ラヴラヴ パスカル&アミ・ロジェ 「ヤング・ドビュッシー」   

16.02.2012 @hall one, kings place

debussy: danse bohémienne; suite bergamasque; deux arabesques; ballade; petite suite;
images book II; la mer

pascal & ami rogé


アミユミといったらパフィー(USでライヴ行きましたよ。勢いで)。アミロジェと言ったらパスカルさん。(パスカルと言ったら3平方の定理だと思ったら、ピタゴラスでした。あほ) いいえ、本当はロジェが名字なのでアミパスカルと言った方がいいのだけど、語感が。

今日は裏で、ギルバートさんがニューヨーク・フィルを引き連れてマーラーの交響曲第9番を演奏したのです。最近、ニューヨークでの音楽会で携帯電話が鳴りやまなかったことで一躍有名になってしまったこの演奏ですが、携帯電話が鳴ることには興味があったんだけど(ウソです)、この曲はロンドンに来てもう8回も聴いてるし、近々もう1回聴くことになっているので、今日はパス。仕事も何時に終わるか分からなかったので音楽会はなしと思っていたのに、うっかりこちらの音楽会を見つけてしまってチケットを取ってしまいました。インターネット購買特典の空いてる席を直前に割り振るというチケットが9.5ポンド。これ、会場に行って発券するときに機械的に良席から割り振られて、わたしはセンターのセンター、自分では絶対買わないだろう一番高い席に座ったのでした(高いと言っても20ポンドか30ポンドのハズ)。

アミ・ロジェさんは実は知らないのです。パスカル・ロジェさんは知っていて、生では聴いたことないのですが、確か日本にラヴェルのピアノ曲のCDを持っていたと思います。聴いたのずいぶん前なのですっかり忘れてしまっているのですが。去年だったか、友達がリサイタルを聴きに行ってとっても良かったと言っていたので、聴いてみたかったのです。そして、大好きな、でもオーケストラ・ヴァージョンでしか知らない「小組曲」も入っていたのが後押ししました。この音楽会、2日にわたっていて、今日が若い日のドビュッシー、明日が後年のドビュッシーと題されているのですけど、明日はこの間オーケストラで聴いてとっても印象的だった「白と黒で」が入っていてそちらも聴きたかったのですが、他の音楽会のチケットをすでに持っていたので断念。今日来たのです。キングス・プレイスのサイトには、パスカルさんの写真と共に日本人っぽい顔立ちのアミさんの写真も出ていて、娘さんかしらと思っていたら、実は最近結婚された奥さまでした。ってパスカルさんいったい何歳?ずいぶんキャリアが長い気がするけど、それはお父さん?とかおろおろしてしまうわたし。彼自身若く見えるけど実は還暦だったんですね。そして娘さんみたいな奥さま。日本人の血が混ざっている(US育ちみたいですが)方なんですね。彼のウェブ・サイトに行くと、おお!じゃぽーん、というような日本での結婚式の写真が見られます。

と、余計な話ばかり長々と。
ドビュッシーはわりと苦手な作曲家です。ピアノ音楽に疎いので、聴くのは3、4の管弦楽曲ばかり。そのせいか、初めはどうして良いのかよく分からなくって雲をつかむような雰囲気。わたしの中に、音楽の芯がないのでどう聞いていいのか戸惑う感じ。それが、2曲目のベルガマスク組曲になって、あっこれは知ってるととりつくべき島を見つけたのでした。そして、「月の光」のなんて美しいこと。この有名な曲は、わたしでも何回か聴いたことがあるけど、まるで別の音楽のように感じました。こんなに優しく美しい音楽があるのかと。ここで一転して、わたしのドビュッシーに対する思い込みが解かれたのかも知れません。ドビュッシーの音楽がもの凄くステキに聞こえて。初期の音楽にはまだ、ロマン性が色濃く残っているからかも知れません。本当に甘くておいしいフランスのケーキを食べたときの気持ちです。
「亜麻色の髪の乙女」は、結構ぴょんぴょんはね回ってる活発な少女系だなぁと思っていたら、乙女ではなく、アラベスク。曲違い、というオチ付きでした。4手になる、「小組曲」までの、小品たちを全部間に拍手を入れずに、つなげて演奏したのは、緊張と雰囲気が持続されて良かったです。
拍手と共に一端袖に引っ込んだパスカルさんが、今度はアミさんと手をつないで登場。ものすご〜く仲良しって感じです。大好きな(といっても聞いているのはオーケストラの方ですけど)「小組曲」は、ふわふわと柔らかな綿アメのような演奏ではなくて、リンゴ飴のようにクリスプで輪郭がはっきりした甘さ。ピアノの叩いて出す音と、オーケストラの吹いたり擦ったりして出す音の響きの違いから来る音楽の印象の違いが手に取るように分かって面白かったです。ピアノで弾くと、音が風に揺れるかざぐるまや窓のようにカタカタと響いて、小舟は池に揺れてるちっちゃなおもちゃの船か笹の葉船のような感じだし、オーケストラで聴くよりなんか、小ささかわいらしさが強調されるみたいでステキ。それに、ピアノって、この曲はひとりではなくふたりで弾くけど、たくさんの人数で合わせるオーケストラよりも自由。ふたりの間には、もううらやましくなっちゃうくらいの親密な恋人どおしな一体感があってもうなんだか当てられてしまうみたいな。芸術でも私生活でも愛し合ってるのは最強。

後半はどっと雰囲気が変わりました。前半のロマンティックよりのドビュッシーに対して、後半はいわゆるドビュッシーらしさ、4度とか5度とか全音階、が出てきて、時代が移ったんだなぁと一聴で分かる音。それにしても、今日ロジェさんのピアノを聴いて、ドビュッシーのピアノ曲の良さが初めて分かったように思えます。彼のピアノには、鋭い凄さみたいのはないし、決してカリスマティックではないんだけれども、会場の光りをきらきらと柔らかな銅色に変える、なにか全体の雰囲気をふわりとドビュッシーの色に染めるピアノなんです。ドビュッシーの音楽の世界だけが純粋に会場に満ちるんです。わたしは、心地良くドビュッシーの世界に浸ればいいだけ。

最後の「海」は、ドビュッシー自身が4手のピアノのためにオーケストラ版に数ヶ月先だって完成させた作品。オーケストラのために書かれた作品なので、オーケストラ版の方が説得力あるんだけど、こうしてピアノ版を聴いてみると、ドビュッシーがピアノの人、ピアノの作品を書くようにオーケストラの曲を作ったんだなって発見できてびっくり。だって、音が叩いたらすぐ減衰していくピアノで弾いても全くそのまま弾けちゃうんだもの。

ああ、それにしても予想外にステキな音楽会でした。相変わらずキングス・プレイスの雰囲気はいいし、木の柔らかなホールの響きもピアノに合っているし、好きだなここ。そして、パスカルさんとアミさんのラヴラヴぶりにはちょっと当てられたけど、カーテンコールのとき頭にキスしてた人初めて見たよ、アミさんかわいらしすぎ。ずうっと口を開けた笑顔で、AKB48に混じってても分からない感じ(あっAKB48そのものを知らないんですけどね)。ああ、明日も聴きに来たいなぁ。ニューヨーク・フィルのチケットさえ持っていなければ。。。
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by zerbinetta | 2012-02-16 21:35 | 室内楽・リサイタル

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