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BBC交響楽団やっと開幕 パパビー降板 サラステ、BBC交響楽団 狂気のタコ4   

4.10.2012 @barbican hall

michael zev gordon: bohortha (seven pieces for orchestra)
mahler: rückert-lieder
shostakovich: symphony no. 4

alice coote (ms)
jukka-pekka saraste / bbcso


最後に、ってロイヤル・フィルさんごめんなさい、BBCシンフォニーのシーズン開幕です。今シーズンのBBCシンフォニーは、前主席指揮者のビエロフラーヴェクさんの退任、次期主席指揮者のオラモさんの就任が来シーズンからなので主席指揮者なしです。ビエロフラーヴェクさんは確か1回振りに来られるんですけど、残念ながら、わたしは聞き逃すことになりそうです。でも、たこよ〜ん。というわけで、ご存じ(?)タコ好きのわたしはとっても楽しみにしてたのでした。シーズン前にアナウンスされていた指揮者はパパビー(何でもヤルビー、じゃなかった、ネーメ・ヤルヴィさん)でした。降板でがっかり、と言いたいところだけど、ごめんパパビー、パパビーとは少しウマが合わなかったのでラッキーって思っちゃいました。サラステさんかっこいいし。

始まりはゴードンさんの「ボホーサ」。ボホーサはコーンウォールの風光明媚な小さな村。BBCシンフォニーが委嘱した新作。初演。副題が示すように7つの小品からなる静かなオーケストラ曲です。次に演奏される「リュッケルト・リーダー」を意識したのでしょうか、マーラーの音楽をちらりと引用していて、耳に親しげな音楽。心に突き刺さる音楽ではなく、ちょっとモダンな前菜みたいな、ケとハレの場面転換を担当するような、それだけでは物足りないけどあとで来るものを期待させるような音楽でした。

2曲目はアリス・クートさんの歌でマーラーの「リュッケルト・リーダー」。クートさんって結構大柄なんですね。オペラでズボン役で観たので小柄に見えたのだけど、女性としてみると大きいんだな。さて、演奏の方。正直言ってわたしの好みではありませんでした。さばさばとザッハリッヒな感じで、テンポも速めで、この曲にもっと甘やかな夢、愛のようなものを求めているわたしとしては(だって、この曲集ラヴ・レターよね)すうっと恋人に立ち去られたあとの後ろ髪を持ち去られてしまった感じ。この曲、男声に歌われる方が好きかも。

でも、最後のタコ4は、サラステさんのザッハリッヒな表現が生きて、クレイジーでとても良かったです。やっぱりタコには狂気がないと。ぐいぐいとノミで削っていく感じ。もしくは、光りを求めて闇雲にトンネルを掘っていく感じ。求心力があるというのが褒め言葉だと思うのだけど、この演奏にはものすごい遠心力があって、しっかり掴まってないと振り落とされてしまいそう。暴れ馬に乗ってるみたいな(想像です)。丸く収めておこうという気配がなくて、外に向かう表現力が凄いです。サラステさんの汗たっぷりのダイナミックな指揮ぶりも惚れ惚れしちゃいます。やっぱりこの人かっこいいです。BBCシンフォニーの重心重めの演奏もとっても良かった。
でも、この時代のショスタコーヴィチって破天荒でアナーキーだけど、音楽の最後には一抹の希望がちゃんとあるのですね。暗く終わったにしても。今日の演奏にはそれを強く感じました。破壊尽くしたあとに(こそ)希望があるということかしら。ちょうどタコ、転換期の音楽。だって、4番はそれまでの純粋共産主義若者路線を捨てて自我の確立に四苦八苦してる作品ですものね。そして若い魂はどんな状況でも未来を信じたいし信じられるんだと思うんです。未来への希望がなくなっていくのは後年の交響曲第13番くらいからかなぁって。そんな音符の後ろまで感じられた演奏でした(それがわたしの独りよがりでも間違っていてもわたしにとって重要なことではありません)。音楽会はこうでなくっちゃ。
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by zerbinetta | 2012-10-04 10:19 | BBCシンフォニー | Comments(0)

鐘かね〜、ロシアの鐘が鳴り渡る〜 ユロフスキ、ロンドン・フィル「鐘」   

29.9.2012 @royal festival hall

shchedrin: concerto for orchestra no. 2 (the chimes)
miaskovsky: silentium
denisov: bells in fog
rachmaninoff: the bell

tatiana monogarova (sp), sergei skorokhodov (ten),
vladimir chernov (br)
vladimir jurowski / lpc, lsc, lpo


ユロフスキさんとロンドン・フィル、今日は鐘シーズ。と、プログラムを見て気がつきました。近現代のロシアの作品を集めて、またまた挑発的なプログラミング。受けて立たなきゃ。聴く方も真剣。

始めはシチェドリンのオーケストラのための協奏曲第2番「鐘」。わたし、CD持ってたのにすっかり忘れてました。オケコンはジャズの語法で書かれた第1番の方がインパクトが強いので。なので、音楽を思い出すこともなかったんだけど、そういう意味ではうぶな気持ちで聴けましたよ。低音の静かに大きな波が重層して底から揺れる向こうから、突然鐘が鳴り出して音楽が動き出す。まさに鐘の登場にふさわしい音楽。決して分かりやすい音楽ではないけれども、というかどちらかというと暗くて苦渋に満ちている、交響的な作品。協奏曲と名前がついてるような派手さやアクロバティックな感じはなくて瞑想的。重なる低音がほどけて、鐘のしたにロシアの聖歌のような音の流を生み出すのもステキ。ユロフスキさんとロンドン・フィルの演奏は、この曲を初めて聴くようなもののわたしには比べるすべもないのだけど、とてもステキな音楽だと思ったので、聴き所を突いた良い演奏だったのだと思います。不満を感じませんでした。

