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トランペット吹きはマックもできなければ   

24.05.2011 @queen elisabeth hall

arvo pärt: fratres
joanna macgregor: lost highway, gospel and blues from the deep south
arve henriksen/helge sunde: four pieces from cartography
james macmillan: piano concerto no. 2

arve henriksen (tp)
joanna macgregor (pf) / britten sinfonia


現代音楽を演奏する演奏家って、ときどき予想外に大変。以前に弦楽四重奏の人が水の入ったホラ貝を回してぴちゃぴちゃと水の音のする音楽を奏でていたし(とはいえ、ずうっとホラ貝を回すだけなので弦楽四重奏団じゃなくてもいいのかも。専門のホラ貝奏者がいればいいんだけど、ホラ貝回すだけじゃ食べていけないよね)、今日はトランペット奏者がマックのコンピューターをいじりながら吹いていました。

今日の音楽会はジョアンナ・マグレガーさんとブリテン・シンフォニアの音楽会。マグレガーさんは去年、ゲルギーとロンドン・シンフォニーでメシアンを弾いたとき、うひゃ〜〜かっこいい〜〜ステキ〜って思って、ちゃんと聴かなければと思った人なのです。去年、シティ・オヴ・ロンドン・フェスティヴァルでも弾いたのですが、のんきに構えてたら当日チケットが売り切れちゃってて聴けなかったんです。なので今日は楽しみにしていました。バッハを弾くのよね、ってるんるんしながら会場に着いてプログラムを買うと、全然別の思ってもみなかった曲。全く勘違いしてたのでした。まあいいや。全てが現代曲。なのに、クイーン・エリザベス・ホールはほぼ満員。誰が人気があるのでしょう。

始まりはペルトのフラトレス。美しい曲です。一時期わたしもペルトにはまったなぁ。ステージにピアノはでんとあるけれども、弦楽器(と打楽器ひとり)の静謐な音楽。ブリテン・シンフォニアは初めて聴くけど、結構上手いですね〜。少人数の室内アンサンブル。少し堅めの音色で、濁りのない澄み切った世界を表出していました。
2曲目からマグレガーさん登場。自身のロスト・ハイウェイという曲です。副題通り、ゴスペルとブルースを編曲した音楽。そして、トランペットのヘンリクセンさんも参加。ステージの右手にはマックブックが置いてあって、マイクが2本立っていたのだけど、トランペットはそのマイクに向かって吹くんです。マイクを通した音をコンピューターで加工してスピーカーから会場に届けるという趣向です。特殊な吹き方もしてるんでしょうが、息が漏れるフルートのような(むしろ尺八)音色になったり、靄がかかったり面白かったんですけど、たまにはマイクではなく会場に向かって吹いて欲しいと思いました。マグレガーさんの好みなのかなと思ったんですが、あとで聴いたヘンリクセンさんの曲もそんな趣向だったし、この曲は違う編成のオリジナル曲をヘンリクセンさんのアドヴァイスの元、今日のように編曲しているので、マックをいじりながらトランペットを吹くというのはヘンリクセンさんの得意技なんでしょう。先にも書いたとおり、わたしとしてはこればっかりじゃなくて、トランペットの直接音も聞きたかったです。
マグレガーさんの曲は、なんだか懐かしい感じの、原点を思い出させるような音楽です。マイクを通して加工した音(ときにはピアノの音や弦楽オーケストラの音も加工しています)が、輪郭をぼかしたソフトフォーカスみたいな感じになって、膜を通して脳みそに届くような感じで、それがなんだか、過去のもう手の届かない思い出のような音に感じたのかも知れません。♪い〜つくしみ深〜き〜、わ〜が君イェスよ〜♪のメロディが聞こえたときわたしも、思春期の頃、教会に通っていたのを思い出しました。思い出は誰でも美しい。でも、もう永遠にないもの。消えていく音と同じですね。

休憩の後はヘンリクセンさんの曲。彼はクラシックの奏者というより、ジャズ、フュージョン系を中心としていろんなスタイルの音楽を演奏しているのですね。静かな心安まる音楽でしたが、わたしにはちょっぴり退屈でした。眠くなっちゃった。というかそういう音楽なのかも知れません。お休みなさいの音楽。
もうひとつは、マクミランさんのピアノ協奏曲第2番。マクミランさんの音楽はときどき好き、ときどき苦手、という感じで聴いているのだけど(マクミランさんの曲、ご当地イギリスでは結構よく演奏されます)、今日のは圧倒的に良かった。さすが、職業作曲家って思っちゃった。やっぱり演奏家が作ってる音楽よりも専門の作曲家が作ってる音楽だけに、説得力が違いました。マクミランさんの音楽としては分かりやすい系(基本的に彼の音楽は分かりやすいのですが、ちょっと小難しいのになると何言ってるんだか分からなくなります)。これは良い曲でした。ピアニストは小太鼓も(手で)叩きます。面白い面白い。

アンコールにはまたヘンリクセンさんが出てきて静かな音楽。
でも、今日の音楽会はやっぱり、マグレガーさんでしょう。年齢不詳というかとても若く見える51歳。やっぱりめちゃかっこいい。なんかすごい特別なオーラみたいなものを持った人なのよね。最近わたしが、かっこいいと憧れてる女性は、マグレガーさんとロイヤル・バレエの総帥モニカ・メイソンさん。わたしもできたら、あんなかっこいい人になりたかったな。ぼーっとした豆電球のような人じゃなくて。。。どうすればなれるんだろう。ごまめの高望み?
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by zerbinetta | 2011-05-24 08:14 | イギリスのオーケストラ | Comments(2)

悩んだ末に   

19.03.2011 @barbican hall

rachmaninov: the bells
walton: symphony no. 1

viktoria yastrebova (sp)
frank lopardo (tn)
vladimir vaneev (br)
semyon bychkov / bbc sc, bbcso


実は今日、サウスバンクであるわたしの応援するオーケストラ、ロンドン・フィルハーモニックの音楽会のチケットも持っていました。というか、そちらに行くつもりでシーズンが始まる前にチケットは取ってあったのでした。そのときも悩んだんだけど、バービカンで同日あるBBCシンフォニーの音楽会も捨てがたい。ロンドン・フィルの方は確か、ユロフスキさんのチャイコフスキー。BBCはラフマニノフの鐘。ううむ。でまた再び悩んだ末に、ロンドン・シンフォニーのチケットを2つリファンドして(MTTが来ることになっていたのが変わったのでいいやと思って。でも、ひとつ目の音楽会のレビュウを見てあっしまった、と。とっても良かったらしい)、今日のBBCシンフォニーに振り替えてもらいました。

