけど、勢いに吞まれることなくちゃんと音楽的なさじ加減は、フェドセーエフさんのなせる業かな。「ばらの少女たちの踊り」「子守歌」に続いて、真打ち「レズギンカ舞曲」。リムショットやアドリブを混ぜた小太鼓バンザイ。これが噂のフェドセーエフさんの「レズギンカ」か。ティンパニも何気にめちゃ正確に叩いてた木琴も打楽器の皆さん素晴らしい。一緒になって首振っちゃったよ。本当はこういう音楽、オールスタンディングでヘドバンしながら聴きたい。血が沸騰する音楽だよね。フェドセーエフさんの面目躍如。何なら、拍手に応えていきなり小太鼓が叩き出してアンコールをしても良かったくらい。ああ、そうして欲しかった。

お祭りのあとは、「1812年」。先日、フランスでテロがあって、その痛みを表明するために、フランスの国歌にちなんだ音楽をと、うっかり選んでしまった「1812年」。ナポレオンのフランスがロシアに木っ端微塵に撃退される音楽なのにね。という冗談も浮かんでしまううっかりタイムリー。あっ、もちろん曲目なんてずいぶん前に決まっていてテロには何の関係もなく、なんだけどさ。でも、今この時期に敢えて聴くのはちょっぴりフクザツだったり。
最初のヴィオラとチェロの室内アンサンブルから耳を惹きつけられる。フェドセーエフさんの演奏は、少し速めであっさりしているかと思うと、さりげなく歌わせて叙情的。このさじ加減がいいのよね。実は、「1812年」ぽとんと涙を落とすくらい好きなんだけど、フェドセーエフさんの演奏、とってもとってもステキ。ロシアものは俺の音楽だとばかりの自信というか、自然にあふれ出てくる音楽。前半のショパンがちょっとお客さんぽかった(協奏曲の伴奏でもあるし。しかもショパンの)のに、後半は完全に音楽の主人。最後の教会の鐘や、大きな大太鼓の大砲、バンダの金管楽器の祝典はしかし、盛大だったけど、さらさらと少しだけ抑え気味でエネルギーを溜めて、打楽器のトレモロを長〜く伸ばしてエネルギーを解放する見事な手綱さばき。チャイコフスキーはかくあるべしと音で示して彼の音楽を聴かせてくれたのでした。フェドセーエフさんで、オール・ロシアのプログラム聴きたい。ボロディンとか、ボロディンとか、ムソルグスキーとかハチャトリアンとか。やってよいつか。





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by zerbinetta | 2015-11-21 09:03 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

今年も凄い 音楽大学オーケストラフェスティバル 2日目   

2015年11月15日 @東京芸術劇場

ファンファーレ
藤川大晃(東京藝術大学):界・響

ストラヴィンスキー:管楽器のためのシンフォニーズ
ペルト:カントゥスーベンジャミン・ブリテンの思い出に
ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム

下野竜也/上野学園大学管弦楽団

ファンファーレ
三浦良明(上野学園大学):群青

シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

山下一史/東京藝大シンフォニーオーケストラ


まずは、ファンファーレ対決。何でも対決させたいポケモン世代のわたし(なんのこっちゃ。ポケモンなんて知らないくせに)。まずは、東京藝大の藤川さんの。ちなみに、この間のファンファーレのタイトルは、2つとも英語で付いていたんだけど、今日は2つとも日本語のタイトル。で、藤川さんのは和。神社で使うような鈴が鳴るのが楽器的特徴。華々しいファンファーレではなくて、音楽会への入場がケからハレへの転換であることを神社に参拝するときの俗から聖域への堺になぞらえて、宗教的なというか、内に向かうファンファーレがユニーク。メシアンみたいな響きなのかな、と思ったんですけど、上野学園のストラヴィンスキーを聴いたら、こちらを参照してるのかな。旋法的な上昇音階や効果的なグリッサンドでなかなか凝った作り。お終いの方で、ツァラトゥストラのドソドの動機が出てきて、うん、今日の特別なファンファーレでした。この学校だけ、オルガン席で吹奏されて(他の大学はステージの前の方)、ステージ上の指揮者付き。作曲者と指揮者の人なんか兄弟みたいでした。

上野学園の三浦さんの「群青」は、沖縄の青い海や空をイメジしたファンファーレ。左右、真ん中と3つに振り分けられたトランペットとユーフォニウムを含んでるのが楽器編成の特徴。細かい音が揺れる波のような感じで、さりげなく使われる沖縄音階と相まって、確かに濃い青を思い浮かべました。というかいろんな青のグラディエイションがカラフルなファンファーレでした。

