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交響詩「英雄の生涯」の改訂稿が発見される   

リヒャルト・シュトラウスが最晩年に改訂を続けていた交響詩「英雄の生涯」の手稿がウィーンで見つかった。国際シュトラウス一族協会のヨーゼフ・フルトヴェングラー博士は、ウィーンにある同協会の資料室でヨハン・シュトラウスの資料に紛れてリヒャルト・シュトラウスの手稿譜があるのを発見した。国際リヒャルト・シュトラウス協会のフランツ・フルトヴェングラー博士が詳細に調べたところ、それは作曲家による自身の若い時期の作品、交響詩「英雄の生涯」の改訂であることが分かった。楽譜の最終頁には、1949年4月1日の日付と作曲者のサインが書かれていたため作曲家の最後の作品であると考えられる。改訂は主に、「英雄の伴侶」と「英雄の業績」になされており、前者では、独奏ヴァイオリンの伴侶のテーマの裏に、オペラ「サロメ」から採られた短い3つの音からなる狂気の動機が重ねられていた。81小節から400小節を超える長さに拡大された「英雄の業績」では、シュトラウスが作曲した全ての作品が音のカタログのように引用されていた。フランツ・フルトヴェングラー博士は、作曲者が妻に対してサロメに似た怖気を感じていたこと、作曲家が自身の偉大な業績を正確に世に知らしめたいと考えていたのではないかと述べている。また、「美しき青きドナウ」の一節が「ツァラトゥストラ」の後にしらっと引用されているのを見つけた時、生前、よく「あなたはあの「美しき青きドナウ」の作曲者ですか」と尋ねられていたいたことに対する作曲家一流のボケに大笑いしたと語った。(「2001年宇宙の旅」とは関連はないだろうとのこと)

今回発見された改訂版は、今年、没後70年記念のシュトラウス音楽祭で初演される予定になっている。




# by zerbinetta | 2019-04-01 01:35 | Comments(0)

コパちんの歌と大野さんなぜに4楽章だけ? 都響定期、シェーンベルク、ブルックナー   

2019年1月10日 @サントリーホール


シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲

ブルックナー:交響曲第6番


パトリシア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)

大野和士/東京都交響楽団


今年の音楽会はじめは都響さんでした。都響というと上野を思い出すんですが、サントリーです。まだなじみません。相変わらず、プログラムの予習をしないので、会場に着いてコパちんが協奏曲を弾くのを知って大喜び。大好きなブルックナーの6番の交響曲が乗っててまた大喜び。こういう新鮮な出会いがあるからプログラムを知らんぷりして聴きに行くのが好き(チケットを取ったのは1年も前なのでプログラムなんて忘れてる~)。予習して出かける人もいるけど、わたしは復習派。


コパちんが弾くのは、シェーンベルクの協奏曲。ピアノ協奏曲は聴いたことあるけど、ヴァイオリンのは多分、初めて。ワクワク。コパちんって熱烈に評判が良くって、でも、わたし、なぜか疎遠で、彼女を聴くのはまだ2度目。前回はN響とプロコフィエフの協奏曲でした。でも、この間、録音でリゲティの協奏曲を聴いて、とても感銘を受けたので期待。

コパちんは、白いお衣装で登場、白い妖精さん。妖精の弾くヴァイオリン、リゲティの録音を聴いたときにも感じたのだけど、決して耳なじみの良い音楽とは言えない現代音楽から、強力な歌を紡ぎふ出す才能の大きさが凄くて感心。時折、オーケストラの方を向きながら、どちらかというとソロイスティックではなく、オーケストラと一緒に音楽を作っていく感じ。わたし的には、彼女の現代物、やりすぎちゃうこともある古典やロマン派ものより好きだな。何しろ楽しそうに弾いているのが嬉しい。それはこちらにも伝わってきて、とっつきにくい音楽なのに、すうっと心に入ってくるの。気難しい音楽を、分からなくてもそのまま愛せる。多分もっと親しくなったら、たくさんのステキが見つかってますます好きになりそう。ただ、コパちんは大声で叫ぶ人ではないから、親密な箱が必要かも。弱音を厭わないし、そんな囁きもちゃんと聴き取れる箱がね。サントリーホールは、とても良かった。コパちんも音を上手にホールに響かせていて、弱音でもちゃんとホールが鳴ってる感じは、なんか久しぶりに聞いたかも。


