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フレッシュ ピリオド・スタイル! オルケストラ・クラシカ第4回定期演奏会   

2016年4月23日 @トッパンホール

ハイドン:交響曲第85番「王妃」
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番
モーツァルト:交響曲第40番

渡辺美穂(ヴァイオリン)
大森悠/オルケストラ・クラシカ


惑星のあとは、トッパンホールでオルケストラ・クラシカ。大阪フォルのオーボイスト、大森さんの下に集まった東大オケ出身者(大森さんもOBで東大から音楽家になってます)を中心にしたアマチュアの室内アンサンブル。大森さんの元同僚の渡辺さんがゲスト・コンサートマスターをしていて、今日はソリストとして登場。オーボエ吹きの指揮者というと、東京シティ・フィルの初代音楽監督、というかタモリ倶楽部でヘンな指揮者として有名になった、というかヴァイオリニストの宮本笑里さんのお父さんの宮本文昭さんを思い浮かべるという脱線は置いておいて、大森さんは、練習で音楽の表情をオーケストラに伝えるのためにオーボエで吹いちゃうほどの人(オーケストラのサイトから)。さて、どんな音楽を聴かせてくれるのでしょう。実は、失礼ながらあまり期待していなかったんだけど、これがびっくり嬉しい、とてもステキな音楽会だったのでした。

音合わせを聞いたとき、あっ!このオーケストラ上手いって予感がしたんですけど、「王妃」を聴いてその予感が正しかったことを確信。小さな編成(第1ヴァイオリンが7人)のオーケストラなんだけど、しっかり音が出てるし、弦楽器は前から後ろまでみんな上手そう。それをベースに大森さんが自在に音楽を作るのだけど、反応もいいし、とっても音楽がこなれてるの。そしてどうやら、表現はピリオド系。もちろん、現代楽器のオーケストラだけど、アクセントの付け方とか、ピリオド・スタイルの成果を採り入れてる。古典がレパートリーの中心の室内オーケストラの思い切った割り切り方がステキ。それから、メンバーが若く、イケメンが多いのも嬉しい♡

ピリオド・スタイルのカミソリはヴァイオリン協奏曲で凄みを増しました。ヴァイオリンの渡辺さんが、アグレッシヴでシャープな切り込みのモーツァルト。アクセント鋭く小股の切れ上がったモーツァルトとは俺のことだって感じね。モーツァルトでばっさばっさと切りまくる感じが、腑抜けたヒーリング音楽に堕落したモーツァルトと対照的で良いの。(ゲスト)コンサートマスターとして一緒に弾いている渡辺さんをサポートするオーケストラも渡辺さんの意を汲んで、キレキレのモーツァルト。この演奏は素晴らしかったです。
渡辺さんのアンコールは、バッハの無伴奏パルティータ第1番から「ブーレ」でした。こちらはキレキレではなくわりとおとなしめ。即物的な感じかなぁ。

お終いはソロを弾いた渡辺さんも第1ヴァイオリンの末席に加わって、モーツァルトの交響曲第40番。大きな方のト短調。第1楽章の有名な旋律は、ロマンティックな行き方もあると思うけど、もちろん、大森さんの演奏は、それとは一線を画すもの。オーケストラにはチェンバロも入って(前半の演奏にももちろん入っていました)、バスの動きに通奏低音風な彩りを添えていたり、アマチュアのオーケストラでこんなステキなピリオド・スタイルの演奏が聴けてびっくり。大森さんのおおっと思うような独特なテンポの変化やフレージング(特に第3楽章のメヌエットが秀逸)、渓流のような音の流れ、ワクワクして退屈しないほんとに目の覚めるような刺激的なモーツァルトでした。

アンコールにハイドンの交響曲第38番「エコー」からアンダンテ。ヴァイオリンがエコーを交わす(郭公も聞こえる?)のが洒落ててかわいいの。とても気の利いてるアンコール。

大森さんとオルケストラ・クラシカ、常連になりたい。もっと聴きたいと思いました。まだまだ先は長いのに、今年アマチュアで最も印象に残った音楽会になりそう。次回の定期演奏会の日程は未定みたいです。




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by zerbinetta | 2016-04-23 23:10 | アマチュア | Comments(0)

謎はなかった インバル/都響 ショスティ15   

2016年3月29日 @東京文化会館

モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番

クンウー・パイク(ピアノ)
エリアフ・インバル/東京都交響楽団


都響と深いつながりのあるインバルさんとの音楽会。来月のサントリーホールでの「カディッシュ」は聴きに行けないので、こちら。ショスティとアヒルの群れにぽつんと白鳥の雛が混じっちゃったようにモーツァルト。インバルさんとモーツァルトがどうしても結びつかないんだけど、ピアニストの希望?
絶対似合わない~~って思ったけど、ふたを開けたらほんとにそうでした。ピアノのパイクさんは、少しロマンティック路線のピアノ。オールドスタイル。対するインバルさんは、ロマンティックとは距離を置いているけど、ピリオド・スタイルではない、これまた別の往年のスタイル。正直ふたりの音楽がかみ合ってるのかかみ合ってないのかよく分かりませんでした。よく分からないまま進められるモーツァルトの名曲。まあ、協奏曲ですから、インバルさんはパイクさんに合わせて付けていたと思うんだけど、このスタイルの演奏にちょっと戸惑ったまま終わってしまいました。わたしの度量の狭さゆえだけど、悔しい。無地になってまず音楽を受け入れる訓練をしなければ。。。
パイクさんのアンコールは、ブゾーニの「悲歌集」から「トゥーランドットの居間」という曲だそう。初めて聴く曲だけど、モーツァルトよりこちらの方がパイクさんのピアノの雰囲気に合ってたかな。音に落ち着きがあって速い部分でもメカニカルにガチャガチャとしない感じがいいの。グリーンスリーヴスが聞こえてくるとやっぱりしっとりしちゃうから。

