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なんて美しい手の表現   

hans warner henze: ondine
frederick ashton (choreography)
miyako yoshida (ondine), edward watson (palemon), genesia rosato (berta), richardo cevera (tirrenio)
royal ballet @royal opera house


わたしだって曲がりなりにも日本人。日本人が外国で活躍しているのを見たり聞いたりするととっても嬉しいし勇気づけられる。で、せっかくロイヤルバレエが見られるんだから、吉田都さんの踊りはぜひ観たいって思っていたの。それが今日かなった。都さんは日本人(東洋人)の女性では森下洋子さんに次ぐ世界のトップクラスのバレリーナです。バレエが体を使った西欧の芸術であるだけにこれってものすごくすごいことだと思います。西欧の人とアジア人では顔も体の作りも違いますから。西欧主義、白人コンプレックスと思われるかもしれませんが、歌舞伎の舞台にヨーロッパ人の役者がひとり混じってることを想像してみてください。その舞台に立つためにどれだけ身体的なハンディキャップを克服して努力してきたか。それをかなえたひとりとして都さんをものすごく尊敬してるのです。
ごめんなさい。前置きにすごく力が入ってしまいました。
オンディーヌ。いくつかのバレエのブログで見るとあまり人気のある作品じゃないみたいです。ヘンツェの音楽が分かりづらいとか。実はわたしヘンツェの音楽はCDで聴いたことがあったので(この曲ではないのですが)、そんなに違和感なく聴けたのです。っていうか、わたしにはアヴァンギャルド好きなのでかえって物足りなかったくらい。でも、オーケストラがいつもと違って気合い入れて演奏していたので良かったです(過去2回はふぬけてたもんね〜)。ちなみに今日の指揮者はバリー・ワーズワーズさん(見てみたら過去2回のも同じ人だった。ってことは指揮者のせいじゃない?)。さて、オンディーヌ。水の精です。腕を優雅にひらひらさせる表現はほんとに水の流れるよう。都さんの柔らかで豊かな表現に最初っから引き込まれました。もう完全に都さんの、いやオンディーヌの世界。もうほんっとに観て良かった。もっと切れのある踊りをする若いバレリーナはたくさんいるでしょう。でも、年齢というか経験に裏打ちされた柔らかな豊かな表現力は、勢いや技術では太刀打ちできない魅力です。あっもちろん、都さんの技術うんぬんを評価できるほどわたしはバレエを知らないのです。でも、技術的なことを全く感じさせない、ただそこにとても美しいものがあるという自然な本当に自然な表現力はすごいと思うのです(技術があるからこそできるのでしょうが)。こういう気持ちは同世代のヴェテランバレリーナのフェリさんやニーナを観たときにも感じました。その人たちはそこにいるだけで空気が変わるのですね。こういうのを観ると、それが例え悲しいお話でも幸せな気持ちになります。そしてバレエを観たあとは、なんとなく仕草が優雅になってるような気がするのは、やっぱり気のせい?

by zerbinetta | 2009-06-03 01:07 | バレエ

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