ラフマニノフの鐘は、録音も含めて初めて聴く曲です。3人の独唱と合唱、大きなオーケストラによる4楽章からなる交響曲のような作品です。指揮は、これまた初めての、年末に聴きそびれたロイヤル・オペラでのタンホイザー、とここまで書いたところで、あれ待てよ、前に聴いたローエングリーンは確かこの人が指揮したんじゃないかしら、と自分のブログを紐解くと、ありゃりゃ、聴いてる、というわけでビシュコフさん2度目です。
音楽は第1楽章の銀のソリの鐘をテナーが、第2楽章の甘美な結婚式の鐘をソプラノが、第4楽章の追悼の鉄の鐘をバリトンの独唱がそれぞれ歌います。第3楽章のけたたましい警報ベルだけ、独唱が入らず合唱とオーケストラのみです。とても大きなオーケストラで大人数の合唱。鐘の音を模倣するオーケストラが面白い、うんと迫力のある曲です。ラフマニノフの代名詞、とろけるような叙情性は控え目なんだけど、でもやっぱりソプラノ独唱が入る緩徐楽章は、ラフマニノフ満載です。
重厚で、音楽会のメインにぴったりのこの曲を(でもプログラム前半)BBCシンフォニーは、そのまま重厚に演奏しました。BBCシンフォニーは音色が重いので(リズムが悪いとかじゃないです。っていうか、ビシュコフさんとBBCシンフォニーはリズム切れ切れ)、こういう曲はぴったりですね。ビシュコフさんはきっちり指揮して、しっかりとオーケストラを従わせるタイプの指揮者ではないかと思いました。歌手は3人とも良かったです。ロパルドさんは、メトで何回か観ているハズなんですがすっかりお顔を忘れていました。バリトンのヴァネーエフさんは、ロシアらしい太いバリトン。そして、ソプラノのヤストレボワさん。この方もロシア(マリインスキー劇場)出身だけど、プロフィールの経歴から推測するとめちゃ若い。そして美人。この人、第2のネトレプコさんになれるかな。それにしてもマリインスキー劇場ってどんどんすごい歌手輩出してくるな。なんだか凄い。

休憩の後はウォルトンの交響曲第1番。滅多に演奏されることがなさそうな曲なのに、聴くの2回目。イギリスの作曲家だからかな。前に聴いた、ヴァンスカさんとLPOのは、シベリウスっぽさが強く感じられたんだkど、今日はなんだか、心を紙ヤスリでざらざらと削られていくような感じの苦汁の音楽。この曲って戦争に関係あったかしら。そんな思いを抱かせられる耳あたりの悪い音楽。ビシュコフさんは外面のかっこよさには目をくれず、現代的な響きで、音楽の真相をえぐっていきます。耳にするのが苦痛になるほど。容赦ない。わたしは苦しくて、途中で逃げ出したい気持ちでした。でも、これは決して演奏が悪かったということではないんです。むしろ良かった。楽譜に書かれたひとつの真実を紛うことなく音にしてしまったんですから。現代音楽を弾き慣れてるBBCシンフォニーの良さが上手くいかされてましたね。複雑なテクスチュアがきれいに分離していたし、リズムもきっちりと切れていて、縦の線がしっかり揃っていました。第2楽章のスケルツォも攻撃的で、殺伐とした感じだし、第3楽章も荒涼として救いがない。唯一第4楽章が前向きの音楽なんだけど手放しで歓びを解放するという感じではなく、苦しみの勝利という感じ。わたしは、この音楽を聴いて、東北大震災を思い浮かべてしまいました。もちろん、ビシュコフさんはそれを想いに入れて演奏したとは思わないし、聴いているわたしの問題であるのは間違いないんだけど、試練のときというのは、人が生きていく上で必ず訪れるものなんだ、そこからの勝利は決して開放的ではなく、苦汁を口に含んだままの勝利もあるんだって思ったのです。音楽って癒しとか慰めとかそんな作用ばかりが強調されるけど、苦渋の音が心を沈めてしまうこともあるし、上へも下へも心を揺さぶってしまうものなんですね。甘いチョコ食べて気持ちを戻さなきゃ。

ヤストレボワさんとヴァネーエフさん
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ビシュコフさん
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by zerbinetta | 2011-03-19 09:39 | BBCシンフォニー | Comments(0)

偉大な音楽家の思い出 ある日カエルが頭に落ちてきて   

4.11.2010 @royal festival hall

handel: music for the royal fireworks, 'how beautiful are the feet' from messiah,
'let the bright seraphim' from samson
mhairi lawson (sp),
steven devine (hs) / oae

dvořák: symphony no. 7
mozart: sinfonia concertante
janáček / macherras: suite, the cunning little vixen*
janáček: final scene from the cunning little vixen*
julian rachlin (vn), lawrence power (va),
sir thomas allen (br), sebastian cox (tr),
tomáš netopil, alexander briger* /po


友達がチケットをくれたので音楽会に行ってきました。今日の音楽会は行く予定にはなかったんです。フィルハーモニアの音楽会でマッケラスさんが振る予定だったのですが、亡くなられてしまったので誰がなんの曲を演るのかチケットを売り出した時点では分からなかったので、チケット取らなかったんです。で、友達が行けなくなったのでわたしが行くことになったのだけど、何を演るのかしらと思って、チェックしたら、チャールズ・マッケラスさんの追悼コンサートになっていました。そしていつもの7時半始まりではなく7時始まり。チェックして良かった。今日の仕事は長くかかる予定だったので、朝早くから来てなんとか片付けました。

なんと今日の音楽会は、ふたつのオーケストラの音楽会だったのです。始めはOAE。OAEもマッケラスさんとは深い関係にあったんですね。今日のプレゼンターのアンソニー・アンドリューズさんが、今日の音楽会のこと、チャールズのことなど、少し話してメモリアル・コンサートが始まったのです。今日はそんな特別な音楽会だからか、オーケストラの人たちから、会場からなんだかあたたかな雰囲気が感じられました。ヘンデルはチャールズ(わたしも故人に親しみを込めてこう呼びます)の大好きな音楽だったそうです。わたしがチャールズを知ったのは、モーツァルトのCD(か多分、ラジオで聴いて凄く良くてCDを買ったんだと思います)。記憶が曖昧なのですが、プラハ室内オーケストラを振った演奏は、現代オーケストラに古楽器スタイルの良いところを採り入れた、とっても溌剌としてステキな演奏。実演ではロンドンに来てから、オペラとコンサートで2回ずつ聴いてます。ずいぶんとおじいちゃんだったけど、笑顔がとってもステキで、音楽は若々しく溌剌としていて、老熟した音楽なのにちっとも老いを感じさせないものでした。そんなことなどが心に浮かび上がってきて始めからちょっぴり目が潤んじゃった。

フィルハーモニアの方は、チェコの若い指揮者、トマーシュ・ネトピルさんがドヴォルジャークの交響曲第7番とモーツァルトのシンフォニア・コンチェルタンテ。モーツァルトの方は、もともとチャールズが振る予定だった今日の音楽会の曲目。そして、ドヴォルジャークは、若き日のチャールズがロンドンのカフェでスコアを勉強していたら、ドヴォルジャークを勉強するならチェコのターリヒに学ぶといいと言われて、チェコに行くきっかけになった、そしてその後チェコの音楽の大家といわれるきっかけになった記念すべき曲。ドヴォルジャークの演奏は正直始めあまりよく分かりませんでした。ぼーっとしてた。でも、第3楽章以降は、はっとして、ううむ、これが若手の有望株のひとりといわれる所以かって思えた。でも、もっと良かったのがモーツァルト。ソリストのおふたりが出てきたとき、うわっ、今日は濃そう、ピンクのモーツァルトがいいのになって思っちゃったけど、あに図らんやもの凄くもの凄くステキだったんです。ルックスは濃いめの兄ちゃんたちのソロも確かに音楽も濃いめだったかもしれないけどうんと良くて、ふたりの掛け合いがモーツァルトが意図したように対話していて愉しかったんですが、ネトピルさんのオーケストラもこれがもううっとりするほどモーツァルト。この人のモーツァルトはいいっ。若手ナンバー・ワンモーツァルト指揮者の称号を勝手に与えたいっ。