下野さんと上野学園は、去年もステキな演奏をしていたので、今年もとっても期待。正直に言って、上野学園は、技術的には他の音大よりも劣るんですけど、下野さんマジックで音楽がステキなんです。去年は小さな編成だったので、学生が少ないのかなと思ったら、今年は大編成。最初は、管楽器だけでストラヴィンスキー、次に弦楽器と鐘でベルト、そして続けてブリテンつながりでフル・オーケストラの「シンフォニア・ダ・レクイエム」。ペルトのブリテンのための追悼曲とブリテンの作品を続けて演奏するのは、ときどきあるみたいよね。前に「4つの海の間奏曲」と続けて演奏されたのを聴いたことがあるけど、今日の「シンフォニア・ダ・レクイエム」の方がふさわしい。下野さんの凝ったプログラミング。
管楽器のためのシンフォニーズは、音の発声の仕方が丁寧になるあまり揃わなくて、ちょっと残念。みんなが同じように発声するようアンサンブルに磨きを掛ける練習が足りなかったのかな。指揮者なしでもパート練習でもっと合わせて欲しかったです。
弦楽器の「カントゥス」は、弦の響きがちょっと薄いけど、さらさらと流れる感じで、その分、叙情的な感情移入からは遠くなってるのでそこは好みの分かれるところ。下野さんが細かく指揮を振ってらっしゃるのが、聞こえてくる音楽と違う感じがして、でも重なり合っていく楽器群を正確に入れるのにはしょうがなかったのかなと思ってみたり。
ここまでは、去年の下野マジックは感じられなかったんです。これまでかな、と思った矢先、続けて演奏された「シンフォニア・ダ・レクイエム」で爆発。これは素晴らしい!胸を空くようなティンパニの打ち込み!ティンパニストには最大のブラヴォーを捧げたい。オーケストラも熱演。感情の迸る一期一会の演奏でした。やっぱり今年もものすごくいいもの聴けた。下野さんと上野学園恐るべし。それにしても皇紀2600年のお祝いにこんな曲を書き送ったブリテンも凄いな。ところで、中程で出てきたサックスの旋律って「パゴダの王子」にも引用されてる?皇帝つながりで?

山下さんと藝大。うーんやっぱり、藝大さんは飛び抜けて上手いです。もうプロと言ってもいいようなレヴェル(一昔前のプロ並み)というかプロ予備軍だもんね。山下さんの音楽は、濃いというか熱いんだけど、あっさりと軽く後を引かない不思議な感覚。「ツァラトゥストラ」を巧妙な手綱さばきで、オーケストラを歌わせながらさくさくと進めていきます。学生は、なんか魔法にかかったように(薬を飲まされたようにって表現はやばいかな)、ハイになってメーター振り切れで音楽の渦に呑まれている状態。最後は、マラソンを全力疾走してゴールテープを切ったような達成感。山下さんは、前に聴いた新交響楽団との演奏でも感じたのですが、ほんと、オーケストラを気持ち良くのせるのが上手いですね。リミッターを外して学生の持ってるポテンシャルを最大限にというかそれ以上に引きだしていました。オーケストラが良く鳴る演奏は、シュトラウスを聴く醍醐味でもありますね。ヴァイオリンのソロを弾いたコンサートマスターの女の子(若いから女の子でいいですよね)もピチピチと魚が跳ねるような弓使いでステキでした。
さて、山下さん。小さなニューフィル千葉の指揮者への就任が決まってるんですけど、千葉ではどんな音楽を作るのかしら。ワクワクと同時に千葉と合うのかしらと勝手に心配。(むしろシティフィルさんと合いそう)
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by zerbinetta | 2015-11-15 11:57 | アマチュア | Comments(0)

鳥獣戯画版「トリスタンとイゾルデ」(第3幕作りました)   

勢いに余ってこんなの作ってみました。
鳥獣戯画版「トリスタンとイゾルデ」。元ネタはここです。

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第1幕
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第2幕
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第3幕
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by zerbinetta | 2015-11-13 21:58 | 随想 | Comments(2)

