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覚醒!わたしの日本人 能「隅田川」/オペラ「カーリュー・リヴァー」   

7.9.2012 @christ church spitalfields, london

sumidagawa / curlew river

kanze motomosa: sumidagawa

tomotaka sekine (dir)

tomotaka sekine (madwoman), kenkichi tonoda (ferryman),
hideshi norihisa (traveller), etc


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britten: curlew river

david edwards (dir)

jun suzuki (madwoman), akiya fukushima (ferryman),
michio tatara (traveler), jun itoh (abbot), etc.

dominic wheeler / tokyo university of the arts, young british opera singers


語りたい音楽会というものがある。音楽会のあと、一緒に聴いた友達と語り合いたくなる、たくさん言葉にしたくなる、そんな音楽会。それが今日の、能とオペラのコラボレイション、観世元正の能「隅田川」とそれにインスパイアされて作曲されたブリテンのオペラ「カーリュー・リヴァー」の同時上演でした。能は観たことない癖に大好きっぽいし、同じ題材のブリテンのオペラを同時に演るなんてステキじゃない、持っていたウィーン・フィル2日目のチケットをあっさり友達に売って、こちらのチケットを喜々として取ったのでした。しかし、そのわりに、初めて行く教会、いつものようにあっさりと道に迷って、着いたのはぎりぎり、というかちょっぴり時間過ぎてたんだけど、幸運なことにまだ始まっていなくって、ぜーぜーいいながら席に着いたのでした。

会場はロンドンの教会。能舞台は作られていましたが、ずいぶん勝手が違う、というような心配があったものの、舞台袖からの様式的な地謡と囃子方の登場から本物でした。能を観るのはほぼ初めてです。ちゃんと楽しめるのか不安だったけど、楽師がみんな揃って謡が始まるとそんな心配はあっさり霧散。わたしの裡の日本人が目覚めたのでした。その感覚がめちゃ新鮮で、自分のことながら自分でも感動しちゃった。日本人でいて良かったぁ、と。日本にいた頃、毎週末(日曜日だったかしら)、朝のラジオで能楽の鑑賞(?)を目覚まし代わりに起きていたことも思い出して、そうして知らずに能楽に親しんでいたこと、親戚が趣味で能をやっていて能舞台を観たことはないけど小さい頃から何となく能に親しんでいたこと、数回観た能・狂言のことまで、胸に満ちてきて、わたしの日本人が身体の中に膨らんできたんです。だから始まりから涙。それにしても、謡の言葉が理解できたのはびっくり。能って、というか室町時代に作られた「隅田川」は室町時代の言葉で語られると思っていたのだけど、現代語に翻訳してあるのでしょうか、それとも毎週、謡を聴いてきた成果?
舞台が始まってしばらくして落ち着いて見回すと、会場は日本人が多いものの、イギリス人もたくさん。字幕はなし。プログラムにあらすじは書いてあるものの、理解出来るかしらってちょっぴり心配だったけど、こんなとこに来るのは先鋭的なアンテナを張った人ばかり。あと出回りの反応をうかがったら楽しんでた様子。わたしの鼻もちょっぴり高くなりました。(多分、本当は外国人の方には、ブリテンのオペラを先に演って、あとから能をやったら話が理解しやすかったかもしれませんね)

能の経験値があまりに低いので、上手く評価することは出来ません。でも、めちゃくちゃ心に響いたことは確かです。普段西欧音楽ばかりを聴いてるわたしにとって、音楽の斬新さは、日本人ですから一応教養としてくらいは知っていても、もう目眩がするくらいの段差。西洋の音楽とは、全く理を異にする音楽は、日本に生まれていながら日本のことをあまり知らないわたしにはものすごく新しいものに聞こえました。
舞も、余剰が完璧に削ぎ落とされ、白い和紙に書かれた水墨画のように、余白の大きな動きの少ない所作は、普段バレエばかり観ているわたしには新鮮。そういえば、この能のスタイルで「トリスタンとイゾルデ」を演出したいなという大きすぎる野望を持っているわたしでした。
音楽も舞も、西洋のそれと比べたら極めて抑揚が少ないのだけど、でもお腹の底から沸いてくるうねりのような表現のかたまりは、狂女が語る物語と共に蓄積され、1周忌の供養をされている子供が、拐かされて別れた自分の子供であると明かすクライマックスで放たれた巨大なエネルギーが涙腺を崩壊させる。でも本当のクライマックスは、そこではなく、物語の緊張が静まったあとに子供の声が聞こえて迎えるのですね。さっきのクライマックスが心を揺り動かされるどうのクライマックスとすると、最後のは心が止まる静のクライマックス。平安とも諦観、もしくは無情とも取れる全く正反対の要素を複雑に配合した終わり。わたしは、東洋人なので悟るように立ち尽くしました。

それにしても、能を観てこんなに心が揺さぶられるとは思いもしませんでした。今日の演者たちは、多分、観世流の方たちだと思うのですが、能の家のことを全く知らないわたしにはそれがどういう仕組みなのか全く分からないのだけど、とっても素晴らしい演じ手であったことはわたしにも分かりました。だって、観るものを引き付ける強さは半端ではなかったんですもの。子供の声は、女性の方でしたが、能って女性もいるのですね。初めて知りました。

休憩中にオペラの舞台、ごみのようなものでステージを飾って、が作られました。そして、来日した折に「隅田川」を観て感激したブリテンが作曲したオペラ「カーリュー・リヴァー」。隅田川は架空の川、カーリュー・リヴァーになってますが、物語は基本的に能を踏襲しています。というか、ほとんど変えていない。このオペラを観て、ブリテンがいかに「隅田川」に感動したか分かります。そして、芸術家の異文化の芸術を受け入れる懐の深さ、理解力に驚愕しました。多分、他の文化をきちんと理解して自分の裡に受け入れるのには、その人の中に確固とした自分の文化があることが必要でしょう。残念ながらわたしには、日本人としてのそれがなくて、どの外国の文化もぼんやりとしか理解することが出来ません。その決定的な違いに気づかされたような気がします。

