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夢落ち? 長田佳世、奥村康祐 新国バレエ「白鳥の湖」   

2014年2月23日 @新国立劇場

白鳥の湖

振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
改訂振付:牧阿佐美
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

長田佳世(オデット/オディール)、奥村康祐(ジークフリート)
輪島拓也(ロットバルト)、八幡顕光(道化)
本島美和、奥田花純、小柴富久修(パ・ド・トロワ)
本島美和、細田千晶(2羽の白鳥)
さいとう美帆、五月女遥、大和雅美、石山沙央理(小さな4羽の白鳥)
本島美和(ルースカヤ)

アレクセイ・バクラン/東京交響楽団


3回目の「白鳥の湖」です。どれだけ「白鳥」好きなんだか。白鳥撃ってただの馬鹿認定ですかーー。
今日の主役は、オデット/オディール・デビュウの佳世さんと奥村さんです。今日も妄想爆発で観てました。

長田さんは、最初、顔がまっ赤というか桜色で、デビュウであがってらっしゃるのかと思いました。もしかするとメイクのせいなのかも知れないけれども、わたしには緊張してドキドキしているように思えました(そう思い込んでいたのかも知れませんが)。でもそれが、かえって王子と出会ったオデットの気持ちを表しているようにも感じられたのも事実。踊りは丁寧でとてもしっかりしていましたし。すごく上手い踊りをドキドキしながら観るというのは不思議な感じですね(知り合いがデビュウするのを見る感じかな)。なんだかわたしも普通でいられなくなって夢の世界を観ているよう。王子の奥村さんとのペアリングもとっても良くて、奥村さんはナイーヴな良い王子さまだと思いました。若い奥村さんってそのままでナイーヴ(初心)ですよね。初心同士のおふたりのケミストリーがとってもステキでした。
反面、オディールはもう少しいやらしさ狡猾さがあればと思いました。魔性の女には少し素直すぎるかなって。32回転はシングルで丁寧に回っていましたが、アクロバットではないので、芸術的に丁寧に踊る方が好みのわたしには好感が持てました。このバレエ団でやっている振付では、ここでいったん音楽を切って拍手をもらうのだけど、わたしはそのまま続けて、眩い回転を観た王子が喜んでこれでもかと回る方が、ふたりの心の中を表現しているようで好きです。
第4幕は、ふたりの愛が勝利するのだけど、実はロットバルトに魔法をかけられていたのは夢の世界(だって第2幕は本当に夢を見ているようだったんですもの)で、夢落ちで、ロットバルトが湖で水浴び(ごめんなさい。どうしても皮肉が出てしまいます)したあと、魔法が解けて、白鳥たちがみんなあくびをしながら伸びをしてめでたしめでたし、、、ってこれじゃ締まりがないですね。でも、夢から覚めるように魔法が解けるという演出(あくびをしろとは言わないけれども、白鳥が人間に戻って)があってもいいと思うんです。いろんな可能性のある「白鳥の湖」のひとつの姿を、伝統的な振付にちょいちょいと手を入れてお茶を濁すのではなくて、新国立劇場バレエには作ってもらいたいな、と切に願うのです。

さて、今まで新国立劇場バレエの「白鳥の湖」のことを3回書きましたが、大事なことを忘れています。それは、コールド・バレエの美しさ。わたしの観たのは1日目(初日)、4日目、5日目(千秋楽)(連続した日ではありませんが)ですが、回を追うごとにさらに良くなっていきました。これはコールドだけではなくて、4羽の小さな白鳥や各国の踊りにも言えますね。それに、ずっときらめいていた美和さんや王妃の麻美子さんも良かったです。

新国立劇場バレエは、もっとたくさんの人に観てもらいたいな。「白鳥の湖」がたった5回じゃなくて、せめて10回くらいの公演を全部満員にできなければ、日本のバレエ文化は本物とは言えないでしょう。バレエ・ダンサー(トップだけじゃなくコールドまで)は自分のバレエ団で忙しく働いて、それだけで食べていけないとダメなので。そして、日本の若いダンサーが海外のバレエ団ではなくこのバレエ団のプリンシパルを目標にできるような、海外からのトップ・ダンサーにも喜んで客演したいと思われるようなバレエ団になって欲しいです。

by zerbinetta | 2014-02-23 21:40 | バレエ

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