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音楽会とCD わたしは自然の中で生き物を見るのが好き   

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わたしは音楽会もCDも聴きます。CDは手軽に音楽を聴くことができるし、滅多に演奏されることのない音楽に触れることもできる。リピートして聴くこともできるので音符を確かめたり、表現について何回も聴いて理解を深めることもできる。いろんな演奏を比較するのだってお金さえ出せば簡単。それに、音楽会があまりない小さな町に住んだら、CDやラジオで音楽を聴くしか方法がない。だから、わたしもCDで音楽を聴くことにはなぁ〜〜んにも文句はありません。でも。でもです。音楽会に行くくらいなら家でCDを聴いた方が良い、という意見にはものすごい違和感を感じます。

音楽会嫌い派の人たちにはいくつかの理由があるみたいです。高いお金を払って行っても、演奏がしょぼかったり、隅っこの席でバランスの悪かったりする音、咳や飴の袋をがさごそする音で鑑賞の邪魔をされたり、フライング拍手やフライング・ブラヴォーがうざかったり、だから家でひとり何者にも邪魔されずCDで好きな巨匠の演奏を聴いた方がまし。確かにそうなんだけどね。でも、音楽会にあってCDにはないもの、それがわたしには音楽にとって欠くことのできないものすごく大事なものだと思うんです。目に見えるステージ、身体に感じる会場の空気や演奏者から伝わってくる熱、会場にいる人たちと共有する一体感。そして、何よりもまさにそれぞれの楽器から直接空気の振動として伝わってくる生の音、今その場で生まれて消えていく音たち。これらは、音として固定されてしまった録音では感じることができないとまで言わなくてもできづらいものです。それが音楽から失われてしまっているのはあまりにももったいない。というか作曲家、音楽家が最も大事にしている部分のように思うのです。

わたしは、小さな動物を見るのが好きです。子供の頃はテレビや図鑑、写真集でよく観ていました。よく近所の原っぱや小川や林に行って観たりもしました。昨日書いたけど、今はときどきジャングルに行きたくなります。その生き物が生きている場所で自然な姿を観ていたい。そんな思いです。初めてガラパゴスに行ったときは、今までテレビや写真集でしか観たことのない生き物を生で見ることができて感動しました。というより、初めてガラパゴスの島に自分の足を置いたときの、におい、海の音、鳥の声、光りの強さ、空気の暖かさ、湿り気に全身で感動しました。その中で観る生き物たちは写真では絶対に感じられない生きた実態を持っています。 確かに自然の中に出かけていくのは、ときには大変なこともあるし、観たい生き物を一番良い条件で観ることができることはまれです。観られないことだってよくあります。それでも、全身に彼らと同じ自然を感じて、生き物に出逢ったときの感動は何物にも代え難い。

音楽会でライヴの音楽を聴くことはこういうことだと思うんですよね。CDはきれいに整えられた図鑑や写真集のようなものだと思うんです。確かに理想的な姿をしてるかもしれない。いろいろ細かいことを観るには図鑑の方が良い。でも、全身に浴びる圧倒的な空気感はライヴでしか体験できない。それが理想的な姿でしか現れないとしてもそれ以上に空気感はわたしには大事なものです。だって、わたしは音楽をただ耳で聴くだけでは不十分なんですもの。音楽の生まれる空間にわたしも立って耳を澄ませたいんです。隣の人がごほごほしていてもね。

by zerbinetta | 2010-04-04 08:10 | わたし・ブログ

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