2つ目のミャスコフスキー。彼の作品は前に同じユロフスキさんとロンドン・フィルで交響曲を聴いたことがあります。が、滅多に聴けない作曲家ですよね。今日は「シレンティウム」という作品。鐘特集なのに「沈黙」というタイトル。silenを何故かsirenに勘違いして(典型的な日本人!)、ああこれは、きれいな歌声で男たちを溺れさせるセイレーンの物語ね、と、勘違いにはすぐに気がついたのだけど、気づかないふりして、海の音楽っぽいなぁと勝手に想像していたのでした。だって、暗く低くうねるような音楽は海を想像させたんですもの。ミャスコフスキーを前に聴いたときも思ったんだけど、この作曲家、あんまり演奏されないのがもったいないくらいステキ。ユロフスキさんにはこれからもときどき採り上げてもらいたい音楽家です。

休憩のあとはデニソフの「霧の中の鐘」。今度は正真正銘、鐘の音楽。でも、今までの音楽とは対照的に、高音がきんきんと鳴る曲です。小さなチャイムの音楽。作曲家のデニソフは、名前がエジソン。親が発明王のエジソンの名前にちなんで付けたと、プログラムには説明があったけど、物理化学の道に進んで欲しかったようです。ということが、関係あるのかないのか分からないけど、音楽はちゅーんちゅーんというSFの機械のような響き。人工的なノイズのようで(耳に不快なものではないけど)、でもそういう不純物を含まない数式のような響きがとってもきれい。デニソフの音楽、初めて聴くけど好きかも。

最後はラフマニノフの大作、ずばり、「鐘」。これは前に、ビシュコフさんとBBCシンフォニーのステキな演奏を耳に記憶してるんだけど、今日のユロフスキさんとロンドン・フィルの演奏もそれに負けず劣らずの良い演奏。まず、ロンドン・フィルハーモニックとロンドン・シンフォニーの大きな混成(間違いではありません)合唱が、迫力があって素晴らしかった。独唱は、ビシュコフさんのときには少し及ばないと感じたものの、でも十分。ユロフスキさんがぐいぐい引っ張っていく音楽もステキで、勢いがある演奏は聴いていてすかっと気持ちが良いものです。叙情性は少し後退するものの、がしがしと骨太の交響的表現は何にもましてかっこいいです。

ユロフスキさん、ロシアの近現代のあまり知られていない作品を紹介するのに使命感のようなものを持っているみたいですね。毎シーズン意欲的に作品を採り上げて、記憶に残る音楽を聴かせてくれます。演奏から自信が溢れていて、作品を絶対に信頼してそれに応える素晴らしい演奏をこれからも期待したいです。
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by zerbinetta | 2012-09-29 00:11 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

スキップしてくるくる回りだしちゃうグローバルなわたしたちの第九 サロネン、フィルハーモニア   

27.9.2012 @royal festival hall

kurtág: ...quasi una fantasia...
beethoven: piano concerto no. 1, symphony no. 9

leif ove andsnes (pf)
giselle allen (sp), anne-marie owens (ms),
andrew kennedy (tn), james rutherford (br)
esa-pekka salonen / philharmonia chorus, po


さらに、昨日のロンドン・フィルに引き続き、今日はフィルハーモニアの開幕です。もちろん指揮はサロネンさん。フィルハーモニアもシーズン開幕には、大作を持ってきますね。今年は、ベートーヴェンの交響曲第9番をピアノ協奏曲第1番とクルタークの「幻想曲のように」と共に。

ピアノが真ん中にあって誰もいないステージを尻目に、客席が何だか煌びやかに。あれ!?もしかして、アコスタさん?と思うまもなく、ロイヤル・バレエの面々、20人弱でしょうかが客席に入ってきました。アコスタさんの他に、マクレー夫妻、マリアネラさん、マルケスさん、あと名前を知らない(ロイヤルの人でしょうか?)きれいなロシア人の若者、それにモニカ・メイスンさんも。音楽会そっちのけでわたし、トキメキ。心も目もそちらに。招待されたのでしょうね。

始まりのクルタークの音楽は、ステージにはピアノ、そして指揮者のサロネンさんがこちらを向いて指揮です。少人数の楽器はロイヤル・フェスティヴァル・ホールのサイドの上のボックス席に2人か3人ずつです。わたしの一番近くのボックスにはフィルハーモニアのマスコット・ガール(勝手に決めた)、フィオナちゃん。そしてピアノは、なんとアンズネスさんが弾きました。音楽は、正直1回聴いただけで何とも言えないんですけど、適度に耳優しい静かな広がりを持つシンプルな音楽でした。後ろの方の隅っこの席で聴いたので、会場いっぱいを使った空間的な効果は少し欠きましたが、いろんな方向から等分に聞こえてくる音は静けさの中に広々とした世界が広がりました。

2曲目はオーケストラもステージに出てきて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番。ベートーヴェンの若い頃の作品らしく、ハイドンやモーツァルトっぽくもあり、清々しくて透き通った作品。アンズネスさんのピアノの音色が、すっきり透明でとってもきれい。音のつぶつぶがビー玉のようにクリスプでカラフルなんです。そして、第1楽章のきらきらと音が落ちていくピアノとかドキリとする瞬間もあって、とっても充実した演奏。さすがアンズネスさん。女子的にはサロネンさんとアンズネスさんのコンビ、いいですね〜。目にも麗しいし。

休憩時間はミーハー心大満開。用もないのにふらふらしてダンサーさんの傍を行ったり来たりの不審者。それにしてもみんなすらっとしてきれい。ステージで観るとちっちゃくて少しふっくら見えるマルケスさんもすらりと背が高く見えて、とってもプロポーションがいいんです。男性陣も引き締まってステキにかっこいい。スーツやドレスを着て普段メイクのダンサーさんって観る機会あまりないからもう嬉しくって。