音楽会のお終いは、チャールズがもっとも愛した音楽、ヤナーチェクのオペラ、利口な女狐。マッケラスさんがアレンジしたオーケストラの組曲版と最後のシーン。指揮をするのは、チャールズの甥の指揮者、アレクサンダー・ブリガーさん。わたしは幸せなことに、この春、チャールズの指揮で利口な女狐を観てるんです。もうこれがとっても感動するオペラで、そのときの思いがよみがえってきて、オーケストラの音楽だけでも感動できました。そして、最後の場面の前にブリガーさんからコメントが。パブ(だったかな?)でふたりでワインを飲んだとき、チャールズは自分が死んだときはこの曲を演奏して欲しいと言ったそう。作曲したヤナーチェクも同じことを言ってますね。生まれてから死に向かう短い直線のような人の生、それに対して生まれて死んでまた再生して循環していく自然。限られた時を思い出のうちに語る老人。夢には自分が捕まえたビストロウシュカの子供たち。そして額に落ちたカエル。本当にこの最後の場面では自然の中の人間の生を考えさせられます。そして人もいつか自然の循環の中に還っていく。チャールズが望んだ、チャールズのメモリアル・コンサートに最もふさわしい音楽でした。

でも、音楽会はここで終わらなかったのです。アンコールに曲名は分からないのだけど、賑やかなポルカみたいな音楽。なんだか、チャールズのあの笑顔が思い出されてステキでした。今日のチャールズの思い出満載のプログラムの冊子もとってもステキなものでした。チャールズの笑顔はあたたかく心に刻まれるでしょう。
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by zerbinetta | 2010-11-04 08:39 | フィルハーモニア | Comments(0)

好きになりたい   

28.10.2010 @barbican hall

britten: four sea interludes
stravinsky: violin concerto
bartók: concerto for orchestra
viktoria mullova (vn),
kristjan järvi / lso


クリビー(クリスチャン・ヤルヴィさん)のことはお気に入りリストに入っているので聴きに来ました、ロンドン・シンフォニー。オケコン聴きたかったしね。と、珍しく略して書いてみましたが、バルトークのオーケストラのための協奏曲。去年、体調不良でサロネンさんのを聴き逃したやつです。話ついでに順番は違うけどまずこの曲について書きましょう。一言で言うとオーケストラの上手さをまざまざと見せつけられた、聴かせつけられた演奏でした。管楽器のソロ(ソリ)はもうどのパートもむちゃ上手い。上手すぎ。特に今日はハープが耳に残りました。って、ハープって上手いってあまり思ったことないんだけど(目立たない?)、びっくりしました。さて、オーケストラのための協奏曲ってオーケストラを楽しむヴィルトゥオーゾ風に演奏することもできるし、故国への郷愁の思いを込めた哀しい音楽のように演奏することができると思うんです。で、クリビーの音楽はどちらでもなかったの〜〜。なんというか、物静か。トランクイロという言葉がぴったりの空の雲の形まで反映する湖面のような。ちょっと不思議な感覚。でも、面白くなかったと言われればそうでもなく、最初に書いたようにオーケストラの冴えは見事だし、クリスタルのようにきらきらと輝いて、第4楽章のメランコリックな旋律は恋愛映画の一シーンを観ているような気持ちにさせてくれるし。ただ、クリビーの音楽ってもっとのめり込むようなとこあったんだけどな、って思って、今日は踊り控え目だし、誰かに指揮台で踊るの止しなさいよとか言われたのかしら、なんて思ってみたり、でも最終楽章はやっぱりノリノリで踊っていた。お隣の家族はずいぶん興奮してたから演奏は良かったんじゃないかしら。あっわたしもそんなにネガティヴな気持ちじゃないんです、ただ、不思議なものを聴いた感じで虚を突かれたみたい。

クリビーって怖い顔って言われるけどそう?
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始まりのブリテンの4つの海の間奏曲はロンドンではわりとよく演奏される曲目。心とろけるような和音の木管楽器のアルペジオはとってもきれい。このアルペジオをクリビーは多分楽譜のリズムの通りアクセントをつけて吹かせたんです。その結果、シンコペイションが生きて、リズミカルに聞こえました。クリビーは、リズムをきちんと強調したかったんですね。雰囲気に流しちゃう演奏が多い中でこれは新鮮で面白かった。でも、今日のクリビーはなんか控え目。もっとノリノリのクリビーが好きなのにな。

さて、鬼門はムローヴァさん。相性がとっても悪いんです。客観的に見て彼女がすばらしいヴァイオリニストであることは分かります。CDなんかの評価もむちゃ高いし。でも、ダメなんですよ、わたしには。そんなヴァイオリニストには、他に、生で聴くクレーメルさん(CDでは大好きなんです)がいます。指揮者だったら、以前ラトルさんがダメでした(今は好きです)。どうしてなんでしょう。もうホントに相性が悪いとしか言いようがない。ラトルさんのように、突然気が変わって好きになるかと期待はしたんですが今日もダメでした。もう少し待ちましょう。
曲は、プロコフィエフなのに意外と小編成でやるんだって思っていたら、始まったらストラヴィンスキーだった。びっくり。ムローヴァさんは譜面を見ながら弾くのだけど、これはソリストとしては異例。でも、去年のブラームスのとき(指揮は奇遇、兄のパヴォビーでした)も譜面を見ていたので、ムローヴァさんはそういうスタイルで弾くことにしたのでしょう。ムローヴァさんの演奏はもの凄く機械的。と言うとなんだか貶しているようだけど、本当は全然違って、この曲ってそういう音楽だと思うんです。擬古典スタイルで書かれているので、感情があまりはいる余地はないし、ストラヴィンスキー自身も感情的な音楽を書く人ではなかったし。でも、第3楽章に出てくる、重音の下の方のバッハを思わせるコラール風のメロディの歌わせ方はとっても良かったな。それから、ムローヴァさん音色が多彩。こんなにステキなヴァイオリニストさんなのに相性悪いなんてもったいない。いつか好きになる日が来ればいいな。

ムローヴァさん 赤と黒の衣装がステキでした
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by zerbinetta | 2010-10-28 19:58 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

まずはお誕生日おめでとう 言いたいこといっぱいあるけど   

wagner: the flying dutchman, overture
stephen mcneff: concertO-duo for two percussion
kaija saariaho: d'om le vrai sens for clarinet and orchestra
stravinsky: the rite of spring
o duo (perc), kari krikku (cl), peter sellars (dir),
david robertson / bbc so @barbican hall


