全てを取り仕切る司祭 ガッティ、ロイヤル・オペラ「ファルスタッフ」   

28.05.2012 @royal opera house

verdi: falstaff

robert carsen (dir)
ambrogio maestri (sir john falstaff)
kai rüütel (meg page), ana maría martínez (alice ford),
marie-nicole lemieux (mistress quickly), amanda forsuthe (nannetta),
joel prieto (fenton), dalibor jenis (ford)
daniele gatti / roc, oroh


久しぶりにオペラを観にロイヤル・オペラ・ハウスに足を運びました。ヴェルディ最後のオペラ「ファルスタッフ」。指揮するのは、カフェで油を売ってるおっちゃん、ガッティさん。この間の音楽会でのマーラーの演奏が圧倒的に良かったので、今日もとっても期待してました。そして期待は裏切られることなく、まさに期待以上。

「ファルスタッフ」はシェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」を元にした喜劇。でも、ヴェルディは渾身の力で音楽を書いているので、音楽が思いっきり雄弁。どたばた劇に最高の音楽を付けてる。新歓コンパのお料理を3つ星レストランのシェフが作るって言ったら言い過ぎかな。それにしても、悲劇と喜劇とでは音楽の作り方も違うと思うのに、ヴェルディはしっかり喜劇の音楽書いてるし、しかも音楽はかなり先鋭的。喜劇と悲劇であまり音楽が変わらないワグナーとは大違いだな。

特定の王とかを扱った歴史物ではないので、演出の自由度は高いともうのだけど、今回のカールセンさんの1950年代に時代を翻案した演出は分かりやすくてとってもステキ。喜劇、楽しいことは身近にあった方が嬉しいもの。それになんと言っても分かりやすいですからねー。オペラなんてフィクションの世界だし、わたしは歴史オペラでも意図がきちんとあって音楽をじゃましなければ、読み替えた演出も大好きです。オペラの上演が全部、読み替え演出になったら嫌だけど。(オペラが全部、オーセンティックな演出で上演されるのも嫌ですけど)

歌手は、わたしがよく知らないだけかもしれないけど、有名なスター歌手は出ていません。その代わり、どの役にも隙のない、高水準の歌手を集めていました。アンサンブル・オペラにはふさわしい人選。思う存分楽しめました。食べ物や飲み物がたくさん出てくるのだけど、意外とちゃんと飲んだり食べたりしていました。ワインはノンアルコールかしらね。

で、音楽が!ガッティさんはオペラを暗譜で振ったのだけど(びっくり)、もう完全に掌握してる感じで、オーケストラも舞台上の歌手も、彼の指揮棒の元に一糸乱れぬパフォーマンス。完全にガッティさんのオペラになっていました。交響曲のようなオペラ。このやり方には、反対意見もあるでしょうけど、全てが一体化した説得力はやっぱり凄い。ヴェルディが書いた全く無駄な音の無い音楽を、一音逃さず完璧なブロックを組み上げるように音にしていきます。オーケストラもがんがん鳴って上手いったらありゃしない。音楽的にもものすごく充実した3時間でした。ふう。スポーツをして試合に勝ったような充実感と疲労感。シャンパン振って頭からかけたいくらい。
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by zerbinetta | 2012-05-28 03:35 | オペラ

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