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初期ロマン派の快感   

brahms: variations on a theme by haydn
mendelssohn: piano concerto no.1
schubert: symphony no.9 great
stephen hough (pf), christoph eschenbach / lpo @royal festival hall


エッシェンバッハさんの音楽会2夜目。ブラームスのハイドンの主題による変奏曲は、とあるウェブサイトの音楽事典によると、一言で言うとテーマをいじり倒した挙げ句、最後にやっぱり主題がよかったですという内容(もちろんジョークです)。でも、そういう曲ですよね〜、最後に盛大に主題が帰ってくるところなんかはね。この間の交響曲第1番がとっても良かったので今回のブラームスも期待していたんですが、ちょっと肩透かし。というのはオーケストラの上手さが出ちゃうソロの部分や少人数で弾く部分が、統一ができていない感じで、オーケストラの弱点が出ちゃった感じなのです。合わせ不足かな。
わりと珍しいメンデルスゾーンのピアノ協奏曲はハフさんと。この方、ロマン派時代の珍しいピアノ曲をよく採り上げて演奏されてる方なんですね。前にも全く知らない人のピアノ協奏曲を弾いてくれました。考えてみるとロマン派初期のピアノ協奏曲って少ないんですね。こんな感じの曲、シューベルトやメンデルスゾーンの交響曲以外に聴いたことがないことに気づかされました。暖かな柔らかみとまだ崩れるまでにいかない、でも歌謡的な旋律がいい感じです。ハフさんはこの曲ととっても相性がいいのでしょう。さりげなく上品に弾かれました。大袈裟な感情表現がなくても音楽は雄弁です。とってもくつろいだほんわりとした気持ちにさせられました。エッシェンバッハさんとロンドンフィルのサポートも柔らかくってステキでした。ハフさんはアンコールにメンデルスゾーン、シューベルトときたらシューマンとおっしゃってトロイメライを弾いてくれました。これも柔らかくてステキ。
最後のシューベルトのハ長調の大交響曲(プログラムでは第9番となっていたので第9番と書きました。最近のトレンドでは第8番ですね)は、エッシェンバッハさんの面目躍如。最初から活発なテンポ(でも決して早すぎない)で溌剌と奏していきます。シューベルトの若々しい、でも彼の短い生涯の晩年の立派な音楽として演奏されました。シューマンが天国的な長さと評したように本当に長大に感じました。長くて退屈したという意味では決してなくて、偉大な作品という意味です。第2楽章のゲネラルパウゼを大きく取ったり、第1楽章や第4楽章の活発さはこの曲の大きさにふさわしいとってもステキな表現でした。でも、ただひとつ欠点をあげるとすればスケルツォのトリオの明と暗が明滅するところ、泣き笑いするシューベルトの気持ちが伝わらなかったことかな。もちろん、ステキに明るい解釈で音楽を奏でるのもひとつだと思うけど、わたしはここで涙したいから。この瞬間こそシューベルトの心に触れる大切な時間だと思うから。

by zerbinetta | 2009-03-14 07:46 | ロンドン・フィルハーモニック

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