バレエの皆さんが席について、いよいよ第9番交響曲。さて、サロネンさんはどんな演奏を持ってくるのでしょう。サロネンさんは昨シーズンからベートーヴェンの交響曲を採り上げていて、まずは奇数番号、1番、3番、5番、7番を聴きました。その演奏は、意外にもオーソドックスな正攻法。奇を衒わずに円熟した音楽で聴かせる、でもサロネンさんらしい若々しい溌剌とした演奏。きっと今日もそんな演奏になるでしょう、と期待しました。
音楽は、最初っからサロネンさんらしいワクワクする演奏。快速テンポで飛ばして吹き抜ける風が気持ちいい。オーケストラはいつものように、ホルンは普通の、トランペットは無弁の、ティンパニは小さな古いタイプのティンパニです。なので、スミスさんのティンパニは炸裂せず、オーケストラの中のバランスで、でもしっかりと楔を打つように鳴っていました。
そんな、切れ切れでワクワクするようなサロネンさんの演奏でしたが、第3楽章まではわりとオーソドックスといえばオーソドックス。安心して聴ける演奏。第3楽章の天国的な響きはマーラーの交響曲第4番のアダージョを聴くような美しさだったけどね。でも、それが一変したのが合唱の入るフィナーレ。まず、攻撃的なトゥッティのあとのチェロとコントラバスのレチタティーヴォ。一瞬肩透かしのような柔らかな静かな音で始まって、ゆっくりとテヌートをかけて諭すように。普通ここ、アクセントを付けて決然とはっきりした主張をするように、いっそ攻撃的なくらいに演奏されることが多いと思うのだけど、剛とすると柔、これにはびっくり。頭を巡らせるよりも早く直感的に、あっ!現代は力でねじ伏せるのではなく、じっくりと相手を理詰めで説得することこそ民主的なやり方なんだと、はたと膝を打って。凄く現代的な演奏。第1楽章も第2楽章も第3楽章も頭から否定するのではなく、きちんと諭してる。そこから、サロネンさんのやりたい放題。もうにやにやして嬉しくってスキップして駆け回りたくなるような気持ち。こんな楽しいベートーヴェンの第9なんて滅多に聴けない。素晴らしい!
独唱は4人4様。それぞれ自由に歌って、個性が交わらず統一感がない。でも、それがいいの。だって、今は多様性と個人主義が大事な時代。サロネンさんはあえてこんな歌手を選んで自由に歌わせているのだと思いました。それを統一するのが合唱。フィルハーモニアの合唱団がこれがまたとても素晴らしかったです。
荘厳なコラールが静まって弦楽合奏になるところ、ノンヴィブラートの素朴な響きになって、突然モンテヴェルディの時代の空気が広がったよう。サロネンさんは、バロックから現代までの様々な様式の響きをちらりと聴かせてくれて、ほんとグローバルでまさに今の時代、わたしたちの第9。ベートーヴェンのはちゃめちゃな音楽をはちゃめちゃに演奏してくれて楽しいったらありゃしない。面白い、CD向きの演奏ではないけど、これこそベートーヴェンの本質だわ。今日は目の保養も出来たし耳の保養も出来て、心楽しくにこやかに笑いながら会場をあとにしたのでした。
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by zerbinetta | 2012-09-27 00:43 | フィルハーモニア | Comments(0)

極上の生クリームのお菓子の笑顔 ブロンフマン、ラトル、ベルリンフィル ブラームス&ルトスワフスキ   

31.8.2012 @royal albert hall

brahms: piano concerto no. 2
lutosławski: symphony no. 3

yefim bronfman (pf)
sir simon rattle / berliner philharmoniker


滅多に聴けないベルリン・フィルがプロムスに来るというので、わたし的には盛り上がったのだけど、実はうっかり、2公演のうちの1公演しかチケットを取らなかった(取ったつもりになってた)のにしょぼーん。でもね、今日は大好きな大好きな、ルトスワフスキの交響曲第3番が聴けるというのでもう興奮していたのでした。
もちろん、貧乏なわたしは安い上の方の席(でも、立ち見のプロムは、ベルリン・フィルのような人気の公演はずいぶん並ばなければ入れないらしいので却下)で、でもさすが、世界最高のオーケストラのひとつだけある、がんがん音を響かせていました(弱いオーケストラだと遠くで聴くと音が枯れちゃうんです)。

まず、ブラームスのピアノ協奏曲第2番。冒頭からホルンの柔らかな音色にじゅーーん。これは。言葉にすれば野暮になる。極上の生クリームを使ったとろけるようなお菓子。こぼれでる笑顔で、静かにしみじみと味わいたい。わたしの楽しみとして、そして楽しみは笑顔で共有して。本当に上手いオーケストラは、ひとりひとり全員が音楽を理解して弾いている。だから、ちょっとした目立たない和音もはっとするほどきれい。特に弦楽パートのひとつに揃った和音はステキ。木管楽器や金管楽器のソロはもちろんのこと、和音を付ける2番奏者以下もみんなほれぼれするほど上手。この中で演奏しているひとりひとりは本当に心から音楽を楽しんで幸せそう、そしてそれを操るラトルさん、ピアニストのブロンフマンさん、そしてそして、聴いているわたしたちもがみんな幸せになれる音楽。ラトルさんの音楽作りには、人をにこりとさせる幸福感がいつもある。だから、秋のしみじみとした風景のような第3楽章や、風の中を紅葉がきらきらと揺れたり蜻蛉がすいっと横切る第4楽章はもう至福の時。誰のどの演奏がいいとか、そんなことを言い出す意味がなくなるような、ステキな演奏でした。幸せ〜。

休憩のあとはいよいよ大好きなルトスワフスキ。大好きな交響曲第3番。もうこれは、ベルリン・フィルの極上のカラフルな美しさ満開。各パートが恣意的な時間差で入ってくるソロ的な扱いなので、個人の技術と音色がピンと際だって、名人集団のベルリン・フィルにふさわしい。それにしてもすべすべと透明でセロファンを入れた万華鏡のようにきれいでちかちかと色が動き回る。そして最後は真っ白な太陽の光に目が奪われるように天に昇っていく。柔らかな光。わたしが今まで聴いていた、サロネンさんとフィルハーモニアの演奏はもう少し鋭角的だったように覚えてるけど、時を経て(サロネンさんの録音はもう20年以上前?)、音楽もまろやかに熟成してきた(?)。今日はこれが聴けて幸せ。光りに包まれた天使の気分。

会場はもちろん盛大な拍手。「普通はルトスワフスキのこんな素晴らしい作品のあとに何かを演奏することはないのだけど、世界で一番ステキな聴衆のために・・・」とラトルさんのアナウンスで、ドヴォルジャークのスラヴ舞曲から1曲。これまたスピーディーでステキな演奏でした。みんなが楽しげに演奏しているのもラトルさんマジックですね。
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by zerbinetta | 2012-08-31 07:53 | 海外オーケストラ | Comments(0)