今日はBBCシンフォニーの80年のお誕生日です。80年前の今日、初めて音楽会が行われました。おめでとう。みんなでハッピー・バースデイを歌いました。わたしの声も入ってます。ラジオで聴いてみてね。
その音楽会、ワグナーのさまよえるオランダ人序曲で始まりました。なぜさまよえるかというと、この曲、最初の音楽会で採り上げられたからだそうです。指揮者は主席客演指揮者のデイヴィッド・ロバートソンさん。この人、アンサンブル・アンテル・コンタンポランの指揮者の経験のある現代音楽、得意な人です。現代音楽をレパートリーの大きな柱のひとつとしているBBCシンフォニーにはうってつけの指揮者ではないでしょうか。オランダ人序曲はゆったりするところを思いっきりゆっくりと演奏して、ちょっぴり間延びする部分もあったんですが、なかなか良い演奏でした。
今日の音楽会は、7時始まりで、BBCラジオで中継されるのかなぁって思ったら、いつものように司会者が出てこなかったのであれれと思っていたのですが、ここで司会者登場。来週の水曜日に放送されるようです(そのあとiPlayerでオンデマンド)。今日はお誕生日会なので、ここで、過去の指揮者の短いフィルム。パート1は1935年のボールトから1968年のブーレーズさんまで6人。ステージの上のオーケストラの人たちと一緒に観ました。BBCシンフォニーって昔から上手だったんですね。ブーレーズさんのときのは、その頃開発されたのであろう、最新鋭の映像の切り替え技術を自慢げに採り入れてるんだけど、今観るとかえって古めかしさを感じさせますね〜〜。これ、ここで観られますよ。

左側の人が好き
BBCシンフォニーの特徴は音楽会に現代の作品、委嘱作品の初演が多いということです。1日をつぶした(BBCシンフォニーが全日出演しているわけではありませんが)、ひとりの作曲家に焦点を当てた企画が年3回ありますし、今シーズン初演される(英国初演を含む)作品は10曲もあるんです。予算がしっかりしている放送局のオーケストラゆえでもあるのでしょうが、音楽の世界をリードしている姿勢が大好きです。もちろん、お誕生日のこの日、そのBBCシンフォニーらしく2つの作品が初演されます(クラリネットとの作品の方は英国初演ですが、どちらもBBCが委嘱した作品です)。ひとつ目はステファン・マクネフさんのふたりのパーカッションとオーケストラのための作品。曲名から分かるように今日のソリスト、オー・デュオのために書かれています。オー・デュオは若いふたりのパーカッショニスト、オリヴァー・コックスさんとオウェン・グネルさんのデュオ。ちょっとやんちゃ系の粋なあんちゃん(死語?)。わたしは左側の人がちょっとかっこいいなと思いました。音楽が始まってもソリストは登場せず、おややと思っていると、いきなり両ステージ袖から舞台に駆け上がってきて、バン。音楽を止めました。今日初演された2曲とも、舞台的要素が入った音楽でした。指揮台の左右に振り分けられたたくさんの打楽器を叩くんですが、ささっと移動して右側でふたりで叩いたり、わざと指揮者の前を駆け抜けて移動したり。打楽器って、ホント楽しそう、そして忙しそう。でも、いろんな楽器を叩けないといけないから大変そうです。とても面白い音楽だと思ったけど、実はよく聴いていませんでした。ずうっと打楽器を見つめて。耳に入ってくる音は打楽器の音ばかり。でも、楽しかったからいいや。音楽はネットで聴き直そう。終演後は会場にいらした作曲者もステージの上に呼び出されて拍手を受けてたけど、マクネフさんはごつい感じの人でした。休憩時間、ホワイエで、友達と談笑するオー・デュオのおふたり。意外と背が低かった(ちびのわたしが言うのもなんですが)。わたしと釣り合うんじゃない?なぁんて。

悶絶の超絶技巧
休憩の後はサーリアホさんのクラリネットとオーケストラのための音楽。タイトルは、フランスの中世の有名なタペストリー、貴婦人とユニコーンにちなんで。音楽もそれに合わせた6つの部分からなっています。わたし、これ観に行ったことあるんですよ。職業柄、ちょっと興味があったので。寓意に色取られた大きな、ステキなタペストリーでした。でも、音楽からそれを読み取ることはわたしにはできず、さっきプログラムを読んで初めて気がついたのでした。
この曲も音楽が始まってもソリストはステージにおらず。しばらくしてクラリネットの音が聞こえてきたのは会場の後ろの方からでした。クラリネットのソロ、特殊奏法満載で、と言ってもクラリネットとしての楽器を逸脱したものではないですが、もの凄く難しいと思うのだけど、カリー・クリックーさん、完璧。舌を巻くような超絶技巧の持ち主。っていうかもう神業。音量ゼロからのクレッシェンドも凄かったし、こういう人、ホントにいるんですね。今まで聴いた人では、この人と、あとトロンボーンのリンドバーグさん。奇遇、どちらもフィンランドの方ですね。
音楽の方は、クリックーさんが会場を歩き吹きしながら登場して、ベルをいろんな方向に向けたり回ったり、小さなパフォーマンス付き、ステージに上がっても、座ったり、奥の方で吹いたり、あっ一番奥にはスクリーンがあってそこには色が投影されていました。ステージはピーター・セラーズさんの演出によるもの。この曲も、クラリネットの凄さに悶絶しながらクラリネットばかり聴いていたので全体像がつかめていないんだけど、とってもいい曲だと思いました。ソロ・クラリネットとオーケストラの中のクラリネットの絡ませ方もとってもステキでした。これは最近流行のネオロマンティシズムではない、でもちょっぴり調性のスパイスの効いた正統派(?)現代音楽。これも、ネットで聴き直してみたいけど、会場を立体的に使った作品なので、上手く再現できるかしら。最後はクリックーさんがヴァイオリンの人たちを引き連れてステージを降りていくのだけど(ヴァイオリンの人たちは弾きながら会場に散らばる)、あっハーメルンの笛吹って思っちゃった。終わったあとは作曲者のサーリアホさん(女性の方だったんですね)と、後ろにラフな恰好でヘンな髪型の人って思ったら、演出のセラーズさん、が呼び出されて拍手を受けていました。

アスリートの春の祭典
この後、またフィルム。歴代指揮者のパート2。ルドルフ・ケンペさんから現主席のビエロフラーヴェクさんまで。こちらはカラーです。こうして年代順に指揮者を並べて見ると、指揮法も進化しているのがよく分かります。よりスマートになってる感じ。
最後は春の祭典。この曲のBBCシンフォニーでの初演は1931年の1月。オーケストラができた数ヶ月後ですからずいぶんと早い時期ですね。指揮者はエルネスト・アンセルメ。当時はどんな演奏だったんでしょうか。今日は、現代音楽得意なロバートソンさん(ブーレーズさんのお弟子さん)。ジャケットなしの黒いシャツスタイルで、颯爽と指揮していきます。踊るように、滑るように、スピーディーに。これがめちゃくちゃはまって、結構バーバリズム全開の分析的ではない混沌タイプなのにリズムが切れていて、聴いてるわたしまでカラダが動いてくる。運動性抜群のスポーティーな舞踏の音楽。これは良いですね。今日のオーケストラは弦楽器がとっても良くて、ざくざくとリズムが刻まれて爽快。反面、オーケストラの下の方の席で聴いたせいか、木管楽器が弦楽器に隠れちゃうところがありました。多分木管楽器を見通せるような席で聴いたら印象は変わるのでしょうけど。演奏後のロバートソンさんは終始にこやか。袖に引っ込むときも駆け足。若い若いってホントにまだ50代はじめなんだけど。オーケストラを讃えるときも、オーケストラの中から奏者を立たせたり、舞台の隅で挨拶したり、最後はリーダーの人と耳打ちして、鳴りやまない拍手の中、オーケストラを解散させました。7時に始まった音楽会もすでに10時過ぎ。充実したお誕生日音楽会になりました。
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by zerbinetta | 2010-10-22 19:09 | BBCシンフォニー | Comments(1)

