人気ブログランキング | 話題のタグを見る

とざ〜〜ん電車ができたので   

verdi: dances from otello
dvořák: cello concerto
r. strauss: aus italien
enrico dindo (vc), gianandrea noseda / lpo @royal festival hall


ついこの間までノセダさんって日本人だと思っていたわたし。そして今日までロシア人だと思っていたの。で、実はイタリア人だった。。。
イタリアと言ったらオペラ。オペラと言ったらヴェルディ。というわけで始まりは「オテロ」からのバレエのシーン。わたし、オテロは観てるんだけど、この曲知らな〜いって思った。ヴェルディがこんな感じの音楽を書いていたことにもびっくり。なんかベルディっぽくない。これでいつもぼんやりとしか音楽を聴いてないことがバレバレ。ポジティヴに捉えればいつも新鮮に音楽を聴ける。それにしてもノセダさんは音量の大きな指揮者でした。大声で歌うわけではないんだけど、はあ〜とかはっとかうなり声が凄い。オーケストラをしのぐ勢い。もちょっと静かに指揮してくれるといいのに。

ドヴォルジャークのチェロ協奏曲は何度か聴いたことあるのに、今日の演奏は知ってるメロディは出てくるのに全然違った曲に聞こえました。なんか凄く勢いがあってドヴォルジャーク特有の郷愁の思いを感じるより厳しい峰のような確然とした造型感を感じました。オーケストラが圧倒的に独奏チェロに襲いかかってチェロ協奏曲というより大オーケストラの音楽を聴いた感じ。わたしの席がオーケストラの後ろでチェロが聞こえづらいというのもあったのかもしれませんが。でも、実はチェロの人凄い良かったんです。エンリコ・ディンドさん。骨太でごつごつした働く人の手みたいな実のある音楽。響きの強さみたいなものを感じました。この人ただ者ではありません。今度は正面から是非聴いてみたいです。そうそう、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲ってヴァイオリンのソロが出てくるんですね。びっくりしたのはそのヴァイオリンのソロを弾いた人がものすごく上手かった。チェロ協奏曲なのでヴァイオリンのソロといっても短いわずかなものなんですけど、聞き耳を立てるのに十分。今日はゲスト・リーダーにナタリア・ロメイコ(natalia lomeiko)さんが座ったんですけど、びっくりしたのでインターネットで調べてみると、大きなコンクールでの入賞歴もたくさんあるし、室内楽やソリストとしても活躍されてる方なんですね。どうりで。

最後はリヒャルト・シュトラウスの「イタリアから」。シュトラウス22歳の作曲で、ゴージャスっぽい感じ。ゴージャスじゃなくってっぽいが付いてるのは、その後のシュトラウスの交響詩たちやオペラに聴かれるゴージャスさはまだないから。まだ物足りないんですね。若い才気に溢れてはいるけれども、まだまだって感じ。しかもこの曲長いの。4つの楽章からできていて45分もかかるんですもの。こういう曲って面白く演奏することはできても感動させる演奏はできないと思う。曲自身がそれに見合ってないから。これを感動的な名演奏に仕立てたらそれこそ何か得体の知れない間違い感が伴ってしまう。例えばチョン・ミュンフンさんが指揮したメシアンの峡谷から星たちへのCDのように。というわけで、それなりに楽しめたものの、曲自体はどうでもいい感じ。そういえばこの曲、4曲目ではフニクリフニクラが引用されてるんですね。ヴェスヴィオ火山にできたケーブルカーの宣伝のためのコマーシャル・ソング。それをシュトラウスが当地の民謡と勘違いして引用しちゃったんですね。それで、著作権料を払う羽目になったとか。フニクリフニクラ側からすると、有名になって得なのにっても思うのだけど、今と違って演奏は生でしか聴けないし、ドイツで演奏されてもナポリの宣伝にはならないからね〜。でも、これって凄くない?例えて言えば、今の日本で流行ってるコマーシャル・ソング知らないけど、例えば、以前にスーパーで無限ループを繰り返していた「さかなさかなさかな〜 魚を〜食べると〜」のメロディで、ピエール・ブーレーズさんが曲を書いてしまったようなものだもんね。トータル・セリエに解体されたさかなさかなさかな〜を聴いてみたい気もするけど。
今日は指揮者と独奏者がイタリア人ということでイタリア人多かったのかな。拍手が熱かったです。フランスもだけど、ラテン系の人たちって音楽会盛り上がります。指笛を盛大に鳴らしたり拍手が熱かったり。チェロ協奏曲では第1楽章のあとにも拍手がありました。イタリアでは当たり前なのかな。USでもわりとそうだったけど。わたしこの感覚好きなんです。

by zerbinetta | 2010-04-14 07:49 | ロンドン・フィルハーモニック

<< 世界が音楽になる ロンドンのオーケストラの日本人 >>