才気爆発 しすぎっ   

brahms: violin concerto
berlioz: symphonie fantastique
sergey khachatryan (vn), esa-pakka salonen / po @royal festival hall



今シーズン、サロネンさんとフィルハーモニアの最後の音楽会(フィルハーモニアの定期はテミルカーノフさんとのチャイコフスキー、プロコフィエフ・シリーズが残っています)。曲目はサロネンさんらしからぬ(?)渋めのブラームスのヴァイオリン協奏曲とベルリオーズの幻想交響曲。
そのブラームスの協奏曲はあれっ!という感じで始まりました。へ〜、サロネンさんとフィルハーモニアってこんな音も出せるんだって嬉しいびっくり。田舎の鄙びた教会のオルガンの素朴な響きだったんですよ。特に、コントラバスの振るえるような(ヴィブラートをかけてるというわけではなく、空気がぶるぶると震えて聞こえてくる感じ)、一瞬遅れて立ち上がってくる感じがオルガンに似てて。オーケストラ上手〜いっていうのが第一印象。ヴァイオリンのソロはセルゲイ・ハチャトゥリアンさん。お名前から分かるように作曲家のハチャトリアンの孫、というのは冗談で、作曲家と同じアルメニア出身の25歳。若手だわ。男だわ。ちょっとかっこいいかも。ヴァイオリンに首をかしげるような姿勢で弾く彼のヴァイオリンは、25歳には思えない堂々とした音楽作り。第1楽章なんかはとってもゆったりとしたテンポ。この人のヴァイオリンからは技術云々というよりも音楽しか聞こえてこないのが凄い。でも、わたしにはリズムの取り方やフレージングがわたしの気持ちとは少し違っても聞こえました。大拍手のあと、アンコールに弾いてくれたバッハのパルティータ第2番のサラバンドも、なんだか今までに聴いたことのない感じで不思議な感じがしました。ひとつひとつの旋律がそれぞれ線になってある感じ。わたしは戸惑ったけど、でも、とてもステキなヴァイオリニストには間違いない。彼の演奏、もっと聴いていきたいな。

休憩後は幻想交響曲。サロネンさんどんな演奏をしてくれるんでしょう。さらりともったい付けずに始まった音楽。結構あっさり系かなって思ったら、次々とステキな仕掛けが。木管楽器の点滅がやや素っ気ない感じのノン・ヴィブラートのヴァイオリンに受け継がれ。。。さらりとした感じだと思っていた音楽も、極端な強弱や絶妙な間の取り方、強調される音、音の絡ませ方でなんだか、20世紀の斬新な音楽のように聞こえてくるの。今まで聞こえてこなかった音たちがずいぶんと良く聞こえて、まるでマーラーの音楽を聴いているかのよう。そして、第1楽章では(と言うより第3楽章まで)、フォルテを抑えてこの曲が「幻想」交響曲、夢の中の音楽であるということを改めて思い起こさせられました。第1楽章の提示部(第4楽章も)のリピートなし。あれいつも思うんですけどとってつけたようですものね。ない方がいい感じ。第2楽章のオブリガード・コルネットは席を移動してヴァイオリンの後ろ、ハープ(2台)の横で吹いていました。メロディを強調する意味があるのかしらね。目立つというより、音のグラディエントを付けていた感じです。第3楽章ではオーボエの人が舞台の袖に移動。ステージの上のコール・アングレとの掛け合い。結構忙しい。最後のティンパニって4人で叩くんですね。知らなかったぁ〜。2人で叩くものとばかり思ってました(前に聴いたことあるのにね)。ティンパニは控え目。遠雷という感じです。と言うか不安な心の象徴みたいな。ここまでが夢の中のお話。
第4楽章になってそれが激しく解放されました。こまめに動かされるテンポ。引き摺るようなフレージング。そして、圧倒する金管楽器。金管楽器のクライマックスのところであんなにテンポを落とすとは。わたし完爾(にっこり)。そして第5楽章ではさらにはちゃめちゃに。魔女になった小クラリネットの粗野で下品な響き、駒近くを弾かせる弦楽器の特異な響き。音の受け渡し、アクセントの付け方、もう、サロネンさんやりたい放題。才気あるのは分かるけどこれちょっと爆発しすぎじゃない?わたし大喜び。もうにやにやしながら聴いていました。なんと新しい「幻想」。お墓の中のベルリオーズもしてやったりとにんまりしていそう。サロネンさんの満足げな表情もオーケストラの人たちの楽しかった感ありありの表情が良かったです。

そういえばサロネンさんとフィルハーモニア日本に行ってたんですね。幻想交響曲も演奏された様子。いくつかブログを読みましたが、金管楽器が良かった目立ってたって感想が多くて実は??でした。フィルハーモニアの演奏を聴いて金管楽器が突出して良かったって感じたことがなかったので。フィルハーモニアはバランスの良いオーケストラというイメジでした。目立っているといえばティンパニだろうって思ってました。が、今日の演奏を聴いて、ああ確かにと思ったことも本当です。ティンパニ、スミスさんじゃなかったし。日本にはスミスさん行ってらっしゃらないのかしら。スミスさんが叩いていればもうそれはとんでもないことになっていたと思うのですが(わたし大喜び)。
サロネンさんとフィルハーモニアは昨シーズンのウィーン世紀末のシリーズも良かったし、来シーズンも期待度大です。
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by zerbinetta | 2010-06-10 07:48 | フィルハーモニア

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