闘いはたのしくハードに   

berlioz: overture, benvento cellini
elgar: cello concerto
strauss: ein heldenleben
alban gerhardt (vc),
david zinman / lpo @royal festival hall


連続ロンドン・フィル。今日の音楽会も何を演るのか分かっていませんでした。ソリストの変更があったこともあとから会場のポスターで知る始末。そんなこんなで切符があるので来てみたコンサートでも(チケットを買ったときは若干ハイになってたとは言え聴きたかったのには間違いないので)、実はとっても良かったです。デヴィッド・ジンマンさん初めて聴くし。
ジンマンさんの演奏はCDでは聴いたことがあるんです。でも、実演ではまだ。元我がメリーランドのボルティモア・シンフォニーの音楽監督をされてたのに〜。ってかわたしがいた頃はちょうどテルミカーノフさんに交代したときだけど。あっでもなんと、ボルチモア・シンフォニーもまだ聴いたことないんですけど。

ベルリオーズのベンヴェント・チェリーニの序曲。始まったとたんびっくりしてしまいました。なんと重い低弦の音。ジンマンさん、オーケストラの音を変えてしまいました。わたしには、この音や演奏、少し重たすぎるように思えましたが、でも、オーケストラの音をここまで自在に操れるなんてジンマンさん凄い。最近、CDでも好調との噂。噂に違わぬ人です。こういう人大好き。ロンドン・フィルと言えば弦、と言われるオーケストラですが、今日のロンドン・フィルの弦楽セクションは抜群に冴えてました。

エルガーのチェロ協奏曲はわたしの大好きなチェロ協奏曲。雰囲気がとってもいいのです。雨の日の古い図書館。本の匂いがして、音は消え、時間が止まる。でも世界中に、過去でも未来でもどこにでも心をとばせる場所。ゆっくりとひとり静かに本を読むように、静かに音楽に心を傾けます。チェロの音ってなんだかセピア色の古い本の背表紙みたい。第3楽章の溌剌とした音楽も、雨に打たれた窓ガラスを通してみるようで、そんなモノトーンな世界が、英国の初冬の悲しげな憂いを青空の中にも含んでいる感覚にぴったり。チェロを弾いたのは、アルバン・ゲルハルトさん。どこかでお名前を見たことがあると思ったら、来年アリーナとシューベルトのトリオを弾く人でした。結構若い人。ときどき、きゅっと高い音が混じるのが気になると言えば気になったけど、音楽はとっても良かった。音色もわたしの好きな音。そしてちょっぴりイケメン(多分)。

英雄の生涯はこれはもう見事な演奏でした。とってもわくわくした。生涯と言ってもこの曲、作曲者30代半ばの作品。まだ、サロメもバラの騎士もアリアドネも書いていない若者の音楽。老練な音楽ではなくて、若者らしいストレイトな希望に満ちた音楽。だったら、批評家との闘いもたのしくハードに明るいテロを(@DEEP)、勝利の悦びも明るく輝かしく。ジンマンさんの音楽はそんな音楽でした。リズムは切れまくり、溌剌と、音が奔流となって流れてきます。なんと、心地の良いことか。この曲ってホントにかっこいい。ということをかっこつけないできちんと表現できるのってかっこいい。ストーリーは陳腐でも痛快な活劇を観ている気分。終了後はすっきり爽やか。魂を揺すぶられる思いはないけど、理由なんていらない、そんな感動だってありです。そういえば、アキハバラ@DEEPも同じような感動だったな。
ジンマンさん、意外と小柄で、お髭の様子が映画に出てくる小隊長のよう。きっとたのしくオーケストラを訓練したに違いない。でも、打楽器の叩き方なんて相当こだわりがあったので、細かく指示を出してしっかり練習したんだろうなって感じ。実は鬼軍曹かも。
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by zerbinetta | 2010-10-15 06:01 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

また新たな星   

lindberg: al largo
mendelssohn: violin concerto
walton: symphony no. 1
agata szymczewska (vn)
osmo vänskä / lpo @royal festival hall


ときどき友達に、今日のコンサートはなに?って聞かれるんだけど、答えられないことが多いわたし。だって、まとめてたくさんチケット買ってるので、今日がどれだか覚えてないんだもん。それと、会場に着いて新鮮な驚きがあった方がいいかなとか思って。今日の音楽会もそうでした。会場に着いて、ステキなオスモ・ヴァンスカさんが振ること、大好きなウォルトンの交響曲が演奏されることを知ったのでした。それにしてもウォルトンの交響曲なんて珍しい(確か今シーズンはBBCシンフォニーでも演るみたいですが)。それにしてもヴァンスカさんがウォルトンなんてびっくり。っていうかイギリス人(イギリス関係者)以外でこの音楽を採り上げるのって珍しいような気が。

始まりは、ヴァンスカさんのお国もの、リンドベルイの新作、アル・ラルゴ。ニューヨーク・フィルハーモニックと、我らがロンドン・フィル、カサ・ダ・ムジカ・ポルトの委嘱で書かれて、この6月にニューヨークで初演された曲。リンドベルイは人気の作曲家で、この2年の間に3回聴きました。現代作曲家としてはかなりの頻度ではないでしょうか。
いきなりホルンのファンファーレで始まった音楽は、シベリウスの交響曲第6番の世界を現代の言葉で焼き直したみたいでとっても美しく、今まで聴いたリンドベルイの音楽の中で一番って思いました。調性的だけど旋律はない、旋律はないけど抒情的な音楽で、シベリウスも旋律を断片的に扱って独特の世界を創っているように、この曲でも断片の構成が生きています。まさに、シベリウス得意なヴァンスカさんにぴったいりの音楽。ヴァンスカさん、かなりの熱演でした。オーケストラもとてもいい音で好演。30分弱の充実した音楽と演奏でした。

2曲目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。何度聴いたことでしょう。ヴァイオリニストは全く名前も性別さえも分からなかった、アガタ・シムチェフスカさん。若いきれいな人です。そして驚いたことに、彼女の音楽とっても良かったんです。なにも特別なことをしてるわけではないのに新鮮に聞こえるメンデルスゾーン。音色もわたしの大好きな、清楚で優しい系でホッコリと聴けるんです。心が静かに惹かれる音楽。ヴァンスカさんとロンドン・フィルもソリストと音楽を一緒に創るように積極的に伴奏していました。終わったあとは盛大な拍手と歓声。ええっ!もうファンが付いてるの?って思ったら、あとで分かったんだけど、今ロンドンで音楽会をしているヴェネズエラのユース・オーケストラの人たちが空いた席に招待されていたんですね。あれは南米のノリだったのか。分かるよ〜分かる。アンコールにはポーランドの民謡調の曲を弾いてくれました。これもうっとり。それにしてもあまりにアガタさんがステキだったので帰ってきて早速調べてしまいました。彼女、ポーランド人、現在25歳(24歳かも)、2006年のヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで一位をとっているんですね。レコーディングは少ないけど、ピアノのツィメルマンさんたちとバツェヴィチのピアノ5重奏を演奏したCDとかあるみたいです。彼女は現在、ロンドン・ミュージック・マスターズのLMMアワードをもらってて、今回のロンドン・コンチェルト・デビュウはそれゆえ。この奨学金は2012年まで続くので、またロンドンで演奏する機会があることが期待できそうです。あったらぜひ聴きに行かなくっちゃ。わたしとしては今後絶対活躍して欲しい。ファンになるぅ。これからは親しみを持ってアガタとファースト・ネームで呼ぶことにしましょう。