ブリテンのオペラは、能楽師の登場に変えて、カトリック教会で神父たちが香を焚き歌いながら教会堂の中を静かに歩くように、聖歌を歌いながら登場人物が会堂からステージに上がって始まります。ブリテンの作品には、「ビリー・バッド」とか(もしかすると「ピーター・グライムズ」も)(キリスト教の)宗教的な香りを感じる音楽があるのだけど、このオペラもそのひとつかもしれません。外見的な、例えば始まりと終わりが教会の宗教儀式のような体裁をとっていることもあるけど、もっと本質的に、このオペラの内容に宗教的なものを感じたのです。わたしは、ブリテンがキリスト教を信仰していたかどうかは分かりません。それに、ブリテンの音楽の内容が、例え「ビリー・バッド」で十字架を象徴するようなところがあったとしても、キリスト教に則っているとは言えません。もう少し、曖昧な宗教観を感じます。「カーリュー・リヴァー」では、最後の場面、子供の声が聞こえてくるところですが、に救いのようなものを感じたのです。そしてそれは、とても興味深いことに「隅田川」の精神とは全く違います。「隅田川」には空虚な無常観が感じられけど、「カーリュー・リヴァー」は満たされた平安。それにしても、同じ題材で、同じ登場人物(名前は変わってるにしろ)、同じ物語、で再創造したものが、外見はそっくりなのに別の内容になってるのが素晴らしい。能をただオペラに翻案しただけではなくって、芸術が創造されてる。多分それが、先に書いた、文化の受容の凄さにつながってるんだと思う。

とても小さな編成の器楽アンサンブルと、主な歌手は日本人でした。アンサンブルは、ウィーラーさんの指揮とオルガンの元、東京芸術大学の大学院生が主なメンバーでしたが、とっても上手かったです。各パートはソロでかなり難しいと思うんだけど、難なくこなしていて素晴らしい音楽を聴かせてくれました。歌手の皆さんもとっても良かったです。狂女のスズキ・ジュンさんが特に印象的でした。なんかわたしよりきれいだし。
演出も休憩時間に舞台にごみ(のようなもの)を配置して、ううう、ちょっとあれかな、と思ったんですが、観てみるとそれはちゃんと舞台に合っててしっぽりと背景になっていました。狂女は変に着飾ったホームレスさんのような、おかしな衣装で、近くの若いカップルはずうっと笑っていましたが、お話の内容に合っていて、いろいろ変な飾りがぶら下がった帽子を取るという形での場面変換も工夫されていてとっても雄弁だったと思います。能と同じように舞台がシンプルなのでこれが凄くドキリと効果的でした。

こちらの舞台もむっちゃ感動しました。ずしりときました。そして、誰かとたくさんおしゃべりしたいと思いました。もちろん、今観て感じたこと、考えたことをです。なんだか、わたしの裡からたくさんの言葉が湧き水のように溢れてきて、ひとりだったのが寂しかったほどです。一晩中でも語り明かしたいと思いました。

会場の運営は、(ロンドン在住の?)日本人の、多分、芸大の関係者の皆さん、のボランティアで行われていました。それがなんだか、自分たちの舞台を作るんだみたいな、学園祭ののりみたいな、仄かな熱気に包まれていて、ステキな雰囲気でした。演じ演奏してくれた人たち、準備されてた人たちにありがとうと声を大きくしていいたいです。
(そう言えば全然関係ないけど、葉加瀬太郎さんが前半の能を観てらっしゃいましたね)
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by zerbinetta | 2012-09-07 00:32 | オペラ | Comments(2)

美女と野獣 クレア・ブース、BBC交響楽団、オリヴァー・ナッセン還暦音楽会   

25.8.2012 @royal albert hall

alexander goehr: metamorphosis/dance
oliver knussen: symphony no. 3
helen grime: night songs
debussy: the martyrdom of st sebastian

claire booth (sp)
polly may (ms), clare mccaldin (ms)
oliver knussen / new london chamber choir, bbc national chorus of wales, bbcso


なんてったってプチ追っかけですから。クレア・ブースさんが歌はなるべく(というところが軟弱者)聴きたいのです。今日はナッセンさんの還暦祝いということで、ヘレン・グライムさんの新作が初演されました。ナッセンさんのために書かれた曲です。
それにしてもナッセンさん、巨躯。昔から大きかったと思うけど、ますます大きさに磨きがかかったみたい。ってか、足腰、大丈夫かしら。レヴァインさんみたいに痛めませんように。よちよち歩いてきて、椅子に座っての指揮でした。

最初の曲はアレクサンダー・ゴーアさんの変態/ダンス、なんてついうっかりメタモルフォーシスを変態と訳してしまうんだけど(カエルの変態)、変容かな。ゴーアさんも80歳の記念年。ゴーアさんの曲は、40代の、今から40年前の作品。きれいなんだけど、聴いてて心地良いんだけど、あまり心には残らなかったな。

続くナッセンさん自身の交響曲第3番は、何と、20代の作品。はっきりと力の差を感じさせる、20代の若者がこんな作品を書けたのかと、びっくりさせられた充実の作品。ナッセンさん天才だったのね。明るくてきらきらする感じの音楽。ナッセンさんの音楽は、集中して聴いたことがなくて、ぽつりぽつりと聴いて入るんだけど、今まで聴いた(でも数は少ない)なかでは一番かな。プログラムには、この曲を初演した(当時の)若い!MTTさんの写真が出てたけど、彼も当時は20代。あとで知ったことだけど、MTTさん、今日は会場にみえてたそうですね。それなら見たかったなぁ(ただのミーハー)。実は、ナッセンさんの秘蔵っ子、ブースさんがこの曲を歌うのかなと思っていたのだけど、純粋にオーケストラだけの音楽でした。BBCシンフォニーは、来るシーズン、確かナッセンさんの曲をいくつか採り上げる予定だったと思うけど、聴きたかったな。

休憩のあとは、30そこそこの若い、ヘレン・グライムさんからのお誕生日プレゼント、「夜の歌」です。これもオーケストラのための曲。5分くらいの短い曲だけど、なかなかステキ。グルーヴ感があって、うきうきするようなノリ。響きが透明で、グライムさんは自分のイメジしている音を的確に楽譜に書き取ることができる人みたい。とっても良かったです。演奏のあと、ナッセンさんが「多分大丈夫とは思うけど、メガネを落としたのでちゃんと演奏できたか分からない。念のためもう1度」と会場を笑わかすジョークなのか、ほんとなのか分からないことをおっしゃって、今度はちゃんとメガネをかけて繰り返されました。同じように聞こえたので大丈夫だったよ。
ところで、こんなことは書きたくないけど、次の曲のためにステージに上がっていた合唱の人。どこの合唱団の人か分からないけど、ひとり、演奏中に扇子で煽ってる人がいました。黒い目立たない扇子とはいえ、それはないんじゃないかと。丸見えだし。2回目の演奏のときは止めてましたけど。