美女と野獣 クレア・ブース、BBC交響楽団、オリヴァー・ナッセン還暦音楽会   

25.8.2012 @royal albert hall

alexander goehr: metamorphosis/dance
oliver knussen: symphony no. 3
helen grime: night songs
debussy: the martyrdom of st sebastian

claire booth (sp)
polly may (ms), clare mccaldin (ms)
oliver knussen / new london chamber choir, bbc national chorus of wales, bbcso


なんてったってプチ追っかけですから。クレア・ブースさんが歌はなるべく(というところが軟弱者)聴きたいのです。今日はナッセンさんの還暦祝いということで、ヘレン・グライムさんの新作が初演されました。ナッセンさんのために書かれた曲です。
それにしてもナッセンさん、巨躯。昔から大きかったと思うけど、ますます大きさに磨きがかかったみたい。ってか、足腰、大丈夫かしら。レヴァインさんみたいに痛めませんように。よちよち歩いてきて、椅子に座っての指揮でした。

最初の曲はアレクサンダー・ゴーアさんの変態/ダンス、なんてついうっかりメタモルフォーシスを変態と訳してしまうんだけど(カエルの変態)、変容かな。ゴーアさんも80歳の記念年。ゴーアさんの曲は、40代の、今から40年前の作品。きれいなんだけど、聴いてて心地良いんだけど、あまり心には残らなかったな。

続くナッセンさん自身の交響曲第3番は、何と、20代の作品。はっきりと力の差を感じさせる、20代の若者がこんな作品を書けたのかと、びっくりさせられた充実の作品。ナッセンさん天才だったのね。明るくてきらきらする感じの音楽。ナッセンさんの音楽は、集中して聴いたことがなくて、ぽつりぽつりと聴いて入るんだけど、今まで聴いた(でも数は少ない)なかでは一番かな。プログラムには、この曲を初演した(当時の)若い!MTTさんの写真が出てたけど、彼も当時は20代。あとで知ったことだけど、MTTさん、今日は会場にみえてたそうですね。それなら見たかったなぁ(ただのミーハー)。実は、ナッセンさんの秘蔵っ子、ブースさんがこの曲を歌うのかなと思っていたのだけど、純粋にオーケストラだけの音楽でした。BBCシンフォニーは、来るシーズン、確かナッセンさんの曲をいくつか採り上げる予定だったと思うけど、聴きたかったな。

休憩のあとは、30そこそこの若い、ヘレン・グライムさんからのお誕生日プレゼント、「夜の歌」です。これもオーケストラのための曲。5分くらいの短い曲だけど、なかなかステキ。グルーヴ感があって、うきうきするようなノリ。響きが透明で、グライムさんは自分のイメジしている音を的確に楽譜に書き取ることができる人みたい。とっても良かったです。演奏のあと、ナッセンさんが「多分大丈夫とは思うけど、メガネを落としたのでちゃんと演奏できたか分からない。念のためもう1度」と会場を笑わかすジョークなのか、ほんとなのか分からないことをおっしゃって、今度はちゃんとメガネをかけて繰り返されました。同じように聞こえたので大丈夫だったよ。
ところで、こんなことは書きたくないけど、次の曲のためにステージに上がっていた合唱の人。どこの合唱団の人か分からないけど、ひとり、演奏中に扇子で煽ってる人がいました。黒い目立たない扇子とはいえ、それはないんじゃないかと。丸見えだし。2回目の演奏のときは止めてましたけど。

最後は、ドビュッシーの大作「聖セバスティンの殉教」。オーケストラのための断章ではなくて、1時間あまりの全曲版。この版での演奏は初めて聴きます。ナッセンさんは、オーケストラからドビュッシーらしい澄んだ官能的な響きを引き出していて、指揮者としても実力の高いことを聴かせてくれました。それにしてもドビュッシーのオーケストレイションってなんてきれいなんでしょう。そして、ナッセンさんもグライムさんも、きっとドビュッシーの影響を受けてる。
ブースさんの声は、透明で軽いのでドビュッシーにはぴったり。でも、これは合唱にも言えることだけど、多分、フランス語のデクテイションがフランス語の分からないわたしが言うのもヘンだけど、甘かった気がします。フランス語ってきれいに発音されるとほんとにさわさわときれいで耳に心地良いのだけど、今日のはちょっとべったりしているように聞こえました。
でも、この珍しい曲を、1時間、飽きずに聴かせてくれたのは嬉しい。お客さんの入りは予想どおり少なかったけど、とてもよい音楽会でした。

巨躯のナッセンさんと並ぶとますます可愛らしいブースさん 美女と野獣?
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by zerbinetta | 2012-08-25 03:30 | BBCシンフォニー | Comments(0)

ビバカッパ(町田康的イメジ) ペトレンコ、RLPO タコ10   

23.8.2012 @royal albert hall

peter maxwell davies: symphony no. 9
delius: violin concerto
shostakovich: symphony no. 10

tasmin little (vn)
vasily petrenko / royal liverpool philharmonic orchestra


一昨日に引き続いてタコ♡ 今日は、前に交響曲第11番の衝撃的な演奏をフィルハーモニアと聴かせてくれたペトレンコさん。手兵のロイヤル・リヴァプール・フィルとの演奏です。タコの交響曲のひとつの頂点とも言える第10番。最近は第5番と並んでよく演奏されるようで、ロンドンで聴くのがこれで4回目かな。ペトレンコさんが、現在レコーディングを進行している交響曲全集の世評が軒並み高いので、わたしの期待も頂点。ううう、早く聴きたい。

まず始めは、新作、といってもすでに初演は済んでいるのですが、今年の女王のダイヤモンド・ジュビリーに捧げられた、サー・ピーター・マックスウェル・デイヴィスさんの交響曲第9番。メインのオーケストラの他に、金管6重奏が加わります。さてさて。わたしには、正直つまらなかったです。中途半端な現代音楽系によくあるように、分かりにくい部分と分かりやすい部分というかメロディっぽいものに媚びを売ってるような部分が混じり合ってぼんやりとぼけてるような、頭で聴いていいのか歌っていいのか分からないような、むしろ、後ろの金管合奏がジャズっぽい音楽を吹くとほっとするというか。女王の人は、芸術には全く興味がないそうなので、この音楽の存在も知らないような気もしますが、こんな音楽を捧げられたらちょっとかわいそうと、今日のわたしは辛辣だなぁ。何か嫌なことあったんだっけ?

