コヴェント・ガーデンに馬出現   

bizet: carmen
christine rice (carmen), bryan hymel (don josé),
maija kovalevska (micaëla), aris argiris (escamillo)
francesca zambello (dir)
constantinos carydis / royal opera house @covent garden


週末とはいえ、2日連続のオペラはちょっときつい。カルメンは確かに観たかったんだけど、何で去年観ないで今年かなぁ〜。だって、去年はアラーニャさんとガランチャさんの豪華コンビ。軒並み最高級の評価。で、今年はちょっと小粒。まっ、去年は今頃フランス行ったり日本に帰ったり忙しかったからしょうがないんだけど。でも今年も忙しいぞ。
オペラ・ハウスの通りに着くと道路に馬を載せたトラックが。何でこんなところに馬?って一瞬訝ったけど、そうだ、オペラに出てくるんだ、本物の馬。
というわけで、昨日の余韻もまだ残っていて、今日は全然期待感なしの自然体。カルメンを楽しめればいいや、みたいな。でもね、ふたを開けてみたら、なかなか良かったんですよ。まず序曲からオーケストラが鳴ってる。昨日のオーケストラも良かったけど、引き続き今日のオーケストラも力が入っていました。指揮者のカリディスさん、まだ30代の若い人だけど、オペラの指揮者なんですね、大きな手の振りでオーケストラから熱のこもった音楽を引き出していました。なかなかやります。歌手も悪くなかったです。というか思ったより断然良かった。タイトル・ロールのクリスティーネ・ライスさんは、声が柔らかい部分があるのでカルメンの圧倒的な強さを見せつけるにはちょっぴり足りなかったかもしれないのですが、実はカルメンの中にも弱さを見せる部分があったのですね。カルメンも女の子というのがちらりと見えて、それはフランチェスカ・ザンベッロさんの演出のせいなのかしら。情けない男役のブライアン・ハイメルさんは、ちょうど良い具合にと言ったら失礼ですが、好演だったと思います。情けないながらも、共感を呼ぶのは、わたしたちも結局同じだからではないでしょうか。自分の背負っているもの、故郷や家族や過去をどうしても捨てられない。それらを捨てて、恋に身をやつすことは結局できない。。。自分のアイデンティティを失うことになってしまうのだから。まあ、ドン・ジョセは自分のルーツとカルメンの間で引き裂かれて結局はカルメンを殺してしまうという愚の選択をしてしまうのが、わたしたちとは違う(よね?)ところなんですが。
背後霊のようにそこここに姿を現すミカエラを歌ったマイヤ・コヴァレフスカさんは、とってもかわいらしかったです。ミカエラって実際の人物である他に、ジョセの心の内を象徴する役でもあるんですね。というのは、この間バレエを観て思ったんですけど、オペラでもそんな役どころなのかもしれません。
さて、一番の不満はエスカミーユです。といってアリス・アーギリスさんを批判するわけではないのです。わたし、エスカミーユには徹底的にもうこれでもかというくらいキザにかっこつけて欲しいんです。登場は表にいた馬に乗って来たんですが、是非とも真っ赤なスポーツカーで場違いに現れて欲しかった。全く演出されている時代背景の埒外なんだけど、そういう異質感が欲しいんです。まぁこれも受け売りで、前にレネ・パペさんがインタヴューで「やりたい役は悪役。エスカミーユを真っ赤なスポーツカーに乗って歌いたい」とおっしゃっていたのが頭を占領しているのです。かっこいい。アーギリスさんはとても良く歌っていたけど、圧倒的な場違い感が弱かったのがわたし的にはちょっぴりざんねんだったんです。
あっちなみに、今回のカルメンは多分オリジナルの台詞付きのです。初めて聴くので最初びっくり。それにしてもカルメンって何回観てもいいオペラですね。いまだに音楽が頭の中でリピート中です。
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背後霊 コヴァレフスカさん
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金ピカ衣装のアーギリスさん
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もうぼろぼろ ハイメルさん
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カルメンだって女の子 ライスさん
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注目 指揮者のカリディスさん
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by zerbinetta | 2010-06-26 08:28 | オペラ

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