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内田さんがメシアン!   

mitsuko uchida (pf), soovin kim (vn), martin frost (cl),
Christian poltera (vc), llyr williams (pf) @qeen elizabeth hall


を弾くというのでびっくりして聴いてきました。わたしの中では内田さんというとモーツァルト弾き、シューベルト弾きというイメジがあるのです。でも最近、シェーンベルグなんかも弾いてらっしゃるのですね。内田さんが参加したのは音楽会の後半、メシアンの世の終わりのための四重奏です。どんな音楽になるんでしょう。わたしは、内田さんというとしみじみとした深い優しい響きのイメジが強いので(なにしろシューベルトばかり聴いているので)、メシアンの硬質な音を求める音楽に合うのかなと心配してました。確かに予想は当たりました。内田さんのピアノは深い柔らかめの音色。でも、そこから新しいメシアンの音楽の魅力が見えてきます。和音の固まりが音楽全体を包み込むように響きます。楽器どおしの音が融け合ってオルガンのレジスターを変えるような効果が聞こえます。これは新しい驚きです。クラリネットの人の巧かったこと。無音からフォルティッシモまでのシームレスな音量の変化は凄かったです。終末の時(聖書的な意味なので祝福に満ちた平安の時)への希望。戦争捕虜として囚われの身となっている者の圧倒的なレジスタンスでしょうか。世の終わりという題名の響きや(時の終わりと訳した方がより原意に近いと思うんですが)、戦時中の強制収容所で書かれたという歴史的な経緯から、恐怖や暗い絶望に満ちた音楽と捉えられがちなような気がするけれど、音楽には希望が満ちているとわたしは思います。内田さんたちの演奏も音楽をする喜びに溢れていたようにわたしは感じました。

by zerbinetta | 2008-11-06 19:25 | 室内楽・リサイタル

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