ディーリアスのヴァイオリン協奏曲は初めて聴きます。ヴァイオリンのリトルさんは名前はよく見かけていたのだけど、これまた初めてです。わたし、ディーリアスをあまり聴いたことがないのだけど、でも音楽の響きはわたしの中のディーリアスっぽい感じ。あっディーリアスって気づいちゃう感じの、絵画で言ったらバルビゾン派の絵のような素朴な地味さ。ディーリアス好きには、セピア色の淡い音のグラディエイションがきっとたまらないのでしょう。わたしは、子供の頃、野山で遊んだあと、夕日が暮れかかってきて後ろ髪を引かれつつ友達と別れて家に帰る気持ちを思い浮かべました。リトルさんのヴァイオリンは、やっぱり派手さはないもののしっとりとした音で、叙情的な音運びはディーリアスの音楽にピタリ。とっても弾き慣れているというか、音楽を熟知している感じで、迷うことなく安心して身を任せて聴ける演奏です。この曲があまり人気がない理由はよく分からないけど、もしかして、この音楽の世界を表出するのが、ディーリアスに親しくないと難しいのかなって思いました。

さあいよいよタコ10。うわ〜、またこれは名演。何かぐいぐいと胸を押してくるような勢い。音はがしがしと鳴るんだけど、決してスペクタクルに鳴らすだけにならないで、音そのものに言葉があるような、意味があるような。音の後ろにある心までが直接身体に入ってくる感じ。それがどういう意味なのかは、まだ、咀嚼できていないけど、ものすごく心を締め付けるもの。長い第1楽章は、一筆書きのように綿々と心に淀んだ、不満や不安、暗い感情を紡いでいく。
疾走する第2楽章は、スターリンの姿を表しているとも言うけど、そんなことはどうでも良くて、音楽はもっと普遍的な、そして誰にとっても個人的な、実体を伴って迫ってくる。弦楽器に付けられたポルタメントがセクシィ。ショスタコーヴィチは決して、彼とスターリンとの個人的ないきさつを描いていない。スターリンとショスタコーヴィチの物語にしてしまうと、この音楽の本質を見落としてしまうと思うんです。例え、DSCHのサインがこれでもかと言うほど鳴り響いたとしても。だって、DSCHはわたしのはんこかもしれないんですもの。
でも、本当にわたしの心が吸い付いてしまうのは第3楽章に出てくる孤独なホルン。同じ音型を何度も何度もそれこそDSCHと対をなすようにインプリントしてくる。タコの音楽も、ペトレンコさんの演奏もとても孤独。心の澱の中にあった哀しみが音に吸着していくよう。そしてそのまま、第4楽章の始まりの木管楽器のソロの孤独。第1楽章からの不安の雲。唐突に始まる破れかぶれの狂騒。カッパ踊りをしながら群衆の中を駆け抜け夕日に向かって孤独な勝利を、自分の名前を叫ぶことによって勝利を現実のものに実体化するように音楽は終わる。たったひとりしか認めなくても勝利は勝利。負け試合でも、自分が勝ちを叫んじゃえば、誰も認めなくても勝ち。そんな孤独な魂の勢いが音楽に演奏に感じました。ペトレンコさんのタコは毎回わたしに新しい見方を、聴き方を教えてくれるような気がします。CD買っちゃおうかな。
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by zerbinetta | 2012-08-23 05:55 | イギリスのオーケストラ | Comments(0)

縦ノリタコナナ ネルソンズ、バーミンガム市響 ショスタコーヴィチ「レニングラード」   

21.8.2012 @royal albert hall

glinka: ruslan and lyudmila, overture
emily howard: calculus of the nervous system
shostakovich: symphony no. 7

andirs nelsons / city of birmingham symphony orchestra


うふ〜〜♡今日と明後日はタコなんです♬タコ7とタコ10の2連チャン。なんて楽しみなんでしょう。そして、今日はネルソンズさんとバーミンガム市シンフォニー、明日はペトレンコさんとリヴァプール・フィル。指揮者は若手実力派でめきめきと頭角を現している人ですね。そして、オーケストラは実は、どちらもまだ聴いたことがなかったんです。ますます楽しみではないですか。

ネルソンズさんは、フィルハーモニアに客演したときに聴いているし、最近はわたしは聴きそびれたけど、ロイヤル・オペラで「サロメ」を振って好評を博していました。わたしもネルソンズさん、若くてハキハキしてるし大好きです。
ネルソンズさんって曲を始める前、独特の構えをしますね。ヨーイドンを待つランナーのような、ちょっと前傾姿勢で、ここから一気にエネルギーを爆発させるような感じ。バネが弾けるように音楽が飛び出します。超快速演奏ではないし、勢いに任せて荒さが目立つという演奏でもなく、勢いの上にもしっかりと丁寧に演奏されます。ここでもう心を掴まれました。このオーケストラ上手い!

