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若気は至っちゃえ 東京大学歌劇団第41回公演「ドン・カルロ」   

2014年7月20日 @サンパール荒川大ホール

ヴェルディ:ドン・カルロ

伊藤祐(総監督、指揮)
山内亮輔(演出)

杉戸亮介(ドン・カルロ)、松沢康司(フィリポ2世)
緒方美穂子(エリザベッタ)、大島麗子(エボリ公女)
三浦香奈子(テバルド)、岡本航(宗教裁判長)、他

東京大学歌劇団管弦楽団、東京大学歌劇団合唱団


学生のオペラ。オペラやバレエってわたしの思い込みでは、アマチュアとプロの間にものすごい大きな力の差があって、アマチュアで楽しむのはわたしにはきついかなぁなんて漠然と思っていました。バレエもオペラも個人技がとって大事で、例えば、カウフマンさんが歌うから、コジョカルさんが踊るからっていう理由で観に行っちゃう人もいるくらい。でも、アマチュア・オーケストラを積極的に聴きに行ってる今のわたし。オペラにも興味があったんだ。去年、この団体を見つけたとき聴きそびれてしまったので、今回はぜひ聴かなきゃと。思い出してみると、わたしがオペラを初めて観たのは、音楽大学の学園祭だったんだ。だからアマチュア。それに、アマト・オペラ(厳密にはアマチュアではないけれども)のような感じなのかな。

東京大学歌劇団は、東京大学と名が付いているけど、学生だけの団体ではないようです。東京以外からも来ていたり、ちょっと組織が分からないんだけど(多分東大生を中心として、関係者が集まってる感じかな)、オペラをやりたくて集まったアマチュアなのですね。

「ドン・カルロ」は初めて観ます。今日のは、イタリア語の4幕版です。最初は、ううむ、やっぱりプロとは違う、見劣り、聴き劣りするなと、予想通りのことを感じたのですが、観ている中にそんなことはあまり気にならなくなってきました。それより、お話のおもしろさに惹かれていきました。舞台は至ってシンプルで大道具なんかはほとんどないし、歌手たちは大袈裟な動きをしないので、演奏会形式のに少し毛が生えたくらいの舞台なんだけど、物語を伝えることに重きを置いたのでしょうね。初めのうちはまあ、普通のオペラらしいオペラなんだけど、最後、カルロが逃げるのに恋人のエリザベッタと別れを惜しむ歌を歌ってるのを聴いたとき、オペラのお約束だけど、のんきに歌ってる場合じゃないのにねと思いながらいたら、追跡者につかまって、あまりにオペラ的じゃない物語にびっくり。というかメタ・オペラ的でおおおと思ったんですけど、これで殺されて悲劇で終わるのねと思ったら、なんの脈絡もなく天の声が響いてまさかの大どんでん返し。うわ〜面白い。ヴェルディやるぅ。

演出をされた方がプログラムに書いていたのだけど、ヴェルディのオペラは物語を平気でないがしろにした何も考えない演出がはびこっていて(ヴェルディの台本も悪いんだけど)オペラ・ファンもそれを望んでるような宗教的なところがある(プログラムの文章を翻案してます)なあんて、若者の勝ち気が気持ちよいなぁって思いつつ、物語を面白いと感じられたのはきちんと演出がされていたからなんですね、きっと。まあわたしは、めちゃくちゃな演出も全く何も考えていないわけではないとは思うのですが。。。

総監督、指揮をされた方は、学生です。多分二十歳そこそこ。なんですけど、それが信じられないくらい、充実した音楽をしていました。よっぽど勉強して準備しているのでしょう。指示も的確だし、そんじょそこらのお金をもらって指揮をしている人たちよりいいかもって思ったくらい。理系の方みたいだけど、指揮者になった方がいいかも。

東大の団体は、フィロムジカもそうだけど、会場での写真撮影、録音はOKみたい。もちろんフラッシュたいたり、演奏中に気が散るようなことは嫌だけど、大らかでいいな。普通の音楽会やオペラでもカーテンコールのときは写真が許されるようになればいいのに。ホールの著作権がどう絡むのかは、わたし詳しくないので何とも言えないんだけども。

意外と言ったら失礼だけど、楽しめた、いいもの聴けたと思えた公演でした。アマチュア・オペラもありだな。わたしにはたくさんのステキな発見があったもの。


(アマチュアなので個人名を出すのは控えようかとも考えましたが、歌劇団のウェブ上にも公開されているし、むしろ名無しなのはおかしいと考えて出演者の名前を伏せてはいません)


♪♪
東京大学歌劇団の次の公演は、第42回公演が12月28日、三鷹市公会堂です。「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「ジャンニ・スキッキ」です。

by zerbinetta | 2014-07-20 00:52 | アマチュア

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