休憩の後は大好きなウォルトンの交響曲第1番。実は。。。クラヲタ白状だけど、この曲のスコア持ってるのね。日本に置いてきているので今は手元にないんだけど、それくらい好きなんです。この曲第1楽章は、リズムが先導する刻み系の音楽家と思っていたら、結構リズム・セクションがお休みになってカオスになるのね。ヴァンスカさんは、大胆にでもさりげなくひっそりとテンポを動かしていたので、リズミカルさがあまり強調されなくて、あれれ〜こんな曲だっけ〜って思っちゃった。ほんとにカオスのような気にさせられるのよ。それがまたいいのだけど。で、この音楽、なんだかシベリウスの交響曲第5番に通じるところがあって、ああ、それならヴァンスカさんのもっとも得意とするところよね〜って思った。実は演奏するのがかなり難しい音楽のように思えたけど、ヴァンスカさんは破綻なくオーケストラをコントロールしていて、でも、弾いてる方は、飛び出たらまずいとか落ちちゃうとか、かな〜り緊張するだろうなぁ。自分が奏者だったら絶対弾きたくない曲だわとか思った。でも聴いてる分には緊張しながら、曲芸のような演奏を楽しめた。いやホントは結構苦渋に満ちた音楽でもあるんだけどね。最後は盛大に勝利して終わるんだけど。堪能しました。大好きな曲をこんなにステキな演奏で聴けるなんて。BBCシンフォニーである方も聴きに行きたいなぁ〜。でも確か別の音楽会と重なってて聴けないのよね。

今日の音楽会はBBCのi playerで聴くことができます。ぜひ、音楽をシェアしましょう。
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by zerbinetta | 2010-10-13 07:05 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

解き放たれる喜び   

arvo pärt: cantus in memoriam benjamin britten
britten: four sea interludes from peter grimes
huw watkins: violin concerto
shostakovich: symphony no. 5
alina ibragimova (vn)
edward gardner / bbcso @royal albert hall


感動してしまいました。タコ5で。ホールからの帰り道、泣きながらどうしてこんなにも感動してしまったんだろう? そんなハズないのになぜ? って考えながら、音楽を思い出す度にまた新しい涙がこぼれてきて。チューブに乗ってもまだ、涙が頬を伝わる。

タコの話はまた後で。わたしはこの音楽会、アリーナ(・イブラギモヴァさん)を聴きに来たのです。ご存じの通り、わたしが今一番応援しているヴァイオリニスト。今日はアリーナのために書かれた新作の協奏曲の初演なんです。でも、その話も後にして、音楽会は、ペルトの「ベンジャミン・ブリテンの思い出に」という、短いけどとっても美しい曲の追悼の鐘から始まりました。わたしは一時期、ペルトにはまったことがあって、この曲やフラトレス、タブラ・ラサとか大好きなんだけど、目の前で演奏されてるのを聴くと、心から感動できます。遠くで聞こえる鐘、重なり合う弦楽器の響き。そして重なり合う思い出。幸いわたしは今、身近に追悼する方がいないので、直接に思い浮かべる顔はないのだけど、でも、大事な人を亡くしたときの気持ちが思い出されて、純粋に悲しむことができた。音楽がその悲しみを浄化してくれる。
引き続き、短い拍手の後に、ブリテンの「4つの海の間奏曲」。この曲もう何回か聴きましたがシンプルな美しい響きのする音楽ですね〜。そしてこの曲でも鐘の響きが聞こえてきて、また何か厳粛な気持ちにさせられたのです。

そしていよいよ、アリーナがソロを弾くヴァイオリン協奏曲。5年くらい前に作曲者のヒュー・ワトキンスさんが作った独奏ヴァイオリンのためのパルティータをアリーナが初演したときに、すぐに協奏曲の話が持ち上がったとか。自分のために協奏曲を書いてもらえるなんて演奏家冥利に尽きますよね。さてどんな音楽になるのでしょう。アリーナは今日は黒のロングドレス。すらっと背が高く見えます。音楽は古典的な3楽章からできていて、始まりの速い楽章は、ヴァイオリンが細かい音符をアグレッシヴに弾いてオーケストラと対峙します。オーケストラは、決して独奏を邪魔することがないように書かれていて、作曲者が演奏家(ピアニスト)でもあることが生きているのですね。技術的にはものすごく難しいと思うんだけど、でも決して楽器に無茶をさせる書き方をしてはおらず、演奏者が気持ちよく弾けるように書かれていると思いました。それにしてもアリーナ、細かい音符たちを全身を使ってダンスするように弾いていくにびっくり。ベートーヴェンのクロイツェルはアグレッシヴだったけど、わりと静かにそよぐように弾く人だなって印象だったけど、こんなに身体を動かすなんてってちょっぴり印象が変わりました。でも、全く無駄な動きがなくって、あの身体の使い方から音楽が迸っていました。ワトキンスさんの作品はとってもステキで、また聴いてみたいと思いました。そしてアリーナの音楽も。ものすごく難しいと思うのに、全く破綻なく、自在にとっても音楽的に弾きこなしたのはやっぱり凄い。アリーナの演奏からはいつも音楽が聞こえるのです。こう書くと何をと思われるかもしれないけど、技術的に無茶なレヴェルを要求されるし、耳に馴染みのない分かりづらい音楽を聴いてそこに音楽を感じるのってなかなかないのです。凄いとか、かっこいいとか、響きがきれいとか、音楽の手前で止まってしまうことが多いのです。アリーナの演奏には現代の曲を聴いてもベートーヴェンで感じるような音楽が聞こえてくるのです。初めてリゲティの協奏曲を聴いたときを思い出しました。そういえばあのときもガーディナーさんとBBCシンフォニーでしたね。
演奏の後、ワトキンスさんもステージの上に呼び出されて、アリーナとワトキンスさんがハグしたときのアリーナの幸せそうなステキな笑顔ったら。残念ながら写真に撮ることはできなかったけど、あの笑顔は目に焼き付いています。アンコールは、彼女のアナウンスで、同じ作曲家のパルティータから最後の楽章、アレグロモルト。これまたステキな音楽と演奏。しばらくの間、これらの曲はアリーナが育てていくことになると思うんだけど(前にヒラリーがおっしゃってたんだけど、自分に献呈された作品はしばらく独占して演奏する権利が与えられるらしいの。ヒラリーはその間に曲を育てていくと語っていました)、ゆくゆくはいろんな人が演奏してヴァイオリニストのレパートリーになって欲しいなって思いました。そして、アリーナには是非、録音して欲しい。会場からはまたしても大きな拍手。わたしのまわりの席の人たちは口々にアリーナを賞賛していました。わたしのことのようになぜか嬉しい。

