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楽譜と音楽のはざま 佐藤宏充、江東シティオーケストラ   

2013年6月8日 @ティアラこうとう 大ホール

メンデルスゾーン:交響曲第5番
ブラームス:交響曲第2番

佐藤宏充/江東シティオーケストラ


ティアラなんて貧乏でいつもださださな格好をしているわたしには一生関わりないと思っていたのに、今日はティアラこうとうに行ってきました(って全然話がかみあわないじゃん)。ティアラこうとうでただで聴ける太っ腹の音楽会があったんです。ただで聴ける音楽会はなるべく行こうかな、と(セコイ?)。
ティアラこうとうってお洒落っぽい(ほんとにお洒落かは別にして)名前が付いてるけど、区の公会堂の一種なんですね。区民センター?そう言えば、葛飾のシンフォニー・ヒルズも同じ仲間ですかね。

江東区(という区分で良いのでしょうか?)には、アマチュアの市民オーケストラが2つあるみたいです。今日はそのうちのひとつ、江東シティオーケストラ。メンデルスゾーンの「宗教改革」とブラームスの交響曲第2番という、ロマン派超正統派交響曲2曲ということで、腕に自信があるのかなって期待しました。誤魔化しきかないし、ブラームスなんかはかなり弾くの難しそうですし。

残念ながら、やっぱり、オーケストラの技術的な疵が演奏には出てしまいました。勢いで弾き飛ばせる音楽ではないので、ちょっとムズカシイ。例えば音を膨らますクレッシェンド、デクレッシェンドや楽器間のバランス、後ろに回ったときの弾き方、ときに音程など、そういう細かなところにまだまだ理解の足りないところが聞こえました。
楽譜は結構きちんと弾けているんです。弦楽器のセクションを見ても、後ろの人までちゃんと弾いてるし(いぢわるなとこみてるわたし。食器棚の隅の方に指を滑らせてお掃除が、なんて言う義母みたい)、そういう意味ではひとりひとりの技量は悪くないのです。ヴァイオリンもときどき澄み切った青空のようないい音を出していたし。でも、そこから一歩、音楽に近づいていないのです。楽譜通りにならしただけでは、ただの音で、音楽になりません。それがおしい。もったいない。

指揮者の佐藤さんとは、長く共演を続けてるみたいだけど、コミュニケイションが上手くいってないように思えました。倦怠期の夫婦みたい。佐藤さんは、淡々と振ってるだけで、音楽の馭者の座を放棄したみたいに感じました。ブラームスの最後では、上手く盛り上がりを作ったけど、例えば旋律の裏に回った静かな細かいヴァイオリンの音型には注意を払わず、そこだけ現代音楽のように聞こえてきたり。正面から見たわけではないので、確かなことは言えないけど、あまりアイ・コンタクトもなさそうだったし、オーラみたいなものも感じられません。表情にはあまり出さないタイプの指揮者なのかも知れませんが、オーケストラをもっと積極的にコントロールしても良いんでは、って思いました。ただ、指揮者だけの問題かというとそうではなく、オーケストラの方も楽譜を追うことばかりに気を遣っていて、指揮者や周りを見る余裕がなかったように見えます。上手いオーケストラってじいっと観察してると、ものすごくたくさんコミュニケイションしてるんです。指揮者を見たりコンサートマスターを見たり、パートリーダーを見たり、隣を見たり。ヨーロッパの大陸の方のオーケストラは、さらに身体を揺らしてオーケストラの中で室内楽を演奏するように演奏してる。そんな様子が、江東シティオーケストラからは見られませんでした。力はあるオーケストラなので、もう一皮剥ければ、ものすごく良くなるって思いました。

1回では分からないので、機会があったらもう1度聴きに行ってみようと思います。がんばれ〜〜。

by zerbinetta | 2013-06-08 13:59 | アマチュア

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