マッケラスさんの訃報   

人の訃報に接するのは、その方が天寿を全うしたと思えても寂しいし悲しい。ましてや亡くなられた方が自分にとって尊敬できる方だったり大事な方だったら。わたしはマッケラスさんの熱心な聴き手ではないかもしれない。音楽会で聴いたのはロンドンに来て4回、US時代に1回か2回でしかないし、CDも数枚しか持ってなくてそれは日本に置いてきている。でも、マッケラスさんは本当に尊敬できるステキな音楽家のひとりでした。80歳を超えて、譜面をめくる手が震えていたり、大丈夫かしらと思うこともあったけれど、ひとたび音楽が鳴り始めてしまうと矍鑠としていて、1時間近くに及ぶ交響曲を雄大に奏でてくれたり、指揮する腕は若い人のように流麗ではなくなってるけど、オーケストラと一体となって生み出される音楽は、一分の隙もない生命力に溢れたもの。わたしが最後に聴いたのは、彼がずっと取り組んできて、伝道師的な役割を果たしてきたヤナーチェクのオペラ。これがまたもうステキな音楽で、さすがマッケラスさんの棒は堂に入ってるなって思ったものです。もっともっと彼の指揮するヤナーチェクやモーツァルトを聴いてみたかった。もっとも享年84歳、引退を考えて十分な年齢であるのですからもしお亡くなりにならなくても難しいことだったかもしれませんが。音楽が聴けなくてもいい、まだ亡くなるには早いと思った。忙しいタクトを置いて、しばらくゆっくりと時を過ごして欲しかった。なんて言ったら、いえいえ音楽をしているときが一番楽しいんですよってにっこり笑った彼の声が返ってきたかもしれない。そんな音楽をいつも奏でていたような気がします。ご冥福をお祈りします。
[PR]

by zerbinetta | 2010-07-15 07:06 | 随想

<< プロムス始まりました 音楽会の服装 >>