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音楽会の前のビールはダメ   

ravel: mother goose suite
schumann: piano concerto
brahms: symphony no. 2
imogen cooper (pf), günther herbig / lpo @royal festival hall


明日は友達の誕生日ということで、音楽会に出かける前、職場のパブでちょこっとビール。わたしはお酒はほとんど飲めないくせに、お酒の場は好きなんです。ガールズ・トーク炸裂(ほとんどボスの悪口)、っても頭の回転のとろいわたしはにこにこと聞いてるだけなんだけどね。ただ、困ったことに、わたし、ビールを飲むと5回に1回くらいの割でおしっこが近くなっちゃうんです。今回それに当たっちゃった。大丈夫と思ったつもりだったのに、シューマンではトイレに行きたくって我慢するのが大変でした。途中で席を立ったら迷惑だし。。。

ってなんだか変な話から入ってしまいましたが、今日の音楽会、ピアニストには最初、大好きなグリモーさんがクレジットされてたんです。ところがグリモーさんが降板になって代役はイモージェン・クーパーさん。同じく女性の方です。実はラッキーって思ってしまいましたよ。グリモーさんは大好きだけどすでに何回か聴いたことあるし、今シーズンも他に聴く予定があるので、他の人を聴けるのは嬉しいのです。しかもクーパーさんはこちらでは人気のピアニストみたいで、一度聴いてみたかったんですよ。それなのにおトイレだもんね、やんなっちゃう。

音楽会の始まりはラヴェルの「ラ・メール・ロア(マザーグース)」の組曲でした。のだめがアナリーゼしてた曲ですね。これがとおっても良かったんです。まるで物語を観るように視覚的で、「美女と野獣の対話」なんか絵本を読んでいるよう。野獣が王子に変身するところなんて、わたしの目の前に王子が現れたみたいでびっくりした(ほんとに王子様、わたしをさらっていってくれないかしら)。もちろんラヴェルの音楽がそう書かれているのだけど、それをちゃんと表現して音にしたギュンター・ヘルビヒさん、ただ者ではない。ドイツの指揮者なのに(ほんとはボヘミア出身みたいね)、フランスものをこんなにステキに演奏できるなんて凄いです。オーケストラも暖かめの音色で糸を紡ぐようなヴァイオリンが美しい。それにこの曲では指揮棒を使わなかったヘルビヒさんの手の表現(大きな手!)が白くてとっても美しいんです。あああの手で顔を包まれてみたい。

さていよいよ2曲目はクーパーさんのシューマン。ここでトイレになんて立ったら女が廃る。初めて見るクーパーさんはプロフィールの写真通り、センスの良い、優雅な感じのきれいな人。ちょうど還暦なんですよね。信じらんない。還暦のお祝いの(ほんとはこっちでは還暦としては祝わないので60歳の記念の)音楽会の放送をインターネットラジオで聴いたことがあるんだけど、本人は結構明るくて気さくな感じの方のようです。
音楽には人の心の淵をのぞき込むようなディモーニッシュなタイプと心の表面をなめらかに満たす幸福感に溢れるもの。ともすると後者のタイプの演奏は、中庸で刺激が少なく物足りなく思われがちなところもあるんだけど、本当にステキな演奏を聴いたときに満たされる温かさは、本物の幸せのひとつ。そして、今日のクーパーさんのシューマンは、わたしにその幸せをもたらしたのでした。クーパーさんの音はきらきらしているのに柔らかくてあたたかい。シューマンらしい夢見るような音楽。この曲は以前、ペライヤさんのピアノで聴いているのだけど、ペライアさんの演奏は音楽の構造をがっしりと固めた古典的などっしりと風格のある演奏だったんだけど、わたしはこの演奏が苦手で、というのはシューマンの音楽ってもっと自由で枠にとらわれない、形式を崩しても捨ててはいけない夢があると思うんです。ペライアさんはそれを切ってしまっていたと思うんです。でも、クーパーさんはもちろんはちゃめちゃに弾いているんじゃないけれども、全体よりもその音符のなかにある自由を大事にしてたように思います。全体から部分を作るんじゃなくて、ひとつひとつの音をそれぞれ大事にしてシューマンの夢を心に届けてくれた。彼女のフレーズ感の心地よさや左手の柔和な表現はわたしの求めていたシューマンではないかしら。わたしは耳を鋭くして音を聞き逃さないように聴くんじゃなくて、リラックスして音の夢の中に、ふかふかのお布団のベッドの中で恋人といるように幸せに満たされながら音楽を聴いていました。
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最後はブラームスの交響曲第2番。ブラームスの交響曲の中で一番幸せで、一番よく演奏される(一番たくさん聴いている)曲。指揮者もオーケストラも弾くのが楽しいんじゃないかしら。交響曲第1番の方が立派で人気度が高い気もするけど、聴いてるうちにわたしは第2番がブラームスの交響曲では一番好きになりました。ヘルビヒさんの演奏は速めのテンポで優雅。ブラームスの書いた心易い音楽が居心地良く響きます。特に第2楽章と第3楽章が良くて、第4楽章にはち切れんばかりの音楽の奔流と爆発を期待したのですが、第4楽章は割とどっしりと構えた演奏(快速テンポではあるのだけど)で、期待していた爆発がなかったのがちょっと残念。でも、うんとステキなブラームスでした。それにしてもヘルビヒさんの富士額立派やわぁ。
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by zerbinetta | 2010-03-12 23:31 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

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