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うわっ!ステキなチェロ! ソル・ガベッタ、エルガー チェロ協奏曲   

12.10.2012 @royal festival hall

prokofiev: symphony no. 1
elgar: cello concerto
sibelius: symphony no. 2

sol gabetta (vc)
vassily sinaisky / lpo


何故音楽会に行くのか?そこにチケットの山があるからだ。と、登山家のように言い訳してるんだけど、今日の音楽会、チケットがあって、どうしてチケットを買っていたのか、分かりません。数合わせに買ったのかしら?まあいいや、わたしは登山家、チケットの山を崩さなければ。というわけで、なんだかよく分からないまま、マスタークラスのlso聖ルカからサウスバンク・センターへ移動です。

今日の指揮者のシナイスキーさん、全く知らない人です。いつもならワクワクしながら聴くんですけど、今日は風邪ひいたみたいで、ちょっともったり気分。で聴き始めたら、やっぱり、う〜ん、プロコフィエフの交響曲第1番、いいところもあるのだけど、何だか全体的にもっさりしてる。軽めなのか、重厚なのか、古典風なのかアヴァンギャルドなのか、いろいろはっきりしない感じ。どれかひとつに突き進んでくれれば分かりやすいのに。オーケストラは上手かったです。

2曲目のエルガーのチェロ協奏曲は、雨の日の哀しい気持ちにさせられる、ダウナーな、しみじみと良い曲なんですけど、今まで知らなかったチェロのガベッタさんがめっちゃ良かった!深い味わいの高級感溢れる木目のような肌触りの音色で、最初の一音からぐさりと刺さりました。チェロの表板の艶やかに磨き上げられた渋みのある琥珀色の音が滋味に溢れた音楽と重なり合ってもうそれはステキな時間。彼女のチェロの音色はステキだし、テクニックもあるし、音量も豊かで、ガベッタさんに一目惚れ、じゃない、一耳惚れ。お姿もとっても美人なんですけどね。でも、それ以上に彼女の音楽。琥珀の中に閉じこめられた虫の化石を掌にとって、過去の時間に思いをはせるような、とても大切な小さな心の箱の温かさを感じる音楽。しなやかにしっとりと歌うチェロは完全にわたしのツボ。うっとりと、1音も漏らすまいと聞き耳を立てて聞き惚れました。最近聴いたチェロ弾きの若手の中では、わたし的にピカイチ。今日の音楽会来て良かった!アンコールには、ラトヴィアの作曲家、ヴァスクス(peteris vasks)さんの無伴奏の曲を弾いてくれました。これは、エルガーの協奏曲とは対照的に、寒々とした孤独感のある細い繊細な音で、彼女の音楽性の幅広さを示していました。そして、彼女の歌付き(ハミング)。艶めかしさがあってどきり。
音楽会終了後、サイン会があったので空いてたので(ほぼ一番乗り、ロンドンでサイン会に長蛇の列ができるのはあまりありません。できても日本ほどではなさそうです)、ちゃっかりプログラムにサインしてもらいました。CDは会場でも売られていましたが、アマゾンで買う方が安いのでそちらで。グリモーさんと組んだCD、注文しました♬
うわっ!ステキなチェロ! ソル・ガベッタ、エルガー チェロ協奏曲_c0055376_15434620.jpg


休憩のあとはシベリウスの交響曲第2番。最初に戻ってこれも何だかよく分からないように感じました。シベリウスって短い旋律や旋律ともいえない動機が点描的に編み込まれて音楽になってると思うんだけど、近くで観た点描画のように転々がつながらないので全体像がよく分からない、と思ったんです。寄せては返す波のように最後は盛り上がるので良いのですけど、わたし的には全体的な流が欲しかったです。オーケストラは冷たいトーンで良く鳴っていたんですけどね。

というわけで、わたしとしてはぼんやりした感想なんですけど、風邪ひいて頭ぼんやりだし、少し遠くで聴いていたせいもあるかなって思います。でも、何回も言う!ソル・ガベッタさんは素晴らしいチェリストです!

by zerbinetta | 2012-10-12 22:36 | ロンドン・フィルハーモニック

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