ショスティは謎が多い。最後に書かれた(死の床で書かれたわけではない)交響曲第15番はとりわけ謎だらけの作品だと思います。「ウィリアム・テル」や「神々の黄昏」からの露骨な引用ゆえにその意味がかえって分からなくなってるというか、本当に謎かけなのかすら謎。メタ謎かけ。それを考えながら頭で聴くのがショスティの魅力のひとつだと思うんだけど、さて、インバルさんの演奏は、即物的ゆえに謎がなかったかのように消えているの。音楽を、書かれた音符に即して、音だけを取り出してわたしたちに聴かせてくれる。クリアに理知的に。音そのものには確かに意味はないし、意味を考えるのはかえって音楽を聴くことを邪魔するのかも知れないけど、でも、わたしにはそれが物足りなく思えました。永遠に答えが得られないのなら(多分交響曲第15番の謎はそういうものなのです)、答えを見つけるより、問いかけはいらない、という割り切り方にね。ひとつのアプローチの仕方としてとても正しいんだと思うんですけど。。。
ドライな都響の音もインバルさんの解釈に縁取りを与えていたと思います。なので、両者の方向が一致していて、この音楽にはまる人には、もう素晴らしい演奏なのでしょう。ただ、チェロのソロや金管楽器にもう少し奮起を求めたいところはありました。
インバルさんと都響の長き良きコラボレイションは、今の都響をインバルさんの楽器にしているので、これからもインバルさんとの共演が楽しみです。でも、同時に、大野さんが音楽監督になられて1年。大野さんの下、これからどう変わっていくのかを聴き続けるのも楽しみです。




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by zerbinetta | 2016-03-29 11:24 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

夜と歌おう カンブルラン/読響   

2016年2月12日 @サントリーホール

モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
マーラー:交響曲第7番

シルヴァン・カンブルラン/読売日本交響楽団


タイトルは、今日の音楽会のチラシのコピーそのまんま。だって、あまりにも秀逸なんだもん。誰、これ考えたの?夜’に’でも夜’を’でもなく夜’と’。夜が擬人化させられて、何だか友達のよう。そんな音楽でしょ。「夜の歌」と呼ばれることもあるマーラーの交響曲第7番って、解釈によっては。すごく大らかで楽しそうでしょ。しかも気の利いたことにカンブルランさんが選んだカップリングは、なんと、モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジーク!セレナーデ第〇〇番とも言われるんだけど、モーツァルトはそういう呼び方はしなかった(作品を番号順に呼ぶ習慣は彼の時代にはなかった)ので、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が正しい呼び方なんだって。日本語では「小夜曲」?

その、かわいらしい、誰でも知ってる有名な「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。この曲を大きなオーケストラの定期演奏会で聴くとはまずびっくり。大学入試に「泣いた赤鬼」から出題されるようなアンバランス感。ところが、エッジの効いたカンブルランさんの演奏にまたびっくり。もうこの曲をイージー・リスニングの食堂とかでかかってる音楽だとは言わせませんよ。速めのテンポで、少人数とは言え室内オーケストラくらいの人数の弦楽合奏は少しもたつくところもあったけど、ロマンティックに陥ることのないザッハリヒなモーツァルトは乾いた夜を創出しててステキ。ある意味意表を突かれた。だって、マーラーも敢えて夜の歌と言及してロマンティックに行くのかと思ってたから。でも思い出してみれば、カンブルランさんのブルックナー(交響曲第7番)も「トリスタン」もロマンティック路線とは一線を画していたのでした。で、今気がついたのだけど、ブルックナー、「トリスタン」と今日ので夜3部作?

マーラーは、「夜の歌」のタイトルが交響曲全体のタイトルにふさわしいかどうかは別にして(プログラムには付きで載っていたけど、「夜の歌」と題されたのは第2第4楽章だけだから)、前半からの予想通り、ロマンティックな薫りを適度に排した演奏。でも、とは言え、マーラーの交響曲の中で最もロマンティックな曲(わたし比)なので、からからにドライな演奏ではなく、さりげない潤いもあって、読響の明るめの音色と相まって深刻になりすぎない音楽。夜=死、的な暗闇の音楽ではなく、なんだか夜と友達になれそう。お化けだって汚れのない目で見れば怖くない。そう、夜と歌うの。夜の蠱惑的な世界。ホールの向こうに夜が広がって、オーケストラと一緒に歌いたい気持ち。
でも、わたし、夜とかってあまりに音楽に哲学を求めすぎていない?夜とか昼とか、まるでトリスタンとイゾルデの愛のシーンだけど、意味を考えすぎじゃない?カンブルランさんの演奏は、そうした意味づけから少し距離を置いているようにも思えるの。素直に音楽を歌おうと。
近頃のわたしの捉え方は、それは最初にバレンボイムさんの演奏が教えてくれたんだけど、この曲ってあまり意味がなくてもいいんじゃないかって。交響曲というよりバロック時代の組曲のような内的な関連性のない音楽の集まり、みたいな。マーラーってこの頃、バッハの管弦楽組曲を編曲再構成して自家版のオーケストラ曲を作ってるし、第一、この曲の始まりってまさしくフランス風序曲だもの。それに、フィナーレのティンパニなんてバロックのティンパニの使い方そのもの。この曲のある意味統一感のなさがそんな感じ。でも反面、シンメトリックで論理的な構成(でも、第1楽章とフィナーレの取って付けたような相容れなさ)との矛盾。いろいろ、難しいというか訳の分からないことにもなっているかのような謎のある(というか謎を貼り付けたいのわたしだけーー?)この曲、でもカンブルランさんは見事におおらかに歌ってみせたのでした。だから、始まりから終わりまで、すとんと腑に落ちるように余計なことを考えずに聴き通すことができました。
最後の大団円。驚きのカウベル大増量。チェレスタの人までカウベル持って、全部で7人?いっそのことP席の人にもカウベル持たせて、50人のカウベル隊というのは流石に余計なところでからんからんうるさそうだから、会場係の人に持たせて、ホールの四方からカウベルがって。冗談は止しにして、目の覚めるカウベルというか、いい気になって牛にちょっかいを出してたら牛の大群に追いかけられて間一髪逃げ切るっていうお話になって喜びのうちに交響曲は閉じたのでした。(なので、わたし的には今日の拍手のタイミングの遅さ、フライング拍手やブラヴォーよりも残念でした。逃げ勝ったんだから音が消える前に拍手で良かった。(音楽ファンを敵に回す発言ですが)

