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大人の女は憧れより現実よっ ジゼル 新国立劇場バレエ団   

2月23日 @新国立劇場

ジゼル

ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ(振り付け)
アドルフ・アラン(音楽)

米沢唯(ジゼル)、厚地康雄(アルベルト)
厚木三杏(ミルタ)、輪島拓也(ハンス)、他

井田勝大/東京交響楽団


新国バレエ,2回目です!ジゼル。
とまず、今日はオーケストラを褒めねばなるまい。井田さんがとっても良い指揮をして下さったの。ダンサーに寄り添うっていうか、すうっとダンサーに合わせて音を出し入れするみたい。ダンサーがきれいに見える音楽ってあるよね。ジャンプのタイミングに合わせたり,フィニッシュを決めたり。そんな音楽に聞こえたのです。井田さん凄い。バレーの音楽の演奏(伴奏って言いたくない)って特別で、オペラやコンサートの演奏よりも下に見られてる傾向があるけど、バレエを総合芸術と捉えると,そんなことない。指揮者にはかなり難しいプロフェッショナルなことが要求されるし、音楽と踊りがマッチしたときの気持ちの良い美しさったら、極上のステキですものね。井田さんまだ若いけど、バレエで活躍する指揮者になって欲しいな。

ジゼル。この振り付けは,ロイヤル・バレエで観たのと(だいたい)同じです。大きな違いは、ハンスがジゼルの家に狩った鳥をぶら下げないこと、じゃなくて、第1幕のパ・ド・シスがパ・ド・ドゥになっていることです。村の男女の踊りを6人で振り分けるところが2人なので,ひとりひとりの出番が多くなって(3倍増し)、主役のジゼルの踊りが相対的に少なくなっちゃった感じがしました。

わたしの印象は、前回同様、とっても良いでした。ひとりひとりの細かなお芝居は、ロイヤル・バレエに敵わないけど(だって、ロイヤルの演劇性は世界一だもの)、全体のまとまり方、コールドのそろい方なんかはとってもきれい。ひとりひとりが全体の中できちんと踊ってる。ロイヤル・バレエは、ひとりひとりが個性を表に出すことで演劇性を高めてるんだけど,両刃の剣で、揃えるところで個が立っちゃうことがあるのね。その点、新国バレエはきれいに揃えてきますね。白いバレエの第2幕はうっとり。

輪島さんのハンスは、不器用青年系。いつも観てたのは、粗暴な面がもう少し出るキャラクターだったので、ちょっと弱いかなぁ〜っても思ったんだけど(ジゼルが死んだとき激しい後悔よりもどうしてよいのか分からないふうだったり)、そういうところがもう少し強くなると、第2幕でもひたすらジゼルを愛するキャラクターが生きるのでは,なあんて思いました。でも、そうなればそれで、ジゼル。目を覚まして〜、現実を見るのよ!って叫びたくなっちゃう。そう、端から見ているわたしは、アルベルトきらい。
ミルタの三杏さんは、もう少し貫禄が付けばなぁって思いました。ウィリ界に君臨する絶対女王として。そうすれば、最後、ジゼルの愛がもう少し鮮烈になるのにな。でも、安定した踊りはステキでしたよ。
1幕のパ・ド・ドゥは、細田千晶さんと奥村康裕さんのペア。おや、主役を食っちゃうんじゃないかと思うくらいステキでした。といいつつやっぱり主役のおふたりはステキでした。アルベルトには,全く好意を示さないわたしなので、アルベルト役には辛口なんですが、厚地さんはとっても良かったです。第2幕も一所懸命ジゼルを求めて。でもわたしは叫びたい!この二股野郎!去ね!!と。ジゼルの唯さんは、第1幕ではちょっと子供に見えちゃって(日本人って子供っぽく見えちゃうし〜。ずっと外国人で見てたから,顔年齢認識改めないと)なんとなくふにふにした気持ちでいたんだけど(わたしが悪い)、第2幕はうんと良かったです。主役のおふたりとも,というか全体的に第2幕が素晴らしかった。より言葉のない抽象的な世界だからかな。もしかすると、わたしまだ、(日本語のマイムに)見えない違和感を持ってるのかも知れない。早く慣れなきゃ。(当たり前のことですが、日本語より英語の方がいいとかその反対ではないのです。それから、バレエのマイムはもちろん世界語だけど、日本人の表現、ロシア人の表現、イギリスの表現ってあると思うんです)

今回は、ロイヤル・バレエでも何度も観た振り付けのバレエだったけど、ますます、新国立劇場バレエ団が好きになりました。もっともっと観に行かなければ。求む!金のなる木。というかできたら金のなる森。

by zerbinetta | 2013-02-23 00:08 | バレエ

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