i absolutely agree with you   

17.04.2011 @barbican hall

falla: el amor brujo
michael daugherty: fire and blood
stravinsky: the firebird -suite

vadim gluzman (vn)
kristjan järvi / lso


ロンドンの音楽会ブログ仲間はみんな、マゼールさんとフィルハーモニアのマーラー・サイクルの方に行ってるような気がするけど、わたしはひねくれて、(実は後ろ髪を引かれつつも)クリビー(クリスチャン・ヤルヴィさん)とロンドン・シンフォニーの音楽会に行ってきました。マゼールさんじゃなくてこちらのチケットを取ったのは、今更マゼールさんのマーラーでもないだろうと思ったからで、後ろ髪を引かれたのは、マゼールさんの復活の第5楽章の打楽器(もちろんスミスさんも参加)のクレッシェンドは凄いんだろうなってここだけ聴きたいと思ったからです。ここ数日体調が悪くって、引き摺る体にむち打ってってなんか悲壮感ありますね。もう音楽会は業です。

今日の音楽会も人が入らなかったみたいで、わたしの一番安い席は、平戸間の割と良い席に換えてくれました。こういうことままあるのですよ。
クリビーが出てきていきなりマイク・パフォーマンス(?)で始まった今日の音楽会。今日の音楽会のテーマ、ファイアー・アンド・ブラッドと2曲目に演る英国初演のヴァイオリン協奏曲についての簡単な解説がありました。そして、最後の火の鳥。1945年版の組曲を演奏するのだけど、演奏会用ヴァージョンではこれが一番いいって、そのとおり! もうわたしの気持ちを代弁してくれたみたいでめちゃうれしい。

1曲目のファリャの曲、スペイン語ちんぷんかんぷんなので、かろうじてamorは愛だって分かるけど、知らない曲かと思ってたら知ってる曲だった。でも名前は思い出せない。で、今書きながら、あっそうだ愛の三角帽子、じゃなかった恋は魔術師でしたね。プログラムに載ってた英語タイトル、love the magician。あっそうか。もう最初っからダンスモード全開。クリビーほんとにこういう曲にぴったりはまってる。指揮は踊ってるし。足はステップ踏んでるし、手の動きは水平方向だったり(普通の指揮は基本縦)、右手と左手交互に出したり、踊りながらオーケストラを捌くの。こんなふうにやられたらオーケストラだって盛り上がらずにはいられない。もちろんわたしも頭ふりふり(あっ後ろのお客さんの迷惑にならないように小さくよ、後ろいなかったけど)。わたしのハートに火が付きましたよ。次はスプラッター♪

2曲目のファイアー・アンド・ブラッドはヴァイオリン協奏曲。USの作曲家、マイケル・ドアティさんが2003年にデトロイト・シンフォニーの委嘱で書いた作品。
「ねえパパ、今度ファイアー・アンド・ブラッド演るんだけどどう振ったらいいの?」
なんてヤルビー一家の会話が聞こえそう、なんとこの曲の初演者はパパビーなのです。
デトロイトで活動したメキシコの画家、ディアゴ・リヴェラとその妻フリーダ・カーロに想を得て作曲されたこの作品、そんな解説どうだっていい、かっこいい音楽です。始まりはスパイ映画のテーマかと思っちゃった。わたしの現代音楽への批判は、保守的な作品を好まない、かといってもろ前衛的な作品は理解できない、という情けなくも中途半端なものですが、そんなこんなは吹っ飛びました。確かにメロディアスで分かりやすい作品ではあります。映画の時代の現代にふさわしい音楽家も知れません。でも、そんなことどうでも良い力強さ、かっこよさが強烈に光を放ってます。作曲家は作曲家としての立ち位置なんてこれっぽっちも考えずに自分の技量を駆使して、彼にしかかけない音楽を書いてる。そしてクリビーもものすごい勢いで音楽を鳴らしてる。
ヴァイオリンは、わたしは弾けないので的外れかも知れないけど、ものすごく難しそう。そしてオーケストラに対抗できる大きな音が必要とされてます。漢の音楽。まさにヴィルトゥオーゾ協奏曲。ヴァイオリンのグルズマンさんは、こんな難しい曲を楽々と完璧に弾きこなします。この人初めて名前を聞く人だけど、めちゃくちゃ上手い。そしてなんと言っても男前の音。大らかでふくよかな大きな音で、完璧にオーケストラに対抗します。ニラレバ炒め大盛りで、餃子ひと皿、ビール大瓶みたいな音楽を平気で平らげるマッチョ系ナイス・ガイです。でも、あとでステージに上がった作曲者のドアティさんの方が大男でした。
わたしもレバニラ炒め大好き。餃子も食べたい。なので、この曲が一発で好きになりました。CDとか出てないかしらね。ヴィルトゥオーゾ系のいかした(死語かしら?)ヴァイオリン協奏曲としてポピュラーなレパートリーにならないかしら。

最後は火の鳥。もちろん1945年。クリビーの演奏は土臭くなく、現代風、でもなかった、あんまり尖っていない丸みのある演奏。ほんとはもっと尖った音楽だと思うのだけど、オーケストラの柔らかな音がそれを打ち消して音楽をふわりと響かせてる。わたしとしてはつんつんに尖った方が好きなんだけどね。クリビーは出し入れをはっきりしたり、緩急を付けてダンサブルな(もともとバレエの曲だし)にしてる。一所懸命予定調和的にならないように緊張感を出している感じ。特にカスチェイの凶悪な踊りでの、あり得ないくらいのアチェレランドはオーケストラを振り切ってた。むちゃくちゃオーケストラを煽って生き生きとした音楽にしていたのはさすがダンシング指揮者。最後の8分音符での賛歌は、オーケストラの音色もあってわたし好みのスーパードライではなくドライくらいだったけど、なかなか楽しめる演奏でした。会場にはサラ・チャンさんが聴きにいらしてたようで、ツイッターで彼女、今まで聴いた火の鳥の中で1番だったと絶賛していました。
そしてなんとアンコール。曲目は分からないけどロシア系の賑やかな踊りの音楽。クリビー、サーヴィス満点の楽しい音楽会でした。家に帰ってまだ頭が痛かったけど、元気になりました。

ドアティさん(クリビーの後ろの一際背の高い人)、クリビー、グルズマンさん
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by zerbinetta | 2011-04-17 09:18 | ロンドン交響楽団

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