ま、冗談はさておき、わたし的には好きなタイプの、すらりと整ったステキな演奏でした。個々の力不足はなきにしもあらずだけど、読響もがんばってくれていましたしね。やっぱり、主席指揮者との演奏は違うな。いつもがんばろうよ、読響。
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by zerbinetta | 2016-02-12 22:55 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

異次元から来たモーツァルト イブラギモヴァ、ピツァラ、東響 モーツァルト、ヴァイオリン協奏曲   

2015年9月27日 @ミューザ川崎

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番
ベートーヴェン:交響曲第7番

アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン)
パトリチア・ピツァラ/東京交響楽団


アリーナがモーツァルトの協奏曲を弾くというのでチケットを取った東響の名曲コンサート。最近聴きたい度が高まってる東響さんも聴けて一石二鳥。風邪をおしてミューザへゴー。

今日の指揮者は、4年くらい前にデビュウしたばかりのポーランド人のピツァラさん。もちろん日本で振るのも初めて。東響さんよくこんな人探してきたな。大抜擢だよね。さて、どんな音楽をする人でしょう。

始まりの「フィンガルの洞窟」は、海が凪いだり、波が立ったり絵画的な演奏。ただ、音と音の間に見えない隙間があるせいか、少し孤独感を感じもしました。楽しい航海と言うよりちょっと傷心旅行。景色は染みわたるようにきれいなんですけどね。ピツァラさんは、オーケストラにクレッシェンドとかデクレッシェンドとか細かく指示したりしてるんだけど、オーケストラはあまりよく反応していない感じでした。オーケストラの側でも音楽を創ってしまっていたのかな。

そしてアリーナのモーツァルト。今回わたしはステージの後ろ側で聴いていたので、ちょっと独奏ヴァイオリンにはキツイかもしれません。ステージの後ろの席、協奏曲のソリストを聴くのはミューザは少し弱い感じですね。サントリーはわりと音が来るのですが。
アリーナのモーツァルト、どんな風に来るのか、ドキドキだったんです。彼女、ピリオドとモダーンを垣根を作らないで自由自在に行き来するし、でも、同時進行のソナタの相手はモダン・ピアノのセドリックだし、いやでも、何か仕掛けてきそうだ、なんて。ただモーツァルトの音楽はイノセントに音楽の結晶を聴かせてくれる方がいいというか、わたし好きなので、策士策に溺れるみたいなことになったら嫌だなとも。いや〜でも来ましたよ。正直わたし、よく分かりませんでした。モーツァルトが異次元から来たかと思っちゃった。わたし的には、なんだこのヴァイオリニスト、サイテー、と感じた人がいたかもと想像するくらいにびっくり。でも拍手も多かったからこの演奏、すぅっと聴けた人もたくさんいるのかな。わたし、構えすぎていたかな。それにしても、アリーナの表現は多彩。そして、バッハの無伴奏で聴かせてくれたように語り系。それも囁いたり、対話したり、お話ししたりクルクルといろいろな声で。モーツァルトとおしゃべりした気分。白眉は第2楽章の静かな歌うような語り口だったけど、第3楽章の場面ごとに手練手管を尽くして驚きのある音楽を弾きだしていたのには、もうやられたって感じ。むぎゅー。モーツァルトの音楽って今聴いてもこんなにドキドキすると言うか、コンテンポラリーに感じたよ。
若い指揮者とオーケストラは、一所懸命アリーナをフォローしていたけど、自由に弾きまくるアリーナに対して、引き出しが足りてなかったかな。デビュウしたての指揮者にはちょっと荷が重すぎたかしら。アーノンクールさんみたいな人が振ると輪を掛けて仕掛けてきそうだから面白い演奏が聴けたかもと思ってしまいました。
そういえば、アリーナはここに来る前に、ハイティンクさんとロンドン・シンフォニーで同曲を演奏しているはずだけど、どうだったんでしょう。ハイティンクさんってモダン・オーケストラの極致を行くようなクリーミーで柔らかな古典を演奏する人だから、アリーナと火花を散らしたか、高い次元で調和するひとつの音楽にしたのか、気になる〜。
アリーナのアンコールは、バッハの無伴奏ソナタのガヴォット。重音による2つの旋律線の独立した表現の冴えに舌を巻きました。
近々東京で行われる、アリーナとセドリックのモーツァルト、ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会、ちょっと楽しみになってきました。

最後はベートーヴェンの交響曲第7番。ピツァラさんの思いっきり腕の振りどころ。ピツァラさんの音楽は、とても形のよいフレッシュな果物のよう。ゾクゾクって来ることはないけれども、オーケストラをバランスよく美しく鳴らしていく感じ。ただ、ピツァラさんはもう少し、過激な表現がしたかったのかもしれない。オーケストラが少し抑えていたように思えた部分がときどきあったから。そして、まだ完全にオーケストラを掌握して振り切っていないと感じられたところも。特に盛り上がるコーダの部分など、オーケストラの箍を外して駆け抜けていくところ、オーケストラを引っ張っていけず、オーケストラのあとから振っている感じに見えたのがちょっと残念。ただ、まだデビュウしたての若者。とてもステキな原石に見えたので、これからの活躍を期待して見つめることにしましょう。東響さん、定期的に呼んでくれないかな。
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by zerbinetta | 2015-09-27 15:00 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

音楽の家族再び テオフィルス室内管弦楽団第54回定期演奏会   

2015年5月23日 @かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール

モーツァルト:セレナーデ第7番「ハフナーセレナーデ」から 交響曲版
ルーセル:プチ・オーケストラのためのコンチェルト
サンサーンス:交響曲イ長調

高畠浩/テオフィルス室内管弦楽団


モーツァルトの洗礼名(アマデウス=テオフィルス)を楽団名に持つ室内合奏団。なぜかご招待のはがきが送られてきたので(去年聴きに行ったから?)いそいそと聴きに行ってきました。東京藝大のヴァイオリンの先生(客員かな?)、高畠さんのオーケストラ。高畠さん、結構幅広くアマチュアの指導をしています。
前回聴いたとき思ったのは、ものすごく上手いと言うわけではないけれども、ほんのりと家族的なアットホームな感じのオーケストラ。室内オーケストラの室内は、サイズだけじゃなく、室内楽的な気の置けない雰囲気も表しているのかもデスね。

