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聴き手失格   

17.02.2011 @barbican hall

gary carpenter: fred & ginger
brahms: violin concerto
wagner: siegfried idyll
strauss: tod und verklärung

janine jansen (vn)
daniel harding / lso


最近絶好調のロンドン・シンフォニー。今日も期待に胸を膨らませて行ってきました。ハーディングさんのシュトラウス、今日は死と変容です。
音楽会はカーペンターさんのフレッド・アンド・ジンジャーという5分足らずの新作(5分以下の曲を委嘱されて今日が初演です)で始まりました。始まったとたん、あっ和風って思いましたが、アメリカのジャジーな雰囲気も持っていて、聴きやすい分かりやすい音楽でした。若い人の作品かと思ったら、還暦の方なんですね。十分な長さのある曲も聴いてみたいと思いました。

2曲目はブラームスのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンはオランダ人のジャニーヌ・ヤンセンさん。ロンドンではときどき演奏している方ですが、何故かわたしは聴くのは初めて。と思ったら、ロンドンに来てすぐの頃、聴いていたんですね。すっかり忘れてた。
正直最初よく分からなかったです。この人上手いのか下手なのか。音程がわたしの音程と違った感じがして、音の粒も不揃いな感じがしたんです。昼間に大好きなアリーナを聴いているので、それが耳に付いてて、ちゃんと聴けなかったんだと思います。先入観や他の人の演奏のことなんて考えずにその人の音楽をきちんと受け止めなきゃいけないのに、音楽の聴き手失格ですね。一端、敢えて目を閉じて、音だけ聴き始めたら、なんとか持ち直しました。自信ないけど。彼女の音は柔らかい感じで、凛とした音が好みのわたしの音ではないけど、弱音は音に力があって良かったです。第2楽章と第3楽章はとても良い演奏だったと思います(第1楽章は途中までちゃんと聴けてないので分かりません)。彼女の演奏はまた機会があったら聴き直してみたいです。ハーディングさんのオーケストラがちょっともたついちゃったかな。第3楽章のリズムがちょっとぎこちなかったし。曲が終わって拍手のとき、彼女は係の人から花束をもらったとき(女性演奏家には花束が手渡されます)、ささっとオーボエの人に花束を渡しに行きました。第2楽章のオーボエのソロきれいでしたからね。オーボエはまたも客演のシスモンディ(nora cismondi)さん。ずいぶん長く客演してますね。オーディションの試用期間でしょうか。彼女のオーボエとってもステキなんだけど、ちょっとソリスティック。ウィーン・フィルの奏者のように身体を揺らしながら吹く姿は、ちょっとロンドン・シンフォニーの文化から浮いてる感じ。わたしとしては彼女に来て欲しいけど(オーディションじゃなくて単なる客演で来てるだけかも知れませんが)、ロンドン・シンフォニーの音や文化には合わないかも知れないな。でも彼女なら、どこでも一流のオーケストラに採用されるでしょう(オーケストラの音楽と彼女の音楽が合えばですけど)。

ヤンセンさんはオランダ人らしく大柄。小柄のハーディングさんの方が小さい?
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噂のシスモンディさん
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後半はジークフリート牧歌と死と変容。ジークフリート牧歌が良かったの〜〜。確かコジマのお誕生日にワグナーがサプライズで贈った音楽なんですね。ステキ〜。わたしも誕生日にベッドで寝ていたら外から生のステキな音楽が。ってされてみたい。あっでも今の時代だからってクセナキス張りの音楽が聞こえてきたら寝覚め悪いかも。暖かくて幸せで、今日はこの演奏が一番良かったかな。
で、期待していた死と変容はちょっと期待はずれ。確かに壮麗にオーケストラはなっていたし、これだけを聴けば普通に良かったと思えたかも知れないんですけど、前回のシュトラウスを聴いてしまっていますからねぇ。もっとできるんじゃないかと思ってしまうんです。アンサンブルも荒く聞こえました。何かちぐはぐ感があって音楽に没入できない。そういえばこの曲へのオマージュがスーパーマンの音楽になってるのよねなんて、あまり関係ないことを考えていたりして。地平線に沈む荘厳な落日を音で感じるような忘我の境地には至れませんでした。リハーサル不足かも知れないなぁ。指揮者もオーケストラも聴いてるわたしも生き物だから、いつも最高の状態でいられるわけではないし、こんな日もあるのがまた音楽会通いの面白いところだと思うんですけど。

by zerbinetta | 2011-02-17 20:23 | ロンドン交響楽団

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