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奇跡は2度起こせる! ヤンセン、ゲルギエフ、ロンドン交響楽団 シマノフスキ&ブラームス1   

11.10.2012 @barbican hall

szymanowski: symphony no. 1; violin concerto no. 1
brahms: symphony no. 1

janine jansen (vn)
valery gergiev / lso

8月の終わりに9月10月のロンドン・シンフォニーのチケットを取ったとき、行けそうなのは全部とったれ、と取ったんです。そしたら、うっかり、ゲルギーのシマノフスキ、ブラームス・シリーズは間を開けて2回ずつ演るんですね。真ん中にツアーに出るのでツアーの最初と最後にロンドンで演るみたいです。今日は何を聴けるんだろうとるんるんとチェックしたら9月に聴いたのと同じ曲目でがっかり。でも、ヤンセンさんのシマノフスキの協奏曲は圧倒的だったからまた聴けて嬉しいかも。でも、あんな神がかった奇跡的な演奏をもう1回できるんだろうかと懐疑的になったり。揺れてるわたしの心。

でもそんなことは、演奏が始まったとたん霧散しました。奇跡って2度起こせるんですね。というか、2度起こした人たち凄すぎ。
ステージを降りたヤンセンさんってとっても清楚な感じの美人さんなんですが(今日も休憩のあとのブラームスを客席で聴いてらっしゃいました)、ステージに上がると別人。獲物を狙う豹のようなしなやかな鋭さ。冷ややかなエロスというか、月の光の世界のような、でも陰だけどカラフル。わたしの求めるシマノフスキの音楽がそのままありました。シマノフスキの音楽とヤンセンさんのヴァイオリン、ゲルギーとロンドン・シンフォニーのオーケストラがピタリと一致する奇跡的な名演。大大大好きなシマノフスキの協奏曲でこんな演奏を2度も聴けたわたしはなんて幸せ者なんでしょう。
今日のアンコールは、前回に引き続いてリーダーのシモヴィックさんとデュオだったけど、ツアー中に進歩したのよと笑わせて、同じプロコフィエフの2つのヴァイオリンのためのソナタから別の楽章。おふたりがアイ・コンタクトしながら楽しそうに弾いて、とてもステキでした。
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ブラームスの交響曲第1番は前回、良かったけど、まだ良くなれる伸びしろがあったところが前回の欲求不満だったけど、今日はそれらを完全修正。ゲルギーの手の中に音楽が収まった感じです。奏者もホルンに本来のプリンシパル、ティモシー・ジョーンズさん、ティンパニもナイジェル・トーマスさん。役者が揃ったって感じ。やっぱ、わたし、ゲルギーのブラームス大好きかも♡このシリーズの後半が聴けないのが返す返す残念。でも、CD化されるそうですから、それを心待ちにしましょう。
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by zerbinetta | 2012-10-11 14:37 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

ゲルギーが大好きだーーー ゲルギエフ、ロンドン交響楽団 ブラームス、シマノフスキ第2夜   

23.9.2012 @barbican hall

brahms: tragic overture
szymanowski: symphony no. 2
brahms: symphony no. 2

valery gergiev / lso


昨日に引き続き、ゲルギー、ロンドン・シンフォニーのブラームス、シマノフスキ・シリーズの第2夜。第2番です。ブラームスの「悲劇的序曲」とそれぞれの交響曲第2番です。朝、リハーサルを聴いて期待がめちゃ高まっています。絶対ステキな音楽会になる確信あり。そして確信は、「悲劇的序曲」が鳴り始めると現実に変わりました。

素晴らしい緊張感。張り詰めた雰囲気。ゲルギーの真っ直ぐな解釈。ゲルギーはオペラの指揮者だから、このドラマはないけどドラマチックなオペラの序曲みたいな音楽を劇的に音にしていました。真っ正面から攻める正攻法。それにしてもゲルギーの指揮を見ていていつも思うのだけど、彼の中には音楽しかない。音楽が溢れるほどに詰まっている。多分この人、1日24時間、音楽のことを考えていて、音楽以外のことは頭にないんだろうな。わたしの友達にも分野が違うけど同じ空気を持ってる人がいっぱいいて、そういうの、よく分かるし、大好き。好きなことに熱中する子供みたい。だから、ゲルギーの指揮っていつ見ても手抜きなし。夢中になって音楽してる。もちろん、上手くいかないときはあるけど、それは決して手を抜いているからではなくって、一所懸命やってもダメなときもあるし、アスリートが走るごとに自己記録を更新するわけではないのと一緒。と、話がそれて、上手く行ってなかったことを仄めかした体になってしまいましたが、事実は反対。とてもステキな音楽でした。

シマノフスキの交響曲第2番は、第1番からぐんと進化している。オーケストレイションの過剰がなくなってすっきり、見通しがいい。とっても叙情的。後のシマノフスキのアラビックな神秘性はまだないけど、うねうねと揺れながら一筆書きのようにつながっていく終わりのない、一息で潜ってどこまで泳げるか息を止めてその先の世界を見るような快感。生温かなロマンチシズム。こういう曲は、ロンドン・シンフォニー得意よね。朝のリハーサルのときはもっと歌ってと言われてたけど、艶のある歌で音楽が流れて、美しい夢のような世界。ゲルギーも音楽の流を損なわず、盛り上がるところは盛り上げて、弱音はあくまで美しく、まあ、それが反対に、とりとめのないような鵺のような演奏に感じる人もいるかもなので好き嫌いは分かれるかな。わたしは、曲がそうなので明確に分かりやすく演奏するよりいいと思うんですけどね。

ブラームスの交響曲第2番。ブラームスの田園交響曲とも呼ばれているらしい、柔らかな気の置けない曲。がしがしと緊張で満ちた交響曲第1番や「悲劇的序曲」でブラームスとゲルギーの親和性の高さを聴かせてくれたけど、果たして、対照的な性格を持つこの音楽をどう演奏するか興味があったんです。ゲルギーのイメジとしては前者が合ってる感じだし。でも、予想に反して、このブラームス、第1番よりも良かったんです。自然体で何も特別なことをしていないんだけど、すっかりわたしのツボにはまって。まず第一にオーケストラが上手い。わたしが聴いたブラームスの交響曲の中で一番オーケストラが上手いかも。そして、ブラームスってオーケストラが上手くないとダメなんだって思いました。マーラーやシュトラウスや近現代の音楽みたいにアクロバティックなオーケストラの書き方をしていて、技術的な要求が高い曲よりももっとオーケストラの良し悪しが出てくるように感じたのです。今日のロンドン・シンフォニーは世界最高のオーケストラのひとつと自信を持って言える。ゲルギーがしなやかにオーケストラの美質を引き出して、オーケストラも気持ちよさそうにブラームスを演奏してるし。もしわたしがオーケストラの一員だったら、ブラームスが弾きたいな。第2ヴァイオリンがとっても面白そう。ブルックナーはヴィオラだけどブラームスは第2ヴァイオリン♪
ゲルギーのブラームスへのアプローチは、作曲家を尊敬して、作為を加えず作意を尊重するという姿勢。爆演、怖面のゲルギーのイメジとは真反対の(とはいえ顔つき、指揮姿はいつものゲルギーだけど)、優しい柔らかな演奏です。さわさわと緑の風が吹く、太陽の光りに満ちた音楽をブラームスとゲルギー、そしてロンドン・シンフォニーが奏でていきます。そしてなんと言っても静かな場面での静謐さに満ちた、平和な、温かな音が素晴らしかった!なんだか、子供の頃、遠くにポプラ並木の見える原っぱで遊んでいた頃の幸せな気持ちを思い出しました。すうっと心に入り込みました。わたしは、この演奏がゲルギー会心のブラームスじゃないかと思います。

