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またまた若者 ラニクルズ、スコットランド・ユース・オーケストラ、BBCスコティッシュ交響楽団   

5.8.2012 @royal albert hall

james macmillan: fanfare upon one note
wagner: the mastersingers of nuremberg -prelude
bruch: scottish fantasy
strauss: don juan
thea musgrave: loch ness -a postcard from scotland
respighi: pines of rome

nicola benedetti (vn)
donald rannicles / bbcsso, national youth orchestra of scotland


またまた、若者のエキス。今度はスコットランドのユース・オーケストラ。昨日がイギリス全土だったのに、今日はスコットランド・ローカル。さすがに小粒感は拭えませんね。今日はユース・オーケストラ単独で演奏されたのはブロッホの「スコットランド幻想曲」だけ。あとは、BBCスコティッシュ交響楽団との共演です。わたしの目的は、プチ応援してるニキとラニクルズさん。ニキのヴァイオリンはなるべく聴かなくちゃと思ってます。

最初はマクミランさんの金管楽器と打楽器のかっこいいファンファーレ。3分くらいの短いファンファーレだけど、十分に複雑でステキ。ファンファーレって単純な音楽だと思ってたけど、どっこい、まだまだかっこいい可能性が残されてるのね。
2曲目は「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」。まあこれまたかっこいい音楽だけど、ラニクルズさんがオペラ指揮者の本領発揮で、オペラの序曲のようにさらりとでもふくよかな味付けで演奏されました。内声がとても充実していて、対向する旋律群がきちんと全部聞こえてすごくいい演奏。ますます好きになったよ、ラニクルズさん。
休憩の前、最後は「スコットランド幻想曲」。もちろんソロはニキ。オーケストラはユース・オーケストラ。スコットランド生まれのラニクルズさんとニキ、スコットランドの若者オーケストラ、もう、みんな同じ釜のハギスを食べた仲よね。そんなスコットランドつながりのスコットランド大好きっ子たちが演奏する「スコットランド幻想曲」ですもの、共感に満ちていたのは間違いありません。それにしてもスコットランドってきれいな旋律の宝庫だなぁ。日本人には何故か特に親しみがありますよね。ニキのヴァイオリンは今日は普通かなぁ。丁寧に歌っていたけど、驚きはなかったです。今日は遠くからぼんやりとリラックスして音楽を聴いてたからかなぁ、まったりと楽しみました。
アンコールには、ユース・オーケストラのリーダーの男の子!を誘って、ふたりでデュオ。曲はスコットランド民謡を編曲した感じの曲。若いけれどもコンサート・ヴァイオリニストとして世界中を飛び回ってるニキお姉さまと、ステージの上ではまだシャイな高校生の男の子という構図が何とも微笑ましかったです。
またまた若者 ラニクルズ、スコットランド・ユース・オーケストラ、BBCスコティッシュ交響楽団_c0055376_1452062.jpg


休憩のあとの「ドン・ファン」は、BBCスコティッシュ交響楽団の演奏。これはもうとってもステキな演奏。ゴージャスな艶やかさはないけれども、しっとりと柔らかくってじんわりと深く音楽の中に沈み込めるような演奏。モノラルのレコードのような色彩感。でも、これがかえっていい!ちょっと古ぼけた感じがシュトラウスから薫るノスタルジアを上手く表現しているような気がして。
それから、ティア・マスグレイヴさんの新作、「ネス湖ースコットランドの絵はがき」、初演です。ネス湖と言ったら怪獣。もうわたしったら、ネス湖の怪獣にもの凄い憧れを持っていて、できることなら見に行きたいっ、イギリスにいる間にぜひ!と思っていたんだけど、実現せず、だってネス湖ってかなり辺鄙なところにあるんですよ、だから今でも怪獣が住んでるんだと思うんですけど、で、この曲はネス湖の怪獣の音楽なんです。チューバのソロがそれはもう大活躍で、プログラム・ノートによると、これが怪獣を表してるそうなんですけど、チューバ協奏曲と言ってもいいくらい。怪獣はゴジラみたいに凶悪でもおどろおどろしいものでもなく、ぬるりとした不思議の生き物みたい。むしろ霧の中の神秘な風景画と言ったところかしら。演奏後、客席にいた作曲家をラニクルズさんが呼んだんですけど、その場で立って挨拶されただけで、控え目な感じのおばあちゃんでした(御歳84歳)。
最後は、BBCスコティッシュ交響楽団とスコットランド・ナショナル・ユース・オーケストラ全員合同で「ローマの松」。何だかずいぶん久しぶりに聴いた感じがするこの曲。好きだ〜この曲。ラニクルズさんの演奏は、派手やかなところよりも、静かな部分をとっても美しく強調した音楽で、カタコンバの松とジャニコロの松がステキでした。鳥の声はテープだったけど、これって調べてみたらレスピーギ自身が録音を使うことと指定してるんですね。知らなかった。舞台外の金管楽器はどこかとんでもないところから聞こえてくるのが好きなんだけど、舞台の後ろの方に座っていてオーケストラの中の音として聞こえてきたのはちょっと残念でしたが、しっかり盛り上がって、熱くなって終わりました。

by zerbinetta | 2012-08-05 01:43 | イギリスのオーケストラ

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