だ〜い好き   

monteverdi: vespers
robert howarth / choir of the enlightenment, oae @royal festival hall


わたしの一番大好きな曲は、実はいつも今聴いている音楽が一番って思っちゃうので上手に決められないんだけど、でも、聞かれたら答えちゃうのはモンテヴェルディの「ヴェスプロ(聖母マリアの夕べの祈り)」なんです。無人島に持っていきたい1枚もこれ。とは言え無人島にはあまり行きたくないんですが。だって想像するに、お店もないわけだし、日がな一日食料探ししてなきゃいけなくって、バナナ以外の果物がたくさんなってて、磯にはアワビやサザエ、ムール貝やカメノテにウニなんかがわんさかいて、鯛やヒラメが簡単に釣れるようだったらいいんだけど、そんな都合よく行くわけないしね。とか脱線。で、モンテヴェルディなんてなかなか演ってくれないので、ヴェスプロがあったら迷わずチケット取っちゃう。今まで同じ演奏で3回しか聴いたことないんです。だからOAEで演るのを見つけたとき狂喜乱舞してチケット取りましたよ。なんか今年はヴェスプロの当たり年みたいで、シティ・オブ・ロンドンでもHMSCが聖ポール寺院で演るのはチケット取っちゃったし、プロムスでガーディナーさんがモンテヴェルディ合唱団と演るのもチケット取る予定。1年に3回違う演奏で聴けるなんてむちゃ幸せ。特に教会で演るのは響きがとっても楽しみ。ってふと気がついたら今年ってヴェスプロ出版からちょうど400年じゃないですか。マーラーやショパンばっかりやってるんじゃないデスよ。シューマンもよろしく。

モンテヴェルディの時代の音楽は、近代の音楽のように完全に楽譜に書かれているわけではないので(作曲家と演奏者は不可分な関係にあったので、わざわざ細かく書かなくても正しく演奏できたんです)、リアライズする人によって違った音楽になります。今回のリアライゼイションは指揮とオルガンで大忙しだった(両手がふさがってるときは頭で指揮してました)ロバート・ハワースさんで、特徴は小編成、ハイピッチ。現在よりも半音くらい高いピッチです。曲によっては移調しているそうです。歌は最低10人でできるんだけど、今回は20人。少人数だけど合唱パートで各パートを複数で歌えるので厚みがあって良かったです(実はわたしは、この華やかな曲は大編成の方が好みです)。伴奏は控え目。ときどき聞いたことのない装飾が聞かれたので面白かったです。ニグラ・スムは独唱とキタローネ1本でした。

始まりはオルガンが聴いたことのないメロディを弾き始めてびっくりしました。違う曲が始まったのかなと。もちろんそのあと、例のゴンザーガ公のファンファーレが始まってほっ。これが好きなのよね。そこからはぐいぐいヴェスプロの世界。うっとり。歌のソロはCDのようにソリストを揃えているわけではないので、ソリスティックではいけれども十分でした。わたしの心は400年前のヴェネチアに飛んでいったみたい。ヴェネチアはカラフルで大好きな町です。モンテヴェルディの音楽も、ルネッサンスとモノディ(モンテヴェルディ自身も創始者のひとり)の激しい混合体。音楽史上最も大きな分水嶺で新旧両方で極めたモンテヴェルディはもっと評価されても良いと思うんですが(ってかわたしはモンテヴェルディこそ音楽史的に最大の作曲家だと思ってる)、なかなか一般には聞かれないのは近代の派手なオーケストラじゃないから? でも今日は小さなクィーン・エリザベス・ホールとは言えチケットは完売。満員でした。

アヴェ・マリス・ステラのあとに聴き慣れないアヴェ・マリアやマグニフィカトのあとにヴァイオリンのソナタが挿入されたり、いくつかわたしの知らない音楽が挿入されていました。そして、最後はグレゴリオ聖歌の応唱で静かに、本当に静かに音楽を閉じてとってもステキなときを過ごしました。やっぱりこの曲大好きです。わたしの一番。
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by zerbinetta | 2010-04-27 09:07 | 啓蒙時代管弦楽団

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