モーツァルトにあやかっていると言うとおり、音楽会には必ずモーツァルトの作品を入れるそう。しかも面白い選曲。今回は、有名じゃない方の「ハフナーセレナーデ」というか、有名な交響曲になった方の「ハフナー」ではなくて、セレナーデ第7番。そしてそこから5つの楽章が、モーツァルトの手によって抜粋編曲されて交響曲になっているの(昔の交響曲全集には入っていない)。今日のはこれ。そうそう、このオーケストラ、音楽会の選曲がなぜかマニアックで(オーケストラの雰囲気にはそんなマニアックな感じはしないのですが)、今日も、モーツァルトの他は、ルーセルとサンサーンスの交響曲イ長調という、「オルガン付き」のでもなければ番号すら付いていない若い頃の作品。って15歳!なんか、近所の仲の良い気さくな雰囲気のご家庭に「今日カレーパーティーするから来て」と誘われて行ったら、本格のインドカレーが出てみんな手で食べてた、みたいな意外性。

モーツァルトは、若い頃の作品のゆえか、もともとセレナードを抜粋して交響曲にしたせいか、軽い感じの、でもステキな曲。演奏も、凄く上手とは言えないけど、きちんとしていて音楽を聴くのには十分。楽しく音楽してるのが伝わってきますしね。がむしゃらに上を目指した演奏ではなく、ちゃんと音楽することを楽しんでる感じかな。大人。しっかりツボは押さえてるし。

ルーセルのプチオケコンは、かな〜り難しそうで大丈夫かなぁと心配したけれども、大丈夫でした。管楽器やるなって思ったら、トラなのかしら、プロの人も混じってるのね。ルーセルらしい(といってもあまり知らないんだけど)ざらざらした抽象画のような感じの音楽で、ルーセルを生で聴くのは多分初めてだし、珍しい曲が聴けてラッキー。それにしても、こんな難しそうな曲で演奏が崩れなかったのは、やっぱりなにげに上手いんだ。

次のサンサーンスの交響曲も大変珍しい曲だけど(こんな曲があるなんて知らなかった。交響曲は3番まであるので3曲あるのは予想できたけど、その前に番号なしのがあったなんて)、聴いてみると、たしかに未熟な部分(まだ、サンサーンスになってないモーツァルトやメンデルスゾーンなんかをなぞった感じの)は、あるけれども澄みやかさはやっぱりサンサーンスだしもっと聴かれてもよい曲だと思いました。

アンコールには、これまたサンサーンスの組曲ニ長調から「プレリュード」。なかなかにくい選曲ではないですか。
テオフィルス室内管、プログラムに意外性があって楽しかったです(記憶をたどってみると去年も意外な曲をやってました)。珍しい曲が、お試し価格(今回は招待はがきだったので無料)で聴けちゃうのもアマチュア・オーケストラを聴きに行く楽しみですね。次のも聴きに行ってみたいと思いました。


♪♪
テオフィルス室内管弦楽団の次の演奏会は、第55回定期演奏会が、11月1日、トッパンホールの予定です。
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by zerbinetta | 2015-05-23 22:46 | アマチュア | Comments(0)

ピアニストはクールビズ イェンセン/読響 モーツァルト、レニングラード   

2015年5月13日 @サントリーホール

モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番

アンドレアス・シュタイアー(ピアノ)
エイヴィン・グルベルグ・イェンセン/読売日本交響楽団


うわ〜久しぶりのテミルカーノフさんの「レニングラード」だわと期待して行ったら、ありゃ?違う人?テミルカーノフさん、読響を振りに来ると思ったのに今日じゃなかったっけ?という音楽会の始まり。

今日はモーツァルトのピアノ協奏曲から。第17番。ピアニストは、初めて聴くシュタイアーさんだけど、思い出した、この人フォルテ・ピアノ弾きよね、シューベルトのソナタのCD持ってる。でも今日はモダン・ピアノを弾きます。
モーツァルトのこの協奏曲は、音楽会では初めてです。CDは持っているんだけど、もっぱら20番以降の協奏曲ばかり聴いていて、初めて聴くようなものです。で、この曲めちゃ名曲じゃなーーいっ。と今更気づくわたし。明るくて、快活で、いわゆるモーツァルト満開。若くて屈託のないモーツァルト。ヴィルトゥオーゾのためではなくお弟子さんのために書かれたということで、シンプルなピアノがまたその雰囲気を醸しだしてていいの。ピアノ協奏曲というかピアノ自体が黎明期で、オーケストラとの絡みとか、モーツァルト自身ののあとの協奏曲から見ても未熟だと思うけど、かえってそこがいい、っていうかまさにそういうような音楽として書かれているところがもう言うことなし。シュタイアーさんもソロが始まる前からさりげなく通奏低音のパートをピアノで弾いて、雰囲気をもり立てる。でもね、ちょっぴりオーケストラが残念。フレーズのお終いの細かな音符が少しずれていく感じがして、なんか音楽がほころびていくんじゃないかって気になったの。ほつれてしまうことはなかったんだけど、ちょっとだけ居心地悪かった。
シュタイアーさんは、白シャツにジャケットでタイ無しのクールビズ。知的でちょっとハンサムな感じのナイス・ミドル。そんなシュタイアーさんのピアノはもうわたしのイメジ通りのモーツァルトの音。窓から聞こえてくるピアノを練習する音、と言ったら失礼かもしれないけど、音楽のイメジ通りの音が風に乗って聞こえてくるうっとり感。軽やかで無垢な音たち。ほんとに音がきれい。それに、シンプルすぎてかえって音楽にするのが難しいと思うんだけど、もうそこは完全にシュタイアーさんとモーツァルトの世界。彼らの音遊びが楽しくて幸せな気持ちに包まれる。第2楽章のドキリとするような蔭や、ベートーヴェンの第4番の協奏曲を先取りするようなオーケストラとピアノの対話、打って変わってフィナーレの明るくはしゃいだ気持ち。最後のコーダの突然の行進曲。どこを切ってもモーツァルトの音楽しか感じさせない不純物のないピアノの音。シュタイアーさんが普段弾いてらっしゃるモーツァルトの時代のフォルテ・ピアノだったらどんな風に聞こえるんだろうって想像しながら、でも、この現代楽器のオーケストラで、モダン・ピアノから泉のように湧き上がってくる屈託のない明るい音たちも紛れもない極上のモーツァルトの音楽なんだよね。古楽器も現代楽器も楽しめる今の時代を生きてる幸せ。だってどちらも等しくステキなんだもの。
シュタイアーさんのアンコールは、ハ長調のピアノ・ソナタK.330の第1楽章。協奏曲と同じ頃書かれた同じような雰囲気の音楽つながり。歌うようなフレージングもステキでした。