大野さんのブルックナーは、全くイメジが湧かないというか、えええ~?大野さんがブルックナー?、って感じだったんだけど、ある意味、ブルックナー交響曲の山脈からひとつ離れたなだらかな丘という感じの第6番を選んだのが良かったのかな。意外と(失礼!)すんなり聴けました。大野さんの勝手なイメジとしてギラギラの太陽なんだけど、今日のブルックナーは鷹揚に構えて、自然。フレーズの終わりのさりげないまとめ方は、しっかり大野さんのこだわりだと思うのだけど、句読点を打ちながら、流れを留めないのが良い感じ。ただ、都響さんが。。。ティンパニのノリの悪さ(リズムを停滞させていた)、や金管楽器のソロの不安定感、いつものホルンに問題がが。わたしは、ミスにはこだわらない方だけど、他の指揮者の時はもっと良くできてるのに、肝心の音楽監督の時にこれはちょっとね、いただけない。大野さんにも責任があるもの。弦楽器主体の第2楽章は厚みがあってとても良かったんだけどなぁ。で、第4楽章になると一転、大野さんがちょっと張り切っちゃって、ちゃかちゃかとテンポを揺らすのが、あれれ?。確かに、いろんな旋律がブロックを組み立てるように現れるのだけど(トリスタンの「愛の死」の主題まで能天気に!)、わたしの好みは、あんまりいじらないで割とインテンポの演奏だから(というかそういうのしか聴いたことない)びっくり。そういえば、前にネゼ・セガンさんが第7交響曲のフィナーレで同じようなおもちゃ箱を引っ繰り返したようにテンポを動かしていたのを思い出してしまいました。諧謔味は出ると思うのだけど、、、フィナーレって動かしたくなるような音楽なのかしら?ね~




# by zerbinetta | 2019-01-10 23:30 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

異文化混合のグラデイション アンサンブル・アルチベラゴ「最後の言葉」   

2018年12月15日 @イタリア文化会館


馬場法子:ハゴロモ・スイート

ヴァレリオ・サンニカンドロ:Last Words

フェデリコ・ガルデッラ:Nebbiae

福井とも子:Sinfonia concertante da camera II

ヴァレリオ・サンニカンドロ:Odi di Levante


青木涼子(能)

ヴァレリオ・サンニカンドロ/アンサンブル・アルチベラゴ


異色の能楽師(と言っていいかしらね)青木涼子さんが出演するというのでイタリア文化会館に行ってきました。涼子さんは、能の人なんだけど、活躍の場は能舞台ではなくて、むしろ(インターナショナルな)現代音楽とのコラボレイション。能x現代音楽のシリーズ・コンサートを行ってるし、いろんな作曲家に作品を委嘱して多くの新作を発表してる。何年か前に出会ってずうっと気にしてるのだけど、なかなか都合が付かないことが多くて聴くのはずいぶん久しぶり。それだけに楽しみでした。


涼子さんが謡うのは、前半の2曲。馬場さんの去年の作品「ハゴロモ・スイート」と今日の音楽会の中心人物、イタリア人のサンニカンドロさんの「Last Words」の初演。で、弦楽四重奏と能のための「ハゴロモ・スイート」にめちゃ感銘を受けました。馬場さん天才。馬場さんって、ずいぶん昔、パリにピアノで留学していた方のウェブ日記(当時はブログなんてありませんでしたのよ)を読んでいたんだけど、その方のお友達ではなかったかしら?記憶は曖昧なのだけど。そんなことはさておいて、風の音を表すような静かな弓の音から始まって、下手から「のーぉ、のーぉ」と謡いながら静かにステージに登場した涼子さんの凛として張りのある低い声、とお姿。作品が違うので単純には比較できないんだけど、涼子さんの声が熟度を増して、表現が濃く深くなった感じ。いろんな感情が放出されるのではなく、声の芯にどんどん吸いこまれるエネルギーの底で世界を見せてくれるかのような。わたしこの声好きだ。器楽の部分も視覚を伴ったようなところがあったり、チェロが弦を弛めながらぎいぎい音を出すところも面白かったです。お終いは、涼子さんが扇を広げて小さく舞いながらステージを去っていくの。ちゃんと能の様式なのね。シテと弦楽四重奏の囃子方。言葉は完全に聞き取れたわけではないけど(あまり言葉には注意しない人)、女の人から見た羽衣伝説って思いました。