2曲目は、エミリー・ホワードさんの「神経系の解析」なんていうサイエンティフィックなタイトルの音楽。わたしも神経学者の端くれとして(ウソだけど)、神経系って何やねん、と突然大阪弁で悪態をついちゃったり。作曲者のホワードさんは、プログラムによると、何故かチェスのチャンピオンとの紹介が目に付くほど、作曲よりチェスで有名なのかしら。
超イントロクイズをしたら「涅槃交響曲」!!と応えちゃうような音のクラスターで始まりました。同じひとつの音を楽器を変えながら静かに繰り返して、ときどきはっとする違う音を混ぜたり、また同じ音が来るのかなと思うと違った音が来たりして、頭にくっついて頭の中で鳴ってるひとつの音と、聞こえてくる音とのずれや同期が、なんだか、記憶を刺激しているみたいで、わたしは、この曲は神経回路というより、記憶の固定の現象みたいで、確かに神経系、とおもしろかったです。そしてとても良く、緻密に構成されていてステキな音楽でした。聞こえてくる音と頭の中に生まれた音の間の協奏曲。この曲好き♡

最後はいよいよタコ7。ロンドンで何回か聴く機会はあったんだけど、わたしの好みの曲ではないのでロンドンで聴くのは初めて。タコ好きなのに、タコ7は何だか、間違って勢いで書いちゃったなーーって感じがして、それに長いし、苦手なのよね(好きな人ごめんなさい)。
わたしのイメジでは、(前に聴いたテルミカーノフさんの演奏がそうだったので)、最初どっこいしょと老人が昔語りを始めるように始まる音楽だと思っていたんです。ところが、ネルソンズさんの演奏は違った!前置きなしに最初っから本文、勢い全開、全速力、戦場にいます。びっくり。速い速い。昔語りではない、今この場の戦争、音楽。今まで行進曲のところから戦争が始まるんだと思ってたんだけど、そうではない、最初っから戦場なんですね。こんなやり方あり?びっくりしたけどすごく納得しました。これならこの音楽退屈じゃないし。ネルソンズさんの演奏で目を開かれた感じです。
ネルソンズさんの演奏は、とっても切れがあります。リズムが弛緩しないので、ロックの打ち込みを聴くような爽快感。実際あのボレロのような行進曲の部分は首を振りたくなるくらいな縦ノリ。実際、アリーナに首をぴょんぴょん振ってるおばあさんやおじさんが。分かるよ分かるー。そんな音楽だもの。わたしだってちっちゃく首振ってたし。
それにしてもこんなにもざくざくと切れ味良く演ってもらうと、この曲好きになっちゃうじゃない。速い部分と、ゆったりと叙情的な部分のメリハリをしっかり付けて構成的に、物語ではなく交響曲として演奏された音楽だと思います。表題性を除いたゆえに、反対に音楽が説得力を持って響いてくる結果に。後半の楽章の、ゆっくりとした音楽からだんだん速度を増して盛り上がってくるところから、最後のクライマックスまでの音楽の運び方がとっても良くて、最後は圧倒的なカタルシス。これが勝利の雄叫びなのか、黒い何かを背負ったものかなんてどうでも良くて、音楽の力強さを感じたのでした。結局、ショスタコーヴィチは音楽のポジティヴな力をこの時は信じていたに違いないと思いました。そして演奏した誰もがみなも。音楽は血になってわたしの体を駆けめぐり、熱いエネルギーになる、そんな体験です。ネルソンズさんとバーミンガム市のオーケストラは、緊張感に満ちた弛緩のない音楽でわたしの裡にエネルギーを満たしてくれました。
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by zerbinetta | 2012-08-21 03:40 | イギリスのオーケストラ | Comments(0)

上善如水 マルッキ、フィルハーモニア バルトーク「オーケストラのための協奏曲」   

13.8.2012 @royal albert hall

prokofiev: romeo and juliet, suite no. 1
olga neuwirth: remnants songs ... an amphigory
bartók: concerto for orchestra

lawrence power (va)
susanna mälkki / po


さて、わたしは、とっても哀しいことに、日本人の癖に日本酒が苦手なんです。というと大酒飲みっぽいのだけど、実はちっともお酒は飲めなくて、グラスに1杯くらいのワインをちびちびと飲むくらい。お酒があるとご飯がおいしくなるから、飲むこと自体は好きなんだけど、すぐに酔っぱらって世界がバラ色になるからたくさんは飲めないんです。で、ワインは好きなんだけどどうもお米のお酒が苦手で。。。でも、その中で、何となく名前を覚えているのが「上善如水」。どうして名前を覚えているのか、不思議なんだけど、多分、おいしいものは角がなく水のようにさらさらと意識しないで喉を通ってしまうというのに共感したんでしょう。ところが、これを外国人に言うと???なんです。水のようなワインって馬鹿にしてるって。ワインにはワインの棘があるからおいしいんだって。わたしはどちらも分かるんですけどね。多分同じものを見ているのに、感じる表現の仕方が違うというか、日本人ならおいしいワインを飲んで、水のようだと感じるでしょうし、フランス人ならおいしいお酒を飲んで、その中に豊かな味わいを感じるでしょう。でも、どちらもそれぞれの仕方でおいしいと感じてるんです。

と、全く音楽会のことを外れて力こぶを入れてしまいました。今日の音楽会、特にバルトークの「オーケストラのための協奏曲」にはそんなことを感じたのです。如水。

最初のプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」は珍しく組曲版の第1組曲だけ。わたしは、バレエの物語を追いながらつい聴いてしまいがちなんだけど、音楽は物語なんてお構いなしに進んでいく。わたし的にはそれが不満でもあるんだけど、音楽はとってもステキ。特にバルコニーのシーンの音楽「ロミオとジュリエット」は、ゆったりとしていてとってもきれい。バレエの音楽を普通に演奏すると、速すぎて踊れないことが多いそうだけど、この音楽はむしろゆったりとしていて、優雅で感動的。エモーショナルではないけど愛がいっぱい詰まってた。ああ、でもこの組曲、ティボルトが死んであっさり終わっちゃうんですね。うーん、もっと聴いていたいよう。

真ん中は、オルガ・ニュウウィースさんの「断片の歌、、、無意味な文」というヴィオラ協奏曲。若いヴィオラ奏者タメスティットさんのために書かれた曲ですが、今日は、やっぱり若手のパワーさんが弾きます。曲のイメジはコラージュ。どこかで聴いたことがあるかなと思ったら、マーラーの世界を徹底的にした感じ。そうか!マーラーの音楽もコラージュだったんだ(特に交響曲第5番)。聖の中に俗が混じったり、静の中に動が混じったり。音楽の全体がコラージュで作られているわけではないけど、第1楽章と第5楽章は、たくさんの素材を貼り合わせて作られていて、徹底していて、めまぐるしくカラフルに変わる音は、万華鏡か走馬燈を見ているような感じ。ヴィオラは、難しいのかもしれないけど、パワーさんが余裕を持って弾いていたので、反対に難しさは感じませんでした。上手すぎるとちょっと損ですね。

