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スナフキーーーン   

21.01.2011 @royal festival hall

wagner: prelude to parsifal
mahler: totenfeier
mahler: leader eines fahenden gesellen
liszt: les préludes

sarah conolly (ms),
vladimir jurowski / oae


おっと、実はすっかりチケット買うの忘れていたんです、OAE。ごめんなさいOAE。で、ほんとだったら、よおし、今年の目標は音楽会の回数を減らすこと、いい機会だ、パスしましょってなるのだけど、意志薄弱のわたし、うっかり買ってしまいました、しかもいくつかおまけ付きで。。。あああ。
OAE、大好きなんですけど、良い演奏の日と悪い演奏の日があるのですね。今日はどちらになるのでしょう。そして今日は、なんとマーラーとか。OAEの後期ロマン派ものは夏のプロムスで、ラトルさんの下、トリスタンを聴いているので、心配はしていないのだけど、どうなるのか楽しみ。マーラーの時代の楽器ってどんなだろう?

今日の音楽会は、録音されて、BBCラジオ3で放送される(現在オンデマンドで聴けます)他、CDにもなるようです。最初にアナウンスがありました、携帯電話の音源はしっかり切ってくださいって。

始まりはパルシファルの前奏曲。ユロフスキさん、この曲はロンドン・フィルと演っているので(そのときは聖金曜日の音楽付き)、好きなのかなぁ。いつものように、オーケストラのメンバーの顔を見回したあと、音楽が始まりました。とってもゆっくりで、糸を引くような音楽。そして、オーケストラの音色がとってもきれい。楽器は、わたし、19世紀後半の楽器についてなんの知識もないのだけど、ホルンは弁のあるの(でも、フレンチ・ホルンではないし、替え管を使って調を変えていました)、トロンボーンは細身、チューバはピストンの位置が今の楽器とは違うの、フルートは歌口の唇当てがないもの、コントラファゴットは朝顔が上向き、オーボエは楽器に直接リード部を差し込むウィンナ・オーボエみたいな感じ。わたしが見て気づいたのはそんなくらいかな。そしてもちろん音色。見た目の違う楽器の音色ももちろん、ヴィブラート控え目の弦楽器の音色も、現代楽器の豊満な艶やかさはないけれども、その代わり、澄み切った流れのような清廉な音。ワグナーはこんな音を聴いて作曲していたのかしら。

2番目はマーラーの葬礼。あとで交響曲第2番の第1楽章になった曲です(楽器編成はこちらの方が少し小さくて、ちょっぴり(10数小節?)長い)。なんかフルートにアクシデントがあったみたいで、3番フルートは金属の現代楽器を急遽舞台袖から持ってきて吹いていました(休憩時間中に楽器を直して、後半はまた古いタイプの楽器を吹いていました)。
今度はユロフスキさん、出てきて指揮台に上がるや間髪を入れずに激しく音楽を始めました。行進曲の部分はきびきびとして張り詰めた快速テンポ。音をざくざくと切っていって強い意志で前に進む感じ。この音楽が行進曲であるということに改めて気づかされました。ただし葬送行進曲ではなくて、例えば死刑宣告された英雄が自分の正義を示すためにはっきりした意志を持って死刑台に向かって歩いていく感じ。対照的にゆっくりとした抒情部分では、テンポを落としてメリハリのきいた分かりやすい音楽。とてもステキな演奏。

休憩の後は、セイラ・コノリーさんの歌でマーラーのさすらう若者の歌。コノリーさん今日は、赤の単色のシンプルなドレス。ふうう良かった。いやその、コノリーさんってドレスの趣味が独特で、なんか結構サイケデリックな衣装を着るのね。でも、歌は良かったですよ。わたしの好みはこの曲は男声なんだけど、十分楽しめました。それにオーケストラが、なんか曇り空のくぐもった音色でステキに幻妖的。ところでマーラーがこのオーケストラを聴いたらどう思ったでしょう。マーラーはオーケストラ(歴史)が常に進化していくことを信じていたし、だからこそ、現代のオーケストラに適したように古典の音楽を編曲した人だけど、彼が、現在のさらに進化したオーケストラを聴いたら、そして多分当時のままに近いOAEの演奏を聴いたらどちらを支持したでしょう? OAEの音を聴いていると現代の楽器が機能的になったことで失った、代え難い音色があるような気がします。それでもマーラーは進化した楽器をとるのかな。ベルリオーズやブラームスのように吹きにくい楽器の音色を大事にするのでしょうか。現代の楽器に慣れたわたしにとってOAEの音色は新鮮でした。できたら、OAEでマーラーの全集とか出して欲しいな。

意外なことに今日一番良かったと思ったのが最後の、リストの前奏曲。この曲のホルンは弁のないもの。ゆっくりと始まった音楽は、ユロフスキさんの場面ごとの変化の付け方がとっての良くって、草原でゆっくりと寝転がったり、嵐が来たり、すぅーっと風が通り抜けたり、草の匂いのする青々とした平原の音楽でした。ハープに導かれてホルンのソロが出てくるところステキだったー。そこから行進曲が戻ってくるまでの音楽が全曲の白眉でした。リストのオーケストラ曲って仰々しくて大時代的な感じであまり好きになれなかったけど、こういうのならもっと聴きたいな。

あっそうそう、タイトルのスナフキンは、プログラム(ただ、OAE太っ腹〜)に載っていた一言インタヴューで、架空の架空のヒロインで一番好きなのは?と聞かれたユロフスキさんが答えた答え。ふふふ、分かってるじゃないですか(偉そうに)。わたしも自由人スナフキンが好きなのよ〜。わたしのヒーローはスナフキンとバカボンのパパです。それと寅さん。彼らと結婚するかと聞かれたら、むむむとなっちゃうんですけどね。でも、恋人のひとりにはしたいっ。

by zerbinetta | 2011-01-21 23:50 | 啓蒙時代管弦楽団

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