後半は、ショスティの交響曲第7番。通称「レニングラード」。正直なところ、ショスティの交響曲の中であまり好きな曲ではないんだけど、ある意味ショスティのストレイトな気持ちが出ている音楽と言えるかもしれない、レニングラードがんばれ交響曲。というのが最近のわたしの感じなんだけど、イェンセンさんはどんな音楽を聴かせてくれるでしょう。
のっけから速めのテンポで物語の渦の中心に切り込んでいきます。この語り口は、前に聴いたネルソンズさんのを思い出しました。でも、なにか説得力が弱い?指揮者とオーケストラの間に少しずれがあるような気がする。オーケストラのショスティの音楽への理解が不足しているように思えるの。特にショスティの楽器である、小クラリネットやピッコロ、トランペット、それに今日の主役と言える小太鼓。。。戦争の行進を告げる小太鼓のソロが、音を小さく絞りすぎていて(これは指揮者の指示なのかな)、リズムが何をやっているのか分からなかったし、リズムで音楽を先導するところまで至ってなかった。1楽章の最後のドキリとする悪夢の回想のようなトランペットのソロもあの音はないだろうと。ホルンの低音での強奏も音がよれよれで締まりなかったし。。。わたし、読響さんとはとことん相性悪いのかな。でも、弦の厚みは魅力的だし、第3楽章の主題がヴィオラに戻ってくるところなんてすごく良い音で素晴らしかった。シンバルやバンダの金管楽器もとても良かったし。読響って、ひとりひとりは良い音持ってると思うんだけど、いつも音楽への理解度が足りてないと思ってしまうのはどうしてだろう?
イェンセンさんは、若手というかもう40代だから中堅どころの指揮者。オーケストラを見事にドライヴした指揮ぶりはとても好感度高かったです。でも、彼の「レニングラード」は混沌なのかな。第1楽章の見事なカオス、混沌ぶりには自然に涙が出たし、最後の何だか強引な盛り上がり方にも混沌が見えたのは、彼がこの音楽をそう捉えているからでしょう。答えのない、勝利?皮肉?わたし的には、もっと素直に愛国的な音楽だと思うんですけど、ショスティっていろいろ考えされちゃうからなぁ。
最後、曲が終わったときの拍手までの気まずい時間(イェンセンさんはゆっくりと手を下ろしていった)も何だかそんなことなんだろうと思います。わたしは、この曲は音楽が終わると同時に、感極まってわーーっと拍手が巻き起こる音楽だと思うんですよ。愛国の曲なんだから。どんな皮肉屋だって戦争嫌いだって、自分の町が不条理な敵に包囲されて攻められていたら、自国の勝利を願わずにはいられないでしょう。ショスティに煽られて素直に心を熱くしてもいいと思うんですよ。
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by zerbinetta | 2015-05-13 15:36 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

ぶれない頑固さ ブロムシュテット/N響   

2014年9月27日 @NHKホール

モーツァルト:交響曲第41番
チャイコフスキー:交響曲第6番

ヘルベルト・ブロムシュテット/NHK交響楽団


BCJのリハーサルのあとは、ラーメンを食べて渋谷のN響へ。ブロムシュテットさんのモーツァルト/チャイコフスキー・ファイナル。自由席は、少しでも良い席を取ろうと開演前から並んでいるのですね。そして階段ダッシュ。まあわたしは、適当に座れれば良いのでのんきなものです。

ブロムシュテットさんとN響のモーツァルト、チャイコフスキーは、結論から言うと、わたしは41/6番より前回の40/5番の方がブロムシュテットさんの’らしさ’がより出てると感じました。チャイコフスキーの交響曲第6番は、元々のうつわがしっかりしているので、うつわの形を整えるブロムシュテットさんのやり方だとうつわばかり映えて、中にある感情が漏れ出さなくなるからじゃないかって思いました。もともと感情ダダ漏れ系で器を作ってやらないと形が見えてこない曲ならブロムシュテットさんのが生きると思うんだけど。そんなことを感じながら、でもすごい演奏だなぁと客観的に観ているわたし。多分ブロムシュテットさんはそういう風に音楽してる。そして、やっぱり、この音楽は泣きたいと思っているわたしには、音楽の外に置いてけぼりにされた感じです。

モーツァルトの最後の交響曲は、40番と同様、ピリオドスタイル的なアプローチでした。速めのテンポだけど、40番のときとは違って疾走しないのは、哀しい音楽じゃないから、ではなくて(ジョークですよー)、ハ長調の堂々とした音楽だからでしょう。ただ、これは座った席(一番上の方)が悪いのかもしれないけど(小編成のヴィブラート控え目の音作りだとこの曲でこのホールは大きすぎると思う)、枯れた音が音楽の祝祭感を薄めていたように思えました。N響は古楽っぽくはなりきれていないんだよね〜。わたしの勝手なイメジでは、古楽器はやんちゃで、わりと指揮者に従順に答えるN響は、ブロムシュテットさんのお堅い指揮と相まって、頑固爺の盆栽な感じなのかな。もっと自由にのびのびやってもいいのでは、といつも思っちゃう。

