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フェミニズムもどきとコンサートミストレス   

日本ではもはや市民権のある言葉、コンサートミストレス、略してコンミス。オーケストラのコンサートマスター(第1ヴァイオリンのトップでオーケストラの演奏をオーケストラの中からリードする人)の女性形。これ、確かに英語の単語で、英語でもそういう使い方はあるとも言えるのだけど、そこがちょっと微妙なところで、ミストレスにはちょっとムフフな意味もあるから、あまり使わないというか、英語で女性のコンサートマスターをコンサートミストレスということには、文法的に正しくても実用的には否定的な意見が多いんです(ウェブ・アンケートやわたしの近所調べ)。それでも、たまにUSのオーケストラでもコンサートミストレスの表記はあるので完全にダメというわけではないのだけど、変に思う人が多いというのは知っていた方がいいと思うんです。元、わたしのオーケストラナショナル・シンフォニーもコンサートマスターは女性ですが、コンサートマスターです。

もちろん、サラリーマンが英語ではないけれども日本語としてしっかり定着してるように、日本語として使う分にはいいかなとは思うんです(わたしは使わないけど)。でも、海外に英語で発信するときは注意した方がいいと思うんですね。

それで、日本のオーケストラのウェブ・サイトを調べてみたんですよ〜。10つのオーケストラのウェブ・サイトを見て、女性のコンサートマスター(副コンサートマスターを含む)のいるオーケストラは6つ。そのうち、正式な職名として日本語でコンサートミストレスと記載されていたのはひとつもありませんでした。コンサートミストレスは正式には使われていないんですね。意外。ひとつだけ、読売日本交響楽団の客員コンサートマスターの鈴木理恵子さんの紹介文にコンミスという表現がありました。

コンサートミストレスという言葉、マスターが男性のことなので女性をきちんと表す(もしくは中性的な)言葉が必要ということで新しく生まれたのでしょう。例えば、チェアマンがチェアパーソンに置き換えられたように。でも、わたしにはちょっと勇み足かなと思われるのです。コンサートパーソンみたいな中性的な言葉ならいいのだけど(語感が悪くて不採用?)、男性と女性を区別する必要はあまり感じないし、コンサートマスターのマスターを男性と決めつけるのもどうかと思うんです。マスターという言葉があまり性を表現していないんじゃないかという意見は英語話者にもあって、それがコンサートミストレスがまだ一般的には使われない理由のひとつでもあるようです。
まあ、でも、日本語のコンサートミストレスは、女子の付加価値を付けるような匂いも感じられて、それは例えば、女性弁護士とか女医とか(あっでもこれらは実用的には女性のお客さんにとっては、選ぶ上で必要か。でもテレビドラマなんかの女性弁護士なになになんてタイトルは不純動機よね)、でなければ女子大生とか女子社員とか、ことさら性を強調する必要はないのに、女子を付けちゃうみたいな、胡散臭さを感じるのですね。フェミニズムに端を発してるように見せかけて、かえって男性上位の思想が見え隠れするみたいです。まっ、女子力0のわたしが何を言っても始まりませんけどね。

このお話、話を変えて続きます。

by zerbinetta | 2011-09-01 00:35 | 随想

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