あー今日はますますゲルギーが大好きになった1日。素晴らしい指揮者だわ〜。
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by zerbinetta | 2012-09-23 23:36 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

シーズン開幕!! 今年はゲルギエフ、ロンドン交響楽団 ブラームス、シマノフスキ・シリーズ   

22.9.2012 @barbican hall

szymanowski: symphony no. 1; violin concerto no. 1
brahms: symphony no. 1

janine jansen (vn)
valery gergiev / lso


いよいよ今シーズン開幕です!わたしはシーズン途中までしか聴けないけど、というかちょっぴりかすった程度にしか聴けないけど、シーズン開幕は迎えることが出来てわくわく。今年はゲルギーとロンドン・シンフォニーで開幕です。去年はオペラで開幕してバレエ、そしてオーケストラはロンドン・フィルだったんだけど、今年はオリンピックのためバレエの開幕は遅れて10月、オペラはチケットを取らなかったリングで開幕なのよね。オーケストラの1番はロンドン・シンフォニーから。

今年のゲルギー、ロンドン・シンフォニーの目玉は、ブラームスとシマノフスキの不思議な組み合わせ。シーズンを通して、ブラームスの交響曲全部と、シマノフスキの交響曲全部(4曲ずつ)、シマノフスキの2つのヴァイオリン協奏曲、ブラームスの「ドイツレクイエム」とシマノフスキの「スタバト・マーテル」が演奏される魅力的なプログラム。おそらくシマノフスキは、ゲルギーにとって初めて集中的に採り上げる作曲家。ここ最近ゲルギーは、数年にわたるマーラーの全曲演奏会をしたり、シチェドレンやドゥティユーを集中的に採り上げたりレパートリーの開拓を意識的にしているフシがあります。それと組み合わせられるブラームスは、多分今まであまり振ってこなかった(少なくともロンドン・シンフォニーとの数年間で古典は、サー・コリンさんやガーディナーさんたちに任せていたような感じな)ので、ゲルギーの古典も怖いもの聴きたさで興味あります。ゲルギーは、ロンドン・シンフォニーではお国ものやマーラーや近代音楽で、しっかり自分の良さを見せつけていた感じ。ブラームスでどんな演奏をするのか(ピアノ協奏曲は前に聴いているけど、それは独奏者の音楽が強く反映するから、ゲルギーの音楽とは完全には言い切れない)、聴いてみたかったんです。

今日は、ブラームス、シマノフスキ・プログラムの第1弾。1番です。シマノフスキの交響曲、ヴァイオリン協奏曲、ブラームスの交響曲の全て第1番。それにしても、何でブラームスとシマノフスキの組み合わせなんだろう?全然、音楽が違うと思うんだけど。どちらも交響曲を4曲、残しているからかな?プログラムが有機的に構成されている必要はないけど、何か意味を勘ぐっちゃいますね。
シマノフスキ、大好きなわたしにはもう本当に魅力的な企画。交響曲第1番なんて、こんな機会でもないと聴く機会なんてないし。

シマノフスキの交響曲第1番は、いろんなものが大過剰でちょっとよく分からない感じの音楽。音楽の骨格に、良くしよう良くしようと粘土をべたべた塗っていったらよく分からないものになってしまった感じ。オーケストレイションが、とにかく厚塗りしたようで、かえって不透明になってしまったように思えました。ごちゃごちゃしすぎてそれぞれのパートがくっついた団子のようにお互いの輪郭がはっきりしません。ゲルギーの演奏は、オーケストラを豊かに鳴らしてゴージャスな感じでした。木管楽器はコーヒーの中に渦を描いて沈んでいくクリームのように、クリーミーな輪郭がはっきりしてとてもステキだったし。音のお団子は、でも、演奏の責任ではないなぁ。
曲調は、リヒャルト・シュトラウスに似てると解説には書いてあったけど、わたしはそれほどシュトラウス色を感じませんでした。わたしはむしろ、スクリャービンや初期のシェーンベルクの匂いを感じました。前に聴いた初期の作品、「演奏会用序曲」がシュトラウスと言っても信じてしまうくらいにうり二つだったので、意外。あっでも、世評はやっぱりシュトラウスに似ているとうことなので、わたしの感じ方の違いかもしれません。

ヴァイオリン協奏曲第1番、わたしの大大大好きな曲は、ソリストにジャニーヌ・ヤンセンさんを迎えて。ヤンセンさんは、すごくいいと思ったときがあったり、普通かなと思うときがあったり、多分曲との相性でしょうけど、あなたについていきます! と宣言できる音楽家ではなかったので、今日はどっちかなぁと思いつつ、奇跡がっ!!あわわわ、何だか魂が音楽に連れ去られて、空虚になった体がぽかんとしちゃいました。唖然。圧倒的。第2主題のあたりで涙がぽろぽろ出始めて、カデンツァでがつんと来てしまった。もう最高の出来。一世一代の名演。CDを含めて今まで聴いたこの曲の中で最高の演奏。
ヤンセンさんのシマノフスキは透明なエロス。着エロってのかしら?ちがう?この音楽ってふたつの正反対の要素が、表と裏の曖昧なメビウスの環のように同時に存在しているんですね。静と動。清楚でエロティック。冷たくて熱い。そんな音楽をヤンセンさんは見事に音にしました。冷たい火花がスパークするように、アグレッシヴな熱い感情を冷たい閃光で音にする。めまぐるしく変わるきらきらとでこぼこのガラス玉を通した光りの色彩のような音。情熱的でも熱くならない冷静なコントロール。それを外から俯瞰してではなく、裡から作り上げていく凄さ。
ゲルギーとロンドン・シンフォニーのバックもヤンセンさんを盛り立てるように、あるときは積極的に、あるときはひっそりと、実に上手く音楽をつけていきます。もともとカラフルな音色のオーケストラ。オーケストラとソリストのお互い刺激しあって、協奏の妙を味わいました。

後半は、カジュアルな私服に着替えたヤンセンさんが近くの席に座りました。さっきまで牝豹のように鋭くヴァイオリンを弾いていたのに、今は、すうっと清楚な若者という感じです。かわいらしい。出番のあと、客席で音楽会の続きを聴くソリストさんはあまり多くないのだけど、一緒に音楽好き仲間って気がして嬉しくなりました。
ゲルギーのブラームスは、意外や意外、好きかも。確かに小さな瑕(わたしにとって)もいくつかあった。ティンパニがトーマスさんじゃなくって(シマノフスキは乗り番だったのに)、最初のティンパニの連打がわたし好みじゃなかったり、アンサンブルの乱れがあったのもの、素晴らしい演奏。ゲルギーはあまり仕掛けてきません。じっくり丁寧に堅固な石の建造物を造るように音楽を組み立てていくのだけど、ゲルギーと言ったらロシアものとか思ってる人から見れば、辺境のレパートリーであるブラームスなのに、揺るぎのない自信を持って音楽を作っているのがありありと分かります。どこをとっても、曖昧に誤魔化しているところはなくて、どのひとつひとつの音符もなぜそれがそこにあるのか、そういう風に演奏するのか、言葉で説明できるような演奏です。ゲルギーはブラームスをとても雄弁に語ってる。去年聴いた彼お得意のレパートリー、チャイコフスキーの交響曲第5番の演奏よりも揺るぎない(あのときのチャイコフスキーは、ゲルギーが過去の演奏を捨てて新たな音楽を生み出そうとしている苦悩のが分かりました)。ただ、100%の演奏かというとそうではなく、少し伸びしろが感じられました。

