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5番ホルンに注目! ビシュコフ、BBC交響楽団「英雄の生涯」   

8.8.2012 @royal albert hall

schubert: symphony no. 7
richard dubugnon: battlefield concerto
strauss: ein heldenleben

katia & marielle labèque (pf)
semyon bychkov / bbcso


つい数日前、BBC交響楽団が、ギュンター・ヴァント・コンダクティング・チェアーなるタイトルを創設して、その最初の栄誉にビシュコフさんがなられたというアナウンスメントがありました。BBC交響楽団とヴァントさん?って、って感じだったんだけど、ヴァントさん、昔、BBC交響楽団の主席客演指揮者だったのですね。どうやら、客演指揮者として功績のある人を称えるポストみたいです。ビシュコフさんはBBC交響楽団に正式なポストを持ったことないはずですけど(現在の主席客演指揮者はロバートソンさん)、確かに毎年のように客演してはステキな演奏を聴かせてくれてましたからね。奇しくも今日はそのお披露目。

シューベルトの「未完成」は、弱音を徹底的に強調しすぎてしすぎちゃったかしら、みたいな演奏でした。この曲って、クラシック界の超有名曲だし、名曲だけど、なぜかわたし、この曲のぞくっとする演奏に出会えないんです。いいなって感じる演奏には出会えるんだけど、やっと見つけた!と思える演奏がないの。どうしてでしょう?今日のこの演奏もそう。ちゃんとステキな演奏なのに、とうとう出会えた感がなくて寂しく見送る、そんな感じです。

2曲目は、ラベックさん姉妹を迎えての新しい協奏曲。イギリス初演です。2群のオーケストラと2台のピアノ、ラベックさん姉妹のために書かれた曲です。そしてその通り、おふたりの個性、これがもう正反対な感じで面白いんです、自由奔放のカティアさん、しっかりとペースを刻むマリエルさん、このおふたりの対照がなければ、こんなにも長く第一線でデュオを続けることはできなかったに違いありません。お互いの個性のぶつかり合いが音楽の化学反応を生みさらに自由に飛翔できるんですね。そんな感じを今日のピアノから凄く受けました。そういうふうに作曲されてるから。まさに彼女らのための音楽です。だからピアノ・パートはとても面白かった。でも、オーケストラ・パートはちょっといまいちでもったいない。これがもっと良く書かれていたら2台のピアノとオーケストラのための定番になったかもしれないのにって偉そうに思いました。ピアノのパートだけ耳を集中して聴いていました。
それにしても、ラベックさん姉妹、相変わらず年齢不詳。むちゃ色気のある美人姉妹だわ。ちなみに、マリエルさんは指揮者のビシュコフさんのパートナーなんですね♡美女と野獣??

最後は「英雄の生涯」。大きなオーケストラ。と、見てたら、5番ホルンにあれっ?フィルハーモニアのケイティさん?ゲスト・プリンシパルじゃなくて5番?プログラムを見たら、ケイティさんではなくてキャサリンさん。あれれ?ますます混乱するわたし。似てるけど違う人?でも吹き方ケイティさんだし。わたしの中ではやっぱりケイティさんだって確信したんですけど、あとで調べてみたら、ケイティってキャサリンの愛称なんですね。なぁんだ。と、全く本筋から遠いところで重箱の隅に残ってる栗きんとんのかけらをつついてるわたしですけど、5番ホルンをずっと見てると、意外と大活躍なんですね。ソロも多いし。
ビシュコフさんの「英雄の生涯」は流石と漢字で唸らせるような音楽。盤石ですね。BBCシンフォニーも上手いし、落ち着いて安心して聴ける演奏。わたしとしては、(わざと)ドキリとバランスの崩れる瞬間がある演奏が好きなんですけど、ビシュコフさんはそういう演奏をするタイプではないのですね。しっかりと完成度の高い、繰り返して聴いても崩れないタイプの演奏でした。
それにしても34歳でこの曲を作曲したシュトラウス。もうすでにたくさんの業績があって、引退さえするなんて(曲の中で)いいなぁ。もしわたしが同じような曲を作曲したら、シュトラウスの歳は優に超えてるのになんにも業績ないぞ。ってかふにゃふにゃな曲になりそう。実際、シュトラウスはこの曲を最後に、交響詩を書くのを止めて、オペラの世界に没頭していくのですね。もしかしたら交響詩作曲家としての自分を葬る作品だったのかもしれません。

by zerbinetta | 2012-08-08 07:26 | BBCシンフォニー

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