作曲者に拍手を送るアリーナ
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ワトキンスさんとアリーナはなんか親密そう
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前にリゲティを聴いたときは、もうそれだけで感激しちゃって、その後に演奏された音楽は正直もうどうでもよくなっちゃったんです。今日もそんな気持ち。第一この後なんの曲が演奏されるのかプログラムを見るまで知らなかったのですから。あっタコだ。タコ好き失格ですね。
でも、ショスタコーヴィチの交響曲第5番は、もう何回か聴いたことあるし、ポピュラーだし、まあ名曲ではあるけれどもクラヲタ的には物足りない、通俗名曲なんて言われちゃう(でもこれってほんと失礼な言い方)くらいな感じで、アリーナの演奏も聴いたしもうどうでもよくなっちゃってるんです。ガーディナーさんとBBCシンフォニーの演奏もきっとたいしたことないだろうと。そして音楽が始まったとき、あまりにも無為に流れるのにああやっぱりねって思ったのでした。激しく切り立つように重い出だしが、羊羹を切るような重さを感じさせず、まるですうっとういろうにナイフを入れたときのように、あっさりと力みなく通っていく。確かに透明な響きは美しいんだけど、音楽の厳粛さはあまり感じないなぁって思ったのです。音楽は終始とっても美しく余裕を持って鳴らされていきます。タコは、社会主義体制の中で悲痛な苦労をした人だよ、音楽と政治の狭間で翻弄されて、音楽の中に悲痛な叫びや悲しいくらいの諧謔、皮肉、秘密を盛り込んだ人だよ。きれいなだけの音楽を書いたんじゃないよ。でも、これは前にオルソップさんの演奏を聴いたときにも抱いた感想。音楽を聴いてるさなかそのことを思い出さなかったのは、ガーディナーさんの演奏が、そのことを忘れさせるように徹底して初めて聴いた音楽のように演奏していたからでしょう。こんなタコでもタコはタコ。ついつい耳を澄ませて聴いているうち音楽が身体に染み込んでくるのでした。
そして第2楽章のスケルツォもなんとてきぱきとリズミカルでチャーミングなこと。スタッカート気味の音楽が跳ねてる。こんな元気に明るいスケルツォでいいのと思いつつ、とっても面白く新鮮でステキに感じたんです。純粋な音楽の力。各セクションのトップのソロの人たちがみんなとっても上手くて、全曲を通して特にフルートが印象的だったんだけど、BBCシンフォニーやるなあって感じでした。
第3楽章は一転ゆっくり目のテンポ。透明な音色の演奏が心を揺さぶります。なんと哀しい音楽なんでしょう。涙がほろり。チェロのユニゾンのなんと悲しい音楽。音を突き放すように弾き切る弾き方のなんて力強い表現力なんでしょう。でも、この悲しさはひねくれた悲しさなんかじゃない。真っ直ぐな純真な悲しみ。体制とか政治とかそんな限定的な要因の悲しさじゃなくてわたしたちの心の中に持っている普遍的な悲しみ。だからこそ、だからこそ思いっきり音楽に共鳴してしまう。そしてフィナーレは遅いテンポ。でも重苦しくなくむしろ爽やか。音楽は晴れ晴れとしている。中間部では普通に速くなったけど、音楽が盛り上がって、急に静寂が訪れてホルンがステキなメロディを奏でるところからまた遅め。そしてそのままコーダでも遅いテンポ。愚直なまでにインテンポ。うわっこのままいくの?って思ってしまった。そして最後、金管楽器のファンファーレよりも、ティンパニの連打よりも、主役は執拗に同じ音を繰り返す高音の弦楽器。これがとっても効果的。青空のように澄み切って。ここに来たとき、あっ第一楽章の始まりの音楽が帰ってきたと思いました。始まりのあの演奏が、しっかり意味を持って思い出されました。なんとステキな音楽設計。歓喜?強制された歓喜。そんなことどうだっていいじゃん。最後の大太鼓も覆い被さることなく、ティンパニと一緒に思いっきり行進していました。
音楽が終わって、ああわたしもショスタコーヴィチも解き放されたんだって感じました。いろいろ頭の中に持っていたわたしのしがらみ。ショスタコーヴィチにまつわりつく政治的、歴史的なしがらみ。それら全てから音楽が解き放されて天高く解放されていくようです。それがわたしの涙の原因ではないかしら。解放された喜び。ついに新しい時代が来たみたいです。ショスタコーヴィチの音楽も純粋に音楽的な力のみに頼って演奏されることがこれからますます多くなることでしょう。そこで初めてショスタコーヴィチが楽譜に書いた音楽の力が音楽のみの言葉で聞こえてくるんだと思います。それにしても、、、わたしまでもが解放されたなんて。わたしはまだまだ音楽を純粋に聴き取る力が足りなかったんだ、ということに気がつかされて、恥じ入るとともにやっぱり嬉しいっ。すがすがしいっ。

トランペットのサイモン・コックスさんはゲスト・プリンシパル。1000人のとき最初の方でとちって眉毛をあげてしまった〜っていう表情をしたのがいい味出していたので、今日はとちってないけど記念にぱちり
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ガーディナーさんもまだ30代 やんちゃ坊主風
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by zerbinetta | 2010-08-17 08:36 | BBCシンフォニー | Comments(2)

今シーズン最後の音楽会は   

berio: recital I
susan bickley (the singer), john constable (the accompanist),
nina kate (the dresser)

george benjamin: into the little hill
claire booth (sp), susan bickley (ms)

john fulljames (dir),
frank ollu / london sinfonietta @linbury studio theatre, roh


今シーズン最後の音楽会はロイヤル・オペラ・ハウスでオペラでした。といってもいつものメイン・オーディトリウムではなくて、地下に下りていく小さなリンブリー・ストゥディオです。今日は、ベリオとジョージ・ベンジャミンさんの短い作品の2本立て。実はずっと勘違いしてて、リゲティのオペラだと思ってたんですが、ベリオでした。ベリオはわたしのアイドルのひとりなのに、勘違いするなんて失礼ですよね。