今日のゲルギーは楊枝の指揮棒。指揮棒いらないんじゃね、と思いつつ、それにしても、ゲルギーとシマノフスキ、ゲルギーとブラームスのアフィニティの高さを感じさせる、これからのブラームス、シマノフスキ・プログラムの充実を予感させるのに十分な演奏でした。これはぜひ、CDに残して欲しい。マイクが立っていたし、このシリーズの音楽会、2回ずつあるのできっと録音されるのでしょう。ぜひCDを、とツイートしたら、CD化されるとの回答。これは待ち遠しいですよ。楽しみ〜〜。
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by zerbinetta | 2012-09-22 20:55 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

クリーミーな夜 バルトーク、シマノフスキ エトヴィシュ、ロンドン交響楽団   

08.05.2012 @barbican hall

bartók: music for strings, percussion & celeste; violin concerto no. 2
szymanowski: symphony no. 3

nikolaj znaider (vn)
steve davislim (tn)
peter eötvös / lsc, lso


週末ゆっくりしたので風邪は治ったと思ったら、またも激しい喉の痛み。うううむ。でもでも今日はシマノフスキなんです。休むわけにはいかない。というわけで、出かけたのはいいのですが、咳を我慢するのがこんなにも辛いだなんて、初めて知りました。こっちの人みたくごほんごほん盛大に咳したいなんて思っちゃいましたよ。実際は咳してませんからね〜、一所懸命我慢しました、ご批判無用。

今日は、バルトークの「弦打チェレスタのための音楽」とヴァイオリン協奏曲。そしてシマノフスキの交響曲第3番「夜の歌」です。まさにブーレーズさん好みのプログラムだったわけだけど。。。
さて、今日の音楽会を一言で言っちゃうと、柔らかな肌触り。ロンドン・シンフォニーの音がとても柔らかくて暖かみのある美音なので、そこから出てくる音楽が美しくてあたたかいの。例え鋭利に尖った先鋭的な音楽を演奏したとしても。それは好みの分かれるところでしょう。

「弦打チェレスタのための音楽」は、わたしにとって生まれて初めて自分の意志で聴いた’現代音楽’。今から思うと、現代音楽ではちっともないのだけど、中学生の頃のわたしにはなんだか難しい斬新な音に聞こえたんですよ。今でもとっつきやすい音楽ではないし、鋭角的に演奏することも出来るんだけれども、ふくよかなロマンティシズムも感じるし、躍動感のある民族的な踊りもある。今日のエトヴィシュさんとロンドン・シンフォニーの演奏はクリーミー。始まりの楽章こそ、淡々とトランクイロだったけど、ロンドン・シンフォニーの音色がこの音楽から刺々しさを取り去ります。そして、エトヴィシュさんの音楽がちょっと不思議な感じで、なんだか寛いだ雰囲気さえ漂わせて、歌い回しが独特でおやんと思ったんです。速い舞曲も村のフォークダンスのバンドのように歌ってるし。最初はあれれ?って思ったんですけど、聞き慣れていくうちに、きれいだなぁステキだなぁと。これがわたしにとって’現代音楽’だったのは昔のことなんですね。特に、第3楽章の真ん中の高い音の弦楽器がグリッサンドを弾くところなんかは夜の公園で白いふわふわとした妖精に囲まれている雰囲気。おどろおどろしさがなくて、幽幻のモノと遊んでる感じ。好みもあるでしょうけど、わたしはこの柔らかな演奏が気に入りました。オーケストラの配置は少し変わっていて、向かって左に第1ヴァイオリン、その後ろに第1コントラバス、時計回りに第1ヴィオラ、真ん中にピアノとチェレスタ、向かって右側に第2ヴィオラ、第2ヴァイオリン、その後ろに第2コントラバスと続きます。チェロは、後ろに1列に並んで、その後ろに打楽器群も1列に並んでいました。

2曲目は同じバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番。この曲は打って変わって親しみやすいです。いきなりツィテラを模したような弦楽器のピチカートのアルペジオで始まって、親しみやすい音楽に満ちてる。やっぱり、アメリカに渡ってからの音楽なのね。聴いた感じがコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲にも似てて。ただ、明るい中にもどこか一抹の寂しさも感じられる音楽。ヴァイオリンのズナイダーさんは、先日のテツラフさんのような凄味はないけれども、十二分に曲の魅力を引き出してくれる演奏でした。多分初めて聴いたんですけど、この曲好きになりました。バルトーク苦手が少し解消されて嬉しい。

お待たせ、シマノフスキの「夜の歌」はわらわらと、大オーケストラ、大合唱のための音楽。演奏される機会が少ない曲がこうして聴けるのがとっても嬉しいし、2月にもユロフスキさんとロンドン・フィルで聴いているので、わたしには花火が咲いた感じ。来シーズンのゲルギー、ロンドン・シンフォニーのシマノフスキ・シリーズは聴けないのが残念ですけど。
今日のエトヴィシュさんの演奏は、極上の大オーケストラを存分に鳴らして、フルコースのディナーのような満腹感。ものすごく贅沢な感じです。それにしてもオーケストラがめちゃくちゃ上手い。そして雲丹のように濃厚。たっぷりと官能的でエクスタシーのあとの柔らかな微睡み。この音楽って、氷のように冷たい手で頬を撫でられるような鋭さ透徹感があるのだけど、エトヴィシュさんとロンドン・シンフォニーの演奏は温度感があって、夏の夜、涼しげな噴水のそばで恋人と心地良い風に吹かれている感じ。冷たさではなく涼しさなんですね。それがより、人肌の官能を生んでいるのだけど、これはお好みによるかな。雲丹が好きな人にはいいんじゃないかと。テナーのダヴィスリムさんは、こんがりと黒く焼けていて、まあそんなことどうでも良いのですが、なかなか良かったです。

わらわらと人がいっぱい
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by zerbinetta | 2012-05-08 03:20 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

エロスとエクスタシー テツラフ、エトヴィシュ、ロンドン交響楽団   

29.04.2012 @barbican hall

debussy: three nocturnes
szymanowski: violin concerto no. 1
scriabin: the poem of ecstasy

christian tetzlaff (vn)
peter eötvös / ladies of lsc, lso


シマノフスキが好きなんです(キッパリ)。でも、シマノフスキって演奏される機会が少ないので、貴重な機会を逃さざるべく、とっても楽しみにしてチケットを暖めていました。そして、今日はブーレーズさんが振る予定だったんですけど、残念ながらキャンセル。どうやら目がお悪いらしくもう目が見えないんだそうです。これから指揮者としてステージに立つことがあるのか、心配です。現代音楽の戦士のイメジがある彼ももう高齢ですからね。お体大事になさって、つつがなく余生を送って欲しいです。