最後は、ドビュッシーの大作「聖セバスティンの殉教」。オーケストラのための断章ではなくて、1時間あまりの全曲版。この版での演奏は初めて聴きます。ナッセンさんは、オーケストラからドビュッシーらしい澄んだ官能的な響きを引き出していて、指揮者としても実力の高いことを聴かせてくれました。それにしてもドビュッシーのオーケストレイションってなんてきれいなんでしょう。そして、ナッセンさんもグライムさんも、きっとドビュッシーの影響を受けてる。
ブースさんの声は、透明で軽いのでドビュッシーにはぴったり。でも、これは合唱にも言えることだけど、多分、フランス語のデクテイションがフランス語の分からないわたしが言うのもヘンだけど、甘かった気がします。フランス語ってきれいに発音されるとほんとにさわさわときれいで耳に心地良いのだけど、今日のはちょっとべったりしているように聞こえました。
でも、この珍しい曲を、1時間、飽きずに聴かせてくれたのは嬉しい。お客さんの入りは予想どおり少なかったけど、とてもよい音楽会でした。

巨躯のナッセンさんと並ぶとますます可愛らしいブースさん 美女と野獣?
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by zerbinetta | 2012-08-25 03:30 | BBCシンフォニー | Comments(0)

またまた若者 ラニクルズ、スコットランド・ユース・オーケストラ、BBCスコティッシュ交響楽団   

5.8.2012 @royal albert hall

james macmillan: fanfare upon one note
wagner: the mastersingers of nuremberg -prelude
bruch: scottish fantasy
strauss: don juan
thea musgrave: loch ness -a postcard from scotland
respighi: pines of rome

nicola benedetti (vn)
donald rannicles / bbcsso, national youth orchestra of scotland


またまた、若者のエキス。今度はスコットランドのユース・オーケストラ。昨日がイギリス全土だったのに、今日はスコットランド・ローカル。さすがに小粒感は拭えませんね。今日はユース・オーケストラ単独で演奏されたのはブロッホの「スコットランド幻想曲」だけ。あとは、BBCスコティッシュ交響楽団との共演です。わたしの目的は、プチ応援してるニキとラニクルズさん。ニキのヴァイオリンはなるべく聴かなくちゃと思ってます。

最初はマクミランさんの金管楽器と打楽器のかっこいいファンファーレ。3分くらいの短いファンファーレだけど、十分に複雑でステキ。ファンファーレって単純な音楽だと思ってたけど、どっこい、まだまだかっこいい可能性が残されてるのね。
2曲目は「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」。まあこれまたかっこいい音楽だけど、ラニクルズさんがオペラ指揮者の本領発揮で、オペラの序曲のようにさらりとでもふくよかな味付けで演奏されました。内声がとても充実していて、対向する旋律群がきちんと全部聞こえてすごくいい演奏。ますます好きになったよ、ラニクルズさん。
休憩の前、最後は「スコットランド幻想曲」。もちろんソロはニキ。オーケストラはユース・オーケストラ。スコットランド生まれのラニクルズさんとニキ、スコットランドの若者オーケストラ、もう、みんな同じ釜のハギスを食べた仲よね。そんなスコットランドつながりのスコットランド大好きっ子たちが演奏する「スコットランド幻想曲」ですもの、共感に満ちていたのは間違いありません。それにしてもスコットランドってきれいな旋律の宝庫だなぁ。日本人には何故か特に親しみがありますよね。ニキのヴァイオリンは今日は普通かなぁ。丁寧に歌っていたけど、驚きはなかったです。今日は遠くからぼんやりとリラックスして音楽を聴いてたからかなぁ、まったりと楽しみました。
アンコールには、ユース・オーケストラのリーダーの男の子!を誘って、ふたりでデュオ。曲はスコットランド民謡を編曲した感じの曲。若いけれどもコンサート・ヴァイオリニストとして世界中を飛び回ってるニキお姉さまと、ステージの上ではまだシャイな高校生の男の子という構図が何とも微笑ましかったです。
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休憩のあとの「ドン・ファン」は、BBCスコティッシュ交響楽団の演奏。これはもうとってもステキな演奏。ゴージャスな艶やかさはないけれども、しっとりと柔らかくってじんわりと深く音楽の中に沈み込めるような演奏。モノラルのレコードのような色彩感。でも、これがかえっていい!ちょっと古ぼけた感じがシュトラウスから薫るノスタルジアを上手く表現しているような気がして。
それから、ティア・マスグレイヴさんの新作、「ネス湖ースコットランドの絵はがき」、初演です。ネス湖と言ったら怪獣。もうわたしったら、ネス湖の怪獣にもの凄い憧れを持っていて、できることなら見に行きたいっ、イギリスにいる間にぜひ!と思っていたんだけど、実現せず、だってネス湖ってかなり辺鄙なところにあるんですよ、だから今でも怪獣が住んでるんだと思うんですけど、で、この曲はネス湖の怪獣の音楽なんです。チューバのソロがそれはもう大活躍で、プログラム・ノートによると、これが怪獣を表してるそうなんですけど、チューバ協奏曲と言ってもいいくらい。怪獣はゴジラみたいに凶悪でもおどろおどろしいものでもなく、ぬるりとした不思議の生き物みたい。むしろ霧の中の神秘な風景画と言ったところかしら。演奏後、客席にいた作曲家をラニクルズさんが呼んだんですけど、その場で立って挨拶されただけで、控え目な感じのおばあちゃんでした(御歳84歳)。
最後は、BBCスコティッシュ交響楽団とスコットランド・ナショナル・ユース・オーケストラ全員合同で「ローマの松」。何だかずいぶん久しぶりに聴いた感じがするこの曲。好きだ〜この曲。ラニクルズさんの演奏は、派手やかなところよりも、静かな部分をとっても美しく強調した音楽で、カタコンバの松とジャニコロの松がステキでした。鳥の声はテープだったけど、これって調べてみたらレスピーギ自身が録音を使うことと指定してるんですね。知らなかった。舞台外の金管楽器はどこかとんでもないところから聞こえてくるのが好きなんだけど、舞台の後ろの方に座っていてオーケストラの中の音として聞こえてきたのはちょっと残念でしたが、しっかり盛り上がって、熱くなって終わりました。
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by zerbinetta | 2012-08-05 01:43 | イギリスのオーケストラ | Comments(0)

ティシャン 2日目 フェミニンの「トレスパス」 痛恨の腹痛   

16.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

メタモルフォーシス:ティシャン、キャストは変わらず、コピペでいいので楽ちーーん。

machina

kim brandstrup, wayne mcgregor (choreography)
nico muhly (music)
conrad shawcross (designs)
tom seligman / oroh

leanne benjamin, tamara rojo
carlos acosta, edward watson, etc.