と文句を言いつつも、あそこまで徹底的にやられるとやっぱり納得。というかあっぱれ。最高の賛辞を込めて職人さんだわ。

来シーズンもブロムシュテットさん、来られるのかしら?ブルックナーとかベートーヴェンとかやってくれないかしらね〜。山を外して生誕150年のシベリウスとか。。。ブロムシュテットさんにはいつまでもお元気で、ぜひまた厳しい音楽を聴かせて欲しいです。
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by zerbinetta | 2014-09-27 23:12 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

初オン・ステージ エッティンガー/東京フィル   

2014年8月5日 @ミューザ川崎

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
マーラー:交響曲第5番

菊池洋子(ピアノ)
ダン・エッティンガー/東京フィルハーモニー交響楽団


サマーミューザ、わたしの最終回(結局3回だけ)は、東京フィル。新国立劇場のピットに入ってるのはよく聴いていたけど、コンサートで聴くのは初めてです。ピットではいつも素晴らしい演奏をしていたので今日も期待大。まずは公開リハーサルから。始まる前に、トライアングルの人が音色を確かめるように練習してたのが好感度大です。トライアングルってわたしでも叩けそうって思うけど、下手くそというか無頓着に叩いてるトライアングルの音って良く聞こえるだけに下手すれば音楽を壊しかねないんですね。
エッティンガーさんは細かく丁寧なリハーサルをするのだけど、コンサートマスターの人も自分のパートや他の弦の人たちに指示しまくり。ふたりでリハーサルを進めている感じ。そうそう、エッティンガーさんのリハーサルは基本、英語だけどティンパニの人にだけはドイツ語で指示をしていました。ドイツに留学された方なのかな。

リハーサルと本番の間にはしばらく時間があったので、お向かいの東芝未来科学館に行ってきました。液体窒素で冷やした超伝導で浮遊する物体がレールに沿って走るのを見たり、でも一番面白かったのは、昔のからくり人形や時計のコーナー。昔の技術って凄い、美しい。ちょうど良い時間つぶしになりました。ミューザ川崎に来たらまた寄りたい。

と、関係ないことを書いてたら音楽会の時間。前半は、モーツァルトのニ短調の協奏曲K466。すごくいい曲ですよね。ピアノは、モーツァルトを得意としている菊池さん。なんだけれども、わたし、前に彼女のモーツァルト協奏曲を聴いたとき、あまり印象が良くなくてどうかなぁとは思っていたの。で、今日はどうだったかというと、凄いとは思わなかったけど、誠実な演奏で楽しめました。モーツァルトはこう弾いたらみんなが納得するみたいな。なのでわたしも何かに引っかかることなく素直に音楽に浸れました。短調の曲も菊池さんに向いてるみたい。ただ、この曲の持つおどろおどろしいといってもいいくらいのドラマや不安は後ろに下がって、さりげなく仄かに暗い、というのが先鋭的なモーツァルトを好むむきからは物足りなく感じるんじゃないかしら、とも思いました。さりげなさの中に底の見えない井戸のような暗さが仄めかされるともっと良くなるような気がします。闇の中でドキリとする感覚が欲しいもの。

後半のマーラーは、よく頑張りました。エッティンガーさんの演奏は、体感的にはずいぶんと長く(退屈という意味ではなくて単純に時間的にです)感じられて、実際1楽章の葬送行進曲なんかはかなりゆっくりしたテンポだったんですが、速い部分もあったので実際には、少し長いくらい?そう、エッティンガーさんは、ゆったりとした部分の歌わせ方(フレーズの収め方)に強いこだわりがあって、それがとってもステキなんです。第1楽章と第2楽章が、そんなエッティンガーさんの音楽が思い切り示されていてとりわけ良かったです。東京フィルもよく頑張っていた(特にトランペット)。指揮者の思いはきちんと伝わってきました。ですが、弦楽器が管楽器に比べて少し弱く、指揮者の音楽を100%表現し切れていなかったのが少し残念です。新国立劇場のピットでの演奏が、いつも良いだけに意外でした。
エッティンガーさんのマーラーは、彼の要求をそのままきちんとした形で出せる、例えばフィルハーモニアみたいなオーケストラで聴いてみたいです。全然関係ないけど、ふと思い出した。今日と全く同じプログラム、セーゲルスタムさんとフィルハーモニアで聴いたんだった。フィルハーモニアって指揮者の音楽がわりとそのまま音に出るのでいいのですね。エッティンガーさんの裡にある音楽を脳内変換無しで思う存分聞いてみたいです。
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by zerbinetta | 2014-08-05 19:38 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

音楽の家族 テオフィルス室内管弦楽団第52回定期演奏会   

2014年5月18日 @かめありリリアホール

モーツァルト:バレエ音楽「レ・プティ・リアン」より
フランセ:十重奏、弦楽五重奏と木管五重奏のための(管弦楽版)
シューベルト:交響曲第2番

高畠浩/テオフィルス室内管弦楽団


夜の音楽会まで時間があるのでお昼の音楽会にも行ってきました。モーツァルトのクリスチャン・ネームを冠した(アマデウスはギリシア語でテオフィルス)オーケストラに興味があったし、室内管弦楽団というのにも興味がありました。古典をやれる団体は上手いに違いないというヘンケンもあるし。

5月なのに夏みたいなお天気。なぜか高砂から殺風景な道をとことこ歩いて40分ほどで亀有に。亀有は初めて。両さんで有名って知ってたから、小さな両さん像を見つけたときは大喜び。

モーツァルトの名前を頂いてるだけあって、音楽会にモーツァルトの曲を必ずやるみたいですね。と言っても古楽のオーケストラではないし、新しい作品も積極的に採り上げています。今日はフランセの音楽があるし。

そのモーツァルトの曲は、「レ・プティ・リアン」というバレエ曲。モーツァルト以外の作曲家も音楽に関与しているそうなんですが、今日はモーツァルトの作品を取り出して、他の作曲家のを2つ加えて10曲。なんというかぼよ〜〜んとほのぼのとした音楽。有名作曲家の知られていない作品だけあって(わたしも今回初めて知りました)、正直、無理して聴かなくてもいいかなって感じかな。初期のオペラ「バスティアンとバスティエンヌ」に雰囲気似てました。