で、ブーレーズさんの代役は、アンサンブル・インテル・コンテンポランの指揮者もしてらした作曲家でもあるエトヴィシュさん。前にロンドン・シンフォニーを振るのを聴いて、全体的な構築はともかく、局所的に微に入り細を穿ち点描的に音楽を作る人だなって感想を持ちました。それが今日の演奏にどう生かされるのか、殺しちゃうのか、シマノフスキなら多分大丈夫かなと、半分不安、半分期待。

それがね〜〜半分不安の予想に反して、意外や意外、良かったの。エトヴィシュさん、指揮者としても才能ありそう。女声合唱がちょこっと入る「ノクチュルヌ」は、試し聴きみたいな感覚で聴いてたんだけど、これはちゃんと聴かないとって引き込まれました。ロンドン・シンフォニーの暖かみのある柔らかな音も地中海側のドビュッシーという感じでとても気持ちよかったです。そうそう、今日はリーダーにニコリッチさん。もしかしてこの人が弾くのは初めて見たかも。ロンドン・シンフォニーの正式のリーダーのひとりなんですけどね(ロンドン・シンフォニーにリーダーはふたり)。でも、さすがヴェテランのリーダー。なんだかオーケストラが締まります。

いよいよシマノフスキ。テツラフさんのヴァイオリンで、協奏曲第1番。この曲を聴くのは2回目。大好きな音楽です。テツラフさんは昨日聴いたアリーナの師匠。アリーナは活動の拠点を半分ベルリンに移してテツラフさんに習ってるんですね。彼のヴァイオリンを聴いているとアリーナが師事するの分かります。指向性が似てるんですもの。テツラフさんは風貌が学者タイプで(今日はメガネをかけていなかったけど)、繊細な神経質な演奏をするかと思いきや結構漢。繊細な中に熱い感情を持った演奏をする人です。
なので、暖かみのある音色のロンドン・シンフォニーと漢のテツラフさんのシマノフスキは、結構情熱的。わたしが今まで聴いてきた演奏は、冷たく鋭利なエッジの演奏だったので、ちょっと印象変わりました。でも、テツラフさんのフラジオレットの高音は研ぎ澄まされたガラスのようにきれいなので、シマノフスキらしさもしっかりあって、でも、情熱的な音楽にはエロスも感じて、冷たい月の光の夜、激しく愛を貪り合う感じ。ふたつの生命が混じり合いひとつになろうとするひとつの細胞の時代から途絶えることなく行われてきた命の荘厳な営み。
テツラフさんのアンコールは、バルトークの無伴奏ソナタから。これもまた素晴らしい演奏でした。それにしてもテツラフさん、今脂がのりにのってますね。どこかで聴いたことのあるような気もするも、覚えていなかったわたし。隣の人たちがひそっとバルトークのソナタって言ってたので分かったのです。あとで調べたら、わたし、アリーナの演奏で聴いていたんですね、この曲。どおりで聴いたことがあると思ったわけだ。すっかり忘れてたけど。
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最後のスクリャービンの交響曲はずばりエクスタシー。エトヴィシュさんの演奏は、オーケストラをとても良く鳴らすし、オーケストラもそれに応えてとてもいい音で弾いてるんですけど、エクスタシーにしてはちょっとあっさりしてるかな。ちょっと健康的。多分ブーレーズさんが振っても同じようになるような気もするけど。本当のところは曲が短すぎて(20分ほど)、エクスタシーに達するにはちょっとせっかちかな。もっとじっくり焦らしつつ(例えばトリスタンのように)、導いて欲しいです。むしろ、シマノフスキの協奏曲の方にエクスタシーを感じました。

今日の音楽会、ロンドンの音楽会ブログ仲間が大挙集ったみたいですね。ロンドンは音楽会が多くて、普段分散するのに、珍しいです。わたしは皆さんにお目にかかったことないんですが、音楽談義に花を咲かせていたのではないかしら。

今日、この音楽会の前に、ギルドホール音楽演劇学校の学生さんによるハープを中心にした室内楽の演奏がありました。ドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗な舞曲」が聴きたくて聴いていたんですけど、プロの卵とはいえアマチュア。評論は控えますね。でも、プロへの道は険しいって感じました。それだけ、プロの音楽家って素晴らしいんですね。
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by zerbinetta | 2012-04-29 19:16 | ロンドン交響楽団 | Comments(4)

天国的な長さのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」 ベル、ユロフスキ、ロンドン・フィル   

22.02.2012 @royal festival hall

mozart: symphony no. 32
brahms: violin concerto
zemlinsky: psalm 23
szymanowski: symphony no. 3

joshua bell (vn)
jeremy ovenden (tn)
vladimir jurowski / lpc, lpo


ジョシュア・ベルさんってわたしにとってかっこいい人ではなくて、美しい人なのです。頭の上から天に引っ張られる感じで、ヴァイオリンを弾くお姿が(おを付けさせてもらいます!)とってもきれい。見目麗しいので目の保養になります。ということはすっかり忘れてて、シマノフスキの交響曲ねらいでチケット取りました。シマノフスキ大好きなんです。でも演奏機会が少ない。何故か今シーズンはロンドン・シンフォニーでもブーレーズさんがヴァイオリン協奏曲と今日と同じ交響曲第3番を演るし、なんと!来シーズンはゲルギーがシマノフスキで特集組むんです。来シーズン、ロンドンにいないことがなんと悔しい!!!

モーツァルトは興味津々。ユロフスキさんは、ハイドンが得意で古典がちゃんと振れる人、というのがわたしの評価だけど、モーツァルトはまだちゃんとは聴いていないので、これはしっかり聴かなくちゃと思ったのです。基本的に古楽的なアプローチを採る人なので、ティンパニとトランペットは昔の、ホルンは普通のホルンでした。
交響曲第32番は、とても短い曲。序曲って言うんですね。ほんとに序曲みたいな曲でした。この小さな音楽だけで、ユロフスキさんのモーツァルトを云々するのは無理だけど、太鼓がぽんぽこ鳴る愉しげな演奏で、ユロフスキさんのモーツァルトへの適性を垣間見たような気がします。

そしてブラームスの協奏曲。正直に告白すると、戸惑いました。ベルさんは、ほんとに美しくて、お姿だけじゃなくて音もとおっっても美しいんですけど、どうしてか、わたしとはウマが合わないんです。大好きなのにとっても大好きなのに、一緒にいると緊張しちゃって口がきけなくなって気まずい雰囲気が漂ってしまう彼。大好きなのに恋人同士にはなれない関係。そんな感じなのです。
今日のブラームスもやはり気まずくておろおろ。確かにソロが入ってぴーんとベルさんの世界にオーケストラが引き込まれたのはさすがですが、何かもやもやと霧の中にいるよう。確かに道を失ったのです。今わたしがどこにいるのか迷子になったのです。ブラームスの音楽って、決して古典派の音楽ではないけれども、がっしりと構成された形式美のある音楽。丹念な設計図の元に音楽が組み立てられていて、どこにいても、今ここだなって分かる感じ。だけれども、ベルさんのは、時間が引き延ばされている(決してゆっくりと演奏したという意味ではありません。時間の流れが緩やかになった、もしくはよく分からなくなった感じです)のか、今どこにいるのか、どこを迷っているのか曖昧になっているのです。音楽を外枠から作らないで、部分部分を丹念に弾き込むことで音楽を作っているのかな。それぞれのときはうっとりするほど美しいんですけど、つながりが失われてる。ふうっとそれに気がついて、ああ、今この瞬間の音楽に身を委ねればいいんだなって思ったとき、永遠に続くかのような時間が愛しくなってきて。
最近音楽の形式的な美しさに目覚めてきたわたしには、ちょっと期待をはぐらかされた印象です。第3楽章なんかは活気があって良かったんですけど。

