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溶け合う音 イッサーリス、レヴィン ベートーヴェン ピアノとチェロの作品集   

27.04.2012 @queen elizabeth hall

beethoven: 12 variations on handel's 'see the conqu'ring hero comes';
cello sonata no. 1; 12 variations on 'ein mädchen oder weibchen';
horn sonata transc. for cello; cello sonata no. 3

steven isserlis (vc)
robert levin (fp)


バレエの合間に1日、あいてる日があったので、友達が行けなくなったサウスバンク・センターのチケットがあったので、それで今日の公演のチケットを買って聴いた来ました(なんかフクザツ?友達にはちゃんと換金された分のチケット代払いましたよ)。
イッサーリスさんのチェロ、聴きたかったんです。今度OAEと共演するのでそのときトリプル・コンチェルト聴く予定なんですけどね。レヴィンさんとのベートーヴェン、チェロ・ソナタ全曲演奏シリーズは、2回、今日はその1回目、ソナタは第1番と第3番、それに変奏曲とかホルン・ソナタをチェロのために編曲したものが演奏されます。

イッサーリスさんはふあふわ頭。後ろから見たらラトルさんと区別つかなかったり。一方のレヴィンさんは、大学の先生タイプ。実はもちょっと歳をとったお方かなって思っていたんですが、意外と若そうでびっくり。イッサーリスさんは結構大きな振りでチェロを弾きます。全身を使って音楽を表現しています。
今日の音楽会でびっくりしたのは、フォルテピアノとチェロの組み合わせは初めて聴くのですが、ふたつの音がなんて美しく溶け合うことか。特にフォルテピアノの低音とチェロの低弦の音の親和性が高くって、一瞬ピアノの音なのかチェロの音なのか分からなくなるほど。小さなホールでちょうど良い音量だったし、しっかり情熱的な演奏で素晴らしかった。日程の都合で今日の音楽会しか聴けなかったけど、もうひとつの音楽会も聴いてみたかったと強く思ってしまいました。チェロって歌う楽器ですよね。イッサーリスさんのチェロには古楽にありがちな乾いたところがなくてとってもステキでした。

曲については全ての曲が初めての曲なので、気の利いたことは言えません。
最初の曲は、表彰式のときよくかかる有名なヘンデルの曲を元にした変奏曲だけど、曲としてはちょっと平凡かなぁ。主題が偉大すぎて、やっぱこのメロディは大らかにたっぷり歌って欲しいから変奏しちゃうと面白くない。でも主題が回帰するところはさすが歌う楽器だなって思いました。

「魔笛」の有名なパパゲーノのアリアの旋律による変奏曲は、この軽快でかわいらしいメロディが大好きなので楽しめました。とっても楽しい音楽。わたしもパパゲーノのような生き方をしたいの〜〜。

ホルンのためのソナタをチェロのために編曲したのは、ホルンでは演奏機会が少ないからだそう。だって、ホルンのパートめちゃくちゃ難しそうで、よっぽど上手なホルン奏者を必要とするし、チェロだと簡単ってことじゃないでしょうけど、少なくとも音階は苦もなく弾けるからね〜(当時のホルンはヴァルヴがなくて自然倍音以外の音を出すのに苦労したそう)。なので最初のチェロパートは狩りのホルンをイメジさせるかっこよさ。それにしてもベートーヴェンはホルンにこんなにメロディアスな音を吹かせるとは。ホルンでもぜひ聴いてみたいけど、チェロでも違和感なく楽しめました。

そして今日の2曲のチェロ・ソナタは間違いなく素晴らしい音楽。第1番は最初の作品だけど、もうすでにピアノとチェロが対等で、とっても充実してる。そして第3番は、間違いなくベートーヴェンの書いた最良の音楽のひとつ。作品の力強さはさすがだし、解説によると充実した中期作品群のひとつだそうだけど、まさにその通りとわたしも思いました。
イッサーリスさんとレヴィンさんの演奏も、そんなベートーヴェンの音楽にしっかり応える素晴らしい演奏で、ピリオド楽器だとお互いの音が溶け合って一体の音楽として響くのがステキです。現代の楽器だと、ともすれば自己主張が強くてそれぞれが独立して聞こえるきらいがあるのでわたしは、このピリオドでの演奏が好きです。もちろんもう少し激しい音が欲しいときに、特にピアノですが、弱さを感じることがあったので一長一短かも知れませんが、わたしの好みはピリオド楽器での演奏だなぁ。イッサーリスさんとレヴィンさんの演奏だからっていうこともあるのかも知れませんが。

充実した音楽会で、次の回を聴けないのが残念。今週末は、いろいろ予定があって、コジョカルさんの「リーズ」や大好きなキングス・プレイスであるタコの弦楽4重奏の全曲演奏会も聴けなくて残念。ロンドン、音楽会多すぎ!

by zerbinetta | 2012-04-27 07:35 | 室内楽・リサイタル

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