親父ラヴ   

verdi: la traviata
renee fleming (violetta), joseph calleja (alfredo), thomas hampson (giorgio)
richard eyre (dir), antonio pappano @roh


椿姫。わりと最近好きになったオペラです。オペラの初心者には先ずおすすめするもののひとつですが、わたしは最初ヴェルディの音楽になじめなくてしばらく敬遠してました。でも今は好きです。わたしにとってキーポイントは親父。この人がとんでもなくて(いや息子も馬鹿だけど)嫌いなキャラクターナンバー・ワンなんですけど、この人をステキな歌手が歌うと全体がしっかりと締まって良いのです。恋人を無理矢理別れさせてしまう許せない不条理な親父だけど、歌手がステキだと、頑固も親父の特権とか、親父いい味出してるぅとか、親父セクシーとか、ついうっかり親父に惚れちゃうんです。そう、今回のトーマス・ハンプソンさんも。わたしがヴィオレッタだったらうっかり親父と人知れずの恋に落ちて、親父の家族を壊しちゃうう。ってそれも悲劇的なオペラだな。それほどまでにステキなハンプソンさんの歌でした。一方のアルフレッドは、田舎育ちの純朴な馬鹿というか、あまりに世間知らずというか、せっかくのいい役をあてがわれてるのに存在感がないですよね。ヴィオレッタ、恋する人を間違ってるよ〜、とか。なんか話がそれまくりだけど、ハンプソンさんやフレミングさんに比べて、カレヤさんはちょっと影が薄かったかな。声は良かったんだけどな。さて、フレミングさん。USでは絶大な人気の彼女のヴィオレッタを聴くのは2回目なんですが、今日は最初はあまり良くなかったです。声があまり出てなかった気がしました。第1幕の恋の悦びを歌うところもいまいち抜けてなくて、だいじょうぶかな〜って思ってましたが、親父が出てくる第2幕からは俄然良くなりました。演劇性のあるのも彼女を引っ張り上げた原因かもしれません。親父と彼女の対立はスリリングでした。ここで盛り上がったのであとはしっかりフレミングさんのペースです。最後までしっかりとまとめてくれました。わたしとしては死の前の世界とすっかり切り離されて一瞬の生を生きる幻覚に完全な自由な浮遊感があると良かったんですが。演出は極めてオーソドックス。わたしはこのオペラを何回か観ているので、できれば今のわたしにも何か訴えるものがあるような演出で観たかったかな。それは贅沢な望みだけどね。パッパーノさんのオーケストラは今日もステキでした。ロイヤルオペラのオーケストラがこの若い指揮者と一緒に成長していけばいいな。レヴァインさんがメトのオーケストラを最高水準に高めたように。
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by zerbinetta | 2009-06-22 07:52 | オペラ

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