休憩のあとはツェムリンスキーの詩篇23篇といよいよシマノフスキ。両曲とも合唱が入ります。合唱は、最近ずうっと好調なロンドン・フィルハーモニック・コーラス。アマチュアの団体ですがとっても上手くて、今日もステキな合唱を聴かせてくれました。今日のような大きなロマンティックな音楽が一番得意みたい。演奏時間が10分くらいなのにマーラーとか初期のシェーンベルクみたいな肥大した音楽。世紀末テイスト。何が世紀末テイストかと言われると困っちゃうんだけど、調性のしっかりした19世紀にも無調になった20世紀にもどちらにも行けず、狭間でふらふらしてる感じかな。伸びやかでほのぼのしている牧歌的な音楽ねって、ふと記憶をたどったら、そうだった、詩篇23篇って憩いのみぎわの詩だった。詩篇の中でもっとも平安に満ちて美しい詩。友達の名前が総登場するので大好きな詩だったのでした。ユロフスキさんのオーケストラも暖かく歌の世界を包みこんでステキでした。短さを感じさせない壮大な演奏でした。

一方のシマノフスキの交響曲第3番「夜の歌」は冷たい寒色系の音楽。この音楽って、実はラジオの解説を聴いて初めて気がついたんですけど(って遅すぎ!)、トリスタンとイゾルデをふんだんに引用してるんですね。そしてそれに相応して、ユロフスキさんはもの凄くねちっこくこの曲を演奏しました。大オーケストラと大合唱団による遠大な官能のうねり。わたし、この曲さらっときらきらと流れるシマノフスキ・テイストの音楽だと思っていたんだけど、水飴のようにねっとりとしてて、エロティックな音楽だったと大発見。ロンドン・フィルの本来の寒色系の音色もぴたりと合って素晴らしい名演となりました。テナーのオヴェンデンさんも、きらきらテナーではないけれども、声の感じがこの曲に合っていて文句なし。どっぷりと夜の艶めかしい世界に浸って、でも何か秘匿してしまいたい性の本能が身体の中にたっぷりと湧き上がってきて、なんだかこのまま寝付けなくなってしまいました。まさに、「君よ、寝るな!」です。
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by zerbinetta | 2012-02-22 07:57 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(2)

アンコールでなくちゃ アリーナ・イブラギモヴァ&セドリック・ティベルギアン リサイタル   

23.09.2011 @wigmore hall

debussy: violin sonata
lekeu: violin sonata
szymanowski: mythes
ravel: violin sonata in g

alina ibragimova (vn), cédric tiberghien (pf)


実はこの音楽会、はじめ行く気はなかったんです。どの曲もすでに聴いたことがあったから。さすがに、ファンでプチ追っかけとはいえ、軟弱者だから、この忙しいさなかに(この1週間は結果7日で8音楽会です)、1日休みの日が欲しいなって。でも、やっぱりそこは追っかけ。それに、音楽会は生き物。同じ曲を演奏してもいつも同じではありません。若い彼らのこと、日々伸びていく成長もありますし。というわけで、聴いてきました。そしてそれはもう本当に大正解でした。素晴らしい音楽会だったです。

まずはドビュッシーのソナタ。去年の秋にも聴きましたがこれが最近出たCDに入ってないって残念。素晴らしく冴えた演奏で、涼しげな月光浴に連れて行ってくれます。ヴィブラート控えめのアリーナの音色、寒色系に固く弾けるセドリックの音色がぴたりと音符に精をあたえて生きた音楽が生まれます。おふたりの音楽性がぴったり。順番は逆になりますが、あとに演奏されたシマノフスキの「神話」も、こちらはより神秘性が漂いますが、同じ味わいがします。シマノフスキの方はそれに加えて、ごつごつした現代的な弾き方や超高音、トリル、ハーモニクスなど技術的にとっても難しそうだけど、さすが現代曲得意のアリーナ、憎らしいくらい余裕を持って弾いていました。そして今日は不思議な現象を目の当たりにしたのです。そのひとつめは、ヴァイオリンの音がヴァイオリンから聞こえてこないのです。シマノフスキ♥のわたしとしては、ぜひ、協奏曲も聴かせて欲しいです。

ルクーのソナタはまさに青春。実は最近、アリーナのリサイタルやCDを聴いてきて、セドリックのピアノに惚れているのです。ルクーのソナタでは、ヴァイオリンがテーマを最初に弾き終わったあと、ピアノの音がぱらりと弾けるところのセドリックのピアノが大好きなのです。というわけで今日はわたしの耳はセドリックに行ってたはずなんですが、アリーナの強烈な求心力でむしろアリーナにぴったり張り付いてしまいました。今日のアリーナ、今まで聴いてきた中でもベストと言えるくらい(いつもそう思ってるんですけどね)の燃焼ぶり。この曲を去年初めて聴いたとき、アリーナとセドリックの熱い演奏に、あああ夕日に向かって走る青春だなって思ったんですけど、CDに録音されたスタジオ録音の演奏はちょっとお行儀が良くて、夕日に走る感がないのでちょっぴりがっかりしてたんです。でも、今日のはもう、燃えまくり、走りまくり、がんがんに弾きまくり。アリーナもセドリックもライブで燃えるタイプなのかしら。あああ、できることなら今日の演奏をCDに残して欲しいわ。

そしてお終いに、ラヴェルのト長調のソナタ。ルクーのと同じ、聴くのは3回目です。こちらは都会的な洗練さがあって、でもジャジーな部分では場末感もあって面白い曲。アリーナの演奏は、少しずつ変わっていってるように感じています。特に、ジャジーな部分をどこまで汚せるかに耳をそばだてているのだけど、だって、アリーナの演奏はそんな部分でもとってもきれいで少しつんとした感じでもうちょっとと思う部分もあったから、今日は、やっぱりきれいな音なんだけど、結構大胆に表情を付けていました。25歳のトップランナーに阿婆擦れた感じを出せというのも酷なんですけどね。でも、こういう年齢と共に表現が変わっていくだろう音楽をリアル・タイムで時を重ねながら聴き続けていけるのは楽しみです。今でも極上のラヴェルであることには変わりないんですけど。