サンニカンドロさんの「Last Words」は、ステージ上は能とチェロ、客席の中程左右にヴァイオリン、客席で作曲者が指揮します。チェロの撥を使ったアルペジオ(?)の音が琵琶みたいで新発見。お能の詩は日本語。なのに馬場さんの作品と続けて聴いたせいか、日本ではない何か(新しさ)を感じさせられました。何だろう?言葉の扱いかな?ちょっとよく分からなかったんだけど、わたしたちの感覚にないものがあるような気がして不思議な感じ。器楽部分は現代音楽なんだけど、謡の部分が西洋的な感覚からは現代音楽に属するっぽいのに(音の高さや時間軸の自由すぎる曖昧さって古典的な西洋音楽にはないよね)、日本人のわたしにはところてんを啜るようにつるりと身体に入ってくる感じも面白かった。それにしても、サンニカンドロさんは能をとても良く研究してるんだろうな。無声音を使ったり(ぞくっとする色気があった)、口に手を当てて発声するなど今風なところはあったけど、概ね謡を振り回さずに、寄り添って作ってあるところは好感度高かったです。


後半の3曲は、声の入らない作品。3人の3様の音楽で、これは面白いと思うところと、ちょっと長いかなと思うところが入り交じった気持ちもあったんだけど、最後のサンニカンドロさんの「(地中海に吹く)東風への詠歌」が中では素晴らしくって、ユニゾンのところでさえも持続的に和音が響いているように聞こえて、不思議な感じでした。その響き方が心地良いのよね。前半のも良かったし、サンニカンドロさん、要注目だわって思ったのでした。


アンサンブル・アルチベラゴは、今日が初めてのステージで、これからも継続的に活動していくそう。新しいステキな作品がたくさん生まれることを期待してます。能に限らず、いろんなコラボレイションもあるといいなぁ。





# by zerbinetta | 2018-12-15 15:54 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

大好きx大好き ワーグナー、バーンスタイン、ヒンデミット   

2018122日 @洗足学園音楽大学 前田ホール


ワーグナー:「タンホイザー」序曲

バーンスタイン:交響曲第1番「エレミア」

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」


川崎麻衣子(メゾソプラノ)

デニス・ラッセル・デイヴィス/洗足学園音楽大学レパートリー・オーケストラ


懐かしのデイヴィスさん。ちょっと遠かったけど、プログラムの魅力に抗いきれず洗足学園音楽大学まで聴きに行ってきました。ええ、張り切って。だって、「エレミア」と「画家マティス」ですよ。大好きの二乗です。こんなおいしいプログラム1000年に一度です。ってか「画家マティス」聴くの初めて。

レパートリー・オーケストラは音楽大学で管・打楽器を学んでる2年生と3年生のオーケストラ。弦楽器は、演奏補助員の方ということですが、学生さんも混じってるのかしら。若者っぽい。でも、コンサート・マスターの人は藝大を卒業されてる方だし外の方も入っているのね。プロの方も少し入った音楽大学のオーケストラとは言え、そこはアマチュア、音の作り方や表現(時々刻々のバランス、フレーズのまとめ方や曲の理解度など)、技術をプロのオーケストラと比べるのは酷だけど(と言いつつプロでもありゃりゃと思うことあるわね)、みんなが音楽に立ち向かっているのを聴くのは気持ちがいいもの。アマチュアを聴く喜びはこれですよね。


「エレミア」は、学生さんには難しくって四苦八苦してた様子だったけど(技術的な瑕があったわけではない)、「画家マティス」はとても真摯な演奏でうるるときました。デイヴィスさんは、アメリカン・コンポーザーズ・オーケストラの指揮者だっただけに、アメリカの現代物は自家薬籠中のものだろうけど、今日は「エレミア」よりも「画家マティス」の方にシンパシーがあった感じ。違うメンバーの学生さん(曲ごとにローテーションしてました(管楽器))の相性かもしれませんですけど。


「エレミア」を歌った大学院生の川崎さんは、コンクールの賞も取ってる方で、ヘブライ語で感情移入のしづらい宗教的な歌詞のハンディに臆せず、声量たっぷりで堂に入った歌いっぷりで良かったです。これからも努力を重ねてオペラで活躍して欲しいなと思いました。


今日のプログラムって、救済(誘惑・冒涜付き)つながりなんですね。そうしてみると、ワーグナーの自分本位のエロティックな宗教観が異彩の閃光を放ってますね。他の2曲が真面目で深刻なだけに、ワーグナーの外道ぶりクァwdrftgy不二子。そんなことにも気づかされた素敵な音楽会でした。





# by zerbinetta | 2018-12-12 02:27 | アマチュア | Comments(0)

ニュウス〖関西発〗オーケストラの生き残りをかけた広告戦略   

大阪都交響楽団(OMSO)は、経営状況改善のため来シーズンからコンサート・ステージの団員の衣装や楽器、指揮者の背中などにスポンサーのロゴを入れることを発表した。また、コンサートの最初にスポンサー企業のCM音楽も生で演奏される。同交響楽団によると、これによりサッカーやF1などのプロスポーツと同様、持続的に安定した広告収入を期待できるという。