フランセは20世紀のフランスの作曲家。これまた珍しい演目。フランセの名前も初めて聴きました。音楽は一聴して分かるようにプーランクの流れを汲むお洒落な音楽。ステキですね、このセンス。それにしても、こんな曲を見つけてきて音楽会で採り上げてしまうところがいいですね。団員のプレゼンで曲が決まると言うことなのでヲタ的な好きな人がいるのでしょう。アマチュアの良さですね。
結論から先に書くと、今日の音楽会の中でわたしは、この曲が一番オーケストラに合ってると感じました。このオーケストラ、弦楽器が少なくて、ヴァイオリンは第1、第2それぞれ5人。アマチュアの弦楽器奏者にプロのような音量を求めるのは酷なので、この人数で管楽器と合わせると弱いんですね。フランセの曲は元々が弦楽五重奏と管楽器のために書かれているので、オーケストラに編曲しても弦楽器少なくてもバランスが良いんですね。

シューベルトは、この間の第3交響曲に続いて、今日は第2。マイナー攻めです。プログラムに(団員の思い入れや文学的(?)書き方がユニークで簡素でありながらとても好感度高し)シューベルトの曲は、聴いている人にはかわいい曲に聞こえるのに、弾いてる方は心身共に苛酷と書いてありましたが、ほんとにそう!第2ヴァイオリンとヴィオラの細かい刻み、シューベルトは鬼。この曲をやりたい人と阻止したい第2ヴァイオリンとヴィオラの人たちの間に選曲闘争があったのかしら?でも、聴く方は、めったに演奏されないかわいらしいシューベルトが聴けて嬉しい。
とてもシューベルトらしい気の置けない居心地の良い演奏だったんですが、管楽器に比べて弦楽器が(音量的に)弱かったのが残念。とはいえ、オーケストラの持つ家族的な雰囲気は、シューベルトの音楽も友達の間でこんな風に演奏されたのかな、って思い起こさせてステキ。このオーケストラのシューベルト、もっと聴きたいな(ごめんね、第2ヴァイオリンの人)。あと、フランセももっと聴きたい、お近づきになりたいって思いました。音楽の視野が広がるのはいつも嬉しい。

指揮者の高畠さんは、ずうっとこのオーケストラを指導していて、またいくつものアマチュア・オーケストラを持っているのですね。音楽会のときだけ振るのではなくて、じっくりと一緒にオーケストラの音を作っていく姿勢は、とても素晴らしいことだと思います。オーケストラはものすごく上手いとは言えないけど(決して下手ではありません)、音楽の家族ってすごくいいなって思える音楽会でした。

アンコールには「ロザムンデ」からバレエの音楽。シューベルトってほんとにいいですねっ。


♪♪
テオフィルス室内管弦楽団の次の音楽会は、第53回定期演奏会が11月2日、トッパンホールです。モーツァルトとシベリウスとベートーヴェン。
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by zerbinetta | 2014-05-18 04:44 | アマチュア | Comments(0)

マーラーの青春は熱くなきゃ 葛飾フィルハーモニー第46回定期演奏会   

2013年12月1日 @かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 K466
マーラー:交響曲第1番

菱沼恵美子(ピアノ)
田中祐子/葛飾フィルハーモニー管弦楽団


恥ずかしながら罪を最初に告白させて下さい。実は今日の音楽会、全く期待していませんでした。地域つながりのアマチュア・オーケストラは、仲間で音楽を演奏することが主眼で(でもそれはそれでとってもステキなことだと思うんですよ)、つながりのないところにわざわざ聴きに行くことないと思っていたんです。今日、聴きに来たのは、指揮者の人に興味があったから。三ツ橋敬子さんに続いて、2009年のブザンソン国際指揮者コンクールで入賞した女性(ちなみにその年の優勝者は山田和樹さん。田中さんは山田さんとタメです)(過去には松尾葉子さんが同コンクールで優勝しています)。気になりました。
オーケストラは、年齢層高め。わたしもう、ヘンケンのかたまりで、アマチュアで年齢が高いとお仕事とか忙しくなって若いときと同じように練習時間が取りづらくなって、レヴェルを維持するのは難しいな〜、このオーケストラは大丈夫かなぁ〜って思ってしまったんです。

でも、モーツァルトの協奏曲が始まったとたん、ヘンケンは払拭されました。わたしが馬鹿でした。
まずオーケストラはわたしが思っていたレヴェルを超えて上手かったです。特に弦楽器がいい音を出していました。モーツァルトってシンプルすぎて誤魔化しがきかないというか、譜面通りに弾いても音楽にならないと思うんですね。それは、マーラーとかショスタコーヴィチとか難しいけど、譜面通りに弾けば一応なんとかなるという音楽ではないと思うんです。でも、葛飾フィルは(わたしの好みではないけれども)ちゃんとモーツァルトの音楽を弾いていました!
わたしの好きなモーツァルトは、市民権を得て学術的世界から芸術を表現するようになった古楽の演奏か、現代オーケストラでやるなら豊かで柔らかな響きででもその中に悲しみの芯があるような(今日のような短調の音楽は特に)演奏なんです。後者では、ピレシュさんがハイティンクさんとロンドン・シンフォニーのバックで弾いた演奏が心の中に残っています。葛飾フィルの演奏は、そこまで豊かな響きがなかったです。思うんだけど、特に弦楽器のヴィブラートが弱点のアマチュア・オーケストラは(一般論です)、古典作品の場合、古楽器的なアプローチをする方が、彼らの持っている音色に合ってるんじゃないでしょうか。そういうやり方をする指揮者がいてもいいと思うんです。
田中さんと葛飾フィルの伴奏はとても誠実で真面目でした。それがちょっと裏目に出ちゃったのは、第2楽章の伴奏の刻みが、しっかり縦ノリのリズムを踏む音になってしまって、そこは少し曖昧にしないと音楽の雰囲気を壊しちゃうよってとこです。でも、そういう音楽の話ができるところがうれしい。だって、(譜面ではなく)音楽を演奏してるんだもん。
ピアノの菱沼さんの音は、わたしのモーツァルトには重すぎました。モーツァルトと言うよりロマン派の音楽を聴いている感じ。重いと言っても、心の闇に沈み込むような深さがあればいいのだけど、べったりとした平面的な音になっていたように思えます。和音が濁って聞こえてきたところがあるのもマイナス点。あと左手の音がちょっと雑に感じられるところがいくつかあったように聞こえました。
それでも、このモーツァルト、好感が持てて涙が出そうでした。