プログラムはこれで終わり。
で、アンコールになんと!ツィガーヌ! これがなんだかもうとっても凄くて。今までのは譜面を見て弾いていたのだけど、これは暗譜。そして、アリーナって弾くとき首をちょっと前に出す感じで猫背気味に弾くのだけど、正面を向いてヴァイオリンを高く上げ気味に構えて。音が出た瞬間、アリーナが大きくなったように見えました。これが今日の不思議その2。ほんとびっくりしたんです。幻じゃなくて実際大きくなったように見えたのですから。アリーナの音楽から発散される強烈なオーラがそう見せているのでしょうか。オーラをまとった音楽は、ばかみたいに凄かったです。前半はずっとヴァイオリンのソロなのでアリーナはたっぷりとした太い音で自在に弾きまくり。今日のアリーナ、艶やかな低弦の音が鳴りまくっていて、それに支えられる音楽がとにかくもうエキサイティング。ピアノが加わったあとはセドリックと二人でむちゃ盛り上がっていました。そのままわたしも熱い拍手。今日の音楽会は、もう今シーズン最高のひとつとシーズンが始まったそばから言っちゃってる凄さだったんですが、その最後を飾ったツィガーヌにもう本当に感動しました。きっと、アンコールだったというのも良かったんですね。音楽会が一応終わって気持ち的なたがが外れて、抑えることなく思いっきり弾きたいように弾きまくった感じでしたらから。それがこの曲に合っていたと思うんです。

音楽会のあとにはサイン会がありました。わたしは帰ろうかなと思ったのですが、トイレでちょっと考え事をして上がってきたら列が短くなっていたのでちゃっかりプログラムにサインをしてもらいました。写真も撮らせてもらいましたよ。
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by zerbinetta | 2011-09-23 18:41 | 室内楽・リサイタル | Comments(2)

晴天、霹靂を飛ばす   

14.01.2011 @royal festival hall

szymanowski: violin concerto no. 2
mahler: symphony no. 6

leonidas kavakos (vn),
johannes wildner / lpo


「水曜日、日本から帰ってくるんだよね。金曜日指揮してくれない?」「いいよ。今やってるヨハン・シュトラウスでいいの?」「シマノフスキとマーラーの6番」がーーん、「まじー」という会話が数日前にあったに違いない。ヨハネス・ヴィルドナーさんとLPO。実は今日の音楽会、もともと指揮者にはズウェーデンさんが予定されていて、ズウェーデンさん評判いいのでとっても期待していたのでした。ところが、数日前ツィッターで、ズウェーデンさんインフルエンザで降板、急遽、オーストリア人の指揮者、ヴィルドナーさんが呼ばれたのでした。50代前半、でも全然知らない人。しかも彼は11日まで日本でウィーン・ヨハン・シュトラウス・オーケストラとニュウ・イヤー・コンサートをやってて、どんなに早くてもロンドン到着は12日。音楽会は14日。しかも、曲目が、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第2番とマーラーの交響曲第6番! よく引き受けたなぁ〜。多分どちらの曲も振ったことほとんどないのではないのでしょうか。特にシマノフスキは。滅多に演奏される曲じゃないし、わたし自身生で聴くのは初めて。マーラーにしたって、こんな大曲そう演奏する機会もないでしょう。ウィーン国立歌劇場でヴァイオリンを弾いていたということなので、ウィーン・フィルではヴァイオリニストとして演奏したことはあるかもしれないけど。だから、どうなるのかとっても不安だったのです。無事に音楽会終わってくれますようにって祈ってましたよ。

さてそのシマノフスキ。聴きたかったのです。第2番はシマノフスキ後期の、民族音楽のイディオムを積極的に採り入れた親しみやすい音楽。で、音楽は予想通り、カヴァコスさんのもの。ヴィルドナーさんとオーケストラはそれに寄り添って伴奏していきます。それはそうでしょう。連絡を受けてヴィルドナーさんがこの曲のスコアを初めて目にしたのは、多分、一昨日なのですから。彼は誠実にプロフェッショナルとしてできることの最善を尽くしたと思います。自己主張を抑えてソリストをサポートしていく。それは上手な伴奏者ならではの姿勢だし、彼がオペラ・ハウスでキャリアを作ってきたことが如実に生きていると思います。予期せぬトラブルにも柔軟に対応できる姿勢(あっ今日、そんなトラブルがあった訳じゃないけどね)。とっても実務的。で、結果としてそれがとても良いものを生み出したのです。弾き込まれたカヴァコスさんの音楽は、それ自体で雄弁だったし、男性ならではの力の余裕のある大らかなヴァイオリンは、この曲の歌謡的な魅力を存分に引き出していました。自由に伸びやかに奏でられるヴァイオリンにオーケストラは多彩な音色で華を添えていました。ヴィルドナーさんの音楽の特徴は、演奏者の自発性にまかせてその音色を最大限引き出すという感じに思えます。特に例えば木管楽器なら木管楽器のセクションごとの音色の対比がきれいで、シマノフスキの曲想と相まって、実はとっても名演だったと思うんです。もちろん、指揮者がもっとしっかりした準備ができれば、オーケストラの側にもっとつっこんだ音楽の深みが生まれて、オーケストラとヴァイオリンが緊張の中に音楽を高め合うような丁々発止の演奏ができたかもしれません。でも、それはこの状況では無い物ねだりだし、全く予想以上のこれ以上の演奏は滅多に聴かれないというようなレヴェルの演奏であったことは間違いありません。音楽が終わって、一番大きな拍手を送っていたのが、当のヴィルドナーさんでした。わたしはこれを見て、この人は演奏者を信じて引き立てる人なんだなって思ったし、今日の音楽会が最後にはとってもステキなものになるだろうと確信したんです。会場からも大きな拍手。通常の2回のカーテンコールの後、拍手が小さくなってきても何故かリーダー(コンサート・マスター)の人が力一杯拍手してる。ふふふ、アンコールがあったんですね。ここで拍手が途切れてはいけない。アンコールはバッハの無伴奏の多分ソナタの第1番のアダージョだと思うんだけど、これが、もううっとりするほど、というか信じられないくらい良かったんです。っていうか今まで聴いたことのないような演奏。歌に溢れていて。バッハなのに。衝撃的でしたよ。わたしにとっては。なんか地中海の青と白のイメジ(ちょっとベタですけど)。それくらい大らかで歌のあるバッハでした。カヴァコスさん侮りがたし。