最後は「オケコン」。これが何とも不思議な感じで、如水。さらさらと泉がわき出してるんですよ。夜の月明かりに。手を触れるとひんやりしていて、水がそこにあるのに、でも手は濡れないというか、もしかしてヴァーチャルな映像?この音楽から一切の人間くさい現実が失せた感じ。音楽はとってもきれいだし、ソロはとっても上手いし、オーケストラもきちんと鳴ってるのに、心に熱が灯らない演奏。もしかして、マルッキさんやオーケストラの人、会場のお客さんはちゃんと盛り上がってるのかもしれないけど、わたしは。。。と書くと、とてもネガティヴな感想のようだけど、確かに最初はびっくりして戸惑ってどうしていいのか分かんなくなったけど、聴いていくとこんな音楽もありかなと思えてきて、清らかな泉で水浴びをするのもいいかな、とバルトークのこの曲でそんなことを感じるのかと、不思議な気分で。でも、透明度100メートルの澄み渡った演奏もたまにはいいよね〜と、濁れる田沼の住民のわたしは心の泥を落として思うのでした。

それにしてもマルッキさんって可愛らしい容姿でステキな音楽を作るコト。耳がとっても良さそう。そして男性の世界にあって男に擬態しないのがいいです。ナチュラル女子の指揮者がどんどん出てくるといいな、と思います。
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by zerbinetta | 2012-08-13 01:44 | フィルハーモニア | Comments(2)

祝!初プロム! でもわたしは音楽会を観に行くんだなぁ   

9.8.2012 @royal albert hall

sibelius: symphony no. 6
delius: cynara
grieg: piano concerto
per nørgård: symphony no. 7
sibelius: symphony no. 3

roderick williams (br)
steven osborne (pf)
john strorgårds / bbc philharmonic


BBCプロムスは、もともとの名前を、なんとかこんたか(確か人の名前)プロムナード・コンサートと言うんだけど(詳しくは各自ググってね)、それは、あらゆる人に安く、気軽にクラシック音楽を聴いてもらいたいからということで始まったそうです。プロムナードは、散歩の意味で、最初は自由に出入りできたり、サンドウィッチを食べながら聴ける音楽会だったようですね。BBCプロムスと名前が変わった今は、演奏の途中で出入りしたりそぞろ歩いたりサンドウィッチを食べるのはできないけど、プラスチックのコップに入ったワインやビールを飲みながら聴くのはOKだし、5ポンドの立ち見の席(ステージの前の一番良い場所と上のギャラリー)はシーズンチケット以外は当日券のみで、誰でも気ままに(とはいえ人気の公演はかなり前から並ばなければいけないんですが)聴ける雰囲気は残ってます。そしてその立ち見の席で聴くことをプロミングと言って、立ち見の席に熱心に通うファンをプロマーと呼ぶんです(プロムに通っても席で聴いてる人はプロマーとは言わない)。わたしは、軟弱者で、当日券に並んだり、音楽会の間ずうっと立って聴いてるなんて、芸当できないから、今までプロムしたことなかったんです。でも、これじゃいかん、一生の思い出に(大袈裟)プロムしようということで、人気がなさそうで空いていそうな(ぎりぎりに行っても入れる&後ろの方で座って聴ける)音楽会を選んでみたのでした。今まで見た感じ、今年はオリンピックのせいかいつもより空いているような気がしたし、国内のオーケストラは空いてる傾向にある気がしたので、今日のBBCフィルハーモニックのシベリウス・プログラムにやってきたのでした。シベリウスはイギリスでは人気だけど、今日のプログラムはマイナーな交響曲第3番と6番なので、真ん中にグリーグのピアノ協奏曲が入るとしてもきっと空いてるでしょう。わたし的には、交響曲第3番と6番はシベリウスの交響曲の中で1、2を争う大好きな曲なので、よくぞ2曲いっぺんにというヨロコビのツボです。でも、こんなマイナーなプログラムでも、ロンドンに来てからシベリウスの交響曲全曲演奏会が2回もあったので、聴くのは第3番は3回目、第6番は5回目です!

いやあずいぶんと前置きが長くなってしまいましたが、のこのこと開演時間ぎりぎりにやってきたわたしも、途中下の通路で音出しをしていたオーケストラの人にすれ違ったり、雰囲気を楽しみながらアリーナへ。もちろん前の方で聴いてやろうという気は端からなく、後ろの方の隙間にちょこんと腰を下ろしました。久しぶりの体育座り。
ぼんやりと天上を見上げていると、清楚なヴァイオリンの響きが聞こえてきて。ああ、大好きな交響曲第6番。でも、今日は耳を澄まして聴くというより、天上にある丸いマッシュルームのようなオブジェを見ながら、音の世界に遊んだという感じです。この曲、作曲家の吉松隆さんもおっしゃっていましたが、わたしも宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思い描いてしまうんですね。だからつい上を見上げてしまう。星は出てないけど。演奏はとてもステキでした。雰囲気が良かったし、宙の彼方の構成の光りのような白い冷たい光りが降り注ぐ感じ。初めて聴くBBCフィルハーモニックも堅実に上手くてびっくり。マンチェスターのオーケストラなんですね。イギリスの地方オケも侮れないなぁ。

と、聴いていたのはここまで。今度は寝っ転がって(わたしの他にも寝ころんでた人いたんですよぉ〜)、聴いてるうちにうつらうつら。それにしても突然歌が聞こえてきたときにはびっくり。歌付きの曲だったんですね。ステージが見えないのでステージで何が起こってるのか分からないのです。これはディリアスの「サイナラ」という曲でした。ひと聴きしてディリアスと分かる音楽。
ここでわたしの記憶はぷっつり。グリーグのピアノ協奏曲は、全く覚えていません。うわ〜寝ちゃった。駄目ですね、横になると。とたんにリラックスしちゃう。