葛飾フィルハーモニーって、葛飾区のアマチュア・オーケストラだけど、区からの支援を受けていて、練習場所、音楽会の会場がしっかりと確保されている恵まれた団体なんですね。トレーナーも10人くらいいて、それも他のアマチュア・オーケストラよりも恵まれてる様子。だからこそ、安心して音楽に打ち込めるし、区がそのような文化事業を支援するのって良いことだと思う。地域とホールとオーケストラの結びつき。プロのオーケストラにも欲しいところです(これについてはあるよとの反論を受けそうですが、いつか思うところを書いてみたいです)。

休憩のあとは、マーラーの交響曲第1番。この曲、中学時代にたくさん聴いて、わたしの青春とマーラーの青春が重なってめちゃ思い入れのある曲なんだけど、なかなか良い演奏に出逢えていないんです。どうも最近の指揮者って老いも若きもかっこつけちゃってと言うか、なんか、きちんとスマートな演奏が多い気がするの。はちゃめちゃな感じがもっと欲しいなって、ライヴは。
音楽は、シーンとした緊迫感から始まりました。弦楽器のこの雰囲気、ドキリとしてとてもいい。全体を通して、木管楽器と弦楽器のバランスが悪いところがいくつか聴かれたけど、そんな玉の疵以上に凍ったような朝の雰囲気がステキ。ゆっくり目のテンポで入るファンファーレ(トランペットは舞台袖で吹いてました)やホルンの牧歌がのどかなお日さまを呼び覚まして、水緩む春。丁寧な雰囲気作りに好感度大。たっぷりとアゴーギグを付けて旋律を歌わせながら音楽を進めていくの。日が陰るような冷たさの再来も三寒四温の季節の営みの前ではなすすべもなく、最後は春が完全に支配するんだけど、ここはちょっとおとなしかったかな。
第2楽章が一番ユニークで面白かったんだけど、最初のチェロとコントラバスの前奏、かなりゆっくり目のテンポで元気のいい長い音符をテヌート気味に音を伸ばして弾かせて、ああ、ここはマーラーはティンパニを削って正解だったな、っていうことをはまるように実感できて目から鱗(音が急速に減衰するティンパニが入っていればこんな表現はできないから)。旋律の始まりに向かって加速するんだけど、思い切った加速でなく、終始遅めのテンポ。でもそれが素朴でのどかな田舎の気分満載で良かったん。トリオも随分遅いテンポで、春のぽかぽかの中お昼寝しそう。
第3楽章は、ここに来てわりと普通。最初のコントラバスのソロは、半分の4人のパート・ソロ。新しい版に準拠ね。でも、これをアマチュアで揃えるのは至難の業。パート全員の音がひとつになって音楽を奏でれれば奇跡的な音になるんだけどね。オーケストラの力を考えるとここはひとりのソロでも良かったかも。中間部の切なげなオーボエは、オーボエくん、ここにかけていたなって思わせるようなステキなソロ。
第4楽章は、わたし的にはもっと大嵐のように荒れて欲しかったけど、でも必死に棒に食らいついていくさまは、つい手に力を入れて応援したくなっちゃう。そして、叙情的な旋律が歌われるところが、今日のクライマックス。白眉。田中さんは、ここを大きく歌わせて盛り上げていたし、彼女の持ち味の歌がとっても生きていました。田中さんポルタメントをとても効果的にかけるんですね(ここだけではなく曲全体で)。反面、あとでこの旋律が切れ切れに再現されるところは、あっさり目のインテンポ気味で、わたしのこの曲のピンポイント・ラヴのオーボエのソロがちょっとつっけんどんで先を急ぐようで、ここだけはもっとたっぷりと歌わせて欲しかったです。このあたり、粘って盛り上げてもいいんじゃないかな。ここから一気に最後まで(ヴィオラがぴたりと入ってきてしてやったり)、勢いを付けたテンポ感で押していくのが、小細工なしのストレイトな感じで、テンポをいじくって推進力を失う過ちが避けられて良かったです。ふたりのティンパニの交互のトレモロの推進力も素晴らしかった。ホルンが全てを圧倒して立つところは、ほんとに全てを凌駕する音量が欲しかったけど(トランペットが1本加わってました)、そこまで求めるのはさすがに酷かな。プロのオーケストラでも(音楽的なバランスを考えてというのもあるでしょうが)聴けないことなので。

それにしても、田中さんのこの曲に対する思い入れ、自信の凄さ。上体を大きく使った指揮でオーケストラをぐいぐいコントロールする手腕は並外れたもの。左手の使い方がもう少し上手くなればとは思ったけど、素晴らしい才能の指揮者を発見できて嬉しい。そしてそれに応えるオーケストラも。最後、指揮者とオーケストラの充実した表情はわたしにもずんと心に来た。もしかしてわたしも同じような表情をしてたかも知れないね。熱い、思いを込めまくった素晴らしいマーラー。
そして、アンコールに「花の章」。音楽会が始まる前、ステージ裏でトランペットの人が、「花の章」のソロを吹いて練習してたのはこのことだったのね(5楽章版やるのかなと思ってプログラム確認しちゃったよ)。未完成の音楽なので、演奏で補わなきゃいけないことがたくさんあって難しいと思うんだけど、そこはまあそこそこ、だったけど、この音楽会のまとめ方は本当に粋でした。一本とられた感じ。

さて、このオーケストラ、次回の音楽会は、今日の田中さんと去年の東京国際コンクールで1位、2位なしの入選を分かち合った石﨑真弥奈さんが振るんですね。これも今から楽しみ。
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by zerbinetta | 2013-12-01 02:27 | アマチュア | Comments(0)