一昨日観てあまりよく分からなかったマシーナ。今日は少し分かってきたような気がします。この演目、とにかくベンジャミンさんが良い。マクミランの「レクイエム」や「グロリア」でも素晴らしい踊りを見せてくれた彼女だけど、ほんとに、こういう抽象的な踊りが素晴らしい。踊りの中に言葉を感じるの。それもおしゃべりの言葉ではなくとても哲学的な言葉。それについてはあとで書くことにしましょう。もちろん主役の4人もバックの人たちもほんとにいいんですけど。

左から、チャップマンさん、ステパネクさん、タマちゃん、ワトソンさん、アコスタさん、ベンジャミンさん、フリストフさん、メンディザバルさん、ズチェッティさん
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trespass

alastair marriott, christopher wheeldon (choreography)
mark-anthony turnage (music)
mark wallinger (designs)
barry wordsworth / oroh

beatriz stix-brunell, melissa hamilton, sarah lamb
nehemiah kish, steven mcrae, etc.


今日は「トレスパス」が、とってもすとんと心に落ちました。
音楽も、ああ今日も気が狂いそうになるのかなと構えてたけど、意外や大丈夫。むしろなかなか力のある音楽だと見直したりして。
「トレスパス」はのぞきのシーンをテーマにした作品、美術のワリンガーさんの作品ものぞき部屋でしたものね、でも、ディアナが怒ってのぞき見したアクタエオンを殺してしまった、高貴なプライドみたいな表現はなく、むしろ女性はかわいいエロスって感じでフェミニン。人魚のひれのように足先を交互に動かす仕草とか、女性のかわいらしさを引き出しているようで、のぞき見をむしろ誘うような感じにも思えました。女神は、メリッサさんかしら。フェミニンで可愛らしいんだけど中性的でもあり、百済観音っぽくもあり、メリッサさんの魅力全開でした。ちなみにメリッサさん、彼女をモデルにしたショニベアさんの作品が、現在、オペラ・ハウスの目立たないところにくっついています。これ。
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なんと!1段飛ばしでソロイスト昇進が決まったベアトリスさん(おめでとうございます)、キッシュさんとペアです。ベアトリスさんはさすが、振り付けのウィールドンさんの申し子だけあってウィールドンさんのは上手いですね。この人は手先がきれい。ソロイストになると重要な役を踊ることが多くなるから、大変だけどがんばって欲しいです。この人、意外ととんとん拍子に再来年あたりにファースト・ソロイストになって、すっとプリンシパルに上がるんじゃないかしら。なんか勢いのあるダンサーです。キッシュさんも上手にサポートしたり、マクレーさんと男の踊りを見せたり、男性も見せ所があるのがいいですね。
ラムさんとマクレーさんのペアは、こちらの方は逆立ちや、難しそうなリフトが盛り込まれていて、ドキドキしながら観てましたが、ラムさん、わたしには彼女はコンテンポラリーの方がしっくり来るなぁ。お顔が整いすぎていて、人間の少女見るというより、抽象的な人形のように見えるんだもの。でも、この演目はこれで大丈夫。ラムさん魅力的でした。それにしても、ラムさんは細っこくて軽いとはいえ、片腕でリフトしたり、マクレーさん大変そう。マクレーさんは観るたびにステキです。わたしも♡を送りたいんだけど、ライヴァル多いからなぁ。

わたしもニンフたちの可愛らしい水浴をのぞき見したような気持ちになったのだけど、ミラーになったりシースルーになって向こう側にのぞき見する人たちが現れたり、屏風(?)の使い方上手かったなぁ。水墨画風の背景も音楽や振りと相まって東洋的な雰囲気を醸し出してたし、わたしはまだ作品の意図がちゃんと理解できてるわけではないけど、わたしの中では、蓮の池に集う東洋のニンフたちという感じでした。ちょっと違うような気もするけど。東洋は思想的なものよりもエキゾティックな動き、なのかもしれませんね。
でも今日は、この作品がとても心に残ったんです。ステキな作品だって。

ううう、今日はお腹が痛くなって、「ディアナとアクタエオン」は観ずに帰りました。最近ちょこっと調子悪かったんです。

妙にニコニコ踊ってたオリヴィア・コウレイさん(「くるみ」のおばあちゃんの楽しい演技を観て以来大好きなんです)と晴れてソロイストに昇格が決まった、トルゼンシミエッチさんとズチェッティさん おめでとうございます
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ベアトリスさん(後ろ向き)とキッシュさん
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ラムさん(後ろ向き)とマクレーさん
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by zerbinetta | 2012-07-16 08:02 | バレエ | Comments(0)

ティシャン、いよいよ初演! ロイヤル・バレエ   

14.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

夏のロンドン・オリンピックに伴って、ロンドンではいろんなことが行われますが、カルチュラル・オリンピアードというのもそのひとつ。中でもロンドン2012フェスティヴァルではいろいろな文化行事が行われます。そのひとつが、ナショナル・ギャラリーとロイヤル・バレエとの共同企画で、メタモルフォーシス:ティシャン2012。美術館でのティシャンの3つの作品とそれにインスパイアされた現代作家の新作の同時展示とバレエの連携でちょっと分からないところもあるけど、ロイヤル・バレエを10年にわたって導いてきたモニカ・メイスンさんの最後の作品ということで期待が高まったのでした。バレエの方は3つの作品から構成されることは、早くから分かっていましたが、内容やキャストはぎりぎりまで全く分からず、チケットも高かったのでチケット取りにも躊躇して、取り敢えずわたしは、1回分のチケットを取っていただけでした。
ああ、なのに。。。それなのに。結局見ると、手元に全4公演のチケットが、5枚。あれれ?1枚多い?いええ〜、メイスンさん(そしてタマちゃん)の最終公演ということで早くから売り切れになっていた最終日の公演、取り敢えず入るだけのチケットを確保しておいて、良い席が出たとき、ぽちっと押してしまったのですね。確保していた方のチケットは間際にリターンしました。

そして今日はその初演。いったいどんなバレエが観られるのでしょう。と、その前に、ナショナル・ギャラリーに行って、メタモルフォーシス;ティシャンを観てきました。ティシャンは、英語読みなので、日本人にはなじみがないと思うけど(わたし自身ずうっとタイタンだと読み間違えていました。titanにはない愛がtitianにはある!お恥ずかしい)、ティツィアーノといったら分かるでしょうか。ワグナーが(多分ゲーテの「ファウスト」の最終場面でも)「トリスタンとイゾルデ」の最終場面でイメジを重ねた、「聖母被昇天」の絵を描いた人です。他にも有名な絵はたくさんあるんですけどね。
正直言って1回ちらっと観ただけではよく分かりませんでした。結局バレエのリハーサルのヴィデオばかり観てしまっていたし。ティシャンの3枚の絵「ディアナとカリスト」「アクタイオンの死」「ディアナとアクタイオン」はステキだったけど、3人の現代作品は、ティシャンとどう関係があるのか、のぞき部屋を再現した作品以外はよく分かりませんでした。もっと時間をかけてちゃんと観に行かなければ。

さあバレエの方。3つの作品、「マシーナ(機械)」「トレスパス(不法侵入)」「ディアナとアクタエオン」をそれぞれ複数の振り付け家が振り付けています。そしてそれぞれのデザイン(背景)をナショナル・ギャラリーに出展した美術家さんたちが担当しています。

では、「マシーナ」。

machina

kim brandstrup, wayne mcgregor (choreography)
nico muhly (music)
conrad shawcross (designs)
tom seligman / oroh

leanne benjamin, tamara rojo
carlos acosta, edward watson, etc.


