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今年もバトル 音楽大学オーケストラフェスティバル 1日目   

2015年11月8日 @東京芸術劇場

ファンファーレ
臼居司(洗足学園音楽大学):fanfare for a festival

シベリウス:交響曲第2番

梅田俊明/武蔵野音楽大学管弦楽団


ファンファーレ
小田実結子(武蔵野音楽大学):collage fanfare

ムソルグスキー/ラヴェル:組曲「展覧会の絵」

秋山和慶/洗足学園音楽大学管弦楽団


今年も東京の音楽大学オーケストラの決戦。去年聴いて感動した、オーケストラ・バトルの季節がやって来ました(違)。東京にある9校の音楽大学オーケストラによる交流を目的にしたバトル。じゃない祭典。今年は、去年より対決色が強く、「展覧会の絵」とシベリウスの交響曲第2番をそれぞれ2校ずつの大学が採り上げます。東京芸術劇場とミューザ川崎で2回ずつ4回の音楽会です。セット券で買うと1回750円とお得なんですよ。音楽を専門に学んでいる学生さんのオーケストラ。アマチュアとはいえかなり上手いし、学校による個性も感じられるのでとっても楽しいんです。

まずはそれぞれの対戦相手(違うって)にエールを込めたファンファーレから。各校の演奏前に対戦相手が演奏します。作曲は学生。この音楽祭のために書き下ろされた作品なので全て初演です。
洗足学園音大の臼居さんの「fanfare for a festival」は、2つの主題を元にしたシンプルな感じのファンファーレですけど、2つの動機がもう少しきれいに分離するように書かれるともうちょっと良かったかな。生真面目な感じの曲でした。
後半に演奏された、武蔵野音大の小田さんの「collage fanfare」は、楽しい音楽。音楽から楽しさが溢れてきます。ベートーヴェンの「歓喜の歌」から始まる、このファンファーレのキモの部分は、過去の作品のコラージュが常に2つ3つ重なっていてぱらぱらマンガのように聞こえるのが面白かったです。

前半は、梅田さんと武蔵野音大によるシベリウスの交響曲第2番。この学校は、各パートの先生もトップ下で学生を支えるんですね。カーテンコールの時は、トップ・サイドの先生が、いちいちコンサートマスターの人に挨拶とかを指示していたのがちょっと可笑しいというか微笑ましかったです。シベリウスの交響曲の中では一番外交的で華やかな音楽。若者らしい、明るくて大らかな演奏で好感度大。音楽に熱中している学生さんたちのナイーヴな情熱もステキで、全員がひとつの音楽をひとつの方向で奏でているというのもいいんです。特に、第4楽章に入って、最初に弦楽器が雄大な旋律を高らかに歌うところの開放感がステキでした。この音が、もう一度最後に帰ってきたら完璧だったんですけど、ほんのちょっとだけ足りなくて、惜しい、というか学生さんゆえの発展途上ですね。ひとつひとつの音楽会って世界にたったひとつしかない奇跡の瞬間で、
金管楽器がとてもきれいな響きで鳴るのです。あとで気がついたんだけど、これはホールの特徴でもあるんですね。ステージの後ろの方、オルガンが設置されているので天井があるんだけど、その下に位置する金管楽器が良く響くんです。でも、それにしてもこの楽器の金管楽器の響きはステキで、シベリウスの交響曲にぴったりでした。

後半は、秋山さんと洗足学園の「展覧会の絵」。これが素晴らしかった。完全に秋山さんの音楽。秋山さん、にこやかな柔らかな佇まいで指揮してらしたけど、絶対、学生を容赦なくガンガン鍛えてる。音楽の内面に深くはまっていくような演奏で、集中力がすごくて、真っ直ぐど真ん中で変わったことはしていないから、はっとして音楽を聞き返すような瞬間はないんだけど、それ以上に音楽にのめり込んでしまうの。ここまでの演奏なかなかないよ。ムソルグスキーのがしがしした素朴な音楽にラヴェルの施した洗練された管弦楽は、ある意味で、矛盾を孕んでいるけど、秋山さんと武蔵野音大の演奏は、オーケストラの色彩を大切にしながらもタッチを素朴なまま残して、色を一度、暗いフィルターの通した感じに押さえて(フォトショップでいうと明度を押さえてコントラストを上げる感じ?)、ムソルグスキー成分を大事にしている。それが素晴らしいの。武蔵野音大すごい。秋山さん凄い凄い。

今年も音大バトル盛り上がりそうで楽しみ〜〜〜。

by zerbinetta | 2015-11-08 11:53 | アマチュア

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