後半はマーラーの大曲、交響曲第6番。ステージの上に人が溢れてます。今度は指揮者自身の勝負。どんな音楽になるのでしょう。始まりは、おっ意外と快速テンポ。そして明るめの音色。重暗く悲愴な行進曲を期待してると肩すかしを食らう感じ。そういえば、わたしお正月にシャイーさんのCDでこの曲聴いたんだっけ。あれも明るい音色が広がるマーラー。わたし、この曲に秋の突き抜けた高い青空のイメジがあるので、こういうのも悪くない。ただ第1楽章はまだ指揮者とオーケストラ(とわたし)がお互いに様子を見合ってるという感じもしました。テンポの動かし方が少しぎこちなく感じるところもあったし。第2楽章はスケルツォ。パート譜は第3楽章がスケルツォになってたので、敢えてスケルツォを第2楽章に持ってきたのでしょう。一昨年聴いたサロネンさんもそうでした。インテンポで、もうちょっと細かな対位法的な面白さを出して欲しいと感じることもあったけど、きちんとまとめていたと思います。そして、良かったのが第3楽章に持ってきたアンダンテ。遅めのテンポで弾く、弦楽器の音色や雰囲気が幽玄の音楽のようでほんとにステキでした。ゆっくりでも引き摺ったりもったりした感じは全くなくむしろ爽やか。両翼に配置したヴァイオリンの掛け合いも面白くて、全曲の白眉と言っていいくらい。真ん中はうって変わって速めのテンポを取っていたのも面白かったです。楽章の間は、ヴィルドナーさん、汗を拭いたりサスペンダーの位置を直したり、わりとたっぷりとっていたけれども、そのままの緊張感でいよいよ最終楽章。悲劇的な闘争の音楽だけれども、音楽は常に美しく雄大。青空に映えるアルプスの景色を目の当たりにしているみたい。のたうちまわるのばかりが悲劇ではない。凛と透明に澄み渡った悲劇だってあるんだ。わたしがこの曲を一番良く聴いていた悲しみが襲いかかっていた時期、空の青さが目に眩しい悲しみの究みだったことを思い出していた。最後の最後、コントラバスとバスクラリネットの音が長く引き延ばされた後、思いっきり叩かれる運命のリズムのテンポにどんでん返しを喰らったようで、打ち倒された英雄の姿にしばし呆然としてしまいました。

時間がなかったせいもあるのかもしれないけど(たぶんでも違う。本質的にヴィルドナーさんの音楽がそうなんだろう)、自分の音楽を押しつける感じではなく、演奏者の自発性に委ねて、オーケストラの持っている音色や音楽性を見事に引き出した演奏でした。オーケストラの側もそれに応えて、この緊急事態の中で持てる力以上のものを出していました。正直、こんなに上手いロンドン・フィルだったのかって驚きました。マーラーのこの曲を演奏するのは多分、ずいぶん久しぶりだと思うけど、毎年マーラーの交響曲は演奏しているし、テンシュテット以来の見えない伝統がオーケストラに備わっているような感じがして、期待していなかったのに、(指揮者が替わって)大丈夫だろうかって不安があったのに、蓋を開けてみたら、力一杯の名演でした。
正直に告白すると、ヴィルドナーさんのこと、2流の指揮者だと思っていました。50代の中堅どころなのに名前を聞かないし、キャリアを見ても超一流のオーケストラは振っていないし、CDはたくさん出してるけど、名曲コンサート系のが多いし、今日は外れかな、と。そんな先入観を抱いてしまった自分を恥じ入ります。彼は人の心の底をのぞき込むようなデモーニッシュな演奏をする音楽家ではないけれども、録音された演奏ではあまり高く評価されないきらいのある指揮者であると思うけど、本物のプロフェッショナルな指揮者だと思います。与えられた条件で誠実に最高の結果を出す職人。わたしが最も尊敬するタイプの人です。
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by zerbinetta | 2011-01-14 08:47 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(4)

ピクニック日和 天高く音楽舞い上がる   

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brahms: violin sonata no. 1
szymanowski: mythes
janáček: violin sonata
strauss:violin sonata
alina ibragimova (vn), cédric tiberghien (pf) @the menuhin hall


日曜日は秋らしいとっても良いお天気で絶好のピクニック日和。そう、今日はロンドンを離れること電車で40分、ロンドンの南の郊外、cobham & stoke d'abernonというところまで、音楽会を聴きに出かけるのです。全く行ったことのないところなので、グーグルマップでしっかり予習。航空写真を見ると畑や牧草地が広がってるので、気分はピクニック。お弁当は持ってないけど、少し早めに行って散策しよう。というわけで、早めの電車に乗るところだったんですが、ロンドンのウォータールーの駅で入り口を間違ってしまい、電車に乗り遅れ。駅員さんに訊いて(どの駅でも駅員さんは親切でした)、とりあえずはウィンブルドンまで。次はスビトンまで行けば電車あるかもよと言われてスビトンまで。結局そこで次にロンドンから来る1時間後の電車を待って。これだと音楽会に間に合わないかなぁ〜、ググ地図によれば駅から3kmは歩くしなぁ、ってあせりつつ、てくてくと歩いて会場のメニューイン・ホールまで歩いたら20分で着いたのでした。まわりは牧草地だけど、唯一の道路は車通りが多いのに歩道がなくて、あまりピクニック気分じゃなかった(余裕もなかったしね)。でも会場には開演の10分以上前に着いたので良しとしましょう。メニューイン・スクールは緑の田舎にある瀟洒な学校(上の写真は校舎(?)の一部)。日本の学校というイメジとは違いますね。寄宿制みたいだけど、こんなところで学べたら心も豊かになりそう。メニューイン・ホールはまだ新築の香りの残る新しいホール。席数が400弱くらいの小さなホールです。ステージがとても近くに感じられて、大好きなタイプです。
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今日の音楽会は、アリーナ(イブラギモヴァさん)とティベルギアンさんのリサイタル。アリーナはここ、メニューイン・スクールの卒業生です。ちなみにお母さんはここの先生。学校のホールでの演奏会とあってステージの後ろの席や後ろの方の席には生徒さん(小学生から中学生くらい)が座りました。アジア人率多めです。中国人かな。あと親御さんたち。生徒さんたちも親御さんたちもきちんとした服装だったので、ピクニック気分の服装のわたしはちょっと浮いてしまっていました。校長先生(?)が最初、アリーナの思い出を語ったりして微笑ましい感じ。で、音楽会が始まりました。

今日のプログラムはロマン派系。アリーナのプログラムは一昨シーズンのバッハの無伴奏、昨シーズンのベートーヴェンのソナタと約1年ずつひとつのプログラムを集中して演る傾向にあるので、来たるべくシーズンはロマン派なのかなって思います。今日がそのレパートリーのお披露目。この後、彼らはこのプログラム+αをひっさげてオーストラリアにツアーに出ます。

1曲目はブラームスのソナタ、第1番。とってもゆっくりと歌が始まりました。彼女のシマノフスキやバッハ、ベートーヴェンとは違う、歌からのアプローチ。ああ、ロマン派の音楽を集めるってこういうことなんだなぁって始まりから思いました。ほんとにほんとにとってもステキな歌。いつものアリーナらしく声を大きくして歌うわけではありませんが、豊かな歌心はわたしをとらえて放しません。ひとりでに口ずさんでるような歌。そして、ちょっぴり速度を上げた第2主題のなんと美しくすがすがしいこと。まるで今日の空に高々と舞い上がるよう。ブラームスのソナタは秋が似合うと思ってましたが、こんなにぴたりとはまる演奏も滅多に聴けないでしょう。内省的なブラームスはまさに彼女のために書かれたみたい。今回は第1番だけだけど、ぜひ全曲レパートリーに入れて欲しいな。

2曲目はシマノフスキの神話。大好きなシマノフスキです。これはCDにもなっているので聴いたことあるのだけど、でも生で聴けて嬉しいっ。曲が始まる前に少し時間をかけて音楽の世界に集中して、ピアノが静かに始まったとき、一瞬ぱっと目を見開いた姿にドキリ。1曲目のブラームスと違ってこちらは冬のように冷たい音。フラジオレットや特殊奏法の音色は生で聴くとより生々しくってヴィヴィッド。