大阪都交響楽団は、大阪都構想を進める大阪市、大阪府に忖度し数年前、一足先に大阪市交響楽団から改名したが、期待された助成金の増額はなされず経営難に陥っていた。一時、安倍晋三記念交響楽団と名乗ることとも検討されたが、森友学園問題が明るみに出て断念した経緯もある。民間から広告収入を得ることによりより社会に開かれたオーケストラを目指すという。

シーズン開幕コンサートでは同交響楽団音楽監督の井上淳一氏が、大阪に本社を置くかつらメーカーのカツラを着けて登壇することが予定されている。また、首席客演指揮者のジェームス・レバイン氏はシェイプアップのプライベート・トレーニングを始めたとの情報もある。体験モニターとしてスッキリした体型でCM音楽に乗って指揮台に立つ日が来るのかもしれない。大阪都交響楽団の広告事業に関してのお問い合わせは www.omso.org.jp まで。


# by zerbinetta | 2018-04-01 14:18 | Comments(0)

ニュウス 補聴器メーカー、クラシック・コンサート専用高性能補聴器を発売へ   

国内の補聴器メーカーであるオタンプ電子機器がヘッドホンの専門メーカーSTAAXと共同開発したクラシック・コンサート専用高性能補聴器 OEDOphone を発売すると4月1日付で発表した。この補聴器は、高性能ノイズリダクション・システムを搭載しており、コンサートホールで発生するさまざまな雑音(飴の袋を裂く音、チラシを落とす音、鼾、携帯電話の着信音等)を楽音に影響することなくカットする。プレミアム・モデルでは、設定により拍手やブラヴォーの声をカットする機能を搭載する。耳掛け式でカラーバリエーションは、ブラック、ベージュ、ローズピンク、ターコイズブルー、キャンディーイエロー(スケルトン)の5色。開発担当者によれば、雑音の除去率は94%といい、これを装着することによって周囲の雑音に悩まされることなく音楽に集中できるようになるという。特に、フライング拍手やフライング・ブラボーに怒りを覚えることの多いブルックナーのコンサートにはプレミアム・モデルが必携である、と言い切った。記者が、マーラーの交響曲第6番の演奏会で販売前の製品を試着してみたところ、装着感も良く日頃悩まされる雑音も全く気になることなく音楽を楽しむことがでた(鳴らす真似だけでカウベルが聞こえない指揮者の演奏解釈については疑問を呈さずにはいられなかったが)。

発売予定日は2017年4月16日。予定販売価格は、基本機能のみのスタンダード・モデル(OEDO-S 00, 0, 1, 2, 3)が27000円、拍手除去機能付きのプレミアム・モデル(OEDO-ABr 4, 5, 6 ,8, 9)が32000円。




# by zerbinetta | 2017-04-01 08:28 | 随想 | Comments(3)

新年最初はバレエから。こいつは春から縁起がいいかも 洗足学園音楽大学バレエコース・グローバルクラス   

2017年1月7日 @洗足学園 前田ホール


白鳥の湖


チャイコフスキー(音楽)

安達悦子(芸術監督)

石田種生(再振付)、プティバ、イワノフ(原振付)


中森理恵(オデット/オディール)、黄凱(ジークフリード)


洗足学園音楽大学バレエコース・グローバルクラス、東京シティ・バレエ団


井田勝大/洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団


今年の音楽会初めデス。ほんとは今日は行く予定がなかったんだけど、わたし一押しのバレエ指揮者の井田さんの指揮だし、黄凱さん近くで観たかったんです。で、あとから気がついたんですけど、シティ・バレエと一緒の舞台だったらあの素晴らしい「白鳥の湖」が観られるかも!と狂喜。そう、今日はちょっと変わった、洗足学園音楽大学のバレエ・コースの本公演。バレエ・コースは3つのクラスに分かれていて、今日のグローバル・クラスは、シティ・バレエ団の方が指導しているんです。自由席で3000円の良心的値段。自由席だからあいてたら好きなところに座れちゃう。と言うことで普段は絶対座れない前の方に座りました。ばっちし。チラシには主役のお二人(今日はシティ・バレエの中森さんと黄凱さん♡)の名前しか出ていなかったので、コールドは学生さんたちかな、コールドは温かい目で観て主役に集中しようと思ったら、なんと、学生さんは第1幕と3幕だけ出演でであとはシティ・バレエの皆さん。むちゃお得だわ~。