実は一番よく分からなかった作品。非常に抽象的。暗い舞台に、背景は何もなく、大きな機械が首を振るように動いています(この機械は、ナショナル・ギャラリーにも展示されていました)。物語がありそうでなさそうな具合が戸惑った原因かなぁ。音楽は真ん中のちょっと現代的なところを挟んで、とても静かなルネッサンス調の弦楽合奏で、淡々と古代の無言劇を観るよう。なんだけど、後ろで動いてる機械といい、作品を理解するまでには至りませんでした。
ダンサーでは、リャーン・ベンジャミンさんが圧倒的に良かったです。この人、こういうのを踊らせるともう右に出る人がいないくらい上手い、というか芸術的。動きのひとつひとつに確実に表現の意味がのってる。素晴らしかったです。あとは、ワトソンさん(この人こそがベンジャミンさんの右に出る人かなぁ)とアコスタさん。タマちゃんは上手いんだけど、何となく作品に合っていないような、もったいない感じ。タマちゃんの最後の作品なのに、お別れは他ので観たかったよぉ。

タマちゃん、ワトソンさん
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ベンジャミンさんとアコスタさん
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振り付けの頭が滑らかなおふたり ブランドストラップさん(左)とマクレガーさん
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機械と全員
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続いてトレスパス

trespass

alastair marriott, christopher wheeldon (choreography)
mark-anthony turnage (music)
mark wallinger (designs)
barry wordsworth / oroh

beatriz stix-brunell, melissa hamilton, sarah lamb
nehemiah kish, steven mcrae, etc.


アクタエオンののぞき見事件のことかなぁ、不法侵入。とってもフェミニン。舞台は中央に半円の屏風があって、それがシースルーになったり鏡のようになったりして効果的。さすがのぞき見部屋を作ったワリンガーさん。背景はちょっとアジアンテイストの水墨画風。踊りの中にも蓮の花にのった仏陀を連想させるのもがあって、そういう意図で作られてるのかなって思った。ただ、音楽がね〜。タネージさんの音楽が焦点が合わない激しい雑音のように聞こえて、これずうっと聞かされたら気が狂いそうって思ったんだけど、後半になってやや落ち着いて何とか正気を保っていました。ウマが合わないのかしら。
振り付けは、動、静自在で、アクロバティックなところもあって、とても面白い。リード・ダンサーはベアトリスさんとキッシュさんのペア、ラムさんとマクレーさんのペア、そして観音様のような可愛らしいエロスのメリッサさん。ダンサーに恵まれた感じ。振り付けたウィールドンさんとマリオットさんは冥利に尽きたんではないかしら。

舞台はこんな感じ
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電気回路の配線みたいな衣装
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ウィールドンさん(左)とマリオットさん マリオットさんはお肌きれいなプリンシパル・キャラクター・アーティストの踊り手でもあります
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最後はディアナとアクタエオン

diana and actaeon

liam scarlett, will tuckett, jonathan watkins (choreography)
jonathan dove (music)
chris ofili (designs)
kim sheehan, andrew rees (singers)
dominic grier / oroh

marianela nuñez (diana), federico bonelli (actaeon), etc.


ダンサーに役名が付くように、物語バレエです。お化粧がこわ〜い。美術はギャラリーの方でも唯一絵を出展してたオフィリさん。これが素晴らしい。背景は南国風の絵で、真っ赤な三日月が目を引くんだけど、これもしかして女性の象徴?だとするとその手前に書かれているのは、デフォルメされた男性のペニス?ここだけ北斗七星のように電球が光るようになってるんだけど、穿ち過ぎかなぁ。
音楽も分かりやすいし、物語もあって内容もとても理解しやすいので、今日はこれが一番すっと心に落ちました。ただ振り付けはちょっと凡庸かな。リアムさん期待したんだけど。振り付けの3人は、現役のダンサーでもありますね。
大好きなマリアネラさんがディアナでいつものことながらとってもステキ(お化粧恐いけど)だったんだけど、彼女にならもっと自在に振り付けられるの二ってちょっと不満も感じました。もったいないよ。

ビビッドな舞台
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振り付けのタケットさん、ワトキンスさん、リアムさん
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最後は、メイスンさんが拍手の中、スキップをするように、むちゃ嬉しそうに出てきて、弾けてました。
メイスンさんとオフィリさん(右)。マリアネラさんとボネリさん
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初演は独特の雰囲気ありますね! 振り付けや美術に関わった人を舞台に出すのも初演時のみだし、ワクワク感も違います。もちろん新しい作品にはリスクも伴うのだけど、それを圧してでも新作を上演するのはステキです。今回の作品はイヴェント的要素が強いので、再演があるかは分からないけど、新しい芸術監督の人にもぜひ、新作の上演を期待します。ロイヤル・バレエには超一流のダンサーが揃ってるので、彼らのシグニチュア・ワークになるような、さらに再演を重ねるような素晴らしい作品をぜひ生み出して欲しいです。
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by zerbinetta | 2012-07-14 22:49 | バレエ | Comments(0)

星の祭典 サロネン、フィルハーモニア「惑星」 ファミリー・イヴェント   

08.07.2012 @royal festival hall

holst: the planets
joby talbot: worlds, stars, systems, infinity

paul rissmann (presenter)
esa-pekka salonen / philharmonia voices, po


イギリスでも七夕なので星祭り〜。なわけないじゃん。フィルハーモニアはサイエンス・ミュージアムとの共同企画で、ホルストの「惑星」の演奏。よくありがちな、惑星の高精細画像をスクリーンに見せつつ宇宙旅行をするのように、バックに音楽を演奏するのかと思ったら違った。まあ、それはどうでもよくて、サロネンさんの「惑星」が聴ければいいやと。それにファミリー・イヴェントなのでチケット安いし。カウフマンさんのでなくなったロイヤル・オペラのチケットを売り払ってこちらに来ました。だって、「トロイ人」あんまり好きじゃないんだもん、長いし。