休憩を挟んで3曲目は珍しいヤナーチェクのソナタ。初めて聴きます。日本に帰ってたとき、1Q84を読み始めたので、シンフォニエッタは聴いたし、ミサやオペラは少し聴いたことがあるけど、まだ不慣れな作曲家です。うまく聴けるかってちょっと心配したけど、最初のヴァイオリンの激しい音符にびっくりしたけど、歌心のある音楽で、特に第2曲と第3曲のフォーク・ソング風のメロディがステキで、気に入りました。

お終いはシュトラウスの若き日の作品。ヴァイオリンとピアノだけの音楽だけど、オーケストラの作品のようにシュトラウスらしい豊満な音楽。さすがオペラの作曲家、ヴァイオリンとはいえうんと歌わせてくれる。深みのある作品ではない感じだけど、素直にシュトラウスの絢爛な音楽に浸ればとっても幸せ。アリーナの音も芳醇。それにしても今日のアリーナ豊かな音色でほんとによく歌う。今までのバッハやベートーヴェンでは聴かれなかった進化したアリーナ。作品によって大きく弾き分けるアリーナも凄いし、レパートリーを計画的に築きあげていく頭の良さもなかなか。オーケストラとの協奏曲ではなくて、ソナタや室内楽に軸足を持っている姿勢も、ご自分の特徴を捉えてるに違いなくてステキ。
ロマン派のアリーナもものすごく期待できそうですよ。
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by zerbinetta | 2010-09-12 07:48 | 室内楽・リサイタル | Comments(2)

ゾンビ再び   

szymanowski: concert overture
dvořák: violin concerto
prokofiev: symphony no. 3
frank peter zimmermann (vn), alexander vedernikov / bbc so @barbican hall


クイズです。この曲は誰が作曲したでしょう? ってクラヲタさん達に聴かせたら、十中八九、リヒャルト・シュトラウス、でもなんていう曲だろう? 知らない曲だって答えられそう、なのはなんと!シマノフスキの演奏会用序曲。シマノフスキ20代前半の頃の作曲です。それにしてもシマノフスキって若い頃、シュトラウスの影響を受けていたのね。それがもろに出た音楽。1904−5年の作品(1912−13年に改訂)で、シュトラウスも時代の最先端を走っていた頃。若いシマノフスキも最先端を併走していたのでた。そしてお互いコースを離れて独自の道に入っていくのですね。今日はラジオ放送用に司会者が出て短く曲を紹介したのですが、彼が言った「ティルオイレンシュピーゲル」よりもわたしはドンファンを感じました。ドンファン調のホルンの咆哮がかっこよかったしすかっとした。ヴェデルニコフさんとBBCシンフォニーの演奏、快調です。

2曲目はフランク・ペーター・ジマーマンさんを迎えてのドヴォルジャークのヴァイオリン協奏曲。これはびっくりした。まず始まりからわたしとはテンポ感が違う。むちゃくちゃというわけではなくちょっぴりだけど、テンポが速め。でも、音符をざっざっと切ってるので速く感じます。わたし、この曲はいくつかの演奏をラジオやCDで聴いただけだけど、ボヘミアの草原を吹き抜ける風のような緑の爽快感、草の匂いのノスタルジーを感じる音楽だと思っていました。ところが今日の演奏にはそれがない。そういう風景を喚起するのもがないのです。代わりにあるのは純粋に音だけの音楽。そして確固とした構築。ブラームスはドヴォルジャークのメロディ・メーカーとしての才能を高く評価していたそうですが、今日の演奏は、ブラームス張りの音楽の構成感を際だたせるもの。叙情性をほとんど感じさせないわたしにとっては異質な音楽だけど、こうも確固として揺るぎなく演られちゃうと、参りましたと納得せざるを得ない。というか、驚いたけれどもこういうのもありだって思った。ヴァイオリンのジマーマンさんのヴァイオリンはこういう言葉が適切かどうか自信はないんですが、男性的。恰幅が大きく骨太。こんな音に抱かれたいと思っちゃいました。
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さて、実は今日のお目当ては、指揮者のヴェデルニコフさんだったのです。だってだって、好きなんだもん。彼は確かにハンサムとはいえないけど、音楽はとってもとってもステキ。わたしの今最もツボにはまってる指揮者のひとりなんです。もちろん、前半のシマノフスキもドヴォルジャーク(こちらはジマーマンさんの音楽だったのかもしれませんが)も良かったんですが、ヴェデルニコフさんを聴くなら圧倒的にプロコフィエフ。そして、交響曲第3番なんてプロコフィエフ好きのわたしには涙が出るほど嬉しい。こんな曲滅多に演奏される機会なんてありませんから。ついでに交響曲の第2番なんかも演ってくれないかなぁ。
もちろん、ヴェデルニコフさんのプロコフィエフは期待通りというか期待以上。最初から切れてる感じで、狂気の世界に引きずり込まれます。アグレッシヴでワイルド。そしてヴェデルニコフさんの美質は、オーケストラが思いっきり強奏されてるのに、音が濁らずに全ての音が明確に聞こえることです。ホルンの和音、弦楽器のメロディ、トランペットの叫び、トロンボーンの対旋律、全部いっぺんにわたしに襲いかかってきます。それは決して分析的に交通整理をした演奏ではなくて、他の人より大きく吹けば耳に届くという単純原理に支配されてるようです。もちろん音が濁らずに独立してることが前提ですが。この感覚は、前にロストロポーヴィチさんのプロコフィエフを聴いたときにも感じました。プロコフィエフはどんなに複雑でも交通整理をしてしまっては魅力が失われてしまうと思います。各パートがお互いに競い合って1等を目指すのがプロコフィエフの魅力なんじゃないかと。
そして、第3楽章ではなんと、ゾンビ出現! 音楽が奇妙におどろおどろしくて、ゾンビ映画のバックにぴったりなんですが、弦楽器にエキセントリックなグリッサンドの下降音を弾かせるとき、指揮者のヴェルデニコフさんには明らかにゾンビが憑依してた。ヴェルデニコフさんはゾンビだったんだ。あんなゾンビみたい指揮をされたら、音を出すオーケストラも軽々しくは音を出せません。世界がゾンビに溢れていきます。プロコフィエフのゾンビはさらに凶悪化してしまいます。第4楽章ではゾンビが巨大化した怪獣になって街に襲いかかります。いったんわたしの脳内のゾンビ変換回路がオンになってしまったら、もう、ゾンビから逃れられません。ゾンビの勝利となって音楽は終焉します。いや〜実に満足度の高いプロコフィエフでした。名演でした。ますますヴェデルニコフさんから目が離せません。わたしもゾンビと化す日も近い?
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高笑いするゾンビ。じゃなかったヴェデルニコフさん。

おまけ。
そうそう今日はBBCシンフォニーのティンパニの人の叩き方がかっこいいのに気づいちゃったんです。わたしにとっては叩きっぷりはフィルハーモニアのスミスさんなんだけど、BBCのチャイムズ(john chimes)さんも叩く姿がいいなって思いました。おまけその2はチェロの人。これはある方へ。
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この音楽会は現在BBCのラジオ3(パート1パート2)でインターネット配信中です。よかったらぜひ。
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by zerbinetta | 2010-02-25 23:14 | BBCシンフォニー | Comments(4)