今年もバトル 音楽大学オーケストラフェスティバル 1日目   

2015年11月8日 @東京芸術劇場

ファンファーレ
臼居司(洗足学園音楽大学):fanfare for a festival

シベリウス:交響曲第2番

梅田俊明/武蔵野音楽大学管弦楽団


ファンファーレ
小田実結子(武蔵野音楽大学):collage fanfare

ムソルグスキー/ラヴェル:組曲「展覧会の絵」

秋山和慶/洗足学園音楽大学管弦楽団


今年も東京の音楽大学オーケストラの決戦。去年聴いて感動した、オーケストラ・バトルの季節がやって来ました(違)。東京にある9校の音楽大学オーケストラによる交流を目的にしたバトル。じゃない祭典。今年は、去年より対決色が強く、「展覧会の絵」とシベリウスの交響曲第2番をそれぞれ2校ずつの大学が採り上げます。東京芸術劇場とミューザ川崎で2回ずつ4回の音楽会です。セット券で買うと1回750円とお得なんですよ。音楽を専門に学んでいる学生さんのオーケストラ。アマチュアとはいえかなり上手いし、学校による個性も感じられるのでとっても楽しいんです。

まずはそれぞれの対戦相手(違うって)にエールを込めたファンファーレから。各校の演奏前に対戦相手が演奏します。作曲は学生。この音楽祭のために書き下ろされた作品なので全て初演です。
洗足学園音大の臼居さんの「fanfare for a festival」は、2つの主題を元にしたシンプルな感じのファンファーレですけど、2つの動機がもう少しきれいに分離するように書かれるともうちょっと良かったかな。生真面目な感じの曲でした。
後半に演奏された、武蔵野音大の小田さんの「collage fanfare」は、楽しい音楽。音楽から楽しさが溢れてきます。ベートーヴェンの「歓喜の歌」から始まる、このファンファーレのキモの部分は、過去の作品のコラージュが常に2つ3つ重なっていてぱらぱらマンガのように聞こえるのが面白かったです。

前半は、梅田さんと武蔵野音大によるシベリウスの交響曲第2番。この学校は、各パートの先生もトップ下で学生を支えるんですね。カーテンコールの時は、トップ・サイドの先生が、いちいちコンサートマスターの人に挨拶とかを指示していたのがちょっと可笑しいというか微笑ましかったです。シベリウスの交響曲の中では一番外交的で華やかな音楽。若者らしい、明るくて大らかな演奏で好感度大。音楽に熱中している学生さんたちのナイーヴな情熱もステキで、全員がひとつの音楽をひとつの方向で奏でているというのもいいんです。特に、第4楽章に入って、最初に弦楽器が雄大な旋律を高らかに歌うところの開放感がステキでした。この音が、もう一度最後に帰ってきたら完璧だったんですけど、ほんのちょっとだけ足りなくて、惜しい、というか学生さんゆえの発展途上ですね。ひとつひとつの音楽会って世界にたったひとつしかない奇跡の瞬間で、
金管楽器がとてもきれいな響きで鳴るのです。あとで気がついたんだけど、これはホールの特徴でもあるんですね。ステージの後ろの方、オルガンが設置されているので天井があるんだけど、その下に位置する金管楽器が良く響くんです。でも、それにしてもこの楽器の金管楽器の響きはステキで、シベリウスの交響曲にぴったりでした。

後半は、秋山さんと洗足学園の「展覧会の絵」。これが素晴らしかった。完全に秋山さんの音楽。秋山さん、にこやかな柔らかな佇まいで指揮してらしたけど、絶対、学生を容赦なくガンガン鍛えてる。音楽の内面に深くはまっていくような演奏で、集中力がすごくて、真っ直ぐど真ん中で変わったことはしていないから、はっとして音楽を聞き返すような瞬間はないんだけど、それ以上に音楽にのめり込んでしまうの。ここまでの演奏なかなかないよ。ムソルグスキーのがしがしした素朴な音楽にラヴェルの施した洗練された管弦楽は、ある意味で、矛盾を孕んでいるけど、秋山さんと武蔵野音大の演奏は、オーケストラの色彩を大切にしながらもタッチを素朴なまま残して、色を一度、暗いフィルターの通した感じに押さえて(フォトショップでいうと明度を押さえてコントラストを上げる感じ?)、ムソルグスキー成分を大事にしている。それが素晴らしいの。武蔵野音大すごい。秋山さん凄い凄い。

今年も音大バトル盛り上がりそうで楽しみ〜〜〜。
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by zerbinetta | 2015-11-08 11:53 | アマチュア | Comments(0)