今日演奏されたのは「惑星」1曲だけ。あっ違ったおまけが付いてた。前半は「惑星」の解説。子供向きかと思ったら、全然。大人でも楽しめる内容。特に楽曲分析(楽譜をスクリーンに映したり部分部分を演奏して聞かせての)は、音楽素人のわたしにはとっても知らなかったこともいっぱいあって新鮮で面白かったです。サロネンさんへのインタヴュウもあって、作曲家でもあるサロネンさんはこの曲をどう評価しているのかなって思ったら、「ベートーヴェンとか(ここのところの比喩、正確には誰の何だったか覚えていません)と同じ意味ではマスター・ピースとは言えないけど(正直)、後世に残した影響という意味では間違いなくマスター・ピース(大人)」って正直だけど大人の回答。そして、パートごとに多重録音ができる最近のポップスの音楽作りと同じような構造が見られる、当時のクラシック音楽会にはない現代的な作曲、とおっしゃっていたのには目から鱗のようなもの。

後半はいよいよ音楽。音楽会自体は、木星「喜びをもたらすもの」(の抜粋版)でいきなり始まって、それがいやに速い演奏だったんだけど、どうなるでしょう? ステージにはスクリーンがあったけど、残念ながら映像は各惑星の静止画に曲のタイトル。ううむ。これは宇宙旅行をしている気分になる動画の映像の方が良かったぞ。
今日はファミリー・イヴェントなので、演奏自体は緊張を強要する演奏ではありませんでした。演奏の質は先日、同じ楽団のガードナーさんの演奏の方が完成度が高かったです。でも、サロネンさんの「惑星」の解釈が聴けて良かったです。ちなみに木星は初っぱなの演奏ほど速くはありませんでした。最近、わたし、歳をとったせいか「惑星」は後半の土星以降が好きなんですけど、今日のサロネンさんの演奏は、その土星と海王星がとっても良かったです。天王星は、会場に子供も多かったせいか(でも大人よりもちゃんと聴いてたかも)、最弱音で終わるということはせずに、ある程度声量を保ったまま歌われました。そしてそのまま一気に、タルボットさんの新作「世界、星、システム、無限」の初演に。タルボットさんといえばわたし的には「アリス」。同じような響き、感覚。音楽の内容よりも、「アリス」の風景が目に浮かんで間違った楽しみ方だけど、目を湿らせて楽しめました。

わたしが子供だったら、こんな音楽会もっとたくさん聴きたい。もしもわたしに子供がいたら一緒に楽しみたいと心から思いました。サロネンさんとフィルハーモニアなんてほんとに贅沢よね。これが、ゲルギーとロンドン・シンフォニーだったら、きっと恐いおじさんのトラウマになるでしょう(?)失礼っ
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by zerbinetta | 2012-07-08 04:10 | フィルハーモニア | Comments(0)

music of today 'young composers academy' フィルハーモニア   

28.06.2012 @royal festival hall

david curington: nine accumulations
stef conner: arranging old silks
philip dawson: heat's contraption

unsuk chin (presenter)
david robert coleman / po


今日はこれから、音楽会があるのだけど、その前に、ときどきやっている無料の「現代の音楽」シリーズ。ウンスク・チンさんがプレゼンターで生まれたての音楽を紹介しています。演奏はフィルハーモニアのメンバー。若い作曲家にとって、ものすごく大きなチャンスのひとつでしょう。今日は、若手作曲家アカデミーの3人の作品。全て10分くらいの小品で、オーケストラは、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、クラリネット、フルート、ホルン、ハープ、打楽器がひとりずつの室内編成。トップの人は出ていませんでしたがそれでも、全員が上手いので演奏に関しては文句の付けようがありません。なので作品の質が分かりやすいです。

最初のクリングトンさんは、見た感じ普通の若者。音楽は9つの小さなフラグメントを集めた作品で、最初の方は静かで動きのない感じの曲が中心。お終いの方は細かな音が出てきたけど、わたし的には始めの方の曲の方が良かったです。曲の完成度にムラがある感じ。
コナーさんは、何だか頼りなさげな(人のこと言えるか!)可愛らしい女の子(って感じ)。曲は、彼女のが一番親しみやすかったかな。
最後のダウソンさんは、ちょっと癖のあるルックスで、歳いってる?音楽もクラリネット2本咥えとか、赤い風船(徐々に膨らまして最後つついて割る)とかものを落とすとか、特殊奏法満載。見た目面白かったけど、わたしには苦手系。

皆さんこれからの人なので、いつか新しい作品がワクワクして待たれるような作曲家になっていって欲しいと思います。
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by zerbinetta | 2012-06-28 03:12 | フィルハーモニア | Comments(1)

痛恨の微睡、もしくは至福の時 ピレシュ、ハイティンク、ロンドン交響楽団 モーツァルト、ブルックナー   

14.06.2012 @barbican hall

purcell/steven stucky: funeral music for queen mary
mozart: piano concerto no. 23
bruckner: symphony no. 7

maria joão pires (pf)
bernard haitink / lso


本当は今日はフィルハーモニアのチケットを持っていました。でも、ハイティンクさんのブルックナーをどうしても聴きたくなって、チケットをリターンしてこっちに来てしまいました。買うときもずいぶん悩んだんですが。。。
その理由は、ハイティンクさんのブルックナー交響曲第7番は前に、シカゴ・シンフォニーとの演奏を聴いて、あまりよい印象を持たなかったこと、でもロンドン・シンフォニーとの第4番は同曲のわたし一番の演奏になったこと、この間のロイヤル・コンセルトヘボウとの第5番がいまいち焦点が合わなかったことで、ハイティンクさんのブルックナーをどう捉えて良いのか、わたしの中でもやもやしてたからです。今日聴いたからといってもやもやが晴れるとは思わないんだけど、でも晴れたらいいなと、淡い期待もあって。第7番大好きだし。ピレシュさんのモーツァルトなんて至福の時だしね。

と、思っていたのに。のに。なんと、モーツァルト、うつらうつらと眠ってしまったんです。痛恨の極みだわ。全く聴いていなかったわけではありません(言い訳)。ただ音楽の心地よさに、心がとろけてしまって、夢とうつつを音楽に乗ってゆらゆらと。演奏者とモーツァルトには悪いけど、でも、こんなステキな生演奏でうっとりと眠るのって至福の贅沢ですよね(恥の上塗り)。ううう、悔しい。最近は音楽会で寝ることがないのでちょっと油断してた。モーツァルトじゃなくてブルックナーで寝るべきだったわ。だって、ちょっとくらい寝ても同じことやってるし。