リンブリー・ストゥディオに来るのは3度目。400席ほどの小さなスペースで普通にしてても舞台と客席は近いのですが、今日は舞台の手前にあるオーケストラ・ピットをつぶして舞台にしていたので(オーケストラはカーテンで仕切った舞台の後ろ側で演奏)、なおさら舞台が近いです。現代曲が2つなので会場は8割方の入り。会場に入ると舞台では、女の人が掃除していました。お客さんがみんな席に着く前から舞台は始まっているんですね。最初のオペラはベリオのリサイタルIです。リサイタルが始まる前の歌手の舞台裏を描いた作品です。といっても歌手の絶望的な世界観の哲学的なひとり語りなんですけどね。舞台に立つのは、その歌手と彼女の伴奏のピアニスト、それからさっき掃除をしていた衣装係の3人です。その他、オーケストラの人が、カーテンの後ろから出てきて舞台で楽器を演奏したり。歌は、モンテヴェルディからカントゥルーブ、現代曲もあったかな、まで、彼女のレパートリーを部分部分歌います。その他の部分はほぼ語り。歌の歌詞と語りの部分は相関をなしています。歌に対して、カーテンの後ろの小さなオーケストラは、伴奏を付けたり、コラージュしたり。そう、まるでベリオの代表作、シンフォニアの第3曲のよう。まさにベリオ。これがずいぶんとはまってます。ただ、語りが多いので、オペラを観たと言うよりはひとり芝居(舞台には他に2人の登場人物、ただしほぼ無言、がいるのですが)を観たようです。変わった作品でした。
歌手はスーザン・ビックレイさん、ピアノ伴奏者は今日のオーケストラ、ロンドン・シンフォニエッタのピアニスト、ジョン・コンステーブルさん、衣装係はモデルのニナ・ケイトさんでした。
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休憩の後は、イギリスの作曲家ベンジャミンさんの小さな丘へ。ハーメルンの笛吹の現代版です。こちらも出てくるのは少人数、ソプラノのクレア・ブースさんとさっきも歌ったメゾ・ソプラノのビックレイさんだけです。ブースさんがクレジットされてるのを見て、ちょっと嬉しかった。彼女は前に聴いてとってもステキだって思ったから。ベンジャミンさんの作品は多分初めて聴いたんだけど、うんと良かった。また聴きたいと思ったもの。今年50歳なのね。これからもっと円熟していくんでしょうか。現代オペラは、声の扱いがとっても難しくて(メロディが否定されてるので)、いつも何か解決策はないかしらと思ってしまうんだけど、今日のオペラは2つとも、全く別々の方法で道しるべを付けているような気がしました。オーケストラもロンドン・シンフォニエッタで現代作品ばかり演奏している団体なので手慣れたもの。リンブリー・ストゥディオは前に聴いたバロック・オペラといい、掘り出し物のステキなオペラが観られる穴場ではないでしょうか(っていうか小さな会場でのバロック・オペラと現代オペラはまさにわたしのツボ)。

ブースさん(妊婦さん?)、作曲者のベンジャミンさん、指揮者のフランク・オルさん、ビックレイさん
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by zerbinetta | 2010-07-23 08:06 | オペラ | Comments(0)

なんでや〜〜   

handel: semele
danielle de niese (semele), jaël azzaretti (iris), vivica genaux (juno/ino),
stephen wallace (athamas), richard croft (jupiter), peter rose (cadmus/somnus),
claire debono (cupid), sébastien droy (apollo)
christophe rousset / les talens lyriques, théậtre des champs-élysées choir
@barbican hall


なんと今日の開演時刻は6時半です。ヘンデルの長いオラトリオ(?)、セメレです。これ、オペラのようでオペラじゃないんですね。本来劇なしです。プログラムにはオラトリオと書いてありましたが、本物のオラトリオでもないんです。キリスト教音楽ではないので。でも、コヴェント・ガーデンで初演された際には新聞にオラトリオの様式でと書かれてあったみたいです。と、まずは珍しく蘊蓄から。
あらすじはグーグルで検索するか、こちらを見てね。と、無責任。だってあらすじ書くの苦手なんだもん。セメレの妹のイノー(セメレの婚約者アサマスが好き)とジュピターの妻ジュノー(ジュピターとセメレがいい仲になったのでセメレに復讐を企む)を同じ人(ヴィヴィカ・ジェノーさん、名前繋がりかな?)が歌ったので、あらすじを覚えていなかったわたしはちょっと戸惑ってしまいました。だってイノーとジュノーは性格付けが正反対なんだもん。でも後であらすじを読んだら納得。ジュノーはイノーに化けるのね。この人、細っこいのにとっても良く声が出ていて上手かった。ジュノーを歌ってるときは顔が怖かったけど、美人。アリアの後に一際大きな拍手をもらっていました。テナーのクロフトさんはUSにいたときよく聴きました。華のある人ではないけれども堅実な歌で、とっても重要な脇役を歌うオペラ・ハウスに掛け替えのない人です。ご兄弟、兄だったか弟だったかは忘れちゃったけど、も歌手で、バリトンです。やっぱりクロフトさん、上手かったです。むちゃ好印象。それから、ソムナスを歌ったバスのピーター・ローズさんもとってもステキでした。笑いをとる演技もすてきっ。そうなんです。今回はセミ・ステージ形式で歌手がオーケストラの前で簡単な演技をします。コンサート形式の曲とは言え、ちょっとしたお芝居があると分かりやすいし楽しめます。アポロのセバスティアン・ドロイさんは最後ちょこっと出てきただけだったけどちょっと好み。他の歌手たちも全く不足なくとおっても楽しめました。音楽も最初の序曲とガボットはちょっぴり退屈で早く劇が始まらないかなぁって思ったけど、それからはもう素晴らしい。さすがヘンデル。最初にティンパニが出てくるところなんかは(ジュピター(雷神)が出てくるのね)、もうティンパニの連打がステキすぎてわくわく、のりのり。ロックな感じ。

って、忘れてるわけじゃないよ。タイトル・ロールのダニエレ・デ・ニース(ドゥ・ニースという記載も見られるけど、フランス系の人じゃないし、本人もデ・ニースと発音してるのでデ・ニースと書きます)さん、なんともかわいくてとっても良かった。といいつつ手放しで褒めるんじゃないけど、だって、第1幕はちょっと声の輪郭が柔らかくぼやけて聞こえてもう一歩かなぁって思ったから。2幕、3幕と進むにつれてすごく良くなりました。彼女、まだ今年で30歳なんですね。19歳の時、メトのフィガロの結婚でバルバリーナを歌ってデビューしてるんですけど(とプロファイルに書いてあった)、なんと!その公演、わたし観たんです。ちょい役だったけど、とってもかわいい人だなぁって思ったんです。その彼女が大きくなって帰ってきました(って思ってたより大柄なんですね。華奢な方ってイメジがありました。二の腕立派だったです)。30代は歌手として脂がのって充実していく時期だと思うので、これからも世界中のオペラ・ハウスで彼女の活躍が期待できそうです(もう活躍してるけど)。
歌以上に彼女の類い希な美質は、その表情の豊かさ、かわいらしさ。ほんと、彼女、自分がどうしたら一番良く見えるのか、魅せ方を知ってる。それが演技にも出ていて、例えばジュノーにそそのかされて鏡を見ながらわたしって美人かもって歌うアリアはとおってもかわいらしくてステキでした。そのあとジュピターを拒否してぷんぷんしたような表情も彼女の表情は素晴らしくって、もうずうっと彼女に見とれてました。

それにしてもこのオラトリオ、最後、セメレは彼女に懇願されて本来の雷神の姿になったジュピターの雷に打たれて死んでしまうんだけど(セメレの最後のアリアはとっても悲しい静かな歌です)、いきなりハッピー・エンドになって終わるんですね。セメレの灰からフェニックスが生まれる、なんてアポロが出てきて歌い出し、イノーはアサマスは結ばれて、ってなんでや〜〜さっきまで悲劇じゃなかったんかい。っていきなり関西弁。まぁ、当時の人たちは純粋な悲劇を嫌っていたそうなんですが。突然の変わりようでびっくり。でも、ステキな夜でした。

ローズさん、ドロイさん、アザレッティさん
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デボーノさん、デ・ニースさん、ジェノーさん、クロフトさん
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デ・ニースさんとジェノーさん
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by zerbinetta | 2010-07-08 21:12 | 海外オーケストラ | Comments(0)