学校公演だからまず若い学生さん(バレエ・コースができてまだ2年なので、1年生と2年生です)のことから。学生さんは、1幕のパ・ド・トロワや王子の友達、3幕の道化や花嫁候補、各国の踊りをプロに混じって踊ったのだけど、みんなきちんと踊っていたけど、プロと一緒に踊るとやっぱりプロは凄いというか、違いをまざまざと見せつけられる結果になりました。体つきからして違うものね。大学のバレエ・コースって将来のバレエ・ダンサーを養成するのか、指導者や舞台関係者を育てるのか、わたしにはよく分からないところがあるんだけど、後者もあればいいなって思います。だって、日本でバレエと言ったらお教室文化真っ盛りだけど、確かにバレエの裾野を広げている利点があるのかもしれないけど、ダンサーをきちんと育てるという点では、きちんと教えられる人が少ないのが問題だと思うんですね。例えば、ロイヤル・バレエではバレエ・スクールの先生になるのには、そのためのコースを履修しなければいけないし、ロシアやフランスではバレエ教師には国家資格がいると聞いています。システマティックにバレエを教えられる教師を育てることが日本のバレエの発展に必要じゃないかしらと思うのです。その先駆的な礎になればいいなと勝手に願ってます(学校の教育方針はどうなんでしょうか?)。


シティ・バレエは、王子の黄凱さんが、ナイーヴな王子と言うよりも少し大人な感じがにじみ出て、若者の心の無邪気さ不安定さよりも、踊りの余裕というか安定さを見せられた感じ。ある意味、王子になったと言うよりも、踊りの隅々まで意識的に目を配ってものすごくきちんと丁寧に、学生のお手本になるような踊り方をしていたように感じました。学校公演ゆえのように思ったのですが、もしかすると黄凱さんのスタイルなのかも知れません。ただそれに不満があると言われればそうではなく、黄凱さんを近くで観られてうっとり。

オデット/オディールの中森さんは、少し前掛かりになっていてこせこせしているように感じられてしまったのが、特にオデットで、ちょっと残念でした。句読点を打つように、もう少し、大らかにゆったりとした表現ができればもっと良いのにと思いました。オディールは、ハキハキとした役作りで、悪巧みで誘惑する人というより、王子を好きになったもうひとりの女性。オデットもオディールも優等生的というのは、ちょっと残念で、掘り下げて対比をつけられればもっと良いのにな、って思いました。


今日の舞台で面白かったのは、黒鳥のパートで、一瞬現れる白鳥(オデット)が、普通は、ステージの高いところの窓越しなんですけど(シティ・バレエの本公演でもそうだったと思います)、舞台装置の制約ゆえか、ステージ上に踊り手が直に現れるので、ちょっとなまめかしいというか体温ありすぎみたいな気持ちがして、それを隠そうとするロットバルトがいつも以上に焦ってる感じなのがね、くすりと。


そしてやっぱり、第4幕。しっかりと愛の瓦解と再生の物語が語られていて、いつも「白鳥の湖」のラストに曖昧な思いを抱いていたわたしは、初めてこの演出で観たとき感動したんだけど、そのときの気持ちが戻ってきて観に来て良かったと心から思いました。図らずも裏切られたオデットと騙されてしまった王子が、一度失われた愛を取り戻す過程が(と言っても短いものだけど)確かに語られていて、その試練により真の愛が生まれる、第2幕の愛と第4幕の愛とでは真実度が違ってるという、発展の物語を際立たせるところがわたし的には唯一納得できる最高の演出なのです。あと、最後舞台が一瞬暗転して、白鳥が人間に戻るハッピーエンドもステキ。チャイコフスキーの音楽も最後は、恥ずかしいくらい力こぶを入れて長調で終わってるんだけど、来世、またはあの世で結ばれるよりも現実で結ばれる方がわたしは、音楽に合ってると思うし、物語にも無理がないと思うんですね。


井田さんの指揮は、やっぱりお見事。ダンサーをさりげなくサポートする音楽付け。バレエ指揮者としての井田さん、初めて聴いたときから、わたし一目置いてるんです。まだ若い方だけど、日本を代表するバレエ指揮者になるんじゃないかしら。洗足学園ニューフィルハーモニックって、学生さんのオーケストラと思いきや、教えてらっしゃるプロの方も混じってる(それとも外から?)のかな?最初は固いところもあったけど、だんだんこなれてきてとても良い演奏を聴かせてくれました。ソロとかかなり上手かったです。


初詣に行って大吉引いたみたいで、今年は何だか良いことありそう。やっぱりバレエが好きだな~。





# by zerbinetta | 2017-01-07 08:08 | バレエ | Comments(1)