ピレシュさんのモーツァルトの前には、パーセル、スタッキー編曲の「メアリー王女のための葬送音楽」が演奏されました。管楽器のための音楽です。そういえば、リハーサルで聴いた前回は、パーセルの弦楽合奏のための作品、今日は管楽器と対をなしたプログラムですね。もともとは合唱のための音楽でしょうか。管楽器のコラールがとってもきれい。でも、ジュビリーのおめでたいときにこの音楽はありかってもちらっと思った。

そのブルックナー、霧が晴れるように明快な演奏なんだけど、ハイティンクさんへのもやもや感は消えることはなかった、というか、ハイティンクさんのブルックナーが一筋縄ではいかないことが分かりました。曲によってわたしとの相性がこうも違ってくるのにびっくりしてます。
ハイティンクさんのブルックナーの第7番はとってもストレイトに美しい演奏。ロンドン・シンフォニーの音色の柔らかさも相まってとってもきれい。ではあるのだけど、とろけるようなクリーミーな音楽ではなくて、芯は固いアルデンテのような音楽なんです。大好きなカラヤンの演奏で比較すると、晩年のウィーン・フィルとの録音ではなくて、ベルリン・フィルとの録音の方。カラヤンが自分のやりたい音楽を徹底的に表現した硬質な、でも美しい演奏なんだけど、ハイティンクさんのを聴きながら、なぜかそれを思い出していました。音楽が渓流のようにさらさらと流れて、第1楽章は、息の長い歌の最初の主題こそ、普通に幅広いテンポで歌っていたんだけど、第2主題、ダンスのような第3主題は速めのテンポで、すっと流れてすがすがしい。ブルックナーの音楽を渓流に例えた時点で、頑固なブルヲタさんから見れば、なんたることってなるのでしょうが(例えるなら大河に例えられることが多いような気がする)、わたしは、ありだなって思いました。スマートでかっこいい。

第2楽章は澄み切った青空。暗さが全くなくって、静かな充足感と、速いテンポで弾かれた第2主題の美しさと慰め。重さよりかろさ。ワグナーの死に際して書き進められたワグナーチューバの4重奏から始まるコーダのところも、決して悲しみではなく、安らぎのある表現。悲しみのかけらもない。ブルックナーの音楽に悲しみなんてあり得ないんだと思った。だって、彼は深く神さまを信じているから。すでに神さまに救われている人に欠けとか悲しみなんてないのですね(キリスト教ってそういう信仰でしょ)。ブルックナーはそりゃ俗世で、諍いとか認めてもらえない辛さとかあったと思うけど、神さまの前では全てが解決されてて悲しみなんてなかったと思うし、神さまへの捧げものとして作曲していた音楽にも、悲しみが持ち込まれる余地なんてなかったに違いないって思います。そういうことをハイティンクさんの演奏を聴いて強く感じた。ただ、ハイティンクさんがそんなカトリック的な音楽をしていたからというわけではないんですけどね。多分、ハイティンクさんはより現実的に、楽譜に描かれていることを丁寧に抽出して職人的に音にしていたんだと思う。

後半の第3楽章も第4楽章も、ハイティンクさんのザッハリッヒな演奏は冴えています。余計な感情は捨てて、きわめて丁寧にしつこく、音楽の美しさを追求して引き出してる感じ。だからこそからっとすがすがしい。第4番のときはもうちょっとウェットな演奏だと思ったんですが、音楽の完成度の高い第7番は、楽譜をきちんと音にできれば十分に素晴らしい音楽になるので、小細工は必要ないんですね。確固とした意志を持って、余計な精神論を伴わない純粋な音楽を作っているのだと思います。でも、そんな硬質な解釈なのに、ロンドン・シンフォニーが柔らかな音色で応えるから、もうなんとすっきりと清々しく美しいんでしょう。ハイティンクさんとロンドン・シンフォニーのいいとこ取りをして最良の成果を出した演奏ではないでしょうか。
ただ、それをわたしが好きかどうかは別。納得しつつも、もっと好きな演奏あるかなぁなんて思ったりして。少し感情移入する隙間のある演奏が好きかな。

オーケストラはハイティンクさんを本当に敬愛しているようです。ハイティンクさんを称えるオーケストラ全員の拍手は、たっぷりと心のこもったもので、今日の音楽会で一番感動したのは、このときでした。本当に良い関係なんだ。いつまでもこの友情が続きますように。
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by zerbinetta | 2012-06-14 07:29 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

話を変えて悪の帝国作っちゃえばいいのに ヌニェス、キッシュ、ロホ パゴダの王子   

06.06.2012 @royal opera house

the prince of pagodas

benjamin britten (music)
kenneth macmillan (choreography)
barry wordsworth / oroh

marianela nuñez (princess rose), tamara rojo (princess épine)
nehemiah kish (the prince), alastair marriott (the emperor)
alexander campbell (the fool)
bennet gartside (king of north), valeri hristov (king of east)
steven mcrae (king of west), ricardo cervera (king of south), etc.

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「パゴダの王子」、同じキャストで2回目です♡チケット取ってたわたしを褒めてあげたい。
やっぱりいいの〜。結構まわりの評価はつまらないですけど、わたしはそんなことないっ!どう観てもステキな作品、第1級の作品だと思います。もっと上演されてもいい。イギリスの作曲家、イギリスの振付家、ロイヤル・バレエで初演なんだから、バレエ団のシグニチュア・ワークになってもいいくらい。今は、「アリス」があるけどさ。シェイクスピアの「ロミジュリ」もいいけど、あれは音楽がロシアだからなぁ。

感想は前に書いたとおりで、2回目に観ても大きな印象は変わらないんだけど、2回目だけあってより楽しめました!1回目だと、大まかな物語を追うので、主役を観るのに集中して舞台の細々としたところまで目が行き届かないんですね。2回目からいろいろ見えてくる。
それにしても、やっぱりタマちゃんだわ。恐すぎ。皇帝を診ようとするお医者さんをばっと止める仕草の太々しさ。きつーー。正直この舞台の唯一の欠点はタマちゃんのエピーヌがあっさり負けてしまって(そのシーンはちょっとあっけない)、舞台からいなくなってしまうこと。もっと最後までタマちゃんを観ていたいのに。タマちゃんのオーラなら、いいもんの帝国を討ち滅ぼして、最後は悪の帝国が栄えるっていう物語に書き換えてもいいくらい。ってか、そうしてタマちゃんには最後、勝ち誇った笑いで舞台を閉めて欲しい。絶対その方が合ってる。それくらいやってくれないかなぁって絶対無理。