休憩のあとは、デンマークの作曲家、ノルガルドさんと発音するのでしょうか、交響曲第7番。デニッシュ放送交響楽団の本拠地のホールのこけら落としのために作曲された曲です。と、こんなことは、聴かなくてもプログラムを見れば書けるのですが、はい、ちゃんと聴いてませんでした。何だかよく分からない曲だなぁ〜とぼんやり。今日のプロム、わたしのやる気のなさが思いっきり反映してますね。アリーナは前に立って気合いを入れて聴いてると違うのでしょうが(たいていそうしてる)、わたしみたいに後ろの方でやる気なさげに座ってるという時点で負けです。まあ、わたしの場合立っていてもちびっ子なので前が見えないから、どちらにせよ負けなんですが。

最後のシベリウスの交響曲第3番は大好きなので、体育座りに座り直して聴きました。ストルゴーズさんのシベリウスは、一切奇を衒わずにそのまま、素直に音楽を作った感じ。そこが物足りないと感じることもあるけど、すうっと音がしみこんでくる。音に棘がないから、引っかからないんですね。わたしが透明になって音がわたしの中を流れゆく感じです。それは、交響曲第3番と6番に共通した特徴でもあると思うんです。

初めてのプロミング、いろんなことを感じました。一番は、わたしは音楽会を観に行くんだな〜ってこと。わたしにとって音楽は聴くだけのものではないということを再認識しました。ステージにいるイケメンくんを探したり、演奏している姿を観るのがわたしの音楽にとって切っても切り離せない、うんと大切なものなんだと分かりました。わたしがちゃんと音楽を聴くには耳だけでは足りないんです。鼻をつまんだらどんなおいしいお料理も味が分からないのと一緒でしょうか。
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by zerbinetta | 2012-08-09 07:57 | イギリスのオーケストラ | Comments(0)

5番ホルンに注目! ビシュコフ、BBC交響楽団「英雄の生涯」   

8.8.2012 @royal albert hall

schubert: symphony no. 7
richard dubugnon: battlefield concerto
strauss: ein heldenleben

katia & marielle labèque (pf)
semyon bychkov / bbcso


つい数日前、BBC交響楽団が、ギュンター・ヴァント・コンダクティング・チェアーなるタイトルを創設して、その最初の栄誉にビシュコフさんがなられたというアナウンスメントがありました。BBC交響楽団とヴァントさん?って、って感じだったんだけど、ヴァントさん、昔、BBC交響楽団の主席客演指揮者だったのですね。どうやら、客演指揮者として功績のある人を称えるポストみたいです。ビシュコフさんはBBC交響楽団に正式なポストを持ったことないはずですけど(現在の主席客演指揮者はロバートソンさん)、確かに毎年のように客演してはステキな演奏を聴かせてくれてましたからね。奇しくも今日はそのお披露目。

シューベルトの「未完成」は、弱音を徹底的に強調しすぎてしすぎちゃったかしら、みたいな演奏でした。この曲って、クラシック界の超有名曲だし、名曲だけど、なぜかわたし、この曲のぞくっとする演奏に出会えないんです。いいなって感じる演奏には出会えるんだけど、やっと見つけた!と思える演奏がないの。どうしてでしょう?今日のこの演奏もそう。ちゃんとステキな演奏なのに、とうとう出会えた感がなくて寂しく見送る、そんな感じです。

2曲目は、ラベックさん姉妹を迎えての新しい協奏曲。イギリス初演です。2群のオーケストラと2台のピアノ、ラベックさん姉妹のために書かれた曲です。そしてその通り、おふたりの個性、これがもう正反対な感じで面白いんです、自由奔放のカティアさん、しっかりとペースを刻むマリエルさん、このおふたりの対照がなければ、こんなにも長く第一線でデュオを続けることはできなかったに違いありません。お互いの個性のぶつかり合いが音楽の化学反応を生みさらに自由に飛翔できるんですね。そんな感じを今日のピアノから凄く受けました。そういうふうに作曲されてるから。まさに彼女らのための音楽です。だからピアノ・パートはとても面白かった。でも、オーケストラ・パートはちょっといまいちでもったいない。これがもっと良く書かれていたら2台のピアノとオーケストラのための定番になったかもしれないのにって偉そうに思いました。ピアノのパートだけ耳を集中して聴いていました。
それにしても、ラベックさん姉妹、相変わらず年齢不詳。むちゃ色気のある美人姉妹だわ。ちなみに、マリエルさんは指揮者のビシュコフさんのパートナーなんですね♡美女と野獣??

最後は「英雄の生涯」。大きなオーケストラ。と、見てたら、5番ホルンにあれっ?フィルハーモニアのケイティさん?ゲスト・プリンシパルじゃなくて5番?プログラムを見たら、ケイティさんではなくてキャサリンさん。あれれ?ますます混乱するわたし。似てるけど違う人?でも吹き方ケイティさんだし。わたしの中ではやっぱりケイティさんだって確信したんですけど、あとで調べてみたら、ケイティってキャサリンの愛称なんですね。なぁんだ。と、全く本筋から遠いところで重箱の隅に残ってる栗きんとんのかけらをつついてるわたしですけど、5番ホルンをずっと見てると、意外と大活躍なんですね。ソロも多いし。
ビシュコフさんの「英雄の生涯」は流石と漢字で唸らせるような音楽。盤石ですね。BBCシンフォニーも上手いし、落ち着いて安心して聴ける演奏。わたしとしては、(わざと)ドキリとバランスの崩れる瞬間がある演奏が好きなんですけど、ビシュコフさんはそういう演奏をするタイプではないのですね。しっかりと完成度の高い、繰り返して聴いても崩れないタイプの演奏でした。
それにしても34歳でこの曲を作曲したシュトラウス。もうすでにたくさんの業績があって、引退さえするなんて(曲の中で)いいなぁ。もしわたしが同じような曲を作曲したら、シュトラウスの歳は優に超えてるのになんにも業績ないぞ。ってかふにゃふにゃな曲になりそう。実際、シュトラウスはこの曲を最後に、交響詩を書くのを止めて、オペラの世界に没頭していくのですね。もしかしたら交響詩作曲家としての自分を葬る作品だったのかもしれません。
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by zerbinetta | 2012-08-08 07:26 | BBCシンフォニー | Comments(0)