こんな風に美しく年を重ねたい   

wagner: a faust overture
brahms: rhapsody for alto, male chorus & orchestra
liszt: a faust symphony
anna larsson (ca) peter auty (tn),
vladimir jurowski / lp choir, lpo @royal festival hall


またまたユロフスキさんとロンドン・フィル。プログラムはゲーテ繋がり。こういうプログラムの作り方好きなんですよ。始まりはワグナーの「ファウスト序曲」。これオペラの序曲じゃないんですね。リストのファウスト交響曲のように交響曲として書き始められたものが、途中で断念、完成した第1楽章が演奏会用序曲になったそうです。それにしても今日、ユロフスキさんなんだか気合い入ってました。それぞれの楽器の出をいつになくずばずばと指示したり、その結果音楽がごつごつとした荒削りな一刀彫りのようなフォームになりました。流麗な草書体ではなく、太い筆で大胆に書き上げた力強い音楽。ユロフスキさん、こういう音楽もできるんですね。びっくりしちゃった。

2曲目はブラームスのアルト・ラプソディ。この曲ゲーテの詩に作曲されたんですね。静かな湖面のような美しさに湛えられた音楽です。大らかなテンポでファウスト序曲とは動と静の対照。そして静かな情感をたっぷりと歌い上げたのが、アンナ・ラーソン(ラーション)さん。とおっても背の高い人です。ユロフスキさんより高いんじゃないかしら。彼女のコントラ・アルトの声は、深く力強いけどとっても澄んでる。音楽がとっても瑞々しいの。オーケストラは少し人数を絞った編成だったけど、ラーソンさんの声は、低いのにオーケストラの前に響きが飛んでとっても聴きやすい。ゆったりとしたテンポで、実はユロフスキさんってブラームス得意なんじゃないかしらと思いました。それにしてもラーソンさんって自然体でキュートな人だわ。お化粧も控え目。わたしもあんな風にステキに年を重ねられたらいいな。しみじみと内面のお人柄の良さがにじみ出てる。心をきれいに磨かなきゃ。
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最後はリストの「ファウスト交響曲」。わたし「ファウスト交響曲」を聴くのは2度目だけど、リストってあまりよく知らないのよね。ハンガリー狂詩曲や交響詩「前奏曲」はよく知ってるけど、ピアノ曲はほとんど知らないし。彼のオーケストラ曲ってなんか大時代的であまり好きではないんですよ。って思ってました。今日までは。でも、まず始まりでびっくりしました。なんと前衛的。ほとんど無調? ジークフリートの第3幕の弦楽器のモノローグに雰囲気そっくり。あるいはマーラーの交響曲第10番の始まり。リストって時代を超えて先に行ってしまっていた人だったんですね。そしてトランペットのファンファーレ風の主題のかっこいいこと。もうこれは単純にいいっ。この主題が全曲の柱になってるんですね。交響曲はファウストの物語を追うんじゃなくて、ファウストの3人の登場人物、ファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレスをそれぞれ表す3つの楽章からなっています。第1楽章はうんとかっこいい、爽快な音楽。第2楽章はゆっくりとしたロマンティックな美しい音楽で、時間よ止まれと叫びたくなるくらい。そして第3楽章はメフィストフェレスを表す巨大なスケルツォ。そして今日の演奏では、最後合唱が入る完全版。前に聴いたのはオーケストラだけで、リストは、最後の合唱を省略しても演奏できるように、合唱が入るところで音楽を終える版も作っていたんですね。ユロフスキさんとロンドン・フィルの演奏はめちゃ格好良かった〜。ともすれば凡長な感じになりそうな大きな曲(全部で80分くらいかかります)を最後まで緊張感を切らすことなく、しっかりと演奏しました。音楽が整理されていて分かりやすいし、鳴らすところは開放的に良く鳴らすし、抒情的なところは艶やかに歌って、特に第2楽章はほんとステキだったです。下手すると眠くなる音楽なんですが。そして男声合唱がいつになく上手でした。ロンドン・フィルの合唱団はアマチュアでちょっとレベルは落ちるんですけど、今日はフィルハーモニアの合唱団も加わっていたんですね。納得。それにしても先日のミャスコフスキーといい、ユロフスキさん現在絶好調? 今日もマイクが立っていたけど、CD化されるのでしょうか。
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by zerbinetta | 2010-05-01 07:22 | ロンドン・フィルハーモニック

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