セルヴェラさん、アレスティスさんとアンダーウッドさん。このおふたりの踊り弾けて楽しそうでした
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花束をもらって笑顔のタマちゃん(前回は小さな花束だったので怒ってました(もちろん役になりきってるのですよ))。右にキャンベルさん、フリストフさん
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投げキスをするタマちゃん
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キッシュさん
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ネラ
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by zerbinetta | 2012-06-06 09:23 | バレエ | Comments(2)

スターウォーズの時代の惑星 クライン、ガードナー、フィルハーモニア   

05.06.2012 @royal festival hall

walton: crown imperial
elgar: cello concerto
holst: the planets

natalie clein (vc)
edward gardner / philharmonia voices, po


フィルハーモニアによる、ジュビリー音楽会。イギリス音楽の特集です。指揮はイングリッシュ・ナショナル・オペラのガードナーさん。外見やんちゃ小僧。わたしはジュビリーにちっとも興味がなくって、わざわざ見に行っても人ごみだし寒いしって行かなかったし、家にテレビもないので(ネットも遅すぎて動画を見るのはストレス・フル)、何をやってるのかちっとも分からないんだけど、まぁ、この音楽会に行けばちょっとはジュビリー参加の言い訳が出来ていいかって。そんなことどうでもいいんだけど。

まっでも、ジュビリーだから始まりはおめでたいウォルトンの戴冠行進曲。豆知識だと(ググっただけですが)、1937年のジョージ6世という人の戴冠式に際して作られた曲みたいですね(あとで改訂)。ジョージ6世さんは今のエリザベス女王のお父さんです。さらには映画「国王のスピーチ」の主人公。と、音楽に関係ないうんちくでした〜〜。
音楽は静かな感じで(大きな音は出ていたのだけど)、華々しさよりも音楽の良さを聞かせようという感じでした。勢いで演っちゃうんじゃなくて丁寧にきちんと音楽を作っていたと思います。ジュビリーとはいえども音楽会ですからね。耳の肥えた聴衆にはちゃんと音楽聴かせなきゃ納得しないもの。

エルガーのチェロ協奏曲は大好きな曲。なんだかもの悲しくて、祝典の雰囲気はないんだけど、良い曲です。雨の日の午後に聴いていたい曲。チェロは若いナタリー・クラインさん。何回か聴くチャンスはあったんだけど、何故かご縁がなく初めて聴きます。まずびっくりしたのが、ものすごい美人さん。NHK教育テレビの番組の司会者をするタレントさんみたい。その彼女の音楽は完全な没入系。音楽の中のどっぷりと浸かって、表情豊かに演奏していきます。もちろん優れた音楽家さんなので、もうひとりの客観的な自分はいるのでしょうが、それをお客さんに見せることはない感じです。
音は柔らかで繊細な美音。オーケストラはそれに合わせて、控え目に伴奏を付けていくのだけど、強奏ではソロが埋もれてしまう場面も。彼女とっても上手いし、歌い方もすごくいいんだけど、音量が足りないの。この人は、大きなオーケストラと対峙する協奏曲ではなく、室内楽、特にロマン派の歌のある音楽に向いてるんじゃないかって思いました。今度はぜひ、ウィグモアホールとか小さな会場でしっとりと彼女の演奏を聴いてみたいです。
アンコールのカザルスの「鳥の歌」は、大ホールで演るにはちょっと繊細すぎたかな。没入系なのに、ちょっと表面をなぞっただけな感じが気になりました。この曲に込められている哀しさがあまり感じられなかったです。

惑星は。むふふ。いやぁ〜スペクタクル。火星はかなり速いテンポでびしびし来るんですけど、この格好の良さは、スターウォーズ!もう宇宙船が光線を打ちまくるスピーディーな爽快感。わたしたちの想像する宇宙戦争にぴったり。わたしはこの演奏大好きだけれども、そしてわたしたちの(時代の)求める演奏はこれでいいと思うけど、でもね、ふと、考えもしたの。占星術に基づいて書かれたこの音楽。ホルストはどんな音を想像してただろう?って。ホルストがこの音楽を書いた頃は、ちょうど第1時世界大戦が始まるか始まらないかの頃。その頃の戦争は、歩兵が主役で、飛行機もないし今みたいな戦車もない(どちらも第1次世界大戦から導入されたようですけど、まだ性能が低かったので主役ではなかったみたいです)。宇宙戦争だってタコみたいな火星人が攻めてくる感じだし。だとすると「戦争をもたらすもの」と題されたこの曲の戦争ってもっとゆっくりとして牧歌的じゃなかったのかしら。少しゆっくりと朴訥に演奏するのが本来の姿なんじゃないかって。とか思って、調べたら、この曲ホルストの自作自演の録音が残ってるのね。聴いてみたらびっくり。速い!かっこいい!なぁんだ。ホルストもスターウォーズ世代か。ってかめちゃかっこいいぞ!これ。(オーケストラ(ロンドン・シンフォニー)もめちゃ上手いです。もし聴きたければ、ホルスト、自作自演でググってみてくださいね。無料の音源が見つかります)

ガードナーさんの演奏は、まさにそのかっこいいホルストの自作自演をさらに現代的にスマートにかっこよくした感じ。火星の最後は、大リタルダンドをかけて重々しく閉じたかと思うと、きらきらと幻想的な金星。なんて美しいこと。ガードナーさんはそれぞれの曲の特徴を良く引き出して、艶やかにスマートに演奏します。木星の有名な中間部も感情に溺れることなくさらりと、でもしっかりと歌いきって、さらさらしているのにしっかりとコクのあるベルギーの修道院ビールみたいな味わい。
大好きな土星も渋さがかっこよさになっていて、こんな年の取り方をしたいな、ステキな老境だろうなって思わされました。それにしても、ときに全部聴くのは退屈になることもあるこの曲を、最後まで集中して聴けました。演奏はほんとにステキでした。ガードナーさん、やっぱ才能のある人だなぁ。イングリッシュ・ナショナル・オペラだけじゃなくてどこかの優秀なオーケストラの指揮者になればいいのに(バーミンガム市交響楽団の主席客演指揮者ではあるんですね)。

なんと!アンコール(普段の演奏会ではありません)。予想大的中。エルガーの「威風堂々」。そりゃ、ジュビリーですもの。これがなくちゃ終われない。そんなお祭り的な音楽だけど、ガードナーさんは、とってもきちんと、音楽的にこれを聴かせてくれたのでした。イギリス人がうらやましくなりました。こんなステキな音楽を自分の国にもっていてみんなで分かち合えるんですから。日本には残念ながらないよね。

クラインさんとガードナーさん
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by zerbinetta | 2012-06-05 08:17 | フィルハーモニア | Comments(0)